インド

2023年4月15日 (土)

ダライ・ラマは気味の悪いろくでなし

2023年4月10日
ケイトリン・ジョンストン

 この記事の英語朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 (子供に対する大人の不適切な行動に関する議論に敏感な読者は本記事を読まぬようお勧めする。)

 大人の聴衆が肯定的に見守る中、ダライ・ラマが少年の唇にキスし、舌を吸うように言う実にひどいビデオがある。先月のTibet.netのツイートでチベットの精神的指導者と子供の短い動画が表示され、この出会いは「学生やM3M財団メンバーとの会合」中に起きたと述べているがTibet.net動画は、この出会いの性的に不適切な部分を削除している。

 これがこの動画へのハイパーリンクだ。当然ながらそのようなものは見たくはないが文章説明には慣れている人のためには、ここにNews.com.auの新記事がある


 ダライ・ラマは最近の催しで若いインド少年の唇にキスをし、舌を「吸う」よう頼んだ後、眉をつり上げた。

 先月インドのM3M財団の催し中に起きた奇妙なやりとりの映像がソーシャルメディアで広まった。

 チベット仏教指導者であるテンジン・ギャツォは亡命生活を送っているインドのダラムシャーラーにある彼の寺院で学生と財団メンバーを受け入れた。

 映像で、少年がマイクに近づき「抱きしめてもいいですか?」と尋ねる。

 87歳の彼は「いいよ、おいで」と言って壇上に招ねく。

 ダライ・ラマは頬をさして「最初にここ」と言い、少年は彼を抱擁しキスする。

 彼は少年の腕を持って「それならここも良いと思う」と言いながら唇を指さす。

 その後精神指導者は少年のあごをつかみ、聴衆が笑う中、口にキスをした。

 「私の舌をしゃぶりなさい」とダライ・ラマは舌を突き出して少年に言う。

 彼らは額を押し付け、少年は少し舌を突き出してから後退し、ダライ・ラマは彼の胸をふざけて叩いて笑う。

 とにかく権力ある聖職者の児童虐待とは一体何だろう? マイケル・パレンティが2003年に指摘したように、封建的チベットの専制的環境では性的虐待が日常茶飯事で、1950年代に中国に強制的に併合されなければ、ダライ・ラマ14世が支配していた。「自由チベット」というスローガンは、中国、特に共産主義全般に対するプロパガンダの棍棒として欧米諸国が長い間利用してきたが、本当の問題は、「自由」なはずの時代に、チベットが定量的に遙かに専制的で抑圧的な場所だということだ。

 ずっと前ダライ・ラマがメルボルン講演に来た時、ダライ・ラマを見に行ったが、私にとって最も際立ったのが、実に深みや深遠さに欠けていた記憶だ。私が参加したサークルでは、精神性や悟りに強い関心を持っている人として非常に高く評価されている人が、優しくして世界をより良い場所にしようという表面的なセサミ・ストリート・レベルの発言以外そのような問題に関し何も言わなかったことに当惑した。おそらく今日生きている人でダライ・ラマほど仏教や西洋の意識における精神的目覚めに関連する人はいるまいが、私が彼から読んだり聞いたりしたことは全ての他の精神的教師たちの言葉と比較して、下手で、役に立たず、空虚だという印象が残っている。

 その紛らわしい食い違いは、私が政治分析をするようになり、ダライ・ラマはおそらく精神的指導の上で頼るべき人ではなく、実際、人として多くの内面的発展を遂げるには余りに混乱していると知った後、解消された。

 イラク侵攻から6か月後の2003年9月の昔に彼がしたインタビューをご覧願いたい。AP通信に、アメリカのアフガニスタン侵攻は、韓国へのアメリカの残忍な介入と同様「おそらく他の文明を守るはずの」「ある種の解放」で、アメリカのイラク侵攻は「複雑」で、その道徳性が決定されるには更に時間がかかるだろうとダライ・ラマは語った。侵略から数年たった2005年、通常の大半の一般市民が、この戦争が大惨事なことに気づいた後も「イラク戦争? 正しいか間違っているか言うのは時期尚早だ」とダライ・ラマは依然言っていた

 これは明らかに壊れた道徳的羅針盤の持ち主だ。これは、ある程度心理的、感情的に健全な普通の人なら誰でもすぐできる基本的な最低限の評価で、彼は依然これら問題で、地球上最悪連中の何人かと基本的に同じ側に位置している。

 

 だが、それは文字通りのCIA手先に対し誰でも期待できる最高のものだと思う。彼の政権は1960年代を通じて中央情報局から年間170万ドル受け取り、彼自身何十年にもわたりCIAから年間18万ドルを個人的に受け取っていたと報告されている。

 ニューヨーク・レビュー・オブブックスから


 チベットの多くの友人や、常に非暴力を提唱してきたダライ・ラマの崇拝者は、彼がCIAプログラムについて何も知らなかったと信じている。しかしダライ・ラマの兄の一人、ギャロ・トンドゥプは作戦に密接に関与しており、この作戦に参加した[CIAのベテラン、ジョン・ケネス]クナウスは「ギャロ・トンドゥプは弟のダライ・ラマにCIA支援の一般的な条件を知らせ続けた」と書いている。クナウスによれば、1950年代後半から、この機関はダライ・ラマに月に15,000ドルを支払った。これらの支払いは1974年に終了した。

 現在CIAは世界で最も堕落した機関なので、CIAに深く関わる連中の道徳的発達はいささか発育不全だと期待するのは合理的だ。10年か15年前なら、こうした言葉を自分がタイプするのを知って驚いたろうが、ダライ・ラマは実に不快な人物だとわかっている。

 悟りについて有益なことを言うのに十分意識を内側に拡大した精神的な師を見つけられるのはまれで、そういう人の中で知恵と理解の見地から世界の出来事を議論するのに十分なだけ意識を外側に拡大した人を見いだすのは非常にまれだ。ダライ・ラマは、人々が得られものの中で、これから遙かに離れている。彼は地球上最も賢明でない機関と協力して人生を生きて、皆様が通り過ぎるかもしれないほとんどの人々より内面的に発達していない。

 人々はこの変人を尊敬するのはやめるべきだ。

 更新:ダライ・ラマは「私の舌を吸いなさい」事件に関し声明を発表した。これがその全文だ。


 少年がダライ・ラマ法王に抱擁をしても良いか尋ねた最近の出会いを示す映像が出回っている。ダライ・ラマ法王は、少年とその家族や世界中の多くの友人たちを彼の言葉が傷つけたかもしれないことを謝罪したいと願っている。

 ダライ・ラマ法王は、公の場やカメラの前で、無邪気な遊び心のある方法で出会う人々をからかうことがよくある。彼はこの出来事を後悔している。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2023/04/10/the-dalai-lama-is-a-creepy-asshole/

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 ハーシュ報道。アメリカを騙し横領で儲けるゼレンスキー、アメリカはいい面の皮。

 欧米メディアを信じて、ロシア国内でウクライナ侵攻反対運動をしていた女性が、ドンバス現地を訪問した後、ウソをついていたのは欧米メディアだとわかったと告白。本人が英語で語っている。

 INTERVIEW: The Donbas war zone visit changed her life

 Redacted with Clayton Morris

 ウクライナ住民が本当の現地状況を報じているスペイン人記者を「ヘイト」と「偽情報」のかどで調査するようスペイン現地検事総長にメールを送り、記者が捜査されている。記者はスペイン語で問題を説明している。

Hang on! Ukraine did WHAT to a Spanish journalist?


 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

安倍元首相のウクライナ問題関連発言(当時日本でほとんど報道されず)英エコノミスト「戦争を回避することは可能だったかもしれません。ゼレンスキーが、彼の国が NATO に加盟しないことを約束し、東部の 2州に高度な自治権を与えることができた(22年5月)。

 日刊IWJガイド

「アフリカのメディアが脱欧米・親ロシア路線に全面転換! アフリカの欧米メディアは閉鎖や放送停止に追い込まれている!」

はじめに~アフリカのメディアが脱欧米・親ロシア路線に全面転換! アフリカの欧米メディアは閉鎖や放送停止に追い込まれている!「西側諸国は、『いつもアフリカの問題に干渉したがる、つまり、君たちは我々の資源を盗みに来たのだ』」!

IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 3月のご寄付件数は132件、175万5400円でした! 月間目標額390万円の45%に相当します! 毎月、累積赤字が増え続けている状況ですが、4月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

2022年5月 5日 (木)

ニューデリーに「言い寄り」続けるワシントン

2022年4月28日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 「大世界ゲーム」の主役という限られた役割へのインド参加は、今日この国の重要な話題の一つだ。同時に、世界的「賭博台」におけるニューデリーの立場は、二大主役たるアメリカと中国にとって決定的な重要性を持っている。

 上記の問題解決は、インド次第で、インドは、何が良く、何が良くないかについて、自身の理解に頼っているのも実に明らかなように見える。

 だが、この永遠の二分法で、何が「最良の」解決かをニューデリーに「推薦」しても良いではないか? 実際、ワシントンは過去20年間、このために一生懸命働いてきたのだ。つまり中国が、21世紀の間、アメリカの主要な地政学競合相手になる可能性が、厳しい現実に変わり始めた瞬間以来。この地政学的変化への対応は、むしろ従来型だ。アメリカはこの問題の原因の周囲に、敵対的連合を作りあげようとしているのだ。この連合で、なぜインドが、ほぼ主役を割り当てられているのかは明白に見える。

 まさに中国共産党が内戦で勝利した同時期、1940年代後期に、インドが独立した直後、二国間の緊張が出現したので、二つのアジア大国間関係の複雑な性質も同時に考慮に入れられている。

 過去20年間、全てのアメリカ政権は、例外なく、インドに「言い寄る」過程に関与した。それは2001年にニューデリーへの「歴史的」訪問をしたビル・クリントン大統領時代に始まった。この訪問は冷戦期間後半を支配していた両国関係の(慎重に言って)警戒心の期間を終わらせた。

