イラン

2024年12月18日 (水)

シリア:全てが、金、金、金の問題

マーティン・ジェイ
2024年12月13日
Strategic Culture Foundation

 西側諸国の支援で、ダマスカスを支配している聖戦主義者指導者が、アメリカではテロリストとして指名手配されているなど、一体どうしてあり得るのだろう?

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 アサド政権崩壊に呆然とし混乱している騙されやすい国民の目をくらますために、欧米諸国の政治家連中は労力を倍加している。現在ダマスカスを支配している聖戦主義者連中が、アメリカ人の税金で賄賂を受け取っているだけでなく、指導者がアメリカではテロリストとして指名手配されていることなど一体あり得るのかと疑問に思う人も国民の中にいるかもしれないためだ。

 超間抜けなデイビッド・ラミー議員はマグーという漫画の登場人物のイギリス版ドジな黒人版だ。ラミー議員は見た目ほど間抜けではないが、有権者は多かれ少なかれ脳死状態だと彼が想定してイギリス議会で全てを説明する彼の幸運な口調に注目願いたい。

 HTSテロ集団がダマスカスを占領したのと同時期に行われたイスラエルによるシリア爆撃を正当化する声明を最近ブレンダン・オハラ国会議員が発表した。おそらく重砲や飛行機や船舶が、汚れた髭を生やした連中の手に渡らないようにするためだろう。連中がそれらを支援諸国に対して使いかねないためだ。アフガニスタンから米兵が脱出する前に、装甲車や戦車や更には航空機までタリバンに残していった驚異的に愚かな作戦から、アメリカは教訓を学んだのだろうか? おそらくそうだろう。だが、それ以外にも理由があるかもしれない。たとえば、アメリカが第二作戦を考えていて、彼ら(あるいは彼らの代理人)は、それにより現在権力を掌握している連中を転覆させたいと考えているかもしれない。現時点で捏造されている、シリア地図上でホムスを見つけることさえできないコールセンターのジャーナリスト連盟に忠実にうみだされている明白な嘘の量を考えれば、これは、さほど突飛なことではない。「アサド政権打倒のために我々が支援した集団は心を入れ替えるつもりがなかったことが判明した。ジョウラニは信用できない、ご存じの通り…」というのが、ホワイトハウス記者会見で記者団に語られる言葉だろう。大半の人はそれを鵜呑みにするはずだ。

 ともあれ、国会で無駄遣いをする議員連中のたわ言は一見の価値がある。

 国会でのブレンダン・オハラ議員質問に答えて「ISIS(ISIL)とアルカイダを擁する国に、正当な安全保障上の懸念をイスラエルが抱いていると理解するのは正しい」とラミー外相は述べ、イスラエル外相と話し合ったと付け加えた。

 「こうした、あらゆる理由から、全ての人を支援する包括的な社会を我々は望んでいるが、誰もテロリスト集団とは交渉できない」と彼は語った。

 彼が言及するテロ集団は、アメリカから給与を得ており、イギリスとアメリカ両方と連携していることに言及し忘れたのは奇妙だ。それとも、アサド政権をテロリストがアメリカとイスラエルに引き渡した今、彼らの役割はもはや重要ではなく、従って彼らを排除する必要があるということなのだろうか?

 ラミー外相自身シリア情勢をほとんど理解しておらず、台本を読んでいるように見えるため、彼の二枚舌を理解するのは困難だ。結局、最近ラミー外相はイギリスの独立調査機関により、イスラエルから資金を受け取っていた特定された閣僚12人ほどの一員だ。シリアの物語は、結局、大規模な裏切り、裏切り、でたらめの物語で、イスラエルの金を享受しているイギリス議員が、用意されたイスラエル国防軍の主張を支持するのは当然と思われる。結局、無血クーデターが大成功を収めた大きな要因は金だったので、イギリスで物語を左右しているのも、おそらく今や金なのだろうか? もちろん、レバノンのヒズボラの弱体化や、ロシアがもはやアサドを支援していないのも要因だった。だが金は大きな役割を演じた。現在、ヒゲを生やしAKを携えたHTSの平均的チンピラは、月に約2000ドル稼いでいる。大した金額ではないと思うかもしれない。だが現地通貨が常に切り下げられている世界最貧国の一つシリアで、月収僅か7ドルのシリア軍兵士にとって、この額は大金だ。

 合意が成立していたため政権軍は抵抗しなかったのだ。彼らは月々の食費を払うため、単に数ドル稼ぐため、この地域でカプタゴン錠剤製造と販売に頼らざるを得なかった兵士だ。2003年に、サダムの兵士への給与未払い分の支払いをアメリカ政府が拒否した時と同様(彼らは武器を持って駐屯地から逃亡し、後にISISまたはISILとして知られる組織を作った)今同じ話が反響を呼んでいる。兵士にもっと給料を払い、ロシアに訓練させていればアサドは老いるまで権力を維持できたかもしれない。数ドル多く払っていれば。

 シリア政権の兵士もイギリス人政治家も。彼ら全員に値札がついている。シリア戦争が始まった同じ年に発表されたJessie Jの90年代ヒット曲「Price Tag(値札)」のことは考えないことにしよう。

金、金、金なんか問題じゃない
金、金、金なんかいらない
世界を踊らせたいだけだ
値札のことなど忘れろ
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/13/syria-about-money-money-money/

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 Dialogue Works 暗殺はゼレンスキー犯罪集団の犯行。
Scott Ritter: killing of Russian general in Moscow, Syria Becoming West's Next Geopolitical Trap?  1:42:53
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ドイツ。ショルツ首相は三党連立政権崩壊後、信任投票を提示し394対207の投票で現政権の解散を可決、困難で不安定な政治の新時代を反映。低迷する経済、インフラの破綻、移民、政治的両極端の台頭、トランプ政権での関税、安全保障問題等の難問。世論調査保守的なキリスト教民主党がリード。
 ショルツを横に立たせて「ウクライナに侵略したら、ノルドストリームを止めてやる」とバイデンが発言した場面は忘れない。でくのぼうのようにぼーっとショルツは立っていた。女性記者が「しかし、ノルドストリームは我々のものではありませんが、どうやって止めるのですか?」と質問すると「それでも我々はやる」とバイデンは答えた。
President Biden on Nord Stream 2 Pipeline if Russia Invades Ukraine: "We will bring an end to it." 3:42

2024年12月15日 (日)

もう一つの国が帝国の塊に吸収された



そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを狙った軍事占領を通じて、何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

ケイトリン・ジョンストン
2024年12月9日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。
 バッシャール・アル・アサドはシリアからモスクワに逃亡し、ロシアから亡命を認められたと報じられている。アサドを追い出したアルカイダ関連組織は、ダマスカスでの「ムジャヒディーン」勝利を宣言した。政権転覆を支援したのをバイデンネタニヤフ両人は公式に認めており、もちろんトルコのエルドアンも多大な功績を認められるに値する。

 それでも、欧米の主流言説では、これをアメリカと同盟諸国が支援する政権転覆作戦と呼ぶには依然タブーがある。何年にもわたる反証があるにもかかわらず、これが完全にシリア国民のみに引き起こされた、100%自然発生的蜂起であるかのように我々全員装わなければならない。代理戦争や飢餓制裁や絶え間ない爆撃作戦や、欧米が支援した内戦後、復興を阻止するため、明らかにシリアから石油と小麦を断つことを意図した軍事占領によりアメリカ権力同盟がシリアを粉砕するのを見たばかりなのに、我々はそう装わなければならないのだ。

 こう言うと怒る人もいるだろうが、これは事実だ。世界的大事件は、その結果に利害関係を持つ大国の行動と無関係に起きるものでないのは単なる事実だ。私がこう言うのを不快に感じるなら、その不快感は認知的不協和と呼ばれる。何か変だという感覚だ。

 シリアにおけるアメリカ権力同盟の関与を指摘されると、あなたは不快に感じるかもしれない。そして、ハリウッド映画のように勇敢な自由戦士の一団が邪悪な超悪人独裁者を独力で勇敢に倒したと信じたいのかもしれない。だが現実はあなたの好み通りには進まない。現実には、アメリカを中心とする地球規模の帝国が、そのような出来事に深く関与しているのは確実だ。

 私がこう言うと、私が「シリア人の主体性を否定している」とあなたは思いたがるかもしれない。そして「主体性の否定」は人が犯し得る最悪の罪だ。だが私が言っているのは、シリア人は主体性を持っているという考えと矛盾するものではない。アサド退陣を望むシリア人は明らかに多数いたし、アメリカ帝国と何の関係もない独自の理由でアサドと戦った人も明らかに多数いた。この明白な事実と、2011年の紛争の始めから、シリアに深く入り込んでいたアメリカを中心とする権力構造や、その関与が、今日我々が目にしている出来事につながったという十分文書化された現実との間に矛盾はない。

 シリア人の心をアメリカ帝国が支配し、彼らに自らの力で政府に背くよう強制したという主張ではない。天秤にアメリカ帝国が大きな力を加えて、シリア人のある集団ではなく、別の集団が思い通りに行動できるようにしたという主張なのだ。

 欧米諸国の政権転覆介入主義が今回良い結果につながると主張することは可能だ(一貫して、その逆を示す膨大な歴史的証拠を無視する覚悟がある限り)が、欧米諸国の政権転覆介入主義がシリアで起きたことは、いかなる合理的根拠に基づいても否定できない。

 欧米の自由主義がおかしいのは、欧米帝国の行動、更には帝国の存在そのものから、信奉者連中が、心理的に断絶する能力に大きく依存している点だ。欧米諸国が自分たちのことに大いに気を配り、欧米指導者連中が演壇から平和と外交を訴えながら、世界中で暴力と破壊が広がるのを受動的に見る架空の別世界に欧米の自由主義者は生きている。彼らは帝国が存在しないふりをし、ワシントンの戦略的利益に有利な形で紛争やクーデターや暴動が起こり続けるのは、単なる偶然だと考えている。

 現実には、アメリカが、そうとは宣言していない帝国の中心で、その帝国が自ら支配する単一権力の傘の下に世界中の人々をまとめようと精力的に活動しているのを理解しなければ世界で起きていることを理解するのは不可能だ。この帝国の塊に吸収されることにうまく抵抗している数少ない国々は、我々欧米人が憎むよう洗脳されている公式の悪人だ。中国やロシアやイランや北朝鮮や中南米のいくつかの社会主義国だ。以前シリアもこのリストに含まれていたが、今やもう終わりだ。シリアは帝国の塊に吸収されてしまったのだ。

 そして明日には、帝国の塊は、吸収されていない次の国に照準を移すだろう。これが地球上のあらゆる主要紛争の背後にある根本的力学だ。この力学は、マスメディアとして知られる欧米宣伝機関と、学校教育として知られる欧米の洗脳制度の支援により、主流の欧米西世界観から消し去られている。この力学は、世界の情報システムを操作する金権政治家や帝国管理者によって、我々の世界観から消し去られ、我々の注目から隠されている。さもないと、アメリカ帝国が今日のこの地球で最も暴君的で虐待的権力構造であることに我々が気付いてしまうためだ。

 そしてそれは疑いようのない事実なのだ。21世紀に侵略戦争で何百万人もの人々を殺しながら、何百もの軍事基地で地球を包囲し、世界のどこであれ自らの命令に反対する集団を粉砕するため絶えず活動してきた権力構造は他にない。中国でも、ロシアでも、イランでも、キューバでも、バッシャール・アル・アサドでもない。現代、これほどまでに世界を圧制し虐待してきたのは、アメリカ帝国だけだ。

 そして今、帝国の塊は、代理戦争や制裁やイスラエルによる執拗な爆撃作戦や食糧や燃料を奪うことを目的とした軍事占領を通じて何年もかけてシリアを弱体化させ、シリア全土の大きさにまで成長し、次の標的を吸収するため動き続けている。

 人間の血の無限の流れによって支えられている帝国に支配されている限り、世界は平和を知ることはできない。それが、帝国の終焉が早く訪れるよう祈る理由なのだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/12/09/another-nation-absorbed-into-the-blob-of-the-empire/

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 The Chris Hedges YouTube Channel
The Fall of Assad & What it Means for The Mid East (w/ Alastair Crooke) | The Chris Hedges Report  1:10:46
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
韓国社会、民主主義国家として権力の恣意性に対する抵抗力証明。日本にあるか。韓国議会、尹大統領への2回目弾劾訴追案を採決し議案可決。今後は憲法裁判所が180日以内に、弾劾の妥当性を判断。憲法裁判所が大統領の罷免を認めれば60日以内に大統領選挙。

2024年12月11日 (水)

