まだ分かっていないドゥーロフ
スティーブン・カルガノビッチ
2024年9月10日
Strategic Culture Foundation
最近のデュロフ発言は、自身の苦境の本質について彼が重大な幻想を抱いていることを示唆している。
❗️Telegram , Twitter , と VK でご参加願いたい。
お問い合わせ:[email protected]
フランス刑務所から保釈されたロシア人起業家パベル・ドゥロフは、自身の苦境の本質について深刻な誤解を抱いていることを示す発言を何度か行った。フランス領内での逮捕と拘留という結果になったフランス当局の行動を「驚くべき誤った判断」と彼は表現した。更に、自身の拘留と、その後の起訴の法的根拠、つまり「他人のテレグラム違法使用について個人的に責任を問われる可能性がある」ことに彼は疑問を呈した。
最近の経験でトラウマを負っているに違いないのに、洗練された39歳の国際的大人が子供のように考えているのは残念だ。デュロフほどの富裕層なら、彼の事件に関する法的「現実」を理解するために有能な法律専門家の支援を得られると当然期待できるはずだ。
デュロフが代理人として選んだ弁護士が依頼人に説明すべきだった基本的事実が二つある。ちなみに、この弁護士は、この当惑した依頼人を迫害しているフランス体制や司法制度に非常に深く繋がっている。彼の忠誠心は疑わしいと言って過言ではあるまい。
こうした事実のうち、第一かつ最も根本的なのは、この事件の政治的性質だ。この現実を離れては、ドゥロフの苦境は正しく理解できない。この事実を認識しても、法的議論や救済策の有効活用が完全に排除されるわけではないが、その実際的な影響は軽視される。良心的法律専門家なら、最初の面談で依頼人に明らかにするべき第二の重要な事実は、ドゥロフが重大な刑事告発に直面している現実世界では、第三者の行為に対して、刑事責任を問われることはないという前提を含む、正義に関する直感的概念に耽溺するのは、ウブでまったく誤った姿勢だということだ。
パベル・ドゥーロフは非常に知的で、自分の分野では非常に優れた人物だ。しかし、別のレベルでは、彼はただのコンピューターオタクで、彼の支離滅裂な行動や発言がそれを証明している。彼が考えていることとは反対に、そして、それは自然な正義の概念とは相容れないように見えるかも知れないが、特定の状況下では、第三者の行為に対して、個人が刑事告発される可能性があるのだ。それを可能にする仕組みは既にしっかり整備されている。これらの仕組みを、自然な正義感に反するもの、あるいは準合法的なものと特徴づけるのは必ずしも間違いではないはずだ。しかし、それらは正式に、しっかり確立されており、刑法の不可欠な要素だ。専制的政治体制は、パベル・ドゥーロフのような社会規範に従わない厄介な人物を標的にすると決めた時は、いつでも、これらの手段を自由に呼び出せる。
一方、条件付きで釈放されたものの、依然厳重な監視下にあるドゥロフには、ディープステート組織の要求を受け入れ、テレグラムの暗号鍵を治安機関に引き渡すよう容赦ない圧力が間違いなくかけられる一方、並行して、彼に対する訴訟が準備されつつあるのだ。訴訟は、厳格責任理論の何らかの派生形または派生物に基づくものになるだろう。訴訟が進む中、その派生形の正確な輪郭はまだ定義されておらず、全て現在目の前に置かれているアメとムチの組み合わせに、被告がどう反応するかにかかっている。テレグラムのCEOであるドゥロフが個人的に、起訴状に記載されている犯罪行為のいずれかに加担していたことを証明する証拠は提示されていないため、唯一引き出せる結論は、何らかの形の厳格責任が、告発を成功させる手段として選ばれるということだ。被告が屈服しない限り、その狙いは被告を長期間拘留するか、少なくともそのような結末で、被告を説得力ある形で脅し協力させることだ。厳格責任は、検察に多くの近道を提供する便利な手段だ。特定の意図の証拠がない場合や、被告の精神状態に関係なく、望ましい効果が得られ、検察にとっての主要な証拠上の障害が排除される。
更に、デュロフ事件の当初から、ハーグ法廷が開発した共同犯罪組織(JCE)の原則、正確にはカテゴリーIIIの適用に向けた準備が進められていたのだ。ハーグ法廷で活動するベテラン弁護士でさえ、この法的即興をどう解釈すべきか困惑していた。しかし彼らの無理解にもかかわらず、歴代法廷は、全面的または部分的にこの原則に基づいて被告に数十年の懲役刑を宣告している。
児童ポルノ配布、麻薬取引、マネーロンダリングへの共謀を含む12件の罪で、ドゥロフは起訴されている。ドゥロフがこれらの犯罪を個人的に犯した、あるいは故意に関与したという主張さえないことを再度想起すべきだ。起訴の根拠は、テレグラムの緩い調整規則が、他者による同プラットフォームの広範な犯罪的利用を可能にしているという告発で、それらの人々とドゥロフが直接的な個人的なつながりを持っていたとか、その存在を知っていたとかいう主張はない。
しかし、被告人と彼に帰せられる犯罪との間に関連性の外観さえ考え出せない状況で、検察側に都合よく対応するためハーグ法廷が特別に考案したカテゴリー III JCE理論の素晴らしい特徴は、それらのいずれも必要としない点だ。漠然と推測される目的の共通性と、検察に関連付けられている第三者の違法行為を被告人は予見できたはずだったが防止できなかったという想定、そして被告人と直接のコミュニケーションや個人的な知り合いである必要すらなかったという想定が、十分なつながりとして機能するのだ。司法機関が熟慮した判断において、第三者の違法行為につながる状況を生み出すことに被告人が大きく寄与したのであれば、それで十分なのだ。第三者が告発された行為を行ったという証拠は、有罪判決を下すのに十分な根拠で、刑事責任を否認するのは事実上不可能だ。
