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2018年11月12日 (月)

醍醐總先生の外務省直撃インタビュー  韓国大法院徴用工(強制労働)訴訟判決に対する日本政府の対応について

いや、こんな手があったか。

思いつかなかったのは、不覚である。

醍醐總先生の直撃インタビューに、外務省は、しどろもどろに見える。

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総理、外務大臣、官房長官と続けざまに正規の外交ルートによらずに、外野から無理難題ないちゃもんをつけるような意見表明をしているので、外務省としても苦労している様子がうかがわれる。

 

 

「こうした日本のマスコミの政権追随報道を正すのは日本の市民の務めである」との醍醐總聡先生のお覚悟に、深く敬意と感謝を表したい。

 

 

外務省条約課・国際法課と交わしたやりとりメモ~元徴用工の賠償請求について~

20181112

 今日の1420分頃、件名のことで外務省の代表番号に電話したところ、北東アジア課→条約課→国際法課、と3つ課の担当職員と延べ約30分間やりとりする結果になった。
 以下は、中身のやりとりをした2つの課の応対者との問答メモである。


 (醍醐) 外務省ですね。日本政府は(韓国最高裁が下した)元徴用工の賠償請求判決について「国際法に明確に違反している。毅然と対処する」と発言しています。政府が言う「国際法」とは何を指すのか、マスコミは伝えていないのでわかりません。それを教えてほしくて電話しました。

 (代表) お待ちください。

 (北東アジア課) 北東アジア課ですが。

 (醍醐) <先ほどの用件の繰り返し> 政府が言う「国際法とは何を指しているのですか?

 (北東アジア課)その件でしたら、私どもではなく、条約課ですので、そちらに回します。

条約課とのやりとり

 (条約課) 韓国の最高裁で判決が確定した時点で、(1965年の)日韓請求権協定に違反する状態になったので、政府としてそのような発言をしています。

 (醍醐)とすると、政府が言う「国際法」とは1965年の日韓協定を指しているということですか?

 (条約課) そうです。

 (醍醐) 「国際法」というと、多国間の法のことかと思ったのですが、そうではなくて、日韓2国間の協定のことなのですね?

 (条約課) そうです。

 (醍醐) その点は、外務省の理解は事実としては分かりました。
 他方、外務省は1990年頃、国会で、日韓協定で国の外交保護権は消滅したが、個人の賠償請求を消滅させたものではないと複数回、答弁しています。たとえば柳井(俊二)さんは伊東秀子議員、土井たか子議員の質問に対して、そのように答弁されています。
 そうした外務省の国会答弁と今回の政府発言は、どのような関係になるのですか?

 (条約課)その点はこの課ではなく、国際法課になりますので、回します。

 <国際法課に転送される>

国際法課とのやりとり

 (醍醐)<上と同じ質問>

 (国際法課) 日韓協定で完全かつ最終的に解決済みということです。外交保護権と個人の請求権に関する解釈は、お話しのとおりですが、個人の請求権も含めて解決済みということです。

 (醍醐) しかし、外交保護権は消滅したとしても、今回の裁判は韓国の個人と日本の企業間の争いです。とすれば、個人の賠償請求権は消滅していないと言いながら、解決済みというのでは一貫しないと思いますが。

 (国際法課)個人は裁判所に訴えることはできても「出口」はなくなっているということです。

 (醍醐)「出口」? 出口がなくなっているようなら、請求権がないのも同然で、無理な解釈ではないですか?
 日本政府は韓国政府に対して善処をと言っていますが、韓国政府に対して、司法当局に働きかけを求めるような発言は韓国での三権分立を否定するに等しく、おかしな発言ですよ。

 (国際法課)おっしゃっている意味は分かりますが・・・

 (醍醐)河野外務大臣はずいぶん、強気の発言をされていますが、大丈夫なんですか? 専門の職員の方からご覧になって、どう思われますか?

 (国際法課)・・・・

 (醍醐)政府は賠償請求を受ける日本企業を集めて、説明会を開き、請求に応じるな、と言っていますが、それこそ、日本企業に対して、消滅したはずの外交保護権を使っていることになりませんか?

 (国際法課)それは外務省ではなく、政府がやっていることなので・・・・

 (醍醐)最後ですが、そちら様のお名前を教えていただけませんか? 私も名前を伝えますので。
 (国際法課)名前は伝えないことになっていますので。

 (醍醐)そうですか、ありがとうございました。

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強気に反して拠り所を欠いた日本政府の対韓逆切れの言動

 「国際法に反する」と日本政府が連日、声高に発言するので、何か具体的な「国際法」があるのかと確かめたら、1965年の日韓協定のことだった。それなら、あえて「国際法」と語らなくても済む話である。

 私の一番の関心事だった、日韓請求権協定で個人の賠償請求権まで消滅したわけではないというこれまでの外務省の国会答弁と、政府がいう「国際法違反」は、どうつながるのか、について、外務省の担当課の説明は結局、「日韓協定で完全かつ最終的に解決済み」という空回りの説明だけだった。
 これでは、日韓請求権協定で個人の賠償請求権まで消滅したわけではない、という外務省の見解と全くつじつまが合わない