シリア崩壊

2024年12月9日
Moon of Alabama

 シリアが崩壊した。

 シリア - 勝者なのか敗者なのか、それとも、その両方なのか

 この国が崩壊する可能性は今や非常に高い。国外および国内関係者は、それぞれ可能な限り遺骸の多くの部分を捕獲したり支配したりしようとするだろう。

 そこから何年にもわたる混乱と争いが続くことになるだろう。

 イスラエルはシリア領土を更に広範囲に奪取している。シリアの都市クネイトラを制圧し、クネイトラ地域のアル・カハタニヤとアル・ハミディヤの町も制圧した。またシリアのヘルモン山にも進攻し、現在シリア首都から僅か30キロ地点(上空)にいる。

 また、イスラエルは射程圏内のシリア軍備貯蔵施設を爆撃して、シリアの非武装化を更に進めている。主な標的は防空陣地と揚陸艦だ。今後何年もシリア、あるいはシリアから発展する国は、外部からの攻撃に対して完全に無防備状態になるだろう。

 今のところイスラエルは、シリアで大勝利を収めている。だが落ち着きのないジハード主義者連中が今や国境に迫っており、この状況がいつまで続くかはまだ分からない。

 シリアの中央砂漠をアメリカは爆撃している。ISISを攻撃していると主張しているが、本当の標的は、アメリカが支配するシリア東部とイスラエルが支配する南西部とのつながりを阻止する可能性がある全ての現地(アラブ)抵抗勢力だ。このつながりを更に強化して、川から海までシオニストが支配するエレツ・イスラエル国家を建設する計画のる可能性は十分にある。

 シリア攻撃において、トルコはこれまでも、そしてこれからも大きな役割を果たし続ける。トルコは「シリア国民軍」(旧自由シリア軍)に資金提供し、支配しており、主にシリア国内のクルド人分離主義者との戦いに利用している。

 トルコには300万から500万人のシリア難民がいるが、国王志望者のエルドアン大統領は国内政治的理由から彼らがシリアに帰国するのを望んでいる。だが混乱が拡大しているため、それは許されないだろう。

 トルコはアルカイダから派生したハヤト・タハリール・アル・シャムを育成し、アレッポを占領するよう圧力をかけてきた。この組織がこれほど成功するとはトルコは予想していなかった。シリア陥落は、アメリカがシリアを支配しつつある今、トルコにとって問題となっている。トルコが何をしようと、控えめに言っても、ワシントンは必ずしも両立しない国益のためにHTSを利用しようとするだろう。

 トルコにとって主目的は、トルコ国内のクルド人反乱軍と、彼らを支援するシリアのクルド人だ。クルド人はシリア民主軍として組織されており、アメリカが支援し、支配している。SDFは既にエルドアンのSNAと戦っており、シリアにトルコが更に侵入すれば、彼らは対抗することになるだろう。

 シリア東部でアメリカ占領軍の支援を受けているSDFは、シリア東部の主要石油、ガス、小麦産地を掌握している。ダマスカスで支配したいと望む者は、国家財政を支えるため、これらの資源を自由に得ちれる必要がある。

 HTS指導者アブ・モハメド・アル・ゴラニは、1,000万ドルの賞金が懸けられているにもかかわらず、現在、シリア統一と寛容の新指導者として欧米メディアに取り上げられている。だが彼のHTS自体は様々な国々の強硬派ジハード主義者の連合体だ。略奪できるものがシリアにはほとんど残っておらず、それら資源が尽きれば、すぐにHTS内で戦闘が始まるだろう。ダマスカスのシーア派やキリスト教の聖地を略奪し始めた同志の宗派的衝動を、アル・ゴラニは制御できるのだろうか。

 ここ数年、ロシアはアサド政権に見かけほど注力していなかった。アサドがほとんど役に立たないパートナーになったのをロシアは知っていた。ラタキア県フメイミムにあるロシアの地中海基地は、ロシアにとってアフリカへの足掛かりとなっている。シリア新指導者には、ロシアを追い出すようアメリカから圧力がかかるだろう。だが、シリア新指導者は、賢明なら、ロシアを留めておきたいと思うはずだ。いずれ必要になった時に代わりの選択肢を持つことは決して悪いことではない。ロシアは今後何年もラタキアに留まるかもしれない。

 シリア陥落により、イランはイスラエルに対する抵抗枢軸の主要部分を失った。レバノンのヒズボラが提供していた前線防衛は今や崩壊している。

 かつてペンタゴンでした会話について、元将軍ウェズリー・クラークは以下のように報じていた。  
「これは、イラクから始まり、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランまで、7カ国を5年で、どう排除するかを記したメモだ。」
 現在までに、あの有名なメモに記された7カ国中6カ国は混乱に陥っている。イランは、これまでのところ、その計画から唯一生き残っている。イランは緊急に国内防衛力を更に強化する必要がある。今こそ、イランが本物の核兵器を手に入れるべき時だ。

 トランプ新政権は中国を最大の敵とみなしている。退任するバイデン政権は、シリア(とウクライナ)を混乱に陥れて、確実にトランプが中東(と東ヨーロッパ)に関与し続けるようにした。

 アメリカの大規模「アジア回帰」は再び待たねばならない。これにより中国は勢力圏を築くための時間が増える。中国はおそらくこの件で勝利を収めた唯一の大国だろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-winner-and-losers-or-both.html

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 ノーベル賞受賞の演説を見ながら、大昔、オスロに出張したことを思い出した。
 グランド・ホテルに宿泊した。
 顧客にホルメンコーレン・スキー・ジャンプ場のレストランで鹿肉ステーキをご馳走になった。
 翌日、ムンク美術館に行った。「叫び」を含むムンク作品を鑑賞したが他の訪問者皆無。

 The Chris Hedges Report
Letter to Refaat Alareer
 A year ago on Dec. 6, 2023 Israel murdered Palestinian poet Refaat Alareer in Gaza. His poems, however, remain, condemning his killers and beseeching us to honor our shared humanity.

 Chris Hedges
 Dec 11, 2024

 藤永茂氏の「私の闇の奥」最新記事
シリア哀悼
 ≪櫻井ジャーナル≫
シリア全土でHTS戦闘員による虐殺が行われていると報告され始めた
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国の対中禁輸措置に対抗し、中国はガリウム、ゲルマニウム、黒鉛、アンチモンの対米禁輸を決め、第三国が輸入し米国に回すことも禁止。中国の重要鉱物禁輸措置は予想以上に厳しい。但し中国側は交渉で妥協を図る余地も残す。米国の同盟国にも厳しい状況がくるであろう(NYT)

2024年12月 9日 (月)

クレイグ・マレー - 中東における多元主義の終焉

2024年12月7日
Moon of Alabama

クレイグ・マレーcraigmurray.org.ukから転載

 中東では本当に劇的な変化が実に急激に起きているようだ。核心にあるのは悪魔の取引だ。シリアとレバノンのシーア派少数派の絶滅と東アラブ世界へのサラフィー主義の押し付けと引き換えに、パレスチナ国家の絶滅と大イスラエル創設をトルコと湾岸諸国は受け入れている。

 これはまた、レバノンとシリアのキリスト教共同体の終焉を意味するもので、現在アレッポではクリスマスの飾りが全て破壊され、アルコール飲料が全て破壊され、女性にベールが強制的に着用させていることからもそれがわかる。

 昨日、シリア政府の要請でイラクからシリアへ向かっていた増援部隊を米軍のウォートホッグ(イボイノシシ)空対地戦闘機が攻撃し大幅に消耗させた。シリア軍事施設に対するイスラエルの何ヶ月にもわたる毎日の絶え間ない空爆がシリア政府のシリア・アラブ軍の士気低下と戦力低下の大きな要因で、アレッポとハマでシリア・アラブ軍は完全消滅した。

 シリアで情勢が好転するとは到底考えられない。今、シリアの基地を地上部隊で大規模増強するか撤退するかのどちらかをロシアは迫られている。ウクライナの緊急事態に直面して、ロシアは後者を選択する可能性があり、ロシア海軍は既にタルトゥースを出港したと報じられている。

 シリア崩壊の速度には誰もが驚いている。状況が安定しなければ、ISISの進撃の速度と移動距離の短さを考えれば、一週間以内にダマスカスが包囲され、ベカー高原の丘陵地帯にISISが戻ってくる可能性がある。

 そうなれば、サラフィー主義者のベッカー高原侵攻と同時期にイスラエルが南レバノンに新たな攻撃を仕掛けるのは避けられないように思われる。タリバン式のシリア領土を持つ新たな隣国との国境をできるだけ北にしたいとイスラエルは明らかに望んでいるためだ。既に、アメリカが一体誰がそこを得るか画策していない限り、ベイルートを巡る争いになるかもしれない。

 対シリア攻撃がレバノンとイスラエル停戦の日に始まったのは偶然ではない。ヒズボラは、イスラエルから執拗な空爆を受け、イスラエルとの戦いで疲弊しているいるにもかかわらず、ジハード勢力は、イスラエル共に戦っているとは見られたくないのだ。

 イギリス・メディアと異なり、言ってはならないことを言うのに、タイムズ・オブ・イスラエルは何の躊躇もしない。



 実際、イスラエル・メディアは今のところ、シリア反政府勢力についてイギリスやアメリカのメディアより、ずっと多くの真実を伝えている。これはイスラエル・タイムズの別記事だ。  
HTSは2016年に正式にアルカイダから離脱したが戦闘員数万人を擁し、アメリカ、EUや他の国々でテロ組織に指定されているサラフィー主義ジハード組織であり続けている。

 突然の増派によってシリアが占領されればイスラム主義のタリバンのような政権に変貌し、南西国境のイスラエルに影響を及ぼすのではないかという懸念が生じている。だが、この攻勢は、イスラエルにとっては前向きな展開で、地域におけるイラン枢軸への更なる打撃となると見る者もいる。
これを、テレグラフ紙やエクスプレス紙からガーディアン紙に至るイギリス・メディアが、欧米諸国のジャーナリストを含む非スンニ派の大量拷問や処刑に関与した同じ組織だけでなく、同じ人々が、今や甘やかされたリベラル派だという公式見解を広めてきたことと比較しよう。

 このことは、現在欧米メディアで穏健派指導者として持ちあげられているアブ・モハメド・アル・ジョラニ(アル・ジュラニ、アル・ゴラニとも表記される)の場合ほど明白な例はない。彼はISIS副指導者だったが、CIAは実際彼の首に1000万ドルの賞金をかけている! そう彼に資金と装備を提供し、航空支援を与えているのも、まさにCIAだ。

 イスラエルとアメリカの支援を受けていることを、シリア反政府勢力支持者は、いまだに否定しようとしている。しかし、ほぼ10年前に、その時点で5億ドル以上が、シリア反政府勢力支援に費やされ、ジハード主義者に、医療やその他のサービスや効果的航空支援をイスラエルは公然と提供してきたというアメリカ議会の公開証言があった。

 シリアの聖戦集団に対するNATOとイスラエルの共同支援の興味深い結果の一つは、国内法の更なる歪曲だ。イギリスを例に挙げれば、テロ対策法第12条では、禁止された組織を支持する、または、他者にその組織を支持するよう導く可能性がある意見を述べることは違法だ。

 イギリス警察が、この規定を悪用し、禁止されている組織ハマスとヒズボラへの支援を奨励したとしてパレスチナ支持者を迫害しているのは有名で、ほんの少し言及しただけでも逮捕につながっている。サラ・ウィルキンソン、リチャード・メドハースト、アサ・ウィンスタンリー、リチャード・バーナード、そして私自身、いずれも著名な被害者で、この迫害はキール・スターマー首相により大幅に激化している。

 しかし、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)もイギリスでは禁止されている団体だ。しかし、イギリスの主流メディアやイギリスのイスラム系メディアは、どちらも、一週間にわたりHTSを公然と宣伝し賞賛してきた。率直に言って、イギリスでハマスやヒズボラを支持する人を見たことがある人よりも遙かに公然とだ。そしてイギリス警察に逮捕された人や警告を受けた人は一人もいない。




 それ自体、欧米諸国の治安機関がシリアに対する現在の攻撃を全面的に支援していることを示す最も強力な兆候だ。

 念のため言っておくが、私はこれはひどい法律だと思うし、どちらにせよ、意見を表明したからといって、誰も起訴されるべきではない。しかし、この法律の適用が政治的に偏っていることは否定できない。

 欧米諸国の商業メディアと国営メディア全体が、HTSによりアサド政権の圧政から解放されてシリア国民が大喜びしているという統一した報道を展開し、それに伴うシーア派の拷問や処刑、クリスマスの飾りや聖像破壊については一切言及しないのだから、これがどこから来ているのかは誰の目にも明らかなはずだ。

