ノルドストリーム2爆破とゼレンスキーの「三人の男と一隻の船」話
マーティン・ジェイ
2024年8月17日
Strategic Culture Foundation
カマラ・ハリス当選を支援するためにジョー・バイデンは自宅の裏庭をきれいにする必要があるし、ウクライナでも、相当掃除が必要だ。
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ノルドストリーム2爆破事件が再び話題になっている。キーウからのものと思われる最近の報道は、事件の背後には最初からウクライナ人がいたと主張している。当然ゼレンスキー大統領は否定しているが、この主張は間が悪く、荒唐無稽だ。しかし、この最新のエセ・ニュースの背後には一体何があるのだろう?
一言で言えば、カマラ・ハリス当選を支援するためにはジョー・バイデンは自宅の裏庭をきれいにする必要があり、ウクライナでも相当掃除が必要だ。これはウクライナ自体がワシントン新政権との関係を維持するためだけでなく、アメリカとドイツとEUとの関係のためにも必要だ。
そこで、パイプラインをアメリカが爆破することでバイデン政権とショルツ政権の間に不安と緊張が生じる中、ワシントンとドイツ間の未解決問題を解決し、ウクライナとハリスを助けるという寓話が作り出されたのだ。
ロシア侵攻から数か月後の2022年9月に起きたノルド・ストリーム2パイプライン爆破事件は、アメリカが巧妙に作り上げた嘘のかたまりだ。同年6月に爆弾を設置したのは、最終的に爆破する3か月前にノルウェーの協力を得たアメリカ特殊部隊だった。
当初、あっと言う間ロシアが非難されるのに非常に疑問を感じた。
「全てロシアのせいだ」と爆発から2日後、ポリティコの見出しは大々的に報じた。記事には、ロシアだけがそれを実行する手段と動機を持っていたと主張するドイツ人トップ諜報員を含む数人の外国人評論家発言が引用されている。だがドイツへのロシア・ガス供給契約が突然停止されたことを考えると、その動機は十分詳しくは述べられていない。
驚くべきことに、真実がまだ動き出さない間に、嘘はあっという間に広まる。数日のうちに、馬鹿げた主張を裏付ける証拠を一切示さずに、一流評論家たちもロシアを非難し始めた。
「ロシアが関与していたかどうか、まだ100%は分かっていない」と、大西洋評議会の欧州エネルギー安全保障担当副部長オルガ・カコバは語った。「しかし、全てがロシアが背後にいることを示している」。9月30日、破壊行為の背後にはロシアがいるように「思われる」と米エネルギー長官ジェニファー・グランホルムがBBCに語った。
大半の欧米ジャーナリストは、アメリカが発表した物語に従って、それを余り詳しく、あるいは懐疑的に見ないことを選んだ。もし誰かがそうしていたら、もっぱら勝者と敗者は一体誰かと問うていたかもしれない。
その後、数週間、ガス市場を見て、アメリカ企業に通常価格の3倍支払う新顧客がヨーロッパにいるのを知るだけで良かったはずなのだ。それが手がかりになるはずだ。
二つ目は、地政学とドイツだ。ウクライナ戦争が始まる僅か二週間前の2022年2月にドイツ首相がアメリカ大統領執務室を訪ねた際、ウクライナとの戦争に非常に消極的だったドイツとパイプラインに対して計画していることを、ショルツ本人にバイデンは非常に明確に説明していたのだ。
「ロシアが侵攻すれば、つまり戦車や軍隊が再びウクライナ国境を越えることになれば、ノルドストリーム2は存在しなくなる。我々はそれに終止符を打つ」とバイデンは述べた。
パイプラインはドイツの管理下にあるのに、どうやってそれができるかと記者に問われて「我々はやる、私は約束する、我々はできる」とアメリカ大統領は明言した。
6ヵ月後にパイプラインが爆破されると、ドイツは即座に戦争計画に加わった。これは状況を変える出来事だった。
驚くべきことに、バイデンはパイプラインを破壊する計画をした最初のアメリカ大統領ではなる、だから、ウクライナをより深く調べれば、最初から、アメリカはパイプラインを爆破してプーチン大統領を挑発し、侵攻させる口実にする計画だったのではないかと一部ジャーナリストが考える可能性もあり得たはずだ。
2014年にアメリカのウクライナ内政干渉が頂点に達した際、元アメリカ国務長官コンドリーザ・ライスが指摘した通り。
「エネルギー依存の構造を変えたい。北米エネルギー基盤にもっと依存させたい。ウクライナやロシアを通らないパイプラインが欲しい。ヨーロッパに別のパイプライン経路に関心を持ってもらうよう我々は何年も努力してきた。今こそ、それを実行する時だ。」
これらの発言以上に決定的証拠となる見本があり得るだろうか。ウクライナ人とセイモア・ハーシュ、どちらが偽ニュースを流したのかを考える際、これら発言を熟考する価値は確実にある。ノルドストリーム破壊を成功させる長期的動機や軍事力や金銭的動機や地政学的優位性を持っていたのはアメリカだけだ。もしあなたがジャーナリストで、ウクライナが破壊を成功させたという最新傑作エセ・ニュースにふける覚悟があるなら、あなたは、おそらく庭の隅の妖精や歯を真っ白にするという宣伝の歯磨き粉も信じるはずだ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/08/17/nord-stream-2-bombing-and-zelenskys-three-men-and-a-boat-story/
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「ウクライナがノルドストリームを爆破したなどというたわ言を信じるのは子どもか、うぶな人間だけだ」とドミトリー・ポリャンスキー国連次席大使Dmitry Polyanskiy
Russia on Nord Stream Pipelines | Security Council Stakeout | United Nations 11:30Alex Christoforou Youtube
Biden farewell speech. Elensky to destroy Russia war potential. Tusk, shut up about Nord Stream 26:07
民主党大会でのバイデン退任演説 NATO拡大を誇り、 「プーチンは三日でキエフをとるといったが、三年たった今も依然自由だ。」
演説内容より聴衆の大喝采におどろく。
Politico見出し
Dems give a thunderous ovation to the president they dethroned耕助のブログ
No. 2245 誰がアメリカを動かしているのか?
