日本の大学の「孔子学院」は安全かー開設相次ぐ中国の対外宣伝工作機関
2009/10/12/Mon
■米国のソフト・パワーに学ぶ中国の世界戦略
ソフト・パワーと言えば軍事力、経済力とは異なる、一国が対外的に発揮する文化、価値観の影響力のこと。それが絶大なのが米国だ。民主、自由と言った価値観はもとより、ハリウッド映画やコカコーラ、マクドナルド、さらにはCNNなども、そうした米国の「力」だろう。そう言ったものに日本を含む多くの国々が米国文化に魅了され、その模倣に走って自国の伝統文化を犠牲にしてきた。
ソフト・パワーの概念は米国のジョセフ・ナイ氏が九〇年に提唱したものだが、その重要性に着眼したのは米国以上に中国ではないかとも言われる。米国の文化的影響力を恐れる一方、米国のような世界的影響力を誇る国家になることを目指すのがこの国なのだ。
そこでたとえばCCTV(中国中央テレビ)を中国版CNNに仕立てようと試みる。「人民を騙す」として国内知識人から批判を浴びる番組で、世界を騙そうと言うわけだ。
中国版CNNを目指す中共の宣伝媒体CCTV
ナイ氏によれば、ソフト・パワーとは国家には管理できないものだが、中国の場合はこのように、ソフト・パワーも国家の管理下にある。
■ドイツが「ゲーテ」なら中国は「孔子」
もっとも世界の人々は、米国のような「魅力」が、はたして中国にあるのかと首を傾げよう。しかし中国自身には「世界に冠たる×千年の伝統文化」こそ、世界の人々を魅了するものだと固く信じている。かくして持ち出されたのがその伝統文化の象徴である孔子である。
ドイツが世界各地に設置し、ドイツ語の普及を通じて自国文化を紹介するゲーテ・インスティチュート(ドイツ文化センター)などを模倣し、ドイツが「ゲーテ」なら、中国は「孔子」だと言うことだろうか、二〇〇四年から中国語学習のための孔子学院を各国に設置し始めた。
設置を推進する機関は「国家漢語国際推広領導小組弁公室」(国立中国語国際普及指導グループ事務所)。
ウィキペディアによれば、孔子学院の第一号はソウルで開設され、日本では二〇〇五年、北京大学との提携で立命館大学で設置されたの皮切りに、桜美林大学(同済大学と提携)、北陸大学(北京語言大学と提携)、愛知大学(南開大学と提携)、立命館アジア太平洋大学(浙江大学と提携)、札幌大学(広東外語外貿大学と提携)、大阪産業大学(上海外国語大学と提携)、岡山商科大学(大連外国語学院大学と提携)、工学院大学(北京航空航天大学と提携)福山大学(対外経済貿易大学、上海師範大学と提携)、早稲田大学(北京大学と提携)などで開設されている。
二〇〇七年に開設の早稲田大学孔子学院のHPには、「中国政府は中国語学習の支援と中国文化の普及に取り組むため、世界各国に『孔子学院』の設置を進めています。現在、世界に約300、日本国内には10を超える孔子学院が存在します」とした上で、「これらの孔子学院とは異なり、早稲田大学孔子学院は世界初の『研究型』孔子学院として、中国を研究対象とする大学院生や若手研究者の研究活動を支援して参ります」とある。
孔子学院の設置分布図。西側諸国への「浸透」ぶりがうかがえる
■対外宣伝機関として各国が警戒
ところで大紀元時報(日本版)は、この孔子学院設置の戦略の危険性を指摘している。十月十一日の記事、「孔子学院:中国共産党の海外宣伝窓口」がそれだ。
そこには次のようなことが書かれている。
―――中国政府は、中国文化の推進のため、孔子学院を中国と世界の間の架け橋にすると宣伝している。中国教育部の報告によると、現時点で既に世界83カ国、268地域以上に開設され、しかも毎月5~6校のぺースで増やしている。日本では北海道、東京、愛知、京都、大阪、神戸、金沢、広島、岡山、大分など各地ですでに開設もしくは開設予定が決まっている。
―――孔子学院が海外に進出するこの勢いを、中国教育部のある幹部が7月に発表した「成果報告」では、「中国のソフト・パワーの重要象徴」と述べている。
―――今年4月、中央政治局委員で宣伝担当の李長春氏は、孔子学院を「中国対外宣伝構造の重要部分」とし、中共対外宣伝工作における役割を定義している。
