ウクライナ軍は臆病だと泣き言を言い続ける巨大で勇敢な欧米代理戦士
この記事の英語朗読を聞く(Tim Foleyによる読書):6月に始まったウクライナ反攻が期待どおりには進んでいないというニュースが続く中、ニューヨーク・タイムズはロシアが占領した領土を奪還するウクライナの取り組みを報じる「ウクライナ戦争での軍隊死傷者は500,000万人近いとアメリカ当局は言う」という題名の記事を発表した。
ケイトリン・ジョンストン
2023年8月19日
6月に始まったウクライナ反攻が期待通りには進んでいないというニュースが続く中、ニューヨーク・タイムズは「ウクライナ戦争での軍死傷者は500,000万人近いと米国当局は言う」という題名の記事を発表した。
ロシアが占領した領土を奪還しようとするウクライナの取り組みは「大砲や武装ヘリコプターの絶え間ない攻撃下、密集したロシア地雷原で行き詰まった」と報じ「砲火の中、地雷原に突入する代わりに、大砲と長距離ミサイル」を使用するようウクライナ軍が戦術を切り替えたとニューヨーク・タイムズは報告している。
それから記事は、かなり奇妙になる。
「ウクライナの戦術修正が貴重な弾薬供給を使いつくし、消耗戦争でロシアのウラジーミルV.プーチン大統領に恩恵をもたらし、ウクライナに不利になる可能性があるのをアメリカ当局は懸念している。しかし、ウクライナ司令官は、この戦略変更が死傷者を減らし、最前線の戦闘力を維持すると判断した。
「ウクライナが死傷者を嫌うようになったのを恐れるとアメリカ当局は言っている。これがウクライナが反攻を推進に慎重な理由の一つだ。地雷原で守られた塹壕内のロシア防衛部隊に対するほとんど全ての大きな軍事行動は膨大な損失をもたらすだろう。」
申し訳ないが、ウクライナが「死傷者嫌悪」になっているのをアメリカ当局は「恐れ」ているのだろうか? 多くの弾薬を消耗する、より安全な戦術は、激しい砲撃下での地雷原突破ほど命を粉砕しないためだろうか?
ウクライナ人はどうあるべきなのだろう? 死傷者を受け入れるべきなのか? ウクライナがもっと死傷者を受け入れれば、アメリカ帝国が積極的に挑発し、和平協定を潰したこの代理戦争の歯車に若者の体を投げ込むのをいとわないだろうか?
ウクライナ死傷者嫌悪に対する彼らの「恐れ」についてニューヨーク・タイムズに語っているアメリカ当局者は、本当の恐怖が何かを知らないのだと何かが私に教えてくれる。大砲や武装ヘリコプターの絶え間ない攻撃下で、アメリカ当局者がロシア地雷原を行進すれば、その時、連中は「恐怖」を理解するだろうと何かが私に教えてくれる
What do they mean, "fear"? They worry that Ukraine cares too much about the lives of its people? As if the US has any right whatsoever to pronounce judgment on what an "acceptable" level of Ukrainian casualties is. Despicable. pic.twitter.com/POYI1bwLYy
— Nathan J Robinson (@NathanJRobinson) August 18, 2023
過去数週間、ウクライナが前進できないのは、殺されることに対する不合理な嫌悪感によるものだと、欧米当局はメディアに泣き言を言ってきた。連中は名前を隠し、安全な事務所の机の陰から、ウクライナの臆病さをマスコミで非難しているのだ。
木曜日に公開された「ウクライナは攻撃の主要目的を達成できないとアメリカ諜報機関は言う」という題名の記事で、ワシントンポストは匿名の「アメリカと西欧の当局者」を引用して、この反攻でウクライナが被っている莫大な損失は、事前に作戦演習で「予想されていた」が、「ロシアの主要な防衛線を突破する代償として、キーウが死傷者を受け入れるのを想定していた」と報じた。
同じ記事は、反攻を批判する人々に、これまでの結果が気に入らない場合「外人部隊に加わってください」とウクライナのドミトロ・クレーバ外相が語ったのを引用し「自分自身がそこにいない場合、全てをより速くしたいと言うのは簡単だ」と付け加えた。
先月公開された「アメリのクラスター爆弾がウクライナに到着したが、戦場への影響は不明のまま」という題名の記事で「兵卒の死傷者増を恐れる」ウクライナ司令官が「欧米の戦術に固執し、ロシア防衛を突破するため、より強い圧力をかけるのではなく」砲撃に切り替えていることに、匿名の米国高官が「個人的に不満を表明した」とニューヨーク・タイムズは報じた。
アメリカの批判に応えて「なぜ彼らは来て、自分でしないのか?」と元ウクライナ国防相がニューヨーク・タイムズに述べた。
NYT: "Senior U.S. officials" have "privately expressed frustration" that Ukraine's military, "fearing increased casualties", is not "pressing harder to breach the Russian defenses."
