Mike Whitney

2024年12月 7日 (土)

ビビにとって、テヘランへの道はダマスカス経由



マイク・ホイットニー
2024年12月1日
The Unz Review

 シリアは、イスラエルの中東再編の野心的計画に欠かせない一部だ。シリアは中東地域の中心に位置し、イランから同盟諸国への武器や歩兵の輸送に不可欠な陸橋であると同時に、イスラエルの拡張に対する武装抵抗の地政学的中心地でもある。イスラエルがこの地域を本当に支配するには、ダマスカス政府を打倒し、ヨルダンやエジプトと同様の傀儡政権を樹立する必要がある。ワシントンが(自国よりも)イスラエルの利益を「無条件に」支持するよう説得された今、テルアビブの包括的計画を実現する可能性が最も高い変化を起こすのにこれ以上の時はない。南部から地上戦を開始し、シリア軍を半分に分割して成功の見通しを大幅に改善する二正面戦争を起こす準備がベンヤミン・ネタニヤフ首相はできている。同時に、アメリカが支援するジハード主義者が、シリア北部で暴れ回り続け、シリアのぼろぼろになった防衛を徐々に蝕み、シリアの産業首都アレッポの安全を更に確保するだろう。 もしダマスカスが陥落し、アサドが権力の座から退けば、イスラエルの地域覇権の夢は手の届くところにあり、おそらく実現可能になるだろう。ただし我々が想定している通り、見返りとしてイランとの戦争を開始するとトランプ大統領がホワイトハウスに押し込んだ強力なロビイスト連中に約束した場合だ。だが、まずはシリアが鎮圧され、シリア軍が敗北し、現支配者が追放されなければならない。それが、同盟諸国やパートナーからイランを効果的に切り離し、今後の恐ろしい猛攻撃に備える唯一の方法だ。

 現在イスラエルの血に飢えた十字軍に終止符を打てる人物は世界に一人しかいない。



 プーチンが迅速に行動し、アサドに緊急援助を提供しなければ、現在の事態は取り返しがつかなくなる可能性が高い。これは、アメリカが支援するテロ攻撃や(間もなく起こるだろう)南部の挑発を阻止するためロシア戦闘部隊を派遣することを意味する可能性もある。要するに、主権国家シリアは今や存亡の危機に直面しており、プーチンがいつもの慎重な姿勢を捨て、蛮族を撃退するために必要な手段をシリアに提供しなければ、地域全体と世界に悪影響を及ぼすことになるだろう。

 日曜版のタイムズ・オブ・イスラエルで、イスラエルの戦争計画者連中が既にシリア南部から侵攻する口実を決めていることがわかる。「 Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM(反政府勢力のシリア侵攻はイスラエルの短期的利益と、潜在的な問題を意味すると情報機関幹部が首相に伝えたとされる)」と題された記事の抜粋をご覧願いたい。  
シリアにおけるジハード主義反政府勢力の侵攻をイスラエルはかなり警戒して見守っており、シリア政治階層の動向が最終的にイスラエルにとって問題となる可能性があると諜報機関責任者たちは語っているとチャンネル12が報じている。「アサド政権を守るため、今後ヒズボラの注意はシリアに移り、ヒズボラの軍もシリアに移るだろう」とネタニヤフ首相が言ったと報じられている。

 「アサド政権崩壊は混乱を引き起こし、イスラエルに対する軍事的脅威が高まりかねないはずだ」と情報機関責任者らは警告している。

 更に、金曜日の安全保障協議で、アサド政権の「戦略能力」がジハード主義者の手に渡る可能性があるという懸念が提起されたとチャンネル12は報じている。最大の懸念は「化学兵器の残骸」に関するものだと同報道は述べている。

 イスラエルが行動を迫られるシナリオに、イスラエル国防軍は備えていると言われているが、報道は詳細を明らかにしていない。

 国の安定を図るため、シリアは相当数のイラン軍兵士に門戸を開く可能性があるという評価もあると報告書は述べている。Rebels’ advances in Syria spell short-term benefits, potential trouble for Israel, intel chiefs said to tell PM,(反政府勢力のシリア侵攻は、短期的にはイスラエルにとって利益だが、潜在的な問題になると諜報機関幹部が首相に伝えた)と報じられている。タイムズ・オブ・イスラエル
 ここでシリア侵攻の正当性は白黒はっきりしている。イスラエルには「化学兵器」から「イラン軍」、政権転覆後の「混乱」や「アサド政権を守る」ヒズボラ軍まで、言い訳はいくらでもある。あらゆる場面で、あらゆる事態にイスラエルがいかに備えているかわかる。この計画は何年も、いやそれ以上前から練られてきた。そしてもちろん、この戦略は大団円である1月の就任式に向けて戦場を準備するため迅速に実行されなければならない。就任式で、アメリカ史上最も親シオニスト大統領が即位し、イスラエルが熱望するイランとの戦争で報いを受けることになる。何も成り行きに任せるわけには行かない。



ビデオ—「テロリストは欧米の新軍隊だ」とシリアのアサド大統領が説明 3分

 驚くべきことに、アレッポ情勢についてエルサレムポスト紙の連中は、より率直な見解を述べている。実際、ある賢明な評論家は、狂信的な首切り屋連中の手によるシリアの産業首都の降伏は「良いニュース」だと率直に認めている。何だって? 記事の抜粋は以下の通り。  
土曜日のX/Twitterへの投稿で、イスラム主義者によるアレッポ攻撃は「表面上イスラエルにとって良いニュースだ」とエルサレム戦略安全保障研究所のダニエル・ラコフ上級研究員は述べた。「シリア北部が反政府勢力の手に落ちたことで、イランとヒズボラのインフラが損なわれ、ヒズボラ再建に向けた取り組みは困難になるだろう」と彼は述べた。

 また、ロシア国営メディアはアレッポでの紛争をほとんど無視する一方、世界紛争に関するロシアの評論家は、シリアの都市の防衛失敗についてモスクワは責任を負わず、ロシアはそこにほとんど兵力を配備しておらず、この事件はアサド政権にとって大きな失敗だったと述べているとイスラエルの研究者は主張している。

 イスラエルにとってシリア攻撃の好機?

 更に、アサド政権が示した弱さにより、イスラエルがシリアを攻撃する機会があるという考えをラコフは抱いている。

 「アサド大統領がアレッポを失ったことで、旧ソ連圏外に影響力を発揮できる大国としてのロシアのイメージが損なわれ、プーチン大統領の重要な戦略的資産であるシリアの基地が脅かされる」と彼は書いている。「これはまた、この地域におけるロシアのイメージに悪影響を及ぼす」

 「クルスクでのウクライナ軍の攻勢からわかる通り、ロシアはヒステリックに急ぐつもりはないが、アレッポ陥落の速さを考えれば、迅速な対応が求められるだろう」と彼は書いている。

 JISSの研究者は、シリア情勢の不安定化によりアサドとロシアがイラン軍の進入をより強力に容認する可能性がある一方、アサド政権崩壊によりイスラエルに対する重大な軍事的脅威が増大するシナリオが生まれる可能性があると述べて記事を締めくくった。Attacks in Aleppo ‘ostensibly good news for Israel,’ JISS researcher says, (アレッポでの攻撃は「イスラエルにとって表面上良いニュースだ」とJISS研究者は語る)エルサレム・ポスト
 繰り返す。「イスラエルがシリアを攻撃する好機」?

 確かにそうだが、同様に興味深いのは「中東からロシアを追い出す」ことは(イスラエルの観点から)アサド政権打倒と同じくらい重要なことだ。また、プーチン大統領が「窮地に陥り」、時宜を得た対応ができず、これがイスラエルにとって非常に有利になるとラコフが考えているのも明らかだ。だが、もちろん、ラコフの全体評価で最も衝撃的なのは、安定した合理的な体制を専制的な宗教独裁政治に置き換えようとする狂った野蛮人の手によって繁栄する都市が破壊されることから彼が得る純粋な喜びだ。だが大量虐殺が成功の基準なら、我々にとって何も驚くべきことではないだろう。



 これは、シリア現地の極めて不安定な状況に関する日曜日の最新情報だ。  
土曜日に、反政府勢力がアレッポ国際空港を制圧したと主張し、ハマへ進軍する中、ロシアとシリア政府軍の空爆はアレッポ中心部を激しく攻撃した。シリア反政府勢力が同市から追放された2016年以来、アレッポを標的とした空爆は今回が初めてだ。

 しかし土曜日に、同盟集団(一部はトルコ支援を受けている)とハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)率いる反政府勢力は、驚くべき成果を上げたと主張した。彼らは、アレッポ国際空港とイドリブ南部の戦略都市ハーン・シャイフンを制圧したと主張した。イドリブ県の行政境界は完全に彼らの支配下にあると彼らは付け加えた。

 彼らはまた、ハマに向けて進軍を開始し、シリア中央部と北部を結ぶ重要な幹線道路沿いにあるモレクを含む、地方の6つの町と村を占領することに成功したと主張した。

 攻撃は水曜日、反政府勢力がシリア北西部の反政府勢力支配地域からアレッポに向けて脱出したことから始まった。二日間で反政府勢力は数十の町や村を制圧し、戦略上重要なM5高速道路の一部を制圧し、ダマスカスへの補給路を遮断した。反政府勢力はその後もいくつか軍事基地や要塞化された陣地を制圧しており、ほとんど抵抗には遭わなかった。

 政府軍戦線の崩壊

 SOHRによると、政府軍はイドリブとアレッポで崩壊した。これによりシリア第二の都市アレッポは1946年の同国独立以来初めて政府管理下から外れたと監視団体は述べた。

 モスクワ通信によると、事態が急速に進展する中、シリア問題における主要な利害関係国であるトルコとロシアの外相は土曜日に電話会談し、シリア安定化に向けた取り組みを調整することで合意した。

 「アレッポ県とイドリブ県での軍事的緊張の高まりに関連して、シリア・アラブ共和国における状況の危険な展開に双方は深刻な懸念を表明した」とロシア外務省は述べた。

 イドリブ県の大半は、かつてのアルカイダ系組織HTSが掌握し文民政権が樹立された。北部の他地域ではトルコが支援するシリア国民軍連合の反政府勢力が勢力を維持している。