三月に来日した李長春政治局常務委員(前列中央)は日本の各孔子学院の
代表者などと会見した
―――孔子学院高層部理事会の規定には、「中共の世界戦略の一環と位置づける」と明示されているが、対外的には「中国と中国文化の教育を通じて、世界各国との相互理解と友好関係を促進し、継続的な世界平和と相互発展への貢献を目的とする」と謳われている。
―――孔子ブランドで国外制覇を狙い、孔子学院を海外進出させる真意について、各国の学者も注目している。ハーバード大学で中国語教育を担当している馮勝利教授は、孔子学院でなく「共産主義学院」と呼ぶほうが適切だと指摘している。
―――米国在住の中国歴史学者・余英時教授によると、「孔子学院は文化目的なものではなく、政治目的だ。カナダのある孔子学院は、調査の結果、中国共産党の情報収集機関であることが判明した」
―――「孔子学院は儒教を教えるところでも中国語を教える学校でもなく、中国共産党のイデオロギー機関」という声が高い。スウェーデン国会議員、欧州委員会政治事務委員会主席・リントフラド氏は、孔子学院は中国当局の海外での工作機関だと指摘した。
―――台湾華僑委員会は中国共産党が教育や文化の舞台を利用して、「中共的な観点」を普及させようとしていると批判している。
―――日本では、これまで、外務省や防衛省、自衛隊などの政府組織内に中国の浸透工作の痕跡があったが、日本各地の孔子学院が中国共産党の情報収集に利用されるのではないかという懸念も高まっている。
このように孔子学院に対する疑念が各国で持たれてきたのは事実である。
日本では中国との国交樹立以来、中国語学習普及に代表される両国提携の文化交流活動が各地で推進され、多くの日本人が中国にシンパシーを抱いてきた。そして中国を深く知るにつれ、あの国の実態に幻滅した者は少なくないが、あの独裁国との有害なる「友好」にひた走って行った者もまた少なくない。
中国のソフト・パワーが洗脳宣伝と言う世界戦略であると言うなら、それに警戒を行うべきなのは当然だろう。
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運動を拡大したいので。
台湾研究フォーラム(台湾研究論壇) 第127回定例会
■ 講 師 池田 維 前駐台湾代表(日本交流協会台北事務所代表)
■ 演 題 「日台関係の現状と展望」
昨年7月まで事実上の台湾大使を務められた池田氏に、3年余の大使経験で感じた日台関係
の実態を伝えていただくと同時に、馬英九政権になって約1年半、従来の日台関係の何が変化
したか、変化していないか、などを伺う。
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池田 維(いけだ・ただし)昭和14年生まれ、東京大学法学部卒業。昭和37年外務省に入省、外務省アジア局長、官房長を経てオランダ、ブラジル大使を歴任、平成16年6月退官。 平成17年5月から平成20年7月まで台湾大使。在任中は天皇誕生日祝賀会や叙勲を前任の内田大使に引き続き実施、台湾人観光客のノービサ化や運転免許証の相互承認などに尽力、離任直前に発生した尖閣諸島付近での日本巡視船と台湾遊漁船の衝突沈没事件でも事態収拾にあたった。
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【日 時】 平成21年10月17日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京シビックセンター3階1号会議室(TEL:03-5803-1100)
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
【申込み】 10月16日までに下記へお願いします(会場定員あるため)。
E-mail:[email protected]
FAX: 03-3868-2101
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第127回定例会 申込書
氏名 懇親会: 参加 不参加 (○をお付けください)