 しかし、これはイギリス国内でのもう一つの反響だが、イギリスでは相当数のイスラム教徒がHTSとシリア反政府勢力を支持している。これは、サウジやアラブ首長国連邦のサラフィー主義者からイギリスのモスクに資金が注ぎ込まれているためだ。これは承認された宗教指導者に利益をもたらす公的支援プログラムや「シンクタンク」や忌まわしい強制的なPreventプログラム両方を通じて、モスクを通じて行使されるイギリス治安当局の影響力と結びついている。

 ミドル・イースト・アイやファイブ・ピラーズなど、表面上親パレスチナ派のイギリス・イスラム系メディアは、パレスチナ人虐殺への抵抗勢力の壊滅を確実にするイスラエルのシリア同盟国を熱烈に支持している。アルジャジーラは、パレスチナでの恐ろしい虐殺の詳細を伝える記事と、イスラエルと同盟を組んだシリアの統治をシリアにもたらしているシリア反政府勢力を称賛する記事を交互に放送している。

 彼らがこの問題を解決するために採用している手段の一つは、イランからヒズボラへの武器供給を可能にするシリアの重要な役割を認めないことだ。この供給は今やジハード主義者に遮断されており、イスラエルにとって非常に喜ばしいことに、イスラエルとアメリカの空爆と連携して行われている。

 結局、中東と西洋の多くのスンニ派イスラム教徒にとって、パレスチナ国家の最終的破壊を防ぐことよりも、シーア派に対する宗派的憎悪とサラフィー主義の押し付けの方が強いように思われる。

 私はイスラム教徒ではない。イスラム教徒の私の友人は、ほとんどスンニ派だ。千年以上も前の宗教指導者を巡って分裂が続いていることは何の役にや立たず、不必要な憎しみの根源だと私は個人的に考えている。

 だが、何世紀にもわたり、スンニ派とシーア派の分裂を、西洋植民地勢力が意識的に、明示的に利用して分割統治をしてきたことを私は歴史家として知っている。1830年代、シインドにおけるシーア派支配者とスンニ派住民の分裂をイギリス植民地拡大に役立てる方法についてアレクサンダー・バーンズが報告書を書いていた。

 1838年5月12日、アフガニスタンへの最初のイギリス侵攻を開始する決定を述べたシムラーからの手紙の中で、イギリス総督オークランド卿はインドとアフガニスタン両国におけるシーア派とスンニ派の分裂を利用してイギリス軍の攻撃を支援する計画を盛り込んだ。

 何世紀にもわたり、植民地勢力はこれを行っており、イスラム教共同体はそれに騙され続けており、中東の改造を進めるためにイギリスとアメリカは現在これを行っている。

 簡単に言えば、ガザ地区の圧倒的多数を占めるスンニ派住民に対して現在大量虐殺を行っている連中よりもシーア派イスラム教徒を憎むよう、多くのスンニ派イスラム教徒は洗脳されているのだ。

 私がイギリスに言及したのは、ブラックバーンの選挙運動中に、これを直接目撃したからだ。だがイスラム世界全体でも同じことが言える。パレスチナ人の大量虐殺を阻止するために、スンニ派イスラム教徒主導の国々は指一本動かしていない。

 彼らの指導部は、反シーア派宗派主義を利用して、実際抵抗の実際的支援をパレスチナ人に与えようとしている唯一の集団であるイラン、フーシ派、ヒズボラに対抗し、イスラエルとの事実上の同盟に対する国民の支持を維持しようとしている。そして物資供給を容易にしたシリア政府にも対抗している。

 暗黙ながら、非常に現実的な合意は次の通りだ。パレスチナ国家全体の消滅と大イスラエルの形成をスンニ派勢力は受け入れるが、その見返りとして、イスラエルとNATOに支援される軍隊(トルコを含む)がシリアとレバノンのシーア派共同体を絶滅させるのだ。

 もちろん、この大同盟には矛盾もある。イラクにおけるアメリカのクルド人同盟者が、シリアのクルド人集団をトルコが破壊したのを喜ぶ可能性は低い。これは、トルコがシリア打倒で非常に積極的な軍事的役割を果たしたことで、エルドアン大統領が得た利益で、油田に対するトルコの支配を更に拡大したことによるものだ。

 イランに友好的なイラク政府は、自分たちが次の標的だと認識しており、自国の大部分をアメリカが占領し続けるのを受け入れるのは更に困難になるだろう。

 レバノン軍はアメリカ支配下にあり、イスラエルとの悲惨な停戦に合意するには、ヒズボラは大きく弱体化していたに違いない。伝統的にイスラエルと同盟を結んでいたキリスト教ファシスト民兵はベイルート各地で益々目立っているが、彼らが北のジハード主義者と手を組むほど愚かかどうかは疑問かもしれない。だがシリアが完全にジハード主義者の支配下に陥れば ― それはすぐに起きるかもしれない ― レバノンもすぐ、それに追随し、サラフィー主義の大シリアに統合される可能性も否定できない。

 ヨルダンのパレスチナ人がこの悲惨な事態にどう反応するかは定かではない。大イスラエル計画のもと、民族浄化されたヨルダン川西岸のパレスチナ人の行き先として指定されているのは、イギリス傀儡のハシミテ王国だ。

 これら全てが意味するのは、レバントにおける多元主義の終焉と、それが優越主義に置き換わることだ。民族優越主義の大イスラエルと宗教優越主義のサラフィー主義の大シリアだ。

 多くの読者と違い、私はアサド政権のファンだったこともなければ、その人権侵害に目をつぶったこともない。だがアサド政権が確実に成し遂げたのは、スンニ派(多くのスンニ派はアサドを支持している)、シーア派、アラウィー派、初期キリスト教徒の子孫や、イエスの言語であるアラム語話者を含む最も素晴らしい歴史的宗教と共同体の伝統が全て共存できる多元主義国家の維持だ。

 レバノンも同様だ。

 我々が目撃しているのは、その破壊とサウジアラビア式支配の押し付けだ。クリスマスツリーから語学教室、ワイン醸造、ベールを脱ぐ女性まで、多元主義を示すあらゆる小さな文化的物事がアレッポで破壊されたばかりで、ダマスカスからベイルートまで破壊される可能性がある。

 アサド反対派の中には真の自由民主主義者はいないと私は言わない。だが彼らの軍事的重要性は無視できるほど小さく、彼らが新政府に影響力を持つという考えは妄想だ。

 多元主義国家を装っていたイスラエルで、仮面は剥がされている。イスラム教徒の礼拝の呼びかけが禁止されたばかりだ。ネタニヤフ首相と大量虐殺を批判したためクネセト(議会)のアラブ系少数派議員は議員資格を剥奪された。不法占領地域だけでなく「イスラエル国」自体でもアパルトヘイトを強制するための壁や門が日々建設されている。

 告白するが、かつて私はヒズボラ自体、宗教至上主義の組織だという印象を持っていた。指導者の服装やスタイルは神政主義的に見えた。その後、私はここへ来て、数十年ヒズボラが選出した地方政府下にあったティルスなどの場所を訪れ、海岸で水着やアルコールが許可され、ベールが任意な一方、そこには全く妨害されないキリスト教徒共同会があると知った。

 私はもうガザに行くことはないだろうが、ハマスの支配にも同じように驚いたかもしれないと思う。

 中東全域で宗教的過激主義を推進し、欧米の規範に似た社会的多元主義の終焉を推進しているのはアメリカだ。これはもちろん、イスラエルとサウジアラビアという二つの宗教至上主義の中心地とアメリカが同盟を結んでいる直接的な結果だ。

 多元主義を破壊しているのはアメリカで、多元主義を守っているのはイランと同盟諸国だ。ここに来なければ、私はこれをはっきり見ることができなかっただろう。しかし、一度見れば、目もくらむほど明白だ。

ベイルート 2024年12月6日

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記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/craig-murray-the-end-of-pluralism-in-the-middle-east-.html#more

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2024年12月 7日 (土)

ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由



マイク・ホイットニー
2024年12月1日
The Unz Review

 シリアは、イスラエルの中東再編の野心的計画に欠かせない一部だ。シリアは中東地域の中心に位置し、イランから同盟諸国への武器や歩兵の輸送に不可欠な陸橋であると同時に、イスラエルの拡張に対する武装抵抗の地政学的中心地でもある。イスラエルがこの地域を本当に支配するには、ダマスカス政府を打倒し、ヨルダンやエジプトと同様の傀儡政権を樹立する必要がある。ワシントンが(自国よりも)イスラエルの利益を「無条件に」支持するよう説得された今、テルアビブの包括的計画を実現する可能性が最も高い変化を起こすのにこれ以上の時はない。南部から地上戦を開始し、シリア軍を半分に分割して成功の見通しを大幅に改善する二正面戦争を起こす準備がベンヤミン・ネタニヤフ首相はできている。同時に、アメリカが支援するジハード主義者が、シリア北部で暴れ回り続け、シリアのぼろぼろになった防衛を徐々に蝕み、シリアの産業首都アレッポの安全を更に確保するだろう。 もしダマスカスが陥落し、アサドが権力の座から退けば、イスラエルの地域覇権の夢は手の届くところにあり、おそらく実現可能になるだろう。ただし我々が想定している通り、見返りとしてイランとの戦争を開始するとトランプ大統領がホワイトハウスに押し込んだ強力なロビイスト連中に約束した場合だ。だが、まずはシリアが鎮圧され、シリア軍が敗北し、現支配者が追放されなければならない。それが、同盟諸国やパートナーからイランを効果的に切り離し、今後の恐ろしい猛攻撃に備える唯一の方法だ。

 現在イスラエルの血に飢えた十字軍に終止符を打てる人物は世界に一人しかいない。



 プーチンが迅速に行動し、アサドに緊急援助を提供しなければ、現在の事態は取り返しがつかなくなる可能性が高い。これは、アメリカが支援するテロ攻撃や(間もなく起こるだろう)南部の挑発を阻止するためロシア戦闘部隊を派遣することを意味する可能性もある。要するに、主権国家シリアは今や存亡の危機に直面しており、プーチンがいつもの慎重な姿勢を捨て、蛮族を撃退するために必要な手段をシリアに提供しなければ、地域全体と世界に悪影響を及ぼすことになるだろう。

 日曜版のタイムズ・オブ・イスラエルで、イスラエルの戦争計画者連中が既にシリア南部から侵攻する口実を決めていることがわかる。「 Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM(反政府勢力のシリア侵攻はイスラエルの短期的利益と、潜在的な問題を意味すると情報機関幹部が首相に伝えたとされる)」と題された記事の抜粋をご覧願いたい。  
シリアにおけるジハード主義反政府勢力の侵攻をイスラエルはかなり警戒して見守っており、シリア政治階層の動向が最終的にイスラエルにとって問題となる可能性があると諜報機関責任者たちは語っているとチャンネル12が報じている。「アサド政権を守るため、今後ヒズボラの注意はシリアに移り、ヒズボラの軍もシリアに移るだろう」とネタニヤフ首相が言ったと報じられている。

 「アサド政権崩壊は混乱を引き起こし、イスラエルに対する軍事的脅威が高まりかねないはずだ」と情報機関責任者らは警告している。

 更に、金曜日の安全保障協議で、アサド政権の「戦略能力」がジハード主義者の手に渡る可能性があるという懸念が提起されたとチャンネル12は報じている。最大の懸念は「化学兵器の残骸」に関するものだと同報道は述べている。

 イスラエルが行動を迫られるシナリオに、イスラエル国防軍は備えていると言われているが、報道は詳細を明らかにしていない。

 国の安定を図るため、シリアは相当数のイラン軍兵士に門戸を開く可能性があるという評価もあると報告書は述べている。Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM,(反政府勢力のシリア侵攻は、短期的にはイスラエルにとって利益だが、潜在的な問題になると諜報機関幹部が首相に伝えた)と報じられている。タイムズ・オブ・イスラエル
 ここでシリア侵攻の正当性は白黒はっきりしている。イスラエルには「化学兵器」から「イラン軍」、政権転覆後の「混乱」や「アサド政権を守る」ヒズボラ軍まで、言い訳はいくらでもある。あらゆる場面で、あらゆる事態にイスラエルがいかに備えているかわかる。この計画は何年も、いやそれ以上前から練られてきた。そしてもちろん、この戦略は大団円である1月の就任式に向けて戦場を準備するため迅速に実行されなければならない。就任式で、アメリカ史上最も親シオニスト大統領が即位し、イスラエルが熱望するイランとの戦争で報いを受けることになる。何も成り行きに任せるわけには行かない。



ビデオ—「テロリストは欧米の新軍隊だ」とシリアのアサド大統領が説明 3分

 驚くべきことに、アレッポ情勢についてエルサレムポスト紙の連中は、より率直な見解を述べている。実際、ある賢明な評論家は、狂信的な首切り屋連中の手によるシリアの産業首都の降伏は「良いニュース」だと率直に認めている。何だって? 記事の抜粋は以下の通り。  
土曜日のX/Twitterへの投稿で、イスラム主義者によるアレッポ攻撃は「表面上イスラエルにとって良いニュースだ」とエルサレム戦略安全保障研究所のダニエル・ラコフ上級研究員は述べた。「シリア北部が反政府勢力の手に落ちたことで、イランとヒズボラのインフラが損なわれ、ヒズボラ再建に向けた取り組みは困難になるだろう」と彼は述べた。

 また、ロシア国営メディアはアレッポでの紛争をほとんど無視する一方、世界紛争に関するロシアの評論家は、シリアの都市の防衛失敗についてモスクワは責任を負わず、ロシアはそこにほとんど兵力を配備しておらず、この事件はアサド政権にとって大きな失敗だったと述べているとイスラエルの研究者は主張している。

 イスラエルにとってシリア攻撃の好機?