— Aaron Maté (@aaronjmate) July 17, 2023
So frustrating when the Ukrainians won't sacrifice their soldiers for our proxy war. pic.twitter.com/CL2qVi3Oxn
「ウクライナの兵器と訓練不足で、ロシアとの戦いが膠着状態になるリスクがある」という題の先月の記事で、ウォール・ストリート・ジャーナルは匿名の欧米軍高官が、ロシアを追い払うため「キーウが全ての訓練や武器を持っていないと知っていた」が、とにかく「ウクライナ人の勇気と機知が勝利をもたらすのを望んでいた」と報じた。
「そうはならなかった」とウォール・ストリート・ジャーナルは付け加えた。
同じ記事で、ウォール・ストリート・ジャーナルは、アメリカ自身は、ウクライナ人に試みさせているような反攻を決して試みないことを認めたジョン・ネーグルという名の米陸軍戦争大学教授を引用した。
「アメリカは制空権なしで準備された防衛線を突破しようとは決してしないはずだが彼ら[ウクライナ人]は制空権を持っていない」とネーグルは言い「合理的な死傷者の代償で地上戦を戦うため、制空権がどれほど重要か誇張しすぎるのは不可能だ」と付け加えた。
"While the U.S. still backs Ukraine’s fight, the US official said, “We may have missed a window to push for earlier talks.”"
— Trita Parsi (@tparsi) August 18, 2023
Yes, perhaps it wasn't such a brilliant idea to slam and discredit any talk about diplomacy earlier on...https://t.co/Etw24amcKy via @politico
そして今、マスメディアで、アメリカ当局者(もちろんまだ匿名で)が、最初から失敗が運命づけられていると知っていた、この反攻を開始するのではなく、和平交渉を試みる方が良かったのではないかと考え始めているという報道を目にしている。
「ミリーは的を射ていた」という題の記事で、ポリティコは、和平交渉を検討する良い時期だという退任するマーク・ミリー統合参謀本部議長の11月提案に耳を傾けるべきだったかと帝国管理者は疑問に思い始めており「反攻の現実はワシントン界隈で十分理解されつつある」と述べた複数の匿名アメリカ当局者を引用した。
「我々はより早く交渉を推進する機会を逃したのかも知れない」と匿名当局者は言い、「ミリーは的を得ていた」と付け加えた。
おっとっと、連中は少々お漏らしをたようだ。まあいい、ウクライナ人の命だけだ。
ウクライナ人、特にこの戦争で家や愛する人を失ったウクライナ人が、これら全てを読むのを想像願いたい。熱い涙が私の頬に流れ落ちるのを想像する。私は怒りを想像し、圧倒的欲求不満を想像する。
The Empire Knows It's Pouring Ukrainian Blood Into An Unwinnable Proxy Warhttps://t.co/UCpnX2jtU1 pic.twitter.com/unCNC3m4Bn
— Ron Paul Institute (@RonPaulInstitut) July 24, 2023
この戦争全体は、ちょっとした外交とモスクワへのいくつかの穏やかな譲歩で回避できたはずだ。暫定的な和平合意が結ばれた紛争初期の数週間で止められた可能性がある。この壊滅的反攻の前、11月に止められたはずだ。
しかし、そうではなかった。アメリカは、ロシア弱体化を目的に、モスクワを費用のかかる軍事的泥沼に閉じ込める狙いを持っており、今日に至るまで、アメリカ当局者は、この戦争がアメリカの利益を推進するためにしている、あらゆることを公然と自慢している。それで連中は、ロシアの財源を枯渇させるため、できるだけ多くの高価な爆弾を吸い上げる巨大スポンジとして、ウクライナ人の遺体を使い、ヨーロッパにおけるアメリカのエネルギー権益を推進し、中国に対する次の動きを画策しながら、モスクワを夢中にさせたまま、帝国はそれを続けている。
先月ワシントン・ポストのデイビッド・イグナティウスは、ウクライナでの事態の状況について、なぜ欧米人が「悲観的になる」べきではないかを説明する記事を書き、海外のアメリカ権益に寄与するため、この戦争がどれだけのことをしているかに関し次のように書いた。
「一方、アメリカとNATO同盟諸国にとって、この18か月の戦争は、(ウクライナ人を除き)比較的わずかなコストの戦略的棚ぼただった。欧米に対する最も無謀な敵は揺さぶられた。NATOは、スウェーデンとフィンランドの追加により遙かに強力になった。ドイツはロシアへのエネルギー依存から脱却し、多くの点で価値観を再発見した。NATOの闘いは見出しになるが、全体として同盟にとって、これは勝利の夏だった。」
彼括弧でくくって「ウクライナ人を除き」とは言うのだ。
