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2024年10月 5日 (土)

ヒズボラ支持発言に対する権威主義的取り締まりを推進するオーストラリア当局



 イスラエルが再びレバノン侵攻を開始する中、レバノンの抵抗組織ヒズボラに関する言論犯罪でオーストラリア人を処罰しようとオーストラリア当局は躍起になっている。

ケイトリン・ジョンストン
2024年10月1日

 この英語記事の朗読を聞く(朗読:ティム・フォーリー)。

 イスラエルが再びレバノン侵攻を開始する中、レバノンの抵抗組織ヒズボラに関する言論犯罪でオーストラリア人を処罰しようとオーストラリア当局者は躍起になっている。

 週末メルボルンで行われた抗議活動で人々がヒズボラの旗を振り、金曜日の大規模空爆でイスラエルに暗殺されたヒズボラの故指導者ハッサン・ナスララの写真を掲げる映像が表面化して以来、オーストラリアの政治メディア支配層は大騒ぎになっている。

 これらの政治的発言行為に犯罪性はないとビクトリア州警察は当初述べていたが、デモに関し、犯罪の可能性がある事件を六件特定したと今は述べている。これらの事件には、昨年制定されたテロ対策法改正案に違反する「禁止されたシンボル」が関係していると報じられている。

 言うまでもなく、自由な国家に「禁止されたシンボル」は存在しない。


 抗議活動を犯罪として非難する多数の声明をオーストラリアの様々な指導者らが出した後に、この進展が起きた。

「警察当局がこれを追及するよう期待する」とビクトリア州のジャシンタ・アラン首相は抗議行動について述べ、「これら禁止されたシンボルを掲示して、メルボルンの街に悲しみと苦痛と分裂をもたらすことは全く受け入れられない」と付け加えた。

 オーストラリアのペニー・ウォン外相は抗議者をツイッターで非難し、オーストラリア人はヒズボラ支援を控えるだけでなく「いかなる支援の兆候も」示すのを控えるべきだと述べた。

 「ヒズボラのようなテロ組織への支援を示すいかなる行為も非難する」とウォンはツイートし「国家安全保障を脅かすだけでなく、我々の共同体で恐怖と分裂を煽るものだ」と付け加えた。

 オーストラリアで禁止されているシンボルを掲げる外国人旅行者を強制送還したいとトニー・バーク内務大臣は述べ「憎悪を広める旅行者の我が国へのビザを躊躇なく取り消す」とまで言った

 一方、野党党首ピーター・ダットンは、禁止されたシンボルを公衆の目から排除するための新法の成立を目指して奮闘しており「法律執行は必要で、我々の価値観が守られるようにするため制定すべき法律があるなら、首相がそれを実行すべきだ」と述べている。

 「メルボルン街頭でノの禁止されているテロ組織支援は許されない」と労働党議員ジョシュ・バーンズはツイートした。「テロ対策法に違反する者は法の厳罰に直面すべきだ」

 「平和的抗議活動の権利をオーストラリア人は大切にしている」と無所属議員ゾーイ・ダニエルズはツイートした。「だが禁止されているテロ組織を支援する正当な理由はない。昨日メルボルン路上で抗議活動を行っていた人々は捜査され起訴されるべきだ」

 「反対派の政治的発言を根絶しようとするこうした法的取り組みは、ナチスのシンボルを標的にするという公式の狙いで最近可決された法律により可能になったが、その法律は「ヒズボラなどのテロ組織のシンボルも対象としている」と抗議デモでのヒズボラの旗は、憎悪シンボル新法の試金石」と題する記事で、ABCは報じている。これは、政府による検閲の危うさを論じる上で、これ以上ないほど説得力ある議論だ。

 オーストラリア政府の独断で、ヒズボラは「テロ組織」に指定されているが、それはヒズボラの行動や手法のためではなく、オーストラリアが参加しているアメリカ権力同盟に反対しているためだ。この恣意的な指定は、ワシントンの命令に反対する地球上のあらゆる抵抗集団に汚名を着せ、欧米帝国の残忍な行為に反対する人々の言論を抑圧するために利用される可能性がある。