 更に、アサド政権が示した弱さにより、イスラエルがシリアを攻撃する機会があるという考えをラコフは抱いている。

 「アサド大統領がアレッポを失ったことで、旧ソ連圏外に影響力を発揮できる大国としてのロシアのイメージが損なわれ、プーチン大統領の重要な戦略的資産であるシリアの基地が脅かされる」と彼は書いている。「これはまた、この地域におけるロシアのイメージに悪影響を及ぼす」

 「クルスクでのウクライナ軍の攻勢からわかる通り、ロシアはヒステリックに急ぐつもりはないが、アレッポ陥落の速さを考えれば、迅速な対応が求められるだろう」と彼は書いている。

 JISSの研究者は、シリア情勢の不安定化によりアサドとロシアがイラン軍の進入をより強力に容認する可能性がある一方、アサド政権崩壊によりイスラエルに対する重大な軍事的脅威が増大するシナリオが生まれる可能性があると述べて記事を締めくくった。Attacks in Aleppo ‘ostensibly good news for Israel,’ JISS researcher says, (アレッポでの攻撃は「イスラエルにとって表面上良いニュースだ」とJISS研究者は語る)エルサレム・ポスト
 繰り返す。「イスラエルがシリアを攻撃する好機」?

 確かにそうだが、同様に興味深いのは「中東からロシアを追い出す」ことは(イスラエルの観点から)アサド政権打倒と同じくらい重要なことだ。また、プーチン大統領が「窮地に陥り」、時宜を得た対応ができず、これがイスラエルにとって非常に有利になるとラコフが考えているのも明らかだ。だが、もちろん、ラコフの全体評価で最も衝撃的なのは、安定した合理的な体制を専制的な宗教独裁政治に置き換えようとする狂った野蛮人の手によって繁栄する都市が破壊されることから彼が得る純粋な喜びだ。だが大量虐殺が成功の基準なら、我々にとって何も驚くべきことではないだろう。



 これは、シリア現地の極めて不安定な状況に関する日曜日の最新情報だ。  
土曜日に、反政府勢力がアレッポ国際空港を制圧したと主張し、ハマへ進軍する中、ロシアとシリア政府軍の空爆はアレッポ中心部を激しく攻撃した。シリア反政府勢力が同市から追放された2016年以来、アレッポを標的とした空爆は今回が初めてだ。

 しかし土曜日に、同盟集団(一部はトルコ支援を受けている)とハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)率いる反政府勢力は、驚くべき成果を上げたと主張した。彼らは、アレッポ国際空港とイドリブ南部の戦略都市ハーン・シャイフンを制圧したと主張した。イドリブ県の行政境界は完全に彼らの支配下にあると彼らは付け加えた。

 彼らはまた、ハマに向けて進軍を開始し、シリア中央部と北部を結ぶ重要な幹線道路沿いにあるモレクを含む、地方の6つの町と村を占領することに成功したと主張した。

 攻撃は水曜日、反政府勢力がシリア北西部の反政府勢力支配地域からアレッポに向けて脱出したことから始まった。二日間で反政府勢力は数十の町や村を制圧し、戦略上重要なM5高速道路の一部を制圧し、ダマスカスへの補給路を遮断した。反政府勢力はその後もいくつか軍事基地や要塞化された陣地を制圧しており、ほとんど抵抗には遭わなかった。

 政府軍戦線の崩壊

 SOHRによると、政府軍はイドリブとアレッポで崩壊した。これによりシリア第二の都市アレッポは1946年の同国独立以来初めて政府管理下から外れたと監視団体は述べた。

 モスクワ通信によると、事態が急速に進展する中、シリア問題における主要な利害関係国であるトルコとロシアの外相は土曜日に電話会談し、シリア安定化に向けた取り組みを調整することで合意した。

 「アレッポ県とイドリブ県での軍事的緊張の高まりに関連して、シリア・アラブ共和国における状況の危険な展開に双方は深刻な懸念を表明した」とロシア外務省は述べた。

 イドリブ県の大半は、かつてのアルカイダ系組織HTSが掌握し文民政権が樹立された。北部の他地域ではトルコが支援するシリア国民軍連合の反政府勢力が勢力を維持している。

 だが、ロシアがウクライナ戦争に気をとられ、アサド政権軍がイスラエルの頻繁な攻撃で弱体化しているにもかかわらず、シリアとロシアの軍用機は2023年8月以降、反政府勢力支配地域への空爆を強化している。 Syria: Deadly strikes hit Aleppo as rebels seize airport, push towards Hama(シリア:アレッポで致命的攻撃、反政府勢力が空港を占拠、ハマへ進撃) ミドル・イースト・アイ
ビデオ:トルコが支援するテロリストがアレッポの大統領別荘に侵入

 ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)や他のいわゆる「反政府集団」が主にアルカイダ関連組織で、イスラエルの拡大と中​​東再編に反対する勢力に対する代理戦争を遂行するため、アメリカ、カタール、トルコに採用、武装、訓練されているのを読者は知っておくべきだ。作家で評論家のマックス・ブルーメンソールは、これら集団の起源についてかなり研究を行い、その調査結果を「シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵のうち21をアメリカは支援している」と題する最新記事で発表した。以下は彼の記事の短い宣伝文だ。  
シリア北部でクルド人を処刑し斬首したとして、トルコ傭兵部隊「アラブ民兵」を元職および現職のアメリカ当局者は激しく非難した。トルコの新たなデータは、これら民兵のほぼ全員が過去にCIAと国防総省により武装され訓練されていたことを明らかにした。

 今年10月に親政府系トルコ・シンクタンクSETAが発表した研究論文によると「トルコ傭兵部隊の28派閥のうち、21は以前アメリカから支援を受けており、そのうち3つは国防総省の対DAESHプログラムを通じて支援を受けていた。これら派閥のうち18は、武装反政府勢力を支援する「シリアの友人」の合同情報作戦室たるトルコのMOM作戦室を通じてCIAから支援を受けていた。28のうち14の派閥は、アメリカから供給されるTOW対戦車誘導ミサイルの受領者でもあった。」

 言い換えれば、オバマ政権下で武装・装備された反アサド反乱軍のほぼ全組織が、トルコ軍により北シリアへの残忍な侵攻の先鋒として再利用されたのだ。この部隊の指導者は、現在トルコが支援するシリア「暫定政府」の「国防大臣」サリム・イドリスだ。彼は故ジョン・マケイン上院議員が2013年にシリアに悪名高い侵攻を行った際に、マケインを接待した人物と同じ人物だ。

 このハッカー集団(メディア)が、地球上最も残忍な狂信者連中を革命家や「穏健な反逆者」として売り込み、地域全体を不安定化させ、血みどろの詐欺を国民に押し付けていたことが今やすっかり暴露された。かつて彼らが喧伝した過激派連中同様、どういうわけか大半は責任を逃れ、雇用され続けている。 The US has backed 21 of the 28 ‘crazy’ militias leading Turkey’s brutal invasion of northern Syria(シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵集団のうち21をアメリカは支援している)マックス・ブルーメンソール、グレイゾーン
 では、世界最大のテロ支援者は一体誰だろう?

 ご想像通り、アメリカ政府だ。

 最後に、最近見つけたブロガーの言葉を引用して終わりにするが、彼女の主張のほとんど全てに私は同意する。他の読者も同じように感じるかどうか知りたいものだ。  
アメリカ、イスラエル、アルカイダ、トルコが支援するシリアに対する今回の作戦は、様々な代理組織やテロリスト集団を使って、シリア軍の勢力をそらし、不安定化させ、過剰に手を広げさせて、南からイスラエルが侵攻できるようにして、イランからイラク、シリア、そしてレバノンへとヒズボラへの武器流入を阻止するため長年計画されていたものだ。戦争は続いているが、連中は戦場をわずかに移動させたに過ぎない。

 だからこそ、この「停戦」直前に、シリアとレバノン国境をイスラエルが攻撃し、その後も攻撃を続けたのだ。停戦のおかげで、弱体化したイスラエルは回復する時間を得て、最もシオニスト的政権が誕生するまで、ワシントンと戦略を練る時間があるのだ。シリアに関してビビが望んでいることを、トランプは確実に実行するだろう。シリアは、大イスラエル計画の邪魔になる巨大抵抗勢力なので、今やシリアが焦点となるのだ。

 トルコと裏表ある詐欺師エルドアンは、北(シリア)支配を望んでおり、ガザでのビビを非難しながらイスラエルと欧米に身を売るつもりだ。NATO事務総長マーク・ルッテはトルコに行き、この攻撃直前にワシントンとトルコにF35を供与する合意をまとめた。彼は、その数日前の11月23日にはワシントンでトランプとも会談した。

 これらはどれも偶然ではない。基本的にイスラエルはこの停戦を履行するつもりはない。本質的に無意味だ。テルアビブを含む西側諸国は、国家主権を握るべく戦う相手と既に戦争状態にある。彼らはイラン、ロシア、シリアが協力して彼らの拡張主義と戦争の野望を阻止するのを止めたいのだ。フィオレッラ・イザベル@FiorellaIsabelM
 一流の分析だ。メディア報道の背後で何が起きているのかを説明するのに役に立つ。



記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/for-bibi-the-road-to-tehran-goes-through-damascus/

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 Dialogue Works
Larry C. Johnson: Hama Falls, Syria in Chaos, Turkey Backing HTS against Iran & Russia 55:36
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
フォーリンアフェアーズ誌論評「トランプ政権の中国への挑戦」。対中対決志向グループの対中政策提言。①米国は中国に凌駕される瀬戸際。②米国一国で中国の台頭を押えられず、同盟を構築し対抗、トランプは最初関税等「競争アプローチ」取るが、彼には「取引アプローチ」取る危険性存在。
 日刊IWJガイド
「尹錫悦政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!ウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する寸前だった!」2024.12.7号

はじめに~韓国政局急変(その2)! 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!「非常戒厳」を起草した金龍顯(キム・ヨンヒョン)国防部長官のもとで、「北朝鮮軍がロシアに派遣されている」という情報が出され、韓国はウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する一歩手前まで来ていた! ユン大統領は、ウクライナ支援で韓国政府内で孤立!? バイデン大統領や岸田政権など、西側でもウクライナ支援に関わった政権は次々崩壊! ウクライナ支援をすると政権が崩壊するジンクスでもあるのか!? ユン政権もそれに続くのか?

韓国政局急変(その3)! 北朝鮮との対立が激化した直接のきっかけは、韓国の活動家による「反北朝鮮体制のプロパガンダ風船」! ユン政権は昨年「プロパガンダ風船」を合法化していた!

