William Engdahl

2022年9月 6日 (火)

モスクワでなく、ベルリンとブリュッセル発のヨーロッパのエネルギー・アルマゲドン

2022年8月31日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 8月22日、ドイツのTHE(トレーディング・ハブ・ヨーロッパ)ガス・ハブ取引所で売買された天然ガスの市場価格は、一年前より1000%以上高かった。大半の国民が、原因は、ウクライナでのプーチンとロシアによる戦争だとショルツ政権から聞かされている。真実は全く違う。EU政治家連中と主要金融筋が、ドイツとブリュッセルが起こしたエネルギー危機を隠蔽するためにロシアを口実にしているのだ。この結果は偶然ではない。

 ショルツや、緑の党経済大臣ロバート・ハーベックや、EU委員会フランス・ティンメルマンス上級副委員長などの政治家連中が愚かだったり、才覚がなかったりするためではない。不正で、不正直だというなら、おそらく、そうだ。連中は自分が何をしているか正確に知っている。連中は台本を読んでいるのだ。それは全て、世界で最もエネルギー効率が良い産業集積地の一つの産業を空洞化するEU計画の一部だ。これはクラウス・シュワブのグレート・リセットとしても知られている国連 アジェンダ2030の取り組みだ。

 規制緩和されたEUガス市場

 EU委員会やドイツやEU中の政府閣僚が慎重に隠しているのは、現在天然ガス価格がどのように決定されるかに関して、連中が作り出した転換だ。ほぼ20年間、JP Morgan Chaseのようなメガバンクや、大手の投機的ヘッジファンドに支援されるEU委員会は、現在の天然ガス市場の完全規制緩和のための基盤を作り始めたのだ。それは欧州連合の天然ガス市場「自由化」として推進された。それが今可能にしているのは、長期契約ではなく、価格を決めるための、規制されないリアルタイム自由市場取り引きだ。

 2010年頃、EUは天然ガス価格設定のための規則の急進的変更を推進し始めた。その時点までは、たいていのガス価格は、パイプライン送付の固定長期契約で決められていた。最大の供給元ロシアのガスプロムは、石油価格に固定された長期契約で、EU、特にドイツにガスを提供していた。最近数年まで、ほとんどガスはLNG船で輸入されなかった。莫大なシェール・ガス生産からのLNG輸出を許すアメリカ法の変化で、2016年に、アメリカのガス生産者たちが、LNG輸出ターミナルの大規模拡張を始めた。ターミナル建設には、平均3年から5年かかる。同時にポーランド、オランダや他のEU加盟国は、外国からLNGを受け取るためLNG輸入ターミナルの建設を始めた。

 第二次世界大戦から世界の主導的石油供給者として出現し、当時セブン・シスターズと呼ばれた英米石油大手が、世界的石油価格独占権を作りだした。1970年代のオイル・ショックの際ヘンリー・キッシンジャーが「石油を支配しろ、そうすれば国全体を支配できる。」と指摘した。1980年代以来、ゴールドマン・サックス率いるウォール街の銀行は「ペーパー石油」、つまり石油先物とデリバティブ取り引きで新しい市場を作った。それはニューヨークとロンドンシティーに、ひと握りの巨大銀行に支配された投機的利益の巨大カジノを作った。

 同じ強力な金融筋は、彼らが支配できる同様なグローバル化された先物「ペーパーガス」市場を作るため長年働いてきた。EU委員会と、連中の2050年までに経済を「脱炭素化」するグリーン・ディールという思惑は、石油やガスや石炭燃料を排除し、2021年以来、EUのガス価格の爆発的急上昇をもたらした理想的な罠になった。「単一」市場支配を作りだすため、グローバリストの権益のためのロビー活動を受けているEUは、EUでの様々なガス配送パイプライン・ネットワーク所有者ロシアに、競合するガスにも、それを開放するよう強いるため、ガスプロムに過酷な、事実上違法な規則変更を強制する圧力をかけた。

 EUの政策を支配する大銀行とブリュッセルのエネルギー既得権益は、彼らが支配しないロシア・パイプラインガスの長期的な安定した価格と並行する新たな独立価格体系を作り出した。

 2019年までに、ロシアが依然遙かに最大のガス輸入源だったにもかかわらず、ブリュッセルEU委員会による一連の官僚的エネルギー指令で、完全に規制緩和したガス市場取り引きが、事実上、EUの天然ガス価格を設定するのを可能にした。いくつかのEU加盟国で、ガス先物契約を取り引きする一連の仮想取り引き「ハブ」が設立された。2020年までに、オランダのTTF(タイトル・トランスファー・ファシリティ)はEUガス、いわゆるEUガス基準の最有力な取り引きセンターになった。注目すべきことに、TTFは、銀行や他の金融投資家間の先物ガス契約取り引きの「店頭取り引き」バーチャル・プラットホームだ。それが事実上、規制されておらず、あらゆる規制された取引所の外にあることを意味する。これは現在、EUで行われているゲームを理解するには重要だ。

 2021年にEUの全天然ガス輸入の、わずか20%が、価格が、主にTTFハブ、詐欺的な窒素汚染主張で自国の農場を破壊した同じオランダ政府に所有されるEUの事実上のガス・ベンチマークの先物取り引きで決定されるLNGガスだった。ヨーロッパのガスの最大輸入比率は2021年にEU輸入の40%以上を供給するロシアのガスプロムからだ。そのガスは価格が今日のTTF投機価格より非常に安い長期パイプライン契約によるものだ。2021年、EU諸国は罰則的費用として、ガスプロムの石油価格スライド価格設定を継続していたよりも、天然ガスに約300億ドル多く費用がかかったと述べている。銀行はそれを愛した。アメリカの産業と消費者はそうではない。EUでロシアのガス市場を破壊することによってのみ、金融既得権とグリーン・ディール擁護者は彼らのLNG市場支配を実現できたのだ。

 EUパイプライン・ガス閉鎖

 新ガス卸売市場に対するEUの完全支持で、ブリュッセル、ドイツとNATOは、組織的に、EUへの安定した、長期パイプライン・ガスを閉め始めた。

 2021年8月に、係争地域を巡って、モロッコとの外交関係を切った後、アルジェリアは1996年に始動したマグレブ-ヨーロッパ(MGE)ガスパイプラインが関連する協定の期限が切れて、2021年10月31日に、操業を終わらせると発表した。

 2021年9月、ロシアからバルト海を渡り、北ドイツまで数十億ドルの海底ノルドストリーム2ガスパイプラインをガスプロムは完成した。それは、ノルド・ストリーム1の能力年間1100億立方メートルと、二倍にし、ウクライナを通過するソユーズパイプラインを経由してガス送付することに対する干渉からガスプロムが独立することを可能にする。バイデン政権に支援されるEU委員会は、官僚的妨害行為でパイプラインの稼働を阻止し、最終的にドネツク人民共和国と、ルガンスク人民共和国をロシアが認めたことに対し、2月22日にドイツのショルツ首相がパイプラインに制裁を課した。それ以来ガス危機が増大しているのに、それが完成しているにもかかわらず、ドイツ政府はノルドストリーム2を稼働するのを拒否した。

 2022年5月12日、ウクライナを通るソユーズのガスパイプラインへのガスプロム配送が、ほぼ3カ月、ウクライナでのロシアの軍事行動にもかかわらず、紛争で中断されなかったが、NATOに支配されるキーウのゼレンスキー政権は、ルガンスクを通り、ウクライナとEU諸国にロシア・ガスを送る主要ロシア・パイプラインを、キーウが2つのドンバス共和国を通して走るパイプライン・システムを完全支配するまで閉鎖されたままだと宣言して、閉じた。ウクライナ・ソユーズラインのその部分は、ソユーズによるEUへのガスの3分の1を削減した。キーウが、その同じNATO加盟諸国から、より多くの武器を嘆願していた時、それはEU経済を助けなかった。ソユーズは、ソ連時代、1980年に、オレンブルグ・ガス田からガスを運ぶために開設された。

 次は、ベラルーシを通り、ポーランドを通って、ドイツへのヤマル・ロシア・ガスパイプラインだ。2021年12月、ウクライナ紛争の二カ月前に、ポーランド政府は、ポーランド同様、ドイツにも低価格でガスプロムガスを配送しているパイプラインのポーランド地域部分を閉鎖した。その代わり、ポーランド・ガス企業は、ドイツ・ガス企業が備蓄してい、ジャマル・パイプラインのポーランド-ドイツ部分を経由して、ロシア・ガスを逆流でより高い価格で買った。ドイツ・ガス企業は長期契約によって非常に安い契約金額でロシア・ガスを得ており、ポーランドに莫大な利益で再販した。それは、ドイツのガス価格をより高く押し上げ、ドイツのガス危機を悪化させただけだが、この狂気は、グリーンのハーベック経済大臣とショルツ首相とドイツ・メディアによって意図的に軽視された。ポーランド政府はロシアとのガス契約更新を拒否し、その代わり自由市場で非常に高い価格でガスを買っている。結果として、これ以上のロシア・ガスは、ヤマル経由で流れていない。

 最終的に、シーメンス製ガスタービンの修理が必要となりノルド・ストリーム1海底パイプライン経由のガス配送は中断された。このタービンはドイツ政府の要請で最終的にそれを自由にするまで、反ロシアのトルドー政権が何カ月もそれを確保したカナダのシーメンスの特別施設に送られた。それでも、ドイツとカナダ政府が、ロシアへの転送のため法的拘束力がある制裁免除を与えるのを拒否したため、彼らは意図的にロシア所有者への送付を拒否し、代わりにシーメンス・ドイツに出荷した。これによってノルド・ストリーム1を通したガスプロム・ガスは、劇的に通常の20%に減少した

 2020年1月、ガスプロムはトルコ経由するトルコ・ストリーム・パイプラインでブルガリアとハンガリーにガスを送り始めた。2022年3月、NATOの支援を得て、ブルガリアは一方的に、トルコ・ストリームからのガスの供給を削減した。ハンガリーのオルバーン・ヴィクトルは対照的に、トルコ・ストリームガスのロシアの継続確約を得た。結果的に、今日ハンガリーにはエネルギー危機がなく、非常に安い固定価格契約でロシア・パイプラインガスを輸入している。

 長期の、低コストのパイプラインによるEUへのガス配送を組織的に制裁したり、閉鎖したりすることにより、中国での記録的干ばつや、ウクライナでの紛争かにかかわらず、ガス投機家は、オランダのTTPによって世界中の、あらゆる一時的中断やエネルギー・ショックにつけ込んで使って、アメリカの輸出制約や、あらゆる限度を超えて、EUの卸ガソリン価格に値付けするのが可能だった。8月中旬時点で、TTPの先物価格は一年前より1,000%高く、毎日上昇している。

 ドイツの高価格狂気

 エネルギーと電気価格の意図的な破壊工作は益々ばかばかしくなっている。8月28日、唯一の自由党(FDP)閣僚であるドイツ財務大臣クリスティアン・リントナーは、複雑なEU電力市場改革の不透明な条件のもとで、太陽光、あるいは風力による発電業者は、自動的に、電力会社の電力網に売る彼らの「再生可能」電気を、最もコストが高いもの、すなわち天然ガスと同一価格にする!と明らかにした。

 異なる市場を切り離すためドイツのエネルギー法に対する「緊急」変更をリンドナーは主張した。狂信的グリーンのロベルト・ハーベック経済大臣は、即座に、「我々は新しい市場モデルを見いだすため一生懸命働いている」と答えたが、政府は余り介入しないよう配慮しなくてはならないと注意した。「我々には機能する市場が必要だが、同時に市場における立場が乱用されないよう、我々は正しい規則を設定する必要がある。」

 ハーベックは、実際、グリーン・アジェンダを構築し、ガスと石油と原子力という、現在唯一信頼できるエネルギー源を排除するため出来る限りあらゆることをしている。彼は一年前に閉鎖した三つの原発再開を考えたり、12月に残る三つの閉鎖再考したりするのを拒否している。ブルームバーグインタビューで「この問題に私はイデオロギーで対処しない」と宣言しながら、間髪を入れずに「原子力は解決策ではない、それは問題だ。」と宣言した。EU委員会委員長ウルスラフォン・デア・ライエン同様、ハーベックは、当てにならない、太陽光と風力に対するより多くの投資が、彼らの政策が意図的に引き起こしたガス価格危機への答えだと繰り返し宣言した。ヨーロッパで進行中の自殺的エネルギー危機は、あらゆる点で「ドイツ発」で、ロシア発ではない。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/08/31/europe-s-energy-armageddon-from-berlin-and-brussels-not-moscow/

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 ザポリージャ原発で、再び、砲撃によくる電力網破壊。

 植草一秀の『知られざる真実』

日銀円安誘導が大間違いな理由

 日刊IWJガイド

「統一教会の幹部が、献金問題を批判!? しかし、それは3つに分裂した教会内部の小競り合い、パフォーマンスに過ぎない。3派とも同じ穴の狢!」

<インタビュー報告>統一教会の古参幹部が、安倍元総理銃撃事件を謝罪、献金問題を批判!? しかし、それは3つに分裂した統一教会内部の小競り合いで、パフォーマンスに過ぎなかった! 3派とも同じ穴の狢! 岩上安身による北海道大学大学院文学研究科・文学部 櫻井義秀教授インタビュー 第3回を、お送りしました!

「家庭教育の相談で、常に献金問題に直面した」! 統一教会元幹部が、過剰な献金が信者の生活を苦しめていたことを実名で証言! 元幹部は内部紛争で分裂した文鮮明教祖の三男を支持し、教団を批判して解任!! 一方、昨日のインタビューで櫻井義秀氏は、「統一教会の中には、わけのわかっている人がいたり、(また)いい人がいたりしません。今の統一教会(韓鶴子氏が治める)に対して、(文鮮明の三男たちが)茶々を入れているだけです。いい人がいたらこんなにはなっていませんよ」と統一教会の内部で分裂したグループの主張を真に受けてはいけないと発言!!

2022年8月22日 (月)

一体誰の穀物がウクライナから輸出されているのか?

