アメリカ軍・軍事産業

2024年12月18日 (水)

シリア:全てが、金、金、金の問題

マーティン・ジェイ
2024年12月13日
Strategic Culture Foundation

 西側諸国の支援で、ダマスカスを支配している聖戦主義者指導者が、アメリカではテロリストとして指名手配されているなど、一体どうしてあり得るのだろう?

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 アサド政権崩壊に呆然とし混乱している騙されやすい国民の目をくらますために、欧米諸国の政治家連中は労力を倍加している。現在ダマスカスを支配している聖戦主義者連中が、アメリカ人の税金で賄賂を受け取っているだけでなく、指導者がアメリカではテロリストとして指名手配されていることなど一体あり得るのかと疑問に思う人も国民の中にいるかもしれないためだ。

 超間抜けなデイビッド・ラミー議員はマグーという漫画の登場人物のイギリス版ドジな黒人版だ。ラミー議員は見た目ほど間抜けではないが、有権者は多かれ少なかれ脳死状態だと彼が想定してイギリス議会で全てを説明する彼の幸運な口調に注目願いたい。

 HTSテロ集団がダマスカスを占領したのと同時期に行われたイスラエルによるシリア爆撃を正当化する声明を最近ブレンダン・オハラ国会議員が発表した。おそらく重砲や飛行機や船舶が、汚れた髭を生やした連中の手に渡らないようにするためだろう。連中がそれらを支援諸国に対して使いかねないためだ。アフガニスタンから米兵が脱出する前に、装甲車や戦車や更には航空機までタリバンに残していった驚異的に愚かな作戦から、アメリカは教訓を学んだのだろうか? おそらくそうだろう。だが、それ以外にも理由があるかもしれない。たとえば、アメリカが第二作戦を考えていて、彼ら(あるいは彼らの代理人)は、それにより現在権力を掌握している連中を転覆させたいと考えているかもしれない。現時点で捏造されている、シリア地図上でホムスを見つけることさえできないコールセンターのジャーナリスト連盟に忠実にうみだされている明白な嘘の量を考えれば、これは、さほど突飛なことではない。「アサド政権打倒のために我々が支援した集団は心を入れ替えるつもりがなかったことが判明した。ジョウラニは信用できない、ご存じの通り…」というのが、ホワイトハウス記者会見で記者団に語られる言葉だろう。大半の人はそれを鵜呑みにするはずだ。

 ともあれ、国会で無駄遣いをする議員連中のたわ言は一見の価値がある。

 国会でのブレンダン・オハラ議員質問に答えて「ISIS(ISIL)とアルカイダを擁する国に、正当な安全保障上の懸念をイスラエルが抱いていると理解するのは正しい」とラミー外相は述べ、イスラエル外相と話し合ったと付け加えた。

 「こうした、あらゆる理由から、全ての人を支援する包括的な社会を我々は望んでいるが、誰もテロリスト集団とは交渉できない」と彼は語った。

 彼が言及するテロ集団は、アメリカから給与を得ており、イギリスとアメリカ両方と連携していることに言及し忘れたのは奇妙だ。それとも、アサド政権をテロリストがアメリカとイスラエルに引き渡した今、彼らの役割はもはや重要ではなく、従って彼らを排除する必要があるということなのだろうか?

 ラミー外相自身シリア情勢をほとんど理解しておらず、台本を読んでいるように見えるため、彼の二枚舌を理解するのは困難だ。結局、最近ラミー外相はイギリスの独立調査機関により、イスラエルから資金を受け取っていた特定された閣僚12人ほどの一員だ。シリアの物語は、結局、大規模な裏切り、裏切り、でたらめの物語で、イスラエルの金を享受しているイギリス議員が、用意されたイスラエル国防軍の主張を支持するのは当然と思われる。結局、無血クーデターが大成功を収めた大きな要因は金だったので、イギリスで物語を左右しているのも、おそらく今や金なのだろうか? もちろん、レバノンのヒズボラの弱体化や、ロシアがもはやアサドを支援していないのも要因だった。だが金は大きな役割を演じた。現在、ヒゲを生やしAKを携えたHTSの平均的チンピラは、月に約2000ドル稼いでいる。大した金額ではないと思うかもしれない。だが現地通貨が常に切り下げられている世界最貧国の一つシリアで、月収僅か7ドルのシリア軍兵士にとって、この額は大金だ。

 合意が成立していたため政権軍は抵抗しなかったのだ。彼らは月々の食費を払うため、単に数ドル稼ぐため、この地域でカプタゴン錠剤製造と販売に頼らざるを得なかった兵士だ。2003年に、サダムの兵士への給与未払い分の支払いをアメリカ政府が拒否した時と同様(彼らは武器を持って駐屯地から逃亡し、後にISISまたはISILとして知られる組織を作った)今同じ話が反響を呼んでいる。兵士にもっと給料を払い、ロシアに訓練させていればアサドは老いるまで権力を維持できたかもしれない。数ドル多く払っていれば。

 シリア政権の兵士もイギリス人政治家も。彼ら全員に値札がついている。シリア戦争が始まった同じ年に発表されたJessie Jの90年代ヒット曲「Price Tag(値札)」のことは考えないことにしよう。

金、金、金なんか問題じゃない
金、金、金なんかいらない
世界を踊らせたいだけだ
値札のことなど忘れろ
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/13/syria-about-money-money-money/

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 Dialogue Works 暗殺はゼレンスキー犯罪集団の犯行。
Scott Ritter: killing of Russian general in Moscow, Syria Becoming West's Next Geopolitical Trap?  1:42:53
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ドイツ。ショルツ首相は三党連立政権崩壊後、信任投票を提示し394対207の投票で現政権の解散を可決、困難で不安定な政治の新時代を反映。低迷する経済、インフラの破綻、移民、政治的両極端の台頭、トランプ政権での関税、安全保障問題等の難問。世論調査保守的なキリスト教民主党がリード。
 ショルツを横に立たせて「ウクライナに侵略したら、ノルドストリームを止めてやる」とバイデンが発言した場面は忘れない。でくのぼうのようにぼーっとショルツは立っていた。女性記者が「しかし、ノルドストリームは我々のものではありませんが、どうやって止めるのですか?」と質問すると「それでも我々はやる」とバイデンは答えた。
President Biden on Nord Stream 2 Pipeline if Russia Invades Ukraine: "We will bring an end to it." 3:42

2024年12月17日 (火)

イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張



ある国を侵略し広大な地域を占領し、48時間以内に480回爆撃し、軍事防衛の80%を破壊しておいて、その国の内政に干渉する意図はないと主張できるのはイスラエルだけだ。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月12日

 物語のマトリックスの端からのメモ

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。



 イスラエルは「シリア内政に干渉する意図はない」とベンヤミン・ネタニヤフ首相が 滑稽な発言をしている

 ある国を侵略し広大な地域を占領し、48時間以内に480回爆撃し、軍事防衛の80%を破壊しておいて、その国の内政に干渉する意図はないと主張できるのはイスラエルだけだ。



 リビアの時と同じように、シリアで起きる全てのことに今後何年も見て見ないふりをしなければならないと知っているので、欧米諸国による政権転覆応援団連中は、今シリアの件で大いに盛り上がっている。



 国内市場を開放し、世界経済に統合するとシリアで新たに権力を握った連中が発表したが、これはこれまでのこの物語の中で最も意外性だない進展の一つだ。これは、従わない国に対する帝国主義による権力掌握で必ず見られる教科書的な破滅的資本主義だ。今や、シリアは最高額を提示した者に、ばらばらにされ食い尽くされることになる。どうやら、メニューに肉が復活したようだ。



 TikTokは、どうやら本当にすぐ禁止されるか、帝国に忠実な所有者に売却されることになるようだ。全て、パレスチナに関する事実をアメリカ政府が子どもに共有させたくないためだ。



 暴力は決して解決策ではないと言う人々は、彼らが非難する暴力を引き起こした大規模で甚大な影響を及ぼす組織的暴力を無視することが多い。それは10月7日の事件でも起きたし、健康保険会社CEO殺害事件でも起きた。

 昨日、ツイッターのフォロワーに次の文章を完成させるように私はお願いした。「人々の生活を破壊し、殺害することで富と権力を拡大する虐待的金持ちを物理的に攻撃するのではなく、一般市民はそのような不正に対処するために利用できる他の選択肢、例えば_________などを使うべきだ。」

 回答は興味深いものだった。この質問を投げかけた後、暴力を奨励しているという怒りの返信を私は多数受け取った。よく考えてみると、これは実はかなり示唆に富んでいる。私は実際暴力を奨励したわけではなく、暴力に代わる選択肢は何か尋ねただけだ。裕福な寡頭政治家による虐待に対処するための暴力以外の選択肢を、これら回答者が知っていたら、私の質問をそのように見ることは決してなかっただろう。彼ら自身、暴力以外にこれら虐待を解決する方法はないと考えている。彼らはただ、人々は虐待が続くのを甘んじて受け入れるべきだと考えているのだ。

 CEO殺害容疑者のルイジ・マンジョーネへの幅広い支持を見て、2014年にベンチャーキャピタリストのニック・ハナウアーが書いた「怒りの熊手が我々富豪に迫っている」というエッセイを思い出す。エッセイで、彼が「大富豪仲間」と呼ぶ人々に対し「このような不平等の拡大を持続させる社会は存続しない」と彼は警告している。

 「問題は不平等があることではない」とハナウアーは書いている。「問題は不平等が歴史的に高いレベルにあり、日々悪化していることだ。我が国は急速に資本主義社会から封建社会へと変貌しつつある。政策が劇的に変わらなければ中流階級は消え去り、革命前の18世紀後半のフランスに逆戻りしてしまうだろう。」

 「この経済の明らかな不平等を是正する対策を講じなければ、我々は厳しい罰を受けることになる」とハナウアーは警告した。「このような不平等の拡大を持続できる社会などない。実際、人類史上、このように富が蓄積され、最終的に厳しい罰を受けなかった例はない。極めて不平等な社会を見せてくれたら、警察国家や暴動を私が見せてやる。反例などない。皆無だ。問題は、そうなるかどうかではなく、いつそうなるかだ」

 同情や利他主義からではなく基本的な自分に対する配慮からハナウアーは発言している。彼は貧しい人々を助けようとしているのではなく、ギロチンの刃の先で神に会うのを避けようとしているのだ。

 これら富豪に向けられた怒りと血への渇望は、彼が警告した沸点に近づいているようだ。これがどう展開するかは分からないが、歴史上興味深い地点に我々はいるとだけ言っておこう。

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 Judging Freedom アサド元大統領によるアメリカ・ディープ・ステート説明は正しいとミアシャイマー教授。
Prof. John Mearsheimer : Can Trump beat the Deep State in his second term ?  2:15
 日刊IWJガイド
「イランの防空力の破壊は『イランを無防備にすることが目的』とイスラエルのガラント元国防相! 米国とともに対イラン戦争を準備!?」2024.12.17号

■はじめに~シリアの防空力の徹底破壊に続き、今年10月26日のイスラエルによるイランへの報復攻撃は、「将来(本格的な侵攻の)のために、イランを無防備にすることが目的だった」と、イスラエルのヨアブ・ガラント元国防相が証言! イスラエルは防空網を徹底的に破壊したため、イランを、ガザやレバノンと同じくらい容易に攻撃できる! 脆弱化したイランが核保有に走れば米国とイスラエルが躊躇せず軍事行動に! トランプ次期大統領は、任期中にイランとの戦争になる可能性について、「何が起きてもおかしくない」と「前のめり」の発言!