 だが、ロシアがウクライナ戦争に気をとられ、アサド政権軍がイスラエルの頻繁な攻撃で弱体化しているにもかかわらず、シリアとロシアの軍用機は2023年8月以降、反政府勢力支配地域への空爆を強化している。 Syria: Deadly strikes hit Aleppo as rebels seize airport, push towards Hama(シリア:アレッポで致命的攻撃、反政府勢力が空港を占拠、ハマへ進撃) ミドル・イースト・アイ
ビデオ:トルコが支援するテロリストがアレッポの大統領別荘に侵入

 ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)や他のいわゆる「反政府集団」が主にアルカイダ関連組織で、イスラエルの拡大と中​​東再編に反対する勢力に対する代理戦争を遂行するため、アメリカ、カタール、トルコに採用、武装、訓練されているのを読者は知っておくべきだ。作家で評論家のマックス・ブルーメンソールは、これら集団の起源についてかなり研究を行い、その調査結果を「シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵のうち21をアメリカは支援している」と題する最新記事で発表した。以下は彼の記事の短い宣伝文だ。  
シリア北部でクルド人を処刑し斬首したとして、トルコ傭兵部隊「アラブ民兵」を元職および現職のアメリカ当局者は激しく非難した。トルコの新たなデータは、これら民兵のほぼ全員が過去にCIAと国防総省により武装され訓練されていたことを明らかにした。

 今年10月に親政府系トルコ・シンクタンクSETAが発表した研究論文によると「トルコ傭兵部隊の28派閥のうち、21は以前アメリカから支援を受けており、そのうち3つは国防総省の対DAESHプログラムを通じて支援を受けていた。これら派閥のうち18は、武装反政府勢力を支援する「シリアの友人」の合同情報作戦室たるトルコのMOM作戦室を通じてCIAから支援を受けていた。28のうち14の派閥は、アメリカから供給されるTOW対戦車誘導ミサイルの受領者でもあった。」

 言い換えれば、オバマ政権下で武装・装備された反アサド反乱軍のほぼ全組織が、トルコ軍により北シリアへの残忍な侵攻の先鋒として再利用されたのだ。この部隊の指導者は、現在トルコが支援するシリア「暫定政府」の「国防大臣」サリム・イドリスだ。彼は故ジョン・マケイン上院議員が2013年にシリアに悪名高い侵攻を行った際に、マケインを接待した人物と同じ人物だ。

 このハッカー集団(メディア)が、地球上最も残忍な狂信者連中を革命家や「穏健な反逆者」として売り込み、地域全体を不安定化させ、血みどろの詐欺を国民に押し付けていたことが今やすっかり暴露された。かつて彼らが喧伝した過激派連中同様、どういうわけか大半は責任を逃れ、雇用され続けている。 The US has backed 21 of the 28 ‘crazy’ militias leading Turkey’s brutal invasion of northern Syria(シリア北部へのトルコの残忍な侵攻を率いる28の「狂った」民兵集団のうち21をアメリカは支援している)マックス・ブルーメンソール、グレイゾーン
 では、世界最大のテロ支援者は一体誰だろう?

 ご想像通り、アメリカ政府だ。

 最後に、最近見つけたブロガーの言葉を引用して終わりにするが、彼女の主張のほとんど全てに私は同意する。他の読者も同じように感じるかどうか知りたいものだ。  
アメリカ、イスラエル、アルカイダ、トルコが支援するシリアに対する今回の作戦は、様々な代理組織やテロリスト集団を使って、シリア軍の勢力をそらし、不安定化させ、過剰に手を広げさせて、南からイスラエルが侵攻できるようにして、イランからイラク、シリア、そしてレバノンへとヒズボラへの武器流入を阻止するため長年計画されていたものだ。戦争は続いているが、連中は戦場をわずかに移動させたに過ぎない。

 だからこそ、この「停戦」直前に、シリアとレバノン国境をイスラエルが攻撃し、その後も攻撃を続けたのだ。停戦のおかげで、弱体化したイスラエルは回復する時間を得て、最もシオニスト的政権が誕生するまで、ワシントンと戦略を練る時間があるのだ。シリアに関してビビが望んでいることを、トランプは確実に実行するだろう。シリアは、大イスラエル計画の邪魔になる巨大抵抗勢力なので、今やシリアが焦点となるのだ。

 トルコと裏表ある詐欺師エルドアンは、北(シリア)支配を望んでおり、ガザでのビビを非難しながらイスラエルと欧米に身を売るつもりだ。NATO事務総長マーク・ルッテはトルコに行き、この攻撃直前にワシントンとトルコにF35を供与する合意をまとめた。彼は、その数日前の11月23日にはワシントンでトランプとも会談した。

 これらはどれも偶然ではない。基本的にイスラエルはこの停戦を履行するつもりはない。本質的に無意味だ。テルアビブを含む西側諸国は、国家主権を握るべく戦う相手と既に戦争状態にある。彼らはイラン、ロシア、シリアが協力して彼らの拡張主義と戦争の野望を阻止するのを止めたいのだ。フィオレッラ・イザベル@FiorellaIsabelM
 一流の分析だ。メディア報道の背後で何が起きているのかを説明するのに役に立つ。



記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/for-bibi-the-road-to-tehran-goes-through-damascus/

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 Dialogue Works
Larry C. Johnson: Hama Falls, Syria in Chaos, Turkey Backing HTS against Iran & Russia 55:36
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
フォーリンアフェアーズ誌論評「トランプ政権の中国への挑戦」。対中対決志向グループの対中政策提言。①米国は中国に凌駕される瀬戸際。②米国一国で中国の台頭を押えられず、同盟を構築し対抗、トランプは最初関税等「競争アプローチ」取るが、彼には「取引アプローチ」取る危険性存在。
 日刊IWJガイド
「尹錫悦政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!ウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する寸前だった!」2024.12.7号

はじめに~韓国政局急変(その2)! 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、親米・親日姿勢で、北朝鮮との対立を高めてきた!「非常戒厳」を起草した金龍顯(キム・ヨンヒョン)国防部長官のもとで、「北朝鮮軍がロシアに派遣されている」という情報が出され、韓国はウクライナに殺傷性のある兵器を供与し、専門家を派遣する一歩手前まで来ていた! ユン大統領は、ウクライナ支援で韓国政府内で孤立!? バイデン大統領や岸田政権など、西側でもウクライナ支援に関わった政権は次々崩壊! ウクライナ支援をすると政権が崩壊するジンクスでもあるのか!? ユン政権もそれに続くのか?

韓国政局急変(その3)! 北朝鮮との対立が激化した直接のきっかけは、韓国の活動家による「反北朝鮮体制のプロパガンダ風船」! ユン政権は昨年「プロパガンダ風船」を合法化していた!

2024年12月 4日 (水)

ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由



マイク・ホイットニー
2024年11月27日
The Unz Review  
地球上のどの軍隊より米軍が優れていると広く信じられていることに私はいつも驚かされる。この信仰は一体どんな根拠に基づいているのだろう? 朝鮮戦争以来、アメリカは本物の戦争に参戦していない。高強度紛争を経験した人は米軍には一人もいない。軍事評論家、ウィル・シュライバー
 
ロシアに対する核による「斬首」攻撃をアメリカが仕掛けて、プーチン大統領と将軍たちが死亡した場合、ロシアには自動的に報復するバックアップ システムがある。死の手システムは、ロシア全土に散在するセンサーから、核攻撃を裏付ける放射線や熱や地震活動に関する情報を収集するよう設計されている。一定時間内に、このシステムがモスクワ司令部から指示を受けない場合、システムは自動的に4,000発の戦術、戦略大陸間弾道ミサイルをアメリカに向けて発射し、アメリカを完全に破壊し、数億人のアメリカ人が焼き尽くされることになる。モスクワの言い分は単純だ。「先制攻撃で指導者が死亡したとしても、我々の『死の手』があなた方全員を殺す」Dead Head 死の手、プラネット・レポート
 ロシアとの通常戦争で、アメリカが勝利するとアメリカ人の多くが信じ続けている。だが、それは全く事実ではない。第一に、ロシアの最先端ミサイル技術とミサイル防衛システムは欧米諸国兵器メーカーが製造するものより遙かに優れている。第二に、ロシアは、激しい戦闘を経験し、将来直面するどんな敵とも交戦する覚悟ができている、百戦錬磨の戦闘部隊を100万人以上配置できるのだ。第三に、もはやアメリカは、優れたロシアの殺傷兵器や砲弾や弾薬や最先端の弾道ミサイル生産に匹敵する工業力を持っていない。要するに、ロシアの軍事力は、本当に重要な分野、つまりハイテク兵器や軍事工業力や熟練した人的資源において、アメリカを遙かに上回っているのだ。この全体的論点をはっきりさせるため私は三人の軍事評論家の著作から抜粋した。これら問題を彼らはより詳細に説明し、現代アメリカ軍の重大な欠点と、技術的により進歩した手強い敵に直面した時に遭遇する可能性がある問題を強調している。最初の抜粋は、アレックス・ヴァーシニンの「産業戦争の復活」と題する記事からの抜粋だ。  
ウクライナ戦争は、依然、現在は産業戦争時代だと証明した。装備や車両や弾薬の大量消費には、補給のための大規模産業基盤が必要なのだ。量には依然質が伴う…。ウクライナにおける弾薬と装備の消費速度は、大規模産業基盤によってのみ維持できる。  この現実は、軍事産業の能力を縮小し、効率性のため規模と有効性を犠牲にしてきた欧米諸国に対する具体的な警告になるはずだ。この戦略は戦争の未来に関する誤った想定に依存しており、欧米諸国政府の官僚主義文化と低強度紛争の遺産両方に影響されてきた。現在欧米諸国は、大規模戦争を戦うための産業能力を持っていないのかもしれない。

 欧米諸国の産業基盤能力

 ほぼ同等の二勢力間の長期にわたる戦争で勝敗を決するのは、依然どちら側の産業基盤が強いかによる。国は、大量弾薬を製造する製造能力を保有するか、弾薬生産に迅速に転換できる他の製造業を保有する必要があるのだ。残念ながら、欧米諸国は、どちらも持っていないようだ…。 最近行われたアメリカ、イギリス、フランス軍による軍事演習で、イギリス軍は8日後に国家備蓄の重要弾薬を使い果たした…。

