習近平―尖閣は「核心的利益」と明言/阻止すべき米中「新型大国関係」時代の到来
2013/06/12/Wed
■米中首脳会談で釘を刺された習近平だが
「アジア太平洋地域の新秩序をめぐる『広く深い議論』(米政府高官)を重ね、信頼関係構築を図った」(中日新聞)とされる米中首脳会談(六月七、八日)。これについて、十一日の中日新聞社説は次のように総括した。
―――中国側が今回の会談で米側に求めたのは、世界の超大国・米国と「対等」であるとのお墨付きだ。習氏は「新しい形の大国関係構築を議論し、大統領と重要な合意に達した」と胸を張った。米中が対等な立場で国際問題を主導する「二大国時代」の到来を宣言したかったのだろう。
―――この試みは成就しなかった。大統領は「中国の平和的台頭が重要であり、それが世界の問題に中国が対等な立場で取り組むことにつながる」と、条件を付けたのだ。
一方、同日の産経新聞も以下のように伝えている。
―――「快挙を成し遂げた」。中国共産党機関紙、人民日報が10日付社説でこう論評するなど、中国メディアは習近平国家主席の訪米の成果をそろって強調した。しかし、尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海における周辺国との対立問題では、理解と配慮を求めた習主席にオバマ大統領は“ゼロ回答”で応じた。(中略)アジアにおける中国の孤立解消につなげることはできなかった。
―――尖閣諸島については(中略)オバマ大統領は「(日中)双方の当事者は事態を悪化させるのではなく、外交チャンネルを通じて対話を目指すべきだ」と主張。
―――習主席は対話を通じた問題の処理と解決を図る原則を示したものの、同時に「国家主権と領土は断固として守る」と改めて強調。議論は実質、平行線となった。
―――オバマ大統領は「東シナ海で(挑発的な)行動をとるべきではない」ともくぎを刺したという。
このようにオバマ大統領は中国側に対し、「シナ海や南シナ海における周辺国との対立問題」、すなわち中国の海洋覇権主義政策の問題で、しっかりと釘を刺した格好だ。
習主席が「アジアにおける中国の孤立解消につなげることはできなかった」というのは、日米などが推進する中国包囲網政策に風穴をあけ、新秩序建設を意味する「二大国時代」への道筋を付けるまでには至らなかったということだろう。
しかし、それはあくまで今の段階ではだ。
■東支那海は「中国の空間」とオバマにアピール
習主席は会談で「広い太平洋には中米両国を受け入れる十分な空間がある」と言い放っている(昨年のオバマ大統領との会見でも、そう伝えていた)。
これについて産経は九日、こう報じている。
―――習氏の狙いは、資源を求めて遠洋海軍の建設などを進める中国の拡張路線を米国に認めさせることにある。
―――外交・安全保障の新戦略であるリバランス(軍事力の再均衡)を打ち出しながら、習氏にこうした発言を許したのはオバマ氏の失点だ。
「オバマ氏の失点」というのは、オバマ氏もまた釘を刺されたということだ。
産経は同日の社説でも、次のように懸念する。
―――(唯一の超大国となった米国と急速に台頭した中国が)2国の世界支配に向かうことがあってはならない。
―――特に気になったのは、「太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」との習氏の発言だ。中国の海洋進出の野心が露骨に表れており、日本を含む太平洋の国々にとっては警戒すべきことだ。
―――「太平洋には」の発言が、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海が中国の空間だという意味なら、日本として看過できない。
残念ながら、発言は明らかに「尖閣諸島を含む東シナ海が中国の空間だ」という意味である。
習主席は「この会見は中米関係を発展させる青写真を描き、太平洋を跨いだ協力関係を開くため」とも続けていた。
つまり「太平洋には」の発言は、太平洋を米国の一極支配から米中分割支配へと切り替えようとのアピールであるに他ならない。それを見ても、中国の西太平洋への勢力伸長のルートとなる東支那海を「中国の空間」にしようとしているのは明らかだろう。
■これまでになく強固な尖閣奪取の意志表明
