台湾応援の日本人は国民党のフィクションに加担するな/虚構の祝日「双十節」を前に
2014/10/07/Tue
■大胆な歴史捏造に基づく中華民国双十節
台湾で建国記念日に当たる祝日が十月十日の国慶日(双十節)だ。
毎年その日には台北の総統府前で盛大な記念式典が行われるが、それが実際に記念するのは「台湾の建国」ではなく、台湾とは縁もゆかりもない中国湖北省で約百年前に起こった内乱だ。すなわち一九一二年一月一日の中華民国臨時政府樹立に先立つ、十一年十月十日の辛亥革命勃発の記念日なのだ。当時台湾は日本の領土だから、革命とは一切関係がない。
しかし国共内戦で敗れた中華民国(国民党)政府が一九四九年に台湾へ亡命すると(台湾は法的には中国領土ではないから「亡命政府」と呼ぶべき)、この記念日を台湾住民に押し付けた。「台湾は中国三十五省中の一省」とのフィクションの下、孫文と蒋介石を讃えて、人々を国民党の忠良なる下僕に仕立て上げる洗脳キャンペーンの一環としてである。
フィクションと言えば、この双十節も嘘にまみれている。
先ず第一に、国民党は孫文が辛亥革命を指導したと言うが、これは大胆な歴史捏造だ。湖北省で革命戦争を始めたのは反孫文の革命勢力であり、国外にいた孫文はそれに一切関与していない。
第二に、辛亥革命の結果誕生した中華民国政府と、今日に続く孫文、蒋介石の中華民国政府は、同一の国号ではあるが何の連関性もない。国旗も国家も都も、そしてそれを運営した人間もみな違う。国民党は今年を「中華民国一〇三年」などと呼んでいるが、それは他人の年齢を自分の年齢に加算するに等しい。
台湾住民は、このような馬鹿げたフィクションを押し付けられているのだ。そしてこの状況は国民党独裁体制から民主化時代に移行しても、中華民国体制が存続する限りは続くのだ。
■中華民国体制は台湾を中共に売り飛ばす
中華民国体制の基本原理である「中国唯一の合法政府」というフィクションは、かつては国民党亡命政権の住民支配を正当化するものだったが、今や中共の台湾併呑を正当化するものとなりつつある。「台湾は中国の一部」と言っているのだから当然だろう。
たとえば馬英九総統は昨年の双十節における総統府前での記念式典で、「両岸人民は同じく中華民族に属する。両岸関係は国際関係ではない」と演説して物議を醸した。
昨年の双十節の演説で台湾と中国の一体性を強調した馬英九総統。台湾を中
国領土とする中華民国体制は中国の台湾併呑に正当性を与えることになる
それはそうだろう。「台湾にとって中国は同じ国であって外国ではない」と言ったのだから。しかし中華民国なるフィクション体制から見れば、その発言も正確ということになる。
それにしても民主化後、李登輝政権や陳水政権は懸命に、台湾と中国とは「国と国との関係」であり、「台湾は主権国家」であると内外にアピールし、中華民国の「台湾化」を推進してきたわけだが、そうした努力を無駄にしかねない発言である。おそらく中国出身の馬英九は中国統一に前向きなメッセージを中共に送りたかったのだろう。中共の台湾併呑に抵抗して血を流すより、中共に忠誠を尽くして自己保身を図りたいらしい。
まさに「投共売台」(中共に投降して台湾を売る)である。
■双十節を祝う日本の親台派の矛盾
今年の双十節にはどんな発言で侵略者の関心を買うかに注目が集まるが、さてその日に先立ち、すでに各国では台湾の在外公館による双十節祝賀の行事が行われており、七日には都内のホテルオークラで祝賀レセプションが盛大に開催される。
昨年のホテルオークラでの祝賀レセプション。「中華民国102年」などフィクショ
ン。これを台湾人に押し付ける中華民国体制の残酷さを知ろう
そこには在日台湾人や華僑の他、国会議員を含む各界の日本人も多数参加することだろう。
参加者はひところに比べてだいぶ増加したようだ。それは招待状の乱発のためとも言われるが、日台交流がそれほど盛んになったということでもあろう。東日本大震災以降の両国の友情の深まりもあるし、馬英九政権の台中宥和路線の結果、日台交流で中国の顔色を以前ほど伺う必要がなくなったとも指摘されている。
しかし中華民国体制を讃美する会合への参加が日台親善と言えるのかどうか。真に台湾に友情を示したいなら、むしろこのフィクション体制への不支持を表明するべきではないか。
中華民国体制の欺瞞、危険性を知り、そこからの脱却(台湾独立)を希求しながらも、それを許さない中共の恫喝や、国際社会の冷淡さに孤立感を深める台湾の民衆は大勢いる。その人々にエールを送るべきではないのか。