 誤った仮定

 戦闘の未来に関する一番重要な前提は、精密誘導兵器は標的を破壊するのに弾丸一発しか必要としないので、全体的な弾薬消費量を減らすというものだ。ウクライナ戦争はこの前提に疑問を投げかけている……。二番目に重要な前提は、産業は意のままに稼働したり停止したりできるということだ……。残念ながら、これは軍需用品購入には当てはまらない。砲弾の顧客はアメリカには一つしかない。軍だ。注文が落ち込めば、事業継続のため、メーカーはコストを削減すべく、生産ライン閉鎖しなければならない。中小企業なら完全閉鎖するかもしれない。新たな生産能力を生み出すのは非常に困難で、特に熟練労働者を引き寄せる製造能力がほとんど残っていないために……。部品が下請け業者に生産される可能性もあるため、その下請け業者は、廃業して注文を失うか、他顧客のために設備を一新するか、海外、おそらく敵国の部品に頼ることになるので、サプライ・チェーンの問題になる。
 結論

 同等またはほぼ同等の敵対国間の戦争には、技術的に進歩した、大規模な、産業時代の生産能力の存在が必要なことを、ウクライナ戦争は示している。ウクライナ防衛において民主主義の兵器庫としてアメリカが機能するには、産業基盤を組織する方法と規模についてアメリカは本格的な見直しをする必要がある。独裁国家と民主主義国家間の競争が本当に軍事段階に入ったのであれば、民主主義の兵器庫はまず戦時における物資生産体制を根本的に改善する必要がある。Return of Industria Warfare (産業戦争の復活)、アレックス・ヴェルシニン、Rusi

 結論:ほぼ同等な二勢力間の長期にわたる戦争に勝つための産業基盤や必要な備蓄を、もはやアメリカは保有していない。簡単に言えば、アメリカはロシアとの長期にわたる通常戦争には勝てないだろう。

 最近のツイッター投稿で専門家アナリー・スラッシャーは次のようにまとめている。  
……精密誘導兵器、暗視装置、世界的攻撃など、多くの決定的な能力を、アメリカは事実上独占していた。アメリカと他国の間に、高強度紛争がなかったことが、こうした非対称性に大きく関係していたと私は考えている。アメリカの高度な能力、あるいはその脅威さえ、政治目的を実現するのに十分なら、アメリカが大規模攻撃を行う必要はなかったのだ……。高度な戦闘能力を持つ国々のリストは増え続けている。同時に、欧米諸国の軍隊と防衛産業基盤は衰退し続けている。欧米諸国は、かつて決定的だったが今では益々一般的になっている小規模なアメリカの能力への依存と大規模な常備軍を交換。これにより、欧米諸国は技術的優位性を失い、かつての軍事力も失ったのだ。アメリカの軍事的優位性を依然信じている人々は、こうした変化に気付いていないのだ。更に悪いことに、彼らのほとんどは、ロシア軍事力に関して、漫画のように過小評価された考えを抱いている。彼らは、ロシアが技術的優位性と軍事力の両方を有していることに気付いていない。米軍が持っていた評判は、一時は当然のものだったが全てが変わる。Lee Slusher @LeeBTConsulting
 結論: アメリカの敵国、ロシア、中国、イランは、高度なミサイル技術や無人航空機 (UAV)や電子戦や最先端ミサイル防衛システムなどで、アメリカに追いつくか追い越しており、これにより、アメリカ軍事優位の時代は終わりを迎えつつあり、国家間の均衡は徐々に高まっている。アメリカの世紀は急速に終わりに近づいているのだ。



 次に軍事評論家の二人目、ウィル・シャイバーの話に移ろう。彼はヴェルシニンと似た結論を導き出しているが、少し異なる角度から導き出している。下記をご覧願いたい。  
これまで以上に、アメリカはロシアに対して制空権を確立できないと私は確信している。一週間では無理だ。一年では無理だ。永遠に無理だ。それは単に不可能なのだ。アメリカ軍の現在の能力を遙かに超える兵站上の戦力投射の課題となるはずだ。

 ロシアが配備した極めて強力で豊富な資源を備えた防空軍に比べて、アメリカの航空戦力は大幅に劣っていると判明するはずだ。

 HIMARS発射のGMLRSロケット、HARMSミサイル、ATACMSミサイル、イギリスのストームシャドウ・ミサイルの大部分が現在ウクライナで撃墜されている通り、アメリカの長距離精密誘導ミサイルの大部分も撃墜され、ロシアの反撃能力を圧倒しようとする無駄な試みで、これら弾薬の限られた在庫をアメリカは急速に使い果たすことになるはずだ。

 敵防空網に対するアメリカの抑止能力は極めて不足で、多層構造で機動性の高い防空レーダーやミサイルを打ち破るには不十分だと判明するはずだ。

 ウクライナ戦争は、欧米諸国のあらゆる防空システムが、ウクライナが当初配備した数十年前のソ連のS-300やBukシステムより劣っていることを完全に明らかにした。そして、欧米諸国のシステムがたとえ強力だったにせよ、広範囲かつ徹底した防衛を提供するのに必要な数に近づけるほどの数はない。

 事態をさらに複雑にしているのは、アメリカ軍需品の在庫が乏しく、生産上の制約も克服できないため、ロシアや中国に対してアメリカが空中戦を遂行できるのが、せいぜい数週間という点だ。

 更に、東ヨーロッパ、中国海、ペルシャ湾のいずれかで激しい戦闘が繰り広げられれば、米軍機の整備需要が近隣の供給を圧倒することになる。任務遂行可能率は、平時の悪名高い最低水準よりも更に低下するはずだ。

 アメリカは、文字通りわずか数日後に、F-22とF-35の任務遂行可能率が10%を下回り、保有する他のほぼ全てのプラットフォームの任務遂行可能率が25%を下回ることになる。国防総省にとって大きな恥辱となるだろうが、それほど驚くことではないだろう。
 簡単に言えば、アメリカ航空戦力は、一つ以上の同等の敵国と地域的、世界的な非寛容な戦場状況下では、戦域全体にわたる取り組みとして持続できない。

 東ヨーロッパでは、NATO基地と補給路をロシアが破壊し、バルト海と黒海は事実上、NATO船舶が航行できないロシアの湖になるだろう。

 多くの人々は、これらは根拠のない感情的主張だと確信している。私の見解では、状況の単純な軍事的、数学的、地理的な現実がこれら結論を決定づけており、それに抵抗する人々は、典型的に、アメリカ例外主義の神話と、それに伴う弊害で目が見えなくなっており、物事の本当の姿が見えない。

 もしロシアか中国かイランのいずれかに対して直接戦争をするとアメリカが決めた場合、同時にこの三か国に対する戦争になると私は益々確信しつつある。

 そして驚くべきことに、これは、#EmpireAtAllCostsカルトと、その妄想的計画に同調する人々が、決して勝てない戦争の深淵に向かってよろめきながら進み続ける中、もっと真剣に考えるべき多くの厳しい真実の一つにすぎない。Staggering Towards the Abyss, (深淵に向かってよろめく)ウィル・シュライバー、Substack

 ここで考えるべきことは多々あるが、要するにロシアの優れた防空能力と、アメリカの「乏しい弾薬在庫と克服できない生産限界」をシュライバーは比較検討しており、その組み合わせは、アメリカ軍の攻撃が敵に深刻な損害を与える前に弱まる可能性が高いことを示唆している。またしても、ロシアとの直接対決でアメリカが勝つことはないだろうとアメリカの軍事専門家は推測しているのだ。



 最後に、軍事評論家というより調査ジャーナリストの、キット・クラレンバーグの長文から抜粋する。Collapsing Empire: China and Russia Checkmate US Military(「崩壊する帝国:中国とロシアが米軍に王手」)と題する記事で「帝国の肥大化し腐敗しつつある世界的戦争機構のあらゆる側面に対する容赦なく暗い分析」と彼が呼ぶものをクラレンバーグは詳しく述べている。著者の言うことの半分でも真実なら、ロシアに対するアメリカのエスカレーションは、1945年5月のベルリン陥落以来、世界が経験したことのない軍事的大惨事への近道だと合理的に確信できる。お読み願いたい。  
7月29日、国防総省の2022年国家防衛戦略(NDS)の現状と現在の米軍の準備状況に関する画期的な評価をランド研究所が発表した。調査結果は、厳しく、帝国の肥大化し腐敗した世界戦争機構のあらゆる側面に対する容赦なく暗い分析だった。簡単に言えば、アメリカは主要敵国との真剣な「競争」に意味のある形で「備え」ておらず、あらゆる戦争領域で、脆弱か、大幅に劣勢ですらある。この帝国の世界的支配は、良く言っても、ひどく不十分、最悪の場合は、完全に妄想的だと評価されている。

 ランド報告書から:

 「アメリカが直面している脅威の大きさは過小評価されており、遙かに深刻だと我々は考えている…多くの点で中国はアメリカを上回っている…防衛生産、軍事力の拡大、そして益々の軍事力拡大において、今後もその傾向が続くのはほぼ確実だ…[北京は]20年間の集中的軍事投資を通じて、西太平洋におけるアメリカの軍事的優位性を大幅に打ち消した。アメリカが大変化を起こさない限り、勢力の均衡は中国に有利に傾き続けるだろう。」

 「少なくとも、ロシアや中国やイランや北朝鮮が関与する直接紛争にアメリカが参戦した場合、その国が他の国々から経済的、軍事的援助の恩恵を受けると想定すべきだ…アメリカの権益に反対する国々のこの新たな連携は、どこであれ紛争が多戦域戦争または世界戦争になる可能性はないにせよ、現実的リスクを生み出す。アメリカの敵国諸国が以前より緊密に協力しているため、アメリカと同盟諸国は複数敵対国枢軸に対峙する準備を整えなければならない。」Commission on the National Defense, Rand

 委員会の報告書が詳細に述べている通り、そのようなシナリオで、ワシントンはほぼ完全に無防備となり、ほぼ即座に敗北する可能性が高い。帝国軍隊が「戦闘で抑止力を発揮し勝利できると確信するために必要な能力と能力の両方を欠いている」というのは、グランド・チェス盤全体に薄く広がっているだけではないのだ。

 ワシントンの「防衛産業基盤」は、同盟諸国は言うまでもなく、アメリカの「装備や技術や軍需品のニーズを完全に満たせない」とランド委員会は結論付けた。「特に複数戦域での長期にわたる紛争には、武器と軍需品の生産、維持、補充に、現在より遙かに大きな能力が必要となるだろう」。