 クリントン訪問以来発展したアメリカ・インド関係の肯定的な傾向は、現在のアメリカ政権にも積極的に支持されている。最近の証拠は、4月11日に、ワシントンで二国間交渉が、すなわち両国の外務大臣と防衛大臣が参加する、いわゆる「2+2」形式で開催された事実だ。ちなみに、これは二国間関係で非常に重要な、この形式で行われた四度目の交渉だった。

 この最近の交渉直前、アメリカのジョー・バイデン大統領とインドのナレンドラ・モディ首相はビデオ会議をした。それはウクライナ危機に関連して、ワシントンが行った反ロシア行動への参加をインドが拒否した後に行われた。アメリカは特に、インドが反ロシア政治言説への参加だけでなく、ロシア連邦との関係で「自ら課す損害」と呼ばれるものに参加するのをいやがることに苛立っていた。上記手法の、いずれも、アメリカに対して、他の「自由世界」の国々が自虐的に実行している。そして彼らは完全に頭がおかしくなったように見える。

 これは特に深刻な世界的紛争で、独立以来、インドは(ある程度まで、比較的)この国にとって典型的な中立の位置に固執し続けていることを意味する。それでも、何度もNEOで論じた多くの理由から、近年、インドの外交政策はアメリカに傾斜していた。

 この傾向は、アメリカとインド間2+2会談の後、採択された共同声明の内容(非常に包括的)によって実に明示的に例証されている。これら文書では、それぞれの言葉が重要で、どんな「要約」も、必然的にインド・アメリカ間関係の状態についても、インド・太平洋地域全体で起きている過程に関しても、解説者の(主観的)意見の影響を受けるだろう。この共同声明内容に興味を持っておられる方々は、この書類についてご自身の考えを形成されるのが良いだろう。この目的で、著者は、声明を読まれるようお勧めする。

 ここでは、書類にないものにだけ注目したい。特に目立つのは、今日ワシントンにとって極めて重要な「ロシアのウクライナ侵略」に関する、いかなる直接言及もないことだ。だが、もし(特に)ご希望なら、多少のヒントが、前置きに見られ、そこで両国が共有する国際的価値観として「主権と領土保全の尊重」の要素が言及されている。だが、これら価値観が特にウクライナに関連するものか否かは明確ではない。

 この関係で、ロシアも明らかに現在構築されている反中国連合の潜在的参加者と見なされていることに留意願いたい。「上記連合の設計者」が、これまで八年間、何を望んでいるかを確実に「より良く理解」するには、ロシアにとって「決定的問題」であるウクライナ領域の問題を、彼らが、とりわけ熱心に推進していた事実がある。同時に、どうやら、キエフ傀儡は、グローバル政治における自身の重要性を、特に、実際自分たちが本当にこの不幸な国を支配していると信じていた。

 ここで論じた両方の出来事が、インドに「言い寄る」一環としてワシントンが着手していた一連の最近の行動を終わらせた。最も注目に値する、これら行動の一つは、四月初旬、インド生まれのダリープ・シン国家安全保障担当副補佐官によるインド訪問だ。ちなみに、現アメリカ政権では、これまでのどの時期より多く、インド系人物が様々な地位で代理を務めていることは指摘すべきだ。政権で二番目に重要な地位にいるカマラ・ハリスがインド人のハーフであることに言及すれば十分だろう。

 シン首相は、記者団に、ロシア石油の購入量を劇的に増やすインド計画を述べ、訪問国に対する恫喝さえためらわなかった。特に、インドに対して中国攻撃が起きた場合、(「アメリカと違い」)ロシアはインドを助けないだろうと述べた。この理由は、先に述べた通り、北京とモスクワ間の、ほぼ連合関係だ。これはニューデリーが、一体誰と友人である「べきか」の「微妙なヒント」だ言われている。

 イギリスは、積極的にインドに「言い寄る」過程に関与しているが、これは「スエズ海峡からの東」の地域における存在感に似たロンドンの全体的戦略の重要な要素になっている。この戦略の概念は2021年3月に発表された「競争時代のグローバル英国」という題名の政府書類に基づいている。

 この書類で概説された外交政策戦略の有機的要素は、ある程度、旧大英帝国の元「優れもの」における立場を復活させたいイギリスの意志だ。この点、重要な段階が2021年1月に計画されたボリス・ジョンソン首相のインド訪問であり得たはずだ。しかしながら、この訪問は延期され、同年五月に、両国首脳のテレビ会議が行われた

 とは言え、国家首脳のオフライン交流も重要と見なされており、ジョンソンのインド訪問は依然今年4月20日に予定されていた。彼の到着直前、元宗主国の首相は、ウクライナ危機を、インドのナレンドラ・モディとの来る交渉の中心におくと予想されていた

 ニューデリーに「言い寄る」過程が「余り行き過ぎない」ことに主に関心を持っている中国指導部が、これが起きるのを阻止しようとしていることは指摘すべきだ。最近、彼らはインドとの関係で、問題の深刻さを減らすよう努力していた。この点、最近の中国王毅外務大臣のニューデリー訪問は注目に値する出来事だった。

 上記の全てが、政治問題がエスカレートする現代世界で、インドの立場は(少なくとも、ある程度)中立のままでいる、もう一つの証明だ。しかも、これは、この立場から、この極めて重要な国をはずそうとする努力の増大にもかかわらずだ。

 ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/04/28/washington-keeps-courting-new-delhi/

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 共和党議員が巨大ハイテク企業分割案。聴衆はBrake them up!と唱和。

 The Jimmy Dore Show

Republicans Threaten To Break Up Google & Facebook

 バイデン発言からすると、世界平和の為には宗主国崩壊が必要ということか?

 日刊IWJガイド

「バイデン氏が『ジャベリン』工場を視察! 戦争は『民主主義と中国など専制主義との戦線の一つにすぎない』とバイデン氏が指摘とAFPが報じる」

<インタビュー告知>本日夜6時半より、岩上安身によるシグマキャピタル株式会社・チーフエコノミスト田代秀敏氏インタビュー「米国の代理戦争が引き起こす食糧・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う!」を冒頭オープンでお送りします!

2022年4月22日 (金)

インドの人権侵害を突然気にかけるふりをするアメリカ

2022年4月12日
ケイトリン・ジョンストン

この記事を英語音声で聞く

 アメリカは、突然インドでの人権侵害に関し非常に心配し、月曜日アントニーブリンケン国務長官が「我々は、一部の政府、警察や刑務所職員による人権侵害の増加を含め、インドにおける最近の懸念すべき進展を監視している」と報道機関に述べた

 インドの右翼政権人権侵害犯しており、それも何年にもわたっているのは本当だが、アメリカ国務省が、実際は、人権侵害を気にかけていないのも本当だ。

 トランプ政権初期に漏洩した国務省メモが、これまで十分な経験がない国務長官レックス・ティラーソンに、ネオコン帝国管理者ブライアン・フックが、アメリカ政府にとって「人権」は他の国々を押さえつけておくため利用する武器に過ぎないと教えているのを明らかにした。帝国言説支配の身勝手な性質に対する注目に値する洞察で、アメリカの権益と歩調を合わせる国々に犯された人権侵害は見逃すが、そうではない国に対し、それを利用し、武器化するのがアメリカ政策だとフックはティラーソンに言ったのだ。

 「エジプトやサウジアラビアやフィリピンなどのアメリカ同盟諸国の場合、対テロを含め、様々な重要な理由で良い関係を強調する上で、人権に関し、率直に困難な妥協をするわが政権は完全に正当化できる」とフックはメモで説明した。

 「現実的な成功する外交政策のための一つの有用な指針は、同盟者を区別し、敵より良く扱うべきことだ。」とフックが書いていた。「我々は海外でアメリカの敵の強化を目指していない。我々は彼らに圧力をかけ、競争し、出し抜くことを目指している。この理由で、我々は中国、ロシア、北朝鮮とイランとの合衆国関係に関し、人権は重要問題だと考えるべきだ。これはそうした国々の中で行われている道徳的問題の慣習に対する懸念のためだけではない。戦略的に、こうした政権に人権を強要して、代償を課し、圧力をかけ、彼らから主導権を取り戻すためだ。」

https://twitter.com/MaitreyaBhakal/status/1513754866698514432

 いや、アメリカ国務省は人権侵害など気にかけていない。モスクワとの提携に向かうことに警告を発するため、ニューデリーに発したブリンケン発言は、アメリカ帝国一連の威嚇射撃の最新版に過ぎない。

 先週「ロシアと提携すればインドは重大な代償に直面するとアメリカが言う」という題の記事で、ブルームバーグは下記を報じた。

 ジョー・バイデン大統領の経済最高補佐官は、政権はロシアとの提携でインドに警告し、アメリカ当局者はウクライナ侵略に対するニューデリーによるいくつかの対応に「失望して」いると言った。

 

 水曜日クリスチャン・サイエンス・モニターが主催した朝食会で「侵略という文脈で、中国とインド両国の決定に我々が失望した分野が確実にある」とホワイトハウス国家経済会議のブライアン・ディーズ委員長は記者団に述べた。


 モスクワとの「いっそう明示的な戦略連合」の結果は「重大で長期」になるとアメリカはインドに言ったと彼は述べた。

https://twitter.com/RnaudBertrand/status/1511733819832819715

 この新しい調子はインドのナレンドラ・モディ首相とトランプ政権の陽気な関係から、あるいは去年のモディとバイデン政権間とさえと比べて、本格的変化だ。昨日モディとの電話で、ロシアからの石油輸入増加はインドの利益に反するとバイデンは明言した。アメリカ当局者によれば、バイデンは「ロシアのエネルギー源に頼ることで世界におけるインドの立場は高まらないとモディに言った」とロイターは報じている。

 「それを増やすのは彼らの利益にならないと大統領は非常にはっきり伝えた」とホワイトハウス報道官ジェン・サキがインドのロシア石油輸入について問われて述べた。

 これら益々あからさまなメッセージに服従しなければ、アメリカ政府からインドの人権侵害に関する一層見せ掛けの懸念を見ることとなり、破壊的な経済的妨害工作が続くと予想できる。

 アメリカ帝国が、将来インドがワシントン影響圏から抜け出す可能性があるのを懸念するのは正しい。アメリカは中国に対するグレート・チェス盤策術で、ニューデリーを兵器化するのに、これまでのところ成功しているが、世界の二つの最も人口ちゅう密な国々が、ロシアという核超大国に合併し、アメリカに中央集権化した権力構造に吸収されるのを拒絶する国々の新興ブロックになるのは帝国にとって悲惨なはずだ。

 だが外国が誰と一緒になるかを決めるのを、アメリカが自分の仕事と見ている事実は、世界舞台での本当の動的関係を明らかにし、ウクライナに関する言説支配で、この帝国が、国家主権に敬意を払う重要性に払っていたリップサービスを台無しにする。アメリカは、世界全体を永続的に支配下におく取り組みで必要な、いかなる暴力や強要やいじめも使う、地球上唯一最も暴君的体制だ。

 この帝国は自分は世界を支配する権利を持っていて、どの国もそれを拒絶する権利を持っていないと本気で信じている。本当の多極世界の出現は、どんな犠牲を払っても単極支配を堅く維持することを強いる帝国の教義と、真っ向から衝突しており、それは非常に急速に、非常に醜くなりつつある。

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 昨日の東京新聞朝刊二面、びっくり、うんざり、ブルータス!

