「頑張れ日本!」の台湾応援集会を非難した学者・久保田信之先生はどこの味方か
2012/01/23/Mon
■国民党政権二期目で日本の親台派に変化か
台湾の総統選挙では国民党が勝利。いよいよ二期目に入る同党政権の対日宣伝工作も、ますます勢いづくものと思われる中、民進党支持者が多い日本の親台派の人々は、この情勢にどう対応するのだろうか。
民進党政権時代(二〇〇〇-二〇〇八)には、大方は李登輝氏や民進党の建国路線、本土化(台湾化)路線を支持していたものだった。だが〇八年に国民党が政権を奪還すると、たとえば我々のような反国民党の台湾建国応援グループに対し、親台派の間から批判、誹謗の声が出始めた。
もちろんそのような「寝返り」に出たのには、国民党と付き合わなければならない等々、止むを得ない事情もあったのだろう。
まあ世の中など、そのようなものだ。我々の活動に大きな支障を来たさない程度なら、一応みなで警戒はするけれども、取り敢えずは放って置けということになっているわけだが、二期目となるとどうだろう。
私は早くから「二期目に入ったら、きっと批判に回る人は増えるよ」などと周囲に予告していたものだが、早くもそれが的中した感じなのだ。
本一月二十三日付の世界日報のオピニオン欄に掲載された「台湾に自重互敬の心で対せ」と題する論文を読み、そう思った。
筆者は久保田信之氏(NPO法人修学院院長・アジア太平洋学会代表理事)。親台派学者として知られ、たしか民進党時代当時、学習院女子大学の教授だったこの人は、李登輝元総統サイドと交流を続けていた。私もそのころ、台湾の李登輝学校に一緒に参加したことがある。チャンネル桜でも番組を持っていたこともあるなど、決して反日左翼などではない。
論文の副題は「自称『親台派』は反省を」。
この「自称『親台派』」とは、我々「頑張れ日本!全国行動委員会」のことである。
隣国・台湾を心から親しみ、応援してきたこの「親台湾」グループに、わざわざ「自称」などというレッテルを貼り、「この勢力は本当は親台湾などではない嘘つきどもだ」といった印象を、メディアを通じてばら撒いたわけだ。
そこまで大胆な誹謗行為に敢えて出たのはなぜなのか。きっと久保田氏にはよほどの理由、目的があるのだろう。
それを探ってみたい。
■誰かに書かされたような不自然さも
論文が批判する対象は、「頑張れ日本」が総統選挙の投票日である一月十四日、都内で開催した「頑張れ!民主台湾・東京集会」である。その模様はインターネット中継を通じ、台湾にも届けられ、台湾人には好評だったのだが、久保田氏は次のように書いている。
―――彼らは、台湾で選挙が実施される14日に、渋谷公園および代々木公園に集結するよう呼びかけたが、一つの大きな趣旨に、中国の圧力から国を守ろうとする「愛国心」があったことは国旗を掲げることを要求したことに明らかだろう。
―――中国の危険な野望に迎合しようとしている馬英九氏の再選を阻止するよう「台湾人に良識ある判断を求めるのだ」とか「台湾は孤立していない。日本国民は共にあり、をしっかりと認識してもらう」ために、さらには「選挙結果がどうあれ、今後ますます拡大する中国の脅威の前における日台関係の強化を訴える」ためにわれわれは今回、このような示威行動をとるのだと主張し、この模様は「インターネットで台湾に向け、実況生放送をするのだ」と表明したのである。
書いてあることは、「示威行動をとる」と言う部分以外はほぼ事実と符合しているが、こうした活動のいったい何について「反省を」と言っているのかがわからない。
「中国の圧力から国を守ろうとする」のが悪いのか。「台湾は孤立していない」とアピールするのが気に食わないのか。「日台関係の強化を訴える」ことを止めろと言うのか。
そもそも久保田氏は、本心からこれらを問題にしているのだろうか。
要するに書き方が不自然なのだ。そしてその不自然さから、誰かに「書け」と頼まれて書いた、あるいはその誰かの歓心を買おうとして書いた批判文ではないかと想像したりするのだ。
「誰か」というのは、我々が「中国の危険な野望に迎合しようとしている馬英九氏の再選を阻止」しようとしたことに怒っている国民党か何かだ。
「こいつらは今後邪魔だから、何が何でも悪者にしろ」とでも頼まれたか。そしてその過程で、「自称・親台派」との呼称も生まれたか。
