台湾独立とは何か―日本人なら知っておくべき本当の意味
2007/08/06/Mon
■中国からの独立ではない
日本人の多くが誤解していることがある。それは「台湾独立」の意味だ。
台湾独立はよく、「中華人民共和国からの独立」と思われているが、台湾は中華人民共和国に支配されているわけではないので、そこからの独立などあり得ない。
そのような誤解は、台湾は中華人民共和国の領土だとのとんでもない誤解をさらに生むから、大きな問題である。
それでは何から独立するのかと言うと、それは「中華民国体制からの独立」である。
こう言うことだ。
台湾は一八八五年、日清戦争の媾和条約である下関条約によって日本の領土となったのだが、一九五二年、大東亜戦争での媾和条約であるサンフランシスコ条約によって日本の領有を離れた。それでは新たな帰属先はどこになったかと言えば、それは規定されなかった。つまり住民自決の原則に基づき、台湾の住民が決定すると言うことになったのだ。
ところが住民自決は行われなかった。なぜなら台湾はすでに蒋介石の中華民国の独裁支配下にあったからだ。中華民国の台湾支配は一九四五年の終戦直後、連合国の一員としてそこを占領したことに始まった。当時、この国はドサクサにまぎれ、一方的に台湾の領有を宣言した。そして四九年に中華人民共和国が成立すると、中華民国の亡命政権が入り込んできた。
■中華民国支配は不法だった
もちろんこのように中華民国支配(中国人支配)は不法なものだった。よって日本も米国も、冷戦との時代背景によって、この亡命政府を「中国政府」と承認はしたが、その台湾領有は承認しなかった。米国はただ、中華人民共和国の侵略から、台湾を防衛すること中華民国政府に期待した。中華人民共和国は中華民国の領土を全て継承するとの立場をとり、その領土には台湾も含まれるとし、「台湾解放」を国家目標としていたからだ。
しかし台湾人から見れば、中華民国体制は中国人が台湾人を弾圧、搾取する過酷な殖民地体制でしかなかった。そこで海外に亡命した台湾人によって台湾独立運動が始まった。当時、日本などはその主要策源地だった。国内が運動の舞台にならなかったのは、血の弾圧を加えられるからだ。中華民国体制は共産主義者とともに台湾独立分子を許さなかった。
■あとは台湾国憲法を制定するだけだが
独裁総統の蒋介石と蒋経国は、「中国を代表する唯一の正統政権」と自称し、「台湾は中国の一部」との理由で、台湾支配を正当化していたが、この二人が相次いで死ぬと、台湾人の李登輝が総統となった。李登輝は初めて台湾島内の住民だけによる総統選挙を行った。これは事実上、「台湾は中国の一部」であることの否定であり、台湾国家の誕生を意味した。これを以って台湾の住民自決はついに達成されたとの見方もある。
しかし台湾にはなお「台湾は中国の一部」とする中華民国憲法が残っている。これを廃止し、台湾独自の憲法を制定し、国名を「台湾」と改めないかぎり、「台湾は中国の一部」と誤解されて国連すら加盟できず、さらには中華人民共和国に「解放」「統一」の口実を与え続けることになる。
「制憲・正名」、つまり台湾国憲法を制定し、国名を台湾に正すことで、台湾独立は達成できるのだ。言うまでもなく台湾独立とは、台湾人の住民自決権の行使なのであって、これに対していかなる外国も、妨害することは許されないのだが、現状はどうか。
■中国の宣伝に惑わされるな
「台湾解放」を国家目標に掲げる中華人民共和国は、こうした台湾の動きを「祖国分裂の動き」とし、「台湾が独立を宣言すれば、戦争だ」「台湾海峡は火の海だ」「外国には核の先制攻撃は行わないが、台湾は外国ではないから例外だ」などと恫喝し、あるいはそのように国際社会に宣伝し、実際に台湾に照準を合わせたミサイル配備を進め、その数はすでに千基近くにも及んでいる。
かくして「独立したい」「中国とは一緒になりたくない」と望む台湾人の多くは、すっかり萎縮してしまっている。
そしていつの間にか国際社会でも、「台湾は中国の一部」との宣伝に惑わされ、「台湾独立は中華人民共和国からの独立」との認識が定着した。そして台湾へ向かい、中華人民共和国に対して自重せよと勧告するなど、台湾独立に反対する姿勢を示すようになったのだ。