■12月は13日までの13日間で、29件、42万4100円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! これは月間目標額の約12%に相当します。11月のご寄付・カンパの金額は150万4000円と月間目標額の43%しか集まらず、IWJの財政は大ピンチです! 11月からカンパの月間目標額を400万円から350万円に下げたのですが、8月からの今期第15期は、4ヶ月連続で未達です!「IWJしか報じていない情報」自体は激増中です! IWJが活動を続けられますように、ぜひ、この年末の12月こそは、無事に年を越せますように、緊急のご支援をお願いいたします!

■【中継番組表】

■本日午後7時より、「激戦の地ドンバスまで足を運び、自分の目と耳で調査した『学者魂』の研究者に聞く! 第2次トランプ政権でウクライナ政策が見直される今だからこそ、日本も、2014年のユーロマイダン革命にまで立ち返って現在に至る経緯を検証する必要がある! 岩上安身によるインタビュー第1173回 ゲスト 東京大学法学部教授の松里公孝氏 第1部」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします!

2024年12月15日 (日)

もう一つの国が帝国の塊に吸収された



そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを狙った軍事占領を通じて、何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月9日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
 バッシャール・アル・アサドはシリアからモスクワに逃亡し、ロシアから亡命を認められたと報じられている。アサドを追い出したアルカイダ関連組織は、ダマスカスでの「ムジャヒディーン」勝利を宣言した。政権転覆を支援したのをバイデンネタニヤフ両人は公式に認めており、もちろんトルコのエルドアンも多大な功績を認められるに値する。

 それでも、欧米の主流言説では、これをアメリカと同盟諸国が支援する政権転覆作戦と呼ぶには依然タブーがある。何年にもわたる反証があるにもかかわらず、これが完全にシリア国民のみに引き起こされた、100%自然発生的蜂起であるかのように我々全員装わなければならない。代理戦争や飢餓制裁や絶え間ない爆撃作戦や、欧米が支援した内戦後、復興を阻止するため、明らかにシリアから石油と小麦を断つことを意図した軍事占領によりアメリカ権力同盟がシリアを粉砕するのを見たばかりなのに、我々はそう装わなければならないのだ。

 こう言うと怒る人もいるだろうが、これは事実だ。世界的大事件は、その結果に利害関係を持つ大国の行動と無関係に起きるものでないのは単なる事実だ。私がこう言うのを不快に感じるなら、その不快感は認知的不協和と呼ばれる。何か変だという感覚だ。

 シリアにおけるアメリカ権力同盟の関与を指摘されると、あなたは不快に感じるかもしれない。そして、ハリウッド映画のように勇敢な自由戦士の一団が邪悪な超悪人独裁者を独力で勇敢に倒したと信じたいのかもしれない。だが現実はあなたの好み通りには進まない。現実には、アメリカを中心とする地球規模の帝国が、そのような出来事に深く関与しているのは確実だ。

 私がこう言うと、私が「シリア人の主体性を否定している」とあなたは思いたがるかもしれない。そして「主体性の否定」は人が犯し得る最悪の罪だ。だが私が言っているのは、シリア人は主体性を持っているという考えと矛盾するものではない。アサド退陣を望むシリア人は明らかに多数いたし、アメリカ帝国と何の関係もない独自の理由でアサドと戦った人も明らかに多数いた。この明白な事実と、2011年の紛争の始めから、シリアに深く入り込んでいたアメリカを中心とする権力構造や、その関与が、今日我々が目にしている出来事につながったという十分文書化された現実との間に矛盾はない。

 シリア人の心をアメリカ帝国が支配し、彼らに自らの力で政府に背くよう強制したという主張ではない。天秤にアメリカ帝国が大きな力を加えて、シリア人のある集団ではなく、別の集団が思い通りに行動できるようにしたという主張なのだ。

 欧米諸国の政権転覆介入主義が今回良い結果につながると主張することは可能だ(一貫して、その逆を示す膨大な歴史的証拠を無視する覚悟がある限り)が、欧米諸国の政権転覆介入主義がシリアで起きたことは、いかなる合理的根拠に基づいても否定できない。

 欧米の自由主義がおかしいのは、欧米帝国の行動、更には帝国の存在そのものから、信奉者連中が、心理的に断絶する能力に大きく依存している点だ。欧米諸国が自分たちのことに大いに気を配り、欧米指導者連中が演壇から平和と外交を訴えながら、世界中で暴力と破壊が広がるのを受動的に見る架空の別世界に欧米の自由主義者は生きている。彼らは帝国が存在しないふりをし、ワシントンの戦略的利益に有利な形で紛争やクーデターや暴動が起こり続けるのは、単なる偶然だと考えている。

 現実には、アメリカが、そうとは宣言していない帝国の中心で、その帝国が自ら支配する単一権力の傘の下に世界中の人々をまとめようと精力的に活動しているのを理解しなければ世界で起きていることを理解するのは不可能だ。この帝国の塊に吸収されることにうまく抵抗している数少ない国々は、我々欧米人が憎むよう洗脳されている公式の悪人だ。中国やロシアやイランや北朝鮮や中南米のいくつかの社会主義国だ。以前シリアもこのリストに含まれていたが、今やもう終わりだ。シリアは帝国の塊に吸収されてしまったのだ。

 そして明日には、帝国の塊は、吸収されていない次の国に照準を移すだろう。これが地球上のあらゆる主要紛争の背後にある根本的力学だ。この力学は、マスメディアとして知られる欧米宣伝機関と、学校教育として知られる欧米の洗脳制度の支援により、主流の欧米西世界観から消し去られている。この力学は、世界の情報システムを操作する金権政治家や帝国管理者によって、我々の世界観から消し去られ、我々の注目から隠されている。さもないと、アメリカ帝国が今日のこの地球で最も暴君的で虐待的権力構造であることに我々が気付いてしまうためだ。

 そしてそれは疑いようのない事実なのだ。21世紀に侵略戦争で何百万人もの人々を殺しながら、何百もの軍事基地で地球を包囲し、世界のどこであれ自らの命令に反対する集団を粉砕するため絶えず活動してきた権力構造は他にない。中国でも、ロシアでも、イランでも、キューバでも、バッシャール・アル・アサドでもない。現代、これほどまでに世界を圧制し虐待してきたのは、アメリカ帝国だけだ。

 そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを目的とした軍事占領を通じて何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

 人間の血の無限の流れによって支えられている帝国に支配されている限り、世界は平和を知ることはできない。それが、帝国の終焉が早く訪れるよう祈る理由なのだ。

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 The Chris Hedges YouTube Channel
The Fall of Assad & What it Means for The Mid East (w/ Alastair Crooke) | The Chris Hedges Report  1:10:46
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
韓国社会、民主主義国家として権力の恣意性に対する抵抗力証明。日本にあるか。韓国議会、尹大統領への2回目弾劾訴追案を採決し議案可決。今後は憲法裁判所が180日以内に、弾劾の妥当性を判断。憲法裁判所が大統領の罷免を認めれば60日以内に大統領選挙。

2024年12月14日 (土)

13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?



フィニアン・カニンガム
2024年12月10日
Strategic Culture Foundation

 シリア崩壊は、アメリカ主導の欧米帝国主義によるもう一つの大きな犯罪だ。

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 わずか13日足らずで、アメリカが支援するジハード主義過激派集団連合軍がシリアを制圧した。11月27日に始まったこの攻撃は、シリアのアサド大統領が急遽辞任しロシアに逃亡する事態にまで発展した。アサド大統領夫妻は12月9日までにモスクワに到着したことが確認された。

 シリアの平和維持のために決断したとアサド大統領は述べた。同大統領の意思決定には関与していないとロシアは述べた。

 アメリカとヨーロッパの政治家連中のこの喜びは、シリア政権転覆のため欧米諸国が何年も投資してきたことを反映している。投資が、ようやく報われたようだ。

 アサド大統領とロシア、イランの同盟国がシリアを手放すために何らかの裏切りや「取り引き」をしたのではないかと推測するのは見当違いだ。確かに息を呑むほどの短期間でシリア軍と当局は降伏した。だがロシアやイランが同盟国シリアを反乱軍のなすがままに放置するなど、舞台裏でもっと悪質な動きがあったのではないかと推測するのは未熟だ。

 長年にわたる欧米諸国の侵略と消耗によってシリアは完全に破壊され疲弊していた。同盟国を救うためにロシアやイランにできることはほとんどなかった。

 シリアの最終的崩壊は、13日間の電撃戦の後に起きたのではない。それは、アメリカとヨーロッパのNATO同盟国による13年にわたる絶え間ない国家テロの後で起きたのだ。アメリカが支援する代理テロの初期段階(2011年から2020年)は、ロシア、イラン、ヒズボラの介入により阻止された。しかし、欧米の代理テロは決定的には打倒されなかった。振り返ってみると、それは運命的な戦略的失策だったと言えるかもしれない。

 2020年以降の代理戦争継続は、アメリカと欧州連合によるシリアへの経済・貿易制裁発動に依存していた。他の手段による戦争には、シリア北部、東部、南部領土をアメリカとトルコ軍が不法占領し、シリアの石油と小麦輸出品を盗むこともあった。前大統領時代「シリアの石油を盗んだ」とトランプは公然と自慢していた。