2024年11月25日 (月)

イスラエルでは「英雄的」自己破滅志向が定着しつつある



アラステア・クルック
2024年10月29日
Strategic Culture Foundation

 イスラエルは危機に瀕している。直面している多様な抵抗勢力に自らの意思を押し付けることはできない。

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 何世紀も前に、一人の少年が生まれた。彼が偉大なシャーマンの意志を反映した驚くべき運命を背負っているのを両親は理解していた。彼の髪は明るく、目は明るい緑色で、肌は白く、彼が神の恵みを受けているのは明らかだった。しかしある日、高位の人物たる父親が殺害された。こうして一家は無防備となり、遊牧民が彼の家の跡を破壊した。彼らは彼を奴隷にした。彼らは彼が歩けないよう足に木の足かせをはめた。彼は犬のように暮らし、犬のように育ち、外で鎖につながれ、腐った食べ物を食べ、冬の夜には凍え、死を望んだ。

 しかし、彼は死を免れた。ようやく逃げ出した時、彼の精神はさいなまれていた。頭の中の声、父親の叫び声や、焼けつく炎や、拷問され殺された母親の全てがささやいた。邪魔するもの全てを破壊すれば、これら記憶は消える。

 だが、そうではなかった。彼の軍隊は数百万人殺した。それでもなお、彼は百万人以上の家臣からなる国家を築いた。国家への服従のため、部族の忠誠心や古い自意識の概念を彼は全て排除した。

 彼はこれら全てを、わずか10万人の小さな軍隊で成し遂げた。彼のチンギス・カンという名は今日に至るまで受け継がれている。

 これが今日の中東戦争とどう関係があるのだろう。まず、アメリカが支援するイスラエルの戦争で、我々は「無制限の戦争」へと移行した。戦争のルールが排除され、人権が放棄され、国際法が放棄され、国連憲章はもはや存在しない。そして、それが拡大するにつれ何でもありだ。ガザの子どもは爆弾で首を切断され、ガザの病院は爆撃され、民間人は絶えず避難させられ虐殺されている。

 この変化の原因は複雑だ。西洋のポストモダン時代精神から生まれた部分もある。だが苦悩し歪んだチンギス・ハーンが直面したのと同じ板挟みを反映している。つまり大きな軍隊なしに、いや実際は小さな軍隊だけで、どうやって世界を支配できるのかということだ。

 「今日起きたことは全て、わずか50年前、つまり1974年と1973年に計画されたことだった。平和を望まず、イスラエルに近東全体を占領させたがる今日のアメリカに至る戦略全体が、いかにして徐々に形成されていったかを私は説明したい」とハドソン教授は説明している(こちらと、こちら)。

 ハドソン教授は次のように語る。

 「70年代半ばに5年間勤務したハドソン研究所で私は多くのネオコンと出会った。彼らの何人か、あるいは彼らの父親はトロツキストだった。彼らはトロツキーの永続革命の考えを取り入れた。つまり次第に拡大する革命だ。ソビエト・ロシアで始まったものが世界中に広がるとトロツキーは言ったが、ネオコンはこれを翻案してこう言った。『いや永続革命はアメリカ帝国だ。それは全世界にどんどん拡大し、誰も我々を止められない。』」

 彼らの野望は次のチンギス・カンになることだった。軍事力不足なアメリカは、一方では、イスラエルを代理とし、他方では、サウジが支援するスンニ派原理主義を利用し、中東を掌握するのだ。シオニズムは中東におけるアメリカの破城槌になり得るとハーマン・カーン率いるハドソン研究所が有力政治家スクープ・ジャクソンを説得した。それは1970年代初頭のことだった。1996年までに、スクープ・ジャクソンの元上院議員補佐官らが特にネタニヤフのために「クリーン・ブレイク(完全なる決別)戦略」を策定した。

 明らかに、それは「新中東」の青写真だった。それは代理勢力イスラエルにとって最も利益となるのは周辺諸国の政権転覆だと主張していた。2003年3月、2003年のイラク侵攻に関して「 [クリーン・ブレイク] 計画は、イスラエルに [先制攻撃の原則を通じて] 政権転覆を推進するように促した」とパトリック J. ブキャナンは書いた。

 この計画の致命的欠陥をマイケル・ハドソン教授は指摘する。ベトナム戦争は欧米民主主義国によるいかなる徴兵の試みも実行不可能なことを示した。1968年、行く先々で戦争反対デモが絶え間なく続くため、選挙出馬をリンドン・ジョンソンは諦めねばならなかった。

 すると、アメリカとイスラエルに残されたものは一体何だったのか? 大イスラエル建国が目的なら、利用できるのは「無制限戦争」[つまり多数の巻き添え死を積極的に追求すること]だ。それは、チンギス・ハーンが実行したような無制限の戦争、つまり他民族の完全な絶滅と各々の民族の独自性抑圧だ。ホッブズ流「リヴァイアサン」たる単一権力は全員の武装解除により実現される。究極の狙いは、あらゆる多様な意志の抑圧だ。

 欠点は、アメリカ代理軍としてのイスラエル軍が、数的にも(予備役兵に頼る小規模軍隊で)、欧米化されたポストモダン文化から引き抜かれた兵士という制約によっても、兵力が限定されていることだ。

 「ポストモダンの考え方は、神や自然や理性を一掃した。個人が全てを置き換える。事実は個人が望むもののみだ ...残っているのはフィクションだけだが、これらフィクションは全て現実でもある。従って欧米社会は精神病院のように見え始める。もちろん、これは集団妄想にすぎない。爆弾が、我が国のどこかに落ち、我々の議論をあざ笑う実に現実的な現実が破壊され、この哲学は崩壊する」とHenri Hude博士は警告している。

 この発言は、より広い欧米諸国に向けられたものだが、まさにイスラエルを要約している。社会の認識論的基盤として、イスラエルはタルムードで代用しようとしているが、イスラエルの若者は欧米諸国とほぼ同じTikTok世代の個人主義者で、彼らの「事実」は、政府がそうだと伝えるものからのみ、もたらされる。そして、テルアビブに爆弾が落ちると、国は集団的パラノイアに陥り、そうした出来事が国家万能の言説をあざ笑うのだ。

 基本的に、ポストモダニズムは命と個人の自由を最優先する。したがって、この形の際限のない戦争の残虐性に適応する能力は、文化に大きく依存する。死と破壊の恐怖にうまく適応するには、犠牲や苦しみ、つまり地球を新たな成長に導くため血を流すという考えそのものを受け入れなければならない。

 イスラエルには犠牲の文化はないが、敵にはある。犠牲と喪失という概念に文化が意味を与えられなければ、自分が置かれた状況の悲劇に立ち向かう立場に人は立てない。

 無制限の戦争というイデオロギーは、純粋に理論的には考えられる解決策かもしれない。数ヶ月前、元駐米イスラエル大使でネタニヤフ首相の側近ロン・ダーマーが、パレスチナ紛争の解決策は何だと思うかと尋ねられた。ヨルダン川西岸とガザの両方を完全に武装解除しなければならないと彼は答えた。「そうなのだ」。だが武装解除より重要なのは、パレスチナ人全員を「過激でなくする」ことが絶対必要だとダーマーは語った。(これは現在「過激でなくする」必要がある地域全体に拡大されている)。

 更に詳しく尋ねると、第二次世界大戦の結果をダーマーは肯定的に指摘した。ドイツ軍は敗北したが、もっとはっきり言えば、戦争末期、日本軍は完全に「過激でなくなって」いた。

 したがって「過激でなくする」とは、リヴァイアサンのような「大多数の人々を精神的、知的、道徳的無力を含めた完全な無力状態に陥れる専制政治」を導入することを意味する。「完全なリヴァイアサンとは、他の人間に対し、精神的にも時間的にも、唯一無二で絶対的かつ無制限の力を持つ存在だ」と、Henri Hude博士は指摘している。

 このように、ポストモダン文化が非人間的なものに陥り、リヴァイアサンを支持するにつれ、他民族の完全絶滅と個々の民族の独自性の抑圧によって「無制限戦争」が機能可能なのかという疑問が生じる。そのような恐怖は、中東に無条件降伏を強いることができ「軍事的、政治的、文化的に根本的に変化させ、パックス・アメリカーナ内の衛星国に変容するのを可能にする」のだろうか。

 更に「アメリカが日本に要求した条件は法外なもので、日本は猛烈な抵抗を示すと予想されていた。爆弾の残虐な利用で、この抵抗は粉砕された」とHudeは述べている。

 Hude博士が著書『Philosophie de la Guerre 戦争の哲学』で明らかにしている答えは、長期的「抑止力」や過激化の抑制をもたらすことができないから、無制限戦争は解決策にはならない、だ。「それどころか、戦争は最も確実な戦争原因だ。理性的でなくなり、自分より理性的な敵を軽蔑し、自分より理性的でない敵を刺激する。リヴァイアサンは倒れる。しかし倒れる前でさえ、安全は保証されない。」

 後者は、Hudeの分析が今日の戦争にどう当てはまるかについて、二つの洞察をしている。一つ目は、ポストモダン文化が「必要な」暴力(苦しみより命を優先するため、過度に有責的だ)に陥るたびに、絶対的な悪以上のもの、つまり悪魔化された敵を想起させることによってのみ、暴力を正当化できることだ。

 第二に、Hudeは、そのような極端な「権力への意志」は、無制限で、必然的にその中に自己破壊の精神も含むとしている。リヴァイアサンが機能するには、理性と力強さを維持しなければならない。理性を失い、自分より理性的な敵を軽蔑し、自分より理性的でない敵を怒らせれば、リヴァイアサンは倒れるしかない。

 イスラエルの差し迫った崩壊について尊敬される軍事評論家の一人、元イスラエル国防軍上級司令官で、長年イスラエル国防軍オンブズマンを務めたイツァーク・ブリク退役少将が再び警告した。

 ネタニヤフとギャラントとハレヴィはイスラエルの存在そのものを賭けている…彼らは明日のことなど一瞬たりとも考えない。 彼らは現実から切り離されており、判断を下していない … 大惨事が起きた時は既に手遅れだ … この三人の誇大妄想者は、ハマスとヒズボラの両方を破壊し、イランのアヤトラ政権を終わらせられると考えている … 彼らは軍事圧力により全てを実現したいと考えているが、結局何も成し遂げられないだろう。イスラエルを二つの不可能な状況の瀬戸際に彼らは追い込んでいる [-] 中東での本格的戦争の勃発、[2番目に] 消耗戦の継続。どちらの状況でも、イスラエルは長くは生き残れまい。外交協定だけが、この三人が引きずり込んだ泥沼から我々を救出する力を持っている。

 イスラエルは危うい状況にある。イスラエルは必要な軍事力がなく、永続的な苦しみを許容する文化もなく、直面する様々な抵抗勢力に意思を押し付けることもできない。既に理性は無視され、反対派は嘲笑されている。「英雄的に」自滅を選ぶ風潮が定着している。「マサダ」が話題になりつつある。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/10/29/a-heroic-preference-for-self-destruction-is-taking-hold-in-israel/

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 PoliticsJOE Clare Dalyインタビュー
Netanyahu’s arrest warrant is just the beginning | Clare Daly interview 13:14
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
必読(コロナに関心ある人)。ニューズウイーク:元 疾病管理予防センター所長レッドフィールド、コロナウイルスの起源は米国を示唆、「生物防衛プログラムの一環として意図的に操作された。ノースカロライナ大学バリック教授が関与。この研究所は今軍の管理下に置かれ、全データは公開から削除、
  日刊IWJガイド
「国民民主党が与党に飲ませた『103万円の壁の引き上げ』で地方税収は5兆円減!他方で戦争を煽るだけのウクライナ支援に多額のバラ撒き!」2024.11.25号

■はじめに~国民民主党が与党に飲ませた「103万円の壁の引き上げ」による税収減は、地方にツケ回し! 政府は年約7兆6000億円の税収減と試算! 地方税収は5兆円減!! 相次ぐ首長の懸念表明に、国民民主・玉木雄一郎代表は「総務省が地方自治体に工作をやっている」と発言! 村上誠一郎総務大臣は「なぜこういうことをおっしゃったか理解できない」と完全否定! 一方、政府は、危険な戦争のエスカレーションを煽るだけで、無駄で無意味なウクライナへの追加融資30億ドル(4600億円)を決定! このような日本の国益に反する有害なバラ撒きを削減するのが最優先のはず!