米国もそうだし、日本もそうだ。「台湾海峡問題は当事者である台湾と中国が話し合いを行い、平和的に解決することを望む」とは、日米、その他各国の公式見解のようなものである。
しかし台湾の将来に関し、なぜ台湾人は中国などと話し合いをしなければならないのか。台湾の自決権はなぜ否定されなければならないのか。
国際社会に求められているのは、「台湾は中国の一部ではないと認識すること」「台湾統一は中国の不法な領土拡張にすぎないと言うこと」「中国の武力を背景にした領土拡張の動きを阻止すること」ではないのだろうか。
■日本は独立の邪魔をしていいのか
日本政府は日中関係に配慮して(中国の求めに応じて)、これまで「台湾独立は支持しない」と表明して来た。四月の温家宝来日に際しても、安倍首相はそのように伝えた。しかしこれでは、台湾を「中国の一部」と認めるようなものではないか。
これは台湾住民の自決権への侵害ともとれる行為であって、決して許されるものではない。政府が中国に対して伝えるべきは、「中国は台湾の問題に口出しするな」以外にないのである。
中国に屈服する隣国日本のこうした姿勢に、台湾の人々がどんなに落胆しているかを知るべきだ。国際社会で誤解されるなか、日本だけが台湾の自決に容認姿勢を見せるだけで、どんなに台湾人を激励することになるかわからないのに、まったく逆の事を仕出かしているのだ。
敵に迎合して味方を意気消沈させるなど、これ以上愚かなことはない。
【付記】
中国が「台湾独立の頭目」として世界一憎悪する李登輝前総統は近年、「台湾はすでに独立している。台湾独立を言う必要はない」と発言し、日本の一部メディアなどは「李登輝転向」などと伝えたが、それは「台湾は中国やその他の国に隷属しない独立国家なのだから、いちいち『独立』などと騒いで政治問題化するな」との意味である。だから中華民国体制を容認するものではなく、彼は依然として制憲・正名運動のリーダーだ。ちなみにその戦略構想は、日本と「台湾国」との国交樹立、軍事同盟締結などを通じた中国との対抗と思われるが、実際両国にとって、それ以外の活路は今のところないだろう。日本人も台湾の制憲・正名、台湾建国を支持しよう。
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日本人の多くが誤解していることがある。それは「台湾独立」の意味だ。
台湾独立はよく、「中華人民共和国からの独立」と思われているが、台湾は中華人民共和国に支配されているわけではないので、そこからの独立などあり得ない。
そのような誤解は、台湾は中華人民共和国の領土だとのとんでもない誤解をさらに生むから、大きな問題である。
それでは何から独立するのかと言うと、それは「中華民国体制からの独立」である。
こう言うことだ。
台湾は一八八五年、日清戦争の媾和条約である下関条約によって日本の領土となったのだが、一九五二年、大東亜戦争での媾和条約であるサンフランシスコ条約によって日本の領有を離れた。それでは新たな帰属先はどこになったかと言えば、それは規定されなかった。つまり住民自決の原則に基づき、台湾の住民が決定すると言うことになったのだ。
ところが住民自決は行われなかった。なぜなら台湾はすでに蒋介石の中華民国の独裁支配下にあったからだ。中華民国の台湾支配は一九四五年の終戦直後、連合国の一員としてそこを占領したことに始まった。当時、この国はドサクサにまぎれ、一方的に台湾の領有を宣言した。そして四九年に中華人民共和国が成立すると、中華民国の亡命政権が入り込んできた。
■中華民国支配は不法だった
もちろんこのように中華民国支配(中国人支配)は不法なものだった。よって日本も米国も、冷戦との時代背景によって、この亡命政府を「中国政府」と承認はしたが、その台湾領有は承認しなかった。米国はただ、中華人民共和国の侵略から、台湾を防衛すること中華民国政府に期待した。中華人民共和国は中華民国の領土を全て継承するとの立場をとり、その領土には台湾も含まれるとし、「台湾解放」を国家目標としていたからだ。
しかし台湾人から見れば、中華民国体制は中国人が台湾人を弾圧、搾取する過酷な殖民地体制でしかなかった。そこで海外に亡命した台湾人によって台湾独立運動が始まった。当時、日本などはその主要策源地だった。国内が運動の舞台にならなかったのは、血の弾圧を加えられるからだ。中華民国体制は共産主義者とともに台湾独立分子を許さなかった。