この恐ろしい代理戦争を支持した全員、この段落を額に入れ墨する必要がある。
________________
私の記事は完全に読者に支援されているので、この記事を良いと思われた場合、必要に応じて私のチップ入れにお金を入れる選択肢がいくつかある。私の記事は全て、自由にコピーでき、あらゆる方法、形式で利用可能だ。皆様が望むことは何であれ、記事を再発行し、翻訳し、商品に使える私が公開している記事を確実に読む最良の方法は、Substackメーリングリスト購読だ。全ての記事は夫のティム・フォーリーとの共著。
ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2
画像はアドビ・ストック経由。(サイズに合わせて加工)。
----------
植草一秀の『知られざる真実』
記事の一部引用させていただこう。行はつめた。
----------
テレビ離れが進むなかで、多くの国民がインターネットを主たる情報源にしている。
時事問題に関する情報を得るために多くの市民が利用するのがニュースポータルサイト。
最重要の情報源がサイトに掲載される記事になる。
その情報が著しく歪んでいる。
橋下徹、ホリエモン、高橋洋一、太田光など、著しい偏りを持った人物の論評が連日のように掲載される。
彼らがどのような見解を持とうと彼らの自由。
それを非難する考えはない。
しかし、多くの事象=時事問題については多種多様な人々が多種多様な論評を発信している。
それらの論評を過不足なく情報源として取り込まなければ問題の全体を捉えることはできない。
大手のニュースポータルサイトは大手資本が運営する。
その運営に財政資金が投下され、また、大手資本が運営を経済的に支える。
人心を統制する極めて重要なツールとして大手ニュースポータルサイトが利用されている事実を知っておく必要がある。
したがって、こうした偏向サイトに対抗し得る市民の側の情報サイト=ニュースポータルサイトを創設することが極めて重要になっている。
----------
ウクライナの現状に関するラリー・ジョンソン氏の見解
The Russian Way of Fighting - Prigozhin's Death | Larry C. Johnson 41:40
烏賀陽弘道氏によるALPS海洋排水に関する決してテレビが報じない解説。彼は『完本 福島第一原発 メルトダウンまでの五十年』や「第二の敗戦」への二十五時間『福島第一原発事故 10年の現実』著者
2023.8.26 福島第一原発 ALPS水・海洋排水に関する12のディスインフォメーションを指摘する 1:17:09
2023.8.18 フクシマからの証言13 元南相馬市長 桜井勝延さん(前編) 道路が警察に封鎖され水食料も絶えた 自衛隊すら撤退 1:06:28
2023.8.25 桜井勝延・元南相馬市町 後編 「おカネの分配で内部でモメさせておければ、国に住民の刃は向かわない」 1:33:38
デモクラシータイムス
« ウクライナにおける埋没費用効果の誤謬 | トップページ | 「・・・だと見せるように作られた情報」 »
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画(2024.12.19)
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
「NATO」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
- シリア崩壊(2024.12.11)
- エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」(2024.12.13)
「ロシア」カテゴリの記事
- 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画(2024.12.19)
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- シリア崩壊(2024.12.09)
「Caitlin Johnstone」カテゴリの記事
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
- もう一つの国が帝国の塊に吸収された(2024.12.15)
- アサドは去り、目覚めたアルカイダが台頭(2024.12.12)
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- 空騒ぎ:トランプ大統領のウクライナ大詰め計画(2024.12.19)
- エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」(2024.12.13)
- アメイジング・グレース(素晴らしき神の恩寵)!バイデンの許しの奇跡(2024.12.10)
- アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由(2024.12.08)
コメント