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ソフト・パワーと言えば軍事力、経済力とは異なる、一国が対外的に発揮する文化、価値観の影響力のこと。それが絶大なのが米国だ。民主、自由と言った価値観はもとより、ハリウッド映画やコカコーラ、マクドナルド、さらにはCNNなども、そうした米国の「力」だろう。そう言ったものに日本を含む多くの国々が米国文化に魅了され、その模倣に走って自国の伝統文化を犠牲にしてきた。
ソフト・パワーの概念は米国のジョセフ・ナイ氏が九〇年に提唱したものだが、その重要性に着眼したのは米国以上に中国ではないかとも言われる。米国の文化的影響力を恐れる一方、米国のような世界的影響力を誇る国家になることを目指すのがこの国なのだ。
そこでたとえばCCTV(中国中央テレビ)を中国版CNNに仕立てようと試みる。「人民を騙す」として国内知識人から批判を浴びる番組で、世界を騙そうと言うわけだ。
中国版CNNを目指す中共の宣伝媒体CCTV
ナイ氏によれば、ソフト・パワーとは国家には管理できないものだが、中国の場合はこのように、ソフト・パワーも国家の管理下にある。
■ドイツが「ゲーテ」なら中国は「孔子」
もっとも世界の人々は、米国のような「魅力」が、はたして中国にあるのかと首を傾げよう。しかし中国自身には「世界に冠たる×千年の伝統文化」こそ、世界の人々を魅了するものだと固く信じている。かくして持ち出されたのがその伝統文化の象徴である孔子である。
ドイツが世界各地に設置し、ドイツ語の普及を通じて自国文化を紹介するゲーテ・インスティチュート(ドイツ文化センター)などを模倣し、ドイツが「ゲーテ」なら、中国は「孔子」だと言うことだろうか、二〇〇四年から中国語学習のための孔子学院を各国に設置し始めた。
設置を推進する機関は「国家漢語国際推広領導小組弁公室」(国立中国語国際普及指導グループ事務所)。
ウィキペディアによれば、孔子学院の第一号はソウルで開設され、日本では二〇〇五年、北京大学との提携で立命館大学で設置されたの皮切りに、桜美林大学(同済大学と提携)、北陸大学(北京語言大学と提携)、愛知大学(南開大学と提携)、立命館アジア太平洋大学(浙江大学と提携)、札幌大学(広東外語外貿大学と提携)、大阪産業大学(上海外国語大学と提携)、岡山商科大学(大連外国語学院大学と提携)、工学院大学(北京航空航天大学と提携)福山大学(対外経済貿易大学、上海師範大学と提携)、早稲田大学(北京大学と提携)などで開設されている。
二〇〇七年に開設の早稲田大学孔子学院のHPには、「中国政府は中国語学習の支援と中国文化の普及に取り組むため、世界各国に『孔子学院』の設置を進めています。現在、世界に約300、日本国内には10を超える孔子学院が存在します」とした上で、「これらの孔子学院とは異なり、早稲田大学孔子学院は世界初の『研究型』孔子学院として、中国を研究対象とする大学院生や若手研究者の研究活動を支援して参ります」とある。
孔子学院の設置分布図。西側諸国への「浸透」ぶりがうかがえる
■対外宣伝機関として各国が警戒
ところで大紀元時報(日本版)は、この孔子学院設置の戦略の危険性を指摘している。十月十一日の記事、「孔子学院:中国共産党の海外宣伝窓口」がそれだ。
そこには次のようなことが書かれている。
―――中国政府は、中国文化の推進のため、孔子学院を中国と世界の間の架け橋にすると宣伝している。中国教育部の報告によると、現時点で既に世界83カ国、268地域以上に開設され、しかも毎月5~6校のぺースで増やしている。日本では北海道、東京、愛知、京都、大阪、神戸、金沢、広島、岡山、大分など各地ですでに開設もしくは開設予定が決まっている。
―――孔子学院が海外に進出するこの勢いを、中国教育部のある幹部が7月に発表した「成果報告」では、「中国のソフト・パワーの重要象徴」と述べている。
―――今年4月、中央政治局委員で宣伝担当の李長春氏は、孔子学院を「中国対外宣伝構造の重要部分」とし、中共対外宣伝工作における役割を定義している。
三月に来日した李長春政治局常務委員(前列中央)は日本の各孔子学院の
代表者などと会見した