 ここで注目すべきは、オーストラリアは世界唯一の、国家憲章やいかなる権利章典も持たない、いわゆる民主主義国家であることだ。州および連邦議員は正しいことをすると絶大な信頼が寄せられてきたが、それは愚かで役に立たないと判明したのだ。2006年、メルボルン大学ローレビューにジョージ・ウィリアムズ教授が次のように書いている。  
「オーストラリアは現在、世界で唯一、国民権利章典を持たない民主国家だ。基本的権利に対する何らかの包括的な法的保護は、世界中の民主的統治における不可欠な抑制と均衡と見なされている。実際、ここ数十年で、何らかの形の権利章典を含まない新しい憲法や法制度を獲得した民主国家の例を私は見つけられないし、権利章典が制定された後にそれを廃止した国も知らない。

 「ではなぜオーストラリアは例外なのだろう。答えは我が国の歴史にある。オーストラリアは若い国だと考える人が多いが、憲法の上では世界で最も古い国の一つだ。オーストラリア憲法は1901年に制定された当時とほぼ変わらず、オーストラリア各州の憲法は1850年代まで遡る。国とオーストラリア植民地(と州)の法制度と憲法は、1791年のアメリカ合衆国権利章典という顕著な例外を除き、人権が単一の法的文書によって保護される傾向がなかった時代に考案された。もちろん当時イギリスにそのような法律はなく、我々の法制度はイギリス法制度に大きく基づいている。これは特に第二次世界大戦と世界人権宣言の可決後に変わったが、その時点でオーストラリア統治体制は何十年も機能していた。」
 不快な権威主義と人権無視の点で、欧米世界で異様な異端者としてオーストラリアが目立つことが多いのはなぜかと疑問に思ったことがあるなら、これがその理由だ。

 それが可能だからこそ、権力者は我々の公民権を侵害するのだ。ルパート・マードックの生地で我々はプロパガンダを浴びせられ、我が国の政府や海外同盟諸国の残虐行為に反対する発言を禁じられることが増えている。帝国のため愚かで従順な羊に我々は仕立て上げられつあるのだ。

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画像はWikimedia Commonsより。

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/01/australian-officials-push-authoritarian-crackdown-on-pro-hezbollah-speech/

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 Scott Ritter - Ask the Inspector Ep. 199を聞いた。1:02:21

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
残念。石破茂首相、あれもこれも「後退」。裏金議員の選挙非公認の可能性示唆→公認らしい、日米地位協定の見直し→当面なし、原発ゼロに言及→一転して原発の活用を訴えた、選択的夫婦別姓には触れず。目線は自民党議員対策。国民の方に向いていない。何故こんなに激しく急変。
 植草一秀の『知られざる真実』
強欲資本に支配される日本政府
 日刊IWJガイド
「米国では追加増税と徴兵制の復活が待っている!? 米国のランド研究所『国家防衛戦略委員会』報告書は軍拡と同盟国の『協力』を求める!」2024.10.5号

■はじめに~米国では追加増税と徴兵制の復活が待っている!? 米国のシンクタンク、ランド研究所による『国家防衛戦略委員会』報告書は、「米軍は2つの紛争地帯に勝てるだけの軍事力を維持する必要がある」という冷戦後の軍縮枠組みの見直しを求め、米国の冷戦期並みの軍拡と、同盟国の「協力」を求める!

■【本日のニュースの連撃! 2連弾!】

■【第1弾! 石破総理が所信表明演説! 注目の裏金問題について、疑惑の議員と衆議院選挙での公認問題との関係への言及はゼロ! 27日の衆議院選挙は投票率が最大のポイントに! 組織票対浮動票の戦いか!?】(『NHK』、2024年10月4日ほか)

■【第2弾! イスラエルがベイルートで一晩中続くかつてない猛攻撃! 37人を殺害、151人が死亡! 9月27日に暗殺されたヒズボラの指導者ナスララ師の有力後継者ハシム・サフィ・アル=ディン氏を標的にしたとの情報も!】その一方でパレスチナ人の虐殺も続行中! ヨルダン川西岸では難民キャンプを攻撃し、18人を殺害! ガザではUNRWAの学校避難所を攻撃し、21人を殺害!

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