台湾は米中の圧力に屈するなー住民投票を断固実施せよ
2007/08/30/Thu
■今中国が最も恐れているもの
中国が目下神経を尖らせて見ているのは、台湾で住民投票が実施されるか否かだ。それが行われれば、中国が軍事行動に出る危険性もある。そこで米国は長年の盟友である台湾に対し、露骨に反対の圧力をかけつつある。
陳水扁総統が行おうとしているのは、「台湾」名義での国連加盟の是非を問う住民投票である。実施予定日は来年三月の総統選挙当日。北京五輪を間近に控える中国は、総選挙を「台湾内部の問題」との位置づけで、軍事恫喝などの妨害行為は行わない方針を固めているとされるが、住民投票となれば話は別になる。
民意の自由な表明ほど、中国が恐れるものはない。中国の主要な武器は政治宣伝だが、これではそれに打ち勝つのは難しい。世界が台湾の民意を知ったとき、その国の存在、中国に隷属していない事実は大きくクローズアップされ、同情、支持が高まることとなる。かりに住民投票の投票率が五〇%を超えずに不成立に終わっても、それが実施されれば、今後も繰り返し行われることとなり、中国はそれを阻止するため、台湾への武力発動を規定する反国家分裂法を適用せざるを得なくなる。そこで軍事演習での恫喝を行うとの観測も出ているが、中国としては、そうしたことは五輪開催後に回したいと言うのが本音らしい。
中国の徐才厚中央軍委副主席は最近、「中国が目下最も焦慮しているのは、いかに国連加盟の住民投票を阻止するか。二番目はいかに台湾島内に宣伝を伝えるか(事態の厳重性を理解させるか)だ」と述べている。
■米国の露骨な反対を中国は評価
そのため、この台湾の民意表明には、中国だけでなく米国も恐れている。八月二十九日まで行われた陳水扁総統の中米訪問では、米国は専用機往復の給油地として、アラスカしか認めなかった。もちろんこれは台湾への警告、制裁と言う意味合いがあった。そこで陳総統はそれに抗議し、給油中は機内から一歩も出なかった。
八月二十七日にはグロポンテ国務副長官が香港の鳳凰テレビとのインタビューで、「米国は住民投票を、台湾独立の第一歩にして現状を変更するものと見ている。これは誤りだ」として、強い口調で反対を明言、台湾へ警告のメッセージを送りつけた。米国の立場はかねてより、台湾海峡両岸のどちらであれ、現状変更の動きには反対する」(戦争を引き起こす中国の台湾併合にも、台湾独立にも反対する)と表明しているのだが、この発言を受け中国の陳雲林・台湾工作弁公室主任は高く評価し、「台湾が住民投票を強行すれば空前の危機に陥るだろう」と言い放っている。そしてこれとほぼ時を同じくして、胡錦濤中央軍事委主席は、「中国軍の仕事はただ一つ。それは対台湾戦争だ」と語った。ここまで言ってのけたのは初めてである。
つまり米国は中国と「グル」と言うことだろうか。台湾ではそうした懸念や、米国への反撥が高まっている。
■米国の反台湾発言は言いがかりだ
グロポンテ発言を受け、台湾紙自由時報は三十日の社説で、「台湾が現状を破壊しようとしているとの指摘は、是非を転倒している。台湾が今進めているのは、国家を正常化であり、台湾が独立しているとの現状を破壊するものではない。それに対して中国はミサイルの照準を台湾に合わせ、武力侵略の可能性を示唆して台湾を恫喝しているのだから、これこそ現状破壊行為だ。そのような簡単なことも米国はわからないのか」と反論している。大陸委員会も「中国は反国家分裂法第八条が規定する非平和的方法で台湾問題を解決しようとしている。中国こそがトラブルメーカーだ」と反撥した。これらが指摘するものは、誰も否定できない事実だろう。米国は明らかに言いがかりをつけているのだ。
