トランプの戦争意欲に迎合するマクロンをメルケルはしかりつけるべし
Finian Cunningham
2018年4月26日
RT
今週、イランに対するドナルド・トランプの喧嘩腰姿勢に付き合い、テヘランとの“新たな核合意”を提唱し、エマニュエル・マクロンは台本からそれた。中東戦争を避けるためドイツのアンゲラ・メルケル首相はその立場をかさに、マクロンを叱らねばならない。
マクロンは、後で、イラン合意からの脱退は“常軌を逸している”と述べたが、それでも彼はアメリカに国際協定順守を促すのでなく、トランプが脱退するのを承認したのだ。
ワシントンで、イラン合意に関し、フランス大統領は、ドイツや他の欧州連合諸国の方針から大きくそれた。金曜日、メルケル首相のワシントン到着時 - マクロン出発の翌日 - 彼女は、アメリカ大統領に、フランス大統領は身の程知らずであることをはっきり知らしめるべきだ。
火曜日、ホワイト・ハウスでトランプ大統領と並んでの、新たな合意の再交渉に関するマクロン発言後、欧州連合外務・安全保障政策上級代表フェデリカ・モゲリーニは、既存の合意に代わるものはないと鋭く述べた。
ロシアと中国もその立場を繰り返して語り、新たな合意の予定はないと述べた。
イラン指導部も、2015年の国際合意を書き換えるという発想を強く非難した。ハサン・ロウハーニー大統領は、国連に批准された条約を、アメリカとフランスの大統領が一方的に改変する権利に疑念を表明した。
今週三日間のアメリカ公式訪問中に、マクロンは、イランとの核合意擁護から、トランプ大統領による新合意要求受け入れへと変わった。
合意が根本的に再交渉されない限り、今後二週間で、イラン核開発を制限する、2015年の包括的共同作業計画(JCPOA)から脱退すると、トランプ大統領は威嚇している。トランプ大統領は、イランが弾道ミサイル技術を進歩させるのを防ぎ、地域でのイランの行動を監視する厳しい条項を追加したいと考えている。
2015年7月、イランと国連安全保障理事会の常任理事国五カ国 - アメリカ、ロシア、中国、イギリスとフランス、プラス・ドイツによって署名された既存の核合意の“代案は存在しない”と主張して、マクロン大統領はアメリカ訪問を始めた。
トランプとの非公開論議後、わずか数日間でマクロンは大きく変化した。翌日フランス大統領は、アメリカ議会での演説で フランスは、JCPOAを離脱しないと言う二重思考姿勢を維持して“今後イランとの新たな合意に取り組みたい”と述べた。
更に、マクロンは、テヘランに対するトランプの敵対的見解に屈したのだ。JCPOAの目的は、イランが確実に“決して核兵器を保有しない”ようにすることであり、合意は、シリアや地域へのイランの関与を監視する仕組みに変更されるべきだと彼は述べた。マクロンはイランの不正行為が最大の関心事であることをほのめかしていたのだ。
5月12日に、そうすると脅していた通りに、トランプがアメリカを核合意から脱退させ、テヘランにアメリカ経済制裁を再度課せば、ウラン濃縮計画を再開するとイランは警告した。アメリカ、イスラエルとサウジアラビアのイランに対する緊張が既に高まっており、JCPOAの破棄が中東での戦争を引き起こす可能性は非常に高い。
アメリカでのマクロンの目的は、おそらく、トランプに核合意を維持するよう説得することだった。気さくさと、いわゆる男同士の固い友情という今週の見世物は、マクロンが、彼のカリスマと、トランプとのご自慢の特別な関係を駆使して、彼に対して優位になろうとしているのだと喧伝された。結局、マクロンの魅力攻勢は水泡と帰した。トランプにイラン核合意は徹底的に書き換える必要があることで同意し、イランは悪の勢力だというトランプの敵対的なマンガを信用して屈したのはフランス政治家の方だった。
マクロンは、イランに対するトランプの戦争意欲に迎合して、イランの影響力を押し返すことは避けられないというワシントンとイスラエルとサウジアラビアによる主張にプロパガンダを煽っているのだ。ロシアやヒズボラとともに、欧米、サウジアラビアとイスラエルは、支援するテロ代理部隊を打ち破ったイランのシリア合法的駐留を、マクロンは、恥ずべきことに、何か極悪非道で違法なもののごとく描き出した。あつかましさで言えば、フランスには、シリア戦争を助長した犯罪的関与の実績とされるものもある。
ここで問題の要点は、マクロンの利己的野望が勝っているように見えることだ。昨年5月に大統領として選出されて以来、マクロンは“フランスを再び偉大にする”構想をひけらかしてきた。フランス・マスコミさえもが、彼の尊大な気取りを巡り不快感で身悶えし、茶化して、彼を“太陽王”ルイ14世になぞらえている。
ドイツでも、マクロンが“ヨーロッパの新指導者”として、メルケルを顔色なからしめているとみなされていることを巡り、他人の不幸を喜ぶ様子が見られる。今週、デア・シュピーゲル紙は、今月初めのアメリカとイギリスによるシリア空爆への参加を決めた決断力で、マクロンを賞賛さえした。