2022年8月18日
F・ウィリアム・イングドール
New Eastern Outlook

 ここ数週間、アフリカの飢饉危機を緩和するため、ウクライナ穀物の安全な出荷を要求する人道大騒ぎは、様々なレベルで欺瞞的だ。重要なのは、穀物が栽培されている土地を一体誰が所有しているのか、その穀物が、実際違法なGMO特許取得済みのトウモロコシや他の穀物なのかどうかだ。腐敗したゼレンスキー政権は、世界の最も肥よくな「黒土」農地の一部を密かに支配する欧米の主要GMO農業関連産業企業と取り引きしているのだ。

 2014年のCIAクーデター

 2014年2月、アメリカ政府が支援するクーデターが、選挙で選ばれたウクライナ大統領が、命の危険から、ロシアへの逃避を強いた。2013年12月、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領は、ウクライナが、何カ月もの討論の後、150億ドルのウクライナ負債をロシアが購入する約束と、輸入ロシア・ガス価格を33%引き下げることで、ロシアのユーラシア経済連合に加入すると発表していた。

 競合する申し出は、ウクライナの非常に貴重な農地の民営化を強制し、厳しい年金削減と社会福祉緊縮を課すことに加え、GMO農作物栽培を認める過酷なIMFと世界銀行融資パッケージのウクライナ受け入れと結びつけられた、けちなEU「準会員」だった。170億ドルのIMF融資と引き換えに、ウクライナは個人所得税を約66%引き上げ、天然ガスに50%余計に支払わなければならないのだ。労働者は年金を得るためには、10年長く働かなければならないのだ。狙いは、ウクライナを「外国投資」に開放することだった。グローバリスト企業の権益のための、おなじみのIMF経済的強姦だ。

 クーデター後にアメリカが選んだ、ヤヌコーヴィチに対する、CIAが支援したマイダン抗議行動指導者アルセニー・ヤツェニュク首相政権に対するアメリカとIMFの要求の主要条項は、モンサントとデュポンを含め、全てのGMO大手、外国の農業関連産業大手に、最終的に、ウクライナの肥沃な農業土地を開放する要求だった。重要な財務大臣と経済大臣を含めヤツェニュク閣僚の三人は、アメリカ国務省のビクトリア・ヌーランドと当時のジョー・バイデン副大統領がキーウに命じた外国国民だった。ワシントンが押しつけたIMF融資条件は、ウクライナが、遺伝子組み換え農作物に対する禁止令を撤回し、モンサントのような民間企業がそのGMO種子を栽培し、モンサントのラウンドアップを畑に噴霧できるようにするよう要求していた。

 1991年にウクライナがソ連から独立を宣言して以来、ウクライナの貴重な「黒土」支配維持は、政治的に最も熱い問題の一つだ。最近の世論調査では、ウクライナ人の79%が外国乗っ取りから、土地支配の維持を望んでいることを示している。南部ロシアのウクライナには、貴重な黒土、チェルノゼム、非常に肥よくで、人工肥料をほとんど必要としない腐植土に富んだ黒い土があるのだ。

 2001年の一時禁止措置

 2001年のウクライナ法は、大企業や外国投資家に対する農地の個人販売の一時禁止措置を課していた。一時禁止措置は、腐敗したウクライナ人オリガルが買い上げ、肥沃な農地を外国の農業関連産業への賃貸を阻止するものだった。その時までに、モンサントや他の欧米農業関連産業は、ウクライナに本格的に侵入していた。

 1991年にウクライナがソ連から離脱した際、ソ連の集団農場で働いていた農民は、それぞれ土地の小区画を与えられた。貪欲な外国農業関連産業への区画販売を防ぐため、2001年の一時禁止措置が制定された。700万人のウクライナ農民が、合計約7900万エーカーの小区画を所有していた。残る2500万エーカーの土地は国家が所有していた。GMO農作物栽培は厳格に違法だった。

 一時禁止措置にもかかわらす、モンサントやデュポン、カーギルや他の欧米GMO商は密かに、違法にウクライナ黒土で、連中の特許取得済みGMO種子を広げ始めた。小規模土地所有者が、ウクライナ人オリガルヒに土地を賃貸すると、巨大オリガルヒ連中は、GMOトウモロコシと大豆を植える、モンサントや他の業者と秘密協定を結ぶのだ。今は削除されているアメリカ農務省報告書によれば、2016年末までに、ウクライナ大豆の約80%と、トウモロコシの10%が遺伝子改変された種から違法栽培されていた。2021年のゼレンスキー法律は、この開いたドアを、GMOに対して大いに拡大されるのを可能にした。

 コメディアン登場

 2019年5月、悪名高い腐敗したウクライナ・オリガルヒ支配者イゴール・コロモイスキーの子分、ウクライナ人TVコメディアンのウォロディミル・ゼレンスキーは「政府汚職に反対する」悲劇的人民反乱で大統領に選ばれた。2019年、ゼレンスキー最初の法令の一つは、2001年の土地一時禁止措置を破棄しようとするものだった。ゼレンスキーが提案した変更を阻止するため、2020年中、農民と市民が大規模抗議行動を繰り広げた。

 最終的に、2021年5月、covid封鎖制限と大衆デモに対する禁止令を利用して、ゼレンスキーは、「農地市場」への「鍵」と呼び、土地に対する規制を緩和し、第2194法案に署名した。彼は正しかった。農民の反対を鎮める卑劣な動きで、新法は、ウクライナ国民だけが最初の数年、高価な農地を買ったり、売ったりするのを可能にするとゼレンスキーは主張した。モンサント(現在はバイエルAGの一部)やデュポン(現在はコルテバ)のような外国所有の企業や、あるいはウクライナで三年以上活動している他の企業が、欲しい土地を買うのを認める巨大な抜け穴があることを、彼は言わなかった。

 2021年の法律も、土地の目的を変更できる、悪名高い腐敗した市町村政府に所有権を与えた。2024年1月以降、ウクライナ市民も企業も、最高10,000ヘクタールの土地を買える。2021年4月の「土地関係分野の管理体制と規制緩和の改善に関するウクライナ土地法令や他の法令改正に関する」土地市場法改正が、外国の農業関連産業が、肥沃なウクライナの黒土を支配するための、もう一つの巨大な抜け穴を開けた。この改正は、例えば農地から商業用地に土地用途を変えることで、外国人への土地販売禁止令を回避できる。それで、農地に目的を変えられる外国人を含め、誰にでも売れるのだ。ゼレンスキーは法案に署名し、土地所有権のどんな変更に関しても国民投票するという選挙公約を破った。

 ウクライナの一級農地を簒奪するアメリカGMO関連農業関連産業の関心について、何らかの疑念があれば、アメリカ・ウクライナ・ビジネス協議会の現在の役員を一見するのが有益だ。それには世界最大の民間穀物・アグリビジネス大手カーギルがいる。特許取得済みGMO種子や、命に危険な殺虫剤ラウンドアップを所有するモンサント/バイエルもいる。コルテバ、デュポンとダウ・ケミカルの巨大GMO融合体もいる。お仲間の穀物カルテル大手ブンゲやルイ・ドレフュスもいる。主要農機具メーカー、ディア・アンド・カンパニーもいる。

 ゼレンスキーの選挙公約裏切りの背後にいたのは強力な農業関連産業企業だったとされている。バイエル/モンサントや、コルテバとカーギルが、既に1670万ヘクタールの主要なウクライナ黒土農地を支配しており、IMFと世界銀行からの事実上の賄賂で、ゼレンスキー政府は屈服して、売り払ったのだ。その結果、最近まで「ヨーロッパのパンかご」だった国の未来は非常に暗い。今ウクライナがGMOカルテル企業にこじ開けられる状態で、2016年にGMO農作物を禁止したロシアだけが、唯一主要な非GMO穀物の世界供給元として残っている。EUはGMO収穫の長く続いた重要な承認過程を破棄し、GMO乗っ取りに門を開く新法に取り組んでいると報じられている。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/08/18/whose-grain-is-being-shipped-from-ukraine/

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 自民・公明は救いようがないが、立憲も似たようなもの。CIAの差し金で動く連合の反共で行けという指示には逆らえない。

 植草一秀の『知られざる真実』

溺れる泉がおがくず掴むか

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

内閣支持率16ポイント急落36% 発足以降で最低 毎日新聞世論調査、岸田政権の旧統一教会への対応は極めてまずく、国民の反発を買っているとみられる。

 戦争推進派のPoliticoですら、ウクライナの戦争犯罪を非難しているとJimmy Dore。

 Jimmy Dore Show

Politico Calls Out Ukraine For War Crimes! 9:22

 こういう報道を見ると、自民党と統一教会の一体化というより、統一教会が自民を制覇しているように見えてくる。支持率急落は当然

一緒に日本を神様の国にしましょう。自民・萩生田光一政調会長が旧統一教会の関連団体で講演していた記録を独自入手【報道特集】TBS

 統一教会の影響力は、当然「言論界」にも及ぶ。前川喜平氏を批判するなど、自分の馬鹿さの証明でしかないが、直らない。

 日刊IWJガイド

「安倍元総理国葬への脅威!? 安倍シンパ論者らが統一教会名称変更を門前払いした前川喜平氏を批判! 前川氏に24日、岩上安身がインタビュー」

本日、午後【号外】を発行します。「文鮮明とその組織は、ボリビア、アルゼンチン、ニカラグア、ウルグアイ、ホンジュラスと中南米諸国を、麻薬密売と投資行動で食い物にしてきた! 米国の著名な調査報道ジャーナリスト、ロバート・パリー氏による旧統一教会の最暗部追及の調査報道シリーズ第1回(後編)! 文鮮明のダーク・サイドの核心! 麻薬と文鮮明の関係を追及!」

2022年4月16日 (土)

NATO制裁と、来るべきグローバル・ディーゼル燃料(軽油)大惨事

2022年4月11日
F・ウィリアム・エングダール
New Eastern Outlook

 進行中のグローバル・インフレーション危機の中、高いエネルギー価格は、2月末以来のウクライナにおけるプーチンによる行動の直接の結果だと、NATOの国家指導者と主流メディアは念仏を繰り返している。原因は欧米による制裁だというのが現実だ。制裁には、主要ロシア銀行に対するSWIFT銀行間アクセスも含み、他にも最も厳しい制裁がいくつか課されているが、ウクライナでの軍事行動にはほとんど影響を与えていない。多くの人々が見落としているのは、それが益々欧米、特にEUとアメリカの経済に影響を与えている事実だ。ディーゼル燃料(軽油)のグローバル供給状態を更に綿密に観察すると憂慮すべきものだ。だが、アメリカ財務省とEUにおける欧米の制裁計画者は自分たちが何をしているか完全に理解している。そして、それは世界経済にとって悪い兆しを示している。

 我々の大半は、ディーゼル燃料を汚染物以外の何かとは滅多に考えないが、実際それは、ごくわずかのエネルギー源しか、そうではない形で世界全体の経済に不可欠なのだ。最近ヨーロッパ石油精製協会の一部であるFuels Europe長官は「工場を出入りするほぼ全てがディーゼル油を使うので、ディーゼル燃料とGDP間には明確なつながりがある。」と述べた。

 ロシアのウクライナにおける軍事行動第一週の終わり、まだロシアディーゼル燃料輸出に具体的な制裁なしでも、なおヨーロッパのディーゼル価格は既に30年ぶりの最高価格だった。それは戦争には全く無関係だった。2020年3月以来の過酷なグローバルcovid封鎖と、同時の、いわゆる環境重視の取り組み、略称ESGのおかげで、ウォール街とグローバル金融企業による石油とガス会社に対する投資引き上げが原因だった。ウクライナでのロシア軍事行動のほとんど初日、共にイギリス企業の世界最大の石油会社二社、BPとシェルは、ディーゼル燃料供給不足の恐れを理由に、ドイツへの発送の配達を止めた。ウクライナ戦争前、ロシアはEUの全ディーゼル油の約60から70%を供給していた。

 2020年、ロシアは毎日百万バレル以上輸出し、アメリカに次ぐ世界二番目に大きなディーゼル燃料輸出国だった。その大部分、約70%がEUとトルコに行った。フランスは最大の輸入国で、それに続いてドイツとイギリスだった。フランスでは、全道路車両の約76%のトラックがディーゼル油を使う。EUでは大半の車が一層経済的で効率的なディーゼル燃料を使うから、ディーゼル需要はアメリカよりはるかに高い。4月第1週、ウルスラフォン・デア・ライエンEU委員会会長は、石炭に対する禁止令から始まるロシア・エネルギーに対する新たな制裁を誇らしげに発表した。EUはロシア石炭の最大輸入者だ。彼女が石油とガスは後日続くと言った。そのばかな動きは石油とガス価格を遙かに高くなるよう強いるから、EUの大部分にとって既に最高のエネルギー価格を更に引き上げるだけだ。

 ウクライナ危機の始めの時点で、covid封鎖が石油とガス生産の需要供給状況に大打撃を与えていたため、ディーゼル燃料の世界備蓄は既に2008年以来最も低かった。今ディーゼル燃料の未曾有の危機の準備は整っている。世界経済にとって影響は驚異的だろう。

 世界貿易を動かすディーゼル

 ディーゼル・エンジンは、従来の動力装置として最高のエンジン効率だ。それはルドルフ・ディーゼルが1897年に開発した圧縮着火の原理に基づいている。1ガロン当たり、より大きい効率と、より長い走行距離数のため、ほとんどすべての貨物トラック動力装置をディーゼルが動かしている。トラクターから収穫機まで、ほぼ全ての農業装置を動かしている。ガソリン・エンジンより遙かに燃料効率が良いため、EUで広く使われ、自動車燃料のほぼ50%だ。それはキャタピラ・ブルドーザーなどのあらゆる大型掘削機の大半で使われる。建設装置で使われる。ディーゼル・エンジンは世界中の全ての非電化鉄道、特に貨物列車で蒸気機関を置き換えた。ディーゼル燃料は一部発電所や、ほぼ全ての重い軍用車両で使われる。

 そのため、一時的であれ、より長期であれ、ディーゼル燃料の世界的欠乏は壊滅的事件だ。商品をコンテナ港から内陸の目的地に輸送できない。それどころか、ディーゼル燃料しでは、トラックがスーパーマーケットや他の何に対しても食物を配達できない。供給連鎖全体が凍結する。ディーゼル・エンジンをエンジンを破壊せずにガソリンで代用する可能性はない。

 2020年3月に始まった準備不十分な産業と輸送の世界的covid封鎖まで、ディーゼル燃料の需要と供給は均衡がとれていた。ところが突然の封鎖が、トラック輸送、自動車、建設、農業に対するディーゼル燃料需要を崩壊させた。儲からない精製所は閉鎖された。能力は低下した。世界生産がcovid前の通常の形に戻った今ディーゼル燃料備蓄は特に世界最大のディーゼル燃料消費者である欧州連合とアメリカで危険なほど低い。

 配給制度?

