台湾で高まるトランプ待望論 (附:台湾チャンネル関連報道動画)
2017/01/13/Fri
■中国のアキレス腱を突いたトランプ氏
台湾の蔡英文総統と電話会談を行い、または「一つの中国」政策の見直しを示唆するなど、台湾カードで中国を揺さぶってみせた米国のトランプ次期大統領。これに中国が猛反發したのは、あの国にとってそれはアキレス腱攻撃そのものだからだ。
そうした緊張の高まりに迷惑顔をする日本人は少なくないだろう。東京新聞は十二月二十八日の「トランプ体制 文民統制は大丈夫か」と題する社説で、次のように批判する。
「台湾問題は中国が譲るわけにはいかない『核心的利益』の中心。トランプ氏の言動は前例のない挑発だ。いたずらに緊張を高めて、地域情勢を不安定化させるだけだ」
しかし東京新聞が従来迎合してやまない中国にとっては、台湾は「核心的利益」(何としてでも奪取したい領土外の地域)でも、台湾の人々にとっては掛け替えなき故国である。だから台湾では、特に台湾本土派の知識人の間ではトランプ大統領就任への待望論が盛んに聞かれる。
最大手紙自由時報の一月十三日の社説「米次期国務長官の台湾に関する重ねての承諾を歓迎」の一文なども象徴的なトランプ政権待望論だ。
■トランプ氏が中国の前で見直そうとするもの
この「次期長官」とはティラーソン氏のことだが、ちなみに前出の東京新聞社説は、同氏について次のように批判的だ。
「人選が難航した国務長官には、石油メジャー大手エクソンモービルのティラーソン最高経営責任者(CEO)が起用された。エクソンはロシアと長年の取引関係にあり、ティラーソン氏自身もプーチン大統領とつながりが深い。このため、共和党にはこの人事に反発も出ている」
ティラーソン次期国務長官
「国務長官のポストと、エクソンが世界中で展開する事業の間で利益相反が生じないか、という懸念もある」
ところが台湾から見れば、それとは異なる見方が持たれるわけだ。
以下に、自由時報の社説を見て行きたい。
―――ティラーソン氏は木曜の議会の公聴会で、「トランプ政権が『一つの中国』の立場を修正するか否かは知らないが、米国がかつて台湾に向けて行った台湾関係法と六つの保証を守るとの承諾は重ねて表明し、遵守しなければならない。重要なのは台湾に、我々があれらの保証を守ることを知らせることだ。それが我々が発するべきシグナルなのだ」と語った。
―――各方面でトランプ政権が台湾に友好的であることが予測される中、我々はティラーソン氏の公開の場での宣言に対し、称賛と歓迎の意を表するとともに、我が国政府がこの機会をしっかりと把持し、対米政策をうまく進めて台米関係を実質的に増進することを期待する。
この「台湾関係法と六つの保証」だが、前者は米国が台湾に対して国家と同様の待遇を行い、防衛用兵器の供与を行うことを義務付けた米国内法で、後者はそれに基づく台米関係の維持などを台湾に保証する規範である。
そもそもこうした対台政策を米国が継続できるのは、同国が台湾を中国の領土とは承認していないからであるが、しかし今までの米国政府は中国の顔を立て、あたかもそれを承認しているかのような顔をしてきた。
「一つの中国」政策などはまさにそれである(その呼称自体がまるで中国の「一つの中国」原則を認めているかのようだ)。米国はそうした姿勢で、ある程度台湾を犠牲にしながら、米中関係を支えてきたのだが、トランプ氏が見直しを示唆したのがそうした政策なのである。
■ブレーンの顔触れにも台湾は期待
ひきつづき自由時報の社説を見よう。
―――ティラーソン氏への質問に立ったガードナー上院議員は、「中国は最近、絶えず軍備を増強して台湾への圧力を強めており、政府系の環球時報などは武力統一すべしと恫喝する始末だ」と述べた。重視に値するのは、それへのティラーソン氏の反応だ。
―――このトランプ政権の外交面での主要ブレーンは、「中国は頼れるパートナーではない。南支那海で島を造成し、尖閣周辺では不法行為を繰り返し、米国の知的財産権を侵害し、貿易面でも約束を守らない。米国は中国の空言や空約束は受け入れられない。そこで米国は友人ではない国に対し、協議の結果に対する責任は負うよう求めるべき。さもなくば米国の世界における地位は傷つき、世界中の悪人に約束を破るよう鼓舞することになる」と述べたのだ。