日本の「親台派」を「親国民党派」に変えるのが国民党の対日宣伝工作だが、そんなもの引っかからない我々は「自称・親台派」となるわけだろうか、などと想像しているところだ。
■「頑張れ日本」と民進党との関係を疑うのは何故
台湾への友情メッセージが送られた感動的集会だったが…
それから、こんなことも書いてあった。
ーーー「棄馬保台」(馬英九氏を捨て去り、台湾を防衛しよう)、さらには「棄中保台」(中国を破棄して台湾を守ろう)と言った標語をかざして、「国民党が勝利すれば、台湾が、住民の意思に反して中国に併呑される」とか「中国の勢力はさまざまなルートで台湾に入り込み、威圧、恐喝、利益誘導などの手段を行使して、親中統一派の候補者を支援したり選挙に介入し、政局を操作し続けている」といった「民進党の国民党反対キャンペーン」を「自称・親台派」の面々が盛んに流してきたことをご存知であろう。
「棄馬保台」とは、まさに李登輝氏が懸命に有権者に訴えていたものだが、それが気に入らない久保田氏は、やはりすでに国民党支持者になっているのだろう。
そして何より気になるのは、まるで我々が「民進党のキャンペーン」に加担しているかのように書いていることだ。
国民党の関係者や支持者は、日本における台湾建国や民進党を支持する活動の背後に民進党がいると疑うものだが、久保田氏もここでは、我々を民進党の関係者と疑っているようだ。
ということは、久保田氏のこの言論の背後には、やはり国民党がいるのだろうか。こうした疑惑は抱かれて当然だろう。
もし「民進党は日本人グループを選挙に利用した」との宣伝謀略に協力しているのなら、それは事実ではないので、止めておいた方がいいだろう。
ちなみに、ここにある「中国の勢力はさまざまなルートで台湾に入り込み、…政局を操作し続けている」というくだりは、集会の参加呼びかけを行った本ブログの記事“「台湾総統選」当日!1・14「頑張れ民主台湾・東京集会」の地政学的意義”に掲載した自由時報の記事の一部。つまり民進党の宣伝文句などではない。
■中国傾斜の国民党のために「転向」したか
ーーー彼らの主義主張の大前提は、いわゆる「中国脅威論」である。日本にとって危険極まりない中国が、台湾の政治、経済に影響力を及ぼし、「台湾併呑」を企てていると断定し、馬英九政権は、それを阻止して台湾の独立を志向するどころか、中国の手先になって台湾を売り渡そうとしているのだと激しく糾弾する。
これも不自然な書き方である。我々がそう「糾弾」したから、何だと言うのか。
久保田氏は「中国脅威論」を否定するのか。中国が「台湾併呑」を企てていないかも知れないと主張したいのか。事実よりも馬政権の「中国傾斜」政策を正当化するための主張に従っているだけではないのか。
ーーー彼らは祖国日本を愛するとの熱い思いから「台湾が中国に併呑されることは日本の安全にとって大きな脅威となるのだから、『台湾併呑』は絶対に阻止しなければならない」と結論付け、「そのためにも今回の総統選挙によって馬政権を打倒して蔡英文政権の樹立を実現するよう台湾の世論に働きかけるのだ」と主張するのである。
そう「主張」したから何だと言うのか。「台湾併呑」は絶対に阻止しなければならないと思うが、久保田氏はそれに反対するのか。
もしこのことを台湾の人々が聞いたら、久保田氏を「売台派」と批判するのではないか。
なお、次のくだりは興味深い。
ーーーわれわれ自身も、従来から、台湾の歴史と地政学的位置そのものが、如何に日本の命運を左右するものであり、台湾の安定と繁栄を真剣に求め続けてきたことから、一人でも多くの日本人に、台湾への関心を深めて、心を寄せてくれるよう働きかけ続けて来たつもりだ。それ故、こういった「自称・親台派」の主義主張にも少なからず共鳴するものであることを素直に認める。
たしかに以前の久保田氏なら、我々の「主義主張にも少なからず共鳴」したことだろう。
しかしそれでも今回、そうした思いとは異なる主張を、わざわざ紙面を借りて広範な読者の前で行うのは、つまり「転向」したということだろう。
いったいどこに「良心」を落としてきたんだ。
■台湾を応援する日本人を傲慢と呼ぶ
文章は続く。
ーーーしかし、この件に限らず「親台湾派、愛台湾派」の基本的姿勢を、この際改めて問い直したいのである。
ーーー先ずは、選挙権もなく、将来の台湾を担うこともできない「異国の人間」が、台湾の命運を放棄することなく担い続けて台湾国内で必死に悪戦苦闘している真の台湾の有権者に向かって「棄中保台」を求めたり「台湾人よ、中国を恐れるな」「台湾の明日を守れ」などといった傲慢で高飛車な、指導者ぶった言動を発することは、「自重互恵の精神」に反するのではないか。