 数十年にわたり、米軍は「最先端技術を駆使して決定的優位を築いてきた」。この帝国側の「無敵の技術的優位性という想定」は、ワシントンが「長い取得サイクルや、失敗やリスクに対する低い許容度で、精巧な能力を構築する余裕」があったことを意味した。だが中国とロシアが「加速度的に新技術を取り入れている」ため、そんな時代はとうに過ぎ去った。今アメリカの「防衛産業基盤」は無数の有害な問題に悩まされて崩壊しつつある。

 これらの問題に対処するために、何年にもわたる外注やオフショアリングや無視の後、アメリカを再工業化することを委員会は求めている。期限は示されていないが、おそらく数十年かかるだろう。

 我々は、ソ連のグラスノスチに匹敵する奇妙な後期帝国時代に入ったのだ。アメリカ帝国のブレーントラストの一部は、ワシントンの覇権的世界プロジェクト全体が急速に、不可逆的に絶滅に向かっているのを目もくらむような明瞭さで見ている。Collapsing Empire: China and Russia Checkmate US Military(崩壊する帝国:中国とロシアが米軍に王手)、キット・クラレンバーグ、サブスタック
 またもや、同じ批判が何度も繰り返されるのを目にしている。不十分な工業能力、減少する備蓄、「克服できない生産限界」、そして低下する技術的優位性。これらに加えて、戦闘を経験したことのない経験の浅い志願兵による臨時軍隊で、東ヨーロッパで戦争遂行するという無数の兵站上の問題を考えれば、ロシアとの長期紛争でアメリカは勝利できないし、勝利しないだろうとしか結論できない。それでもワシントンはロシアに向け、ATACMSミサイルを発射し続けている(過去二日間で更に13発発射した)。どうやら、この挑発に対する反撃はないと考えているようだ。それでもNATO司令部は、NATOとロシアの直接衝突の可能性を歓迎し、ロシア領土への先制的「精密攻撃」を追求し、勝利の幻想を抱き続けている。そして、フランスとイギリス両国は、戦争の避けられない軌道を何とか逆転できると考えて、ウクライナに戦闘部隊を派遣すると脅している。狂気だ。

 五世紀にわたる覇権は、傲慢さに酔いしれた欧米エリートの一団を生み出し、他の誰にとっても痛いほど明らかな事実、つまり欧米による搾取という帝国モデル (「ルールに基づく秩序」) は崩壊しつつあり、新たな権力の中心が急速に出現している事実が見えないほどだ。現在、これらエリート連中は権力掌握を維持し、他国が獲得した独立や繁栄を実現するのを阻止するため、世界を破滅的な第三次世界大戦に引きずり込む準備ができているようだ。幸いなことに、ワシントンは、1945年まで遡る他の全ての介入で失敗してきたように、今回の試みでも失敗するだろう。なぜなら、アメリカは、もはやロシアとの戦争に勝つために必要な技術や人材や産業能力を持っていないためだ。

 それは全く新しいゲームなのだ。



 記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/why-the-united-states-will-lose-a-war-with-russia/

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 アメリカ人専門家によるオレシニク・ミサイル評価の一つ。
How Dangerous is Russia's Oreshnik Missile? Pentagon Expert Explains 34:33
 耕助のブログ 2024年12月1日記事はPepe Escobarによるオレシニク記事翻訳。
No. 2348 オレシュニク – 秒速3キロの転換点
 偶然昨日深夜、デモクラシータイムスの中継番組を見ていた。今回の件で彼の命脈は尽きたはずだ。
★現地国会前から緊急生配信★【徐台教の韓国通信】尹錫悦大統領 非常戒厳令を発令  41:03
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ。「BRICSの国々には、新しいBRICS通貨を創設せず、また強力な米ドルに代わる他の通貨を支持しないという約束を求める。そうでなければ100%の関税に直面する」 現時点、まだBRICS通貨創設の時期ではない。脅して、あたかもBRICS屈したような印象を与える。トランプの手口

2024年10月26日 (土)

イスラエルがイランを攻撃した場合、ロシアは傍観者にとどまるつもりはない



マイク・ホイットニー
2024年10月12日
The Unz Review  
「アメリカにはイスラエルの行動に愚かなロバのように従う暗黙の義務などないと思う。自動的にアメリカが巻き込まれると単純に想定して、戦争を始めるとイスラエルが決めた場合、友情の義務として『あなた方が我が国に代わって国家的決定をする権利はない』と言うべきだと思う。アメリカは独自の国家安全保障政策を持つ権利があると思う。」ズビグニュー・ブレジンスキー
 かつて、アメリカ外交政策体制には戦略的思考ができる人材がいた。だが今は違う。現在、戦略的思考とされているのは、武器産業とイスラエルのロビー団体に支配されている退役軍人らによるイスラエルの論点の延々繰り返しだ。この連中は国民全体のごくわずかな割合の意見の代表だが、介入やエスカレーションや戦争に国民を準備させる大きな組織の重要な一員だ。彼らの現在の役割は、イランへの差し迫ったイスラエルによる攻撃が、アメリカ国家安全保障上の利益にかなうとアメリカ国民を説得することだが、もちろんそんなことはない。実際、血みどろの大惨事にアメリカは巻き込まれつつあり、その大惨事は、九分九厘アメリカの世界的権力の急激な衰退を招き、いわゆる「アメリカの世紀」の急速な終焉を招く可能性が高い。

 これら全て、アメリカで最も学識ある外交政策専門家の一人、ズビグニュー・ブレジンスキーが予測していたもので、彼は10年以上前にイラン問題についてロサンゼルス・タイムズ紙の論説で警告を発していた。彼は以下のように述べていた。  
…イラン攻撃は政治的愚行で、世界情勢に徐々に大変動を引き起こすことになるはずだ。アメリカが益々広範な敵意の対象になるにつれ、アメリカ優位の時代は早々終焉を迎えかねない。現時点では、アメリカは明らかに世界を支配しているが、長期にわたる多大な抵抗に直面して、その意志を押し付け、維持する力も国内の意志もない…。

 したがって、政権は冷静になって、歴史的視点とアメリカの観点から戦略的に考える時が来ている。冷静に議論すべき時だ。アメリカは感情や宗教的使命感に導かれるべきではない。我々の選択肢は、アメリカの長期的国益に深刻な損害を与える無謀な冒険に突入するか、イランとの交渉に本当の可能性を与えることに真剣になるかのどちらかだ。

 敬意を持って歴史的観点からイランを扱うことは、その目標実現に役立つはずだ。アメリカの政策は、イラクへの誤った介入に先立つ状況を不吉に想起させる、現在の不自然に緊迫した雰囲気に左右されるべきではない。ロサンゼルス・タイムズ記事「Been there, done that 既に経験済み」ズビグニュー・ブレジンスキー
 言えている。ケーブルニュースの愚かな評論家連中が連中の間でこの記事を広めてくれるよう願うばかりだ。  彼を好きか嫌いかは別として、特定作戦の経費が利益を上回るかどうか冷静に評価した、首尾一貫した綿密な調査に基づく分析をブレジンスキーは提供した。この場合、まるで比べ物にならない。国益にかなわず、勝てず、国家の将来に壊滅的影響を与える紛争に向かってアメリカは突き進んでいる。ここで再びブレジンスキーの言葉を引用しよう。  
この地域の紛争の規模を拡大する必要はない。なぜなら、イランが関与する紛争が拡大すれば、イラク紛争が再燃し、ペルシャ湾が炎上し、石油価格が2倍、3倍、4倍に上昇し、エネルギーに関し、ヨーロッパは一層ロシアに依存するようになるはずだからだ。すると、我々にとっての利益とは何だろう?

 国際政治専門家として私が知っていることといえば(イランとの戦争は)大惨事になるはずだということだ。そして率直に言って、イスラエルよりも、我々にとって大惨事になると思う。なぜなら、戦争の結果、この地域から我々が追い出されるからだ。激しい憎しみが広がるからだ。幻想を抱かないで頂きたい。紛争が拡大すれば我々は孤立することになる。我々が追い出された場合、イスラエルが5年か10年以上生き残れることに、あなたは一体いくら賭けるだろう? ズビグニュー・ブレジンスキー、 リアル・ニュース・ネットワーク、2分15秒


ビデオリンク


 つまり、これはアメリカにとって悲惨なだけでなく、イスラエルにとっても悲惨なことになるはずだ。ワシントンの「無条件」支援がなければ、5年か10年でイスラエルは枯渇してしまうはずだ。おそらく、この分析には反対する人もいるはずだ。アラブ世界の中心にある、過去75年間、あらゆる努力をして自らを厄介者にしてきた小さな好戦的植民地が、アメリカの支援なしでも生き残れると考える人もいるだろう。

 おそらくそれも可能だと思う。だが可能性は低いだろう。下記は土曜日のNBCニュース記事の抜粋だ。  
イラン攻撃への反撃でイスラエルは、イランの軍事およびエネルギーインフラだと当局者が表現している標的を絞り込んだとアメリカ当局者は考えている、。

 イスラエルが核施設を標的にしたり暗殺を実行したりする兆候はないが、イスラエルがいつどのように行動するか最終決定は下していないとアメリカ当局者は強調した。

 イスラエルがいつ反撃するか、アメリカは知らないが、命令が出されればいつでも出撃する態勢をイスラエル軍は整えていると当局者は述べた。ヨム・キプルの祝日中に反撃する可能性があるとアメリカとイスラエルの当局者は述べた。

 イランからの即時反撃からこの地域の資産を守る態勢をアメリカは整えているが、この作戦に直接的軍事支援を行う可能性は低い。

 昨夜、ロイド・オースティン国防長官はイスラエルのヨアブ・ギャラント国防長官と会談し、イスラエルの対応について大まかな内容について話し合った。しかし、ギャラント長官が具体的な詳細を語ったかどうかは不明だ。NBCニュース
 土曜日「イスラエルは攻撃対象を絞り込んだ」という全く同じ見出しの記事がグーグルニュースに10件以上掲載された。この呪文は、イスラエルの露骨な侵略行為が実は慎重で思慮深い自衛行為だという印象を与えようとしているのだ。何という冗談。そして爆弾や戦闘機や給油機や兵站支援がどのように使われるのかさえ知らされていないバイデン政権にとって、何という屈辱だろう。アメリカはいつからテルアビブのギャングに振り回されるような意気地なしのいいカモになってしまったのだろう。衝撃的だ。