―――その道理に適った厳しい言葉で語られたのが、トランプ政権の外交政策、中でも中国政策だ。それは常識に符合するばかりか民意の基礎をも持つ。トランプ本人からブレーン、有識者から広範な民意に至るまで、中国政策には変更が必要だと考えている。ニクソンの聯中制ソの時代から今日までを見れば、キッシンジャー流の中国を自由世界に融合させるとの夢は失敗に終わったばかりか、米国対しては更にアジアにおけるその優勢的地位を脅かす敵を作ってしまった。
―――トランプの実力で米国の利益を確保するとの政策は陸海空三軍軍備、兵力の増強のための軍事予算の増額などにも表れそうだが、更に重要なのは、その政権の経済・アジア政策チームが国務院、商務省、通商代表部、国家安全保障会議、ホワイトハウス国家通商会議など各部門での中国政策の失敗を批判し、改革を主張するリーダーたちによってすでに形成され、海外メディアから「トランプ政権内部のあれら親台派」などと呼ばれていることだ。
―――こうしたグループがトランプの有効な指揮の下、オバマが訴えたアジアへのリバランスを実現する可能性が高い。
自由時報社説はこのように、トランプ氏のブレーンの顔ぶれの面からも、同政権に大きな期待を寄せる訳だが、その辺りと対照的なのが東京新聞社説だ。
■中国の側に立つ日本の左翼メディア
いかにも日本の左翼メディアらしく浅薄。次のように「文民統制は大丈夫なのか」などと不安を煽るのである。
「外交・安全保障チームには強硬派で鳴らす元軍高官がずらりと並んだ。トランプ次期米政権の布陣だ。文民統制(シビリアンコントロール)が損なわれないか、不安が募る」
「中央情報局(CIA)長官に指名されたポンペオ下院議員も、陸軍士官学校出身の元軍人だ。これほど軍出身者が幅を利かす政権は過去にない。外交・安保政策に軍の影響力が過剰に浸透しないか、議会でも懸念が出ている」
「国防長官は軍事的能力よりも政治・行政手腕が問われるポストだ。しかも文民統制の原則で、元軍人は退役後七年間は国防長官に就けない。退役から三年のマティス氏は議会から免除措置を受ける必要がある」
「えて、大統領と同時に軍の最高司令官に就任するトランプ氏は、公職に就いた経験がない。それだけに、偏りのないバランスのとれた人事が求められたはずだ」
そしてこのように不安を煽るだけ煽った上で、こう繋ぐのである。
「実際の外交活動では、トランプ氏が長年の慣例を破って台湾の蔡英文総統と電話会談したことは、世界をヒヤリとさせた。台湾問題を貿易交渉の取引材料に使う姿勢もちらつかせている」
要するにこちらは、中国を相手に徒に緊張を高める危険な人物だと批判したいのだ。
しかし中国の不当な軍事的脅威の前で台湾は、日本とは生命共同体であるはずだ。それであるのになぜ東京新聞は日本のメディアでありながら、中国の怒りばかりに脅えるだけ脅え、台米の接近、米国の台湾重視を評価しないのか。
生命共同体である以上日本もまた、一度台湾での観点からトランプ新政権の動向を観察する必要があるだろう。
【過去の関連記事】
トランプは台湾の味方かー対中外交に「型破り」は必要だが2016/12/05
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3024.html
NHKが媚中捏造!トランプの台湾重視を警戒か(附:抗議呼び掛け)16/12/06
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3025.html
トランプの「一つの中国」発言と日本メディアの誤報 (附:台湾チャンネル関連報道動画)16/12/23/
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3027.html
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【台湾CH Vol.164】トランプ発言で注目!キーワード「一つの中国」とは何か? / 台南で保存される日本時代の愛国婦人会館 / 他[桜H28/12/25]
https://youtu.be/3PTeRkQB3ds
台湾チャンネル第164 回は、①日本の台湾料理店で日台交流忘年会。②台湾観光での屋台朝食の楽しみ方。③台南で史跡指定されている日本時代の愛国婦人会の建物を紹介。④トランプ米次期大統領が「一つの中国」政策の見直しを示唆。そもそも世界の誤解を与える「一つの中国」とは何か。主播:永山英樹・謝惠芝