 今年始めの時点で、世界のディーゼル油備蓄は既に危険なほど低く、価格を驚くほど上げた。ウクライナ戦争の影響前、2022年2月時点で、アメリカのディーゼル油関連備蓄は、covid前の季節平均を21%下まわっていた。EUで備蓄は、8%あるいは3500万バレルcovid前の平均レベルを下回っていた。アジアの中枢、シンガポールでの備蓄は正常値より32%低かった。合計すると、三つの地域全てのディーゼル油備蓄は去年危険なほど低く、昨年同時期を約1億1000万バレル下まわっていた。

 2021年1月と2022年1月の間にEUのディーゼル燃料価格は、ほぼ二倍になったが、それはウクライナ制裁前だ。いくつか理由があったが、主な理由は、世界的covid封鎖と世界貿易の流れの再開に起因する原油価格急騰と供給途絶だった。問題を大きくさせたのは、3月初旬、ロシアに対する欧米制裁の中「エネルギー安全保障を保証する」ため、中国政府がディーゼル燃料輸出に禁止令を課したことだ。それに加えて、最近のバイデン政権による全てのロシア石油とガス輸入に対する禁止令で、これは2021年、全てのロシア重油輸出の推定20%を含んでいた。同時にEUは、いつものイデオロギー的知恵で、ロシア石炭の輸入禁止令、ロシア原油禁止令をまとめ上げつつあり、ディーゼル燃料とガスも、これに続くと報じられている。

 4月4日、ドイツでディーゼル燃料のリットル当たり平均価格は2.10ユーロだった。2021年12月27日には1.50ユーロだった。数週間で40%の上昇だ。2月24日ウクライナ軍事行動以降、ロシアに対する未曾有のアメリカとEU制裁後、益々多くの欧米石油企業や石油トレーダが報復の恐れから、ロシア原油やディーゼル燃料の扱いを拒否している。ウクライナで戦いが継続する限り、これがエスカレートするのは確実だ。

 3月27日、ロッテルダムに本拠地がある世界最大の独立エネルギー商事会社VitolのCEOが、今後数カ月で、ディーゼル燃料配給制が世界的規模で益々ありそうだと警告した。彼はこう指摘した「ヨーロッパはロシアからディーゼル燃料の約半分を、中東からディーゼル燃料の約半分を輸入している。そこにディーゼル油の体系的不足があるのです。」

 4月7日、以前アイルランド国立銀行にいた主導的アイルランド人エコノミスト、デイビッド・マクウィリアムスが憂慮すべき発言をした。「石油だけ上がっているわけではなく、ディーゼル燃料が上がっている、今後二ないし三週間あるいはその前に、欧米で実際にディーゼル燃料が尽きる可能性がある。我々はかなりの量ディーゼル燃料を輸入しており、それは最初に処理するイギリスの二つの精製所から来る。それら精製所は現時点で原油がない。だから我々は基本的に、一日しのぎ一時間刻みの基盤で経済活動をしているのだ。」彼はこう補足した。「これは単なる石油危機ではなく、我々が50年間同じものを見たことがないエネルギー危機だ。」彼によれば、ディーゼル燃料備蓄がそれほど低い理由はEU加盟国が、石油とディーゼル燃料の膨大な供給をロシアに外注するほうが遙かに安いと見たためだ。

 アメリカの状況は、より良いわけではない。政治的理由から、ディーゼル燃料危機の本当の状態は、バイデン政権とEUが軽視していると報じられている。アメリカでは、インフレーションは既に40年で最高だ。本格的な転換を阻止する進行中のグローバル・ディーゼル燃料危機が意味するのは、トラックや自動車、農業や採鉱など全ての形の輸送に対する劇的影響だ。それは既に不振な世界経済にとって大惨事を意味するだろう。それでもドイツの「Ampel」(交通信号)連合のような政府は、常軌を逸した二酸化炭素排出ゼロ目標や、石油や石炭やガスを段階的に廃止を計画し、バイデン徒党は、爆発するエネルギー価格は、頼りにならず高価な太陽光や風力を選び、石油など炭化水素を断念するための更なる口実になると内心見ている。産業が相互に結びついた本物の世界経済は、レゴおもちゃゲームとは違う。大いに複雑で細かく微調整されているのだ。この微調整が組織的に破壊されつつあるが、全ての証拠が、それが意図的であることを示している。ダボス・グレート・リセット優生学の狙いにようこそ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/04/11/nato-sanctions-and-the-coming-global-diesel-fuel-disaster/

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 ありがたいことだ。属国大本営広報部は決して掲載しない記事。

 耕助のブログ NATO・ロシア代理戦争を巡るスコット・リッターとマイケル・ハドソン対話翻訳が掲載されている。

No. 1432 NATO・ロシアの代理戦争

 英語原文は下記。

NATO-Russia Proxy War: Revealing Signs of a Fading America: Scott Ritter, Michael Hudson

https://www.globalresearch.ca/nato-russia-proxy-war-revealing-signs-of-a-fading-america/5775462

NATO-Russia Proxy War: Revealing Signs of a Fading America

https://www.unz.com/mhudson/nato-russia-proxy-war-revealing-signs-of-a-fading-america/

2022年3月13日 (日)

ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画

2022年3月9日
F・ウィリアム・エングダール
New Eastern Outlook

 2022年2月24日から、隣接するウクライナでの軍事行動を命ずるロシア大統領による決定は、私自身を含め多くの人々に衝撃を与えた。ウクライナ内でのロシアや他の軍隊による軍事行動開始から、ほぼ2週間の時点での問題は、欧米メディアが一方的な不当な侵略戦争と描写することにロシアを押しやったのは一体何だったのかということだ。2月19日、年次ミュンヘン安全保障会議で最高位のNATO当局者や他の人々との会談中、ウクライナ大統領でコメディアンのウォロディミル・ゼレンスキーによる公的な威嚇は、モスクワの行動へのほとんど無視されている手がかりになる。加えて、ウクライナ内の多数のアメリカ国防総省生物兵器研究所に関する最近の報道も、この背景の脅威を更に高める。モスクワは、ロシアが文字通り、いちかばちかの現実に直面したと考えたのだろうか?

 若干の不可欠な歴史

 ウクライナでの現在の紛争は、1990年代と、アメリカが進めたソ連崩壊にその源がある。1990年、ドイツ再統一に関する高官の2プラス4条約協議で、フランス、イギリス、西ドイツ政府や、アメリカのジェームズ・ベーカー3世国務長官と、当時のソ連指導者ミハイル・ゴルバチョフ間の協議の際、ドイツ統一を巡り、ソビエト社会主義共和国連邦がNATO内でのドイツ再統一を認めるのと引き換えに、NATOは旧ソ連領域を脅かすような、東方へ「1インチ」も拡大しないとベイカーは口約束をした。

 何年間も、ポーランド、チェコ共和国、ルーマニア、ハンガリー、バルト諸国を含め、旧ワルシャワ条約諸国を次々にNATOに加えて、ロシアを攻撃する距離に益々近づき、ワシントンはこのやりとりに関してウソをついた。最近プーチンは、NATOとワシントンがウクライナが決してNATO加盟を許さないという拘束力がある法的保証を与えるというロシアの要求を正当化するために、1990年の、このベイカー合意を引合いに出した。ワシントンは今まで断固そうすることを拒否している。

 2007年のミュンヘンでのプーチン演説

 2007の年次ミュンヘン安全保障会議で、ブッシュ-チェイニー政権が「北朝鮮やイランのようなならず者国家から守るため」ポーランド、ルーマニアとチェコ共和国にアメリカ・ミサイル防衛システムを、配備する計画を発表した際、ロシアのプーチンは、1990年のNATOの保証に関するアメリカのウソと違反を厳しく批判した。その時までに旧共産主義の東欧諸国10カ国が、1990年のアメリカの約束にもかかわらずNATO加盟を認められていた。さらに、2003年-4年に両国でのアメリカに率いられたカラー革命後、ウクライナとジョージア両国がNATO加入候補になった。アメリカ・ミサイルは、朝鮮民主主義人民共和国やイランではなく、ロシアに向けられているとプーチンは正しく主張した。

 彼の2007年のミュンヘン発言でプーチンは欧米の聴衆に「NATOが我々の国境に前線軍を配備する結果になっているが、我々は厳密に条約義務を果たし続け、これら行動に全く対応していない。私はNATO拡大は、連合自体の近代化、あるいはヨーロッパでの安全保障と無関係なのは明白だと思う。それどころか、それは相互信頼のレベルを下げる重大な挑発だ。我々は、こう尋ねる権利がある。この拡大は一体誰を意図しているのか?ワルシャワ条約機構解散後、我々の欧米パートナーがした保証に何が起きたのか?今日それらの宣言は一体どこにあるのだろう?誰もそれを覚えてさえいない。」プーチンは付け加えた。「けれども私はあえて、聴衆の皆様に、当時言われたことを想起頂きたい。私は1990年5月17日、ブリュッセルでのウォーナーNATO事務局長演説を引用したい。彼は当時こう言った。「我々がドイツ領土外にNATO軍を配備しない準備ができている事実は、ソ連に強固な安全保障を与える」。これらの保証は一体どこにいったのだろう?」15年前のことだ。

 2014年のマイダン・クーデター

 2013年11月、選挙で選ばれた、非常に腐敗したヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の下、経済的に崩壊し、危機的状況にあったウクライナは、EUとの「特別」な関係を受け入れるのではなく、ウクライナはモスクワが率いるユーラシア経済連合に加入する、モスクワからの遙かに寛大な申し出を受けると発表した。ロシアはロシア・ガス価格をウクライナに30%値引き、キエフの金融危機を緩和するため150億ドルのウクライナ債券購入に同意していた。

 その時点で、11月21日、ワシントンのビクトリアヌーランドと在キエフ大使ジェフリー・パイアットと、当時の副大統領ジョー・バイデンに選ばれた男アルセニー・ヤツェニュクは、アメリカNGOに支援されて、ヤヌコーヴィチ政権に対するマイダン広場抗議と呼ばれるものを開始した。2014年2月20日、近くのジョージアから採用され、CIAに組織されたとされる狙撃兵が、多数の抗議行動参加学生や警官を殺害した後、ヤヌコーヴィチを逃亡するよう仕向け、とりわけヌーランドとバイデンに厳選され、ヤツェニュクは、精選されたアメリカが運営する政権の首相になった。

 2014年12月末、国防総省やCIAに対するコンサルティング企業ストラトフォーのジョージ・フリードマンが、ロシア新聞へのインタビューで、アメリカが率いた2014年2月のキエフ政権転覆についてこう述べた。「ロシアは今年初めに起きた出来事をアメリカが組織したクーデターと呼ぶ。それは本当に史上最もあからさまなクーデターだった。」インタビューで彼は自慢げだった。

 そのキエフクーデター政権は、2014年2月22日以降、マイダン広場で治安活動し、ロシア語話者ウクライナ人に対するテロを行った同じ(ロシアで活動禁止されている)右派セクターの文字通りネオ・ナチ傭兵による東ウクライナで、ロシア語話者の皆殺しと民族浄化戦争を推進している。大隊はネオ・ナチ傭兵で構成されている。彼らは、ゼレンスキー大統領の財政援助者である、ウクライナのマフィア・ボスで億万長者オリガルヒ支配者、イーホル・コロモイスキーに資金供与され、アゾフ大隊は、「ウクライナ国家警備隊」兵士として公式な国家的地位を与えられた。アゾフ兵士は、ロゴとしてナチス親衛隊ルーン文字さえ誇示している。2016年に、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、2015年1月、公式に連隊に昇格されたアゾフ大隊を、大量略奪、不法拘留や拷問などの戦争犯罪を行ったと非難した。

 現在、ヌーランドはウクライナとロシア問題を担当する政務担当国務次官だ。彼女はアゾフ大隊が一体何者か十分承知している。

 ゼレンスキーとミュンヘン 2022

 2月19日にミュンヘンで、ウクライナのゼレンスキー大統領はウクライナ領に核兵器を配備すると恫喝した。ウクライナは、その合意の署名国ではなかったが、彼はこれを1994年ブダペスト覚書の一方的廃止と表現した。2日後、2月21日夜、プーチンはドネツクとルガンスク人民共和国の独立を認める演説をした。彼はゼレンスキーのミュンヘンでの核兵器誓約にはっきり言及した。「これは虚勢ではない」とプーチンは演説で強調した。

 3月6日、モスクワの国営通信社RAIノーボスチが、重要な欧米の秘密支援を得て、核拡散防止条約の恥知らずな違反で、ウクライナの核弾頭ミサイル能力と、ウクライナ原子爆弾を作るウクライナの秘密プロジェクトに関する、SVRロシア対外情報庁(ロシアの外国諜報機関)幹部の言葉を引用した。報道によれば、ウクライナ核科学者が、高い放射能レベルのチェルノブイリ原子炉サイト近くにそれらを置いて、この開発を隠していたもので、チェルノブイリを安全に保つための速やかなロシアの動きの説明になる。「得られる利情報から判断して、「汚い」爆弾製造でも、プルトニウム分離に関しても、作業が進行中だった」とRIAノーボスチは情報提供者の言葉を引用している。主要爆弾研究施設は国立科学センター「ハリコフ物理技術研究所に」にあった。本記事執筆の時点で、研究原子炉施設を爆破し、それをロシアのせいにすることを計画しているウクライナのネオナチのアゾフ戦士とロシア軍間で、激しい戦闘が進行中だ。ザポリージャ原子力発電所支配の戦いは、どうやら違法なウクライナ爆弾プロジェクトを隠す試みの一環だ。

 ウクライナ核の脅威に、プーチンが反応する深刻な理由があったことが今益々明確になり始めている。ウクライナがNATO加盟であるか否かにかかわらず、モスクワまで6分以内のウクライナ核弾頭ミサイルは、実存的危険になるはずだ。

 大規模軍事・生物兵器戦争強化?