 政権転覆の標的として、オバマ政権がシリアを狙った2011年から、週末のダマスカス陥落まで、シリアは13年間の消耗戦に耐えてきた。2020年頃からロシアとイランの介入で比較的平和が得られたが、その後もシリア人は食糧、医薬品、燃料に飢えていた。人口の半数以上が家を追われ、シリア経済は崩壊した。通貨は時間ごとのインフレ調整で価値がなくなった。11月27日に、欧米諸国が支援する反政府勢力が北イドリブ地区から侵攻を開始した時、シリア国家には抵抗できるものが何も残っていなかった。アレッポ、ハマ、ホムス、そして首都はドミノ倒しのように陥落した。

 主な反政府勢力は、モハメド・アル・ジャウラニ率いるハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)だ。HTSは国際的に禁止されているテロ組織で、アメリカさえ正式に非合法団体に指定している。指導者には、国務省から1000万ドルの賞金がかけられている。

 だがアメリカ代理戦争という見せかけのゲームで、HTSと指導者はワシントンの手先だ。2011年から、アメリカとNATO同盟諸国は、リビアやトルコや世界中から武器と戦闘員を密輸するアルカイダ、ISIS、ヌスラ戦線(後のHTS)を利用してシリアを攻撃させテロを行った。代理テロリストを「穏健派反政府勢力」と皮肉を込めて呼んで欧米メディアが、この茶番劇を広めた。ペンタゴンが運営するシリア南部のアルタンフ軍事基地は「穏健派反政府勢力」を訓練するためのものだと言われているが、実際に武器化されているのはジハード過激派だ。

 シリアの首都ダマスカスに対する最後の攻勢が始まる前の先週、HTS司令官アル・ジャウラニは、指名手配中のテロリストではなく、政治家らしい指導者としてのイメージを回復するため、アメリカのニュース放送局CNNにゴールデンタイムのインタビューと発言の場を与えられた。自分や組織がISISやアルカイダと関係があった時代はとうに過ぎ去ったとアル・ジャウラニは語った。しかもCNNや他の欧米メディアは、彼らの主張をもっともらしく見せようと全力を尽くしている。ああ、なんというハッピーエンド!

 シーア派やアラウィー派やキリスト教徒が「背教者や異教徒」として斬首された、アメリカが支援するシリア代理戦争の初期段階の特徴だった宗派間流血や報復や殺人的騒乱にシリアが陥るのかどうかは今の初期段階では明らかではない。

 不気味なことに、状況を安定させようとしているとアメリカとイスラエルが皮肉を込めて主張し、直ちにシリア爆撃を開始した。

 シリアで急速に起きている出来事は全世界を驚かせている。アサド大統領がモスクワに亡命することになるとは、ほんの二週間前、一体誰が想像しただろう。自分たちにとっての幸運と見なしすこの出来事を、アメリカやイスラエルや他の欧米諸国指導者たちは信じられないという反応を示している。

 ロシアとイランは本当に不意を突かれたようだ。ロシアのすぐ隣ウクライナでのNATO代理戦争は確実にロシアの軍事資源に打撃を与えている。自国をイスラエルの侵略から防衛することにイランは気を取られている。

 シリアにおける新たな「機会」についてアメリカのジョー・バイデン大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は興奮気味に語った。テロリスト反乱の勝利に関与したと二人は主張した。ガザとレバノンに対する大量虐殺戦争がシリアの同盟者ヒズボラとイランを弱体化させたとネタニヤフ首相は自画自賛した。

 アメリカの国家テロがいかにシリアを破壊し、代理テロリストによるシリア支配への道を開いたかを、恥知らずにもバイデンは更に詳細に語った。「我々の手法は同盟者支援や制裁や外交や標的を絞った軍事力の組み合わせを通じて、中東の勢力均衡を変えてきた」と彼は述べた。

 ワシントンの二重言語で「同盟者支援や制裁や標的を絞った軍事力」とは、国家にトラウマを与えるためのテロリスト支援や、国家を疲弊させるための経済戦争や最終的服従を強制するための違法侵略を意味する。

 シリア崩壊は、アメリカ主導の欧米帝国主義によるもう一つの大きな犯罪だ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/10/syria-after-13-years-of-us-state-terrorism-what-do-you-expect/

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 The Chris Hedges Report
Enduring the Trauma of Genocide (w/ Gabor Maté) | The Chris Hedges Report 54:22
Chris Hedges
Dec 14, 2024
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ウォールストリート・ジャーナル「中国強気の反撃、トランプ次期政権の貿易戦争にらみ。中国の対抗手段は主に非関税措置となりそう。米国は大量に中国製品輸入、米国の対中輸出の約3倍、中国が取引制限対象の外国企業や団体、個人を列挙した“信頼できないエンティティーリスト”作成過程」

2024年12月13日 (金)

エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」



フィニアン・カニンガム
2024年12月6日
Strategic Culture Foundation

 欧米「民主主義」は吸血鬼のようなものだ。高潔なふりをして、何の罰も受けずに、長年にわたり多くの人々の血を吸ってきたのだ。

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 いわゆる指導者と連中に忠実なメディアが、エリート主義と犯罪的利益を追求しながら、国民に対して全く説明責任を負わない姿勢を示すにつれ、欧米民主主義の茶番劇は急速に崩壊つつある。

 麻薬中毒で凶悪な息子を恩赦するため、バイデンは大統領権限を行使した ― 恩赦はしないと約束していたのに。シリア紛争の激化は「内戦」で、NATOが支援する代理テロリストによるものではないと欧米メディアは主張している。ガザでの大量虐殺と、長年の汚職に対する法廷での訴追を逃れるため大量殺人をしているファシスト・イスラエル指導者を欧米は支援している。ロシアに対する代理戦争が核による絶滅に発展する恐れのある、マネーロンダリングをするキーウのネオナチ政権を欧米は支援している。選挙で親EU派集団が敗北した後、ジョージアでの反政府暴力を欧米は支援している。親欧米の韓国指導者は、汚職の訴追を避けるため戒厳令を宣言した。

 これは欧米衰退のイメージをより多く表すほんの一例に過ぎない。

 今週のドイツのアンナレーナ・ベアボック外相の中国訪問は、またしても露骨な失態だった。強迫的な反ロシア派、ベアボック外相が北京に降り立ったのは欧州連合(EU)最大の世界的パートナーとの貿易関係改善を優先するためではなく、ウクライナにおけるロシアの戦争努力を中国が支援しているという退屈な疑惑で中国を威圧するためだった。

 一体どちらがより重要か? 中国と仲良くして貿易を拡大し、何百万人ものドイツ人とヨーロッパ人の雇用を増やすのか、それともウクライナでの無分別な代理戦争に理由もなく見栄を張るか?

 当然、中国当局はベアボックの横柄な態度に不快感を覚え、彼女を軽視した。中国の王毅外相は三時間以上の協議後、慣例となっている共同記者会見を開かず、ベアボックを無視した。別声明で、ウクライナでロシアを軍事的に支援しているという主張を中国は再度否定した。

 というわけで、連立政権が崩壊し、新たな選挙に直面しているため、間もなく職を失うことになるドイツ外務大臣が、EUとの年間貿易額が7000億ドルを超える中国との関係を悪化させるため、税金で北京に飛んだのだ。

 北京での単独記者会見で、ベアボックは傲慢さを倍増させ、中国がロシアを支援しているため、欧州の平和と安全が危険にさらされていると非難した。

 アジアをウクライナとの戦争にロシアのプーチン大統領が引きずり込んでいると彼女は主張した。

 二重思考は驚くべきものだ。ドイツ、欧州連合、NATO、アメリカは、ウクライナにおけるロシアに対する無謀な代理工作のせいで、全世界を戦争に引きずり込むため、あらゆる手を尽くしてきた。この賭けの完全な失敗は、欧州とアメリカの納税者に合計2000億ドルの損害を与え、恐ろしいことに、核戦争へとエスカレートする恐れさえある。

 アジアをロシアがウクライナ戦争に引きずり込んだとベアボックは非難し、現実を逆転させた。代理戦争を中東やアジアを含む他地域に拡大しているのは、アメリカやNATOやヨーロッパの大西洋主義指導者連中だ。

 アルカイダとつながる国際的に禁止されているテロ組織ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)の旗の下で活動するテロリスト民兵によるシリアでの暴力激化を欧米諸国のいわゆる民主主義国とNATOは支援している。ウクライナ軍関係者とトルコ(つまりNATO関係者)がドローン技術でシリア過激派を支援している確実な報告がある。

 ウクライナにおけるアメリカ主導のNATO代理戦争は、崩壊しつつあるキーウ政権に対してロシア軍が着実に前進する中、明らかに、うまくいっていない。シリアで休眠状態にあるNATO代理戦争を激化させるのは、同盟者バッシャール・アル・アサド大統領支援にロシア軍を転用させるための苦肉の策だ。

 レームダック状態のジョー・バイデン大統領は、来月ホワイトハウスを去る前に、キーウ政権を支えるため必死に数十億ドルを投じている。ウクライナでの失敗した戦争挑発にうんざりしたアメリカ人が一部で彼を退陣に投票したにもかかわらず。

 この大統領は、今週息子の有罪判決を恩赦し、数年間の懲役刑を免除した大統領と同じ人物だ。

 自分たちは法の適用を受けないと考え、一般市民の利益を代表することを軽蔑するエリート政治家に運営される寡頭政治に欧米民主主義国家が堕落したことを示すには、あと一体どれだけ証拠が必要なのだろう。

 欧州連合全体が大西洋主義エリート層に掌握され、一般市民の利益でなく、欧米諸国の覇権的権益にかなう政策を押し付けられている。これはまさに反逆罪の定義だ。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も、大西洋主義の専制政治を体現する買収された政治家連中だ。現在NATO事務総長を務める元オランダ首相マーク・ルッテ(閑職と賄賂は我々だ)やポーランド首相ドナルド・トゥスクもその例だ。デンマーク、フィンランド、スウェーデン、バルト諸国の弱小指導者連中もアメリカ属国クラブの一員だ。

 エリート主義のイデオロギーと根深いロシア嫌いに染まり、賄賂に誘惑され、あるいはCIAの脅迫に屈し、こうした政治的売春婦連中は、ヨーロッパ市民の利益を裏切り、大衆の生活を信じられないほど過酷にするために利用されてきた。ロシア・エネルギーは遮断され、ヨーロッパ経済は崩壊した。ドイツは、エネルギー費用上昇により、重要な自動車産業が崩壊している最も顕著な例だ。

 もう一人の馬鹿げたエリート傀儡は元エストニア首相のカヤ・カラスだ。彼女は現在、大西洋主義者のもう一人の手先、ジョセップ・ボレルの後任として欧州連合の外務大臣を務めている。今週の就任初日、カラスはキーウを訪れ、腐敗したネオナチ政権への更なる財政・軍事援助を約束した。そう、任期満了した大統領が選挙を中止し、野党政治家を投獄し、批判的な独立系メディアを検閲し、ロシアとの紛争終結を望む国民に兵役を強制しているネオナチ政権を彼女は訪問したのだ。関係修復のためにEU最大の貿易相手国である中国を訪問した方がよかったとカラスは思わないのだろうか?