■【本日のニュースの連撃! 2連弾!】

■【第1弾! ダグラス・マクレガー大佐が「ウラル山脈の西側には北朝鮮軍はいない」と明言!】バイデン政権がエイタクムス長距離ミサイル使用制限を解除した口実は「北朝鮮軍がクルスクですでに参戦中」というデマ!? そもそもロシアとウクライナの国境地域のクルスクでの戦闘に、なぜロシア深奥部に届く、高精度の長距離ミサイルがウクライナに必要なのか!? 任期切れまで残り2ヶ月の間に、できるだけ紛争をエスカレートさせたいバイデン政権に、トランプ陣営から「まったく新しい戦争を仕掛けるようなものだ」と大批判! バイデン大統領の早期解任を求める声があがるのは当然!(マクレガー大佐『X』、2024年11月19日ほか)

■【第2弾! 兵庫県知事選で斎藤元彦氏に14万票差で敗れた稲村和美氏の後援会が、選挙期間中にSNSのアカウントが凍結されたことについて、偽計業務妨害の疑いで兵庫県警に告訴状を提出! 稲村氏の政策についてデマが拡散されたことについても、告発状を提出!】兵庫県知事選の疑惑の騒動は、まだまだ終わらない!!(『カンテレニュース』、2024年11月22日)

2024年11月10日 (日)

イスラエルとイラン:中東の決闘

ヴィクトル・ミーヒン
2024年11月3日
New Eastern Outlook

 10月26日夜、イラン領奥深くで行われたイスラエル大規模空爆作戦は未曾有のものだった。イスラエルがこのような大規模作戦を実施しただけでなく、それを公然と認めたのは今回が初めてだ。

 イスラエルの主要航空作戦

 約100機の戦闘機が参加した協調多波攻撃で、20以上の軍事施設が攻撃を受けたとイスラエル・メディアは報じた。しかし、こうした大げさな成功の兆候にもかかわらず、被害の程度は未だ確認されておらず、この事件の重要性を軽視しようとするイランの試みは、この重要な瞬間における状況の緊張と複雑さを強調している。

 イスラム革命指導者アヤトラ・セイイェド・アリ・ハメネイは、イランがイスラエルの攻撃に反撃することを明らかにした。

 一方、10月26日、国内の複数軍事施設に対するイスラエル攻撃に関連して短期間停止していた民間航空便再開をイラン政府は発表した。国営イラン通信社によると、民間航空機関代表者は「10月26日土曜日午前9時(グリニッジ標準時午前5時30分)に通常通り運航を再開する」と述べた。

 イラン攻撃に対するイスラエルの見解

 200発の弾道ミサイルでイランがイスラエルを攻撃してからわずか三週間余り、イスラエル空軍はついにイラン軍事施設に対する報復空爆を開始した。イスラエル空軍攻撃は3時間続き、イラク領空から3波に分かれて行われたと報じられている。その前にも、イスラエル機はヨルダン、サウジアラビアの領空を著しく侵犯し、イラク領空に侵入したため、イスラエルは国際法を無視していると国連で非難された。イスラエル空軍の行動はアメリカの衛星情報に基づいており、今月初めのイスラエル攻撃で成功したイランによる弾道ミサイルが製造されているミサイル製造施設を標的とした。イスラエル空軍は、地対空および地対地ミサイル・システムも攻撃した。

 核施設や油田をイスラエルは攻撃せず、軍事施設に限定した。この攻撃の性質は、ガザ地区とレバノン国境に閉じ込められたイスラエルが、イランとの全面戦争にエスカレートする準備ができていないことを示している。それでも「イラン政権が間違いを犯し、新たなエスカレーションを開始した場合、我々は対応せざるを得ない」とイスラエル国防軍報道官ダニエル・ハガル少将は述べた。いつものように、彼は安っぽい自慢げな言説に頼り「我々のメッセージは明確だ。イスラエルを脅かし、この地域をより大規模エスカレーションに引きずり込もうとする者は大きな代償を払うことになる」と述べた。

 イラン攻撃は限定的だとイスラエルの野党指導者ヤイール・ラピドは批判した。彼の意見では、イランは「侵略行為に対し、高い代償を払わねばならない」という発言をタイムズ・オブ・イスラエル紙は報じた。イランの戦略的・経済的施設は攻撃しないという決定は誤りだったと彼は指摘した。

 イスラエル軍代表ダニエル・ハガリと他のイスラエル当局者は、いつものように自分たちが被害者であるかのように見せかけながら、大げさに作戦成功を宣言している。しかし、このイスラエル言説の問題点は、現実を隠して、自分を被害者のように見せかけ、自分の行動を「何ヶ月にもわたる絶え間ない攻撃への反応」と表現している点だ。政治的観点から状況を考えれば、この発言には根拠がない。イスラエルには、ダマスカスのイラン領事館を攻撃し破壊することで敵対行為を勃発させた責任があり、パレスチナとレバノンでの大量虐殺作戦も行っていることを忘れてはならない。

 攻撃に関するイラン情報

 公式筋によると、イラン防空軍はイスラエル・ミサイルの大半を迎撃することに成功したが、一部地域では軽微な被害が記録された。イスラエル空軍がイランのテヘラン、フーゼスターン、イラム各州の軍事施設を空爆したことが明らかになった。現時点で、攻撃でジャハンディダ中佐とシャフロケファル軍曹を含む兵士4人が死亡したことが確認されている。

 アル・マヤディーンによると、イスラエル・メディアは、この攻撃は単なる武力誇示で、重要な戦略的狙いは実現されなかったと認めた。イスラエルのイランに対する「限定的」攻撃をイスラエル我が祖国党党首で元国防大臣のアヴィグドール・リーベルマンは批判し「イランはそこで止まらないだろう」と警告した。イスラエル政府は現状の本当の結果を直視する代わりに、「明確で確固とした決断を下す代わりに沈黙を買うことを好み、見せかけの宣伝を再び行うと決めたようだ」とリーベルマンは強調した。

 抑止力の観点から見れば、トゥルー・プロミスII作戦中、200発以上のイラン・ミサイルがイスラエル領土に撃ち込まれた後、イスラエルが抑止力を回復できなかったのは明らかだ。イランの核施設や石油施設への脅迫を含む数週間にわたる壮大な復讐約束後の、イスラエル攻撃は、力の誇示というより、むしろ弱さを認めたと受け止められている。

 イランの防衛能力は敵に与える損害のレベルを決定できるほどだと指摘する者も専門家の中にはいる。イスラエルに対して、更に決定的な攻撃を仕掛けるとイラン当局が決めた場合、イラン軍はそれを実行する準備ができている。

 イラン兵4人の死亡は、イスラエル領土を狙ったイランの軍事的反撃に不可避的につながる可能性があるとフォアド・イザディ(イラン)などの専門家は警告している。イスラエルとアメリカ共通の戦略目標の一つは、あらゆる手段を使ってイランを弱体化させることだが、これは実現していない。

 現時点では、この作戦で弱体化したのはイスラエルだったことをあらゆる兆候が示している。イランとの直接かつ大規模な対決が起きた場合、アメリカの支援にもかかわらず、イスラエルは安全と感じていないことを示した。

 作戦に関する噂と憶測

 アメリカは作戦について「事前に知らされていた」と米国防当局者は匿名を条件にAFPに語った。アメリカがどの程度事前に知らされていたのか、具体的にイスラエルが何を明かしたか当局者は詳細に述べなかったが、最新の第5世代F-35I航空機を、国防総省が緊急に引き渡し、最新のTHAAD防空システムと米兵をイスラエルに配備し、使用と保守作業を行ったことはわかっている。

 イラン軍事施設をイスラエルが攻撃する数時間前、イランに攻撃が迫っているとロシアは警告し、中東の同盟国イランに、イスラエルとアメリカ軍の攻撃目標と行動に関する情報を提供した。これはスカイニュース・アラビアTVチャンネルが独自情報源を引用して報じたもので、モスクワのこの措置は地域の緊張緩和を目的としたロシアとイランの協力の表れだと同局は指摘した。情報源によると、ロシア側から警告を受けたイランは、間に合うよう準備し、被害を最小限に抑える措置を講じたという。

 10月26日土曜日、イスラム革命指導者アヤトラ・セイイェド・アリ・ハメネイ師は、イスラエルの攻撃に対してイランが反撃すると明言し、イスラエルが必要と考える対応でイランの強さと決意をイスラエルに知らせるようイラン軍指導部に求めた。「彼ら(イスラエル人)は、イラン国民とその若者の強さや決意や革新性を理解する必要がある」と、殺害されたイラン軍人の家族との日曜日の会合で同師は述べた。更に、イスラエルの残虐行為は「誇張も軽視もすべきではない」と彼は強調した。

 別の演説で、自国を防衛できない弱い国は当然ながら安全を失うとアヤトラ・ハメネイ師は警告した。「国の安全を保証するのは国力で、科学、経済、防衛力、軍備などあらゆる分野における国の強さだ」と同師は述べた。

  ビクトル・ミーヒンは、ロシア自然科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/11/03/israel-iran-a-middle-eastern-duel/

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 Alex Christoforou Youtube イランがトランプ暗殺を企んだとFBI。自分達が常にしていることを敵もすると思い込む精神病質連中。
FBI claims Iran plot eliminate Trump. Axios reveals Elensky despair. Ursula fears Trump trade war  39:03
 植草一秀の『知られざる真実』
自公すり寄り国民民主の正体
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
石破首相はどこまで自分色を出せるか。衆院各派協議会での委員長ポストを巡る攻防は、野党主導で決着。予算委員長、政治改革特別委員長、憲法審会長、法務委員長(選択的夫婦別姓の導入)は立民。憲法審会長離し、改憲は遠のく。自民一部に不満。

2024年10月31日 (木)

スパイダーマンやスポンジ・ボブなどのヒーロー擬きしかいないアメリカ

アメリカにはソレイマニのような本当の英雄がいないため、暗殺に対してイランは実際報復することさえできないとモラディ師は不満を述べ、「お考え願いたい。我々はスパイダーマンやスポンジボブを抹殺しなければならないのだろうか?」と語った。

ケイトリン・ジョンストン
2024年10月29日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 アメリカが支援する残虐行為が中東で益々醜悪になる中、2020年に絶大な人気を誇るイラン人将軍カセム・ソレイマニをアメリカが暗殺した後、イラン人聖職者シャハブ・モラディが言った言葉について私は考え続けている。

 ソレイマニのような本物の英雄がアメリカにはいないため、暗殺に対してイランは実際報復することさえできないとモラディ師は不満を述べ、「お考え願いたい。我々はスパイダーマンやスポンジ・ボブを抹殺しなければならないのだろうか?」と語った。

 これほど鋭く痛烈な欧米文化批判は見たことがないし、おそらく今後も見ることはないだろう。これは実に的確な発言で、欧米文明が実際どんなものかを非常に明確に描写しているため、これを超えられるとは想像しがたいほどだ。

 欧米帝国には民衆の支持を得ている本物の英雄は存在していない。なぜなら欧米では本当に英雄的なものは全員踏みにじられ、人気を高めるために増幅されるているもの全て、無意味な気晴らしか、悪の帝国の権益を直接推進するものだから。

 将軍連中は、石油と地政学的支配のため民間人を虐殺するのに忙しい。

 軍隊は帝国軍の突撃隊員だ。

 警察は資本主義の警備員だ。

 我が国の最も著名なジャーナリスト全員、プロパガンダ屋だ。

 著名な有名人連中は、ハリウッド映画の中で架空の人物になりきって絵空事を演じる能力のおかげで有名 なのだ。

 著名な作曲家、作詞家連中は、中身のないたわごとについて型通りの歌を量産する能力ゆえに有名なのだ。

 最も良く広く知られているシンボルは企業ロゴだ。

 最も高く評価される専門家は、南半球の賃金奴隷が作る未来のゴミ埋め立て地を欧米人に最も多く売り込める連中だ。

 最も有名な政府指導者連中は、寡頭政治家や帝国主義者に魂を売り渡し、国民に最も説得力ある嘘をつける連中だ。

 本当に英雄的なことをする欧米人は、投獄されるか、殺されるか、あるいは忘れ去られるだけだ。なぜなら今世界でできる唯一本当に英雄的なことは欧米帝国への反対だから。

 アメリカ戦争機構に勇敢に抵抗したり、欧米帝国経営者にとって不都合な存在になったりする人々は人気ある英雄にはなれない。ガザへの武器輸送を阻止するために活動する欧米人がCNNやBBCで称賛されることはない。反戦活動家がその活動についてハリウッド映画で取り上げられることはない。少なくとも彼らが抗議している戦争が遠い過去のものになるまでは。帝国の最も酷い犯罪を暴露しようと活動するジャーナリストが名声や富を得ることはない。

 このエセ作り物ディストピアで名声や富を得る人々は帝国の権益に積極的に奉仕するか帝国の虐待から人々の注意を巧みにそらす人物だけだ。ドナルド・トランプ。イーロン・マスク。カーダシアン家。テイラー・スウィフト。スパイダーマンやスポンジ・ボブ。

 彼らが、この世界で大々的に英雄として認められる唯一の存在なのだ。望むなら本物の英雄を登場させても良いが、平均的欧米人に彼らの名前を告げても、彼らの口から最初に出る言葉は「それって一体誰?」だ。

 たまに多くの検問所をすり抜けて有名になり、帝国に反対し始める人がいるが、彼らは常に直ぐさま帝国の認識管理者に悪者扱いされ、疎外される。しかも、ロジャー・ウォーターズやスーザン・サランドンなどの人物が一人いれば、欧米帝国支配者にとって極めて好都合なエセ英雄は何千人もいるのだ。

 これが我々が暮らしている文明だ。全てが偽物で愚かでマインド・コントロールされた荒地だ。このようなディストピアで充実感と心の平穏を得る唯一の方法は、作り物のレンガを一つずつ壊すのに専念することだ。

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 画像はInside the Magic ( CC BY-NC-ND 2.0 )およびJoshua Roberts/Pexelsより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/29/the-west-only-has-pretend-heroes-like-spider-man-and-spongebob/

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 The Chris Hedges Report
Genocidal Scorecard The latest U.N. report chronicles Israel’s advances in its genocidal assault in Gaza. Israel is intent, the report warns, on expelling the Palestinians, recolonizing Gaza and turning on the West Bank.
Chris Hedges
Oct 30, 2024
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
安倍首相、菅官房長官の時代は数の力で、無理筋の政策もどんどん推進。抵抗する力がない。 だが、自民党が過半数割れ、従来の自公政権も過半数割れ、最早日民党が強引に政策を進める力はない。最低限、国民ないし維新の全面協力がなければ進めない。政策で「石破色」を出せる可能性は低い。
 日刊IWJガイド
「イスラエル、国連と全面戦争へ!? イスラエルがUNRWAの活動を禁止! ガザに食料・水が届かず、パレスチナ人の大量餓死につながる!」2024.10.31号

■はじめに~イスラエル、国連と全面戦争へ! イスラエルがUNRWAの活動を禁止! ガザ地区に食料・水などの支援物資すべてが、まったく届かなくなり、パレスチナ人は大量餓死させられる! イスラエルによるパレスチナ侵略は、UNRWAを解体し、パレスチナ人を殲滅する最終段階に! 国際社会は、このシオニストの暴挙を許すのか!?