黄志芳外交部長は「台湾の民衆が、国連加盟の希望を表明することは現状変更とは関係がない。国務副長官のコメントはまったく理解できない」とし、米国の警告を拒否する構えだ。陳景峻行政院秘書長も同様だ。「米国は過敏になりすぎだ。これは台湾民主の理想と目標の問題であり、何の誤りもない」と強調する。
最近の調査では、台湾国民の七三%が「台湾」名義での国連加盟に賛成している。もちろん親中の国民党ですら、この点においては同様だ。同党スポークスマン蘇俊賓も「台湾は経済力、人民のレベル、民主化の成熟度など、世界でも先進水準に達しているのに国連に加盟できないと言うことを、世界は認識するべきだ」と訴えた。
■ここで諦めたら不利に陥る
米国がここまで台湾に圧力をかけようとするのは、もちろん中国の要求圧力を受けてのものだ。その意味では、米中は実際に「グル」である。それであるならば台湾も、米国に対して「民主主義カード」「反侵略カード」で米国に圧力をかける以外にないだろう。こうして米国が中国に配慮している間でも、中国による台湾海峡の現状破壊の動きは着々と進んでいるのだ。米国にいかに台湾防衛の意思はあっても、必ずしも防衛し切れるとは限らない。
台湾が米国の圧力、中国の恫喝に屈することなく、初志を貫徹することを祈る。「台湾は中国の一部ではない。台湾は台湾人の国だ」との声を世界に届けるためにも、ここは踏ん張りどころとなるだろう。もしここで諦めたら、台湾の国連加盟の正当性を、自ら否定することになり、中国の台湾侵略の野心を助長するだけだ。
また米国は台湾ではなく、「対台湾戦争」を明言する中国の動きを抑止するべきなのだ。今台湾防衛で必要なのは、台湾を自重させることではなく、それを国際社会の関心の下に置くことである。そのためには住民投票はどうしても実施させなくてはならない。そしていつの日かは国連加盟も達成させなくてはならない。
*********************************************
↑ ↑
よろしければクリックをお願いします。
運動を拡大したいので。
中国が目下神経を尖らせて見ているのは、台湾で住民投票が実施されるか否かだ。それが行われれば、中国が軍事行動に出る危険性もある。そこで米国は長年の盟友である台湾に対し、露骨に反対の圧力をかけつつある。
陳水扁総統が行おうとしているのは、「台湾」名義での国連加盟の是非を問う住民投票である。実施予定日は来年三月の総統選挙当日。北京五輪を間近に控える中国は、総選挙を「台湾内部の問題」との位置づけで、軍事恫喝などの妨害行為は行わない方針を固めているとされるが、住民投票となれば話は別になる。
民意の自由な表明ほど、中国が恐れるものはない。中国の主要な武器は政治宣伝だが、これではそれに打ち勝つのは難しい。世界が台湾の民意を知ったとき、その国の存在、中国に隷属していない事実は大きくクローズアップされ、同情、支持が高まることとなる。かりに住民投票の投票率が五〇%を超えずに不成立に終わっても、それが実施されれば、今後も繰り返し行われることとなり、中国はそれを阻止するため、台湾への武力発動を規定する反国家分裂法を適用せざるを得なくなる。そこで軍事演習での恫喝を行うとの観測も出ているが、中国としては、そうしたことは五輪開催後に回したいと言うのが本音らしい。
中国の徐才厚中央軍委副主席は最近、「中国が目下最も焦慮しているのは、いかに国連加盟の住民投票を阻止するか。二番目はいかに台湾島内に宣伝を伝えるか(事態の厳重性を理解させるか)だ」と述べている。
■米国の露骨な反対を中国は評価
そのため、この台湾の民意表明には、中国だけでなく米国も恐れている。八月二十九日まで行われた陳水扁総統の中米訪問では、米国は専用機往復の給油地として、アラスカしか認めなかった。もちろんこれは台湾への警告、制裁と言う意味合いがあった。そこで陳総統はそれに抗議し、給油中は機内から一歩も出なかった。