 アゾフ連隊提灯記事

 RTにGonzalo Lira氏についての記事が載った。

An American journalist goes missing in Ukraine. The silence is deafening

 遅ればせながら『ドンバス 2016』を見た。

 長周新聞

ドキュメンタリー『ドンバス 2016』  監督 アンヌ=ロール・ボネル
https://www.chosyu-journal.jp/review/23294

 今朝の孫崎享氏のメルマガ題名

G20財務相・中央銀行総裁会議、ワシントンにて。ロシアの財務相ビデオ参加。発言時、米英加等退席。日本の鈴木財務相は席に留まる。対ロシアへの姿勢がまとまらず、共同声明も発出されず異例の事態。議長国はインドネシア。米国の号令一下で決着の時代去る。

 日刊IWJガイド

「ロシアへの抗議で半数の国々が退席との情報も、退席は米、英、加、EUのみで、日、独も残り米英に追随せず!! G20は4対16に分裂!」

2022年3月26日 (土)

インドは今クァッドを脱退すべき!

M. K. Bhadrakumar
Asia-Pacific Research 2022年3月21日
Indian Punchline 2022年3月14日

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 今日、軍事エスカレーションの危険は言い表せないほどだ。

 今ウクライナで起きていることは、重大な地政学上の帰結的意味がある。それは我々を第三次世界大戦のシナリオに導きかねない。

 エスカレーションの防止を考慮した和平策定プロセスが始められることが重要だ。

 Global Researchはロシアのウクライナの侵略を支持しない。

 この戦争の歴史が理解されなければならない。

 8年前にウクライナ軍が率いて始めたドンバスの人々に向けた爆撃と砲撃で、住宅地域の破壊と10,000人以上の民間人犠牲者をもたらした。

 二国間の平和協定が必要だ。

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 アメリカとロシアと中国という超大国間の隔離は、決してすべき賢明なことではなかった。インドは、この矛盾が決して解決できないことを知っているべきだった。

 今や、ロシアを出血させ、手足をばらばらにするためアメリカが剣を抜き、中国に、口出しするなと最後通牒をした決定的瞬間だ。

 とうとう、事態の重大さは十分に理解されつつある。それが、日曜、モディ首相が召集し、そこで彼が「領海、領空と同様、国境地帯におけるインド安全保障準備の最近の進展と、異なる側面について」ブリーフィングを受けた「インドの安全保障上の準備と、ウクライナで進行中の紛争という環境で、支配的なグローバル・シナリオを再検討するための」安全保障閣議の結果、出されたメッセージだ。

 今日ローマでアメリカのジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官と中国のトップ外交官で中央政治局委員楊潔篪との会談は、世界政治の決定的な瞬間になるはずだ。

 昨日、CNNインタビューで、サリバンは中国をはっきり脅迫した。彼は、こう述べた。

 「我々は直接、非公開で、北京に、大規模な制裁回避の取り組みや、ロシアの補給支援には、必ずや重大な結果があると伝えている。我々はそれを進めることや、どんな国からも、世界中のどこからでも、これら経済封鎖に対して、ロシアへのライフラインを可能にすることを許さない。」

 中国への警告は、ロシアに対するアメリカ制裁に従い、どんな形式であれ、ロシアに支援(「ライフライン」)を提供するのをやめるべきだということだ。

 サリバンの声明の刃先はインドにも向かっている。帰結的意味は、何とも非常に重大だ。要するに、ワシントンの要求は、インドもロシアと関係を放棄すべきだというのだ。

 それは、主にインドが防衛関係を凍結すべきことを意味する。我が軍の兵器の60-70%ほどが、ロシア製であることを考えると、これはインド防衛準備にとって大打撃だ。

 本質的に、これはインド指導部にとって始めての厳しい試練となるだろう。アメリカが既に、要求の趣旨を政府に伝えているので、午後せきたてるように安全保障閣議を召集する動きが続いたのは当然だ。

 先週、ロシアのエネルギー大臣は、インドのエネルギー大臣に電話し、譲許的価格で石油を提供したのみならず、インド企業に優先的にロシアの石油とガス田に対する投資を増すよう呼びかけた。石油価格が1バレル130ドルを越え、ガスのスポット市場価格が千立方メートルにつき4000ドルに接近している時、ロシアの申し出は神からの贈り物だった。

 だが、政府がそれを軽視した事実は疑心暗鬼状態を示している。イランとの結びつきの元にもどした統一進歩同盟の考え方を特徴づけたのと同じ臆病の徴候を示している。

 アメリカは我々のエリートが主に弱くて当てにならない連中なのを経験している。腐敗の度合いを考えると、我が国には、あらゆる既得権益団体がある。しかも我々のエリート内の買弁資本家連中はアメリカの思惑の利害関係者だ。それが悲劇的な人生の現実だ。

 だが現在の相違は迫るアメリカの恫喝はインドの防衛力と国家安全保障に極めて重要な影響があることだ。民族主義の信条を宣言する政府にとって選択は明確であるべきだ。

 モディ政府は、アメリカのロシアに関する措置に従うのを拒否すべきだ。以上終わり。おそらくアメリカは虚勢を張っているのだ。あるいは、もし支払うべき代償があるとすれば、指導部は国民に胸襟を開き、いかに費用がかかろうとも、根本的に重要な国の権益を守る長期的必要性を説明すべきなのだ。インド人は愛国的な民族だ。

 私の理解では、今日の世界で、アメリカ覇権は持続不可能だ。アメリカは、個別あるいは集合的に、いじめやすい人々をいじめ、恐喝しやすい支配層を恐喝するのだ。願わくは、我々を支配するエリートが、このような哀れな範疇に分類されぬよう。

 自由への戦いは実に困難だった。現在の苦境も、この国の独立に関するものだ。国民は鼓舞するリーダーの下に結集するだろう。

 主に過去20年、アメリカ・ロビイストがアメリカとの同盟こそインド権益が最もうまく維持できると説明し始め、まずい外交政策のおかげで今の情けない状況に至ったのだ。

 「非同盟」と「戦略的の自立」は古めかしい概念となった。そこで、2000年頃、インドは当時の悪名が高い本の書名を借りれば、我々の「自然な同盟国」と組むべく「ルビコンを渡った」のだ。それが、21年後の今日、この国を一体どういう状態にしただろう?

 メディアの自称外交政策権威者や戦略的な免除は国際政治判断でひどく間違っていたことが判明した。ルビコンを越えて我々が見て経験したのは、詐欺師連中に未来を約束されたエルドラドとは大違いの干上がった大地と猛禽類の荒涼とした風景だった。

 インド外交政策は戦略的な路線訂正が必要だ。その狙いが世界覇権の維持である全く自己中心的なアメリカから、インドは完全に距離をおくべきだ。その方向で最初の措置はクァッド離脱だ。

 確かに、進行中のアメリカ-中国対決は我々が予想したより早いかもしれないが、インドが巻き込まれるのは悲惨だ。週末日本の岸田首相のインド訪問は懸念を引き起こす。

 我々の肌の色、宗教、文化、地理、政治経済からして、我々は欧米に決して「仲間」として受け入れられるまい。対等な協力関係の約束に魅了されてはならない。自らの権益追求で、利己的で、身勝手で、冷酷なアメリカの実績をご覧願いたい。

 歴史は冷戦終焉では終わらなかった。基本的に、欧米列強の計画は、人類の88パーセントが暮らす世界の国々、特にアジアからの富の大規模移転を通して、連中の経済的衰退を阻止する切実な必要性に裏付けられた新植民地主義形式なのだ。それを目指して、欧米は、「グローバリゼーション」をぞんざいに葬り、多国主義に背を向けた。

 状況の展開は、19世紀の植民地時代と本質的に変わらない。それゆえ、インドは、主権の維持、苦労して勝ち取った独立、そして最も重要なこととして、内政干渉や「政権転覆」試みから切り離された成長への道を選択する大切な自由の受益者として志を同じくする国々と協力すべきなのだ。

 穏やかな外部環境が喫緊に必要であり、外交政策はその目的を優先するべきだ。それは中国やパキスタンに対するインド政策の見直しを意味する。我々は、主として何十年も前に、プロパガンダ目的の虫の良い物語にはまり込んで立ち往生しているのだ。幸い最近、再考の初期兆候がある。中国やパキスタンとのインドの重要な関係をワシントンにぶち壊させてはならない。

 内省ができなければ、その国に未来はない。過ちをおかして、償いをしないのは愚かな自負心と思い上がりだ。インド人は寛容な民族だ。そして少なくとも現在の政府は、偽りの言説を受け継いだだけなのだ。

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 本記事の初出は、Indian Punchline
 著作権cM・K・Bhadrakumar、Indian Punchline、2022

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2021年10月 6日 (水)