2024年10月29日 (火)

イスラエルのイラン攻撃を自衛に見せようと躍起になっている嘘つき欧米メディア



イランに対する一連の空爆をイスラエルが開始したが、これをイランのいわれのないミサイル攻撃に対する「報復」攻撃だと偽って伝えようと欧米報道機関は躍起だ。

ケイトリン・ジョンストン
2024年10月26日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 イスラエルがイランに対する一連の空爆を開始したが、これをイランのいわれのないミサイル攻撃に対する「報復」攻撃だと偽って伝えようと欧米諸国報道機関は躍起だ。

 いつも通りに、帝国の宣伝機関が見出しを量産するにつれ、歴史はイスラエルが攻撃された瞬間に始まり、その攻撃に至るまでの全ての出来事は公式記録から消え去る。

 「イスラエル、報復としてイラン空爆開始」という見出しがニューヨーク・タイムズに掲載され、副題は「今月初めイスラエルに向けイランが弾道ミサイルを数波にわたり発射したことを受けて、イスラエルは攻撃を誓っていた」となっている。

 「イランへの報復攻撃をイスラエルが開始したと情報筋が語る」とCNN見出しが報じている。

 「イスラエルを標的とするミサイル攻撃を受けて、イスラエル、イランへの報復攻撃を開始」とフォックス・ニュース見出しは報じている。

 「イスラエル、イランに報復攻撃開始」とAxiosの見出しは報じている。

 「ライブ更新:イスラエルはイランへの報復攻撃を開始したと発表」とNBCニュースの見出しは報じている。

 「イスラエル、弾道ミサイル攻撃でテヘランに報復攻撃」とニューヨーク・ポストの見出しに書かれている。

 「イスラエル、弾道ミサイル攻撃への報復としてイラン攻撃を開始」とフォーブスの見出しは報じている。

 連中の見出しから帝国宣伝機関が省略しているのは、今月初めのイランによるイスラエルへの弾道ミサイル攻撃は、イスラエルによる複数の暗殺攻撃に対する報復攻撃だった事実だ。7月にイスラエルはハマス政治部門指導者イスマイル・ハニヤを暗殺し、イラン領土への攻撃を開始し、その後ベイルートでイラン軍関係者を暗殺した。

 当時イラン革命防衛隊は声明を発表し、ミサイル攻撃はハニヤと革命防衛隊司令官アバス・ニルフォルーシャンとヒズボラ指導者ハサン・ナスララ暗殺に対する報復だと明言した。

 これらは全て公開されている情報だ。自国の軍関係者を外国が公然と暗殺し、自国領土で暗殺攻撃を行うことを容認する国は地球上に存在しない。アメリカを含め、どの国もそのような侵略行為を戦争行為とみなす。

 イスラエルをイスラム教の蛮族に突然攻撃された無辜の被害者として欧米メディアは描いている。欧米メディアは欧米帝国のプロパガンダ機関だからだ。連中の仕事は、アメリカと同盟諸国を、邪悪な悪党によるいわれのない攻撃から国民を守る高潔な自由の闘士として描き、アメリカ強国同盟の残忍で暴君的計画に同意させることだ。

 これら恥ずべき報道機関の広報活動は国家プロパガンダと区別がつかず、言い分はアメリカ政府の立場の完全な反映だ。イスラエルによる空爆後、この空爆はイランの攻撃に対する報復としての「自衛」行為だとアメリカ政府は声明で述べた

 「自衛の訓練として、また10月1日のイランによるイスラエルへの弾道ミサイル攻撃への報復として、イスラエルはイランの軍事目標に対する標的攻撃を実施していると理解している」とホワイトハウス国家安全保障会議のショーン・サベット報道官が述べた。

 この最新の暴力行為が、イスラエルのこの一年の残虐な行為の結果、最悪の悪夢のシナリオとして我々全員恐れてきた恐ろしい新たな戦争に発展するかどうかまだ分からない。Axiosと同社のイスラエル人情報機関部内者バラク・ラビドは、アメリカはイランの報復を予想していると報じているが、この記事の執筆時点では、イスラエルが攻撃を続けない限り、戦闘はここで止まる可能性が高そうだ。

 「イラン・メディアや非公式報道や同盟している民兵組織の報道は、いずれも、この攻撃を重視していない」とクインシー研究所のトリタ・パルシはツイッターで述べ、更に重要なただし書きを補足した。「だが攻撃はまだ第一段階しか終わっていない。攻撃を軽視する取り組みが、夜通しの、数段階の攻撃に耐えられるかどうか、まだ分からない」

 すぐ分かるだろうと私は思う。

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 これらの記事を音声で聞きたい場合、SpotifyApple PodcastsSoundcloud、またはYouTubeで聴取できます。私の記事は完全に読者に支えられているので、この記事を気に入っていただけた場合、ご希望に応じてチップ入れにお金を入れられる選択肢がここにいくつかあります。記事の映像版を見るには、こちらをご覧ください。毎月の記事のペーパーバックを購入するには、こちらをご覧下さい。私の記事は全て、海賊版を作成したり、あらゆる方法、形状、形式で自由に使用したりできます。再配布、翻訳、商品への使用など、ご希望どおり使用可能です。私が公開する記事を確実に読む最良の方法は、Substackのメーリングリストに登録することです。これにより、私が公開する全ての記事についてメール通知が届きます。全ての記事は、夫のTim Foleyとの共著です。



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 Alex Christoforou YouTube
Zourabichvili & BORIS want Georgia Maidan. Orban in Tbilisi. US NEWS, Russia No. 1 Military 39:36
 なんと冒頭の話題、日本の選挙。過半数を得られなかった自民敗北。

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
ニューヨーク・タイムス紙「日本の長期政権政党が過半数を失う、日本の政治はここ数年で最も不確実な時期に陥った。政治資金スキャンダル、インフレの上昇、家族を養う負担などに怒り疲れ果てた国民が、石破茂を新首相に任命してからわずか1か月後に同党に屈辱的な打撃を与えた。
 日刊IWJガイド
「『自主退役』した元ウクライナ軍兵士が暴露!『4ヶ月で部隊の6割が消滅』、『肌感覚では100万人に近い戦死者が出ている』!」2024.10.29号

はじめに~「自主退役」した元ウクライナ軍兵士が、親ウクライナYouTubeのインタビューで「ありのままのウクライナ軍」を暴露!「ウクライナが勝利することはない。僕らには、殺戮されるだけの将来しか用意されていない」!「4ヶ月で部隊の6割が消滅」、「肌感覚では(ウクライナ側に)100万人に近い戦死者が出ている」「あいつ(ゼレンスキー氏)は嘘の塊だ」!「ウクライナ紛争の目的は『ウクライナの抹殺』!」、「停戦が起きれば、欧米の企業が(ウクライナの豊富な)資源の開拓を進める」「イギリス、アメリカ。俺は完全に確信している。ロシアはイギリスともアメリカとも約束を結んでいる。すべては出来レース」!?

■ロシア軍とウクライナ軍の本当の死傷者数は、どうなっているのか? プーチン大統領とロシア国防省は「毎月5万人」の「損失」を出していると主張、2022年のウクライナ紛争勃発以来100万人以上の「損失」があった!? ロシア兵とウクライナ兵の遺体交換では、「ロシア1:ウクライナ5」の比率、これはプーチン大統領が述べた、ロシア側とウクライナ側の「回復不能な損失に関しては、その比率は1対5」という数字と合致! 兵員不足が明白なウクライナに対し、米国議会は支援と引き換えに、徴兵年齢を18歳まで引き下げろとの残酷な要求を突きつける!

2024年10月26日 (土)

イスラエルがイランを攻撃した場合、ロシアは傍観者にとどまるつもりはない



マイク・ホイットニー
2024年10月12日
The Unz Review  
「アメリカにはイスラエルの行動に愚かなロバのように従う暗黙の義務などないと思う。自動的にアメリカが巻き込まれると単純に想定して、戦争を始めるとイスラエルが決めた場合、友情の義務として『あなた方が我が国に代わって国家的決定をする権利はない』と言うべきだと思う。アメリカは独自の国家安全保障政策を持つ権利があると思う。」ズビグニュー・ブレジンスキー
 かつて、アメリカ外交政策体制には戦略的思考ができる人材がいた。だが今は違う。現在、戦略的思考とされているのは、武器産業とイスラエルのロビー団体に支配されている退役軍人らによるイスラエルの論点の延々繰り返しだ。この連中は国民全体のごくわずかな割合の意見の代表だが、介入やエスカレーションや戦争に国民を準備させる大きな組織の重要な一員だ。彼らの現在の役割は、イランへの差し迫ったイスラエルによる攻撃が、アメリカ国家安全保障上の利益にかなうとアメリカ国民を説得することだが、もちろんそんなことはない。実際、血みどろの大惨事にアメリカは巻き込まれつつあり、その大惨事は、九分九厘アメリカの世界的権力の急激な衰退を招き、いわゆる「アメリカの世紀」の急速な終焉を招く可能性が高い。

 これら全て、アメリカで最も学識ある外交政策専門家の一人、ズビグニュー・ブレジンスキーが予測していたもので、彼は10年以上前にイラン問題についてロサンゼルス・タイムズ紙の論説で警告を発していた。彼は以下のように述べていた。  
…イラン攻撃は政治的愚行で、世界情勢に徐々に大変動を引き起こすことになるはずだ。アメリカが益々広範な敵意の対象になるにつれ、アメリカ優位の時代は早々終焉を迎えかねない。現時点では、アメリカは明らかに世界を支配しているが、長期にわたる多大な抵抗に直面して、その意志を押し付け、維持する力も国内の意志もない…。

 したがって、政権は冷静になって、歴史的視点とアメリカの観点から戦略的に考える時が来ている。冷静に議論すべき時だ。アメリカは感情や宗教的使命感に導かれるべきではない。我々の選択肢は、アメリカの長期的国益に深刻な損害を与える無謀な冒険に突入するか、イランとの交渉に本当の可能性を与えることに真剣になるかのどちらかだ。

 敬意を持って歴史的観点からイランを扱うことは、その目標実現に役立つはずだ。アメリカの政策は、イラクへの誤った介入に先立つ状況を不吉に想起させる、現在の不自然に緊迫した雰囲気に左右されるべきではない。ロサンゼルス・タイムズ記事「Been there, done that 既に経験済み」ズビグニュー・ブレジンスキー
 言えている。ケーブルニュースの愚かな評論家連中が連中の間でこの記事を広めてくれるよう願うばかりだ。  彼を好きか嫌いかは別として、特定作戦の経費が利益を上回るかどうか冷静に評価した、首尾一貫した綿密な調査に基づく分析をブレジンスキーは提供した。この場合、まるで比べ物にならない。国益にかなわず、勝てず、国家の将来に壊滅的影響を与える紛争に向かってアメリカは突き進んでいる。ここで再びブレジンスキーの言葉を引用しよう。  
この地域の紛争の規模を拡大する必要はない。なぜなら、イランが関与する紛争が拡大すれば、イラク紛争が再燃し、ペルシャ湾が炎上し、石油価格が2倍、3倍、4倍に上昇し、エネルギーに関し、ヨーロッパは一層ロシアに依存するようになるはずだからだ。すると、我々にとっての利益とは何だろう?