 キーウ滞在中、カラス外相は北京のドイツのベアボック外相と連携し、ロシアとの戦略的提携をめぐる根拠のない中国非難を繰り返した。

 ロシアとの貿易関係を中国が維持し、ロシア・ガスを購入するなどして、ウクライナ戦争を長引かせているとカラスは非難した。

 人口150万人未満の小さなバルト諸国出身のこの政治家が、現在、総人口4億5000万人のEUの外交政策を運営している。

 大西洋主義エリート層に典型的なロシア嫌いにとりつかれたカラスは中国がロシアを支援しているという根拠のない疑惑を理由に、より高い貿易関税を中国に課すと脅している。

 ロシアを「戦略的に打倒する」アメリカ帝国主義の計画にEUは闇雲に従って、既に自ら災いを招いている。今、同じエリート政治家連中が、中国との関係を破壊して、ヨーロッパの利益に対する裏切り行為を一層悪化させようとしているのだ。

 だが破綻した民主主義の見せかけという大西洋主義イデオロギーへの卑屈な隷属は自己破壊を伴って跳ね返っている。欧米諸国政府(実際は政権)と信用を失ったエリート・ペテン師連中は嘘と矛盾に対する国民の嫌悪感の高まりにより政権から追い出されつつある。

 何十年も「民主主義」を装ってきた酷い腐敗と欺瞞を国民が目撃するにつれ、欧米諸国は根底から揺さぶられている。

 欧米「民主主義」は吸血鬼のようなものだ。高潔なふりをして、何の罰も受けずに、長年にわたり余りに多くの人々の血を吸ってきた。しかし、真実の光に照らせば、それは腐敗し、崩壊しつつある。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/06/the-elitist-tyranny-of-western-democracy-is-exposed-and-crumbling/

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 Judging Freedom
Larry Johnson : Putin’s Warning to the US. 28:42

2024年12月12日 (木)

アサドは去り、目覚めたアルカイダが台頭



またしても帝国が勝利を収めた。
ケイトリン・ジョンストン
2024年12月8日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 どうやらシリアのバッシャール・アル・アサド大統領政権は崩壊に向かっているようだ。シリアが現在の国境を維持するか、あるいは別々の国家に分割されるかにより、一つ以上のアメリカ傀儡政権に取って代わられる可能性が高い。またしても帝国が勝利を収めた。

 私は軍事評論家ではないが、通常、アサドを支持して楽観的なイライジャ・マグニエペペ・エスコバルなどの評論家たちは、これで終わりだと言っている。トルコが支援する戦闘員や、欧米諸国の支援を受けた歴史を持つアルカイダ系勢力が驚くべき速さ国中を席巻する中、アサドの所在は不明で、現在、ロシアとイランは、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、トルコなどのアメリカ同盟諸国政府と連携し、政治的解決のため戦闘を終わらせるよう呼びかけている。反政府勢力がアサドを捜してダマスカスに入ったと報じており、アサド軍が大統領の主な住居がある地域から撤退する様子が映像で示されているとCNNは報じている

 レバノンとウクライナにおけるアメリカ代理戦争は、今では戦略的にずっと意味を成している。ヒズボラとロシアを他の紛争で縛り付けることにより、ダマスカスへの再攻撃への道が開かれ、ヒズボラへの供給を更に断つ好機が生まれたのだ。私と同じ立場の評論家の多くは、こうした代理戦争を自滅的なものと呼び、死にゆく帝国の必死のあがきで、終焉を加速させるだけだと位置づけてきたが、今や我々は、帝国が何年も追求してきた勝利を収めるのを目の当たりにしており、中東における欧米諸国とイスラエルの締め付けはかつてないほど強まっている。

 一方、アルカイダは目覚めたという物語をマスコミが広め、この政権転覆を支持するため奔走している。

 シリア反体制組織ハヤト・タハリール・アル・シャムを率いる元ISISやアルカイダのメンバー、アブ・モハメド・アル・ジョラニの甘やかし気味のインタビューをCNNは公開したばかりだ。同組織はシリアのアルカイダから改名した分派だ。ジョラニは、過去の過激なやり方から改心したとCNNに語り、「時には現実に適応することが不可欠だ」と付け加えた。「柔軟性を持たず特定の考えや原則に固執する人は社会を効果的に導くことも、シリアで起きているような複雑な紛争を切り抜けることもできない」と補足した。

 CNNの「シリア反政府勢力指導者はいかにして過激ジハード主義者からブレザーを着た『革命家』になったか」や、イスラエル・タイムズの「シリア反政府勢力指導者ゴラニ:過激ジハード主義者から表向き実用主義者へ」、テレグラフの「シリアの『多様性に優しい』ジハード主義者は国家建設をどのように計画しているのか」といった見出しで、今や帝国主義報道機関は溢れている。

 元ISISやアルカイダのメンバーが、自分の名の横に好みの性別代名詞を添えて、リベラルな欧米諸国の対談番組で語り合う姿を見るようになるのも時間の問題だろう。

 幸運なことに「イスラエルを愛している」ので、イスラエルの利益を損なうようなことは決ししないと、この「多様性に好意的な聖戦主義者」はイスラエル報道機関に語った。従って、この「革命」は結晶メタンフェタミンと同じくらい有機的に成長したと言っても過言ではない。

 世界を支配する超大国の多くの特典の一つは時間的な余裕があることだ。政権転覆作戦が一つ失敗しても心配はいらない。チェスの駒を動かして再度挑戦すれば良い。中南米でクーデターが失敗しても心配することはない。クーデターはまた起こせる。シリア奪取の試みが失敗しても、制裁でシリアを粉砕し、油田を占領し、貧困化させ、他の場所での代理戦争で軍事同盟国を過度に手を広げさせてから、後で奪取すれば良い。

 優れたキックボクサーは、ほとんどのパンチが外れるか防御されるか、最小限の打撃しか与えないと理解して、最終的にはノックアウトの一撃を当てられると信じて、多くのコンビネーションを繰り出す。

 永遠に続く帝国などないが、この帝国が近い将来に消滅する証拠はない。この醜悪さは、おそらく何世代にもわたって続くだろう。
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 画像は、YouTube の CNN からのスクリーンショット (フェアユース)。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/08/assad-is-out-woke-al-qaeda-is-in/

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 Judging Freedom
COL Douglas Macgregor : SYRIA - a looming crisis awaits. 25:34
Prof. John Mearsheimer : "Russophobic " - Buzzword for MSM 28:26

2024年12月11日 (水)

シリア崩壊

2024年12月9日
Moon of Alabama

 シリアが崩壊した。

 シリア - 勝者なのか敗者なのか、それとも、その両方なのか

 この国が崩壊する可能性は今や非常に高い。国外および国内関係者は、それぞれ可能な限り遺骸の多くの部分を捕獲したり支配したりしようとするだろう。

 そこから何年にもわたる混乱と争いが続くことになるだろう。

 イスラエルはシリア領土を更に広範囲に奪取している。シリアの都市クネイトラを制圧し、クネイトラ地域のアル・カハタニヤとアル・ハミディヤの町も制圧した。またシリアのヘルモン山にも進攻し、現在シリア首都から僅か30キロ地点(上空)にいる。

 また、イスラエルは射程圏内のシリア軍備貯蔵施設を爆撃して、シリアの非武装化を更に進めている。主な標的は防空陣地と揚陸艦だ。今後何年もシリア、あるいはシリアから発展する国は、外部からの攻撃に対して完全に無防備状態になるだろう。

 今のところイスラエルは、シリアで大勝利を収めている。だが落ち着きのないジハード主義者連中が今や国境に迫っており、この状況がいつまで続くかはまだ分からない。

 シリアの中央砂漠をアメリカは爆撃している。ISISを攻撃していると主張しているが、本当の標的は、アメリカが支配するシリア東部とイスラエルが支配する南西部とのつながりを阻止する可能性がある全ての現地(アラブ)抵抗勢力だ。このつながりを更に強化して、川から海までシオニストが支配するエレツ・イスラエル国家を建設する計画のる可能性は十分にある。

 シリア攻撃において、トルコはこれまでも、そしてこれからも大きな役割を果たし続ける。トルコは「シリア国民軍」(旧自由シリア軍)に資金提供し、支配しており、主にシリア国内のクルド人分離主義者との戦いに利用している。

 トルコには300万から500万人のシリア難民がいるが、国王志望者のエルドアン大統領は国内政治的理由から彼らがシリアに帰国するのを望んでいる。だが混乱が拡大しているため、それは許されないだろう。

 トルコはアルカイダから派生したハヤト・タハリール・アル・シャムを育成し、アレッポを占領するよう圧力をかけてきた。この組織がこれほど成功するとはトルコは予想していなかった。シリア陥落は、アメリカがシリアを支配しつつある今、トルコにとって問題となっている。トルコが何をしようと、控えめに言っても、ワシントンは必ずしも両立しない国益のためにHTSを利用しようとするだろう。

 トルコにとって主目的は、トルコ国内のクルド人反乱軍と、彼らを支援するシリアのクルド人だ。クルド人はシリア民主軍として組織されており、アメリカが支援し、支配している。SDFは既にエルドアンのSNAと戦っており、シリアにトルコが更に侵入すれば、彼らは対抗することになるだろう。