政府の強気の発言に追随する日本のマスコミ

 日本のマスコミは、今回の韓国最高裁(大審院)の判決を受けて、連日、「韓国大統領府 沈黙 元徴用工判決 対応に苦慮」(『朝日新聞』2018114;「韓国政府 対応に苦慮」(『東京新聞』2018111日;「韓国最高裁の徴用工判決 条約の一方的な解釈変更」『『毎日新聞』20181031日、社説、などと韓国政府の状況を伝えている。

 これまでの韓国政府の対応を辿ると、そのような状況があることは間違いない。
 しかし、それなら、日本政府の自信満々の発言に確たる根拠があるのか・・・・この点を日本のマスコミはなぜ検証し、真相を伝えないのか?
 そもそも、今回の裁判は、韓国の個人と日本の企業の間で争われた事件であって、国と国の係争ではない。
 そのような基礎的事実を国家間の係争かのようにすり替えて、強気の発言を繰り返す自国政府の対応に引きずられるように、追随する日本のマスコミに「自立」した報道は見る影もない。
 こうした日本のマスコミの政権追随報道を正すのは、日本の市民の務めである。

 

 

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醍醐先生は、東京新聞の論調も批判しておられる。
確かに不十分であるが、しかし東京新聞は他紙に比べれば、冷静だというのが街弁の評価だ。
判決翌日10月31日の東京新聞の社説を掲げておこう。
論調が、韓国非難一色の他の全国紙とは全く違うと、僕は思う。
日本政府は、東京新聞だけ消費税をかけるなどという暴挙をしないよう、あらかじめ警告しておく。

元徴用工判決 日韓摩擦減らす努力を

 

 原告は朝鮮半島の植民地時代に強制労働をさせられたとして補償を求め、日本国内で提訴。敗訴したため、韓国で裁判を起こした。

 日本政府は、元徴用工の対日賠償請求権問題に関しては一九六五年の日韓国交正常化に伴って結ばれた請求権協定で「完全かつ最終的に解決した」ことを確認している。

 ただ、日本政府は国会答弁で、個人が賠償を求める「請求権」自体は残っているとも説明してきた。個人が賠償を求めて提訴はできるが、日本側には賠償責任はない、との考え方だった。

 韓国の政府、司法も同じ解釈を取っていた。ところが韓国大法院(最高裁)が二〇一二年五月、元徴用工の請求権を初めて認める高裁差し戻し判決を言い渡し、問題が再燃した。

 この日の判決も、「賠償請求権は、協定には含まれない」と踏み込んでおり、日本側からは、請求権協定を否定したものだとの批判が出ている。

 河野太郎外相も確定判決を受けて、外務省に韓国の李洙勲(イスフン)駐日大使を呼び、「国際社会の常識では考えられないことが起きた」と抗議した。韓国政府は司法の判断に従う方針だが、日韓関係を踏まえた慎重な対応を求めたい。

 一方で、元徴用工による裁判は新日鉄住金、三菱重工業など約七十社を相手取って計十五件にのぼり、原告は千人近くになる。

 戦後七十年以上たって、いまだに訴訟が続く背景も考えたい。過酷な環境で働かされたことを法廷で証明し、謝罪を受けたいという原告の切実な思いがあるのだ。

 原告の一人は「一日十二時間働かされた」と証言した。国家間の協定の陰で後回しにされてきた心の痛みを、無視できるだろうか。

 日韓間では、最近も自衛艦旗や、竹島問題をめぐりぎくしゃくが絶えない。しかし、北朝鮮問題をはじめ両国の協力は欠かせない。

 原則論をぶつけ合うだけでなく、原告と被告企業をつなぐ接点はないか、政府レベルでも探る必要があるだろう。例えば基金をつくって賠償をする方式も、専門家の間で論議されているという。

 摩擦を拡大させず、冷静に和解策を探ってほしい。

 
大法院判決やこれに対する日本政府の対応については、いずれ時間のあるときに整理したいと考えているが、手続き的に政府が「国際司法裁判所への提訴」なる発言を繰り返していることについて、一言だけ述べておきたい。

日韓請求権協定3条で、日韓請求権協定の解釈に関して紛争が生じた場合は、まず外交ルートで解決を試み、交渉が不調になった場合は、仲裁委員会を立ち上げて、仲裁委員会の判断に従うという合意になっている。

二国間の特別な解決手続きについての合意があるにも関わらず、日本政府が国際司法裁判所への提訴に言及していることは、まったく意味不明である。
仮に国際司法裁判所に提訴しても、仲裁合意が存在するという点だけで却下をまぬかれない。
仲裁合意がある場合の国際司法裁判所の管轄については、国内法と同様であるから、合意された手続によらない提訴は却下される。
仲裁委員会が自国が選ぶ委員も含め、さらに日韓両国の合意で選ぶ委員も含め、みんながみんな韓国紙府の味方で韓国政府の言いなりになることが2万%確実であって公正な判断を望む余地が2万%ないとか、よほど特殊な事情を主張しない限り、却下はまぬかれない。

自ら、日韓請求権協定に反した発言を繰り返して、国際的信用を貶めているのは、日本政府自身である。


日韓請求権協定第三条

1 この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

2 (仲裁委員会の設置について)

3 (仲裁委員会の設置に関する補足規定)

4 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

 
 
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