八月二十七日にはグロポンテ国務副長官が香港の鳳凰テレビとのインタビューで、「米国は住民投票を、台湾独立の第一歩にして現状を変更するものと見ている。これは誤りだ」として、強い口調で反対を明言、台湾へ警告のメッセージを送りつけた。米国の立場はかねてより、台湾海峡両岸のどちらであれ、現状変更の動きには反対する」(戦争を引き起こす中国の台湾併合にも、台湾独立にも反対する)と表明しているのだが、この発言を受け中国の陳雲林・台湾工作弁公室主任は高く評価し、「台湾が住民投票を強行すれば空前の危機に陥るだろう」と言い放っている。そしてこれとほぼ時を同じくして、胡錦濤中央軍事委主席は、「中国軍の仕事はただ一つ。それは対台湾戦争だ」と語った。ここまで言ってのけたのは初めてである。
つまり米国は中国と「グル」と言うことだろうか。台湾ではそうした懸念や、米国への反撥が高まっている。
■米国の反台湾発言は言いがかりだ
グロポンテ発言を受け、台湾紙自由時報は三十日の社説で、「台湾が現状を破壊しようとしているとの指摘は、是非を転倒している。台湾が今進めているのは、国家を正常化であり、台湾が独立しているとの現状を破壊するものではない。それに対して中国はミサイルの照準を台湾に合わせ、武力侵略の可能性を示唆して台湾を恫喝しているのだから、これこそ現状破壊行為だ。そのような簡単なことも米国はわからないのか」と反論している。大陸委員会も「中国は反国家分裂法第八条が規定する非平和的方法で台湾問題を解決しようとしている。中国こそがトラブルメーカーだ」と反撥した。これらが指摘するものは、誰も否定できない事実だろう。米国は明らかに言いがかりをつけているのだ。
黄志芳外交部長は「台湾の民衆が、国連加盟の希望を表明することは現状変更とは関係がない。国務副長官のコメントはまったく理解できない」とし、米国の警告を拒否する構えだ。陳景峻行政院秘書長も同様だ。「米国は過敏になりすぎだ。これは台湾民主の理想と目標の問題であり、何の誤りもない」と強調する。
最近の調査では、台湾国民の七三%が「台湾」名義での国連加盟に賛成している。もちろん親中の国民党ですら、この点においては同様だ。同党スポークスマン蘇俊賓も「台湾は経済力、人民のレベル、民主化の成熟度など、世界でも先進水準に達しているのに国連に加盟できないと言うことを、世界は認識するべきだ」と訴えた。
■ここで諦めたら不利に陥る
米国がここまで台湾に圧力をかけようとするのは、もちろん中国の要求圧力を受けてのものだ。その意味では、米中は実際に「グル」である。それであるならば台湾も、米国に対して「民主主義カード」「反侵略カード」で米国に圧力をかける以外にないだろう。こうして米国が中国に配慮している間でも、中国による台湾海峡の現状破壊の動きは着々と進んでいるのだ。米国にいかに台湾防衛の意思はあっても、必ずしも防衛し切れるとは限らない。
台湾が米国の圧力、中国の恫喝に屈することなく、初志を貫徹することを祈る。「台湾は中国の一部ではない。台湾は台湾人の国だ」との声を世界に届けるためにも、ここは踏ん張りどころとなるだろう。もしここで諦めたら、台湾の国連加盟の正当性を、自ら否定することになり、中国の台湾侵略の野心を助長するだけだ。
また米国は台湾ではなく、「対台湾戦争」を明言する中国の動きを抑止するべきなのだ。今台湾防衛で必要なのは、台湾を自重させることではなく、それを国際社会の関心の下に置くことである。そのためには住民投票はどうしても実施させなくてはならない。そしていつの日かは国連加盟も達成させなくてはならない。
*********************************************
↑ ↑
よろしければクリックをお願いします。
運動を拡大したいので。