 シリア東部でアメリカ占領軍の支援を受けているSDFは、シリア東部の主要石油、ガス、小麦産地を掌握している。ダマスカスで支配したいと望む者は、国家財政を支えるため、これらの資源を自由に得ちれる必要がある。

 HTS指導者アブ・モハメド・アル・ゴラニは、1,000万ドルの賞金が懸けられているにもかかわらず、現在、シリア統一と寛容の新指導者として欧米メディアに取り上げられている。だが彼のHTS自体は様々な国々の強硬派ジハード主義者の連合体だ。略奪できるものがシリアにはほとんど残っておらず、それら資源が尽きれば、すぐにHTS内で戦闘が始まるだろう。ダマスカスのシーア派やキリスト教の聖地を略奪し始めた同志の宗派的衝動を、アル・ゴラニは制御できるのだろうか。

 ここ数年、ロシアはアサド政権に見かけほど注力していなかった。アサドがほとんど役に立たないパートナーになったのをロシアは知っていた。ラタキア県フメイミムにあるロシアの地中海基地は、ロシアにとってアフリカへの足掛かりとなっている。シリア新指導者には、ロシアを追い出すようアメリカから圧力がかかるだろう。だが、シリア新指導者は、賢明なら、ロシアを留めておきたいと思うはずだ。いずれ必要になった時に代わりの選択肢を持つことは決して悪いことではない。ロシアは今後何年もラタキアに留まるかもしれない。

 シリア陥落により、イランはイスラエルに対する抵抗枢軸の主要部分を失った。レバノンのヒズボラが提供していた前線防衛は今や崩壊している。

 かつてペンタゴンでした会話について、元将軍ウェズリー・クラークは以下のように報じていた。  
「これは、イラクから始まり、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランまで、7カ国を5年で、どう排除するかを記したメモだ。」
 現在までに、あの有名なメモに記された7カ国中6カ国は混乱に陥っている。イランは、これまでのところ、その計画から唯一生き残っている。イランは緊急に国内防衛力を更に強化する必要がある。今こそ、イランが本物の核兵器を手に入れるべき時だ。

 トランプ新政権は中国を最大の敵とみなしている。退任するバイデン政権は、シリア(とウクライナ)を混乱に陥れて、確実にトランプが中東(と東ヨーロッパ)に関与し続けるようにした。

 アメリカの大規模「アジア回帰」は再び待たねばならない。これにより中国は勢力圏を築くための時間が増える。中国はおそらくこの件で勝利を収めた唯一の大国だろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-winner-and-losers-or-both.html

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 ノーベル賞受賞の演説を見ながら、大昔、オスロに出張したことを思い出した。
 グランド・ホテルに宿泊した。
 顧客にホルメンコーレン・スキー・ジャンプ場のレストランで鹿肉ステーキをご馳走になった。
 翌日、ムンク美術館に行った。「叫び」を含むムンク作品を鑑賞したが他の訪問者皆無。

 The Chris Hedges Report
Letter to Refaat Alareer
 A year ago on Dec. 6, 2023 Israel murdered Palestinian poet Refaat Alareer in Gaza. His poems, however, remain, condemning his killers and beseeching us to honor our shared humanity.

 Chris Hedges
 Dec 11, 2024

 藤永茂氏の「私の闇の奥」最新記事
シリア哀悼
 ≪櫻井ジャーナル≫
シリア全土でHTS戦闘員による虐殺が行われていると報告され始めた
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国の対中禁輸措置に対抗し、中国はガリウム、ゲルマニウム、黒鉛、アンチモンの対米禁輸を決め、第三国が輸入し米国に回すことも禁止。中国の重要鉱物禁輸措置は予想以上に厳しい。但し中国側は交渉で妥協を図る余地も残す。米国の同盟国にも厳しい状況がくるであろう(NYT)

2024年12月 9日 (月)

クレイグ・マレー - 中東における多元主義の終焉

2024年12月7日
Moon of Alabama

クレイグ・マレーcraigmurray.org.ukから転載

 中東では本当に劇的な変化が実に急激に起きているようだ。核心にあるのは悪魔の取引だ。シリアとレバノンのシーア派少数派の絶滅と東アラブ世界へのサラフィー主義の押し付けと引き換えに、パレスチナ国家の絶滅と大イスラエル創設をトルコと湾岸諸国は受け入れている。

 これはまた、レバノンとシリアのキリスト教共同体の終焉を意味するもので、現在アレッポではクリスマスの飾りが全て破壊され、アルコール飲料が全て破壊され、女性にベールが強制的に着用させていることからもそれがわかる。

 昨日、シリア政府の要請でイラクからシリアへ向かっていた増援部隊を米軍のウォートホッグ(イボイノシシ)空対地戦闘機が攻撃し大幅に消耗させた。シリア軍事施設に対するイスラエルの何ヶ月にもわたる毎日の絶え間ない空爆がシリア政府のシリア・アラブ軍の士気低下と戦力低下の大きな要因で、アレッポとハマでシリア・アラブ軍は完全消滅した。

 シリアで情勢が好転するとは到底考えられない。今、シリアの基地を地上部隊で大規模増強するか撤退するかのどちらかをロシアは迫られている。ウクライナの緊急事態に直面して、ロシアは後者を選択する可能性があり、ロシア海軍は既にタルトゥースを出港したと報じられている。

 シリア崩壊の速度には誰もが驚いている。状況が安定しなければ、ISISの進撃の速度と移動距離の短さを考えれば、一週間以内にダマスカスが包囲され、ベカー高原の丘陵地帯にISISが戻ってくる可能性がある。

 そうなれば、サラフィー主義者のベッカー高原侵攻と同時期にイスラエルが南レバノンに新たな攻撃を仕掛けるのは避けられないように思われる。タリバン式のシリア領土を持つ新たな隣国との国境をできるだけ北にしたいとイスラエルは明らかに望んでいるためだ。既に、アメリカが一体誰がそこを得るか画策していない限り、ベイルートを巡る争いになるかもしれない。

 対シリア攻撃がレバノンとイスラエル停戦の日に始まったのは偶然ではない。ヒズボラは、イスラエルから執拗な空爆を受け、イスラエルとの戦いで疲弊しているいるにもかかわらず、ジハード勢力は、イスラエル共に戦っているとは見られたくないのだ。

 イギリス・メディアと異なり、言ってはならないことを言うのに、タイムズ・オブ・イスラエルは何の躊躇もしない。



 実際、イスラエル・メディアは今のところ、シリア反政府勢力についてイギリスやアメリカのメディアより、ずっと多くの真実を伝えている。これはイスラエル・タイムズの別記事だ。  
HTSは2016年に正式にアルカイダから離脱したが戦闘員数万人を擁し、アメリカ、EUや他の国々でテロ組織に指定されているサラフィー主義ジハード組織であり続けている。

 突然の増派によってシリアが占領されればイスラム主義のタリバンのような政権に変貌し、南西国境のイスラエルに影響を及ぼすのではないかという懸念が生じている。だが、この攻勢は、イスラエルにとっては前向きな展開で、地域におけるイラン枢軸への更なる打撃となると見る者もいる。
これを、テレグラフ紙やエクスプレス紙からガーディアン紙に至るイギリス・メディアが、欧米諸国のジャーナリストを含む非スンニ派の大量拷問や処刑に関与した同じ組織だけでなく、同じ人々が、今や甘やかされたリベラル派だという公式見解を広めてきたことと比較しよう。

 このことは、現在欧米メディアで穏健派指導者として持ちあげられているアブ・モハメド・アル・ジョラニ(アル・ジュラニ、アル・ゴラニとも表記される)の場合ほど明白な例はない。彼はISIS副指導者だったが、CIAは実際彼の首に1000万ドルの賞金をかけている! そう彼に資金と装備を提供し、航空支援を与えているのも、まさにCIAだ。

 イスラエルとアメリカの支援を受けていることを、シリア反政府勢力支持者は、いまだに否定しようとしている。しかし、ほぼ10年前に、その時点で5億ドル以上が、シリア反政府勢力支援に費やされ、ジハード主義者に、医療やその他のサービスや効果的航空支援をイスラエルは公然と提供してきたというアメリカ議会の公開証言があった。

 シリアの聖戦集団に対するNATOとイスラエルの共同支援の興味深い結果の一つは、国内法の更なる歪曲だ。イギリスを例に挙げれば、テロ対策法第12条では、禁止された組織を支持する、または、他者にその組織を支持するよう導く可能性がある意見を述べることは違法だ。

 イギリス警察が、この規定を悪用し、禁止されている組織ハマスとヒズボラへの支援を奨励したとしてパレスチナ支持者を迫害しているのは有名で、ほんの少し言及しただけでも逮捕につながっている。サラ・ウィルキンソン、リチャード・メドハースト、アサ・ウィンスタンリー、リチャード・バーナード、そして私自身、いずれも著名な被害者で、この迫害はキール・スターマー首相により大幅に激化している。

 しかし、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)もイギリスでは禁止されている団体だ。しかし、イギリスの主流メディアやイギリスのイスラム系メディアは、どちらも、一週間にわたりHTSを公然と宣伝し賞賛してきた。率直に言って、イギリスでハマスやヒズボラを支持する人を見たことがある人よりも遙かに公然とだ。そしてイギリス警察に逮捕された人や警告を受けた人は一人もいない。




 それ自体、欧米諸国の治安機関がシリアに対する現在の攻撃を全面的に支援していることを示す最も強力な兆候だ。

 念のため言っておくが、私はこれはひどい法律だと思うし、どちらにせよ、意見を表明したからといって、誰も起訴されるべきではない。しかし、この法律の適用が政治的に偏っていることは否定できない。

 欧米諸国の商業メディアと国営メディア全体が、HTSによりアサド政権の圧政から解放されてシリア国民が大喜びしているという統一した報道を展開し、それに伴うシーア派の拷問や処刑、クリスマスの飾りや聖像破壊については一切言及しないのだから、これがどこから来ているのかは誰の目にも明らかなはずだ。

 しかし、これはイギリス国内でのもう一つの反響だが、イギリスでは相当数のイスラム教徒がHTSとシリア反政府勢力を支持している。これは、サウジやアラブ首長国連邦のサラフィー主義者からイギリスのモスクに資金が注ぎ込まれているためだ。これは承認された宗教指導者に利益をもたらす公的支援プログラムや「シンクタンク」や忌まわしい強制的なPreventプログラム両方を通じて、モスクを通じて行使されるイギリス治安当局の影響力と結びついている。