 更にある。一年前、ウクライナ・メディアが、オチャキフとベルジャーンシクで欧米が建設した新しい事実上のNATO海軍基地について「NATO標準に従って装備され、同盟諸国の資金で建設された、あらゆる種類の艦船を受け入れ可能な近代的インフラ設備」と報じた。「3年で我々は、我々のモスキート艦隊で黒海のロシア艦船を攻撃可能だろう。そして我々がジョージアとトルコと団結すれば、ロシア連邦は阻止されるだろう」とウクライナ軍事専門家が自慢した。」とこのメディアは自慢した

 更に、アメリカ国防総省は、ウクライナ内に約4,000人の軍のボランティアDNAを検査する、8箇所以上、おそらく約30の極秘生物兵器研究所を持っていた。ロシア兵が証拠を確保しようとした途端、キエフのアメリカ大使館はウェブサイトから研究所に関する以前のを削除し、ウクライナ人は研究所の証拠破壊に動いたとされている。ハリコフや他の場所のウクライナ研究所は、アメリカと協力して活動していた。国際条約に直接違反してこのような生物兵器の株が密かに貯蔵されていたのだ。

 2月24日のウクライナにおけるロシア軍事行動の一月前、独立した細菌戦研究者のディリャーナ・ガイタンジエワが、致死的な結果の可能性がある「ウクライナ兵士4,400人とジョージア兵士1,000人のへのアメリカ国防総省生物学的実験を詳述する文書を入手した。漏洩文書によれば、すべてのボランティアの死亡は24時間以内(ウクライナで)、48時間以内で(ジョージアで)報告されるべきこと。」彼女はクリミア・コンゴ出血熱、病原体ボレリア(ライム病)や他のものを含め約14種の病原体に対する免疫抗体実験を含む人体実験を詳述している。この文書によれば、ウクライナとジョージアの研究所は、国防総省の「生物剤、致死性ウイルスや抗生物質耐性菌の研究を含む25億ドルの国防脅威削減局(DTRA)の生物兵器戦争プログラム」の一部だ。

 3月6日、モスクワでの国営RAIノーボスチへの声明で、ロシア国防省報道官イゴリ・コナシェンコフ少将が「ウクライナの生物学研究所の従業員たちから、ウクライナのロシアに近い地域で、生物兵器の要素が開発されていたことを確認する」文書を受け取ったと述べた。彼は「特別軍事行動の中で、アメリカ国防省に資金供給され、ウクライナで行われている軍事生物兵器プログラムの痕跡をキエフ政権が緊急浄化している事実が発見された。」と指摘した。

 近年のウクライナ内への核や生物大量破壊兵器配備の証拠に加えて、欧米NATO加盟諸国は、ウクライナに対戦車火器や爆弾を含む何十億ドルもの軍装備品を注ぎこんでおり、ワルシャワのアメリカ大使館に隠れていると反政府派に噂されているゼレンスキーが、ウクライナにNATO「飛行禁止」区域を繰り返し要求しているのは、核か、それ以上のロシアNATO戦争の原因に急速拡大しかねない間の直接開戦の原因となる行為だ。

 ロシアの国家安全保障に対する、このウクライナを利用したワシントンとNATOによる長年の挑発が、主権国家と軍事大国としてのロシアの生存能力を破滅させることに向けらているのかどうかが疑問だ。ロシアに対する制裁を、グローバル崩壊とエネルギー危機、食糧不足ともっと悪いことを引き起こすため、ダボス2030年のグレート・リセット・アジェンダを推進するための計算された動きなのだろうか?それを「邪悪なプーチン」とロシアのせいにしながら、ブラックロックや金融当局が世界を再編成するのだろうか?それを語るには余りに早いが、2022年2月24日、ロシアによる行動を引き起こしたものは、CNNや他の管理された欧米メディアが我々に語っていることより遙かに重大だったに違いないことは確実だ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/03/09/ukraine-and-the-deeper-global-suicide-agenda/

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 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

今日の動きは予測される事態。2008年、バーンズ駐ロ・米国大使発本国宛て秘密電報「露外務省はNATOをウクライナに延長すれば、露の安全保障に影響を与え深刻な政治・軍事的変化をもたらす、ロシアはしかるべき行動をとらざるを得ないとしている」と警告

 植草一秀の『知られざる真実』

ウクライナ政府とネオナチの関係

 日刊IWJガイド

「ウクライナ情勢関連ツイートまとめ! EUはウクライナの加盟申請を拒否!バイデン大統領は『米国はウクライナでロシアと戦うことはない』」2022.3.13号~No.3468号 

 小出裕明章氏インタビュー!

【3.11から11年!「ウクライナ侵攻危機」で、IWJが警告し続けてきた「原発X戦争リスク」が明らかに! 日本は無防備な原発を抱えたまま戦争するのか!?シリーズ特集 2・IWJ_Youtube Live】本日午後7時から、2013年10月3日収録「『大量の汚染水流出は3.11当時から分かっていたこと』小出裕章氏が岩上安身によるインタビュー 第357回で、福島第一原発に安全のお墨付きを与えた自民党・安倍総理の責任を追及 」を、公共性に鑑み、全編フルオープンで再配信します!

 昨日、翻訳記事末尾に烏賀陽弘道氏のNoteをご紹介したところ「これはあまりに酷い記事」とお叱りを頂いた。烏賀陽氏による同話題の3時間を越えるyoutube、覧になっているのだろうか?youtube三本ご覧頂いた上で、是非ご意見をたまわりたい。

2022.2.25 ウガ金 ウクライナにロシアはなぜ侵攻したのか

2022.3.4  ウガ金 ウクライナ戦争の今後 キエフ包囲戦はあるのか

2022.3.11 ウガ金 フクシマの原発事故被害地でウクライナ戦争を考えた 2:26

 属国大本営広報部呆導、最近ほとんど見ない。のど自慢と相撲は別。残念なのは、まともと思われたyoutube番組が続々「一犬虚に吠ゆれば万犬実を伝う」状態。こうなると海外記事・番組しか見る気力がなくなる。

 アメリカにも正論を主張する方々はおられるのに驚く。Committee for the Republic 下記の番組、日本語字幕をつけて放送してもらいたいものだが大本営広報部には期待しない。

Putin's Invasion of Ukraine Salon | Ray McGovern, John Mearsheimer

 ジョン・ミアシャイマー教授の名前は再三聞いているが、レイ・マクガヴァン氏の名前も聞き覚えがあると思えた。昨年翻訳した記事中の気になる新語MICIMATTの発案者だった。

反中国心理作戦のうそを暴く:不均衡戦争時代の不快な必要物としての社会信用システム

 MICIMATT(軍-産業-議会-諜報機関-メディア-学界-シンクタンク複合体)

2022年2月15日 (火)

ジョージ・ソロスは、なぜ習近平が去るのを望んでいるのか?

2022年2月8日
F・ウィリアム・エングダール
New Eastern Outlook

 ミスター「オープン・ソサエティー」ジョージ・ソロス、1980年代以来のグローバリスト政権転覆カラー革命の象徴が、彼と彼のグローバリスト・サークルが大いに政権転覆交のように見えるもので、中国の習近平主席を標的に定めたと表明したばかりだ。表面上、ソロスの習と彼の中国経済運営に対する最近の鋭い批判は奇異に思われる。オープン・ソサエティーと民主主義を促進する上での彼のあらゆる耳あたり良い言葉で、ソロスの「慈善団体」は、1990年代には、ロシアのボリス・エリツィン、あるいは2014年、アメリカ・クーデター後、ウクライナでペトロ・ポロシェンコのような最も閉鎖的な腐敗した何人かの指導者を支持してきた。ソロスは今グローバリスト権力の主要派閥が他のライバル派閥を支持して、習の支持を終わらせるという決定を表明しているということなのだろうか?

 スタンフォード大学フーバー研究所会議での「冬季オリンピック直前の中国:世界の民主主義にとっての困難な選択」発言で、91歳のソロスは習に極めて辛辣な物言いをした。彼が中国にとっての大惨事と呼ぶ毛以来の中国共産主義指導者の歴史を彼は再検討した。ソロスは鄧を称賛してこう説明する。「鄧小平は中国が惨めなほど資本主義世界から遅れていることを認識して、外国人に中国で投資するよう招き、それは習近平が2013年に権力の座に就いた後でさえ継続した、奇跡的な成長期間をもたらした。」

 習への厳しい批判

 鄧の後継者、江沢民と胡錦濤は、鄧が始めた市場経済の経済的成功を損なわないよう気を使った。ところが習近平が2012年に権力の座についた後はと、ソロスは言う。「その時以来、習近平は、鄧小平の業績を解体するため最善を尽くした。彼は鄧の下で設立された私企業を中国共産党の支配下に入れて、それらの特徴だったダイナミズムを損なった。私企業を開花させるのではなく、習近平は彼自身の「中国の夢」を導入したが、これは二語で要約できる。完全支配。それは悲惨な結果をもたらしている。」

 ソロスは彼が中国共産党内の激しい内部党派争いと呼ぶものを明らかにする。「習近平には多くの敵がいる。彼が権力の全てのレバーを支配しているので、誰も公的に彼に反対できないが、中国共産党内部で醸成している権力闘争は実に熾烈で、様々な共産党出版物でにそれが表現されているほどだ。習は鄧小平の考えに触発された、私企業のより大きな役割を見たいと望む人々から攻撃を受けている。」彼が言う鍵となる日付は10月の中国共産党党大会で、そこで習は中国指導者故鄧小平が設定した中国主席任期の二期という制限を撤廃しようと計画しているのだ。

 内部党派抗争?

 中国中国共産党エリート内の党派分析を専門に扱うニューヨークを本拠とする中国の政治リスク・コンサルタント企業SinoInsiderによれば、彼が2012年に権力の座に就いた時以来、習は他の党派を凌駕する権力を強化しようとしており、最も手ごわい反対派は、江沢民といわゆる上海グループや、多くの1949年の革命時代以来の中国共産党当局者や高官の息子や娘、いわゆる太子党だ。この派閥戦争はジャック・マーのアリババ・グループなどの一流中国民間巨大企業に対する習近平の取り締まりの背後にあると彼らが言う。

 日経の中国総局長だった日本人ジャーナリスト中澤克二によれば、中国政治に精通した一人の情報源が、習に標的に定められた既得権益団体は、アント・グループ、アリババ・グループやDiDi(滴滴出行)のような大手ハイテク企業、中国恒大グループやファンタジア・ホールディングス・グループ(花様年控股集団有限公司)のような主要不動産開発業者や、学習塾産業だと言った。この私企業集団は習に従うふりをするが、密かに悪意を持っている政治家たちに親密な傾向がある。企業はしばしば、このような政治勢力を財政的に支持している。これら勢力には、元主席江沢民と彼の側近、前副主席曽慶紅が率いる上海集団がある。彼らは経済を動かす政治、官僚世界で強い影響力を維持している。」

 もしこれが正確なら、内部ライバルの首を切るため、習があえて中国経済、特に巨額の借金を持った肥大した不動産部門を制御されない崩壊に見えるもの陥らせ、彼が明らかに未曾有の三期目の任期を求める重要な10月20日の党大会直前に、中国を本物の経済不況に陥れかねない危険性があることを示唆するだろう。

 不吉な新しい調子

 これが、どうやらソロスがフーバー研究所での発言で言及している背景だ。彼は言う。「中国は、2013年に習近平が権力の座に就いた時以来、成長の主な原動力だった不動産市場に集中した経済危機に直面している。不動産ブームに基づくモデルは持続不可能だ。アパートを買った人々は、それらが建設される前からさえ、それに対し支払い始めなければならない。だから、この体制はクレジットで構築されている。地方自治体が常に上昇する価格で土地を販売して彼らの収入の大部分を得ている。」

 彼のフーバー発言で、ソロスはこれまで30年の劇的成長に拍車をかけた以前の低賃金労働というプールを終わらせる中国で進行中の人口崩壊の重大な問題にも言及している。彼はう主張する。「本当の人口は公表数値14億より約1億3000万人少ない。これは広く知られていないが、不動産危機、労働力不足、財政負担と経済減速を悪化させるだろう。」

 そして習の状況を一層不安定にするものとして、WHOや他から二年前に称賛された素晴らしい成功からほど遠い習のcovid戦略、習の称賛されている西安市全体や巨大なコンテナ港湾都市、天津を閉鎖する「ゼロ・トレランス」covid封鎖戦略は、経済に対し活力を失わせる悪影響があるとソロスは言う。

 習近平の見通しに関するソロスの結論は不吉な前兆だ。「中国共産党内の強い反対を考えれば、習近平が慎重に演出している毛沢東と鄧小平レベルへの出世は決して起きないかもしれない。国内でそれほど抑圧的ではなく、外国で、より平和な人物によって習近平が、取って代わられることが望ましい。これは開かれた社会が今直面している最大の脅威を取り除くだろう、彼らは中国を望ましい方向に動くよう奨励するため、できる限りのあらゆることをするべきだ。」これはグローバリスト・エリートの強力なサークルが、習がもはや彼らの思惑にとって有用でないと結論したということなのだろうか?

 習支配の終わりを提唱する上で、遙かに最も明示的ではあるが、フーバー研究所演説はソロスが最近中国について批判的だった初めてのことではない。2021年9月6日の「ウォールストリート・ジャーナル」論説で、ソロスは中国の投資信託を始める最近の決定のかどで、仲間のウォール街投資家ブラックロックに対する辛らつな非難を書いた。「今中国に何十億ドルも注ぐのは悲しい過ちだ。これはブラックロック顧客の金を失い、より重要なことに、アメリカや他の民主主義国家の安全保障に害を与える可能性が高い。」ソロスは「中国に投資された金は、国内では抑圧的で、海外では攻撃的な習主席の体制を助けるのだから、ブラックロック構想はアメリカや他の民主主義国家の安全保障にとって害だ。彼は強烈に民族主義で中国を世界の覇権国にしたいを望んでいる。」続けて述べた。

 ジョージ・ソロスとほど影響力を持ったグローバリストが公然と習時代の終わりを要求している事実は、北京に、より「柔軟な」指導体制をもたらすため、欧米グローバリストの中の主要な派閥が、できる限りのことを何でもすると決めたことを示唆している。ソロスやシュワブ・レベルのグローバリストは衝動的に本格的な介入をしない。ソロスが直接習に対する攻撃を強化している事実は、ダボス・グレート・リセット環境重視取り組みの非常に有力な集団が、習が、中国とアメリカを含め、どこでも民族国家を排除する、彼らのディストピアの狙いに対する障害になったと決定したことを示唆している。

 それは、最近、必要であれば武力で台湾を併合する意志を宣言した民族主義者の習近平が、2020年に中国-イギリス香港条約を強力に終わらせた後、グローバリストダボスグレート・リセット・アジェンダを丸ごと危険にさらしているというのだろうか?ソロスはシュワブの世界経済フォーラムのアジェンダ貢献者でダボスに頻繁に現れるゲストだ。彼の息子アレクサンダー・ソロスはオープン・ソサエティー財団の副議長で、2018年の世界経済フォーラムの若い世界リーダーの一人だ。さらに1980年代以来何十年にも渡るソロスのカラー革命への資金提供は、1991年のソ連から2011年のアラブの春、2014年のウクライナと政権崩壊を通して至る所で国家終焉を推進してきた。ソロス周辺のダボス仲間が、習打倒を支援するため、積極的に中国共産党のライバルに加わると決めたのだろうか?

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/02/08/why-on-earth-does-george-soros-want-xi-jinping-to-go/

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 デモクラシータイムス 大本営広報部洗脳機関と違って、闇の集団に、しっかり切り込んでおられる。

【横田一の現場直撃 No.150】れいわ大石 vs 維新その後/国民参院議員、自民に鞍替え!?/石木ダムどうなる、長崎県知事選 20220214

 今日は朝刊をじっくり読んだ。

 東京新聞 一面

 ギグワーカー団交要求 審理大詰め

  「会社が雇った労働者ではないの団交に応じる義務はない」と会社側

 東京新聞 総合面

 石原慎太郎氏の差別発言 いま再び考える

  ギグワーカー記事の続き

働く人任せには限界も

 情報面 メトロポリタン・ブラス 長年のファンだが、1.5倍の売り上げ増に驚いた。

「真ちゅう製カイロ」

 東京新聞 特報面は「馬毛島基地計画 地本市「容認?」揺れる住民」

 東京新聞 「本音のコラム」は鎌田慧氏 神宮の森他の破壊する 虚大事業

 その下は「辺野古・高江リポート」在沖米海兵隊 武器持ち訓練

2022年2月 7日 (月)

背信のエルドアンは大トゥーラーンのためロシアを破壊しているのか?