急速に変化する地域における役割を定義すべく模索するインド

2021年9月29日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook

 いわゆるクアッド諸国、アメリカ、オーストラリア、インドと日本は、アメリカで会議を開催したばかりだ。会議後どちらかと言うと穏やかな声明が、四か国により発表された。そこには驚くことはなかった。驚きで、謎のままなのは、考案者アメリカの意図が反中国連合建設であることが依然変わりないクアッドにおけるインドの存在だ。だが、クアッドのこの要素は、新た組織、アメリカ、イギリスとオーストラリアの新トリオ諸国の発表で、どちらかと言えば影が薄まったことに気が付かなければならない。

 彼らの意図は明白に反中国で、それは誰にも驚きではない。そのタイミングと、フランス潜水艦12隻の900億ドルのオーストラリア商談を8隻のアメリカ製潜水艦に置き換えるという焦点が、フランスの騒ぎと憤慨を引き起こした。彼らはアメリカとオーストラリア両国から大使を召還したが、後者は近いうちに置き換えられることはありそうにない。

 このクアッドへのインド参加は謎だ。インドは長い間ロシアと友好関係を享受しており、同じ供給源からの既存機種を増すため、まさに更に多くのロシア戦闘機を購入する新契約を完了したばかりだ。

 インド(パキスタンとともに)は上海協力機構のメンバーでもある。彼らは、まさに、この集団創立20周年記念日を祝うためタジキスタンのドゥシャンベで主要会議を開催したところだ。その同じグループは最近、アメリカとの厳しい対立状態にあるイラン・イスラム共和国を正式メンバーとして歓迎した。アメリカのジョー・バイデン大統領は、2015年の核合意からのドナルド・トランプの撤退を批判しているにもかかわらず、このグループへの再加入については、何もしておらず、イランに制裁を課すトランプ政策を継続している。またしても、これはイランと外交関係を維持したインドが異なる点だ。二国はヨーロッパとの鉄道接続も調整している。インドのモディ首相は、イランに対するアメリカ制裁に引き込まれるのを拒否した。

 インドが中国とは長年続く国境紛争があるのは事実だが、それはインドがSCOに加入するのを阻止しなかった。中国-インド関係が温かいと表現するのは正しくなかろうが、両国は国境紛争を安定化させるのに成功し、数年前、双方に犠牲者をもたらした撃ち合いは過去の話だ。

 インドはSCO加盟国の拡大に対しても積極的態度を示している。SCOは、中央アジアの4つの「スタン」、アフガニスタンとベラルーシとモンゴルという3つのオブザーバー国と最も人口ちゅう密な国がトルコである6つの「対話パートナー」を含め、現在加盟国は8カ国だ。正規加盟諸国の総人口は世界人口のほぼ40%を占める。

 エジプトやサウジアラビアを含め更に加盟国を拡大する話がある。インドは全てのオブザーバー国、対話パートナーや他のメンバー候補諸国と良い関係を享受している。それが明白に反中国方針で、他の加盟国やメンバー候補のいずれとも良い関係を享受していないクアッドに加わっているのは、そのため、なおさら当惑させられる。

 最近SCO会議がタジキスタンのドゥシャンベで開催された。会議に出席した指導者たちは、包括的声明を採用したが、その中でアフガニスタンにも対処していた。彼らは「テロや戦争や麻薬のない、独立した、中立の、団結した、民主的な、平和的国家」としてのアフガニスタンの登場に対する支持を再確認した。

 SCO会議は、世界で最も人口ちゅう密な国の二国が参加している益々重要な国際機関ながら、欧米メディアでは、ほとんど報じられない。混沌とした状態でアフガニスタンから撤退することに対し、パキスタン、中国、イランとロシアはアメリカの説明責任を求めた。占領中、アメリカは、合計20億ドル以上費やしたが、消費の成果は極めて僅かしかない。アメリカ撤退後、経済は壊滅状態なままで、深刻な人道的危機に直面している。

 会議の全参加国が、テロ、分離主義と過激主義の「3つの勢力」と戦う誓約を表明した。SCOは会議後、加盟国の相互運用性を増すため合同軍事演習を実施した。安全保障問題に関して、インドは北西境界での交戦状態に対する懸念を高めた。アフガニスタンがテロリストの避難所にならないというのが、全SCOメンバーの共通関心事だ。

 当然、アフガニスタンはドゥシャンベの会議で主要な関心の話題だった。アメリカ撤退後、この地域を全くの混乱が襲う重大な危険がある。救出に来る用意を、中国が、どれほど整えているか見るのは興味深い。

 インドは、アフガニスタンのあり得る未来の進展についての懸念を明確にした。インドは公然と新政府の「排他的」性質を問題として取り上げ、SCO全加盟国に「アフガニスタンの新政治体制の正当性判断は、慎重に、集合的に考える」よう公式に促した。

 インドは、アフガニスタンにおけるパキスタンの強い影響力に十分気付いている。アフガニスタンにおけるパキスタンの正確な将来の役割は、まだ分からない。この地域の経済を促進する上で、パキスタンの役割は、中国やインド、ロシアやイランを含め、他の利害関係者とともに、非常に重要だ。

 インドの近隣諸国や、インドが重要な役割を演じているSCOのような組織の進展を見ると、クアッド参加の根拠を理解するのはなおさら困難だ。

 中国唯一の領土問題は南シナ海にあり、インドからは物理的に遠い。インドは、この特定の論争に関与するのを渋ってきた。台湾に関しては、インドはそれを中国の一部と見なしており、台湾問題に関するアメリカの姿勢には、わずか、あるいは全く関心がない。

 インドは自身の国際水路を、中国に脅かされておらず、インド洋の「支配」を主張するアメリカが率いる、いかなる海軍演習に参加するのは、その見地から無意味な訓練だ。インドの最大利益は、明らかに世界最大の経済的枠組みSCOの一部であることで、クアッドに入るのは無意味で、究極的には、自滅的な動きのように私には思われる。

 ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/09/29/india-is-searching-to-define-its-role-in-its-rapidly-changing-region/

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 とんでもない自画自賛。事実は全く逆。「子供や若者、国民が安心と希望を持てる未来のために、道筋を示すことができた」

 デモクラシータイムスの今回の田岡氏解説、この記事と絶妙なタイミング?

バイデン対中強硬に変化の兆し~国際関係は複雑怪奇【田岡俊次の徹底解説】20210929

2021年8月12日 (木)

習近平、チベット自治区を訪問

2021年8月2日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 7月21-23日の中華人民共和国の習近平主席によるチベット自治区訪問は、世界中のメディアに、格別の注目で報じられ、コメントされ、特定の期間に世界政界で起きた、特に重要な出来事となった。

 何よりも、これは、またしても人々の生活の様々な局面(政治的、経済的、文化的、宗教的)を分離する国境固有の、常に増大する慣例尊重の例証だ。この意味で、チベット自治区で起きている全てと競争できる唯一の地域は、中国もう一つの自治地域、特に新疆ウイグル自治区だ。

 チベット自治区と新疆ウイグル自治区の状況は、最近、中華人民共和国の主な地政学的対抗者であるアメリカにつきまとった。アメリカの国内状況が、貯まったどんな政治的エネルギーでも放出する十分な機会を提供しているように見える事実にもかかわらず。

 だが、自分の目にある梁は見ないで、人の目にあるちりを取らせてくださいというのが楽しいのは周知の事実だ。これはアメリカ立法府で特に顕著だ。アメリカ議会の両院メンバーは、チベット人(と隣接するウイグル族)を継続的に懸念しているわけではないが、自分たちの権益を守る方向に向けたベルトコンベヤーに立法過程を乗せ続けている。

 これら「懸念」が中華人民共和国を含んでいるのは明確だ。この訪問のような、あらゆる適切な時に、中国指導者が、特に国外に送る主なメッセージは以下のもののように見える。「我々は、あなた方が我々の内政に興味を持つのを禁止できないが、我々が適切と思う時に、我々はそれらを解決する」。

 チベットが新たに成立した中華人民共和国の一部となった1950年10月に始まった、この地域の歴史の近代が、極めてパッチワーク的絵柄で反映されていることは語る価値がある。(チベット仏教の精神的指導者と、地方行政の長、両方の機能を併せ持った)ダライ・ラマ14世率いる何万ものチベット人が、隣接するインドに逃れた1959年の蜂起も、「文化大革命」中の宗教的虐殺も、最終的に、(中華人民共和国内の他の四つの良く似た行政地区とともに)チベット自治区の社会経済的発展に、より多くの注意を捧げる中央政府も、この構図の中で場所を占めている。

 我々は現代チベット史の最新部分における二つの要因に注意を払うべきだ。第一に、標的に定められた、北京によって行われた大規模活動は、チベット自治区の経済成長率に(既に非常に高い)全国平均より勝る急速な加速をもたらした。第二に、チベットでの信仰生活はほとんど完全に回復している。今日、僧侶であることは、危険でないだけでなく、あらゆる点で、現代スラングを使えば「驚嘆に値する」。ダライ・ラマ14世にとって(チベット自治区の首都ラサにある)ポタラ宮殿への主な帰り道は当然閉じられていることを意味しており、北京は彼とは(少なくとも公的には)商取引を行っていない.