 ミドル・イースト・アイやファイブ・ピラーズなど、表面上親パレスチナ派のイギリス・イスラム系メディアは、パレスチナ人虐殺への抵抗勢力の壊滅を確実にするイスラエルのシリア同盟国を熱烈に支持している。アルジャジーラは、パレスチナでの恐ろしい虐殺の詳細を伝える記事と、イスラエルと同盟を組んだシリアの統治をシリアにもたらしているシリア反政府勢力を称賛する記事を交互に放送している。

 彼らがこの問題を解決するために採用している手段の一つは、イランからヒズボラへの武器供給を可能にするシリアの重要な役割を認めないことだ。この供給は今やジハード主義者に遮断されており、イスラエルにとって非常に喜ばしいことに、イスラエルとアメリカの空爆と連携して行われている。

 結局、中東と西洋の多くのスンニ派イスラム教徒にとって、パレスチナ国家の最終的破壊を防ぐことよりも、シーア派に対する宗派的憎悪とサラフィー主義の押し付けの方が強いように思われる。

 私はイスラム教徒ではない。イスラム教徒の私の友人は、ほとんどスンニ派だ。千年以上も前の宗教指導者を巡って分裂が続いていることは何の役にや立たず、不必要な憎しみの根源だと私は個人的に考えている。

 だが、何世紀にもわたり、スンニ派とシーア派の分裂を、西洋植民地勢力が意識的に、明示的に利用して分割統治をしてきたことを私は歴史家として知っている。1830年代、シインドにおけるシーア派支配者とスンニ派住民の分裂をイギリス植民地拡大に役立てる方法についてアレクサンダー・バーンズが報告書を書いていた。

 1838年5月12日、アフガニスタンへの最初のイギリス侵攻を開始する決定を述べたシムラーからの手紙の中で、イギリス総督オークランド卿はインドとアフガニスタン両国におけるシーア派とスンニ派の分裂を利用してイギリス軍の攻撃を支援する計画を盛り込んだ。

 何世紀にもわたり、植民地勢力はこれを行っており、イスラム教共同体はそれに騙され続けており、中東の改造を進めるためにイギリスとアメリカは現在これを行っている。

 簡単に言えば、ガザ地区の圧倒的多数を占めるスンニ派住民に対して現在大量虐殺を行っている連中よりもシーア派イスラム教徒を憎むよう、多くのスンニ派イスラム教徒は洗脳されているのだ。

 私がイギリスに言及したのは、ブラックバーンの選挙運動中に、これを直接目撃したからだ。だがイスラム世界全体でも同じことが言える。パレスチナ人の大量虐殺を阻止するために、スンニ派イスラム教徒主導の国々は指一本動かしていない。

 彼らの指導部は、反シーア派宗派主義を利用して、実際抵抗の実際的支援をパレスチナ人に与えようとしている唯一の集団であるイラン、フーシ派、ヒズボラに対抗し、イスラエルとの事実上の同盟に対する国民の支持を維持しようとしている。そして物資供給を容易にしたシリア政府にも対抗している。

 暗黙ながら、非常に現実的な合意は次の通りだ。パレスチナ国家全体の消滅と大イスラエルの形成をスンニ派勢力は受け入れるが、その見返りとして、イスラエルとNATOに支援される軍隊(トルコを含む)がシリアとレバノンのシーア派共同体を絶滅させるのだ。

 もちろん、この大同盟には矛盾もある。イラクにおけるアメリカのクルド人同盟者が、シリアのクルド人集団をトルコが破壊したのを喜ぶ可能性は低い。これは、トルコがシリア打倒で非常に積極的な軍事的役割を果たしたことで、エルドアン大統領が得た利益で、油田に対するトルコの支配を更に拡大したことによるものだ。

 イランに友好的なイラク政府は、自分たちが次の標的だと認識しており、自国の大部分をアメリカが占領し続けるのを受け入れるのは更に困難になるだろう。

 レバノン軍はアメリカ支配下にあり、イスラエルとの悲惨な停戦に合意するには、ヒズボラは大きく弱体化していたに違いない。伝統的にイスラエルと同盟を結んでいたキリスト教ファシスト民兵はベイルート各地で益々目立っているが、彼らが北のジハード主義者と手を組むほど愚かかどうかは疑問かもしれない。だがシリアが完全にジハード主義者の支配下に陥れば ― それはすぐに起きるかもしれない ― レバノンもすぐ、それに追随し、サラフィー主義の大シリアに統合される可能性も否定できない。

 ヨルダンのパレスチナ人がこの悲惨な事態にどう反応するかは定かではない。大イスラエル計画のもと、民族浄化されたヨルダン川西岸のパレスチナ人の行き先として指定されているのは、イギリス傀儡のハシミテ王国だ。

 これら全てが意味するのは、レバントにおける多元主義の終焉と、それが優越主義に置き換わることだ。民族優越主義の大イスラエルと宗教優越主義のサラフィー主義の大シリアだ。

 多くの読者と違い、私はアサド政権のファンだったこともなければ、その人権侵害に目をつぶったこともない。だがアサド政権が確実に成し遂げたのは、スンニ派(多くのスンニ派はアサドを支持している)、シーア派、アラウィー派、初期キリスト教徒の子孫や、イエスの言語であるアラム語話者を含む最も素晴らしい歴史的宗教と共同体の伝統が全て共存できる多元主義国家の維持だ。

 レバノンも同様だ。

 我々が目撃しているのは、その破壊とサウジアラビア式支配の押し付けだ。クリスマスツリーから語学教室、ワイン醸造、ベールを脱ぐ女性まで、多元主義を示すあらゆる小さな文化的物事がアレッポで破壊されたばかりで、ダマスカスからベイルートまで破壊される可能性がある。

 アサド反対派の中には真の自由民主主義者はいないと私は言わない。だが彼らの軍事的重要性は無視できるほど小さく、彼らが新政府に影響力を持つという考えは妄想だ。

 多元主義国家を装っていたイスラエルで、仮面は剥がされている。イスラム教徒の礼拝の呼びかけが禁止されたばかりだ。ネタニヤフ首相と大量虐殺を批判したためクネセト(議会)のアラブ系少数派議員は議員資格を剥奪された。不法占領地域だけでなく「イスラエル国」自体でもアパルトヘイトを強制するための壁や門が日々建設されている。

 告白するが、かつて私はヒズボラ自体、宗教至上主義の組織だという印象を持っていた。指導者の服装やスタイルは神政主義的に見えた。その後、私はここへ来て、数十年ヒズボラが選出した地方政府下にあったティルスなどの場所を訪れ、海岸で水着やアルコールが許可され、ベールが任意な一方、そこには全く妨害されないキリスト教徒共同会があると知った。

 私はもうガザに行くことはないだろうが、ハマスの支配にも同じように驚いたかもしれないと思う。

 中東全域で宗教的過激主義を推進し、欧米の規範に似た社会的多元主義の終焉を推進しているのはアメリカだ。これはもちろん、イスラエルとサウジアラビアという二つの宗教至上主義の中心地とアメリカが同盟を結んでいる直接的な結果だ。

 多元主義を破壊しているのはアメリカで、多元主義を守っているのはイランと同盟諸国だ。ここに来なければ、私はこれをはっきり見ることができなかっただろう。しかし、一度見れば、目もくらむほど明白だ。

ベイルート 2024年12月6日

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 クレイグの活動をご支援願いたい

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/craig-murray-the-end-of-pluralism-in-the-middle-east-.html#more

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2024年12月 8日 (日)

アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由

Salman Rafi Sheikh
2024年12月5日
New Eastern Outlook

 ロシアへのミサイル発射をウクライナに許可したワシントン(とロンドン)の決定は明らかに緊張を高めるが、決定の背後にある謎のほとんどはタイミングで説明できる。

 アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由

 バイデンが無謀だというだけではない。単なる狂気でもない。これは世界的地政学の要素を帯びた政治なのだ。

 大統領選挙と議会選挙の両方で共和党に敗れたバイデン政権は焦土作戦をとっているようだ。2025年に、トランプが就任して、交渉によるロシア・ウクライナ(NATO)軍事紛争解決に向かう前に、退任する政権は、問題を現在より遙かに複雑、致命的にするつもりのようだ。この計算されたエスカレーションの中心にあるのは、トランプの成功と、彼がNATOをウクライナから撤退させ、アメリカ覇権を覆す可能性に不満を抱く、アメリカの「ディープステート」だ。トランプは選挙運動中、戦争を終わらせると主張していた。

 アメリカの「ディープステート」は少なくとも彼に簡単にそうさせたくないのだ。

 NATOの失敗は欧州諸国が独自外交政策の方向性を決める新たな機会を生み出すだろう

 タイミング

 アメリカ製ミサイルをウクライナがロシア領内に発射するのを許可することにバイデン政権は長い間抵抗してきた。今回の発射は、モスクワにとって進行中の紛争の「新たな局面」を意味する。モスクワには、おそらくこれ以外には、物事を見る方法がない。民主党支持派の反応は、この決定は、今後の交渉の可能性を受けて、ロシアに対するウクライナの立場を強化したいというバイデン政権の願望が動機となっているというものだ。だが、これが本当に主な意図なら、なぜバイデン政権は大統領職の絶頂期、つまり例えば1年前に同じ結論に達しなかったのだろう? バイデン政権は、ロシアが交渉の席に着くことを期待して、同じエスカレーションができたはずだ。ただし、バイデン政権がそのような決定を下さなかったのには、一つ、主な理由がある。

 モスクワの対応が、より致命的なものとなり、ワシントンとNATOが対処できる範囲を超えて戦争が激化すると彼らは理解していたのだ。バイデン政権は、致命的な激化は選挙での敗北につながると主張した。彼らは既に選挙に負けており、今更どうすることもできないため、トランプ政権を潰すために意図的に戦争を激化させているのだ。戦争が激化すれば、トランプ政権がロシアと交渉するのが難しくなる。また、トランプ政権がヨーロッパの同盟諸国と交渉するのも難しくなる。問題が複雑になるほど、解決策を見つけるのに時間がかかる。全体として、これで紛争を迅速に終わらせることができなかった責任をトランプ政権に転嫁する政治的機会を民主党に与えることになる。民主党にとって、これは中間選挙で提起できる重要な論点の一つになる可能性がある。