2022年1月21日
F・ウィリアム・エングダール
New Eastern Outlook

 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、NATOであれ、EUであれ、同盟国と思われる国々との狡猾な取り引きで悪名が高い。だが彼最大の背信は今、プーチンのロシアとトルコの関係に向けられているように思われる。過去二年、あるいはそれ以上にわたり、ウクライナ、アルメニア、シリア、リビアとの取り引き、最近では、カザフスタンで失敗した革命で、エネルギーや高度な防衛装置でロシアに依存しているにもかかわらず、ロシアとの取り引きで、エルドアンは単なる日和見主義だけでなく、実際の背信、信頼への裏切り、寝返りの明白なパターンを見せた。そこで、それは何故かという疑問だ。

 エルドアンとカザフスタン革命未遂

 ISIS風ジハード戦士による少なくとも警官二人のぞっとする斬首を含め、最近のカザフスタンのアルマトイ空港やメディアや庁舎への血まみれの暴動や武装過激派闘士による攻撃から現れた証拠から、二つの平行する不安定化工作があったのは明らかだ。一つはワシントンとEUが「対話」を呼びかけるのを可能にした、エネルギー豊富な国の政府による燃料価格値上げに反対する穏やかな抗議という最初のうわべだ。これはCIAにつながる全米民主主義基金からの何百万ドルもの資金で訓練された「人権」活動家に率いられていたが、おそらくソロス財団-カザフスタンや、CIAやMI-6に操られている他の様々なNGOの可能性がある。これらは、遙かに悪質な政権転覆クーデターの企ての背後にあった一種の「擬似カラー革命」の隠れ蓑だったのは明らかだ。

 より深刻な攻撃は、外国ジハード戦士や、カザフ組織犯罪の親玉アルマン・ジュマガリエフ率いる組織犯罪凶悪犯を含め推定20,000人の訓練されたテロリストによるものだった。この二番目の強暴な集団は綿密な調査が必要だ。CIAとMI-6と共に、エルドアンの諜報機関MITと軍がクーデター参加者の訓練と武装に深く関与していたように思われる。高位の中央アジア機密情報情報提供者によれば、アジア・タイムズ編集者ペペ・エスコバールが、アルマトイ南部の事業拠点に本拠地を置く「「秘密」アメリカ-トルコ-イスラエルの軍-機密情報作戦室があったと言っている。この「センター」には、トルコによって西アジアで訓練され、次にアルマトイに密かに送り込まれた破壊工作暴漢を調整する22人のアメリカ人、16人のトルコ人と6人のイスラエル人がいた。」

 エルドアンとムスリム同胞団

 何年もの間エルドアンは(いずれもロシアで活動禁止されたテロ組織)アルカイダとISISジハード戦士を密かにトルコで訓練し、彼らを密かに国境を越えさせ、イドリブや他の拠点に送り込んで、バッシャール・アル・アサドに対し(事実上、現地のロシア軍に対しても)戦争すべくISISやアルカイダのシリア部門ヌスラ戦線に合流させている。加えて、何年もの間エルドアンは、アラブの春の間も、何十年も前からCIAやMI-6協力している秘密政治イスラム組織(ロシアで禁止されている)ムスリム同胞団と極めて近い。

 2013年、エジプトでムスリム同胞団を打倒したアル・シーシーの軍事クーデター後、推定2万人の幹部がエルドアンのAKPに歓迎されトルコ亡命を認められた。カタールがムスリム同胞団の積極的な秘密支援を減らすよう強いられたため、エルドアンが、この組織の主要な支援者・保護者になった。2020年、ロシア・テレビのインタビューで、シリアのアル・アサド大統領は、トルコの国益ではなく、エルドアンのムスリム同胞団イデオロギーこそが「イドリブでアルカイダのために戦うべく部隊をシリアに違法派兵する大義だ」と述べた。

 エルドアンが、現在ペンシルベニアに亡命中で、エルドアンに対する2016年のクーデタ未遂を企てたかどで非難されているフェトフッラー・ギュレンの巨大組織を信用しなくなり始めるにつれ、エルドアンは新オスマントルコの野心を拡大するため、ムスリム同胞団国際ネットワークに近づいたのは明確だ。フランス人ジャーナリスト、ティエリー・メイサンによれば、エルドアンの諜報機関、国家情報機構MITのハカン・フィダン長官は、ずっと昔の2003年から、中央アジアの旧ソビエト共和諸国中で、トルコ・ジハードの影響を広めるのに積極的だった。今日イスタンブールは事実上ムスリム同胞団の首都だ。

 これは最近カザフスタンでのクーデターの企てに直接関連する。カシムジョマルト・トカエフ大統領政権に対するアルマトイや他の重要な都市での攻撃の重要な現地組織者はナザルバーエフ前大統領の今や追い出された甥、周知のムスリム同胞団メンバー、サマト・アビシだった。アビシはナザルバーエフから2015年に彼を指名して以来の重要な地位国家安全保障会議の第一副委員長の職務を解雇された。ムスリム同胞団はエジプト、バーレーン、サウジアラビア、ロシア、UAEとシリアのような国でテロ組織に指定されている。

 エルドアンが、現在、世界中の他のジハード集団の中でも、事実上のアルカイダとISISの「母親」で、テロリストを支援するムスリム同胞団の主要な後援者である事実と、エルドアンのMITが、MI-6、CIAやイスラエル諜報機関モサドとともに、カザフスタン内で密かにテロリストを攻撃訓練した事実、1月のカザフ武装反乱の主要組織者サマト・アビシが周知のムスリム同胞団メンバーであることの全てが、トカエフを支持するというエルドアンの報道機関への発言にもかかわらず、カザフの出来事におけるエルドアンの役割が報告されているより遙かに中心的だったことを示唆している。

 注目すべきことに、2020年6月、イギリスの外国諜報機関MI-6長官に任命されたのはリチャード・ムーアだ。ムーアは、1990年代初期に、MI-6職員としてトルコで3年過ごし、2014年-2017年、トルコ大使を務めたトルコ専門家だ。ロシアに対するMI-6の役割は多くの人々が想像するより明らかに遙かに深い。トルコ専門家がMI-6長官に任命された事実は大いに重要で、英米の諜報機関がエルドアンのトルコを、旧ソ連のイスラム教諸国全てを不安定するため利用していることは大いにありそうだ。日和見主義者のエルドアンは英米の友人たちを喜んで手助けするのは明らかだ。

 ウクライナ向けのトルコ無人飛行機

 そして、ロシアの安全保障管と経済のため重要な「旧ソ連邦諸国」カザフスタンの不安定化は、エルドアンがプーチンのロシアに圧力をかける唯一の地域から、ほど遠い。ウクライナで、エルドアンは、ロシアに対して大いに挑発的で、モスクワのにとって越えてはならない安全保障の一線である、NATO加入へのウクライナの試みを公然と支持している。彼はドンバスのロシア人に使用するため、無人戦闘航空機バイラクタル TB2をキエフに売った。2014年、ウクライナのマイダンCIAクーデター後、エルドアンはキエフに近づき始めた。2021年4月、コメディアンから転じたウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキーは、アルメニアのナゴルノ-カラバフ戦争でのアゼルバイジャン大成功の後、ウクライナによるトルコ軍無人飛行機購入を話し合うためトルコでエルドアンに会った。ゼレンスキーはロシアとの紛争にトルコの支持を求めた。エルドアンは、住民の12%はテュルク・タタール人であるクリミア半島のロシアの併合を違法だと言って応えた。

 エルドアンは、明らかにトルコ海軍が2014年以前は優位だった黒海のロシア優位を封じ込めようとしている。2021年6月のNATO会議で、NATO事務局長にエルドアンは、黒海であなた方は見えない、黒海で、あなた方が見えないことが、そこをロシアの湖に変える。」と言った。トルコがロシアのガス輸入に対する依存を低減できるよう願っているトルコ最大の天然ガス発見は、黒海沖にある。2020年、約410億ドルのガス輸入の大半がトルコ・ストリーム・パイプラインを経由するロシア・ガスプロムのものだった。トルコから約100海里の黒海新ガス発見が、経済的かどうか明らかではなく、開発には何年もかかりかねないが、エルドアンのロシア挑発を一層危険にしている。発見された推定ガス量はトルコ・ストリームの約13年分の輸入に匹敵する。だが、この発見はロシアに対する動きでエルドアンを明らかに大胆にした

 アルメニアに対抗するトルコの動き

 2020年9月トルコが訓練したアゼルバイジャン軍がアルメニア人が多いナゴルノ-カラバフ飛び領土の脆い停戦を軍事力で破った。トルコ無人飛行機輸出が準備不十分なアルメニア軍に衝撃的打撃を与えただけでなく、トルコのMITが、そこでアルメニア人に対し戦争犯罪を行った経験豊富なジハード戦士をシリアから戦争に補充していたことが後に確認された。

 形勢を一変させたのは、アゼルバイジャンが、アルメニア標的に対して致命的なトルコ軍無人飛行機を配備したことだ。ドローンはウクライナ・エンジンを使いトルコで製造されている。アルメニアはロシアのユーラシア経済連合のメンバーなので、アルメニア領の損失はアルメニアにとってのみならず、プーチンにとっても屈辱的敗北だった。それは中央アジア全体で、トルコの信頼性を大きく押し上げた。

 ランドと、大トゥーラーンの範囲

 2019年にワシントンのランド社は、モスクワの安定性を深刻に弱めるため、国境警備に対する脅威に介入を強いることに的を絞った報告書をアメリカ軍司令部に送った。更なる経済制裁は別として、この報告は「軍事的、あるいは経済的にロシアに手を広げ過ぎさせるか、政権の国内、および/あるいは国際的威信と影響を失わせる」よう主張した。このランド報告書はとりわけ、以下を主張した。ドンバスのロシアに対してウクライナを武装させること、ベラルーシでの政権転覆推進。シリアでのロシア駐留に反対するシリアのジハード戦士に対する支援強化。ナゴルノ-カラバフを含め南コーカサスでの緊張の利用、カザフスタンを含め中央アジアでロシアの影響力を削減。これまでの三年間ワシントンに支援されるロシアに対する行動の多くが、このランド戦略の概要に習っている。

 2009年、エルドアンはイスタンブールに事務局を置くテュルク語諸国協力評議会(テュルク評議会)と呼ばれるものを設立した。メンバーにはアゼルバイジャン、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタンとトルコが含まれる。名目上の目標は、彼らのウェブサイトを引用すれば、彼らの「共通の歴史、共通の言語、共通のアイデンティティーと共通の文化」の強調だ。それはトルコでは、エルドアンの大トゥーラーン、究極的に中央アジアの大半と、イスラム系ロシアの広大な地域、中国の新彊州、モンゴルやイランを含む一種の新オスマン帝国と呼ばれている。彼は極右の民族主義者行動党(MHP)党首デヴレト・バフチェリから11月に貰ったフレーム入りの大トゥーラーン地図を最近見せた

 ワシントンとロンドンの戦略家が、このようなエルドアン野心にわくわくする理由は理解できる。彼らにとって、イスタンブールが中心となる巨大な大なトゥーラーン・テュルク勢力圏を作りたいというエルドアンの願望は、NATOにとって非常に有用だ。機能する国と勢力としてのロシアの破壊に。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/01/21/is-perfidious-erdogan-destroying-russia-for-the-great-turan/

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 当然の結論と思うが嬉しい話題。素晴らしい映画が上映禁止されてはたまらない。LITERA記事。

右派論客のトンデモ発言を収録した映画『主戦場』の裁判で、ケント・ギルバート、テキサス親父らの上映禁止請求が棄却!

 いつからか記憶はないが、彼が画面に出た瞬間テレビを消すかチャンネルを変える習慣で、彼の発言、ほとんど聞いたことがない。

 Change.orgで時宜を得た新規キャンペーンが始まった。

弁護士の橋下徹氏が連日テレビのワイドショーなどに出捲っていますが、どうみても特定の政党の関係者であり不適当だと思うので出演自粛を望みます。

 デモクラシータイムス

進化するコロナ オミクロンの変異と待ったなしの政策転換 児玉龍彦×金子勝【新型コロナと闘う その先の世界へ】20220205

2021年12月 5日 (日)

エチオピア・ティグレ戦争で利益を得るのは誰か?

2021年11月29日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

 誰が戦争をする可能性が高いか知りたければ、ノルウェー(NATO)議会から誰がノーベル平和賞を与えられるか見るだけで良い。彼がアフガニスタンで戦争を拡大させる前、オバマは大統領になってわずか数日で手に入れた。ヘンリー・キッシンジャーは1970年代に得た。そして、二年前、エチオピアのアビィ・アハメド首相はエリトリアと「和平」をして賞を得た。一年の内に、アビィ・アハメドとエリトリアの独裁者イサイアス・アフェウェルキ大統領間の大いに称賛された和平協定で、この二人は、エリトリアと国境を接する州で、エチオピアのティグレ族に戦争を行うことで団結した。二人の同盟は、明らかに有力な以前政権についていたティグレ族少数派を排除することが狙いだった。今拡大する大混乱で、一体誰が利益を得る立場にあるのだろう?

