日中・米中関係は冷戦時代の産物だー急務となる台湾との同盟
2007/08/26/Sun
■米下院決議が語る対台湾関係の現状
米下院は六月二十六日、台湾高官の訪米制限解除を求める決議案を可決した。それは、すべての台湾高官の訪米規制の一律解除の他、米国政府閣僚と対等な台湾高官との直接交流、関係強化を呼びかけ、軍事問題での米国指導者の台湾政府との直接対話や、外交上孤立する台湾に手を差し伸べることの必要性を訴えるものである。
提案したシャボット議員は「台湾の民主選挙によって選出された高官(総統を含む)が米国の首都を訪問できないのに、独裁の中国共産党の指導者は赤絨毯の国賓待遇を受けていることは、きわめて不合理なことだ」「米国の今日の政策は大事な盟邦、重要な貿易パートナーである民主主義国家台湾への侮辱であり、世界の国に誤ったメッセージを与えることになる」と話している。
このような決議がわざわざ可決されなくてはならなかったのは、米国政府が台湾の総統、副総統、行政院長などの入国は、トランジット以外は認めておらず、外交部長も入国は認めるが、首都ワシントンの訪問を許していないからだ。
■愚直すぎる日米の配慮
一方日本政府になると、総統、副総統、行政院長、外交部長、国防部長の入国を認めていない。前総統の李登輝まで、中国の非難を受けて入国許可を渋ったほどだ。
また日本側も政府高官の台湾訪問は自粛している。外務省は八〇年からは課長職以上の国家公務員の台湾派遣を禁止する内規を定めた。
そうしたなかでも二〇〇六年八月、宮腰光寛農水副大臣が訪台した。本人も外務省も、「議員としての私的な訪問」と説明したが、そうしなければ日台間の漁業権争いがいつまでたっても解決できないからだ。課長以上の渡航禁止の内規も二〇〇二年に撤廃した。密接な両国関係を処理していくには、あまりにも馬鹿げた禁止令だったわけだ。
日本も米国も台湾との断交以降は、台湾とは非政府間の実務関係だけを維持する方針であることはわかるが、あまりにも愚直と言うか、大袈裟だ。台湾総統の入国を認めたところで、台湾政府の承認になるわけがない。
ここまで不合理な措置を両国が採っているのは、もちろん中国への配慮である。たとえば中国は昨年、すでに首相を退任している森善朗氏が訪台し、陳水扁総統と会見し、受勲したことだけでも、「日本政府は台湾独立勢力といかなる政治的往来もしてはならない」と激しく非難するくらいだから、日本としては何もできない。
■日中・米中関係の本質は台湾問題
日米が台湾との断交、つまり中国との国交正常化後、ここまで中国の言いなりにならなくてはならない理由は、日中、日米の外交関係の本質に求められる。
そもそも中国から見ればそれらには、日米に台湾を放棄させると言う大きな狙いがあるのである。日米と国交を正常化するに際し、わざわざ台湾問題を中心とした声明、コミュニケを発表したのもそのためだ。それらにおいて中国は、台湾は不可分の領土だとの立場を表明し、それに対して日米は。そうした事実に反した主張は容認しなかったものの、国交を結ぶためにやむを得ず。中国の立場を「理解し尊重する」だとか「認識する」などと表明せざるを得なかった。そしてこうした文書が「証文」となり、日米に圧力をかけるのに利用されているわけである。いつも中国政府が「日中共同声明を忘れるな」「米中共同コミュニケを遵守しろ」と迫るのがそれである。
そしてそれを受けて日米は、台湾の取り扱いで、つねに中国にビクビクし、不条理なことをやらざるを得なくなっているのだ。それもこれもすべて、日中関係を維持するために。
だが、ここまで中国に配慮する対中関係は、もともとは冷戦時代の産物である。米国などはソ連に対抗するために、戦略的要衝である台湾を捨てて中国と国交を結んだのだった。そして中国との貿易拡大などを求めた日本は、そのような米中接近の動きを見て、国交樹立に踏み込んのだわけだ。だがすでにソ連が崩壊した以上、もはや日米にはそこまで中国にペコペコする必要はなくなったのだが、それでもそれを止めることができないのは、中国の軍拡と言う新たな局面のためである。