いったいそれのどこが傲慢なのだろうか。だいたい日本人が台湾人のために良かれと思ってやっていることに、一々「傲慢だ」などと食って掛かってくる台湾人がいるとしたら、それこそ傲慢というものだ。
ちなみに我が台湾研究フォーラムは、こうした台湾への激励活動を続けてきたが、これについては大勢の「台湾国内で必死に悪戦苦闘している真の台湾の有権者」に、とても喜んでもらっている。国民党のシンパからも「台湾を応援してくれてありがとう」と言われることも珍しくないのだ。
なお、ここにある「台湾人よ、中国を恐れるな」「台湾の明日を守れ」とのセリフも、本ブログに書かれていたものの引用だが、書いた本人である私は「傲慢で高飛車な、指導者ぶった言動」を行ってなどないと断言する。なぜならそのようにする必要はないからだ。台湾人へのエールなど、友情さえあれば十分に行えるものなのである。
ーーーさらに言うならば、日本人自らの知恵と努力によって、中国の覇権主義を糾弾し阻止しなければならないはずなのだ。民進党のいう「棄中保台」に便乗して、日本防衛を軽減しようと企んでいるのではないか。
「日本防衛を軽減しようと企んでいるのではないか」とは何のことか。中国覇権主義に対しては、日台を含む各国が反対し、防衛協力を行うべきだが、それに反対するというのか。
本当に不自然な書き方だ。自身の信念で書いていないというか。
何だか国民党の話を聞かされているみたいである。
あまりくだらない「問い直し」はやらない方がいい。
■我々は転向はしない
久保田氏はこんなことも書いていた。
ーーー14日の開票の結果は、こういった彼らの主義主張ならびに行動が、690万人近くの台湾人の心ではなかったことが明らかになった。あれほど強く深く介入した「自称・親台派」諸氏は、このような結果をどのように位置づけているのであろうか。
答えよう。「頑張れ日本」の集会は久保田氏自身が書いたように、「台湾は孤立していない。日本国民は共にあり、をしっかりと認識してもらう」「選挙結果がどうあれ、今後ますます拡大する中国の脅威の前における日台関係の強化を訴える」ことを行ったのだ。開票の結果、国民党が勝利したのであれば、我々はなおいっそう、台湾併呑に反対する日台連帯を訴えて行くだけのことである。
状況が悪化すれば悪化するほど奮起しなければならないのは当然のことである。国民党政権の続投が決まったからと言って、それの支持に転向するなど、我々には考えられないことなのである。
もし久保田氏が日和見主義の人なら、とても理解できないと思うが。
なお私には、久保田氏に抗議する気はさらさらない。ただ、台湾を応援する我々の活動への妨害の動きがいよいよ顕在化し始めたようだということだけ、純粋な気持ちで台湾を応援する全国の人々に伝えたいと考えている。
今回の久保田氏の文章自体はあまり有害ではない。なぜなら拍手を送るのは国民党関係者や親中反台の人々くらいで、その他から共感を得ることはほとんどないと思うからだ。
逆に「この人は本当に親台派だろうか」と疑われるのではないかと思うのだが、なぜそれでもこのようなものを書いたのかが問題だ。
やはり「書いてほしい」との要請が、他からあったのだろうか。そして「世界日報なら、一部の人しか読まないから、批判は来ないだろう」とでも判断したか。
ちなみに久保田氏と李登輝学校などで一緒だった「親台派」の何人かは、今回の話を聞いて驚いていることを、同氏のために付け加えておく。
【関連記事】
「頑張れ日本!」の台湾応援集会を非難した学者・久保田信之先生はどこの味方か 12/01/23
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1757.html
日本人に噛み付く「国民党の犬」にだけはなりたくない 12/01/26
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1759.html
「頑張れ日本!全国行動委員会」への誹謗に台湾から怒りの声(付:問題の「久保田信之論文」全文)12/01/27
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1760.html