 現在は、ティグレ人民解放戦線(TPLF)の良く訓練されたティグレ・ゲリラ勢力がアジスアベバに接近しており、アビィ・アハメドと彼の士気をなくした兵士がひどい苦境にあるのが現実だ。バイデンのアフリカの角特使ジェフリー・フェルトマンが、現場の背後で、平和的解決のためにではなく、物事を操作していると信じる十分な理由がある。

 名目上、ティグレ州で予定されていた選挙が、新政府のcovid禁止令による延期に服従しなかったことから、アビィが戦争を開始したことになっている。明らかに2018年まで、ほとんど30年間、少数派民族集団としてエチオピアを支配したティグレ族が民衆抗議によってアビィに統治を譲るよう強いられた際、アビィがエリトアの残忍な独裁者イサイアスに、エチオピアのティグレ州を北から侵略するのを認め、アビィ軍は南から攻撃したので、極めて不利だった。イサイアスの兵士は、民族浄化と呼ばれたもので何千人ものティグレ族一般人殺人を実行し、レイプと略奪を含め戦争犯罪を行った。約80,000人と推計されるエリトリア軍がティグレ地域の3分の1を占領した。全ての通信は侵略者に切断された

 イサイアスとノーベル平和賞受賞者アビィ・アハメドは、ティグレTPLFに対して絶滅戦争としか呼べないものを開始した。彼らは地域で食糧供給の包囲攻撃をしかけ、約900,000人が飢餓の縁にあると報じられている。UAEに供給されたと言われる中古無人飛行機でエリトリア軍が土地を爆撃するので、村や市や農場は破壊された。ティグレ指導部と訓練された軍、ティグレ人民解放戦線TPLFはゲリラ戦を展開するため山地に逃れ、アビィはティグレTPLFを公然とエチオピア社会の「癌」、TPLFを「雑草」と呼んだ。

ティグレ逆転

 今ティグレを破壊する戦争が始まって一年、TPLFは、エリトリア軍に占領されたティグレ州の多くを奪還するのに劇的に成功し、反アビィのオロモ解放軍(OLA)とも団結して、首都アジスアベバに向かって前進している。報道によれば、アビィ軍は軍の敗北と大量脱走によって壊滅的打撃を受けた。

 2021年6月28日、強力なエチオピア国防軍が、ティグレを圧倒した7カ月後、TPLFが改名した軍隊、ティグレ国防軍(TDF)が、ティグレ省都メックエルを再征服し、エチオピア人とエリトリア人捕虜の何千人もと行進して入った。ボストンのWorld Peace Foundation専務Alex de Waalによれば、その時点で、エチオピア国防軍20師団のうち「7つは完全に破壊され、3っつは目茶目茶だ」。

 状況は今非常に深刻で、11月下旬、アビィは、TPLFに対して彼の部隊を指揮するため前線に行くと発表した。そして11月初旬、彼は首都防衛のため一般人に集まるよう求めた。しかし彼の軍は報道によれば全くの混乱状態なので、それは権力ではなく、絶望の印だった。アビィはアムハラ人だ。アムハラ人は1億1800万の人口の約35%を占める最大民族集団だ。オロモ人は約27%で、ティグレ人は6%だ。ティグレTDF軍とオロモ軍の連合は、失敗する運命の戦争で、見込みを反転させた。11月中旬時点で、彼らはアジスアベバからおよそ270キロだった。

広がる混乱

 この時点で、アビィの二年にわたるティグレ戦争の最もありそうな結果は、民族内戦でのエチオピア分割と、エリトリアの経済的、政治的混乱への没落だ。評論家のゲーリー・ブレッチャーが、ありそうな結果を説明している。「もしTDF/OLA勢力がアジスアベバ進み「今のエチオピア」を支配すればどうなるだろう?彼らの同盟が数ヶ月で溶解するのは、かなりありそうな事で、この国は州間、更には町間の多民族紛争に陥るだろう」

 ワシントンといくつかのEU諸国は「中立」姿勢を取りながら、戦争を煽る上で秘密の役職を演じている。バイデン政権は、特使のジェフリー・フェルトマンによって、アフリカの角政策を率いられて、11月12日の戦争における役割のためイサイアスと彼のエリトリア軍を制裁し、可能性をTPLFの優位に変えた。

 11月21日、エフライム・イサークの調整でZoomによる秘密会談が行われた。

 エフライム・イサークは、今プリンストンのInstitute of Semitic Studiesに在職し、ワシントンに本拠を置くThe Peace and Development Centerという「紛争予防、紛争解決、平和構築と、エチオピアとアフリカの角における開発のために活動する独立した、全国的非営利、非政府団体」怪しい団体の理事長だ。そのウェブサイトはスポンサーとして、政権転覆カラー革命を専門とするCIAフロント組織を自認する全米民主主義基金や、しばしばCIAの機密活動に関係しているUSAIDと国連を挙げている。

 エフライム・イサークはTPLFの故メレス・ゼナウィ首相に近く、1991年にTPLFを権力の座につける支援で尽力した。最近のZoom会議出席者には、ゼナウィ時代のアフリカ問題担当で前アメリカ代理国防次官補、ビッキー・ハドルストン大使、引退したばかりのアメリカ政府最上級アフリカ専門家の一人、ドナルド・山本がいた。そしてイギリス、フランスとEUの前と現在の上級外交官。彼ら全員ハドルストンが「アビィは退任すべきで、包括的な政権移行期政府が必要だ」と言ったのに同意した。この秘密ビデオ会議はアメリカに率いられるNATO加盟諸国がTPLFを支持するよう格別努力していることを示唆している。

 大エチオピア・ルネッサンス・ダム

 このティグレ戦争はある時点で、論争の的であるスーダンとの国境約45キロ東にある、ティグレ州に近い巨大プロジェクト、青ナイル川ダム、大エチオピア・ルネッサンスダムの運命を問題にすることになるだろう。エジプトと、部分的にはスーダンによる外交で、エチオピアにダムを中止させるための再三の努力にもかかわらず、アビィ・アハメド政権はどんな面でも協力を拒否している。7月、生存のために共に青ナイルの水に依存しているスーダンとエジプトの抗議を無視して、アビィは、多年にわたるダム貯水の第二段階に進んだ。

 大エチオピア・ルネッサンス・ダムは、能力6.5ギガワットでアフリカ最大の水力発電所で、世界で七番目に大きなダムになる。それは、ナイル水流の85%の起源、北エチオピア高地から始まる青ナイル川の全水量より多く、740億立方メートルの水を蓄えることができる。エジプトが、密かにであれ、ティグレ側に介入する誘惑は強く、実際一部の報道によれば進行中かもしれない。もしそれが、ダムを破壊するための介入だったら、アフリカの角からカイロにまで及ぶ戦争の導火線に火をつけることになるだろう。とりわけそれは明らかに、地中海を経由する唯一のインド洋への接続路、アフリカの角を通る海運に影響するだろう。それは世界で二番目に大きな商用海路である紅海の入り口だ。

 エルドアンのトルコもアフリカの角に関与している。11月21日、トルコのアンカラで、ソマリア軍参謀総長オドワー・ユースフ・ラーゲー大将がフルシ・アカル防衛大臣と会談し、政治的、軍事的協力を論じたと報じられている。トルコはアビィ・アハメドの軍に軍用無人飛行機も供給している。ソマリアのモハメド・アブドゥラヒ・モハメド「ファルマージョ」大統領は、エリトリアとアーメドとともに対ティグレ戦争に参加した。ソ連に後援されたエチオピア軍に破られる前、ソマリアは1977年のエチオピア、オガデン地域侵略でエチオピアを侵略した。トルコの支持を得て、ある時点で、特にティグレ族がアジスアベバをとれば、ソマリアは再びエチオピアを侵略する好機だと決断しかねない。

 エチオピア内戦で、スーダン軍も同様に、エチオピアとの戦争から利益を得られるかもしれないと判断しかねない。既にエチオピアのアビィは、戦争を利用して、エチオピア領域を掌握したと言ってスーダンを非難している。軍が民間人総理を追放する、わずか一日前に、アメリカ特使でカラー革命専門家のジェフリー・フェルトマンが、10月、ハルツームにいて、スーダン軍と会っていた。策略にたけフェルトマンが、軍の動きで、どんな役割を果たしたかは不明確だ。民間人アブドラ・ハムダック首相が職についても、明らかにスーダン軍は今権力を掌握している。何万人ものティグレ戦争難民が国境を越えてスーダン側に逃げた。大いに不安定な状況だ。

 11月23日、アメリカ特使ジェフリーフェルトマンは、エチオピアを訪問し、後に、アビィが彼に、国の北に彼らの地元地域に戻すよう、ティグレ軍を押し返せると確信していると言ったと発言した。フェルトマンは「私はその確信は疑問に思う」と述べた。それはティグレ勢力が彼らが得た領域かの撤退を要求すると主張するアメリカ特使にしては奇妙な発言だ。バイデン政権が、選出されたアビィ・アハメド政権を本気で支援し、エチオピアの崩壊を防ぐつもりなら、そうすべく、明らかにもっと多くのことができたはずだ。

 この全ての地政学スパゲッティボウル状態の中には、一帯一路構想にエリトリアを歓迎し、ジブチで重要な米海軍基地キャンプ・レモニエ近くに海軍基地を設立し、国有中国商社集団がジブチのコンテナ港、ドラレ港の共同所有権の大半を得て、アフリカの角にも拡大している中国の存在がある。ジブチも中国の一帯一路構想参加国だ。ジブチは紅海とインド洋両方へのアクセスを支配し、ヨーロッパ、アジア太平洋、アフリカの角とアラビア湾をつないでいる。それはバブアルマンダブ海峡でイエメン対岸にある、エチオピア唯一の貿易航路だ。

 中国はティグレ戦争の中、低姿勢を維持しているが、それは紅海沿いに、アフリカの角からエジプトまでの地域支配における新たなグレート・ゲームの可能性を示唆している。ティグレTPLFに対するアメリカの密かな支持と、この地域におけるフェルトマンの役割が、シリアとアラブの春カラー革命で、フェルトマンの助力でそうしたように、再び大混乱を引き起こすワシントンの決意が固いことを示唆している。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/11/29/who-gains-from-ethiopia-tigray-war/

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 『私の闇の奥』でこの紛争にまつわる記事「エチオピアとエリトリアが危ない」を拝見して以来気になっていた。

 @niftyニュースというか、「ごみ記事」にびっくり。世間ズレした感覚でウソを書いているのはお前たちだ!

鳩山由紀夫氏の「汚染水」ツイート物議 "宇宙人"のあだ名通り世間ズレした感覚を持つ2021年12月04日 11時30分 リアルライブ

 呆導機関、犯罪組織。マスコミとされるもの、ほとんどが犯罪的売国組織。

 トリチウムだけでなく多数の核物質を完全に取り除けていない水は、東電や政府が「処理水」と呼ぼうと、実態は「汚染水」。

 岩波書店の月刊誌『世界』連載中興味深く拝読したが、本は更に増強されているようだ。拝読する必要がありそう。彼の連載は終わる一方、忖度満載コロナ記事は続いている。

 デモクラシータイムス

山岡淳一郎 コロナ戦記【著者に訊く!】 20211123

 デモクラシータイムス

立憲新体制、参院選戦えるか! WeN20211204

 植草一秀の『知られざる真実』

守旧勢力に加わる立憲民主党

 軍産複合体代表、戦争をあおるのが仕事。

※「台湾有事は日本有事」 安倍元首相が台湾のシンポでオンライン講演(朝日新聞、2021年12月1日)
https://digital.asahi.com/articles/ASPD15JM0PD1UHBI01K.html

 日刊IWJガイド

■<本日のタイムリー再配信>本日夜19時半より、「『台湾有事』急浮上で各国の軍拡競争激化 日本列島はミサイル要塞化! 新INF条約を樹立することは可能か?~岩上安身によるインタビュー第1047回 ゲスト 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員(2)」をお送りします。

視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

2021年11月18日 (木)

今度はグローバル肥料供給の組織的解体?

2021年11月12日
F・ウィリアム・エングダール
New Eastern Outlook

 ここ数ヶ月、世界的なエネルギー不足で、石炭、石油と天然ガスの価格を爆発的最高価格になったのは、愚かな政府が、頼りにならない、益々多くの太陽光や、風力発電に助成金を支給する、狂った「炭素排出無し」経済政策推進の予測可能な結果だ。一つの結果が、世界中での天然ガス、つまりメタン価格の5倍上昇だ。それは、中国からEU、アメリカや他の国々にまで拡張している。天然ガス欠乏と価格爆発の続く結果が、世界農業肥料生産で増大する危機だ。これは全て決して偶然ではないかもしれない。それは国連2030のWEFグレート・リセット・アジェンダにぴったりはまるのだ。

 (空気の大半であり、決して欠乏にはならない)窒素から作られたアンモニアを基盤とする肥料と天然ガス、つまりメタン(CH4)が、小麦や、トウモロコシ、米やコーヒーのような主要農業収穫を助けるために使われる全肥料のほぼ70%を占めている。天然ガス価格が、ここ数ヶ月にわたり、300%から500%まで急騰するにつれ、アンモニア肥料を作る費用の約80%が天然ガスである世界肥料生産に衝撃的影響を与えている。

 8月25日に、ハリケーン・アイダが、ルイジアナを襲った時、CFインダストリーズが所有する世界最大のアンモニア工場コンプレックスは安全の理由で閉鎖され、10日後に再開された。奇妙にも、その時点で、9月22日、ルイジアナ工場が10日間休業していたにもかかわらず、イギリスの同じCFインダストリーズの更に二つの工場が、高い天然ガス価格が原因だと主張し、更に二つの肥料工場を閉鎖すると発表した。この二つの工場は、イギリス国内肥料需要の約3分の2を供給している。圧力を緩和するため、政府は一時的に2つの工場の一つを再開すべく、CFインダストリーズへの緊急助成に同意することを強いられた。同じグループによる3つの工場閉鎖の総合的影響が世界肥料供給危機に上積みされた。CFインダストリーズの2つの最大株所有者がヴァンガードとブラックロックなのは偶然の一致に過ぎないかもしれない。

 この危機は雪だるま式にふくれる。10月初旬時点で、巨大ドイツ化学企業BASFが、ベルギーとドイツでのアンモニア肥料の無期限生産停止を発表した。それはアンモニアを基盤とする軽油添加物アドブルー生産にも影響する。

 さらなる閉鎖は、リトアニアのAchema、オランダのOCIでも進行中だ。ヤラ・インターナショナルナはEUアンモニア肥料生産を40%減らしている。スペインのフェルティベリアはウクライナのOPZと共に主要肥料生産企業を閉鎖している。オーストリアのボレアリスAGは生産を終え、ドイツ最大のアンモニア生産企業SKW Piesteritzは生産を20%削減した

 グローバルな肥料危機を悪化させて、8月バイデン政権は、「ベラルーシ国民を犠牲にして、ベラルーシ政権を維持する」かどで、世界で4番目に大きな肥料生産者ベラルーシカリ OAOを指名してベラルーシ政府に制裁を課した。ベラルーシカリは炭酸カリウムを基盤にした肥料市場の世界の約5分の1を支配している。

グローバル食品安保の中心

 窒素ベースの肥料は、世界の農業で、全ての業務用肥料の約4分の3で最も広く使われている。第一次世界大戦直前、ドイツにおけるハーバー・ボッシュ法の開発以来、人工窒素肥料生産が農業生産性の巨大な拡大を後押しした。窒素肥料はハーバー・ボッシュ法で生産されたアンモニア(NH3)から作られる。それは水素供給のため、天然ガス、メタン(CH4)を使うエネルギー集約的なものだ。このNH3、つまりアンモニアは、無水硝酸アンモニウム(NH4NO3)や尿素(CO(NH2)2)のような他の窒素肥料の工業原料として使用される。農産物収穫高は第二次世界大戦以来、窒素ベースの肥料に大きく依存している。アメリカでは、窒素肥料なしでは、トウモロコシの平均収穫が40パーセント下落すると推定されている。

 現在、おそらく世界人口の半分が、窒素肥料に依存すると推計されている。科学雑誌ネーチャーで発表された研究によれば、2008年、世界人口の48パーセントが毎日の食物入手で窒素肥料に依存している。「これは2015年、そうでなければ餓死したはずの350億人の人々に、窒素肥料が食品安全保障を提供したことを意味する。」

中国ショック

 発電用石炭や天然ガスの欠乏や、国内インフレを制御しようという、うろたえた試みを含め、様々な理由で、ひどく肥料輸出を削減したり、凍結したりするという、ここ数週間の北京による決定が、増大するグローバル肥料欠乏に強い衝撃を加えている。河南省の記録的な夏洪水が中国穀物の中心地域を襲い、食品廃棄物削減のため、政府は国民に、重大な収穫失敗を隠す方法だと一部の人々が信じている「光盤行動(きれいに食べ尽くす) 2.0″をさせ始めた。