第三者との関係において、被告が裁判所が有罪とみなす立場にある場合、第三者の行為に対する責任を被告に帰属させるのに、それ以上のことは何も必要ない。
同情的な裁判官に対して、検察官たちは、こうした主張、あるいは更に巧妙な主張をするのに熱心だ。被告席に座っている被告人にとっては悲惨なことだ。
まさにそれが、ドゥロフ事件が進んでいる方向だ。不吉ではあるが非常に示唆的な展開として、今のところ「X」、つまり「身元不明の人物」と謎めいた名前で呼ばれているテレグラム・ユーザーの小児性愛犯罪容疑をフランス検察当局は強調している。この人物は、児童に対する犯罪を犯した疑いがある。検察の狙いは、ドゥロフを特定の小児性愛事件に結び付けることで、彼の罪を個別化し、劇的に描くことで、その詳細は後に明らかにされる。それが通れば、残りの容疑の一部または全てがやがて取り下げられる可能性もあるが、ドゥロフが妥協しない限り、長期間投獄する検察の全体的狙いは損なわれない。小児性愛と児童虐待だけでも、他の厄介な容疑と組み合わせる必要もなく、非常に長い懲役刑に値する。
その点、ドゥロフにとって同様に不吉なのは、スイスにいる元パートナーがまるでタイミングを見計らったかのように活動を開始したことだ。元パートナーとの間に少なくとも3人の婚外子をもうけたとされている。フランスで拘留される前、ドゥロフは、彼女への月々15万ユーロの扶持を気まぐれに打ち切っていた。これは経済的打撃となり、当然ながら彼女は不満を抱き、元夫に復讐するため、何か考え出すようにという捜査機関の提案を受け入れたのだ。現在、彼女との間にもうけた子どもの一人をドゥロフが虐待したと、この女性は告発している。これは独立した重大な新たな容疑で、更なる悪影響を及ぼしかねない可能性を過小評価すべきではない。
パベル・ドゥーロフは、彼を捕らえたフランスに、迫害の不当性を説いて時間を無駄にするのはやめるべきだ。連中はドゥーロフが言及している哲学的、法的原則には全く興味がない。ハムサンドイッチの起訴に法的手腕を発揮する大西洋を対岸の同僚連中同様、フランス検察官は、彼らが仕える体制が要求するなら、職業上の良心の呵責もほとんど感じることなく、同じように易々とブルゴーニュ風シチューを起訴する用意があるのだ。法的戦略以上に、今ドゥーロフが必要としているのは、事業の誠実さを維持し、名誉を犠牲にすることなく完全に自由を取り戻すための効果的な交渉の立場(そしておそらくポーカーの短期集中講座も)だ。「ルールに基づく欧米の秩序」の優れた入門書として、我々全員鮮明に覚えている、最近「COVIVの健康上の緊急事態」詐欺を暴露したことで、でっちあげ容疑で標的にされ、何ヶ月もドイツ刑務所で苦しんでいるドイツ系アメリカ人弁護士ライナー・フュルミッヒ博士の悲惨な窮状をデュロフが見るだけで十分だ。
正しく理解されれば、ドゥロフ事件は、当事者だけでなく、より重要なことに、依然他人の芝生は青いという青年特有の幻想を抱き、自国や自国の生き方や文化に対する不機嫌な軽蔑を育み続けている軽薄なロシア知識人に対する啓蒙として厳しい教訓になるはずだ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/09/10/durov-still-does-not-get-it/
----------
Scott Ritter
Europe on the Brink: How the Ukraine War is Tearing the Continent Apart! | Scott Ritter 30:01今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ元大統領狙撃未遂事件の犯人は58歳。住所はハワイ。NYT記事「彼はウクライナ戦争勃発時ウクライナに滞在。アフガニスタン兵を逃亡先、イラン等からウクライナに派遣を画策。ワシントンで議員との面談も画策。」犯行場所、日時特定にはトランプ事情に精通の者の支援が不可欠。
« 当面ロシアへの長距離攻撃を行わないと決定したバイデン政権 | トップページ | 国内問題の原因を外部のせいにしたがっているアメリカ »
「アメリカ」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
「NATO」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
- シリア崩壊(2024.12.11)
- エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」(2024.12.13)
「インターネット」カテゴリの記事
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- アメリカとイスラエルの戦争挑発に対する批判を積極的に検閲するメタ(2024.10.10)
- 余計者パベル・ドゥーロフ(2024.10.04)
- まだ分かっていないドゥーロフ(2024.09.17)
- Telegramのパベル・デュロフを人質に取ったフランス(2024.09.02)
「フランス」カテゴリの記事
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長(2024.12.01)
- まだ分かっていないドゥーロフ(2024.09.17)
- Telegramのパベル・デュロフを人質に取ったフランス(2024.09.02)
- 不快な西洋エリート主義と現実世界からの乖離の象徴、パリ・オリンピック(2024.08.08)
« 当面ロシアへの長距離攻撃を行わないと決定したバイデン政権 | トップページ | 国内問題の原因を外部のせいにしたがっているアメリカ »
コメント