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NordStreamパイプラインを破壊したのは誰か
Who destroyed the NordStream pipeline?
「ロシア侵攻から数か月後の2022年9月に起きたノルド・ストリ-ムパイプ2・ラインNS爆破事件は、アメリカが巧妙に作り上げた嘘のかたまりだ。」としても,「同年6月に爆弾を設置したのは、最終的に爆破する3か月前にノルウェ-の協力を得たアメリカ特殊部隊だった。」というのは正しくないと小生は考る。なぜならこの物語に英国が出て来ないからである。
コロナ・ワクチン接種のときはチャ-ルズ皇太子が英国製ワクチンのために「腕」と「腕」とを触れ合わせる挨拶演技を報道陣に公開し,ボリス・ジョンソン首相はコロナ病室から執務を実行した。しかし,その前にボリスはウクライナに出向き,ゼレンスキ-にまとまりかけた停戦合意を破棄することを強要した。
2022年6月以降,ボリスはウクライナから姿を消しスナク首相がキエフを訪れた。他方ペロシ下院議長など米議会関係者やしゃもじ男はキエフを訪れたが,ボリスはキエフに姿を見せていない。英国の特殊部隊もウクライナ軍や・ネオ・ナチス軍を支援しているはずだが西側マスコミにほとんどその名前が出て来ない。Nord₋StreemⅠ・Ⅱが爆破された後,英国が中心になって何かをやったとかという情報はぱたりと止んだ。なぜか。
英国の田園の美しさと幽霊
しかし英国と言えば,フォ-クランド紛争でも北海油田でもない。ましてやスクリパル親子毒殺事件顛末でもない。すなわち故加藤周一はイギリスの田園の美しさを詠っていたが,英国と言えば何と言っても幽霊の国である。現に加藤は,幽霊の話をいくつか紹介している(『加藤周一著作集』平凡社など)。他の国にも幽霊の話はたくさんあるはずだが,彼は全く紹介していない。そして晩年の作品の『加藤周一 幽霊と語る』で「人間は年をとると意見が変るが.幽霊は意見を変えない。なぜなら幽霊は年をとらないから意見を変えない」と言い放ち,幽霊の話が一貫して論理的に正しいことも併せて強調していた。私は今,加藤の意見に賛成する。
しかるに一体誰がNSパイプラインを破壊したのか。ウクライナ説があり,S.ハ-シュ記者の米国説があり,ドイツ・波蘭説が出てきた。小生は誰がやったか分からないように議論がなされるように事を企てるのが英国流だと書いたことがある。この文章の著者は小生の話を知らないから当然ハ-シュ説をとる。しかし誰もその証拠を列挙していない。しかるに状況証拠は十分あるが物的証拠は全くない。全くないにも拘らず犯人がいるとすればそれは「幽霊」がやったとしか言えない。ゆえに幽霊の国,英国に住む誰かがやったのである。
それでも米国説が有力だが30年後にアメリカ政府が情報公開をするまで多くの人は待てないだろう。ならば英国に情報公開してもらえばいい。それとも豪州のジュリアン.アサンジ氏にお願いしようか。あるいは加藤周一をよく知る幽霊にお願いしようか。
追記:パイプライン破壊についてなぜ米国説を採らないのか。それは伝統だからである。機織りをする民族が椅子に座って織るか,地面に座って織るかはその民族の伝統に依るだろう。民族衣装も同じ。衣装Aから衣装Bに変更することは無理があろう。すなわち,伝統はDNAみたいなもので時代が変わっても甲が乙に,乙が甲になることは少ない。その点,伝統は一種の幽霊であろう。
ところで白昼堂々とスレイマニ中将をイラクの空港で爆殺したのは米国である。カ-ブルの空港から夜中に逃げ出したのは米国米兵であるが,偽装したわけではない。逃げだすときヘリコプタ-が使われたが誰が逃げているかはサイゴンでも明らかであった。原爆を日本に落とすときもこそっと秘密裏に落としたわけではない。あのバカでかいB29で堂々と落としたのである。そこでガザの話をすれば,イスラエルは白昼堂々とジェノサイド行為を行っている。隠さない狂信主義である。否,米国もイスラエルも狂信主義だから犯行を隠さないのかもしれない。
最後になるが,ブチャの虐殺を思い出してみよう。ロシヤ軍が引き揚げた後,3,4日後にウクライナ軍がブチャの町に入ったという。そしてブチャの虐殺が起きた。なすり付けを得意とするのはウクライナ/UK軍である。またロシヤ軍がMH17を撃墜したかのような証拠写真が出たが意図的に罪を擦り付けるために合成された写真に過ぎなかった。またミサイルのポ-ランド領への着弾。着弾するや否やゼレンスキ-は「ロシヤがやった」と発表した。事実は自作自演。ウ軍がやった。今,スロバキアからの傭兵が白状して英国特殊部隊の指導の下,ブチャの虐殺をやったとして裁判中である。ここでも英軍が関与し誰がやったのか分からないような議論を作り出している。すなわち,舞台は異なり役者は異なるが構造は同じ。擦り付けが素早く行われる。
投稿: 箒川 兵庫助 | 2024年8月22日 (木) 00時22分