 だから、上記の宮殿前の広場に集まった僧たちは、親しい賓客が、彼らの共通の、広大な国(現在世界で二番目に重要な国)の首都から到着するのに対して、彼らの表情に喜びを見せた際、決して特に偽善者というわけではなかったのだ。彼らの生活がどのように流れているかについて、多くは、うらやましく思っている。「人はパンのみにて生くるものにあらず」を一部の僧が時折回想し、(益々頻度は減ったが)抗議行動をする。それは直ぐさま様々な「人権」保護者連中にとって、彼らの憤慨を表現する理由となり、何らかの理由で、主に、中華人民共和国に対し、余り友好的でない国に集中する。

 上述の一番目の要因に関して、中華人民共和国指導者が直接チベット自治区の首都ラサではなく、ラサの南、約500キロに位置するニンティ市大都市圏に到着した事実は注目する価値がある。中国で、中華人民共和国百周年祝典が近づく中、全設計基準長1,600キロ以上のラサ(隣接する四川省の首都)成都間高速鉄道、最初の区間(長さ約500キロ)建設が完成していたのは、この行政単位だったのだ。

 我々は読者に、次の文章に想像力を使うよう提案する。「ほとんど不毛の山岳地帯(チベット自治区は百万平方キロメートル以上の地域を占め、人口は約350万人だ)で、平均高度3キロで」、「そこに長さ500キロ、その半分がトンネルで、残りは主に橋と高架道を走る高速鉄道を作り上げたのだ」。この種のプロジェクトを実行する国家主席が、その一つを訪問して、重要な政治イベントを行う理由があることに我々は同意する。

 このプロジェクトの目的の定義する核心は、純粋に商業だ。高速鉄道は、エキゾチックなチベット自治区に思い切って飛び込もうと願う人々のための、高速で、快適な輸送サービスに対する観光産業の増大する要求を明らかに満たすはずだ。一般的に、観光は地域の経済発展にとって主要焦点の一つになっており、それは既に、いくつかの見積もりによれば、生産年齢人口の最大15%を雇用している。

 中国のチベット自治区と他の地域間の貨物輸送は、青海-チベット鉄道(長さ約2000キロ)を使って実現される。これは更に北へ走り、建築工事は2006年に完了した。これは世界最高の山岳鉄道で、最高地点は海抜5キロだ。特別に製造された鉄道車両には個別の酸素吸入装置が取り付けられている。2014年、ネパール国境まで、この路線が延長され、この山が多いこの国に対する広範囲な影響で、インドとの争いにおける重要な優位を中華人民共和国に与えている。

 そして我々は、今回中国主席のチベット自治区訪問と、中華人民共和国がチベットで建設した全ての輸送とインフラ関連の建設の両方で(このカテゴリーの最も広範囲な解釈で)戦略的要素に到る。北京の主要地政学の対抗者は、ワシントンだが、中国は中国指導者が七月末にいた地域で、インドとの関係で、様々な困難を経験している。だが、その背後で、アメリカの存在は益々目立ちつつある。

 これら「困難」の他の原因の中から我々は二つ指摘しよう。第一に、全体の規模が約130,000平方キロメートルに及ぶと推定される潜在的なものと、公然なもの両方の領土問題がある。このうちの三分の二は、現在、インドの州アルナシャル・プラデシュに対する、中華人民共和国による主張だ。ちなみに、上記のニンティ市大都市圏と、チベット自治区の首都から、そこに至る高速鉄道は、極めて近くに位置している。

 これらの主張は、だしぬけに生じたわけではなく、少なくとも注意に値すると言う価値がある。(中華人民共和国では「南チベット」と呼ばれる)このインド国家が、現在、いわゆる「マクマホン・ライン」によって中国のチベット自治区から分離されているのが事実だ。それは(当時、準独立していた)チベットと、当時の中国政府の代表が参加した三者交渉の際、かつて「英領インド」と呼ばれた政権から参加した当局者によって、百年以上前に引かれた線だ。中国は辛亥革命発生のため、カオス状態にあったが、中国代表は、イギリスが提案した書類に署名しなかった。

 この点に関し、「白人の責務」を担う連中の多くが参加した彼らの国の「屈辱の百年」について現在の中国指導部が語る、もっともな理由は繰り返す価値がある。そのため、今日、領土問題分野で、なにか不人気な決定がされる際、その多くは、昔彼らの先祖がした「誤り」を修復しようという措置以上の何ものでもないことが多い。この種の痛ましい複雑な話題で、公開の政治的推測に関与するのは好ましいことではない。

 中国-インド関係における前述の「困難」の第二の(そして決して重要さが低くはない)源は、ダライ・ラマ14世と「亡命チベット議会と政府」が、インド領(チベット自治区と国境を接するヒマーチャル・プラデーシュ州のダラムシャーラー村に)留まっている事実だ。インドにおける現在のダライ・ラマの存在に固有の要因の増大する重要性は、一つの不可避な事情によっても促進されている。彼の高齢だ。7月6日に彼は86歳になり、新しい最高僧侶を選出する特定の手順を開始するという長く議論されている問題は益々緊急性をおびつつある。これは政府間で、新たな政治的困難を生み出している。更に、インドで圧倒的に支配的なヒンドゥトヴァの見地から、仏教は異端と見なされているのだ。

 だから、中華人民共和国の現在の指導者は、この国の極めて重要な地域の情勢の、これまで30年で初めて、彼自身が「監督」を行う当然の理由があったのだ。

 そして最終的に、モスクワが完全に友好的な関係を維持している二つのアジア大国に形成された協力で、この情勢に前向きの影響を与えるロシアの可能性に注意を払おう。

  ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/08/02/xi-jinping-visited-tibet-autonomous-region/

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 【コロナ第5波】帰省を望む国民の声(大喜利コピペ集、元ネタあり) 二条河原の落書を思い出す。

 一部をコピーさせていただこう。

国民1「中止の考えはない。強い警戒感を持って帰省に臨む」
国民2「バブル方式で帰省する。感染拡大の恐れはないと認識している」
国民3「帰省を中止することは一番簡単なこと、楽なことだ。帰省に挑戦するのが国民の役割だ」
国民4「安心安全な帰省に向けて全力で取り組む」
国民5「コロナに打ち勝った証として帰省する」

 LITERA

菅政権が検討、三浦瑠麗、ホリエモンらも賛同「コロナの5類引き下げ」に騙されるな! 感染対策は放置され治療費は自己負担に

 賛同者の顔ぶれでも、とんでもない案であることがわかる。

 彼女を見るたびに奪衣婆を思い出す。三途の川のほとりに立っていて、亡者の衣類をはぎ取る鬼婆を。三浦も同類。

 日刊ゲンダイDIGITAL

小池知事が五輪閉会式翌日のコロナ対策「重要会議」バックレた! 都は欠席理由を把握せずの仰天

 デモクラシータイムス このお二人の番組、開始から一年。

五輪、宴のあと 膨大赤字と医療崩壊 菅の凋落【山田厚史の週ナカ生ニュース】

2021年8月 8日 (日)

ブリンケン-ロイド二人組のアジア再訪

2021年8月5日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 七月末、アンソニー・ブリンケン米国務長官とロイド・オースティン米国防長官は、過去10年間、全てのアメリカ政権が直面していた鍵となる外交政策課題の一つ、この地域でも、世界的規模でも、中国の影響力の絶え間ない拡大を解決するため、アジアに戻った。この地域における外務大臣、防衛大臣揃い踏みは(前任者連中同様)バイデン大統領が言ったアメリカ外交政策に「軍事支援」与えるという原則の具体的兆しかも知れない。

 実際、この地域への彼ら最初の共同訪問は、前回は、新大統領就任一カ月半後の四カ月前だった。当時、彼らは、日本と韓国を訪問し、その後分かれた。アンソニー・ブリンケンは中国外務大臣との会談のためアンカレッジに向かった。一方、ロイド・オースティンは、何年間も狙っていた対中国作戦で、二つのアジア大国の、もう一つの国を巻き込むアメリカ最近の試みの一環として、インドを訪問した

 今回の彼らのアジア歴訪でも、インドは目的地の一つだった。今回デリーを説得するのはアンソニー・ブリンケンの番で、他方ロイド・オースティンは、二大国間の地政学的策謀上、常に大きな役割を果たす地域、南東アジアに焦点を合わせ、シンガポール、ベトナムとフィリピンを訪問した。

 アンソニー・ブリンケンはデリーで、インドのナレンドラ・モディ首相とアジット・ドバル国家安全保障補佐官に迎えられたが、幅広い問題に関する主な交渉は、アンソニー・ブリンケンとインドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外務大臣間の会談で行われた。アンソニー・ブリンケンのインド訪問で、一つの重要な点は人権問題で、彼はインドの市民団体代表者との事前会談で論じた。この問題は現アメリカ政権にとって優先事項だが、この話題は、即座に、ジャンムーとカシミール連邦直轄領で起きている問題につながるので、インドにとっては弱点だ。

 人権という機微な問題を、事前会談に限定したことは、本協議にそれを持ち出す必要がなかったことを意味した。それは4カ月前のインド訪問でのロイド・オースティンのミスで、非常に重要なパートナーと見ている国で、新アメリカ政権の印象を損なっていた。

 アンソニー・ブリンケンとスブラマニヤム・ジャイシャンカル間の話の内容に関しては、評論家は三つの主要分野に焦点を当てた。Covid-19によって起きた問題、アフガニスタンの状況と、アメリカ、インド、日本とオーストラリア間で提案されているパートナーシップであるクアッド・プロジェクトの現状と未来のあり得る進展だ。

 これらの問題でも、最初のもは(インドに初めて出現した新たな大いに危険な変異株のため)インドにとっても、世界の他の国々にとっても極めて重要で、五月末、スブラマニヤム・ジャイシャンカルのアメリカ訪問の重要な焦点の一つだった。我々が先に指摘した通り、インド・メディアによれば、インドでのCovid-19の実際の状況は、既に驚くほどの公表数値より何倍も酷いもっと悪いかもしれないのだ。

 確かに、、Covid-19の結果を和らげるためにインドを支援することを、アメリカは、おそらく「インドにとっての戦い」の最重要な部分と見ている。

 「不必要な」紛争から撤退するワシントンの全般的政策という条件のもとで、アフガニスタンは最大の関心事としての程度は下がり、他方インドは重要性が増大する。二つの国の間に、ほとんど逆の相互関係があるかのように。結局、インドは長い間、中央アジアと南アジアで、政治情勢の主要観察者として、かつてアメリカが占めていた地位の権利主張者として見なされているのだ。

 この地域は厄介で、インドはまだ、このような役割を引き受けることの利点と不利な点を比較評価している。例えばスブラマニヤム・ジャイシャンカルはモスクワへの最近の訪問中、そして、その後、タシケントにおける最近の上海協力機構の閣僚級会談でも、これら二つの地域間の関係に関する協議で、この問題を考慮した。

