台湾人の孤軍奮闘に声援を送れー注目すべき「正常国家決議文」
2007/08/27/Mon
■総統選挙は中国人との戦い
来年三月、台湾では国内だけでなく、東アジア情勢全体に大きな影響を及ぼす台湾総統選挙が行われる。まさに「天下分け目の関が原」であるが、黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席は昨日都内で行った講演で、「日本人同士の内戦だった関が原とは違い、総統選挙は台湾人と中国人との戦いだ」と言っていた。
それはその通りだろう。この選挙を民進党と国民党と言う二つの政党同士の争いと言うだけで見ることは許されない。戦後台湾は「中華民国」と言う蒋介石・蒋経国の国民党の殖民国家となり、台湾人は中国人専制の下に置かれた。そして蒋経国死後の九〇年代から民主化が行われた。これを中国人に言わせれば、台湾人李登輝が体制を分捕った。そうしたなかでの一九九六年、ついに台湾人による総統直接選挙が行われ、二〇〇〇年には民進党への政権交替もあり、殖民国家体制は終焉へと向かい出した。その政権を取り戻そうと、国民党が全力を傾注しようと言うのが今度の総統選挙なのである。
ちなみに国民党の意識形態は殖民国家時代のそれと基本的には変わっていない。台湾人に天下を簒奪された屈辱感から、この選挙を「中華民国体制」防衛、強化の戦いと位置付けている。もちろんこの殖民国家体制は「台湾は中国の一部」との前提の上で成り立つものだ。もちろん同党の最終目標は「中国統一」である。今日「統一」と言えば、国民党主導の「大陸反攻」「三民主義統一中国」などではなく、中国主導の「一国両制」以外には考えられないだろう。
■殖民国家の悲哀を捨てろ
だが殖民国家に生きる者たちの悲哀だろうか、台湾人の多くは、こうした対立構図の意味合いを理解できないでいる。まず国民党の反台湾体質への危機感が稀薄だ。かりにそれに気がついていても、戦おうとはしないのだ。それは同党との利害関係もあれば、かつての専制政治の恐怖心も拭えきれていないこともある。そしてさらには国民党の背後にある中国も恐ろしい。有史以来、つねに外来政権に支配されてきた台湾人には、まだまだ国の主としての意識が足りないのだ。
その点において、李登輝氏に代表される老世代の意識は大分異なる。彼らは日本時代との比較において中国人の殖民支配の不条理を見抜ききっているし、そもそもかつての日本国民として、国の主とは何か、国民の義務とは何かをよく知っている。しかしそれに比べて今日の若い世代は、国民党の中国人化教育によって、意識、判断力の混乱が目立っている。
そこで民進党は、この選挙戦が「何のための戦いであるのか」を教えるため、目下「正常国家決議文」の策定を進め、九月にも採決、発表する予定だ。
■台湾人意識と国家の正常化
その草案によると、「台湾は主権独立国家であり、中華人民共和国とはお互いに隷属していない」「台湾の主権は国民全体に帰属する」「独立状態の変更に関しては、必ず台湾の全国民による公民投票を経て決定されなくてはならない」「国号は正しく台湾とされるべきで、政府は台湾新憲法を制定し、主権在民と憲政民主の精神を定着させなくてはならない」と謳い、さらには「台湾は世界各国と対等な外交関係を打ちたて、中国との関係を正常化し、国連などの国際社会に加入しなければならない」「政府は台湾を主体とした教育文化政策を行い、母語文化を重視しなければならない」等々にも言及することになるらしい。
要するに殖民国家体制の残滓を徹底的に払拭し、国家を正常化することを訴えようと言うわけだ。
この決議文が狙うのは、この十数年間で高揚しつつある台湾人意識への訴えだ。民主化の開始時点でほとんどが「自分は中国人だ」と言っていた台湾人は、今では六割以上が「自分は台湾人だ。中国人ではない」と考えるに至っているのである。人口の二割を占める中国人を差し引けば、かなりの数値にまで来ていることがわかる。
だが民進党内では、決議文の内容を巡って激しい論争が起こっている。とくに「国号変更」「新憲法制定」の挿入に関しては、国民党やそれに連なるメディアの反撥、さらには中国の恫喝が予想され、選挙民もついてこないのではないかと危惧する声が大きいのだ。
■勇気がなければ中国人には勝てない
つまり「殖民国家住民の悲哀」は、民進党内でも見られると言うことだ。しかしいつまでも中国人勢力に配慮して、ズルズルとそのペースにはまって行くことは愚の骨頂である。
世界の新興国家の多くの建国は流血を伴うものだった。台湾人も勇気を奮い立たせ、断固として戦い抜くとの気概を持たなければ、とても中国人勢力には歯が立たない。何しろ彼らは、台湾人に天下を奪い取られたことへの屈辱と憎悪でいきり立ちながら向かって来ているのだ。
民進党は総統選挙とともに、加盟問題に関する公民投票を行い、「台湾人の意思」を結集し、それを世界に向けて発信する意向である。そこで九月には決議文採択のほか、国連加盟を訴える百万人デモの実施も計画中だ。
孤立無援の中での台湾人の中国人との奮戦は、東アジアの平和と安定のための戦いとなっている。その戦い方いかんによっては、やはり惰眠を貪る隣の日本人の心をも動かすことになるかも知れない。
その奮闘に心から声援を送りたい。