実際に習主席は尖閣諸島を、武力を用いてでも譲ることのできない利益を意味する「核心的利益だ」とも述べている(これに対してオバマ大統領が何と応じたかは伝えられていない)。
四月には中国の政府関係者として初めて外交部報道官が「中国の核心的利益」と明言し、その後はウェブサイトでの発言記録を曖昧な表現に修正するなどしているが、習主席の今回の発言は米国に対し、尖閣諸島奪取に向けた中国の強固な意志を、これまでにない強さで突き付けたものだ。
言い換えれば米国に対し、中国包囲網政策で米中間の火種を広げるか、それとも中国の海洋進出を容認し、両大国共存の新秩序建設に向かうかとの選択を迫ったのであり、今後も迫り続けることだろう。
■日本人は平和ボケ、敗北主義を捨てよ
前掲の中日社説は「いずれ訪れる米中『二強』時代に、日本としてどう臨むべきか。日米同盟、アジア重視、国連中心は日本外交の太い三本柱だが、思考停止に陥らず、創造的で、したたかな外交を探るしかあるまい」であるとか、「平和希求の理念を掲げ、独自の文化、技術に磨きをかけておきたい。本格的な高齢化社会を世界に先駆けて迎え、いずれ経済大国でなくなっても、国際社会から必要とされ、頼られる国でありたい」などと書いているが、まさに平和ボケの極みだ。今後訪れるかも知れない事態の深刻さを理解しておらず、危険な敗北主義とも言えそうだ。
米中「二強」時代とは、米中がアジア太平洋地域を分割管理する時代となるかも知れないのである。少なくとも中国は「新型大国時代」と呼び、その招来を目指している。東支那海、西太平洋が中国の支配下に置かれれば、日本は中国の内海に心許なく浮かぶ列島線と化し、あの国の勢力下に陥ることは必定である。
中国の影響の下で、何が「したたかな外交」「国際社会から必要とされ、頼られる国」か。中日新聞がすでに中国の影響下に置かれていると広く疑われるのにも、それなりに理由があるようだ。
日本の固有領土にして東支那海の軍事的要衝である尖閣諸島だけは断じて落とせない。
「思考停止に陥らず、創造的で、したたかな外交」を求めるというのなら、日米同盟の深化、アジア諸国との中国包囲網の強化、そして中国共産党政権の弱体化において求めるべきだ。
日本の国の尊厳、主権と国民の生命を守り抜くために。
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「アジア太平洋地域の新秩序をめぐる『広く深い議論』(米政府高官)を重ね、信頼関係構築を図った」(中日新聞)とされる米中首脳会談(六月七、八日)。これについて、十一日の中日新聞社説は次のように総括した。
―――中国側が今回の会談で米側に求めたのは、世界の超大国・米国と「対等」であるとのお墨付きだ。習氏は「新しい形の大国関係構築を議論し、大統領と重要な合意に達した」と胸を張った。米中が対等な立場で国際問題を主導する「二大国時代」の到来を宣言したかったのだろう。
―――この試みは成就しなかった。大統領は「中国の平和的台頭が重要であり、それが世界の問題に中国が対等な立場で取り組むことにつながる」と、条件を付けたのだ。
一方、同日の産経新聞も以下のように伝えている。
―――「快挙を成し遂げた」。中国共産党機関紙、人民日報が10日付社説でこう論評するなど、中国メディアは習近平国家主席の訪米の成果をそろって強調した。しかし、尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海における周辺国との対立問題では、理解と配慮を求めた習主席にオバマ大統領は“ゼロ回答”で応じた。(中略)アジアにおける中国の孤立解消につなげることはできなかった。
―――尖閣諸島については(中略)オバマ大統領は「(日中)双方の当事者は事態を悪化させるのではなく、外交チャンネルを通じて対話を目指すべきだ」と主張。
―――習主席は対話を通じた問題の処理と解決を図る原則を示したものの、同時に「国家主権と領土は断固として守る」と改めて強調。議論は実質、平行線となった。
―――オバマ大統領は「東シナ海で(挑発的な)行動をとるべきではない」ともくぎを刺したという。
このようにオバマ大統領は中国側に対し、「シナ海や南シナ海における周辺国との対立問題」、すなわち中国の海洋覇権主義政策の問題で、しっかりと釘を刺した格好だ。