マクロンは欧州連合改革でのバートナーになろうとメルケルに言い寄った。だがマクロンは、世界的政治家という立場と偉大なフランスを追求する中、メルケルを、パートナーではなく、アクセサリーと見なすまでに至ったのではあるまいかと疑わざるを得ない。
マクロンの経歴で目立つのは、自分の出世の為に関係を利用するそつのなさだ。彼の政権の経済相として政治任用されるべく、彼は元フランス大統領フランソワ・オランドにおもねった。それから元投資銀行員は2017年大統領選挙に合わせ、社会党を見捨て、自身のアン・マルシェ運動を立ち上げた。当選以来、マクロンはオランドを鼻であしらっている。
大統領の座について一年、フランス人の労働権を見直そうというマクロンの熱意は、今は彼に投票したことを後悔しているという彼のかつての支持者左翼の多くを激怒させた。
マクロンの政治的自己権力拡大は、トランプの好意を得ようとする彼なりのやり方と見ることができる。昨年パリでのフランス革命記念日祝賀で、彼がトランプをもてなしたことで、アメリカ大統領のエゴは、軍事パレード、壮観と儀式に魅惑された。魅惑された余りに、トランプは同様な年次軍事的催しをワシントンで仕立て上げたがっている。
トランプは、今週マクロンと彼の妻ブリギッテを三日間の公式訪問に招いてもてなしに恩返しをした。トランプ大統領が世界の指導者に対して行った初めての公式の政府レセプションだったのだ。
対照的に、メルケルは、一日だけのホワイト・ハウス出張訪問で、トランプの控えめな接待を受けるだろう。更に、今週の大歓迎やトランプとマクロンのキスと対照的に、前回のメルケルのホワイト・ハウス訪問時、アメリカ大統領がほとんど握手もしなかった、冷ややかな間の悪さを思い出す。
トランプにとって“頼れる男”だと思い込んでいるマクロンによる、事実上のヨーロッパ指導者のそぶりは、事実の欠如に苦しんでいる。
マクロンの偉大さ勘違いにもかかわらず、比類ない経済上の優れた能力のおかげで、ドイツがヨーロッパの原動力だ。フランス経済は第三位と後れをとっており、フランスの債務問題をドイツは軽蔑している。マクロンがヨーロッパの指導者を装うのはうぬぼれだ。
だが何よりも耐えられないのは、国際的に同意したイラン核合意に対するトランプの敵意に、ヨーロッパの認可を与えるマクロンのずうずうしさだ。
メルケルがトランプと会う際は、マクロン訪問時の派手さと違い、退屈でパッとしない光景に見えるかも知れない。それでも、メルケルは彼女の静かな語り口で、トランプに、彼の邪悪な対イラン政策をヨーロッパは支持しないことを語らねばならない。そのような形で、メルケルは、マクロンと彼のエゴをしっかり同調させる必要がある。
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本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。
Finian Cunningham (1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼はアイルランド、ベルファスト出身で、農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまでは、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務。彼は約20年間、The Mirror、Irish TimesやIndependentを含む主要マスコミで、編集者、筆者として働いた。現在は東アフリカを本拠とするフリーランス・ジャーナリストで、彼のコラムは、RT、スプートニク、Strategic Culture FoundationやPress TVに掲載されている。
記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/425243-macron-visit-trump-iran/
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昨夜、電車で、反対側に座った上品な初老のご夫妻のご主人が、小生が絶対買わないタブロイド紙を読んでいた。記事の内容より、この男性、一種の怪物のようなものに思えて、おりるまでじっと見てしまった。
橋下徹氏の対岩上さん裁判で初弁護
1回のリツイートに100万円
という記事を読んだ。週刊金曜日 4/27 5/4合併号の 金曜アンテナ。
筆者は浅野健一氏。
IWJ以外のメディアで、この訴訟に触れた記事を読んだのは初めて。
どこか主流マスコミで、記事になっているだろうか?
同じ週刊金曜日の「阿部岳の政治時評」は
『自衛隊の議員罵倒 本質はクーデター』。
大本営広報部に、こういうまっとうな主張が載るだろうか?
謝らないセクハラ官僚を本気で処罰しない官庁、政治家を追求しない大本営広報部に期待するのは無理。
芸能人セクハラを終日報道する暇はあるが、議員罵倒した自衛隊員問題を追及するのは、始めから論外なのだろうか?
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