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来年三月、台湾では国内だけでなく、東アジア情勢全体に大きな影響を及ぼす台湾総統選挙が行われる。まさに「天下分け目の関が原」であるが、黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席は昨日都内で行った講演で、「日本人同士の内戦だった関が原とは違い、総統選挙は台湾人と中国人との戦いだ」と言っていた。
それはその通りだろう。この選挙を民進党と国民党と言う二つの政党同士の争いと言うだけで見ることは許されない。戦後台湾は「中華民国」と言う蒋介石・蒋経国の国民党の殖民国家となり、台湾人は中国人専制の下に置かれた。そして蒋経国死後の九〇年代から民主化が行われた。これを中国人に言わせれば、台湾人李登輝が体制を分捕った。そうしたなかでの一九九六年、ついに台湾人による総統直接選挙が行われ、二〇〇〇年には民進党への政権交替もあり、殖民国家体制は終焉へと向かい出した。その政権を取り戻そうと、国民党が全力を傾注しようと言うのが今度の総統選挙なのである。
ちなみに国民党の意識形態は殖民国家時代のそれと基本的には変わっていない。台湾人に天下を簒奪された屈辱感から、この選挙を「中華民国体制」防衛、強化の戦いと位置付けている。もちろんこの殖民国家体制は「台湾は中国の一部」との前提の上で成り立つものだ。もちろん同党の最終目標は「中国統一」である。今日「統一」と言えば、国民党主導の「大陸反攻」「三民主義統一中国」などではなく、中国主導の「一国両制」以外には考えられないだろう。
■殖民国家の悲哀を捨てろ
だが殖民国家に生きる者たちの悲哀だろうか、台湾人の多くは、こうした対立構図の意味合いを理解できないでいる。まず国民党の反台湾体質への危機感が稀薄だ。かりにそれに気がついていても、戦おうとはしないのだ。それは同党との利害関係もあれば、かつての専制政治の恐怖心も拭えきれていないこともある。そしてさらには国民党の背後にある中国も恐ろしい。有史以来、つねに外来政権に支配されてきた台湾人には、まだまだ国の主としての意識が足りないのだ。
その点において、李登輝氏に代表される老世代の意識は大分異なる。彼らは日本時代との比較において中国人の殖民支配の不条理を見抜ききっているし、そもそもかつての日本国民として、国の主とは何か、国民の義務とは何かをよく知っている。しかしそれに比べて今日の若い世代は、国民党の中国人化教育によって、意識、判断力の混乱が目立っている。
そこで民進党は、この選挙戦が「何のための戦いであるのか」を教えるため、目下「正常国家決議文」の策定を進め、九月にも採決、発表する予定だ。
■台湾人意識と国家の正常化
その草案によると、「台湾は主権独立国家であり、中華人民共和国とはお互いに隷属していない」「台湾の主権は国民全体に帰属する」「独立状態の変更に関しては、必ず台湾の全国民による公民投票を経て決定されなくてはならない」「国号は正しく台湾とされるべきで、政府は台湾新憲法を制定し、主権在民と憲政民主の精神を定着させなくてはならない」と謳い、さらには「台湾は世界各国と対等な外交関係を打ちたて、中国との関係を正常化し、国連などの国際社会に加入しなければならない」「政府は台湾を主体とした教育文化政策を行い、母語文化を重視しなければならない」等々にも言及することになるらしい。
要するに殖民国家体制の残滓を徹底的に払拭し、国家を正常化することを訴えようと言うわけだ。
この決議文が狙うのは、この十数年間で高揚しつつある台湾人意識への訴えだ。民主化の開始時点でほとんどが「自分は中国人だ」と言っていた台湾人は、今では六割以上が「自分は台湾人だ。中国人ではない」と考えるに至っているのである。人口の二割を占める中国人を差し引けば、かなりの数値にまで来ていることがわかる。
だが民進党内では、決議文の内容を巡って激しい論争が起こっている。とくに「国号変更」「新憲法制定」の挿入に関しては、国民党やそれに連なるメディアの反撥、さらには中国の恫喝が予想され、選挙民もついてこないのではないかと危惧する声が大きいのだ。
■勇気がなければ中国人には勝てない
つまり「殖民国家住民の悲哀」は、民進党内でも見られると言うことだ。しかしいつまでも中国人勢力に配慮して、ズルズルとそのペースにはまって行くことは愚の骨頂である。
世界の新興国家の多くの建国は流血を伴うものだった。台湾人も勇気を奮い立たせ、断固として戦い抜くとの気概を持たなければ、とても中国人勢力には歯が立たない。何しろ彼らは、台湾人に天下を奪い取られたことへの屈辱と憎悪でいきり立ちながら向かって来ているのだ。
民進党は総統選挙とともに、加盟問題に関する公民投票を行い、「台湾人の意思」を結集し、それを世界に向けて発信する意向である。そこで九月には決議文採択のほか、国連加盟を訴える百万人デモの実施も計画中だ。
孤立無援の中での台湾人の中国人との奮戦は、東アジアの平和と安定のための戦いとなっている。その戦い方いかんによっては、やはり惰眠を貪る隣の日本人の心をも動かすことになるかも知れない。
その奮闘に心から声援を送りたい。
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