 この決定の背後にある政治を、バイデン政権の主要関係者は間接的に認めた。国務省のマシュー・ミラー報道官は、この決定を擁護し「アメリカ国民はジョー・バイデンを3年10カ月ではなく4年の任期で選んだ。任期中は、毎日アメリカ国民の利益になると信じる外交政策の利益を追求する」と記者会見で述べた。ただし、ここで問題となるのは民主党の利益だけだという点に注意が必要だ。

 反応

 この政治をトランプ政権は理解している。Xへの投稿で、この変更は「父が平和をもたらし、人命を救う機会を得る前に、第三次世界大戦を始める」ことが狙いだとドナルド・トランプ・ジュニアは述べた。これは「エスカレーションの階段をもう一歩上ったもので、これがどこに向かうのか誰にも分からない」とトランプ大統領が国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名したマイク・ウォルツ下院議員がフォックス・ニュースで語った。「移行期間中にウクライナでの戦争をエスカレートさせる」動きをバイデンが見せていると元トランプ政権の閣僚リチャード・グレネルも非難した。「まるで彼は全く新しい戦争を始めようとしているかのようだ。全て変わった。これまでの計算は全て無効だ」と彼は付け加えた。

 この反応は当然だ。なぜなら、ウクライナはATACMSシステムを数十基しか受け取っていないからだ。ウクライナの立場をバイデン政権が本当に強化したいかなら、まず必要なのはこの装置の十分な供給確保だったはずだ。ウクライナが備蓄の全てを余りに早く発射し、意味ある影響を及ぼさない可能性が高いとすれば、このエスカレーションが意味するものは、交渉による紛争終結を遙かに複雑にするだけだ。1月にトランプが政権を握る前に更にエスカレーションが起きれば、そしてエスカレーションは十分あり得るが、今後数ヶ月間、紛争が激化することになる。

 大詰め

 トランプ政権が紛争を終わらせると、ほとんどの人が理解している。第一に、トランプにはアメリカの外交政策上の利益を推進するために軍事紛争を利用するつもりはない。第二に、トランプ政治の中心は「アメリカ第一主義」政策だ。軍事紛争がトランプ陣営にいかに不適合かを理解しているのは、民主党員だけでなく、ウクライナ大統領自身も含まれる。二週間前、トランプが勝利した今、紛争は「より早く」終わるだろうと彼は公言している。

 アメリカ「ディープステート」内の反ロシア陣営にとって、この予想は非常に不安だ。これ以上NATOがヨーロッパに拡大できなくなることを意味するのだ。NATOが失敗すれば、ヨーロッパ諸国がロシアとの関係を含め、独自外交政策の方向性を決める新たな機会を生み出すだろう。実際、これは既に起きている。最近ドイツ首相がロシア大統領と会談したのは、単に紛争終結の可能性について話すためだけでなく、紛争後の二国間関係を把握するためでもあった。更に重要なのは、ドイツが電話会談を開始したことだ。従って、ドイツはロシアからのガス供給を再開する可能性がある。実際、両首脳はエネルギー貿易における「協力」の可能性について話し合った。

 この電話がきっかけで他のヨーロッパ指導者たちが電話をかけてウラジミール・プーチン大統領と話すようになるのではないかとワシントンは恐れている。それはワシントンが状況を制御できなくなることを意味する。そんなことが起きるのをワシントンの連中は望んでいない。従って、紛争を激化させる主な地政学的理由は、既にかなり近づいている終戦を阻止することだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交・内政専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/05/why-biden-allowed-ukraine-to-fire-us-missiles-into-russia/

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 India & Global Left 長年の中東過激派、名こそ頻繁に変わるが宗教無関係。実態はNATO、アメリカ、イギリス、トルコ、イスラエルが連中の狙いのために仕組む暴力組織とMohammad Marandi教授は切り捨てる。
Mohammad Marandi: Syrian Civil War, Erdogan, Netanyahu, Turkey, Israel, Russia, US, Iran, Palestine.  1:00:28
 デモクラシータイムス
この1年を振り返る WeN20241207

2024年12月 7日 (土)

ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由



マイク・ホイットニー
2024年12月1日
The Unz Review

 シリアは、イスラエルの中東再編の野心的計画に欠かせない一部だ。シリアは中東地域の中心に位置し、イランから同盟諸国への武器や歩兵の輸送に不可欠な陸橋であると同時に、イスラエルの拡張に対する武装抵抗の地政学的中心地でもある。イスラエルがこの地域を本当に支配するには、ダマスカス政府を打倒し、ヨルダンやエジプトと同様の傀儡政権を樹立する必要がある。ワシントンが(自国よりも)イスラエルの利益を「無条件に」支持するよう説得された今、テルアビブの包括的計画を実現する可能性が最も高い変化を起こすのにこれ以上の時はない。南部から地上戦を開始し、シリア軍を半分に分割して成功の見通しを大幅に改善する二正面戦争を起こす準備がベンヤミン・ネタニヤフ首相はできている。同時に、アメリカが支援するジハード主義者が、シリア北部で暴れ回り続け、シリアのぼろぼろになった防衛を徐々に蝕み、シリアの産業首都アレッポの安全を更に確保するだろう。 もしダマスカスが陥落し、アサドが権力の座から退けば、イスラエルの地域覇権の夢は手の届くところにあり、おそらく実現可能になるだろう。ただし我々が想定している通り、見返りとしてイランとの戦争を開始するとトランプ大統領がホワイトハウスに押し込んだ強力なロビイスト連中に約束した場合だ。だが、まずはシリアが鎮圧され、シリア軍が敗北し、現支配者が追放されなければならない。それが、同盟諸国やパートナーからイランを効果的に切り離し、今後の恐ろしい猛攻撃に備える唯一の方法だ。

 現在イスラエルの血に飢えた十字軍に終止符を打てる人物は世界に一人しかいない。



 プーチンが迅速に行動し、アサドに緊急援助を提供しなければ、現在の事態は取り返しがつかなくなる可能性が高い。これは、アメリカが支援するテロ攻撃や(間もなく起こるだろう)南部の挑発を阻止するためロシア戦闘部隊を派遣することを意味する可能性もある。要するに、主権国家シリアは今や存亡の危機に直面しており、プーチンがいつもの慎重な姿勢を捨て、蛮族を撃退するために必要な手段をシリアに提供しなければ、地域全体と世界に悪影響を及ぼすことになるだろう。

 日曜版のタイムズ・オブ・イスラエルで、イスラエルの戦争計画者連中が既にシリア南部から侵攻する口実を決めていることがわかる。「 Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM(反政府勢力のシリア侵攻はイスラエルの短期的利益と、潜在的な問題を意味すると情報機関幹部が首相に伝えたとされる)」と題された記事の抜粋をご覧願いたい。  
シリアにおけるジハード主義反政府勢力の侵攻をイスラエルはかなり警戒して見守っており、シリア政治階層の動向が最終的にイスラエルにとって問題となる可能性があると諜報機関責任者たちは語っているとチャンネル12が報じている。「アサド政権を守るため、今後ヒズボラの注意はシリアに移り、ヒズボラの軍もシリアに移るだろう」とネタニヤフ首相が言ったと報じられている。

 「アサド政権崩壊は混乱を引き起こし、イスラエルに対する軍事的脅威が高まりかねないはずだ」と情報機関責任者らは警告している。

 更に、金曜日の安全保障協議で、アサド政権の「戦略能力」がジハード主義者の手に渡る可能性があるという懸念が提起されたとチャンネル12は報じている。最大の懸念は「化学兵器の残骸」に関するものだと同報道は述べている。

 イスラエルが行動を迫られるシナリオに、イスラエル国防軍は備えていると言われているが、報道は詳細を明らかにしていない。

 国の安定を図るため、シリアは相当数のイラン軍兵士に門戸を開く可能性があるという評価もあると報告書は述べている。Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM,(反政府勢力のシリア侵攻は、短期的にはイスラエルにとって利益だが、潜在的な問題になると諜報機関幹部が首相に伝えた)と報じられている。タイムズ・オブ・イスラエル
 ここでシリア侵攻の正当性は白黒はっきりしている。イスラエルには「化学兵器」から「イラン軍」、政権転覆後の「混乱」や「アサド政権を守る」ヒズボラ軍まで、言い訳はいくらでもある。あらゆる場面で、あらゆる事態にイスラエルがいかに備えているかわかる。この計画は何年も、いやそれ以上前から練られてきた。そしてもちろん、この戦略は大団円である1月の就任式に向けて戦場を準備するため迅速に実行されなければならない。就任式で、アメリカ史上最も親シオニスト大統領が即位し、イスラエルが熱望するイランとの戦争で報いを受けることになる。何も成り行きに任せるわけには行かない。



ビデオ—「テロリストは欧米の新軍隊だ」とシリアのアサド大統領が説明 3分

 驚くべきことに、アレッポ情勢についてエルサレムポスト紙の連中は、より率直な見解を述べている。実際、ある賢明な評論家は、狂信的な首切り屋連中の手によるシリアの産業首都の降伏は「良いニュース」だと率直に認めている。何だって? 記事の抜粋は以下の通り。  
土曜日のX/Twitterへの投稿で、イスラム主義者によるアレッポ攻撃は「表面上イスラエルにとって良いニュースだ」とエルサレム戦略安全保障研究所のダニエル・ラコフ上級研究員は述べた。「シリア北部が反政府勢力の手に落ちたことで、イランとヒズボラのインフラが損なわれ、ヒズボラ再建に向けた取り組みは困難になるだろう」と彼は述べた。

 また、ロシア国営メディアはアレッポでの紛争をほとんど無視する一方、世界紛争に関するロシアの評論家は、シリアの都市の防衛失敗についてモスクワは責任を負わず、ロシアはそこにほとんど兵力を配備しておらず、この事件はアサド政権にとって大きな失敗だったと述べているとイスラエルの研究者は主張している。

 イスラエルにとってシリア攻撃の好機?