 中国、インドとアメリカは、一エーカーあたりトンで窒素肥料の世界最大ユーザーだ。中国は最大の肥料輸出国の一つでもあり、9月に政府は、2022年6月まで、窒素とリン酸塩肥料の輸出禁止を発表した。中国が輸入する石炭同様、世界的な天然ガス価格急騰のため、赤字で電力を売るより操業停止する電力会社のおかげで、中国では大規模停電が起きている。複雑な危機の一つの結果が、肥料輸出禁止令だ。中国は、尿素窒素肥料のグローバル供給のほぼ3分の1を占める最大輸出国で、リン酸塩の主要製造国でもある。

 南ドイツ、ババリアでは、農民は少なくとも来夏まで肥料を買えないと報じられている。広がるグローバル肥料危機は、2022年、飼料トウモロコシ、小麦、米、コーヒーや他の農作物の急減を意味するだろう。これが、covid対策と世界海運の崩壊によって更に悪化させられ、数十年で最も急激な食品価格インフレーションの中で起きている。

COP26メタン攻撃

 増大する世界的肥料欠乏の背後にある危機は、メタン、あるいは通常天然ガスと呼ばれるものの価格5倍という爆発だ。これは、メタンや天然ガスを含め、2030年までにCO2排出を55%削減する「Fit for 55」プログラムという、バイデン政権や欧州連合の意図的な「反炭素」の環境保護政策が起源だ。バイデン政権はアメリカ・シェールガス処分を強制し、風力や、太陽光などを大いに助成するグリーン電力の強制的拡大は、当てにならない電力網を作った。風が吹かない、あるいは太陽が照らない時には、代替電力は見つからない。蓄電は大問題だ。太陽光や風力が電力の、ごく小さな部分であるときには、それほど深刻ではなかった。けれども今日エネルギー不足のドイツのような国では代替源が総電力消費の42%を占めている。ゼロ炭素狂気のために、原子力発電や石炭発電が絶滅の運命を課されているから、石油と天然ガス価格が爆発している。その結果、炭化水素の利用に対する新規投資が崩壊し、皆にそれが必要な時に、供給が制限されているのだ。

 増大する世界肥料生産危機は、国連アジェンダ2030や、クラウス・シュワブの世界経済フォーラムや、管理する資金が9兆ドルに上るとされるウォール街の世界最大民間投資企業ブラックロックのようなグローバリストが、肉生産高を劇的に減少させ、タンパク源を、研究室で増やした培養肉や虫にさえ置き換える(原文のまま)「持続可能」農業にぴったり合うのだ。

 農業と、特に、地球温暖化現象の主要原因だと主張される肉生産の悪魔化が拡大している。今メタンは、アメリカとEUにおける環境重視の取り組みの主要標的だ。注目すべきことに、最近の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、約100の国が2030年までに30%メタンガスの排気ガスを削減するEU-アメリカ共同提案に参加した。急騰する肥料価格につけこんだ、政府と非政府組織NGOによるフードシステムに対する攻撃が、肉反対運動や「持続可能な」農業への要求が、今急騰している食物の費用を更に引き上げると予想できる。この攻撃の鍵は、今日の世界経済、第二次世界大戦以来、貧困からの脱出の中心である低コスト・エネルギー・システムでしある石油、ガスと石炭に対するグリーンニューディール戦争だ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/11/12/now-the-organized-takedown-of-global-fertilizer-supply/

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 朝の番組、日本の選挙には金がかかるという話題を延々。『さよなら! 一強政治――徹底ルポ 小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』を読んだ直後なので、びっくり。著者の三井マリ子氏が出演していたらと無理な夢想をしてしまう。カネがかからない選挙が可能なのに、そういう情報を全く知らされず、目の前の腐敗した選挙制度の中で無力感だけ深まるよう仕組まれている属国。だから、植草一秀氏新記事に同意。

 植草一秀の『知られざる真実』

 野党共闘誹謗の組織的背景

 デモクラシータイムス

<晋三復活、百合子の病気>【山田厚史の週ナカ生ニュース】

2021年10月27日 (水)

ロックフェラーの悪質な食料システムの狙い-作った本人が今破壊したがっているもの

2021年10月21日
F・ウィリアム・エングダール
New Eastern Outlook

 ロックフェラー財団ほど、我々の世界的な農業と食料の品質に大きな損害を与えた集団はない。戦後、1950年代初期、彼らが「アグリビジネス」と命名した垂直統合を発展させるため、二人のハーバード・ビジネスクール教授に資金を供給し始めた。農民の重要性は最低になった。彼らは1960年代に、メキシコとインドで、詐欺的なグリーン・レボリューション、2006年に、GMO推進派の「アフリカ緑の革命のための同盟(Alliance for a Green Revolution in Africa=AGRA)を作った。ロックフェラー財団からの金が、文字通り、有毒なグリホサート殺虫剤を使う破滅的な遺伝子組み換え作物GMO植物を生み出したのだ。今またしても、この財団は世界的食物と農業の主要政策の大規模変更を進めており、これは良くないことだ。

 彼らの最近の報告 True Cost of Food: Measuring What Matters to Transform the U.S. Food System(食物の本当の経費:アメリカの食料システムを変えるには何が重要か)で、ロックフェラー財団は、我々が食物を生産する方法を根本的に変え、我々がどのようにその本当の経費を計算するかという画策に本格的に関与している。彼らは、進行中のCOVID封鎖危機の中で「持続可能な」農業を作るための国連を通した世界的合意の一環だと主張している。積極的な変化どころか、それは根本的に、我々の健康な食物への入手と我々の食物選択を根本的に変えることを意図しているのだ。二年間で二本目の食物報告書を発表した財団は、この動きを率いるため、ダボス世界経済フォーラムと巨大農業関連企業と組んでいる。連中の新しいスローガンは「食物の本当の経費」だ。

 本当の経費?

 財団会長のラジブ・シャーがこう書いている。「我々はアメリカの食料システムの影響を測定するため、この分野の専門家や賛同者と協力して一年費やした。その結果が、食物の経費を我々が、より正確に測定するのを支援する初めてのアメリカ全国規模の測定基準だ。この新たな分析により、政府や賛同者や食料生産者や人々は、我々の食料システムを、より栄養豊富で、より再生的で、平等なものに変えるための態勢が整うことになる。」

 この発言には綿密に検討しなければならない部分がある。この連中は国土政策専門家だ。実際には、現在の工業化されたグローバル化された食物連鎖や、このプロセスが、家族経営農家のみならず世界中の農業や食べ物の品質にもたらした破壊に責任があるロックフェラー財団自身が今や自分が作り出した食物の莫大な外部費用を責めているかのようだ。だが彼らは巨大農業関連企業ではなく、貪欲な家族経営農家が悪いかのように書いている。

 シャーはこう述べている。「この報告は警鐘だ。現状アメリカの食料システムは、我々の環境や健康や社会に悪影響を与えている。」シャーのロックフェラー研究はこう述べる。「現在のアメリカ食料システムの構造は人々や社会や地球の健康に大きな影響をもたらしている。地球温暖化現象、生物多様性の減少、水や大気汚染、食品廃棄物や食事に由来する病気の増加は、現在の生産体制の意図しない重要な結果だ。」これは不吉だ。

 研究はこう付け加える。「社会の隅に追いやられ、サービスを十分受けていない共同体、しばしば有色の、多くの人々が社会を支える農民や漁師や牧場労働者や食物労働者であるを共同体が、こうした経費の重荷を不釣り合いに負担している」。

 オランダの組織、True Price Foundation(本当の価格財団)を引用して、アメリカ人が毎年食料に支払ってているアメリカ食料システムの「本当の経費」は、人々の健康や暮らしや環境に対する影響を考慮すると、1.1兆ドルではなく、少なくとも3.2兆ドルだと計算している。この莫大な経費増は、主に、ガンや糖尿病を含む健康への影響や、彼らが「持続不可能な」農業と呼ぶもののCO2排出量のような環境効果を含めて計算される。True Price Foundationの取締役会メンバーは三人おり、世界でも主要な農業関連産業銀行の1つ、ABNアムロの元銀行家ハーマン・マルダー、世界の主要巨大農業関連企業の一社、ユニリーバNV経理・財務担当者でCFO(1981-2002)だったチャールズ・エバース、ロンドンに本拠を置く世界最大の法律事務所の一つアレン&オブリー、パートナーのジャスパ・デ・ヨングだ。これが、ロックフェラー報告書のために、一トンのCO2や他の抽象概念の経費に値段を付ける陰のチームだ。重要なのは、CO2は地球全体の温度上昇の原因ではなく、全ての生命にとって無害で不可欠な要素であることだ。

 ロックフェラー報告「食物の本当の経費」に貢献した人々には、ロースクール教授、大学の経済学者、世界野生生物基金(WWF)とTrue Price Foundationがいるのも注目に値する。農民団体は一つも入っていない。

 この報告書は、アメリカ食糧生産の主要な「隠された」経費は、健康や環境に対する農業の悪影響に由来するとしている。「責めるべき最大の経費は、人の健康や環境や生物の多種多様性の喪失を悪化させる悪影響だ。」彼らはこの全てを数値で示した。例えば、直接的な環境負荷には、彼らが年間3500億ドルの経費が発生すると主張する、GHG(温室効果ガス)排出や、水の使用、土壌の浸食がある。そして土地、土壌使用や水や大気汚染の結果としての、生物の多様性に対する影響は、アメリカ経済に4550億ドルの経費を負担させていると主張する。彼らは更に、アメリカの食料システムの健康経費を計算する。ここで報告は、肥満や、世界的に主な死因である心臓血管病や、がんや糖尿病や他の非伝染病の、経済に対する経費を含んでいる。これは、おそらく我々の「本当の」食料品の経費に更に1兆ドル加わる。主張されるように両方の影響に合計すると、食物に推定2.2ドルの外部経費約1.8兆ドルを加える。不正なアメリカ医療制度による、これら病気の経費を計算して、全てが農業の罪だというのは、オバマケア保険が発効して以来、膨れ上がった医療費を無視している。ちなみに、1910年に、カーネギー財団とともに、フレクスナー報告を使って、ロックフェラーこそが現代の医療制度を作ったのだ。だが、それはまた別の話だ。

 1950年代以来、アメリカで、巨大農業関連企業が食糧生産を工業化したことが、かつて生産性が高かった家族経営農家を、工業農業体制における、モンサント-バイエルやダウ・デュポン(Corteva)GMO種子や、農薬独占の体制、タイソンやスミスフィールドのような巨大食肉処理企業や、ウォルマートホールフーズのような巨大小売企業の付属品に変えてしまった事実は疑いようもない。だが、この報告書は、典型的な家族経営農家が悪いと示唆している。牧場で飼育された牛肉が、研究室で育てられたGMO牛肉や類似品に置き換えられる中、これは更に有害な農業グレート・リセットの下準備だ。最近、農務省は、農業における温室効果ガスの「主要源は、窒素ベースの肥料生産、石炭、ガソリン、軽油や天然ガスのような化石燃料の燃焼、廃棄物処理だ。家畜の腸内発酵、つまり反芻動物の消化器系で起こる発酵がメタン排気をもたらす。」と書いた。

 つまるところ、現在のアメリカの食糧生産に問題があり、根本的で高価な変化が緊急に必要だというのだ。報告書を読む上での困難さは、表現が意図的にあいまいで、欺瞞的なことだ。例えば、1990年代以来、アメリカ農業の最も有害な要素の一つは、GMO作物、特に大豆、トウモロコシや綿や、グリホサートで大いに発がん性があるモンサント-バイエルのラウンドアップの大規模導入だった。ロックフェラー報告は、それが破壊的だったことを知りながら、何十年間もモンサントとGMOを作り、宣伝し、破壊を促進する上での彼らの直接の役割に触れていない。ロックフェラー財団の政策は、遺伝子編集された農作物GMO.2を導入し、特許で高価な選択肢を優位にするため、アメリカの現在の農業を、余りに高価で、「持続可能でも」「包括的」でもないと主張して破壊することだ。2番目に大きいグローバル食品生産者、EUが彼らの次の標的だろう。

 AGRA、ゲイツとダボス

 ロックフェラー財団の主要人物の背景を見れば、この思惑は驚くべきことではない。理事長のラジブ・シャーは、ビル&メリンダゲイツ財団出身で、彼は農業開発部長だった。ゲイツ財団で、シャーはアフリカ緑の革命同盟AGRAを立ち上げるためロックフェラー財団と協力していたのだ。彼は、最近シャーが、経済成長と回復の新しいアジェンダに関するWEFグローバル・フューチャー・カウンシルの共同議長を務めた、グレート・リセットの導師クラウス・シュワブのダボス世界経済フォーラム(WEF)と密接につながっている。そこで彼は「政府は、緑の包括的成長に向かって市場を積極的に形成しなければならない」と書いている。

 アフリカ緑の革命同盟AGRAは、貧しいアフリカの小規模農家に、莫大な費用でGMO種子と対応する殺虫剤を押し付けようというプロジェクトだ。それはアフリカ農民にとって、農業大惨事だった。AGRAモデルはロックフェラー財団とWEFとゲイツ財団のような同盟者連中の表だっては言わない思惑を理解する上で重要な役割を演じている。シャー支配下の下ロックフェラーでの農業計画責任者は、フード・イニシアティブの上級副社長ロイ・スタイナーだ。スタイナーはゲイツ財団で、シャーと共に、アフリカでGMO推進のAGRAを立ち上げるため働いていた。

 AGRAとそのGMO計画におけるシャーとスタイナー両者の重要な役割は、ロックフェラー社が、アメリカ農業の急進的転換をどのように計画しているか洞察するのに有効だが、それは邪悪だ。報告書は、それでCO2とメタンガス排出を減らし、植物を基本にする選択肢を導入すると言う。ビル・ゲイツは、研究室で増やした偽肉を、遺伝子編集を使うイミテーション肉会社Impossible Foodsという新興企業に共同で資金供給した。彼は合成牛肉が気候変動に対処するための必要戦略だと強く主張し、アメリカ人や他の西欧諸国が100%合成牛肉の食事に替えなければならないと述べている。これ以上牛をなくし、ガス排出をなくすのだ。

 ダボス、ロックフェラーと国連食料システムサミット

 影響力を持ったロックフェラー財団の農業アジェンダ、ダボスWEFや国連のアジェンダは全てがグレート・リセットや、国連アジェンダ2030の「持続的農業」で合流している。2021年9月23日、国連はニューヨークで「食料システムサミット2021」を主催した。2021年の食物システムサミット議長は、国連事務総長特使のアグネス・カリバタだった。彼女の選択には、彼女がアフリカでゲイツ-ロックフェラーAGRAの総裁である事実から、多数のNGOが激しく反対した。アジェンダ2030の持続可能な目標を達成することに対し、アントニオ・グテーレス国連事務総長はサミットは「行動の10年」の一環だと発表した。元国連食品への権利特別報告者のオリヴィエ・デシュッターは、食品サミットはダボス世界経済フォーラムでの「密室での合意」の結果だったと述べた。

