シリア軍の前進が、トルコとロシア間の新たなこぜりあいをおこしつつある
2020年2月3日
Moon of Alabama
イドリブ県解放のシリア軍作戦継続がトルコとロシア間の新たな衝突を起こしつつある。
イドリブ県は、いまだに大半がトルコが支配する「反政府派」やアルカイダと提携するタハリール・アル=シャームのようなジハード集団(HTS)に占拠されている。2018年9月に署名されたトルコ・ロシア間のアスタナ合意は、この県や緩衝地帯での停戦と、海岸と都市アレッポ間のM4道路と、ダマスカスとアレッポ間のM5道路の再開を含んでいた。トルコ・ロシア間の停戦協議は、明示的にジハード戦士を除外していた。
道路は、民間シリア交通用に決して再開されず、何回かの停戦は失敗し続けた。継続するロシアとシリアの空爆作戦が、ジハード戦士のより大規模攻撃開始を阻止している。一方ジハード戦士による、いやがらせの砲火や、全面的攻撃で、アレッポ市や他の地域で文民や軍人が死に続けている。停戦監視を意図していたトルコ監視所は、代わりに「反政府派」に諜報情報と兵站補給を提供している。
6日前、シリア軍がイドリブ県南東の都市マアッラト・アン=ヌウマーンを解放した後、我々は書いた。
南東イドリブ 2020年1月28日
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東から来て、シリア軍は挟撃作戦で、都市の北と南で、M5道路を横断した。都市を占領していたジハード戦士は、唯一残された道路で、西方、カフラナベルとアルバラに逃れた。都市そのものは戦いなしに奪還された。上の地図は、まだこの最近の進展を反映していない。
この動きは、マアッラト・アン=ヌウマーンの南にあるトルコ監視所を孤立させた。これはシリア政府軍に包囲された3番目の監視所だ。今日早く、約30台のトルコ軍用車列がトルコからイドリブ県に入った。彼らはM4とM5道路が合流するセラキブ近くに新たな監視所を築くと予想される。セラキブはシリア軍作戦の次の標的だろう。
実際それが起きたことだ。市に向かう更なるシリアの動きを阻止する狙いで、トルコはセラキブの南に新たな重武装監視所を設置した。一方シリア軍は、セラキブのより近くに動いたが、東側面の安全を確保するのに時間をかけた。
トルコ大統領はシリア軍が彼の傭兵に対して前進するのを面白く思わなかった。
1月29日、記者団への発言で、エルドアンは「ロシアは、不幸にも、アスタナとソチ合意を遵守していない。イドリブ爆撃を止めなければ、我々の忍耐の限界を超え、我々は今後必要なことをする。」と言って、初めてロシアを直接酷評した。
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、ロシアは「イドリブ地域に関しソチ協定の下で完全に全ての義務に従っている」ことを強く主張し、エルドアンの非難を拒絶した。
右側面の安全を確保した後、シリア軍は、M5道路に沿って、セラキブに向かった。だがトルコ「監視所」は、その経路に沿う道を封鎖していた。昨日シリア軍は予想外の動きをした。シリア軍は都市を包囲するため、北西に向かってM5から離れた。
南東イドリブ 2020年2月2日
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この動きはトルコを警戒させた。トルコはシリア政府がセラキブを解放して、アレッポに向かうM4とM5道路の支配を奪還するのを望んでいない。
トルコは、突如、M4道路を「トルコ軍地域」だと宣言し、セラキブ周囲に、より多くの「監視所」を築くため、重火器を持った軍用車隊を送り込んだ。昨夜中に、トルコとシリア前哨部隊間の最初の衝突が起きた。シリア砲兵隊が新たなトルコ「監視所」の一つを砲撃し、トルコ兵8人を殺害し、約30人を負傷させた。トルコ砲兵隊が反撃したが、標的に命中し損ねたように思われる。
今朝エルドアンは激怒していた。面子を立てるため、彼はトルコ陸軍と空軍が、シリア部隊に反撃したと主張した。イドリブ領空を支配するロシアは、いかなるトルコ空爆も起きていないと否定した。
月曜日、ロシア国防省の一部である)「シリアでの対立双方のロシア調停センター」が、トルコ航空機は、シリア政府軍陣地に対する空襲を行うためシリア領空に進入していないと声明で述べた。