■震災後に増加した「純粋な親台派」に期待する
もっとも、祝賀レセプションをボイコットして、日本人の意志を台湾へ伝えようと訴える気はない。以前はそう呼び掛けたこともあったが、ほとんど効果がないことを学んだ。
そもそも日本の親台派には、台湾の公館からの招待を受けると、それを名誉と感じて有頂天になる傾向が目立つ。そうした心理は親中派の中国政府への迎合心理に通じるものがあると思う。
そして民進党政権時代には中華民国体制の打倒(台湾の独立建国)を訴えていた人々も、国民党政権の発足後に多くが転向し、今や祝賀レセプションに姿を現し、笑顔で乾杯する者も少なくない。人の信念、プライドとはこうも簡単に捨てられるのかとも驚いたが、自分の利害のためだけに動く人たちなら変幻自在は当然のことで、この類に多くを望んではいけないと知った。
そこで私が今後呼び掛けたいのは、このような旧来の自己利益優先の親台湾派ではなく、特に東日本大震災以降、純粋な思いで台湾を応援し、支持するようになった新しい親台湾層に対してだ。
「義捐金の恩返しに、台湾のために何かをしたい」との思う人々に、先ずは国民党のプロパガンダに騙されるなと訴えたい。
「台湾は主権国家」「台湾の将来は台湾人が決める」というのが台湾の主流民意なのだ。それを踏み躙ろうとする中華民国体制とは何なのかを考えてほしい。
台湾の前途は国民党でも、中共でもなく、台湾人自身が決めるものだ
【過去の関連記事】
祝っている場合ではない双十国慶節 07/04/18
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-51.html
台湾大使館の祝宴欠席を!ーもし本当の親台派なら 08/09/13
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-501.html
日本人は誤解禁物!台湾海峡は今も火薬庫 13/10/26
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2234.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓
モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
台湾で建国記念日に当たる祝日が十月十日の国慶日(双十節)だ。
毎年その日には台北の総統府前で盛大な記念式典が行われるが、それが実際に記念するのは「台湾の建国」ではなく、台湾とは縁もゆかりもない中国湖北省で約百年前に起こった内乱だ。すなわち一九一二年一月一日の中華民国臨時政府樹立に先立つ、十一年十月十日の辛亥革命勃発の記念日なのだ。当時台湾は日本の領土だから、革命とは一切関係がない。
しかし国共内戦で敗れた中華民国(国民党)政府が一九四九年に台湾へ亡命すると(台湾は法的には中国領土ではないから「亡命政府」と呼ぶべき)、この記念日を台湾住民に押し付けた。「台湾は中国三十五省中の一省」とのフィクションの下、孫文と蒋介石を讃えて、人々を国民党の忠良なる下僕に仕立て上げる洗脳キャンペーンの一環としてである。
フィクションと言えば、この双十節も嘘にまみれている。
先ず第一に、国民党は孫文が辛亥革命を指導したと言うが、これは大胆な歴史捏造だ。湖北省で革命戦争を始めたのは反孫文の革命勢力であり、国外にいた孫文はそれに一切関与していない。
第二に、辛亥革命の結果誕生した中華民国政府と、今日に続く孫文、蒋介石の中華民国政府は、同一の国号ではあるが何の連関性もない。国旗も国家も都も、そしてそれを運営した人間もみな違う。国民党は今年を「中華民国一〇三年」などと呼んでいるが、それは他人の年齢を自分の年齢に加算するに等しい。
台湾住民は、このような馬鹿げたフィクションを押し付けられているのだ。そしてこの状況は国民党独裁体制から民主化時代に移行しても、中華民国体制が存続する限りは続くのだ。
■中華民国体制は台湾を中共に売り飛ばす
中華民国体制の基本原理である「中国唯一の合法政府」というフィクションは、かつては国民党亡命政権の住民支配を正当化するものだったが、今や中共の台湾併呑を正当化するものとなりつつある。「台湾は中国の一部」と言っているのだから当然だろう。
たとえば馬英九総統は昨年の双十節における総統府前での記念式典で、「両岸人民は同じく中華民族に属する。両岸関係は国際関係ではない」と演説して物議を醸した。
昨年の双十節の演説で台湾と中国の一体性を強調した馬英九総統。台湾を中