 協議終了後、スタッフとジャワハーラル・ネール大学学生に行った演説で、アフガン問題は、アメリカ国務長官とインド外務大臣が触れた主要問題の一つだった。ゲストの両人とも、大学での演説で、クアッド・プロジェクトの主題にも簡単に触れた。2000年代、一種のアジアNATOとして考え出され、今や益々ぼんやりし、元の概念から益々遠くなっているように思われる、提案されているパートナーシップの最近のビデオ・サミットに、スブラマニヤム・ジャイシャンカルは触れた。

 アンソニー・ブリンケンの演説の重要なメッセージは「主な外国政策の優先順位の一つ、インドとの提携強化」に対するワシントンの誓約の繰り返しと表現できる。彼はクアッド・プロジェクトと「他の多国間提携」にも言及した。世界の舞台で、アメリカが、自身を、インド・太平洋の国として言及していることを我々は強調したい。

 アンソニー・ブリンケンはロシアとインドの最近の武器取り引き問題を提起した。だが彼は(概して驚くほど辛抱強かった)主人役を悩ませないよう、この点をさほど強調しなかった。

 三つの東南アジア諸国歴訪中に彼が行った演説で、ロイド・オースティン米国防長官は(明らかに中国と理解される)特定されない競合相手に対し、軍事・政治連合を設立する問題に焦点を当てた。彼の最初の訪問国はシンガポールで、そこで彼は、ロンドンに本拠がある国際戦略研究所(IISS)がシンガポールで行う年中行事の二つのうち一つ(この都市国家のホテル名にちなんで名付けられた)フラトン講義を行った。最初のフラトン講義は当時の国連事務総長潘基文が2012年に行った。

 IISSが行う主な年中行事(もう一つのシンガポール・ホテルの名にちなんで名付けられた)シャングリラ・ダイアログが、何年もの中で初めて今年中止されたため、今回のフラトン講義は、いつもより重要な催しだった。シャングリラ・ダイアログは多くの国々(オーストラリアやアメリカ両国を含め)が現職、退職両方の幹部政治家が代表を務める、地域と世界規模の安全保障と関係する問題を議論する有名フォーラムだ。

 中止の公式説明はCovid-19世界的流行だった。だが実際は、シャングリラ・ダイアログの組織者が(非常に正しいが)、このダイアログの主要創始者である二大グローバルパワー間における、現在の高い憎悪レベルを考慮して、今年開催すれば、国際関係を更に傷つけると考えたと筆者は推測する。結局、この関係は、現状十分に張り詰めているのだ。

 どうやら七月始めに開催されるはずだったシャングリラ・ダイアローグで、ロイド・オースティンがインド・太平洋地域におけるアメリカ戦略について演説することが意図されていたようだ。結果的に、フラトン講義で彼は同じ主題を語った。フラトン・ホテルの聴衆は、講演者に要点のいずれも明確に示すよう要求する特定理由を持たないシンガポール政権の代表で構成されていたのに対し、シャングリラ・ダイアローグのような、注目を集める国際フォーラム参加者は講演内容に、より差し迫った関心を持っているはずだ。

 それでも(再び、これは筆者の考えだが)主要グローバルパワーの国防長官が語る、明らかに高位のスピーチライターが準備した講義の内容は、かなり正式なものと見なさなくてはならない。それには、今日我々が既に言及したアメリカと中国間の政治的、経済的、軍事的対立のような、地球規模の国際政治における重要問題に悪影響を与える、どんな新しい構想を含んでいるとは誰も予想するまい。講義の全般的メッセージは、彼の就任式二週間後、アメリカ大統領としての国務省と国防省での演説で、ジョー・バイデンが行った主要声明と一貫している。

 ロイド・オースティンがベトナムとフィリピンで言い行動した全てが、我々が既に述べた通り、彼がシンガポールで行った明らかに事前に計画された演説に見いだせる。

 上記の国際地球規模での政治における重要な問題については、アメリカ大臣二人のアジア訪問は、中国との対話のためにドアを開いておく効果があるかもしれない。アメリカ政界支配層の多くの人物が、和睦への道に、あらゆる政治的がらくたで、バリケードを築くため最善を尽くしているとは言え。

 それは、現在、二つの主導的な世界強国間の関係の更なる進展に関してどんな論証的予想もするのを難しくする要因の一つに過ぎない。我々ができる全ては、事態が進展する中、出来事から目を離さないことだ。

 ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/08/05/blinken-lloyd-duo-returns-to-asia/

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 フィリピンより遥かに前のめりな属国がある。

 岩波書店の月刊誌「世界」9月号は【特集2】最前線列島――日米安保70年

 メディア批評【第165回】で、横田一氏のバッハへの批判発言を揶揄する御用記者批判や、北海道新聞の新人記者を守らない姿勢への叱責を拝読して納得。

 三年前に翻訳したアンドレ・ヴルチェク氏による記事を突然思い出した。三年前の8月に掲載したもの。

端島 - 残虐な歴史と、世界で最も霊にとりつかれた島

 彼は既に説明書きやガイド説明が、中国人や朝鮮人強制労働の話題を意図的に避けている問題点を指摘していた。今世界遺産委で、こうした対応は「遺憾」だと採択されている。

 例えば、朝日新聞記事には、こういう記事がある。

軍艦島、対応迫られる日本 世界遺産委「遺憾」採択で

朝鮮半島出身者らが強いられた労働についての説明が不十分なままだと判断したためで、登録時の約束を果たすよう日本に強く迫った格好だ。

2021年4月26日 (月)

インドの壊滅的なCovid-19第二波:原因、結果と展望

2021年4月22日
ピョートル・コノワロフ
New Eastern Outlook

 最近、インドは、一日の新規コロナウイルス感染者の世界最多を記録している。約13.6億人の人口がいる国の問題は、1日250,000人から270,000人のCovid-19感染で大惨事の高みに達した。この記事は、インドを圧倒したコロナ流行第二波、その大きさの理由、インドの疾病管理と予防の分野での結果と展望に焦点をあてる。

 一年前、世界的流行が始まった際には、皆に希望を与えたに違いないインドでの状況についての賛辞があった。先進諸国がコロナウイルス感染者数が急増する中、インドは世界の中でも、最も低い感染率で、外れ値のように思われた。だが、見かけの「奇跡」は永続的なものではなかった。2021年初め、Covid-19陽性の検査結果を示す人数が突然増加し、インドは一日の新規コロナウイルス感染者の分野では、争う者がない「首位」だ。

 2020年中、インドでは、かなり長く続くCovid-19の第一波があったと見られる。それが終わると、感染症発症率が当時比較的低かったので、現地の医療専門家には、インドが問題にかなりうまく対処したのが確実に見えた。一部の専門家は、指導部による断固とした効果的な措置のおかげで、インドは流行に酷く影響されなかったと信じた。不要不急ではないと見なされた全ての企業や組織(学校や大学を含め)は、大衆に入り口を閉ざし、多数の催しが中止された。検疫隔離の制限や封鎖法に違反した(つまり、街頭をウロウロするなど)市民が逮捕され、そして/あるいは、一部の州では罰金も科された。一部のインド警官は、コロナ流行関連のあらゆる遵守を保証するため暴力を使った。例えば、防具を着用していない人々を、警棒で打ちすえた。多数集まったり、1.5メートルの距離を維持し損ねたりした人の体罰に関しても事件があった。

 このような緊急処置がなぜとられたかは、大いに理解できる。インドは人口密度が高く、医療機関が不十分(インドの病院ベッド数は、1,000人に一床と比較的少ない)で、上水・下水処理施設は不十分だ。それ故、いかなる場所でも、感染者数の突然の増加は、壊滅的結果となり得るの。

 2021年初め、インドの第二波開始は、2月や、春の月々に典型的な国内を移動する巡礼者と観光客数の増加と同期した。3月、一部当局者が制限の多くの緩和について話し始めた。病院内のCovid-19患者数は減少しており、全国で大量ワクチン接種が進行中だった。危険が既に過ぎたと判断して、国中や国外からさえ、何千人もの人々がガウラ・プルニマを祝うため旅行した。一部の州では大規模集会の制約が解除され、多くの人々が結婚式に出席し始めた。一部の人々は公衆の前でマスク着用をやめ、特定の州では、地方選挙と関係する催しが、かなり多数の群衆を引き付けた。

 不幸にして、多くの州当局が余りに早急に措置を緩和したように思われる。2021年3月から始まり、新Covid-19感染者数は日々容赦なく増大し始めた。流行開始以来、インドで新型コロナウイルス陽性の検査結果となった人の合計は最近1500万人を超えた。感染者数総計が、より多い唯一の国はアメリカだ。新感染者の急増や、感染者の過小報告を考慮すれば、近い将来、前述の順位で、インドがアメリカを追い越す可能性がある。

 一部の医療専門家は、より致命的で、伝染力がより強いコロナウイルスの新変異株が最近、国中に広まっていると考えている。

 ニューデリーの一部の病院が新患用病室が足りなくなった。公式に、ニューデリーの人口は2200万人をわずかに下回るが、2021年4月11日時点で、人工呼吸器のあるベッドは(1,153中)307で、ICUベッドは(1,852中)511しか、Covid-19患者は利用できない。医療を必要とする人々は都市の医療機関の外で行列になり、亡くなった人々の遺体を運ぶ救急車は、遺体を引き取ってもうため火葬場そばで待っている。例えば、4月18日、ニューデリーは25,000人以上のコロナウイルス感染者を記録し、死者数は161人に増加した。現在、それはインドで最もひどく打撃を受けた都市の1つだ。

 これに対応し、デリーの政府は、4月19日から始まり4月26日まで続く完全封鎖を課した。市内の医療労働者も薬品不足を語っている。デリー首都圏首相のアルビンド・ケジリワルによれば、「能力が限界にある」都市の医療制度の破たんを防ぐため最新法案が提出された。

 一部の州では火葬場が1日24時間稼働し、大都市の墓地は空き地がなくなっている。例えば、アッタープラディッシュ州の首都ラクナウでは、病床、医療スタッフと酸素の深刻な不足があり、検査施設も欠乏している。2021年4月19日、ラクナウの主要病院では、医者、看護師、技術者、用務員や事務員を含め病院職員のほぼ30%が自身感染と戦っていると報じられた。