 2019年6月、国連で、WEF主催者クラウス・シュワブと国連のグテーレスは「持続可能な開発のための2030アジェンダの実行を促進する」ため正式提携に署名した。一年後、covid大流行のさなか、クラウス・シュワブは、国連事務総長アントニオ・グテーレス、国際通貨基金のクリスタリナ・ゲオルギエワとともに、テクノクラシー支持のグレート・リセットを発表した。ダボスと国連とロックフェラー財団は全て、人類の将来の健康と食物に良くない同じな思惑で動いている。これは陰謀理論ではない。それは本物の陰謀だ。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/10/21/sinister-rockefeller-food-system-agenda-they-created-it-and-now-want-to-destroy-it/

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 孫崎享氏の説明で、甘利が強力な権力を持っている背景や、高市や岸田が国防予算倍増を言い立てる理由が分かった。所詮自民党はジャパン・ハンドラーの傀儡。最大の目標は、宗主国の傭兵となるための憲法破壊。

時事放談(2021年10月) 鳩山友紀夫×孫崎享

 今日の孫崎氏メルマガ題名

今次選挙で野党共闘の意義は極めて大きい。野党共闘の意義を理解する必要がある。目指すもの、それは四党合意に明確。今一度。①憲法に基づく政治の回復、②格差と貧困を是正、③原発のない脱炭素社会を追求、➃権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現

 大本営広報部洗脳機関は決して強調しない事実を、日刊IWJガイドは書いている。インタビュー、昨日短時間拝聴した。

【衆院選前に必見! 改憲による緊急事態条項導入の危険性! エッセンス版】改憲で緊急事態条項が通れば「国民に『お前らの財産没収します!』なんてこともできます!」と明石順平弁護士が危惧! 岩上安身によるインタビュー 第937回 ゲスト 『データが語る日本財政の未来』著者 明石順平弁護士 第3弾

2021年10月15日 (金)

グリーン・アジェンダ、このエネルギー危機は他の全てとどう違うのだろう

2021年10月11日
F・ウィリアム・エングダール
New Eastern Outlook

 全ての在来型エネルギー源の価格が世界規模で爆発している。これは偶然からはほど遠く、ほぼ2年にわたる、ばかばかしいcovid検疫隔離や関連措置によって既に劇的に弱められた産業世界の経済を潰すよう、うまく画策された計画だ。我々が目にしているのは重要な石油や石炭や今特に天然ガスのエネルギー価格爆発だ。これが1970年代のエネルギーショックと違うのは、今回、早ければ今後数ヶ月で、工業社会の崩壊を確実にする詐欺的な環境(E)社会(S)カバナンス(G)のグリーン投資モデルを使った企業投資世界で、OECD諸国政府が、恐ろしく非能率的で、当てにならない太陽光や風力を奉じながら、未来の石油やガスや石炭に投資していないがゆえに進展していることだ。劇的な見直しを拒んで、EUと他の産業経済諸国は意図的に経済自殺をしているのだ.

 わずか数年前には、豊富な、信頼できる、効率的で手頃な価格のエネルギーを確保して経済を動かすのが当然だと認められていた。効率的エネルギーがなければ、我々は鋼鉄も、コンクリートも、原材料や近代経済を支える、どんなものも採掘できない。ここ数ヶ月で、世界の発電用石炭価格は2倍になった。天然ガスの価格は、ほとんど500%上がった。石油は1バレル90ドルに向かっていて、これまでの7年で最高だ。これは、時に、ダボス・グレート・リセット、あるいはグリーン・アジェンダ(環境重視取り組み)ゼロ炭素狂気と呼ばれるものにより計画された結果なのだ。

 約20年前、ヨーロッパは間違った名称で呼ばれる「再生可能」別名グリーン・エネルギー、主に太陽光と風力への大転換を始めた。EU産業の中心ドイツはメルケル前首相の準備不十分なEnergiewende(エネルギー移行)で、この転換を率い、ドイツ最後の原子力発電所は2022年に閉鎖予定で、石炭発電所は段階的に急速に廃止されつつある。この全てが、今グリーン・エネルギーが大規模電力不足に対処できない現実にぶつかったのだ。この危機は完全に予測可能だった。

 グリーンの因果応報

 2020年、広範囲にわたる産業と旅行のcovid封鎖で、EU天然ガス消費量は劇的に減少した。最大のEUガス供給元ロシアのガスプロムは、秩序ある長期的市場のため、損をしてさえ、EU市場への供給を正当に減少した。異常に穏やかな2019年-2020年の冬が、EUガス貯蔵を最大にするのを可能にした。2021年の長い厳しい冬が、ほとんどその全てを消し去った。

 EU政治家の主張に反し、ガスプロムはドイツへの新しいNordStream2ガスパイプラインの承認を強制するためにEUに策をろうしたわけではない。2021年最初の6カ月に、EU需要が再開したから、ガスプロムは、今冬ロシアのガス貯蔵補充さえ犠牲にして、早々それに対処し、記録的な2019年の実績レベルさえ越えた。

 グリーン・エネルギー方針と、温室効果ガス55%削減の「Fit for 55」パッケージに堅く誓約したEUは、天然ガスを長期的選択肢として明示的に拒絶し、同時に石炭と原子力発電を潰し、2050年までに100%CO2なしの社会を正当化したシンクタンク気候モデルの無能さの因果応報なのだ。

 ウォール街とロンドンの金融投資家が、グリーン・エネルギーアジェンダによる莫大な恩恵を見て、ダボス世界経済フォーラムと協力して、ばからしいESG投資モデルを推進したために、在来型石油やガスや石炭企業は、利益を生産拡張に投資していない。2020年、世界的に、石油、ガソリン、炭への支出は推定1兆ドル減った。それは戻って来ない。

 ブラックロックや他の投資家が「持続可能な」エネルギーを支持して、ほとんどエクソンモービルや他のエネルギー企業をボイコットする状態で、ヨーロッパでも、冬が非常に寒く長い北ドイツでの記録的な風の欠如で、9月初旬、世界LNG市場で、ガスのパニック買いを引き起こした。

 問題は、通常であれば購入可能なはずのアメリカやカタールの最も購入可能なLNGや他のエネルギー源は、オーストラリア石炭に対する政治的禁止令を含め、既に同様に混乱したエネルギー政策で、工場閉鎖と「どんな犠牲を払っても」ガスと石炭を確保する最近の政府命令に至った中国に売られていたので、補充には遅すぎたのだ。カタールやアメリカのLNG輸出業者や他の連中も、文字通り、EUを寒さの中に放置し、アジアに集まったのだ。

 エネルギー規制緩和

 ヘッジファンドのような投機家やブラックロックやドイツ銀行のような投資家に有利なように、エネルギー消費者に損をさせるよう、現在のグリーン・エネルギー市場が、どれほど不正に操作されているかを、ほとんどの人々は理解していない。ヨーロッパで売買された天然ガスのヘッドライン価格、オランダのTTF先物契約はロンドンに本拠地があるICE取引所によって売られる。それはEUの1カ月、2カ月、あるいは3カ月の先物卸し天然ガス価格がいくらになるか思惑売買しているのだ。ICEは、とりわけ、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、ドイツ銀行とソシエテ・ゼネラルに支援されている。この市場は、ガス先物契約、あるいはデリバティブと呼ばれる。

 銀行や他の連中は破格の安値で思惑売買でき、今度の冬のEUガス貯蔵所がどれぐらい少ないかについてニュースが突如知れわたった時には、金融サメが餌の奪い合いをした。10月初旬、オランダTTFのガス先物価格が、わずか数日で、未曾有の300%に爆発していた。2月以来、それより遙かに酷く、3.4兆BTU(英熱量)の標準的LNG貨物が今10000-12000万ドルもするが、他方2月末、そのコストは2000万ドル以下だった。7カ月で500-600%の上昇だ。

 根本的問題は、戦後の大部分の時期と異なり、当てにならない、コストが高い太陽光、風力という「再生可能」エネルギーの政治的推進によって、EUや他の場所(例えば2021年2月、テキサス)で、グリーン代替物を推進し、ガスと石炭を追放するため、それらのCO2排出を、2050年までにゼロに減らせなければ、人類の未来を危険にさらすという疑わしい主張で、意図的に発電市場とその価格を規制緩和したことだ。

 最終消費者が負担する価格は、競争条件下にある異なる原価をまとめるエネルギー供給業者に設定される。EUの電気価格が計算される極悪非道な方法は、非能率的な太陽光と風力を推進し、従来の発電源を阻止するよう計算されているとされ、フランスのエネルギー評論家Antonio Hayaが言う通り「需要を満たすために必要な電源組み合わせのうち最も高価な発電所(利益がほとんどでない発電所)の価格が、使われる全て発電の生産時間に設定される」。だから現在の天然ガス価格が本質的にコストゼロの水力発電の電気価格を決めるのだ。急騰する天然ガス価格という条件が、EU電気コストを決定している。これは、投機家に有利に、家庭や産業を含め消費者を破滅させる邪悪な価格設定構造だ。

 豊富な石炭、ガスと石油の最近の欠乏を基本的に悪化させている原因は、はなはだしく非能率的で、当てにならない太陽光や風力を強化するため、投資を、全て完全に安全で必要なエネルギーである石油やガスから離れるよう強要するブラックロックや他のグローバル金銭信託による決定だ。連中はそれをESG投資と呼んでいる。2019年にブラックロックのCEOローレンス・フィンクがクラウス・シュワブ世界経済フォーラム委員会に加入した時以来、ウォール街や他の世界金融市場における最近のどんちゃん騒ぎだ。彼らはESGの「政治的に正しい」格付けを賞賛し、従わない人々を罰するESG認証会社を設立した。ESG投資への殺到で、ウォール街やお友達連中は何十億も稼いだ。それは世界の大半にとって、石油や石炭や天然ガスの将来の発展にブレーキをかけたのだ。

 「ドイツ病」

 太陽光、風力への20年にわたる愚かな投資の後、かつてはEU産業の旗艦だったドイツ内で、今我々はドイツ病と呼べるものの犠牲者だ。経済的オランダ病のように、グリーン・エネルギーへの強制された投資は、信頼できる手頃な価格のエネルギー不足をもたらした。もっぱら証明されていないIPCCの1.5Cという主張のおかげで、2050年までにゼロ炭素を実現できてなければ、我々の文明は終わることになっている。

 EUグリーン・エネルギーアジェンダを推進するため、多少の例外はあるにせよ、次々と各国が石油やガスや石炭や原発さえ廃止し始めた。ドイツの最後に残った原子力発電所は来年完全に停止する。最新鋭の大気汚染物質除去装置がある新石炭発電所は稼働前にさえ廃棄されている。

 ドイツの例は益々ばかばかしくなる。

 2011年、メルケル政府は、ドイツが2050年までに100%再生可能な発電を達成できることを、示したマーティン・ファウルシュティヒとドイツ環境諮問委員会(SRU)が開発したエネルギー・モデルを採用した。彼らは原子力発電をより長く使う必要も、炭素隔離貯留技術(CCS)つきの石炭火力発電所の建設も必要でないと論じた。それで、メルケルの大惨事のEnergiewende(エネルギー移行)が生まれたのだ。この研究は、ドイツはノルウェーとスウェーデンから、CO2を発生しない水力発電余剰購入の契約が可能だから、それは機能すると主張した。

 今極端な干ばつと暑い夏のため、スウェーデンとノルウェーの水力電気備蓄は冬に入って危険なほど少なく、能力のたった52%しかない。それはデンマーク、ドイツとイギリスへの送電線が危険にさらされていることを意味する。それを更に悪化させるのが、スウェーデンは、電気の40%を占める原子力発電所閉鎖について割れている。そしてフランスは原子力発電所の3分の1を削減することを議論しており、ドイツにとっての電力源が確実ではないことを意味している。

 すでに2021年1月1日、ドイツ政府に義務づけられた石炭の段階的廃止のため、合計容量4.7GWの11の石炭火力発電所が閉鎖された。閉鎖は石炭発電所のいくつかが、長期的な低風力期間のため、電力網に再接続しなければならなかった、わずか8日続いた。全てグリーン涅槃のために、2022年に最後のドイツの原子力発電所が閉鎖し、より多くの石炭発電所が永久閉鎖する。2002年、ドイツの原子力発電は電力の31%を占める、炭素発生なしの電力源だった。

 ドイツで赤字を生じている風力については、2022年、16GWの設備容量の約6000の風力タービンが、古いタービンに対する固定価格買い取り助成金期限のため解体される。新しい風力発電施設認可の速度は、市民の反対と法律上の騒音公害への異論や他の要因が増えたため阻止されている。回避可能な大惨事は発達過程にしある。

 ブリュッセルのEU委員会の対応は、彼らのグリーン・エネルギーアジェンダの目につく欠陥を認めるどころか、問題が天然ガスと石炭であるかのように、それを強化することだった。EUの気候皇帝フラーンス・ティンマーマンは異様なことに「我々が5年前にグリーン・ディールに取り組んでいれば、我々は化石燃料や天然ガスに対する依存がより少なかっただろうから、我々はこの場にいないだろう」と宣言した。

 EUが自殺的計画を継続すれば、わずか数年で自身が工業力を失った不毛地帯になっているのに気づくはずだ。問題はガスや石炭や原子力ではない。それは決して安定した、信頼できる電力を提供できない太陽光と風力の非能率的なグリーン・エネルギーだ。

 EUやアメリカや他の政府のグリーン・エネルギー政策は、ダボスが推進するESG投資と共に、我々が前進するにつれ、風が止まった時や、水力発電ダムの干ばつや、日光が不足した時に頼れるガスや石炭や原子力が益々少ないことを保証するはずだ。これが経済破壊への道であることを悟るのに、ロケット科学者は不要だ。だがそれが、実際、国連2030の「持続可能」エネルギー目標、あるいはダボスのグレート・リセットなのだ。大規模な人口縮小。我々はゆっくり茹でられているカエルだ。そして今権力側は、本当に強火にしている。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/10/11/the-green-agenda-or-how-this-energy-crisis-is-different-from-all-others/

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 夜の呆導番組で、30分首相独演という記事。おどろかない。さいわいなことに、茶坊主弁護士暴言事件以来、昼の白痴バラエティーだけでなく、夜もテレビを見ていない。見るのは、FORESTAのコーラスと、酒場放浪記程度。パソコンで音楽を聴いている。

 エネルギー問題、物価に跳ね返るだろう。与党のくずどもは原発再稼働と新規建設とさわぐだろう。下記の番組をご覧になっても、与党に投票するのだろうか?

【原発耕論 No17】東京電力刑事事件 控訴審始まる!20211011

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