 イスラエルによるイラン攻撃をめぐる騒ぎの中で忘れ去られているのは、ロシアがイランの防衛を強化し、今後の敵対行為に備えることを目的とした独自の外交活動を密かに展開している事実だ。

 金曜日、トルクメニスタンのアシガバートで、プーチン大統領はイランのマスード・ペゼシュキアン大統領と会談し、中東情勢の悪化と地域戦争の可能性について協議した。綿密に計画されたこの会談は、戦闘が勃発した場合に、イランはロシアの支援を頼りにできる友人で同盟国だとロシアがみなしていることを示すのが狙いだった。その数時間前、イランの民間核施設をイスラエルが攻撃すれば「深刻な挑発」になるという不吉な警告をロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が発した。

 ラオスでの記者会見で、国際原子力機関によれば、イランは現行規制を遵守しており、核物質を禁止されている兵器計画に転用していないとラブロフ外相は強調した。(この件に関するイスラエルの虚偽主張は全くのプロパガンダだ。)  
イラン・イスラム共和国の平和用途の核施設を攻撃する計画や脅威が実現すれば、それは確実に非常に深刻な挑発行為となる。
 ラブロフ外相の発言とプーチン大統領の会談から、戦争が勃発した場合、ロシアが積極的に介入するかどうかは分からないが、イランとイスラエルの紛争でモスクワがイランを支持していることにはほとんど疑いの余地はない。(またイランがイスラエルへの弾道ミサイル攻撃を開始するわずか2日前、ロシアのミハイル・ミシュスチン首相がテヘランを訪問したことも忘れてはならない。これは、プーチン大統領の「相応の対応」の考えに一致する行動を取る許可をイランがモスクワから得たことを示唆している。)

 我々が言いたいのは、ロシアは状況を非常に注意深く見守っており、戦闘が予想される範囲に軍事資産を移動させていることだ。状況がそれを必要とすれば、イランの敵とロシアが交戦すると想定するのは理にかなっている。軍事評論家のウィル・シュライバーは次のようにまとめている。
 イランと共に帝国と戦うのは、ロシアにとって選択肢ではなく必然であることを、どうしてもっと多くの人が十分理解していないのか理解できない。それはロシアが遅くとも2022年の夏から熱心に準備してきたことでもある。ウィル・シュライバー
 覚えておいてほしいのは、ロシアとイランはここ数年で軍事的結びつきを大幅に強化し、相互安全保障に公然と取り組むようになったことだ。シュライバーは次のように述べている。  
ロシアと中国とイランは事実上の軍事・経済同盟を結成している。彼らはこれを「提携」と呼ぶのを好んでいる。ロシアと中国の場合、軍事、経済、通貨など包括的な全領域にわたる提携が生まれている。

 アラビア海でロシアと中国とイランは頻繁に合同演習を行っている。近年、こうした演習は規模と頻度の両面で増大している。

 ロシアと中国はともにイランに対し巨額資本投資をしており、その多くはエネルギー部門と、ユーラシア商業の主要拠点として、中国、イラン、ロシアを結ぶ高速かつ効率的貿易回廊構築を目指す野心的輸送プロジェクトに向けられている… 三国間の武器および技術移転は未曾有のレベルに達している…。

 ロシア、中国、イランは、いずれか一国に対する攻撃は全ての国にとって存続の危機となると認識していることが益々明らかになっている。三国の戦略的利益は、今や切り離せないほど絡み合っている。最も重要なのは、長年君臨してきた英米帝国の支配を解体するという唯一の最優先の戦略的目標で、三国が団結していることだ…。

 アメリカとイラン間で戦争が起きた場合、ロシアと中国はともにイランを積極的に支援するはずだう…イランは両国から武器やその他の兵站物資を補充されるだけだろう。そして、抑止力として、両国の核の傘下に入る可能性も十分ある。

 ロシアと中国とイランが、一人は皆のために、皆は一人のために行動する決意をしている限り、彼らは負けることのない世界的軍事力と経済力の組み合わせだ。一人は皆のために、皆は一人のために、ウィル・シュライバー、ツイッター
 シュライバーの見解は(当然ながら)主要メディアでは意見を述べることを禁じられている多くの専門家に共有されている。しかし、ロシアとイランは、危機に陥れば軍事介入する戦略的同盟国だという根本的事実は変わらない。

 注目すべきは、イランは中国に石油の15%を供給しており(中国最大の石油供給国)、国際南北輸送回廊(インド、イラン、アゼルバイジャン、ロシア、中央アジア、ヨーロッパ間の貨物輸送のための船、鉄道、道路の7200キロの多様なネットワーク)に積極的に参加しており「中央アジア、南アジア、中東アラブ諸国の交差点に位置している」ことだ。イランの戦略的位置と豊富な天然資源により、イランはワシントンの陳腐な「ルールに基づく体制」に急速に取って代わりつつある新興の多極世界秩序の重要な一部になっている。ロシアも中国もイランが壊滅したり、イラン政府が追放されたりすることは許さない。著者Digby James Wren博士によるSubstackの詳細な背景情報は下記の通り。
 イランとの包括的戦略提携協定調印をロシア大統領は承認した。これはロシア安全保障会議書記のテヘラン訪問に続き、イラン国家安全保障顧問がサンクトペテルブルクを訪問したことを受けてのものだ。この協定は「適切」であり「最高レベルで」調印される予定だとプーチン大統領が述べていると報じられている。

 イラン・メディアによると、テヘランとモスクワの「戦略的」関係を称賛し、近年強化されているとプーチン大統領は述べた。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以来、モスクワとテヘランの関係は、かなり深まっている

 この二国間協力は、特に軍事分野で顕著になっている。イランはロシアにドローンを供給しており、ウクライナに対して配備されたと報じられている。更に、ロシアのドローン生産現地化の取り組みをイランは支援していると考えられている…。  ペゼシュキアン大統領に「イランとの関係は我々にとって最優先事項だ」とプーチン大統領は語った。

 8月には、ロシア兵器がイランに輸送されているという報道も浮上した。当時、ロシアがクレムリンに要請したのを受けて、高度なレーダーや防空装備をテヘランに移送し始めたとイラン当局者が語ったとニューヨーク・タイムズが報じた。Persian Fire、ディグビー・ジェームズ・レン博士、Substuck
 言い換えれば、今日起きている危機を予期して、プーチン大統領はイランの防衛を精力的に強化し始めていたのだ。そして今や彼らは準備万端だ。見てみよう。
 ウラジミール・プーチン最高司令官は中東情勢について話し合い、直接会ってしか話し合えない課題を設定した。…我々は事態の進展を監視しており、軍は戦闘態勢を整えており、主導権は我々にある…勝利は我々のものだ。すぐではないかもしれないが我々は必ず勝つ。⁃アンドレイ・グルレフ、ロシア中将 @DD_Geopolitics
 今我々が予想すべきは、イランの重要インフラをイスラエルが攻撃し、政治・軍事指導者を狙う斬首作戦により、それが増幅されることだ。イランが過剰報復して、ワシントン参戦を促す可能性を高めるには、アメリカ顧問が示唆した攻撃を上回る必要があるだろう。(これがイスラエルの主目的だ)イランの反撃は、ロシアが「相応の反撃」を強調することで、ある程度決定される。イスラエルとアメリカに「熱を下げ」緊張緩和するあらゆる機会をプーチンは与えるだろうが、もし彼らが攻撃を激化させると決めたら、最悪のシナリオを予想すべきだ。

 イランとの戦争からアメリカが無傷で抜け出すことはあり得ない。今は、我々の目の前で、旧秩序の礎が崩壊しつつある重大な時だ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/if-israel-attacks-iran-russia-is-not-going-to-stay-on-the-sideline/

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 2024.10.24の《櫻井ジャーナル》記事にも、どこか通じる?
シオニストの行うことは、なぜナチと似ているのか
Mohammad Marandi WARNS: Iran's Next Response Will SHOCK The World! Israel Into UNPRECEDENTED Chaos 1:13:28
   テヘラン大学英文学・東洋学教授による、イスラエル人の物の考え方が歪んでいる理由の説明に納得。自分達の人種的優秀性と例外主義という独善的認識ゆえ、物事を正しく理解できないのだという。敵のトップ暗殺を繰り返せば、相手の士気を失わせるのでなく益々高めることが全くわかっていないのだという。シンワル殺害映像を公開し、ハマス支持を増やし、イスラエル支持者を減らすおろかさ。

 日刊IWJガイド
「BRICSサミット(その3)BRICSの『カザン宣言』は、欧米が無視してきた国連の枠組みと精神を最大限尊重するものだった!」2024.10.26号

■【本日のニュースの連撃 3連弾!】

■【第1弾! NATO加盟国から唯一トルコがBRICSサミットに参加!】(『ニューヨーク・タイムズ』2024年10月23日、ほか)EUへの参加を申請しながら、おそらくトルコが欧州の白人中心の国家ではなく、キリスト教文明圏ではない、という理由で排除してきた結果が、多様性を認めるBRICSへの参加の道を開いた!