 2021年3月、保健家族福祉省によれば、インドのワクチン接種は順調に進んでいた。4月中旬時点で、1億1700万人以上の人々が完全にワクチン接種され、人数は増加すると予想される。前週、国全体で、270万ドーズのワクチンが投与された。現在、インドでの緊急使用のため、3種のCovid-19ワクチンが認可されている。インドの血清研究所で生産されているオックスフォード-アストラゼネカのCovishieldと、インドで考案され、製造されているCovaxinと、ロシアのSputnik Vだ。後者の最初の供給は4月末が予想され、早ければ今年5月、インドで製造が始まるだろう。

 それ故、現在のCovid-19問題にもかかわらず、インドの未来について最悪のものを想定するべきではない。第一に(一部以前より厳しい)新制限が国全体で実施されており、これらは新型コロナウイルス拡大を止めるはずだ。第二に、ワクチン注射を受けたインドの人々の数は日々増大している。2021年4月11日、この都市のCovid-19患者の65%が45歳未満だったので、デリー首都圏首相アルビンド・ケジリワルは監督官庁にワクチン接種年齢制限を撤廃するよう促した。第三に、Sputnik V生産は、早ければ来月インドで始まるはずだ。ロシアのワクチンはコロナウイルス拡大と戦う有効な手段であることが分かっている。

 それ故我々は、インドのCovid-19第二波が最後のものであるよう心から願っている。

ピョートル・コノワロフは政治評論家、オンライン誌「NewEasternOutlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/04/22/india-s-catastrophic-covid-19-second-wave-causes-consequences-and-outlook/

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  広島補選結果には、ほっとしたが、名古屋市長選に唖然。異神東進?いやな予感がする。

 子ども時代楽しみの一つだった上野動物園サルの電車の思い出、しつこく何度も書いている。子どもの時は先頭車両にいるサルが電車を操縦していると思っていた。もちろん線路脇の小屋の中で担当者の方が操縦していた。残念なことに、かなり昔になくなった。動物愛護のためだろうか?首脳共同記者会見写真で、あの電車を思い出した。より正確には、腹話術。腹話術師本人は強い中国非難は発言せず、抱えられた、うつろな目の人形がパクパク強烈な非難を繰り出す。

 独立大国の一つインドは、コロナ・ワクチン政策でも最適と思う選択肢や組み合わせを自由に選べる。そもそも国産もしている。アメリカは、インドには、コロナ対策で、ワクチン原料や機器供給協力を申し出ている。韓国でさえロシア製ワクチンの導入検討を始めたという。一方宗主国の掌から一歩も出ることが許されない孫悟空ならぬサルの国、ロシアが国産化を公式にもちかけても決して同意できない。昔は違った。子ども時代、自民党の古井喜實厚生大臣が市民運動に答え、ポリオ・ワクチン緊急輸入を決断した。今や、あの頃の多少の独立心皆無。アメリカにでかけて電話でお願いするのが関の山。そうした時代を知らない若い方々は完全服従属国状態を「あたりまえ状態」と思い込んでおられるに違いない。若い方々ほど、宗主国寄り?完全属国完成寸前。

 将来、『日本の壊滅的なCovid-19第X波と経済崩壊:原因、結果と展望』という記事があふれるだろう。いわゆる先進諸国最低の実績、東南アジア最悪の事態がなぜ起きたのか?医学的、政治学的、経済学的分析、人類の教訓にはなるだろう。

 昔読んだ本を突然思い出した。今読みなおすと、現在の崩壊の原因を鋭く指摘していたように思えてくる。

多くの人は「横浜検疫所検疫課課長」という私の肩書を聞くと、「へーっ、立派なご職業ですね」と言う。

中略

七年前(1986年、昭和61年)に私が厚生省に入ったとき、ある幹部が私にこう言った。「検疫所だけには回されないように。あそこは、医系技官の墓場なのだ。 

 横浜検疫所と言えば、あのクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号コロナウイルス感染の話題で耳にした役所。上記引用したのは『お役所の掟 ぶっとび「霞が関」事情』厚生省検疫課長宮本政於著まえがき。1993年4月20日第一刷発行。28年前に書かれた本、今読み直すと現在のドタバタ滅亡悲喜劇の裏幕が理解しやすくなる。男尊女卑、異様な宴会好き。現状維持の権化たち。前例主義。誰でも知っている日本の官庁(企業もそうだろう)の実体を、官僚本人が書いたため、結局辞職させられた。アメリカの大学で精神分析の教授や、アルコール医療病棟の医長をつとめた方。日本に帰国して、現在PCR対策のボトルネックになっている医系技官になった人物。省内では孤立したが、彼の正論に感心して、フランス大使館は、元フランス首相来日の機会の晩餐会に招待してくれた。

 彼の著書、ほぼ全部拝読した。実に残念なことに、筆者は1999年に亡くなっている。生きておられれば、73歳。今のコロナ対策に対して、的確な批判がきけただろう。英語版も出されていた。The StraightJacket Society。いずれも絶版。日本語の本は図書館で読めるだろう。

 10年前、東京電力福島原発事故後に翻訳した記事「日本:我々は、どのようにすれば支援できるのか?」の末尾に、まさに同じ宮本政於氏の著書

『在日日本人』を今再読中

 と書いていた。

 この記事も、検索エンジンによって、しっかり隠蔽されている。

2021年4月 4日 (日)

反中国同盟構築はアジアでの政治生命にとってアメリカ最後の試み

2021年3月25日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 最近のクアッド(四カ国戦略対話)サミットは中国には直接言及しなかったが、この集団の真意が対中国であることは、ほとんど否定できない。軍事的手段を通して中国に対処すべきか、この集団を厳密に反中国に留めるか否かについて、内部意見の相違はあるが、バイデン政権は確信している。彼らにとって、クアッドは「アジア基軸2.0」であり、アジア・太平洋でのアメリカの存続は、「中国脅威論」を売りこみ、自身それに対する主要防波堤とすることに依存している。それ故、前例がないクアッドのサミット・レベル会談を行う慌ただしい事態になったのだ。言い換えれば、バイデン「中国戦略」の中心は、アジア・太平洋で同盟諸国、特にトランプ政策で失望した国々との結びつきを再構築し、次に壮大な反中国連合を結集する喫緊の必要性だ。

 そのため、クアッド・サミットは中国をライバルとしては言及はしなかったが、いわゆる「クアッド精神」は、アメリカが率いるアジア・太平洋支配体制を断固確立する狙いなのは明白だ。この「精神」は、クアッドを「自由で、開かれた、包摂的で、健康で、民主主義の価値観に支えられ、強要に縛られない地域を目指して努力する」のが狙いだ。そういうわけで、サミットは中国には言及しないが、依然、中国に直接対処するのだ。実際、これは中国に「聞かせる」ことが狙いだった。

 最近アントニー・ブリンケン国務長官がアメリカ議会下院外交委員会でそれを述べた

「中国が、我々の非難だけでなく、世界中から一連の非難を聞けば聞くほど、多少の変更が起きる可能性が増える。大量虐殺や粗野な人権侵害行為に責任がある人々に対するものを含め、我々が過去行ない、これから行える、制裁やビザ制限等、多くの措置がある」

 再び、クアッド・サミットは、あからさまに反中国ではなかったが、それに続くアジア・太平洋へのバイデン政権訪問が、反中国同盟を築き、強固にすることに精力を傾けている。例えば、3月13日土曜、ロイド・オースティン国防長官は、アメリカ同盟国との軍事協力を強化し、中国に対し「信用できる抑止力」を促進するため、アジアを歴訪したと述べ、「中国は我々に忍び寄る脅威だ」「我々の目標は、中国や、アメリカと戦おうと望む他のどの国に対しても、信用できる抑止力を実現可能にする能力と、作戦計画と概念をしっかり持つようにすることだ」と付け加えた

 トランプ政権の「貿易戦争」と「取り引き」を問題にした相反する政策で政策を批判して、オースティンは、アメリカの競争上の優位は損なわれたが「我々は依然優位を維持しており、我々は更に優位を高めるつもりだ」と述べた。

 優位を増す鍵は同盟だ。同盟こそ「我々に更に多くの能力をもたらすので、国務長官として私が実現したいと望んでいる重要なものの一つは、そうした同盟の強化、偉大な連合、偉大な提携だ。」とオースティンは強調した。これは中国に対して、アジア・太平洋におけるアメリカの権益を増大させる鍵だろう。

 したがって、オースティンの日本と韓国訪問は、トランプ政権によって彼らの絆に与えられた傷を修復することに焦点をあてた可能性が高い。日本の当局者が、尖閣諸島を巡る中国との紛争時、米軍が日本を支援するというオースティンの保証を求めるのは確実で、ソウルで彼は、トランプが突然キャンセルしていた韓国での定期的な大規模軍事演習を再開すべきかどうかの問題に必死だろうと予想される。既に両国は、トランプが終わらせると恫喝したアメリカ軍韓国駐留に対する費用負担合意をしている。

 アジア・太平洋へのオースティンの本格的訪問は、犠牲者を出した昨年の衝突後、中国との関係がここ数十年で最悪状態の、もう一つのクアッド加盟国インドも含む。オースティン訪問は、従って、インド・中国間の緊張を、特にアメリカに有利に利用することに精力を傾けるだろう。アメリカは、現状で、この機会を利用せずにはいられない。このような機会は、緊張を緩和する代わりに、何よりもまず、アメリカの権益を満たす形で、この紛争地域にアメリカが入り込むのを可能にする。もしアメリカが、中国に対する同盟者としてインドが必要なら、モディ政権に中国に対するインドの生き残りには、アメリカの協力が必要だと説得する必要がある。再び、トランプ政権が、昨年のインド-中国国境紛争で、事実上、よそよそしくしていた事実は、アメリカに頼れる程度について、インドの信頼を大きく損ねた。オースティンの任務は、何よりまず、インドの信頼を再構築し、中国に対しする彼らの生き残りに対する、アメリカ支援の必然性をインド政府に確信させることに集中するだろう。