■情勢は日台米同盟を求めている
ソ連崩壊で中国軍は、新たな軍事目標を台湾攻略に定め、軍の近代化に乗り出したのだ。その軍拡は当然、台湾防衛の決意を捨てていない米国にも向けられている。だから米国はうっかり中国を怒らすことができなくなった。台湾海峡での中国ミサイル演習で、中国が本気で戦争を仕掛けかねないと思い知るや、米国はさらにいっそう中国に気をつかい、台湾に関する「三つのノー」まで表明する始末だった。もちろん日本に至っては、中国の動きに何らなす術もない。
中国の軍拡は止まるところを知らず、その脅威は台湾を越え、西太平洋にまで及ぼうとしている。その海域を守る日米同盟にも、中国は「アジアを不安定にさせるものだ」として、反対を唱えている。冷戦時代はソ連を牽制するため日米安保を容認していた中国だが、いまではここまで日米との対決姿勢に転じているのである。
ソ連は崩壊して冷戦は終わったのだ。それなのに日米は、なおも中国に配慮しつづけなければならないのか。
かつてソ連を牽制するため中国と結んだように、これからは中国に対抗するため日米台の攻守同盟を結ばなくてはならない。台湾を支えなければ、西太平洋は中国の勢力下に落ちかねない。
だが台湾問題における今のような思考停止状態では、台湾との軍事交流すらままならないだろう。対中国関係は、抜本から改変させなければならないのだ。中国が一方的に変化したのだから、それはあたりまえだ。
その意味で、今回の米下院の決議が示唆するものは大きい。日本もまた、日中関係の見直しを行い、台湾との関係のあり方に思考を巡らすべきである。今や「日中友好」などは、日中関係の中国主導を隠蔽するための美名にしかすぎない。
*********************************************
↑ ↑
よろしければクリックをお願いします。
運動を拡大したいので。
米下院は六月二十六日、台湾高官の訪米制限解除を求める決議案を可決した。それは、すべての台湾高官の訪米規制の一律解除の他、米国政府閣僚と対等な台湾高官との直接交流、関係強化を呼びかけ、軍事問題での米国指導者の台湾政府との直接対話や、外交上孤立する台湾に手を差し伸べることの必要性を訴えるものである。
提案したシャボット議員は「台湾の民主選挙によって選出された高官(総統を含む)が米国の首都を訪問できないのに、独裁の中国共産党の指導者は赤絨毯の国賓待遇を受けていることは、きわめて不合理なことだ」「米国の今日の政策は大事な盟邦、重要な貿易パートナーである民主主義国家台湾への侮辱であり、世界の国に誤ったメッセージを与えることになる」と話している。
このような決議がわざわざ可決されなくてはならなかったのは、米国政府が台湾の総統、副総統、行政院長などの入国は、トランジット以外は認めておらず、外交部長も入国は認めるが、首都ワシントンの訪問を許していないからだ。
■愚直すぎる日米の配慮
一方日本政府になると、総統、副総統、行政院長、外交部長、国防部長の入国を認めていない。前総統の李登輝まで、中国の非難を受けて入国許可を渋ったほどだ。
また日本側も政府高官の台湾訪問は自粛している。外務省は八〇年からは課長職以上の国家公務員の台湾派遣を禁止する内規を定めた。
そうしたなかでも二〇〇六年八月、宮腰光寛農水副大臣が訪台した。本人も外務省も、「議員としての私的な訪問」と説明したが、そうしなければ日台間の漁業権争いがいつまでたっても解決できないからだ。課長以上の渡航禁止の内規も二〇〇二年に撤廃した。密接な両国関係を処理していくには、あまりにも馬鹿げた禁止令だったわけだ。
日本も米国も台湾との断交以降は、台湾とは非政府間の実務関係だけを維持する方針であることはわかるが、あまりにも愚直と言うか、大袈裟だ。台湾総統の入国を認めたところで、台湾政府の承認になるわけがない。