■【第2弾! 米大統領選トランプ候補が大統領在任中、ロシアのプーチン大統領に「もしウクライナを狙うなら、モスクワのど真ん中で、あなたをぶちのめしてやる」と言ったと激白! ロシアのメドベージェフ元大統領は、「お前のクソみたいなワシントンも、攻撃されるだろう」とXに投稿!!】メドベージェフ氏はBRICS首脳会議を米国の世界支配への「本格的な対抗勢力」と位置付け、「このような力の均衡が現れなければ、人類の完全な滅亡につながる全面戦争が起きてしまう」と警告!(『ウォール・ストリート・ジャーナル』、2024年10月18日)

■【第3弾! 米国が「北朝鮮兵3000人が極東ロシアの軍事施設で訓練を受けている」と公式に発表! ただし「ウクライナ紛争に参戦するかは不明」とも】ロシアのプーチン大統領は、北朝鮮兵のロシア派兵を否定も肯定もせず、批准中の「包括的戦略パートナーシップ条約」を「見守っている」と発言! 日本のテレビ局は24日夜のニュースで、ウクライナが作った北朝鮮兵に投降を呼びかける「温かい食事と清潔な部屋」動画を横並びで一斉に詳報! 飢餓の国からきた飢えた兵士たちが逃走、投降するだろうという見下し!? しかしそのウクライナは逃走が多すぎて罪に問われないことに!!(『AFPBB』、2024年10月24日)

2024年8月 5日 (月)

パレスチナ人囚人をレイプしても構わないと言うイスラエル人

マイク・ホイットニー
2024年7月30日
The Unz Review


イスラエル国会議員ハノク・ミルウィツキー
 
パレスチナ人囚人を強姦するのは正当かとの質問に、イスラエルの与党リクード党議員ハノック・ミルウィツキーは「全て合法だ」と答えた。「人の肛門に棒を挿入するのは合法か?」とパレスチナ人議員アフマド・ティビは尋ねた。「そうだ! 彼がヌフバ(ハマス)なら何をしても合法だ」とミルウィツキーは叫び返した。マクトゥーブ・メディア
 
イスラエルは野蛮と残虐の限界を超えた。これは新たなレベルの堕落だ。アブディ、ツイッター
 
月曜、イスラエルの過激派がベイト・リドのイスラエル国防軍基地に押し入り、拘留中のパレスチナ人囚人を拷問し、強姦したとされるイスラエル予備役兵9人の拘留に抗議した。建物内での混乱した騒動はビデオに記録され、Twitterで広く拡散された。(こちらを参照)暴徒は、軍人がパレスチナ人被拘留者への残忍で非人道的な扱いの責任を問われる可能性がある事実に激怒した。彼らは、パレスチナ人囚人に科されるいかなる刑罰も、それがいかに残酷で野蛮なものでも正当かつ正当化できると信じている。ソーシャル・メディアで多くの人が指摘している通り、抗議行動参加者は基本的に予備役兵がパレスチナ人囚人を強姦する権利を擁護していた。彼らの行動から導き出せる結論はそれだけだ。

 下記は、アフマド・ティビ議員とリクード党クネセト議員ハノック・ミルウィツキーとの間の異例のやり取りを収めた短い映像だ。ミルウィツキーは、囚人の肛門に棒を突っ込むのは容認できる処遇で、捜査、起訴、処罰の対象とすべきでないと率直に述べている。(映像)

 ミルウィツキーによれば、イスラエル予備役兵は保護下にある囚人に対する残酷で非人道的な扱いを禁じる基本的人権法に従う必要はない。ハマスが同じ政策を採用し、10月7日に捕らえたイスラエル人人質に適用したら、ミルウィツキーはどのような反応を示すだろうか。彼は「ある人にとって良いものは、別の人にとって良い」という考え方を受け入れるつもりだろうか。それとも、イスラエルが恣意的に「テロリスト」と分類する囚人に対しては、特別な法的「例外」があるべきだと考えているのだろうか。この用語は、現在ガザに住んでいる200万人のパレスチナ原住民全員に漠然と適用される。下記はAntiwar.comの投稿からの引用だ。

 月曜日、イスラエル軍警察は、イスラエル南部の悪名高いスデ・テイマン刑務所でパレスチナ人囚人を強姦した疑いのあるイスラエル兵士を拘束した。イスラエル・メディアは、パレスチナ人囚人が肛門に重傷を負い、歩行も困難な状態でスデ・テイマンから病院に移送されたと報じた。

 イスラエル軍警察がパレスチナ人男性を強姦した疑いのある兵士を拘留するためスデ・テイマンに向かったところ抵抗に遭った。強姦容疑者逮捕は、イスラエルの極右活動家による抗議を引き起こした。イスラエル国会議員らは、スデ・テイマンに突入した抗議行動参加者に加わった。同日遅く、イスラエル兵士が拘束されている基地であるベイト・リドに抗議行動参加者は突入した。

 イスラエル国家安全保障大臣でユダヤの力党党首イタマール・ベン・グヴィルは拘束されたイスラエル兵士らを「最高の英雄」と称え、彼らの逮捕を「恥ずべきこと」と非難した。

 ガザから来たパレスチナ人を収容しているスデ・テイマン刑務所では、広範囲にわたる虐待と拷問が行われていることをイスラエルの内部告発者が詳細に報告している。先月、この施設から脱出したパレスチナ人が性的拷問を受けたと語ったとニューヨーク・タイムズ紙は報じた。

 ハマスと関係があるとの疑いでアル・シーファ病院を去った後、ガザ地区でイスラエル軍に拘束された上級看護師ユニス・アル・ハムラウィは、イスラエル兵が金属棒を直腸に突っこんだため出血し「耐え難い痛み」を味わったとタイムズ紙に語った。

 タイムズ紙報道によると、国連から流出した報告書には「尋問官に『熱い金属棒のようなものの上に座らされたが、火のように感じた』と語る41歳の被拘禁者の言葉が引用されており、また別の被拘禁者は『肛門に電気棒を挿入された後、死亡した』とも書かれている」。イスラエル警察、パレスチナ人を強姦した疑いのある兵士を拘束し、抗議活動勃発、antiwar.com

 この話が今や(新聞の裏表紙に埋もれるのではなく)見出しになっているのは、イスラエルの長年にわたる囚人虐待の歴史とは何の関係もない。いや、この話は実際は囚人虐待に関するものではないからだ。これはイスラエルのユダヤ人が自分たちの国の魂をめぐって繰り広げている苦い闘争に関するものだ。残念ながら、狂信者と悪党がその闘いに勝利しているようだ。Middle east Observer編集者は次のようにまとめている。
 
イスラエル社会が分裂しているのはわかっていた。しかしパレスチナ人を強姦し拷問する権利をめぐって内戦に突入すると一体誰が予想しただろう。ミドル・イースト・オブザーバー

 しかし、悪いニュースばかりではない。ベイト・リドの暴動は、一部の偏見のないシオニストにとって強力な警鐘となった。指導者やメディアや、更に親しい友人に意図的に騙されていたことに彼らは気づいたのだ。シャイエル・ベン・エフライムの心のこもった声明を読んでみよう。
 
私は愚かで恥ずかしいと感じている。

 5月、CNNがスデ・タイマンでの虐待の詳細を暴露した。その後、ニューヨーク・タイムズもそれに関する記事を発表した。どちらもイスラエル情報源とパレスチナ情報源を合わせた内容だった。

 政府筋とイスラエルのメディアがそれを否定したので、私はそれらを無視した。私は生涯を通じて、国際メディアはイスラエルを攻撃しようとしている、彼らは全員反ユダヤ主義者だと言われ続けてきた。

 しかし今日、どれほど嘘をつかれていたか私は悟った。私の国に、私の友人に、私のメディアに。今日、私が話した多くの人々は、これらの疑惑を否定していたが、彼らはそれが真実だったことを認めたのだ。

 最悪なのは、この件が明るみに出ないのは、イスラエル国防軍と政府が考えを変えたからだ。イギリス、国際刑事裁判所、国際司法裁判所からの圧力が無視できないほど大きくなってきたため明るみに出ているのだ。これではネタニヤフ、ギャラント、参謀総長は深刻な問題に巻き込まれるだろう。そこで彼らはとうとう真実を語った。イスラエルは囚人を日常的に拷問している。性的虐待はかなり一般的だ。人々は死ぬまで拷問を受ける。

 最悪なのは、この施設にいた人々の多くが無実だったことだ。偶然に集められたのだ。しかし、彼らがこの地獄のような状況に置かれる前に実際に検証する過程はなかった。

 このままではいけない。

シャイエル・ベン・エフライム

結局、人類には希望があるのかも知れない。ありがとう、シャイエル。

メモと映像

 狂信者連中、ベイト・リドに集結

「(パレスチナ人)テロリストたちに死を」と叫ぶ群衆

 イスラエル警察官たちが現場に到着

  過激派が強姦犯が収容されている軍事基地への侵入を試みる

門前の野蛮人連中

狂信者連中を撃退できない兵士たち

弁護士のハレド・マハジネは、オフェル強制収容所でパレスチナ人囚人と面会した後、「イスラエル」の看守が他の囚人全員の前で、あるパレスチナ人囚人の直腸に消火器のパイプを挿入して作動させ、拷問したと報告した。 https://t.co/vYxC9DjrPw pic.twitter.com/UNUPyS5nYB — الأخ الكبير (@BIG__Brother7)
July 15, 2024

記事原文のurl:https://www.unz.com/article/israelis-say-its-okay-to-rape-palestinian-prisoners/

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 Alexander Mercouris

MidEast War: West Flees Lebanon, G7 Begs Restraint, Rus Gives Iran EW, Arms Houthis... 1:22:12

 耕助のブログ Pepe Escobar記事翻訳

No. 2229 中国は脱出速度を達成した

2024年7月21日 (日)

ウクライナでロシアがNATOに勝利する理由

マイク・ホイットニー
2024年7月14日
Unz Review



 ワシントンDCで3日間にわたり開催されたNATOサミットは、今後のロシア連邦攻撃に、同盟諸国32カ国全てが一致して支持を表明できる公開フォーラムを開催する当初の目的を実現した。これがこの会議の真の目的だった。会議主催者は、モスクワとの将来の敵対行為を正当化し、第三次世界大戦開始の責任を問われる可能性を減らすため、劇的に団結を示そうとしたのだ。

 首脳会談後、既に開戦が決定されたことを強く示唆する公式宣言が発表された。多くの人が知っている通り、ロシア領内標的へのミサイル発射を許す政策をNATOは承認した。この政策は、近い将来ウクライナに配備される多数のNATOのF-16にも適用される。(F-16は核ミサイル搭載可能だ)加盟諸国の間でこの政策に対する圧倒的な支持があるにもかかわらず、これは国際法で禁じられている露骨な侵略行為なのを忘れてはならない。どんなに大騒ぎしても「最大犯罪」を犯す方向にNATOが進んでいる事実を隠すことはできない。

 注目すべきは、戦争遂行において、NATOがより積極的役割を果たすつもりでいることだ。アメリカ国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンによると、同盟はウクライナ国内に軍事作戦を監督するNATO事務所を正式に設置する計画だという。要するに、もはや自らの関与を隠すことに紛争管理者には興味がないのだ。これは今やNATO作戦だ。以下はWorld Socialist Web Site記事の抜粋だ。
 