習主席が「アジアにおける中国の孤立解消につなげることはできなかった」というのは、日米などが推進する中国包囲網政策に風穴をあけ、新秩序建設を意味する「二大国時代」への道筋を付けるまでには至らなかったということだろう。
しかし、それはあくまで今の段階ではだ。
■東支那海は「中国の空間」とオバマにアピール
習主席は会談で「広い太平洋には中米両国を受け入れる十分な空間がある」と言い放っている(昨年のオバマ大統領との会見でも、そう伝えていた)。
これについて産経は九日、こう報じている。
―――習氏の狙いは、資源を求めて遠洋海軍の建設などを進める中国の拡張路線を米国に認めさせることにある。
―――外交・安全保障の新戦略であるリバランス(軍事力の再均衡)を打ち出しながら、習氏にこうした発言を許したのはオバマ氏の失点だ。
「オバマ氏の失点」というのは、オバマ氏もまた釘を刺されたということだ。
産経は同日の社説でも、次のように懸念する。
―――(唯一の超大国となった米国と急速に台頭した中国が)2国の世界支配に向かうことがあってはならない。
―――特に気になったのは、「太平洋には両国を受け入れる十分な空間がある」との習氏の発言だ。中国の海洋進出の野心が露骨に表れており、日本を含む太平洋の国々にとっては警戒すべきことだ。
―――「太平洋には」の発言が、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海が中国の空間だという意味なら、日本として看過できない。
残念ながら、発言は明らかに「尖閣諸島を含む東シナ海が中国の空間だ」という意味である。
習主席は「この会見は中米関係を発展させる青写真を描き、太平洋を跨いだ協力関係を開くため」とも続けていた。
つまり「太平洋には」の発言は、太平洋を米国の一極支配から米中分割支配へと切り替えようとのアピールであるに他ならない。それを見ても、中国の西太平洋への勢力伸長のルートとなる東支那海を「中国の空間」にしようとしているのは明らかだろう。
■これまでになく強固な尖閣奪取の意志表明
実際に習主席は尖閣諸島を、武力を用いてでも譲ることのできない利益を意味する「核心的利益だ」とも述べている(これに対してオバマ大統領が何と応じたかは伝えられていない)。
四月には中国の政府関係者として初めて外交部報道官が「中国の核心的利益」と明言し、その後はウェブサイトでの発言記録を曖昧な表現に修正するなどしているが、習主席の今回の発言は米国に対し、尖閣諸島奪取に向けた中国の強固な意志を、これまでにない強さで突き付けたものだ。
言い換えれば米国に対し、中国包囲網政策で米中間の火種を広げるか、それとも中国の海洋進出を容認し、両大国共存の新秩序建設に向かうかとの選択を迫ったのであり、今後も迫り続けることだろう。
■日本人は平和ボケ、敗北主義を捨てよ
前掲の中日社説は「いずれ訪れる米中『二強』時代に、日本としてどう臨むべきか。日米同盟、アジア重視、国連中心は日本外交の太い三本柱だが、思考停止に陥らず、創造的で、したたかな外交を探るしかあるまい」であるとか、「平和希求の理念を掲げ、独自の文化、技術に磨きをかけておきたい。本格的な高齢化社会を世界に先駆けて迎え、いずれ経済大国でなくなっても、国際社会から必要とされ、頼られる国でありたい」などと書いているが、まさに平和ボケの極みだ。今後訪れるかも知れない事態の深刻さを理解しておらず、危険な敗北主義とも言えそうだ。
米中「二強」時代とは、米中がアジア太平洋地域を分割管理する時代となるかも知れないのである。少なくとも中国は「新型大国時代」と呼び、その招来を目指している。東支那海、西太平洋が中国の支配下に置かれれば、日本は中国の内海に心許なく浮かぶ列島線と化し、あの国の勢力下に陥ることは必定である。
中国の影響の下で、何が「したたかな外交」「国際社会から必要とされ、頼られる国」か。中日新聞がすでに中国の影響下に置かれていると広く疑われるのにも、それなりに理由があるようだ。
日本の固有領土にして東支那海の軍事的要衝である尖閣諸島だけは断じて落とせない。
「思考停止に陥らず、創造的で、したたかな外交」を求めるというのなら、日米同盟の深化、アジア諸国との中国包囲網の強化、そして中国共産党政権の弱体化において求めるべきだ。
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