ここまで不合理な措置を両国が採っているのは、もちろん中国への配慮である。たとえば中国は昨年、すでに首相を退任している森善朗氏が訪台し、陳水扁総統と会見し、受勲したことだけでも、「日本政府は台湾独立勢力といかなる政治的往来もしてはならない」と激しく非難するくらいだから、日本としては何もできない。
■日中・米中関係の本質は台湾問題
日米が台湾との断交、つまり中国との国交正常化後、ここまで中国の言いなりにならなくてはならない理由は、日中、日米の外交関係の本質に求められる。
そもそも中国から見ればそれらには、日米に台湾を放棄させると言う大きな狙いがあるのである。日米と国交を正常化するに際し、わざわざ台湾問題を中心とした声明、コミュニケを発表したのもそのためだ。それらにおいて中国は、台湾は不可分の領土だとの立場を表明し、それに対して日米は。そうした事実に反した主張は容認しなかったものの、国交を結ぶためにやむを得ず。中国の立場を「理解し尊重する」だとか「認識する」などと表明せざるを得なかった。そしてこうした文書が「証文」となり、日米に圧力をかけるのに利用されているわけである。いつも中国政府が「日中共同声明を忘れるな」「米中共同コミュニケを遵守しろ」と迫るのがそれである。
そしてそれを受けて日米は、台湾の取り扱いで、つねに中国にビクビクし、不条理なことをやらざるを得なくなっているのだ。それもこれもすべて、日中関係を維持するために。
だが、ここまで中国に配慮する対中関係は、もともとは冷戦時代の産物である。米国などはソ連に対抗するために、戦略的要衝である台湾を捨てて中国と国交を結んだのだった。そして中国との貿易拡大などを求めた日本は、そのような米中接近の動きを見て、国交樹立に踏み込んのだわけだ。だがすでにソ連が崩壊した以上、もはや日米にはそこまで中国にペコペコする必要はなくなったのだが、それでもそれを止めることができないのは、中国の軍拡と言う新たな局面のためである。
■情勢は日台米同盟を求めている
ソ連崩壊で中国軍は、新たな軍事目標を台湾攻略に定め、軍の近代化に乗り出したのだ。その軍拡は当然、台湾防衛の決意を捨てていない米国にも向けられている。だから米国はうっかり中国を怒らすことができなくなった。台湾海峡での中国ミサイル演習で、中国が本気で戦争を仕掛けかねないと思い知るや、米国はさらにいっそう中国に気をつかい、台湾に関する「三つのノー」まで表明する始末だった。もちろん日本に至っては、中国の動きに何らなす術もない。
中国の軍拡は止まるところを知らず、その脅威は台湾を越え、西太平洋にまで及ぼうとしている。その海域を守る日米同盟にも、中国は「アジアを不安定にさせるものだ」として、反対を唱えている。冷戦時代はソ連を牽制するため日米安保を容認していた中国だが、いまではここまで日米との対決姿勢に転じているのである。
ソ連は崩壊して冷戦は終わったのだ。それなのに日米は、なおも中国に配慮しつづけなければならないのか。
かつてソ連を牽制するため中国と結んだように、これからは中国に対抗するため日米台の攻守同盟を結ばなくてはならない。台湾を支えなければ、西太平洋は中国の勢力下に落ちかねない。
だが台湾問題における今のような思考停止状態では、台湾との軍事交流すらままならないだろう。対中国関係は、抜本から改変させなければならないのだ。中国が一方的に変化したのだから、それはあたりまえだ。
その意味で、今回の米下院の決議が示唆するものは大きい。日本もまた、日中関係の見直しを行い、台湾との関係のあり方に思考を巡らすべきである。今や「日中友好」などは、日中関係の中国主導を隠蔽するための美名にしかすぎない。
*********************************************
↑ ↑
よろしければクリックをお願いします。
運動を拡大したいので。