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台湾の総統選挙では国民党が勝利。いよいよ二期目に入る同党政権の対日宣伝工作も、ますます勢いづくものと思われる中、民進党支持者が多い日本の親台派の人々は、この情勢にどう対応するのだろうか。
民進党政権時代(二〇〇〇-二〇〇八)には、大方は李登輝氏や民進党の建国路線、本土化(台湾化)路線を支持していたものだった。だが〇八年に国民党が政権を奪還すると、たとえば我々のような反国民党の台湾建国応援グループに対し、親台派の間から批判、誹謗の声が出始めた。
もちろんそのような「寝返り」に出たのには、国民党と付き合わなければならない等々、止むを得ない事情もあったのだろう。
まあ世の中など、そのようなものだ。我々の活動に大きな支障を来たさない程度なら、一応みなで警戒はするけれども、取り敢えずは放って置けということになっているわけだが、二期目となるとどうだろう。
私は早くから「二期目に入ったら、きっと批判に回る人は増えるよ」などと周囲に予告していたものだが、早くもそれが的中した感じなのだ。
本一月二十三日付の世界日報のオピニオン欄に掲載された「台湾に自重互敬の心で対せ」と題する論文を読み、そう思った。
筆者は久保田信之氏(NPO法人修学院院長・アジア太平洋学会代表理事)。親台派学者として知られ、たしか民進党時代当時、学習院女子大学の教授だったこの人は、李登輝元総統サイドと交流を続けていた。私もそのころ、台湾の李登輝学校に一緒に参加したことがある。チャンネル桜でも番組を持っていたこともあるなど、決して反日左翼などではない。
論文の副題は「自称『親台派』は反省を」。
この「自称『親台派』」とは、我々「頑張れ日本!全国行動委員会」のことである。
隣国・台湾を心から親しみ、応援してきたこの「親台湾」グループに、わざわざ「自称」などというレッテルを貼り、「この勢力は本当は親台湾などではない嘘つきどもだ」といった印象を、メディアを通じてばら撒いたわけだ。
そこまで大胆な誹謗行為に敢えて出たのはなぜなのか。きっと久保田氏にはよほどの理由、目的があるのだろう。
それを探ってみたい。
■誰かに書かされたような不自然さも
論文が批判する対象は、「頑張れ日本」が総統選挙の投票日である一月十四日、都内で開催した「頑張れ!民主台湾・東京集会」である。その模様はインターネット中継を通じ、台湾にも届けられ、台湾人には好評だったのだが、久保田氏は次のように書いている。
―――彼らは、台湾で選挙が実施される14日に、渋谷公園および代々木公園に集結するよう呼びかけたが、一つの大きな趣旨に、中国の圧力から国を守ろうとする「愛国心」があったことは国旗を掲げることを要求したことに明らかだろう。
―――中国の危険な野望に迎合しようとしている馬英九氏の再選を阻止するよう「台湾人に良識ある判断を求めるのだ」とか「台湾は孤立していない。日本国民は共にあり、をしっかりと認識してもらう」ために、さらには「選挙結果がどうあれ、今後ますます拡大する中国の脅威の前における日台関係の強化を訴える」ためにわれわれは今回、このような示威行動をとるのだと主張し、この模様は「インターネットで台湾に向け、実況生放送をするのだ」と表明したのである。
書いてあることは、「示威行動をとる」と言う部分以外はほぼ事実と符合しているが、こうした活動のいったい何について「反省を」と言っているのかがわからない。
「中国の圧力から国を守ろうとする」のが悪いのか。「台湾は孤立していない」とアピールするのが気に食わないのか。「日台関係の強化を訴える」ことを止めろと言うのか。
そもそも久保田氏は、本心からこれらを問題にしているのだろうか。
要するに書き方が不自然なのだ。そしてその不自然さから、誰かに「書け」と頼まれて書いた、あるいはその誰かの歓心を買おうとして書いた批判文ではないかと想像したりするのだ。
「誰か」というのは、我々が「中国の危険な野望に迎合しようとしている馬英九氏の再選を阻止」しようとしたことに怒っている国民党か何かだ。
「こいつらは今後邪魔だから、何が何でも悪者にしろ」とでも頼まれたか。そしてその過程で、「自称・親台派」との呼称も生まれたか。