■あとは台湾国憲法を制定するだけだが
独裁総統の蒋介石と蒋経国は、「中国を代表する唯一の正統政権」と自称し、「台湾は中国の一部」との理由で、台湾支配を正当化していたが、この二人が相次いで死ぬと、台湾人の李登輝が総統となった。李登輝は初めて台湾島内の住民だけによる総統選挙を行った。これは事実上、「台湾は中国の一部」であることの否定であり、台湾国家の誕生を意味した。これを以って台湾の住民自決はついに達成されたとの見方もある。
しかし台湾にはなお「台湾は中国の一部」とする中華民国憲法が残っている。これを廃止し、台湾独自の憲法を制定し、国名を「台湾」と改めないかぎり、「台湾は中国の一部」と誤解されて国連すら加盟できず、さらには中華人民共和国に「解放」「統一」の口実を与え続けることになる。
「制憲・正名」、つまり台湾国憲法を制定し、国名を台湾に正すことで、台湾独立は達成できるのだ。言うまでもなく台湾独立とは、台湾人の住民自決権の行使なのであって、これに対していかなる外国も、妨害することは許されないのだが、現状はどうか。
■中国の宣伝に惑わされるな
「台湾解放」を国家目標に掲げる中華人民共和国は、こうした台湾の動きを「祖国分裂の動き」とし、「台湾が独立を宣言すれば、戦争だ」「台湾海峡は火の海だ」「外国には核の先制攻撃は行わないが、台湾は外国ではないから例外だ」などと恫喝し、あるいはそのように国際社会に宣伝し、実際に台湾に照準を合わせたミサイル配備を進め、その数はすでに千基近くにも及んでいる。
かくして「独立したい」「中国とは一緒になりたくない」と望む台湾人の多くは、すっかり萎縮してしまっている。
そしていつの間にか国際社会でも、「台湾は中国の一部」との宣伝に惑わされ、「台湾独立は中華人民共和国からの独立」との認識が定着した。そして台湾へ向かい、中華人民共和国に対して自重せよと勧告するなど、台湾独立に反対する姿勢を示すようになったのだ。
米国もそうだし、日本もそうだ。「台湾海峡問題は当事者である台湾と中国が話し合いを行い、平和的に解決することを望む」とは、日米、その他各国の公式見解のようなものである。
しかし台湾の将来に関し、なぜ台湾人は中国などと話し合いをしなければならないのか。台湾の自決権はなぜ否定されなければならないのか。
国際社会に求められているのは、「台湾は中国の一部ではないと認識すること」「台湾統一は中国の不法な領土拡張にすぎないと言うこと」「中国の武力を背景にした領土拡張の動きを阻止すること」ではないのだろうか。
■日本は独立の邪魔をしていいのか
日本政府は日中関係に配慮して(中国の求めに応じて)、これまで「台湾独立は支持しない」と表明して来た。四月の温家宝来日に際しても、安倍首相はそのように伝えた。しかしこれでは、台湾を「中国の一部」と認めるようなものではないか。
これは台湾住民の自決権への侵害ともとれる行為であって、決して許されるものではない。政府が中国に対して伝えるべきは、「中国は台湾の問題に口出しするな」以外にないのである。
中国に屈服する隣国日本のこうした姿勢に、台湾の人々がどんなに落胆しているかを知るべきだ。国際社会で誤解されるなか、日本だけが台湾の自決に容認姿勢を見せるだけで、どんなに台湾人を激励することになるかわからないのに、まったく逆の事を仕出かしているのだ。
敵に迎合して味方を意気消沈させるなど、これ以上愚かなことはない。
【付記】
中国が「台湾独立の頭目」として世界一憎悪する李登輝前総統は近年、「台湾はすでに独立している。台湾独立を言う必要はない」と発言し、日本の一部メディアなどは「李登輝転向」などと伝えたが、それは「台湾は中国やその他の国に隷属しない独立国家なのだから、いちいち『独立』などと騒いで政治問題化するな」との意味である。だから中華民国体制を容認するものではなく、彼は依然として制憲・正名運動のリーダーだ。ちなみにその戦略構想は、日本と「台湾国」との国交樹立、軍事同盟締結などを通じた中国との対抗と思われるが、実際両国にとって、それ以外の活路は今のところないだろう。日本人も台湾の制憲・正名、台湾建国を支持しよう。
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