『越前国一之宮・気比神宮』
福井県敦賀市にある越前国一之宮「気比(けひ)神宮」の大鳥居である。
この鳥居は、赤鳥居と云われ平安時代の嵯峨天皇の造営時には東参道口にあったものであるが、その後倒壊したため江戸時代に礎石を現在の西参道に移し、佐渡国から奉納された榁(むろ)樹一本で両柱が再建されたもので、重要文化財となっている。
この鳥居は、奈良春日大社、広島厳島神社の大鳥居と並ぶ「日本三大鳥居」の1つでもある。
中鳥居を潜ると、本殿そして西に九社宮がある。
この気比神宮は、本宮には気比大神の伊奢沙別命 (いざさわけのみこと) 、仲哀天皇 (ちゅうあいてんのう) 、神功皇后 (じんぐうこうごう)を祀る。
また東殿宮には 日本武尊 (やまとたけるのみこと)、総社宮には応神天皇 、平殿宮には玉妃命 (たまひめのみこと) 、西殿宮には武内宿禰命 (たけのうちのすくねのみこと)を祀る。
この神宮は神代よりの鎮座で、この神社に行幸した仲哀天皇は自ら神前に三韓征伐を祈願し、征伐出発時にも神功皇后や玉妃命、それに武内宿禰を伴って当宮に戦勝を祈願させたと云われる。
またこの神宮には、松尾芭蕉が奥の細道の旅で敦賀を訪れている。
その時はちょうど中秋の名月の頃で、敦賀での月見と氣比神宮への参拝を楽しみにしていた芭蕉は、沢山の句を詠んでいる。
「名月や 北国日和 定めなき」
「月清し 遊行のもてる 砂の上」などである。
2句目は、この神社の元々泥だった周辺を砂で埋めた遊行上人の功績を偲んだものであり、その様子も神社門前に像として再現されている。