このNATO事務所は、ウクライナ戦争を監督するNATO司令部創設に伴って設置され、武器供給と兵站監督を、アメリカ主導の特別集団からNATO同盟自体に移行することになる。

 サリバン発言は、ワシントンで3日間にわたり開催される首脳会談の主要議題を概説したもので、ウクライナにおけるロシアとの紛争の大幅な激化と、欧州全域で全面戦争に備えるNATOの能力を大幅に強化する計画を示唆するものとみられる。

 サミットでは「ウクライナ軍の訓練、装備、戦力開発計画を開始する三つ星将軍が率いるドイツにおける新NATO軍司令部設置」も発表される予定だとも彼は述べた。

 キーウにNATO事務所を開設し、NATOの直接指揮下で武器供給、訓練、軍事兵站を再編したことは、ウクライナ紛争はNATOとロシアの戦争ではないという見せかけの終焉を意味する。これは戦争の危険な新たな局面を示し、大規模エスカレーションの可能性を高めている。ワシントン・サミットはウクライナ国内にNATO事務所を設立する計画を発表、WSWS

 これら全てに加え、ウクライナがNATO加盟への「不可逆な」道を歩んでいると首脳宣言で断言しており、モスクワを挑発するため、あらゆる努力が払われているのは明白だ。

 当然ながら、宣言の中でロシアは徹底的に悪魔化されている。これはサダムやカダフィやアサドなど他のワシントンの敵国で見られたお馴染みのパターン通りだ。以下は、本文から直接引用した「邪悪な」ロシアの簡単な要約だ。
 
 ロシアは依然、同盟諸国の安全保障に対する最も重大かつ直接的脅威であり続けている。

 国連憲章を含む国際法の明白な違反であるウクライナに対する侵略戦争についてロシアは単独で責任を負う

 ロシア軍と当局による人権侵害や侵害、戦争犯罪、その他の国際法違反に対する免責は認められない。

 ロシアは数千人の民間人の死に責任があり、民間インフラに甚大な被害を与えた。

 7月8日に病院を含むウクライナ国民に対してロシアが行った恐ろしい攻撃を、我々は可能な限り強い言葉で非難する。

 ロシアの攻撃的行動を抑制し、対抗し、NATOと同盟諸国に対する不安定化活動を行うロシアの能力に我々は対抗する決意だ…ワシントン・サミット宣言、 NATO

 ロシアに対するワシントンの猛烈な拒絶は、この全てがどこに向かっているのか疑う余地を残さない。戦争に向かっているのだ。戦場でのロシアの前進を後退させ、モスクワの政治指導者を倒し、国をより小さく、より管理しやすい小国に分裂させると決意している億万長者エリート連中の見解を、この宣言の筆者は繰り返し述べている。アジアに武力を投射し、中国を包囲し、世界で最も繁栄している地域で卓越した勢力としての地位を確立するワシントンの全体的な地政学的戦略にとって、ロシアは最も手ごわい障害となっている。これら戦略的目標はメディア報道では常に省略されるが、それこそが出来事を形作る根本要因だ。バイデンはこう述べている。
 
ヨーロッパでは、ウクライナに対するプーチン大統領の侵略戦争が続いている。そしてプーチン大統領が望んでいるのは、ウクライナの完全征服、ウクライナ民主主義の終焉、ウクライナ文化の破壊、そしてウクライナを地図から消し去ることだ。

 プーチンがウクライナで止まらないことは分かっている。しかし誤解しないよう願いたい。ウクライナはプーチンを止められるし、止めるだろう。特に、我々の全面支援があればなおさらだ。そして彼らは我々の全面支援を受けている。「ウクライナはプーチンを止められるし、止めるだろう。」ホワイトハウス

 全てたわ言だが、バイデンの明らかな意図である戦争の根拠を構築するには役に立つ。(プーチンがヨーロッパを征服したがっているというバイデンの主張に対するジョン・ミアシャイマーの反論は下記。YouTube ; 30秒マーク)

ビデオリンク



 この戦争はNATO拡大によって引き起こされたのが真実で、これはNATO議長イエンス・ストルテンベルグが何度も認めている不都合な事実だ。2022年4月のキーウとモスクワの和平交渉の際、ロシアの主な要求はウクライナがNATO加盟を拒否し、永世中立を宣言することだったのを思い出す方も読者の中におられるかも知れない。ゼレンスキーは、これら条件に同意したが、これは事実上、プーチンの行動がNATO拡大に関連していたことを証明している。プーチンがヨーロッパを征服したがっている証拠は事実上ない。皆無だ。プーチンは単にウクライナが中立に関する条約上の義務を尊重するのを望んでいるに過ぎない。Antiwar.comのテッド・スナイダーによるこの抜粋を確認頂きたい。

 
ウクライナはNATOに加盟しないことを約束した。ウクライナの非同盟はウクライナ独立国家の基本文書に明記されている。

 1990年のウクライナ国家主権宣言第9条は、ウクライナは「軍事ブロックに参加しない永久中立国となる意図を厳粛に宣言する」と述べている。 この誓約は1996年のウクライナ憲法でも繰り返され、ウクライナは中立を約束し、いかなる軍事同盟にも参加することを禁じられた。しかし、2019年にペトロ・ポロシェンコ大統領が、ウクライナ憲法を改正し、NATOとEU加盟の「戦略的方針」にウクライナを誓約させた。

 NATOの過去の行動を考慮して、これはロシアにとっての直接的脅威とみなされた。2023年にウクライナの主権を、まだロシアが認めているかどうか尋ねられた際、セルゲイ・ラブロフ外相は次のように答えた。「我々は、ウクライナがソ連から脱退した時に採択した独立宣言に基づいて、1991年にウクライナの主権を認めた…この宣言において、[ロシアにとって]主な要点の1つは、ウクライナは非ブロック非同盟国になるはずで、いかなる軍事同盟にも参加しないはずなことだった…その版で、それら条件で、我々はウクライナの領土保全を支持する。」 NATO75周年:戦争につながった破られた約束、 Antiwar.com


 もちろん、ワシントンが誠意を持って行動していれば、この問題はずっと前に解決できたはずだが、ワシントンは誠意を持って行動しなかった。実際、ワシントンは依然、世界で唯一無二の超大国としての将来を確保する「アジアへの回帰」戦略を実行するため、ロシアに「戦略的敗北」を負わせると決意している。これら目標は、エスカレーションや、紛争や、本格的戦争なしに実現できない。NATOサミットは、核超大国間のより広範でより暴力的な紛争の前触れにすぎない。



 我々が自問すべき疑問は、NATOが実際ロシアとの戦争に勝てるかどうかだ。本当に勝てるのだろうか?

 答えは「いいえ」だ、勝てない。

 なぜか?

 この質問に軍事評論家ウィル・シュライバーは次のように答えている。

 
2022年よりずっと前から私は何年も研究をしてきた。ウクライナ戦争はアメリカ/NATOが決して勝てない戦争だと私は繰り返し警告してきた。(アメリカを含む)NATOの「書類上の」強さと、実際の戦闘能力の間には大きな隔たりがある。アメリカは東ヨーロッパで25万人の戦闘員を集結、装備、配備、維持することさえできず、そうしようとすれば、地球上の全主要アメリカ基地撤退が必要になる。アメリカ/NATOはロシアとの戦争に勝てないだけでなく、その取り組みで骨抜きにされるだろう。

 アメリカ/NATOによるユーゴスラビア、イラク、リビアの破壊に警戒したロシアは、過去25年間、特に過去2年間、アメリカ/NATOとの最終戦争に備えて、大規模で非常に強力な軍備増強と近代化に従事してきた。過去2年以上にわたり、ウクライナ代理軍を、ロシアはいとも簡単に三回連続、計画的に破壊したロシアの軍隊構築、戦闘訓練、軍事産業生産は、NATO圏全体を合わせたより遙かに優れている。あなた方のような物見遊山軍事評論家がハリウッドのファンタジーや欧米諸国の国営メディアで徹底的に洗脳されている度合いは理解できるが、戦争は架空の物語や派手なスーパーヒーローが戦って勝つのではない。戦争に勝つのは生の火力で、この基準から、ロシア、中国、イランの三国同盟は、今や傲慢さに酔った敵より優位に立っている。現時点で、正気な選択肢は一つしかない。帝国を放棄し、復活した世界の文明国と和平を結ぶことだ。さもなくば現代人類文明そのものの多くが破壊される危険に曝され、回復には何世紀もかかるだろう。ウクライナは勝てない、ウィル・シュライバー、ツイッター

 また「弾薬庫の奥行き」という厄介な問題もある。これは敵に勝ち、最終的に打ち負かすために必要な武器弾薬備蓄を指す。ここで再びシュライバーの言葉を引用する。

 
イスラエルは(偉大な後援者アメリカ同様に)「大戦争」という状況において、潜在的に同等または準同等の敵に対して、複数の損害を与える攻撃を遂行する能力があるのは疑いようがない。しかし帝国の領域全体では、現時点で存在しており、短期または中期のどの時点でも強みに変えられない致命的弱点がある。第一に、軍人が「弾薬庫の奥行き」と呼ぶものだ。攻撃で圧倒し、防御で、打ち負かし、戦略的に敵より長く生き残るのに十分な弾薬の備蓄だ。アメリカも、ほとんど無力な属国諸国も、同等の敵、ロシアや中国やイランや、彼らの全て、またはいずれかの小国に対し、比較的短い作戦以上のものを実行するのに十分な「弾薬庫の奥行き」を持っていない。弾薬庫の奥行き」ウィル・シュライバー、Twitter

 シュライバーの言い分は深刻なのと同時に憂慮すべきだ。ロシアとの戦争でアメリカとNATOは勝利することはないだろう。なぜなら彼らはロシアほどの工業力、戦力、戦闘訓練、弾薬庫の奥行き、総合的火力を持っていないためだ。あらゆる基準で、彼らの戦闘力は劣っている。更に既にロシアは「ウクライナ軍で最も訓練され、最も装備が整った兵士」数十万人を殺害または捕虜にしている。既にウクライナ軍は事実上壊滅している。現在塹壕にいる兵士は訓練不十分で、技術がなく、士気の低い新兵で、数千人単位で虐殺されている。NATOの関与が、この流れを変え、勝利を確保できると本気で信じている人などいるのだろうか。以下は更なるシュライバー発言だ。