 更に、アサド政権が示した弱さにより、イスラエルがシリアを攻撃する機会があるという考えをラコフは抱いている。

 「アサド大統領がアレッポを失ったことで、旧ソ連圏外に影響力を発揮できる大国としてのロシアのイメージが損なわれ、プーチン大統領の重要な戦略的資産であるシリアの基地が脅かされる」と彼は書いている。「これはまた、この地域におけるロシアのイメージに悪影響を及ぼす」

 「クルスクでのウクライナ軍の攻勢からわかる通り、ロシアはヒステリックに急ぐつもりはないが、アレッポ陥落の速さを考えれば、迅速な対応が求められるだろう」と彼は書いている。

 JISSの研究者は、シリア情勢の不安定化によりアサドとロシアがイラン軍の進入をより強力に容認する可能性がある一方、アサド政権崩壊によりイスラエルに対する重大な軍事的脅威が増大するシナリオが生まれる可能性があると述べて記事を締めくくった。Attacks in Aleppo ‘ostensibly good news for Israel,’ JISS researcher says, (アレッポでの攻撃は「イスラエルにとって表面上良いニュースだ」とJISS研究者は語る)エルサレム・ポスト
 繰り返す。「イスラエルがシリアを攻撃する好機」?

 確かにそうだが、同様に興味深いのは「中東からロシアを追い出す」ことは(イスラエルの観点から)アサド政権打倒と同じくらい重要なことだ。また、プーチン大統領が「窮地に陥り」、時宜を得た対応ができず、これがイスラエルにとって非常に有利になるとラコフが考えているのも明らかだ。だが、もちろん、ラコフの全体評価で最も衝撃的なのは、安定した合理的な体制を専制的な宗教独裁政治に置き換えようとする狂った野蛮人の手によって繁栄する都市が破壊されることから彼が得る純粋な喜びだ。だが大量虐殺が成功の基準なら、我々にとって何も驚くべきことではないだろう。



 これは、シリア現地の極めて不安定な状況に関する日曜日の最新情報だ。  
土曜日に、反政府勢力がアレッポ国際空港を制圧したと主張し、ハマへ進軍する中、ロシアとシリア政府軍の空爆はアレッポ中心部を激しく攻撃した。シリア反政府勢力が同市から追放された2016年以来、アレッポを標的とした空爆は今回が初めてだ。

 しかし土曜日に、同盟集団(一部はトルコ支援を受けている)とハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)率いる反政府勢力は、驚くべき成果を上げたと主張した。彼らは、アレッポ国際空港とイドリブ南部の戦略都市ハーン・シャイフンを制圧したと主張した。イドリブ県の行政境界は完全に彼らの支配下にあると彼らは付け加えた。

 彼らはまた、ハマに向けて進軍を開始し、シリア中央部と北部を結ぶ重要な幹線道路沿いにあるモレクを含む、地方の6つの町と村を占領することに成功したと主張した。

 攻撃は水曜日、反政府勢力がシリア北西部の反政府勢力支配地域からアレッポに向けて脱出したことから始まった。二日間で反政府勢力は数十の町や村を制圧し、戦略上重要なM5高速道路の一部を制圧し、ダマスカスへの補給路を遮断した。反政府勢力はその後もいくつか軍事基地や要塞化された陣地を制圧しており、ほとんど抵抗には遭わなかった。

 政府軍戦線の崩壊

 SOHRによると、政府軍はイドリブとアレッポで崩壊した。これによりシリア第二の都市アレッポは1946年の同国独立以来初めて政府管理下から外れたと監視団体は述べた。

 モスクワ通信によると、事態が急速に進展する中、シリア問題における主要な利害関係国であるトルコとロシアの外相は土曜日に電話会談し、シリア安定化に向けた取り組みを調整することで合意した。

 「アレッポ県とイドリブ県での軍事的緊張の高まりに関連して、シリア・アラブ共和国における状況の危険な展開に双方は深刻な懸念を表明した」とロシア外務省は述べた。

 イドリブ県の大半は、かつてのアルカイダ系組織HTSが掌握し文民政権が樹立された。北部の他地域ではトルコが支援するシリア国民軍連合の反政府勢力が勢力を維持している。

 だが、ロシアがウクライナ戦争に気をとられ、アサド政権軍がイスラエルの頻繁な攻撃で弱体化しているにもかかわらず、シリアとロシアの軍用機は2023年8月以降、反政府勢力支配地域への空爆を強化している。 Syria: Deadly strikes hit Aleppo as rebels seize airport, push towards Hama(シリア:アレッポで致命的攻撃、反政府勢力が空港を占拠、ハマへ進撃) ミドル・イースト・アイ
ビデオ:トルコが支援するテロリストがアレッポの大統領別荘に侵入

 ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)や他のいわゆる「反政府集団」が主にアルカイダ関連組織で、イスラエルの拡大と中​​東再編に反対する勢力に対する代理戦争を遂行するため、アメリカ、カタール、トルコに採用、武装、訓練されているのを読者は知っておくべきだ。作家で評論家のマックス・ブルーメンソールは、これら集団の起源についてかなり研究を行い、その調査結果を「シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵のうち21をアメリカは支援している」と題する最新記事で発表した。以下は彼の記事の短い宣伝文だ。  
シリア北部でクルド人を処刑し斬首したとして、トルコ傭兵部隊「アラブ民兵」を元職および現職のアメリカ当局者は激しく非難した。トルコの新たなデータは、これら民兵のほぼ全員が過去にCIAと国防総省により武装され訓練されていたことを明らかにした。

 今年10月に親政府系トルコ・シンクタンクSETAが発表した研究論文によると「トルコ傭兵部隊の28派閥のうち、21は以前アメリカから支援を受けており、そのうち3つは国防総省の対DAESHプログラムを通じて支援を受けていた。これら派閥のうち18は、武装反政府勢力を支援する「シリアの友人」の合同情報作戦室たるトルコのMOM作戦室を通じてCIAから支援を受けていた。28のうち14の派閥は、アメリカから供給されるTOW対戦車誘導ミサイルの受領者でもあった。」

 言い換えれば、オバマ政権下で武装・装備された反アサド反乱軍のほぼ全組織が、トルコ軍により北シリアへの残忍な侵攻の先鋒として再利用されたのだ。この部隊の指導者は、現在トルコが支援するシリア「暫定政府」の「国防大臣」サリム・イドリスだ。彼は故ジョン・マケイン上院議員が2013年にシリアに悪名高い侵攻を行った際に、マケインを接待した人物と同じ人物だ。

 このハッカー集団(メディア)が、地球上最も残忍な狂信者連中を革命家や「穏健な反逆者」として売り込み、地域全体を不安定化させ、血みどろの詐欺を国民に押し付けていたことが今やすっかり暴露された。かつて彼らが喧伝した過激派連中同様、どういうわけか大半は責任を逃れ、雇用され続けている。 The US has backed 21 of the 28 ‘crazy’ militias leading Turkey’s brutal invasion of northern Syria(シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵集団のうち21をアメリカは支援している)マックス・ブルーメンソール、グレイゾーン
 では、世界最大のテロ支援者は一体誰だろう?

 ご想像通り、アメリカ政府だ。

 最後に、最近見つけたブロガーの言葉を引用して終わりにするが、彼女の主張のほとんど全てに私は同意する。他の読者も同じように感じるかどうか知りたいものだ。  
アメリカ、イスラエル、アルカイダ、トルコが支援するシリアに対する今回の作戦は、様々な代理組織やテロリスト集団を使って、シリア軍の勢力をそらし、不安定化させ、過剰に手を広げさせて、南からイスラエルが侵攻できるようにして、イランからイラク、シリア、そしてレバノンへとヒズボラへの武器流入を阻止するため長年計画されていたものだ。戦争は続いているが、連中は戦場をわずかに移動させたに過ぎない。

 だからこそ、この「停戦」直前に、シリアとレバノン国境をイスラエルが攻撃し、その後も攻撃を続けたのだ。停戦のおかげで、弱体化したイスラエルは回復する時間を得て、最もシオニスト的政権が誕生するまで、ワシントンと戦略を練る時間があるのだ。シリアに関してビビが望んでいることを、トランプは確実に実行するだろう。シリアは、大イスラエル計画の邪魔になる巨大抵抗勢力なので、今やシリアが焦点となるのだ。

 トルコと裏表ある詐欺師エルドアンは、北(シリア)支配を望んでおり、ガザでのビビを非難しながらイスラエルと欧米に身を売るつもりだ。NATO事務総長マーク・ルッテはトルコに行き、この攻撃直前にワシントンとトルコにF35を供与する合意をまとめた。彼は、その数日前の11月23日にはワシントンでトランプとも会談した。

 これらはどれも偶然ではない。基本的にイスラエルはこの停戦を履行するつもりはない。本質的に無意味だ。テルアビブを含む西側諸国は、国家主権を握るべく戦う相手と既に戦争状態にある。彼らはイラン、ロシア、シリアが協力して彼らの拡張主義と戦争の野望を阻止するのを止めたいのだ。フィオレッラ・イザベル@FiorellaIsabelM
 一流の分析だ。メディア報道の背後で何が起きているのかを説明するのに役に立つ。



記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/for-bibi-the-road-to-tehran-goes-through-damascus/

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 Dialogue Works
Larry C. Johnson: Hama Falls, Syria in Chaos, Turkey Backing HTS against Iran & Russia 55:36
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
フォーリンアフェアーズ誌論評「トランプ政権の中国への挑戦」。対中対決志向グループの対中政策提言。①米国は中国に凌駕される瀬戸際。②米国一国で中国の台頭を押えられず、同盟を構築し対抗、トランプは最初関税等「競争アプローチ」取るが、彼には「取引アプローチ」取る危険性存在。
 日刊IWJガイド
「尹錫悦政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!ウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する寸前だった!」2024.12.7号

はじめに~韓国政局急変(その2)! 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!「非常戒厳」を起草した金龍顯(キム・ヨンヒョン)国防部長官のもとで、「北朝鮮軍がロシアに派遣されている」という情報が出され、韓国はウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する一歩手前まで来ていた! ユン大統領は、ウクライナ支援で韓国政府内で孤立!? バイデン大統領や岸田政権など、西側でもウクライナ支援に関わった政権は次々崩壊! ウクライナ支援をすると政権が崩壊するジンクスでもあるのか!? ユン政権もそれに続くのか?

韓国政局急変(その3)! 北朝鮮との対立が激化した直接のきっかけは、韓国の活動家による「反北朝鮮体制のプロパガンダ風船」! ユン政権は昨年「プロパガンダ風船」を合法化していた!

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