日本ODAの「貢献」―中国で進む「ミサイル」建設
2010/03/11/Thu
我が国の「政府開発援助(ODA)大綱」によれば、ODAの目的は「国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資すること」にあり、実施の原則として支援を行う国の「軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向に十分注意を払う」ことを挙げているが、これまで三兆円を超える対中ODAは、はたして「国際社会の平和に貢献」してきただろうか。
外務省HPは「中国に道路や空港、発電所といった大型経済インフラや医療・環境分野のインフラ整備のための大きなプロジェクトを実施し、現在の中国の経済成長が実現する上で大きな役割を果たしています」と説明するが、そのインフラ整備支援こそ、あの国の軍備拡張への間接支援になっていることは、早くから指摘されてきたことだ。
「現在の中国の経済成長」を象徴する一つに、現在整備が進む「海峡西岸経済区」(海西区)がある。これは台湾海峡の西岸に位置する福建省を中心とするもので、長江デルタ、珠江デルタとの間で沿海経済ベルトの一部分を構成すると同時に、台湾との経済交流の最前線となることが期待され、二月の旧正月には胡錦濤主席が現地を訪れ、「建設を急げ」と指示したことが中国では話題になっていたが、実はこの経済区建設は、台湾攻略のための軍事基地建設でもある。
「海西区」での重要インフラ建設と言えば、福建省西隣の江西省から福建省のアモイ、湄州などの港湾とを結ぶ鉄道、自動車道などの交通輸送網建設だが、この両港は対台湾上陸部隊の出発地点となる港である。よって現在整備が急がれるこの輸送網こそ、台湾を攻撃する際に江西省に駐屯する作戦部隊を港湾まで輸送し、あるいはミサイルを運搬する動脈となるのである。
弾道ミサイル東風21の輸送演習
台湾紙中国時報の三月一日によると、両省を結ぶ鉄道網の強化が進行中だ。
まず江西省鷹潭とアモイを結ぶ鷹廈線(全長六百九十四キロ)。もともとこれは金門島攻撃のために五〇年代に敷設されたもので、その沿線にはミサイル部隊の基地が複数ある。現在複線工事が行われ、電化、高速化が図られている。
もう一つは江西省贛州と福建省竜岩を結ぶ贛竜鉄道だ。全長二百九十キロの半分以上はトンネルで占められ、江西省の基地からミサイルが運搬されれば、衛星でも観測しにくい。これまで鷹廈線沿線のミサイル部隊が攻撃の主力となり、贛龍線のそれが後方支援にあたると見られてきたが、実はその逆だと同紙は報じる。
贛竜鉄道
また「ミサイル部隊は、アモイで接続する両線に沿って三百~五百キロも展開し、ミサイル発射後は迅速に撤退して報復攻撃を避けることができる」との台湾の専門家の見方を紹介し、増大する中国の脅威に警鐘を鳴らしている。
黄色は鉄道沿線に配置されたミサイル旅団を示す
外務省HPは対中ODAについて「我が国の有償資金協力(円借款)により総延長5200kmもの鉄道が電化され」たとしている。福建省の一部鉄道の建設計画にも六十七・二十億円をも供与しているが、こうした中国全土の鉄道網建設が、直接、あるいは間接的に軍事利用されていることは明らかなのだ。
江西省、福建省のミサイルは台湾に対する恫喝、侵略に用いられるだけではない。台湾有事に介入する米軍にも向けられるほか、その米軍を後方支援する日本にも向けられることになる。
インフラ整備などで中国の経済成長実現に「大きな役割」を果たしたとされるのが日本のODAだが、中国はそのインフラ、経済成長を基盤に軍備拡張を推し進めてきたのだ。
ODAを通じ、「我が国の安全と繁栄の確保に資する」ことを目指してきた日本政府の愚かさを、中国政府は腹を抱えて笑っていることだろう。
それでも日本政府は、あの国の軍事的脅威を見て見ぬふりをしながら、そして日本に対する背信行為を受け入れながら、これからも友好路線を続けるのか。
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台湾研究フォーラム 第133回定例会
■講 師 西村幸祐氏 (ジャーナリスト、撃論ムック編集長)
■演 題 映画「海角七号」とNHK「JAPANデビュー」問題
台湾で空前大ヒットの親日映画「海角七号」とNHK「JAPANデビュー」問題から「支那の対日情報戦争」を、西村氏に読み解いていただきます。
【日 時】 平成22年3月13日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京区民センター2階ホール
JR「水道橋駅」徒歩10分、都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円、一般1,000円
【懇親会】 終了後、会場付近にて。(会費3,000円、学生1,000円)
【申込み】 できれば3月14日までに下記へ。
E-mail:[email protected]
【問合せ】 090-4138-6397
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外務省HPは「中国に道路や空港、発電所といった大型経済インフラや医療・環境分野のインフラ整備のための大きなプロジェクトを実施し、現在の中国の経済成長が実現する上で大きな役割を果たしています」と説明するが、そのインフラ整備支援こそ、あの国の軍備拡張への間接支援になっていることは、早くから指摘されてきたことだ。
「現在の中国の経済成長」を象徴する一つに、現在整備が進む「海峡西岸経済区」(海西区)がある。これは台湾海峡の西岸に位置する福建省を中心とするもので、長江デルタ、珠江デルタとの間で沿海経済ベルトの一部分を構成すると同時に、台湾との経済交流の最前線となることが期待され、二月の旧正月には胡錦濤主席が現地を訪れ、「建設を急げ」と指示したことが中国では話題になっていたが、実はこの経済区建設は、台湾攻略のための軍事基地建設でもある。
「海西区」での重要インフラ建設と言えば、福建省西隣の江西省から福建省のアモイ、湄州などの港湾とを結ぶ鉄道、自動車道などの交通輸送網建設だが、この両港は対台湾上陸部隊の出発地点となる港である。よって現在整備が急がれるこの輸送網こそ、台湾を攻撃する際に江西省に駐屯する作戦部隊を港湾まで輸送し、あるいはミサイルを運搬する動脈となるのである。
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まず江西省鷹潭とアモイを結ぶ鷹廈線(全長六百九十四キロ)。もともとこれは金門島攻撃のために五〇年代に敷設されたもので、その沿線にはミサイル部隊の基地が複数ある。現在複線工事が行われ、電化、高速化が図られている。
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贛竜鉄道
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江西省、福建省のミサイルは台湾に対する恫喝、侵略に用いられるだけではない。台湾有事に介入する米軍にも向けられるほか、その米軍を後方支援する日本にも向けられることになる。
インフラ整備などで中国の経済成長実現に「大きな役割」を果たしたとされるのが日本のODAだが、中国はそのインフラ、経済成長を基盤に軍備拡張を推し進めてきたのだ。
ODAを通じ、「我が国の安全と繁栄の確保に資する」ことを目指してきた日本政府の愚かさを、中国政府は腹を抱えて笑っていることだろう。
それでも日本政府は、あの国の軍事的脅威を見て見ぬふりをしながら、そして日本に対する背信行為を受け入れながら、これからも友好路線を続けるのか。
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【日 時】 平成22年3月13日(土)午後6時~8時
【場 所】 文京区民センター2階ホール
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【参加費】 会員500円、一般1,000円
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