記者会見で、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、先に、アンカラでトルコ空軍のF-16戦闘機と砲兵隊が、兵士4人を殺害したトルコ陣地に対する攻撃に反撃して、イドリブの40の標的を攻撃したと述べた。エルドアンによれば、報復攻撃で、30-35人のシリア人を殺害した。だがトルコ大統領は彼らが軍人だったかどうか明示しなかった。
今日シリア軍は包囲作戦を継続した。シリア軍はセラキブの西のM4アレッポ-ラタキア道路を渡り、現在更に北に移動し、セラキブとイドリブ間の道路を切断しようとしている。
南東イドリブ 2020年2月3日
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シリア軍が両方の道路を阻止するのに成功すれば、セラキブのトルコ部隊はトルコからの直接補給線が切断される。
トルコ関係筋からのこの地図が、今危険にさらされた「監視所」示している
南東イドリブ 2020年2月3日
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トルコはシリア内に新たな兵器と兵士を搬入し続けている。
シリア人権監視団の信頼できる情報源が新たなトルコ軍縦隊がイスケンデルンの国境で、カフル・ルシンを経由して、シリア領に入ったことを確認した。情報源は、正体不明な人々が乗った縦隊が装甲車に護衛されて、南に向かったとシリア人権監視団に知らせた。
昨日、トルコ軍の五つの装甲車両や兵員運搬車やトラック縦隊が、カフル・ルシン交差点を経由し、アレッポとイドリブを目指して、シリアに入った。これら縦隊の一つはM4道路を経由してアレハ地域に向かい、もう一隊はセラキブに立ち寄った。
朝以来、シリア領に入ったトラックと軍用車両の数は、ほぼ320台にのぼった。一方、M4として知られるアレッポ-ラタキア間道路がトルコ軍の軍事地域だという声明の中、トルコの縦隊がイドリブとアレッポに向かったのは、ロシアに対するトルコの本格的なエスカレーションだ。
ロシアの合意なしに、イドリブで行動するようアメリカがトルコを説得したのではないかと疑いたくなる。
1月30日、アメリカ欧州軍および北大西洋条約機構(NATO)連合軍最高司令官トッド・ ウォルターズ大将がシリアに焦点を当てる会談のためアンカラを訪問した。アンカラ情報筋は、ウォルタース大将とフルシ・アカル国防大臣とヤシャル・ギュレル参謀総長との会談は、アメリカ軍事駐留が集中しているユーフラテス東とユーフラテス西を対象にしていたと指摘している。
ロシア軍はエルドアンの計画に同意せず、これ以上のわるさを思いとどまらせるべくロシアが行動するのは明白に思われる。今やプーチンとエルドアン間の電話会談の頃合いだ。ロシア大統領は、トルコ大統領に、トルコ経済が低迷しており、かなりの金額が危険にさらされていることを想起させるだろう。
Rag?p Soylu @ragipsoylu - 10:17 UTC- 2020年2月3日
- トルコのロシア依存
- 観光事業:700万人のロシア人がトルコを訪問。第一位
- 原子力協力:アックユ原子力発電所はロシアが建設
- トルコストリーム・パイプライン
- トルコ輸出は30億ドルに達する
- トルコはロシアからガスの40%を輸入
アレッポにとって経済的に重要な道路を解放するシリアの作戦は続くだろう。
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アイオワ州での宗主国大統領候補の順位、異様な発表遅れ。ソフトの欠陥という原因は本当だろうか。順位は本当だろうか。黒人の次は女性で目先を変えようとして失敗したので、今度はLGBT?
夜の呆導番組を見ていたら、評論家が「検疫というのは、カランティン、つまり、14日が語源です」という趣旨の説明をした。カランティンは知っていたが、念のため確認するとイタリア語が語源。14日ではなく40日。
Lexicoというネットのサイトのquarantineの項にはこうある。
Origin Mid 17th century from Italian quarantina ‘forty days’, from quaranta ‘forty’.
昨日は、三権一体国会の中継はなかった。
日刊IWJガイドに書かれている下記場面、なぜか実況中継しない大本営広報部。
なぜかテレビ中継が一切なかった昨日の国会で、立憲民主党の小川淳也議員が「桜を見る会」問題でキレッキレの追及!
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