―――孔子学院高層部理事会の規定には、「中共の世界戦略の一環と位置づける」と明示されているが、対外的には「中国と中国文化の教育を通じて、世界各国との相互理解と友好関係を促進し、継続的な世界平和と相互発展への貢献を目的とする」と謳われている。
―――孔子ブランドで国外制覇を狙い、孔子学院を海外進出させる真意について、各国の学者も注目している。ハーバード大学で中国語教育を担当している馮勝利教授は、孔子学院でなく「共産主義学院」と呼ぶほうが適切だと指摘している。
―――米国在住の中国歴史学者・余英時教授によると、「孔子学院は文化目的なものではなく、政治目的だ。カナダのある孔子学院は、調査の結果、中国共産党の情報収集機関であることが判明した」
―――「孔子学院は儒教を教えるところでも中国語を教える学校でもなく、中国共産党のイデオロギー機関」という声が高い。スウェーデン国会議員、欧州委員会政治事務委員会主席・リントフラド氏は、孔子学院は中国当局の海外での工作機関だと指摘した。
―――台湾華僑委員会は中国共産党が教育や文化の舞台を利用して、「中共的な観点」を普及させようとしていると批判している。
―――日本では、これまで、外務省や防衛省、自衛隊などの政府組織内に中国の浸透工作の痕跡があったが、日本各地の孔子学院が中国共産党の情報収集に利用されるのではないかという懸念も高まっている。
このように孔子学院に対する疑念が各国で持たれてきたのは事実である。
日本では中国との国交樹立以来、中国語学習普及に代表される両国提携の文化交流活動が各地で推進され、多くの日本人が中国にシンパシーを抱いてきた。そして中国を深く知るにつれ、あの国の実態に幻滅した者は少なくないが、あの独裁国との有害なる「友好」にひた走って行った者もまた少なくない。
中国のソフト・パワーが洗脳宣伝と言う世界戦略であると言うなら、それに警戒を行うべきなのは当然だろう。
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台湾研究フォーラム(台湾研究論壇) 第127回定例会
■ 講 師 池田 維 前駐台湾代表(日本交流協会台北事務所代表)
■ 演 題 「日台関係の現状と展望」
昨年7月まで事実上の台湾大使を務められた池田氏に、3年余の大使経験で感じた日台関係
の実態を伝えていただくと同時に、馬英九政権になって約1年半、従来の日台関係の何が変化
したか、変化していないか、などを伺う。
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池田 維(いけだ・ただし)昭和14年生まれ、東京大学法学部卒業。昭和37年外務省に入省、外務省アジア局長、官房長を経てオランダ、ブラジル大使を歴任、平成16年6月退官。 平成17年5月から平成20年7月まで台湾大使。在任中は天皇誕生日祝賀会や叙勲を前任の内田大使に引き続き実施、台湾人観光客のノービサ化や運転免許証の相互承認などに尽力、離任直前に発生した尖閣諸島付近での日本巡視船と台湾遊漁船の衝突沈没事件でも事態収拾にあたった。
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【日 時】 平成21年10月17日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京シビックセンター3階1号会議室(TEL:03-5803-1100)
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3,500円、学生1,000円)
【申込み】 10月16日までに下記へお願いします(会場定員あるため)。
E-mail:[email protected]
FAX: 03-3868-2101
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第127回定例会 申込書
氏名 懇親会: 参加 不参加 (○をお付けください)
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