日本の「親台派」を「親国民党派」に変えるのが国民党の対日宣伝工作だが、そんなもの引っかからない我々は「自称・親台派」となるわけだろうか、などと想像しているところだ。
■「頑張れ日本」と民進党との関係を疑うのは何故
台湾への友情メッセージが送られた感動的集会だったが…
それから、こんなことも書いてあった。
ーーー「棄馬保台」(馬英九氏を捨て去り、台湾を防衛しよう)、さらには「棄中保台」(中国を破棄して台湾を守ろう)と言った標語をかざして、「国民党が勝利すれば、台湾が、住民の意思に反して中国に併呑される」とか「中国の勢力はさまざまなルートで台湾に入り込み、威圧、恐喝、利益誘導などの手段を行使して、親中統一派の候補者を支援したり選挙に介入し、政局を操作し続けている」といった「民進党の国民党反対キャンペーン」を「自称・親台派」の面々が盛んに流してきたことをご存知であろう。
「棄馬保台」とは、まさに李登輝氏が懸命に有権者に訴えていたものだが、それが気に入らない久保田氏は、やはりすでに国民党支持者になっているのだろう。
そして何より気になるのは、まるで我々が「民進党のキャンペーン」に加担しているかのように書いていることだ。
国民党の関係者や支持者は、日本における台湾建国や民進党を支持する活動の背後に民進党がいると疑うものだが、久保田氏もここでは、我々を民進党の関係者と疑っているようだ。
ということは、久保田氏のこの言論の背後には、やはり国民党がいるのだろうか。こうした疑惑は抱かれて当然だろう。
もし「民進党は日本人グループを選挙に利用した」との宣伝謀略に協力しているのなら、それは事実ではないので、止めておいた方がいいだろう。
ちなみに、ここにある「中国の勢力はさまざまなルートで台湾に入り込み、…政局を操作し続けている」というくだりは、集会の参加呼びかけを行った本ブログの記事“「台湾総統選」当日!1・14「頑張れ民主台湾・東京集会」の地政学的意義”に掲載した自由時報の記事の一部。つまり民進党の宣伝文句などではない。
■中国傾斜の国民党のために「転向」したか
ーーー彼らの主義主張の大前提は、いわゆる「中国脅威論」である。日本にとって危険極まりない中国が、台湾の政治、経済に影響力を及ぼし、「台湾併呑」を企てていると断定し、馬英九政権は、それを阻止して台湾の独立を志向するどころか、中国の手先になって台湾を売り渡そうとしているのだと激しく糾弾する。
これも不自然な書き方である。我々がそう「糾弾」したから、何だと言うのか。
久保田氏は「中国脅威論」を否定するのか。中国が「台湾併呑」を企てていないかも知れないと主張したいのか。事実よりも馬政権の「中国傾斜」政策を正当化するための主張に従っているだけではないのか。
ーーー彼らは祖国日本を愛するとの熱い思いから「台湾が中国に併呑されることは日本の安全にとって大きな脅威となるのだから、『台湾併呑』は絶対に阻止しなければならない」と結論付け、「そのためにも今回の総統選挙によって馬政権を打倒して蔡英文政権の樹立を実現するよう台湾の世論に働きかけるのだ」と主張するのである。
そう「主張」したから何だと言うのか。「台湾併呑」は絶対に阻止しなければならないと思うが、久保田氏はそれに反対するのか。
もしこのことを台湾の人々が聞いたら、久保田氏を「売台派」と批判するのではないか。
なお、次のくだりは興味深い。
ーーーわれわれ自身も、従来から、台湾の歴史と地政学的位置そのものが、如何に日本の命運を左右するものであり、台湾の安定と繁栄を真剣に求め続けてきたことから、一人でも多くの日本人に、台湾への関心を深めて、心を寄せてくれるよう働きかけ続けて来たつもりだ。それ故、こういった「自称・親台派」の主義主張にも少なからず共鳴するものであることを素直に認める。
たしかに以前の久保田氏なら、我々の「主義主張にも少なからず共鳴」したことだろう。
しかしそれでも今回、そうした思いとは異なる主張を、わざわざ紙面を借りて広範な読者の前で行うのは、つまり「転向」したということだろう。
いったいどこに「良心」を落としてきたんだ。
■台湾を応援する日本人を傲慢と呼ぶ
文章は続く。
ーーーしかし、この件に限らず「親台湾派、愛台湾派」の基本的姿勢を、この際改めて問い直したいのである。
ーーー先ずは、選挙権もなく、将来の台湾を担うこともできない「異国の人間」が、台湾の命運を放棄することなく担い続けて台湾国内で必死に悪戦苦闘している真の台湾の有権者に向かって「棄中保台」を求めたり「台湾人よ、中国を恐れるな」「台湾の明日を守れ」などといった傲慢で高飛車な、指導者ぶった言動を発することは、「自重互恵の精神」に反するのではないか。