国領土とする中華民国体制は中国の台湾併呑に正当性を与えることになる
それはそうだろう。「台湾にとって中国は同じ国であって外国ではない」と言ったのだから。しかし中華民国なるフィクション体制から見れば、その発言も正確ということになる。
それにしても民主化後、李登輝政権や陳水政権は懸命に、台湾と中国とは「国と国との関係」であり、「台湾は主権国家」であると内外にアピールし、中華民国の「台湾化」を推進してきたわけだが、そうした努力を無駄にしかねない発言である。おそらく中国出身の馬英九は中国統一に前向きなメッセージを中共に送りたかったのだろう。中共の台湾併呑に抵抗して血を流すより、中共に忠誠を尽くして自己保身を図りたいらしい。
まさに「投共売台」(中共に投降して台湾を売る)である。
■双十節を祝う日本の親台派の矛盾
今年の双十節にはどんな発言で侵略者の関心を買うかに注目が集まるが、さてその日に先立ち、すでに各国では台湾の在外公館による双十節祝賀の行事が行われており、七日には都内のホテルオークラで祝賀レセプションが盛大に開催される。
昨年のホテルオークラでの祝賀レセプション。「中華民国102年」などフィクショ
ン。これを台湾人に押し付ける中華民国体制の残酷さを知ろう
そこには在日台湾人や華僑の他、国会議員を含む各界の日本人も多数参加することだろう。
参加者はひところに比べてだいぶ増加したようだ。それは招待状の乱発のためとも言われるが、日台交流がそれほど盛んになったということでもあろう。東日本大震災以降の両国の友情の深まりもあるし、馬英九政権の台中宥和路線の結果、日台交流で中国の顔色を以前ほど伺う必要がなくなったとも指摘されている。
しかし中華民国体制を讃美する会合への参加が日台親善と言えるのかどうか。真に台湾に友情を示したいなら、むしろこのフィクション体制への不支持を表明するべきではないか。
中華民国体制の欺瞞、危険性を知り、そこからの脱却(台湾独立)を希求しながらも、それを許さない中共の恫喝や、国際社会の冷淡さに孤立感を深める台湾の民衆は大勢いる。その人々にエールを送るべきではないのか。
■震災後に増加した「純粋な親台派」に期待する
もっとも、祝賀レセプションをボイコットして、日本人の意志を台湾へ伝えようと訴える気はない。以前はそう呼び掛けたこともあったが、ほとんど効果がないことを学んだ。
そもそも日本の親台派には、台湾の公館からの招待を受けると、それを名誉と感じて有頂天になる傾向が目立つ。そうした心理は親中派の中国政府への迎合心理に通じるものがあると思う。
そして民進党政権時代には中華民国体制の打倒(台湾の独立建国)を訴えていた人々も、国民党政権の発足後に多くが転向し、今や祝賀レセプションに姿を現し、笑顔で乾杯する者も少なくない。人の信念、プライドとはこうも簡単に捨てられるのかとも驚いたが、自分の利害のためだけに動く人たちなら変幻自在は当然のことで、この類に多くを望んではいけないと知った。
そこで私が今後呼び掛けたいのは、このような旧来の自己利益優先の親台湾派ではなく、特に東日本大震災以降、純粋な思いで台湾を応援し、支持するようになった新しい親台湾層に対してだ。
「義捐金の恩返しに、台湾のために何かをしたい」との思う人々に、先ずは国民党のプロパガンダに騙されるなと訴えたい。
「台湾は主権国家」「台湾の将来は台湾人が決める」というのが台湾の主流民意なのだ。それを踏み躙ろうとする中華民国体制とは何なのかを考えてほしい。
台湾の前途は国民党でも、中共でもなく、台湾人自身が決めるものだ
【過去の関連記事】
祝っている場合ではない双十国慶節 07/04/18
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-51.html
台湾大使館の祝宴欠席を!ーもし本当の親台派なら 08/09/13
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-501.html
日本人は誤解禁物!台湾海峡は今も火薬庫 13/10/26
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2234.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓
モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php