『重伝建・奈良県五條新町』
奈良県五條市の「五條新町」の町並みは、同じ奈良県の今井町や大阪府の富田林と同じように、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
五條新町は吉野川沿いの紀州街道筋に、江戸初期から五條藩主松倉重政の号令で整備された町並である。
江戸初期に建てられた我が国最古の民家と云われている栗山家住宅は重要文化財である。
その次には、元禄期に建てられた栗山家の通りを挟んだ前にある中邸や少し新しいと思われるが醤油屋、そして表紙写真左側の本家栗山邸が保存されている。
五條新町の通りにはその他江戸期以来の多くの建物が見られる。
新町の西の方には松倉重政を祀る西方寺、そして松倉公園があり、町をあげて当時の藩主を顕彰している。
新町の街道の北側には国道24号線が通っている。
国道の向こうには江戸末期に建てられた五條代官所の長屋門、こちら側には本場柿の葉寿司の「TNK」の本店がある。
五條新町には珍しいものがある。
鉄道の陸橋である。
明治末期、五條から紀伊山地を縦断して和歌山の新宮までの鉄道が計画され一部建設されたが、経済状況が追い付かず中断されたままで残っている。
幻の五新鉄道と云う。
鉄道はできなかったが、新宮まで通じる国道168号線を日本一長い路線バスが走っている。