 国際政治専門家として私が知っていることといえば(イランとの戦争は)大惨事になるはずだということだ。そして率直に言って、イスラエルよりも、我々にとって大惨事になると思う。なぜなら、戦争の結果、この地域から我々が追い出されるからだ。激しい憎しみが広がるからだ。幻想を抱かないで頂きたい。紛争が拡大すれば我々は孤立することになる。我々が追い出された場合、イスラエルが5年か10年以上生き残れることに、あなたは一体いくら賭けるだろう? ズビグニュー・ブレジンスキー、 リアル・ニュース・ネットワーク、2分15秒


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 つまり、これはアメリカにとって悲惨なだけでなく、イスラエルにとっても悲惨なことになるはずだ。ワシントンの「無条件」支援がなければ、5年か10年でイスラエルは枯渇してしまうはずだ。おそらく、この分析には反対する人もいるはずだ。アラブ世界の中心にある、過去75年間、あらゆる努力をして自らを厄介者にしてきた小さな好戦的植民地が、アメリカの支援なしでも生き残れると考える人もいるだろう。

 おそらくそれも可能だと思う。だが可能性は低いだろう。下記は土曜日のNBCニュース記事の抜粋だ。  
イラン攻撃への反撃でイスラエルは、イランの軍事およびエネルギーインフラだと当局者が表現している標的を絞り込んだとアメリカ当局者は考えている、。

 イスラエルが核施設を標的にしたり暗殺を実行したりする兆候はないが、イスラエルがいつどのように行動するか最終決定は下していないとアメリカ当局者は強調した。

 イスラエルがいつ反撃するか、アメリカは知らないが、命令が出されればいつでも出撃する態勢をイスラエル軍は整えていると当局者は述べた。ヨム・キプルの祝日中に反撃する可能性があるとアメリカとイスラエルの当局者は述べた。

 イランからの即時反撃からこの地域の資産を守る態勢をアメリカは整えているが、この作戦に直接的軍事支援を行う可能性は低い。

 昨夜、ロイド・オースティン国防長官はイスラエルのヨアブ・ギャラント国防長官と会談し、イスラエルの対応について大まかな内容について話し合った。しかし、ギャラント長官が具体的な詳細を語ったかどうかは不明だ。NBCニュース
 土曜日「イスラエルは攻撃対象を絞り込んだ」という全く同じ見出しの記事がグーグルニュースに10件以上掲載された。この呪文は、イスラエルの露骨な侵略行為が実は慎重で思慮深い自衛行為だという印象を与えようとしているのだ。何という冗談。そして爆弾や戦闘機や給油機や兵站支援がどのように使われるのかさえ知らされていないバイデン政権にとって、何という屈辱だろう。アメリカはいつからテルアビブのギャングに振り回されるような意気地なしのいいカモになってしまったのだろう。衝撃的だ。

 イスラエルによるイラン攻撃をめぐる騒ぎの中で忘れ去られているのは、ロシアがイランの防衛を強化し、今後の敵対行為に備えることを目的とした独自の外交活動を密かに展開している事実だ。

 金曜日、トルクメニスタンのアシガバートで、プーチン大統領はイランのマスード・ペゼシュキアン大統領と会談し、中東情勢の悪化と地域戦争の可能性について協議した。綿密に計画されたこの会談は、戦闘が勃発した場合に、イランはロシアの支援を頼りにできる友人で同盟国だとロシアがみなしていることを示すのが狙いだった。その数時間前、イランの民間核施設をイスラエルが攻撃すれば「深刻な挑発」になるという不吉な警告をロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が発した。

 ラオスでの記者会見で、国際原子力機関によれば、イランは現行規制を遵守しており、核物質を禁止されている兵器計画に転用していないとラブロフ外相は強調した。(この件に関するイスラエルの虚偽主張は全くのプロパガンダだ。)  
イラン・イスラム共和国の平和用途の核施設を攻撃する計画や脅威が実現すれば、それは確実に非常に深刻な挑発行為となる。
 ラブロフ外相の発言とプーチン大統領の会談から、戦争が勃発した場合、ロシアが積極的に介入するかどうかは分からないが、イランとイスラエルの紛争でモスクワがイランを支持していることにはほとんど疑いの余地はない。(またイランがイスラエルへの弾道ミサイル攻撃を開始するわずか2日前、ロシアのミハイル・ミシュスチン首相がテヘランを訪問したことも忘れてはならない。これは、プーチン大統領の「相応の対応」の考えに一致する行動を取る許可をイランがモスクワから得たことを示唆している。)

 我々が言いたいのは、ロシアは状況を非常に注意深く見守っており、戦闘が予想される範囲に軍事資産を移動させていることだ。状況がそれを必要とすれば、イランの敵とロシアが交戦すると想定するのは理にかなっている。軍事評論家のウィル・シュライバーは次のようにまとめている。
 イランと共に帝国と戦うのは、ロシアにとって選択肢ではなく必然であることを、どうしてもっと多くの人が十分理解していないのか理解できない。それはロシアが遅くとも2022年の夏から熱心に準備してきたことでもある。ウィル・シュライバー
 覚えておいてほしいのは、ロシアとイランはここ数年で軍事的結びつきを大幅に強化し、相互安全保障に公然と取り組むようになったことだ。シュライバーは次のように述べている。  
ロシアと中国とイランは事実上の軍事・経済同盟を結成している。彼らはこれを「提携」と呼ぶのを好んでいる。ロシアと中国の場合、軍事、経済、通貨など包括的な全領域にわたる提携が生まれている。

 アラビア海でロシアと中国とイランは頻繁に合同演習を行っている。近年、こうした演習は規模と頻度の両面で増大している。

 ロシアと中国はともにイランに対し巨額資本投資をしており、その多くはエネルギー部門と、ユーラシア商業の主要拠点として、中国、イラン、ロシアを結ぶ高速かつ効率的貿易回廊構築を目指す野心的輸送プロジェクトに向けられている… 三国間の武器および技術移転は未曾有のレベルに達している…。

 ロシア、中国、イランは、いずれか一国に対する攻撃は全ての国にとって存続の危機となると認識していることが益々明らかになっている。三国の戦略的利益は、今や切り離せないほど絡み合っている。最も重要なのは、長年君臨してきた英米帝国の支配を解体するという唯一の最優先の戦略的目標で、三国が団結していることだ…。

 アメリカとイラン間で戦争が起きた場合、ロシアと中国はともにイランを積極的に支援するはずだう…イランは両国から武器やその他の兵站物資を補充されるだけだろう。そして、抑止力として、両国の核の傘下に入る可能性も十分ある。

 ロシアと中国とイランが、一人は皆のために、皆は一人のために行動する決意をしている限り、彼らは負けることのない世界的軍事力と経済力の組み合わせだ。一人は皆のために、皆は一人のために、ウィル・シュライバー、ツイッター
 シュライバーの見解は(当然ながら)主要メディアでは意見を述べることを禁じられている多くの専門家に共有されている。しかし、ロシアとイランは、危機に陥れば軍事介入する戦略的同盟国だという根本的事実は変わらない。

 注目すべきは、イランは中国に石油の15%を供給しており(中国最大の石油供給国)、国際南北輸送回廊(インド、イラン、アゼルバイジャン、ロシア、中央アジア、ヨーロッパ間の貨物輸送のための船、鉄道、道路の7200キロの多様なネットワーク)に積極的に参加しており「中央アジア、南アジア、中東アラブ諸国の交差点に位置している」ことだ。イランの戦略的位置と豊富な天然資源により、イランはワシントンの陳腐な「ルールに基づく体制」に急速に取って代わりつつある新興の多極世界秩序の重要な一部になっている。ロシアも中国もイランが壊滅したり、イラン政府が追放されたりすることは許さない。著者Digby James Wren博士によるSubstackの詳細な背景情報は下記の通り。
 イランとの包括的戦略提携協定調印をロシア大統領は承認した。これはロシア安全保障会議書記のテヘラン訪問に続き、イラン国家安全保障顧問がサンクトペテルブルクを訪問したことを受けてのものだ。この協定は「適切」であり「最高レベルで」調印される予定だとプーチン大統領が述べていると報じられている。

 イラン・メディアによると、テヘランとモスクワの「戦略的」関係を称賛し、近年強化されているとプーチン大統領は述べた。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来、モスクワとテヘランの関係は、かなり深まっている

 この二国間協力は、特に軍事分野で顕著になっている。イランはロシアにドローンを供給しており、ウクライナに対して配備されたと報じられている。更に、ロシアのドローン生産現地化の取り組みをイランは支援していると考えられている…。  ペゼシュキアン大統領に「イランとの関係は我々にとって最優先事項だ」とプーチン大統領は語った。

 8月には、ロシア兵器がイランに輸送されているという報道も浮上した。当時、ロシアがクレムリンに要請したのを受けて、高度なレーダーや防空装備をテヘランに移送し始めたとイラン当局者が語ったとニューヨーク・タイムズが報じた。Persian Fire、ディグビー・ジェームズ・レン博士、Substuck
 言い換えれば、今日起きている危機を予期して、プーチン大統領はイランの防衛を精力的に強化し始めていたのだ。そして今や彼らは準備万端だ。見てみよう。
 ウラジミール・プーチン最高司令官は中東情勢について話し合い、直接会ってしか話し合えない課題を設定した。…我々は事態の進展を監視しており、軍は戦闘態勢を整えており、主導権は我々にある…勝利は我々のものだ。すぐではないかもしれないが我々は必ず勝つ。⁃アンドレイ・グルレフ、ロシア中将 @DD_Geopolitics
 今我々が予想すべきは、イランの重要インフラをイスラエルが攻撃し、政治・軍事指導者を狙う斬首作戦により、それが増幅されることだ。イランが過剰報復して、ワシントン参戦を促す可能性を高めるには、アメリカ顧問が示唆した攻撃を上回る必要があるだろう。(これがイスラエルの主目的だ)イランの反撃は、ロシアが「相応の反撃」を強調することで、ある程度決定される。イスラエルとアメリカに「熱を下げ」緊張緩和するあらゆる機会をプーチンは与えるだろうが、もし彼らが攻撃を激化させると決めたら、最悪のシナリオを予想すべきだ。

 イランとの戦争からアメリカが無傷で抜け出すことはあり得ない。今は、我々の目の前で、旧秩序の礎が崩壊しつつある重大な時だ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/if-israel-attacks-iran-russia-is-not-going-to-stay-on-the-sideline/

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 2024.10.24の《櫻井ジャーナル》記事にも、どこか通じる?
シオニストの行うことは、なぜナチと似ているのか
Mohammad Marandi WARNS: Iran's Next Response Will SHOCK The World! Israel Into UNPRECEDENTED Chaos 1:13:28
   テヘラン大学英文学・東洋学教授による、イスラエル人の物の考え方が歪んでいる理由の説明に納得。自分達の人種的優秀性と例外主義という独善的認識ゆえ、物事を正しく理解できないのだという。敵のトップ暗殺を繰り返せば、相手の士気を失わせるのでなく益々高めることが全くわかっていないのだという。シンワル殺害映像を公開し、ハマス支持を増やし、イスラエル支持者を減らすおろかさ。

 日刊IWJガイド
「BRICSサミット(その3)BRICSの『カザン宣言』は、欧米が無視してきた国連の枠組みと精神を最大限尊重するものだった!」2024.10.26号

■【本日のニュースの連撃 3連弾!】

■【第1弾! NATO加盟国から唯一トルコがBRICSサミットに参加!】(『ニューヨーク・タイムズ』2024年10月23日、ほか)EUへの参加を申請しながら、おそらくトルコが欧州の白人中心の国家ではなく、キリスト教文明圏ではない、という理由で排除してきた結果が、多様性を認めるBRICSへの参加の道を開いた!

■【第2弾! 米大統領選トランプ候補が大統領在任中、ロシアのプーチン大統領に「もしウクライナを狙うなら、モスクワのど真ん中で、あなたをぶちのめしてやる」と言ったと激白! ロシアのメドベージェフ元大統領は、「お前のクソみたいなワシントンも、攻撃されるだろう」とXに投稿!!】メドベージェフ氏はBRICS首脳会議を米国の世界支配への「本格的な対抗勢力」と位置付け、「このような力の均衡が現れなければ、人類の完全な滅亡につながる全面戦争が起きてしまう」と警告!(『ウォール・ストリート・ジャーナル』、2024年10月18日)

■【第3弾! 米国が「北朝鮮兵3000人が極東ロシアの軍事施設で訓練を受けている」と公式に発表! ただし「ウクライナ紛争に参戦するかは不明」とも】ロシアのプーチン大統領は、北朝鮮兵のロシア派兵を否定も肯定もせず、批准中の「包括的戦略パートナーシップ条約」を「見守っている」と発言! 日本のテレビ局は24日夜のニュースで、ウクライナが作った北朝鮮兵に投降を呼びかける「温かい食事と清潔な部屋」動画を横並びで一斉に詳報! 飢餓の国からきた飢えた兵士たちが逃走、投降するだろうという見下し!? しかしそのウクライナは逃走が多すぎて罪に問われないことに!!(『AFPBB』、2024年10月24日)

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