いったいそれのどこが傲慢なのだろうか。だいたい日本人が台湾人のために良かれと思ってやっていることに、一々「傲慢だ」などと食って掛かってくる台湾人がいるとしたら、それこそ傲慢というものだ。
ちなみに我が台湾研究フォーラムは、こうした台湾への激励活動を続けてきたが、これについては大勢の「台湾国内で必死に悪戦苦闘している真の台湾の有権者」に、とても喜んでもらっている。国民党のシンパからも「台湾を応援してくれてありがとう」と言われることも珍しくないのだ。
なお、ここにある「台湾人よ、中国を恐れるな」「台湾の明日を守れ」とのセリフも、本ブログに書かれていたものの引用だが、書いた本人である私は「傲慢で高飛車な、指導者ぶった言動」を行ってなどないと断言する。なぜならそのようにする必要はないからだ。台湾人へのエールなど、友情さえあれば十分に行えるものなのである。
ーーーさらに言うならば、日本人自らの知恵と努力によって、中国の覇権主義を糾弾し阻止しなければならないはずなのだ。民進党のいう「棄中保台」に便乗して、日本防衛を軽減しようと企んでいるのではないか。
「日本防衛を軽減しようと企んでいるのではないか」とは何のことか。中国覇権主義に対しては、日台を含む各国が反対し、防衛協力を行うべきだが、それに反対するというのか。
本当に不自然な書き方だ。自身の信念で書いていないというか。
何だか国民党の話を聞かされているみたいである。
あまりくだらない「問い直し」はやらない方がいい。
■我々は転向はしない
久保田氏はこんなことも書いていた。
ーーー14日の開票の結果は、こういった彼らの主義主張ならびに行動が、690万人近くの台湾人の心ではなかったことが明らかになった。あれほど強く深く介入した「自称・親台派」諸氏は、このような結果をどのように位置づけているのであろうか。
答えよう。「頑張れ日本」の集会は久保田氏自身が書いたように、「台湾は孤立していない。日本国民は共にあり、をしっかりと認識してもらう」「選挙結果がどうあれ、今後ますます拡大する中国の脅威の前における日台関係の強化を訴える」ことを行ったのだ。開票の結果、国民党が勝利したのであれば、我々はなおいっそう、台湾併呑に反対する日台連帯を訴えて行くだけのことである。
状況が悪化すれば悪化するほど奮起しなければならないのは当然のことである。国民党政権の続投が決まったからと言って、それの支持に転向するなど、我々には考えられないことなのである。
もし久保田氏が日和見主義の人なら、とても理解できないと思うが。
なお私には、久保田氏に抗議する気はさらさらない。ただ、台湾を応援する我々の活動への妨害の動きがいよいよ顕在化し始めたようだということだけ、純粋な気持ちで台湾を応援する全国の人々に伝えたいと考えている。
今回の久保田氏の文章自体はあまり有害ではない。なぜなら拍手を送るのは国民党関係者や親中反台の人々くらいで、その他から共感を得ることはほとんどないと思うからだ。
逆に「この人は本当に親台派だろうか」と疑われるのではないかと思うのだが、なぜそれでもこのようなものを書いたのかが問題だ。
やはり「書いてほしい」との要請が、他からあったのだろうか。そして「世界日報なら、一部の人しか読まないから、批判は来ないだろう」とでも判断したか。
ちなみに久保田氏と李登輝学校などで一緒だった「親台派」の何人かは、今回の話を聞いて驚いていることを、同氏のために付け加えておく。
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日本人に噛み付く「国民党の犬」にだけはなりたくない 12/01/26
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1759.html
「頑張れ日本!全国行動委員会」への誹謗に台湾から怒りの声(付:問題の「久保田信之論文」全文)12/01/27
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1760.html
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