 バイデン政権外交政策の根本的に重要な焦点が、中国なのは、ほとんど否定できない。これは前例がないクアッドのサミット・レベル会議だけでなく、国防総省長官としてのロイド・オースティンの未曾有の海外訪問任務から明白だ。

 それが示しているのは、大統領任期が始まって2ヶ月も経たない中、バイデン政権は、トランプ政権が設定した中国との緊張関係の路線変更を急いでいないということだ。実際、バイデン政権は、緊張を強化しているだけでなく、前政権と比較して、より「信頼できる」、より「民主的で」、より「安定した、予測可能な」みかけを利用して、マイク・ポンペオが、構築し、率いようとして、失敗していた一種の「世界連合」に、いささか疎遠になった同盟諸国を引き込もうとしているのだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/25/building-an-anti-china-alliance-is-the-last-us-bid-for-political-survival-in-asia-the-pacific/

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 『主権者のいない国』を読み終えた。手元には『対米従属の構造』も『密約の戦後史  日本はアメリカの核戦争基地である』も。こうした本で明らかな宗主国・属国構造の中、朝貢すると、支持率があがる理由、全く理解不能。ストックホルム症候群。クアッドでの活躍を密約してくるのが関の山。コロナで医療を崩壊させて、アメリカ医療保険会社を本格的進出させることも密約するのではとも妄想している。

 昨日の記事題名をもじれば「撤退は日本人が支配する日本にしかねないと警告するアメリカ諜報機関」

 大阪株と言い出したタヌキ。イソジン武富士と良い勝負。よかれ悪しかれテレビに出続けていれば支持率は高いまま。東京人も大阪人も、そして日本人も、たしかに民度は高い。日本没落を祈念する逝火は進む。

 植草一秀の『知られざる真実』

 商業利権のための逝火リレー強行

 日刊ゲンダイDIGITAL  それを言うなら、コメンテーターの無内容な発言。大本営報道バラエティー、ニュース番組の気味悪さは更に酷い。意味ある発言をすれば番組から降ろされるのだから、見ても、電気代と時間を失うだけ。

有名人の不自然な笑顔 聖火リレー“大本営報道”の気味悪さ

2021年3月22日 (月)

クアッド最初のサミット開催

2021年3月19日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 今年3月12日に開催された、アメリカ、日本、インドとオーストラリアを含む、いわゆる「クアッド」諸国の最初の(ビデオ)サミットは、「グレート世界ゲーム」の現在の段階に関する最重要の催しなのは確実だ。この構成は、その創始者アメリカによって、冷戦期間中に、NATOが演じたのと、ほぼ同じ課題を解決することを目指す、本格的な政治・軍隊組織を形成する過程の「酵母」と見なされているためだ。

 当時、NATOは、ソビエト社会主義共和国連邦という形の主要な地政学的競争相手を阻止することに取り組んだ。将来の「アジアNATO」の基盤は、計画によればクアッドのはずだが、同様、阻止問題を解決するよう意図されている。だが新しい「グローバルな脅威の主要源」は、中国という形で出現している。クアッドの全加盟国が「なぜ、この全てが起きているのか」という質問に答えて、さまざまな度合いの率直さで中国を非難している。

 (2007年の)発端以来ほとんど常に記憶喪失にあったが、2019年末からクアッド・プロジェクトは生きている兆候を見せ始め、世界政治の現状を分析する際、益々議論の基盤となりつつある。このプロジェクトの運命は、主要な疑問の一つになると言っても、決して誇張ではない。

 NEOは、定期的に、クアッドの話題をあつかっているが、最新のものは、参加国外務大臣の2月18日の会議に関連するものだ。その主な結果には、この形式を制度化する新たな兆しもある。外相会議を定期的にする狙いだ。クアッド最初の重要な共同活動は、2020年9月のマラバール共同海上軍事演習だが、これは本来、1990年代初期から主にアメリカ-インド二国間の形式だった。

 それにも拘わらず、クアッドを、現在のフォーラム以上のものに向ける兆しは、東京での(2020年10月6日)前回の外相会談での、参加国最初のサミットを行う原則の決定だった。確定日の3月12日はインドと日本首相の3日前の電話会話で発表されていた。

 まず第一に、クアッド四メンバーの、二人のリーダー間の、もう一つの接触という事実に注意を払おう。長い間明白だった日本-インドの和睦の全般的傾向と一致するが、明らかに、現在のナレンドラ・モディ首相が率いるインド人民党政府が、2014年に権力の座について以来、政治的に表面化しているものだ。

 このプロセスの背後にある主な動機の一つは、この会話にもあった単語「中国」にこめられた、あらゆる地政学的要素によって決定される。その現実は議論されていないが、二国間でも、クアッド・メンバーとしても、当然のことと考えている中国の「挑戦」に東京とニューデリーは対抗するつもりなのだ。

 インドと日本指導者間の前述会話の間に、この「挑戦」はこの構成の参加者間の様々な接触時に必ず発言される、しっかり確立したミームで示された。「自由で開かれたインド-太平洋地域」。それはクアッド最初のサミットでも聞かれた。

 ナレンドラ・モディと菅義偉の会談では、二国間関係の主な問題の一つとして、防衛と安全保障に簡単に触れた。この点に関して、去年12月22日、言及された「領域」が、より詳細に、具体的に議論された、防衛大臣のラージナート・シンと岸信夫間の(やはり電話の)会談に注目しよう。特に、その進展の証拠の一つとして、前述の「マラバール」演習に触れられた事実は重要だ。

 ナレンドラ・モディと菅義偉がクアッド・ビデオサミットの期日を設定した翌日、オーストラリアのスコット・モリソン首相と、アメリカのジョー・バイデン大統領が参加する意志を発表した。

 その結果で注目すべき最初のものは、(少なくとも短期的に)地域規模での本格的な政治・軍事構造出現の目に見える兆しがないのが見えることだ。これまでのところ、中国(とロシア連邦)に対する戦いでの関係者の努力は、主に「ワクチン外交」分野に焦点を合わせている。すなわち、その狙いは、一般的に「欧米諸国」が明らかに示しているSARS-CoV-2流行に対する戦いでの失敗の結果を、何らかの方法で修正することだ。

 その結果は最も深刻な(今日、到底完全に予見できない)政治的結果を招きかねないので、クアッドによる「ワクチン外交」の優先順位付けは理解できる。サミット直前に、コロナウイルス流行と戦いでの成功の結果、第三世界での、中国とロシアの増大する影響力についての懸念が表明された。この「脅威」をかわすため、これらの国々に近いインドに頼ることが提案されている。クアッド・メンバーが、この場合とるつもりの行動案は、日本の読賣新聞社が報じている

 サミット参加諸国は、2022年末までに、コロナウイルス・ワクチン約10億回分を生産することに同意した。大いに不適当な時期の政治的「ゴキブリ競争」という悲しい印象を残しながらも、概して称賛に値する意図だ。世界は非常に壊れているので(「どこかから送られた」)SARS-CoV-2という形の緊急警告さえ、言い聞かせて、道理を分からせることができないのだろうか?

 もう一つの主題が、クアッド・サミットで重要な役割を演じた。問題は特定の技術的プロセスにおける、いわゆる「サプライチェーン」安全保障問題で、これは前政権に始められたものだ。これは最もしばしば、(現代の先端技術で重要な役割を果たす)レアアース金属について言われるが、その供給で中華人民共和国が世界市場を絶対独占している。

 「レアアース爆弾」を使う北京の脅威とされるものの前例は、特に2012年秋、帰属問題で係争中の尖閣/釣魚島を「所有者」から日本政府が「買い戻した」時の中日関係の悪化時期と結び付けられる。中国に対抗する欧米諸国は、現在、環境汚染の主な原因の一つで、中国にとって極めて喫緊の問題である全てのレアアース金属採掘産業を近代化する計画に慎重だった。

 だが、再び、クアッド・サミットの主な結果は、それが「アジアNATO」のようなものが近い将来出現するという明白な兆しを産み出さなかったことだ。今のところ、クアッドはまだそれが2000年代末に生まれた時のままだ。つまり、いくつかの主導的なインド・太平洋地域の国々が、さまざまな地域問題を議論するためのフォーラムとして生まれた時のものだ。地域には(世界全体でも)多数のこのようなフォーラムがある。多くの場合、それは政治家集団が集まり、重要な話題について話をしても、害はない。

 前にNEOで指摘した通り、地域と世界全体で安全保障の基本的問題を解決する上でのクアッド参加国の手法の重大な相違は、この形の最初のサミット中に明らかになった。

 上記の見地に対する疑わしさは「グレート・ワールド・ゲーム」を良い方向に進める責任があるグローバル大国としての中国自身の認識の増大によるものだと著者は考える。この責任の表示の一つが、ラダックでの紛争に関するインドとの(不必要な)緊張を緩和する最近の努力だ。だが、おそらく、そのような主要な証拠は、クアッド指導者、すなわちアメリカとの関係確立が、中華人民共和国の益々明らかな願望となっていることだ。

 この点、アラスカへの旅行前日、3月11日の李克強首相記者会見は非常に注目に値する。中国エリートが(他のあらゆる国同様)外交政策分野で多様な好みの異なる集団から成立していると考えることは可能だ。特に対米関係に関する最も重要な要素に関して。

 だがアメリカ新政権下の、これらの関係の状態や短期的見込みは別の集中的な検討に値する。

 ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/19/the-first-summit-of-the-quad-took-place/

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 アジアNATOという言葉で思い出すのはブレジンスキーの発言。

北大西洋共同体(NATO)に日本を組み込む ブレジンスキー

 プーチン大統領、人殺しと呼ばれて公開討論を申し出たという。マラソン記者会見をこなす大統領と、当選以来記者会見をしていない大統領が討論できるわけもない。飛行機のタラップで三度もつまずいた画像もある。こういう人に、恫喝されにゆく恫喝男。「反対する官僚は異動してもらう」のが信条の人物が「反対する人は異動してもらう」と言われにゆく皮肉。

プーチン大統領 米大統領の“人殺し”受け 公開で議論提案 NHKニュース

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