【日台交流頻道】第164集,美國從未承認「一中」原則 / 訪問台南的日式建築「原愛國婦人會舘」
本集報導:①台灣研究論壇於東京的台灣料理店舉行日台交流忘年会。②推薦日本観光客從飯店出來,挑戰台灣街頭的各樣式早餐。③讓訪台南的日本人驚訝的純日本建築「原愛國婦人會舘」。④美國總統當選人川普對「一個中國」的發言受到矚目。日本人誤解的美國「一中」政策與中國「一中」原則是甚麼?主播:永山英樹・謝惠芝
台湾の蔡英文総統と電話会談を行い、または「一つの中国」政策の見直しを示唆するなど、台湾カードで中国を揺さぶってみせた米国のトランプ次期大統領。これに中国が猛反發したのは、あの国にとってそれはアキレス腱攻撃そのものだからだ。
そうした緊張の高まりに迷惑顔をする日本人は少なくないだろう。東京新聞は十二月二十八日の「トランプ体制 文民統制は大丈夫か」と題する社説で、次のように批判する。
「台湾問題は中国が譲るわけにはいかない『核心的利益』の中心。トランプ氏の言動は前例のない挑発だ。いたずらに緊張を高めて、地域情勢を不安定化させるだけだ」
しかし東京新聞が従来迎合してやまない中国にとっては、台湾は「核心的利益」(何としてでも奪取したい領土外の地域)でも、台湾の人々にとっては掛け替えなき故国である。だから台湾では、特に台湾本土派の知識人の間ではトランプ大統領就任への待望論が盛んに聞かれる。
最大手紙自由時報の一月十三日の社説「米次期国務長官の台湾に関する重ねての承諾を歓迎」の一文なども象徴的なトランプ政権待望論だ。
■トランプ氏が中国の前で見直そうとするもの
この「次期長官」とはティラーソン氏のことだが、ちなみに前出の東京新聞社説は、同氏について次のように批判的だ。
「人選が難航した国務長官には、石油メジャー大手エクソンモービルのティラーソン最高経営責任者(CEO)が起用された。エクソンはロシアと長年の取引関係にあり、ティラーソン氏自身もプーチン大統領とつながりが深い。このため、共和党にはこの人事に反発も出ている」
ティラーソン次期国務長官
「国務長官のポストと、エクソンが世界中で展開する事業の間で利益相反が生じないか、という懸念もある」
ところが台湾から見れば、それとは異なる見方が持たれるわけだ。
以下に、自由時報の社説を見て行きたい。
―――ティラーソン氏は木曜の議会の公聴会で、「トランプ政権が『一つの中国』の立場を修正するか否かは知らないが、米国がかつて台湾に向けて行った台湾関係法と六つの保証を守るとの承諾は重ねて表明し、遵守しなければならない。重要なのは台湾に、我々があれらの保証を守ることを知らせることだ。それが我々が発するべきシグナルなのだ」と語った。
―――各方面でトランプ政権が台湾に友好的であることが予測される中、我々はティラーソン氏の公開の場での宣言に対し、称賛と歓迎の意を表するとともに、我が国政府がこの機会をしっかりと把持し、対米政策をうまく進めて台米関係を実質的に増進することを期待する。
この「台湾関係法と六つの保証」だが、前者は米国が台湾に対して国家と同様の待遇を行い、防衛用兵器の供与を行うことを義務付けた米国内法で、後者はそれに基づく台米関係の維持などを台湾に保証する規範である。
そもそもこうした対台政策を米国が継続できるのは、同国が台湾を中国の領土とは承認していないからであるが、しかし今までの米国政府は中国の顔を立て、あたかもそれを承認しているかのような顔をしてきた。
「一つの中国」政策などはまさにそれである(その呼称自体がまるで中国の「一つの中国」原則を認めているかのようだ)。米国はそうした姿勢で、ある程度台湾を犠牲にしながら、米中関係を支えてきたのだが、トランプ氏が見直しを示唆したのがそうした政策なのである。
■ブレーンの顔触れにも台湾は期待
ひきつづき自由時報の社説を見よう。
―――ティラーソン氏への質問に立ったガードナー上院議員は、「中国は最近、絶えず軍備を増強して台湾への圧力を強めており、政府系の環球時報などは武力統一すべしと恫喝する始末だ」と述べた。重視に値するのは、それへのティラーソン氏の反応だ。
―――このトランプ政権の外交面での主要ブレーンは、「中国は頼れるパートナーではない。南支那海で島を造成し、尖閣周辺では不法行為を繰り返し、米国の知的財産権を侵害し、貿易面でも約束を守らない。米国は中国の空言や空約束は受け入れられない。そこで米国は友人ではない国に対し、協議の結果に対する責任は負うよう求めるべき。さもなくば米国の世界における地位は傷つき、世界中の悪人に約束を破るよう鼓舞することになる」と述べたのだ。
―――その道理に適った厳しい言葉で語られたのが、トランプ政権の外交政策、中でも中国政策だ。それは常識に符合するばかりか民意の基礎をも持つ。トランプ本人からブレーン、有識者から広範な民意に至るまで、中国政策には変更が必要だと考えている。ニクソンの聯中制ソの時代から今日までを見れば、キッシンジャー流の中国を自由世界に融合させるとの夢は失敗に終わったばかりか、米国対しては更にアジアにおけるその優勢的地位を脅かす敵を作ってしまった。
―――トランプの実力で米国の利益を確保するとの政策は陸海空三軍軍備、兵力の増強のための軍事予算の増額などにも表れそうだが、更に重要なのは、その政権の経済・アジア政策チームが国務院、商務省、通商代表部、国家安全保障会議、ホワイトハウス国家通商会議など各部門での中国政策の失敗を批判し、改革を主張するリーダーたちによってすでに形成され、海外メディアから「トランプ政権内部のあれら親台派」などと呼ばれていることだ。
―――こうしたグループがトランプの有効な指揮の下、オバマが訴えたアジアへのリバランスを実現する可能性が高い。
自由時報社説はこのように、トランプ氏のブレーンの顔ぶれの面からも、同政権に大きな期待を寄せる訳だが、その辺りと対照的なのが東京新聞社説だ。
■中国の側に立つ日本の左翼メディア
いかにも日本の左翼メディアらしく浅薄。次のように「文民統制は大丈夫なのか」などと不安を煽るのである。
「外交・安全保障チームには強硬派で鳴らす元軍高官がずらりと並んだ。トランプ次期米政権の布陣だ。文民統制(シビリアンコントロール)が損なわれないか、不安が募る」
「中央情報局(CIA)長官に指名されたポンペオ下院議員も、陸軍士官学校出身の元軍人だ。これほど軍出身者が幅を利かす政権は過去にない。外交・安保政策に軍の影響力が過剰に浸透しないか、議会でも懸念が出ている」
「国防長官は軍事的能力よりも政治・行政手腕が問われるポストだ。しかも文民統制の原則で、元軍人は退役後七年間は国防長官に就けない。退役から三年のマティス氏は議会から免除措置を受ける必要がある」
「えて、大統領と同時に軍の最高司令官に就任するトランプ氏は、公職に就いた経験がない。それだけに、偏りのないバランスのとれた人事が求められたはずだ」
そしてこのように不安を煽るだけ煽った上で、こう繋ぐのである。
「実際の外交活動では、トランプ氏が長年の慣例を破って台湾の蔡英文総統と電話会談したことは、世界をヒヤリとさせた。台湾問題を貿易交渉の取引材料に使う姿勢もちらつかせている」
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しかし中国の不当な軍事的脅威の前で台湾は、日本とは生命共同体であるはずだ。それであるのになぜ東京新聞は日本のメディアでありながら、中国の怒りばかりに脅えるだけ脅え、台米の接近、米国の台湾重視を評価しないのか。
生命共同体である以上日本もまた、一度台湾での観点からトランプ新政権の動向を観察する必要があるだろう。
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台湾チャンネル第164 回は、①日本の台湾料理店で日台交流忘年会。②台湾観光での屋台朝食の楽しみ方。③台南で史跡指定されている日本時代の愛国婦人会の建物を紹介。④トランプ米次期大統領が「一つの中国」政策の見直しを示唆。そもそも世界の誤解を与える「一つの中国」とは何か。主播:永山英樹・謝惠芝
【日台交流頻道】第164集,美國從未承認「一中」原則 / 訪問台南的日式建築「原愛國婦人會舘」
本集報導:①台灣研究論壇於東京的台灣料理店舉行日台交流忘年会。②推薦日本観光客從飯店出來,挑戰台灣街頭的各樣式早餐。③讓訪台南的日本人驚訝的純日本建築「原愛國婦人會舘」。④美國總統當選人川普對「一個中國」的發言受到矚目。日本人誤解的美國「一中」政策與中國「一中」原則是甚麼?主播:永山英樹・謝惠芝