 
アメリカやNATOが、彼らに対して展開するあらゆる種類の攻撃ミサイルを日常的に撃墜できることをロシアは実証してきた。常に全てのミサイルを撃墜できるわけではないが、ほとんどの場合、ほとんどのミサイルを撃墜できる。しかも時間が経つにつれ、ロシアのミサイル迎撃能力は益々向上している。

 実際、ここ数ヶ月「ほとんどの場合、全て」という状況が益々増えている。今週初め、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相がこう報告している。

 「特別軍事作戦中に我々は防空システムを総合的に活用している。これにより、システムの対応力と攻撃範囲が大幅に向上した。過去6か月間で、NATOのHIMARSロケット、短距離ミサイル、巡航ミサイル、誘導爆弾を1,062発撃墜した。

 世界の他の軍隊は、これまで、このレベルの能力を証明したことはない。アメリカはその能力を持っていないし、開発するには少なくとも10年はかかる。

 現在、最前線に配備されているアメリカの戦術弾道ミサイルや海上および空中発射巡航ミサイルは、ロシア防空軍にとって、ウクライナ戦争で既に目にして破壊したものより大きな技術的脅威にはならないはずだ。この戦場での進展の重要性は誇張してもし過ぎることはない。これは何十年もの間想定されてきた戦争計算を変えるものだ。Empty Quiver、Will Schryver、Twitter


 成功の可能性を徹底的に調査せずにNATOが戦争に突入すると信じられない向きも読者にはおられるかもしれない。だが、まさにそれがここで起きているのだ。大声で怒鳴るアメリカ政府は自分が「参戦すればすぐ勝てる」と愚かにも信じている。ロシアに有利な状況にあり、参戦すれば猛烈な反撃を受けるのを彼らは受け入れられないのだ。しかし、それが彼らが直面している現実だ。最後にもう一度シュライバーの言葉を引用しよう。

 
たとえ目標に合意できたとしても、NATOは調整、教義、戦力編成という大問題に直面するだろう。NATO軍はこの種戦争のために訓練されておらず、共に行動したこともない。

 2023年の大攻勢に向けて欧米諸国が訓練し装備したとされる9個旅団より強力な部隊を配備するのは困難だろう。この大攻勢はロシア軍に撃退されただけで、目立った成果は得られなかった。

 高強度地上戦に少しでも適した地上戦闘部隊をアメリカはヨーロッパに持っていない。十分な時間と資金、政治的意志と組織があれば、ほとんどのことは可能だ。しかし、ロシアにとって迷惑以上のものを構成する軍隊をNATOが編成し、多くの命を危険にさらす可能性はない。NATO幻影軍、ウィル・シュライバー、サブスタック

 ウクライナの戦場で、NATOがロシアと対峙すればロシアに勝てると確信している妄想的分子が外交政策体制内部にいると私は確信している。なぜそういうことが起きないのかを示すのに、シュライバーの分析は役に立つ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/why-russia-will-defeat-nato-in-ukraine/

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 デモクラシータイムス

保険証廃止で医療は崩壊?~レセプトオンライン義務化で町の医院はたいへん【荻原博子のこんなことが!】
 22:00

 寺島メソッド翻訳NEWS

ABCニュース:「トランプ氏の選挙集会の銃撃犯が屋上にいた建物は警察機動部隊の待機場所だった」

植草一秀の『知られざる真実』

独立を回復できない日本

2024年7月 9日 (火)

紅海で形勢を一変させるフーシ派の極超音速ミサイル

マイク・ホイットニー
2024年7月2日
The Unz Review

 

 2024年6月26日にイエメンのフーシ派が公開した映像のスクリーンショットにはイエメンの非公開の砂漠地帯から極超音速ミサイルが発射される様子が写っている。新華社

 

 これはイランの復讐だろうか?

 

 3月下旬、ダマスカスの領事館をイスラエルが爆撃したことに対するイランの報復は、極超音速ミサイルをフーシ派に提供して「大悪魔」と戦わせることなのだろうか?

 

 6月26日、イエメンのフーシ派反政府勢力は長距離固体燃料極超音速弾道ミサイルを使用してアラビア海の商船を攻撃した。軍事作戦で、この集団が最新鋭ミサイルを使用したのはこれが初めてだ。この進展の重要性はいくら強調してもし過ぎることはない。極超音速ミサイルは、まだ欧米諸国では入手できない技術進歩を特徴としており、以前のモデルより精度が高く、撃墜が困難で、飛行距離が長い。この独自最新兵器は、将来、紅海やそれ以遠への攻撃でフーシ派に決定的優位を与える戦力増強装置だ。これにより、フーシ派は商業交通に対する支配力を強めることができると同時に、アメリカ軍艦をより大きな危険にさらすことになる。またアメリカや連合諸国との戦争で、フーシ派が勝利する可能性も大幅に高まるだろう。以下はMaritime Executive記事からの引用だ。

 

 アデン湾沖のMSCコンテナ船を標的とした極超音速ミサイルを初めて発射したとフーシ派は主張している。

 フーシ派のヤヒヤ・サリー報道官の投稿により、アラビア海でMSC社のSarah Vを狙ったミサイルの正体が初めて明らかになった。「これは高度な技術を備え、命中精度が高く、長距離まで到達する現地製極超音速ミサイルだ。」

 3月のメディア報道によると、フーシ派はマッハ8に達する極超音速ミサイルの製造を開始した。報道によると、このミサイルはインド洋更に深奥部の船舶の脅威となると言う。動画:フーシ派、MSCの船を標的に極超音速ミサイル初発射を主張、Maritime Executive

 

 第一に、フーシ派は高度なミサイル製造施設を持っていないので、現在軍事作戦で彼らが使用しているハイブリッド弾道ミサイルが何であれ、自ら製造したわけではない。

 

 第二に、今週初めのアラビア海での事件で発射されたミサイルは、おそらくイラン製ファッタフ1の派生型で、マッハ3、つまり音速の3倍の速度で飛行できると専門家らは示唆している。ファッタフ1はフーシ派が使用してきたミサイルが大幅に改良されたものだが、最先端の極超音速弾道ミサイルほど商業船舶に深刻な脅威を与えるものではない。最先端の固体燃料極超音速ミサイルは別格だ。マッハ5を超える速度で飛行し、機動性が高く、飛行中に進路を変更できるものもある。多少の背景情報は下記のとおり。

 

 極めて機動性の高い兵器を極超音速で発射する能力は、どの国にとっても大きな利点となる。なぜなら、そのような兵器は現在使用されているほぼ全ての防衛システムをかわすことができるためだ。

 

 2020年1月ワシントンで「脅威が何かは問題ではない。脅威が見えなければ防御はできない」と元米統合参謀本部副議長ジョン・ハイテン将軍が聴衆に語った。

 

 2018年にアメリカ戦略軍司令官を務めたハイテンは「我々に対する、そのような兵器の配備を阻止できる防衛手段はない。…我々の防衛手段は抑止力だ」と述べた。極超音速兵器とは一体何で、誰が保有しているのか? VOA

 

 結論:もし、これら「先進的」兵器をフーシ派が自由に使えるなら、紅海は海底に向かう燻る米軍艦で埋め尽くされるはずだ。しかし、そうではないので、フーシ派にミサイルを供給しているのが誰であれ、まだ最新鋭の極超音速ミサイルを彼らに提供する準備はできていないと仮定しなければならない。Business Insider記事から更に引用する。

 

 ミサイルや宇宙技術を研究するミュンヘンのコンサルティング会社STアナリティクスの責任者マルクス・シラーは、このミサイルはイランで設計された可能性が高いとBusiness Insiderに語った。

 

 「これは間違いなくイランのファッタフ・ミサイル・ファミリーの一種だ。このミサイルは1990年代に開発され、以来継続的に改良されている」とシラーは述べた。最近テヘランは、ファッタフ・ミサイル最新版を極超音速ミサイルとして宣伝している。フーシ派反政府勢力は、新しい「自家製極超音速ミサイル」を発射したと述べ、民間船に向けて発射する映像を投稿した。 Business Insider

 

 実際フーシ派が最良の弾道ミサイルを持っていない可能性が高い。結局、彼らの封鎖の狙いは、アメリカ軍艦を破壊して何千人もの人を殺すことではなく、イスラエル経済に圧力をかけて、ガザへの人道支援をイスラエルに認めさせることだ。実際、フーシ派の戦略が成功したのは、それがほとんど平和的だった事実に大きく起因しており、だからこそ彼らの大義は世界中の人々から支持を集めてきたのだ。もし彼らがやり方を変えて、片っ端から船を沈没させ始めたら、人々の支持は一夜にして消えるだろう。下記はForeign Policy記事からの引用だ。

 

…… 8か月たって船舶の混乱は突然更に悪化している。 6月下旬フーシ派攻撃で船が沈没(攻撃開始以来2隻目)し、別の船にも損傷が生じた。今年に入ってから攻撃未遂と攻撃成功のリストは延々続く。米艦艇がドローンやミサイルや無人水上艦艇を撃退した報告を米中央軍公式発言はほぼ毎日繰り返している。対艦ミサイルを効果的に使用してきたフーシ派は現在いわゆるフーシ派特攻船「Blowfishフグ」を含む水上ドローンに益々依存するようになっている。

 

 こうした展開と頻繁な迎撃は、アメリカ海軍の弾薬庫を食いつぶしている。議会関係者によると、紅海でフーシ派ドローンやミサイルを撃墜するのに米護衛艦が使用する標準的防空ミサイルをアメリカはほとんど生産していないという。「あそこでの消耗率がこれまでと同じ急な高水準を維持する限り、我々はより危うい立場に立たされる」と匿名を条件にアメリカの弾薬不足について率直に語ったある関係者は語った。米海軍と同盟諸国はなぜフーシ派を阻止できないのだろう? Foreign Policy

 

 著者の分析には苛立ちが感じられ、理由も理解できる。アメリカにとって国家安全保障上の脅威とはならない反乱集団と紅海で戦って泥沼にはまり込むのをワシントンは望んでいない。いやなのだ。ロシアのウクライナ作戦を押し返したり、中国を封じ込めたりする、より広範なアメリカの地政学的野望を前進させることにはならない取り組みに、バイデンも更なる資源や地上部隊を投入したくないのだ。要するに、紅海での騒動は、「消えてなくなる」のをアメリカ外交政策責任者が望んでいる厄介な問題だと一般に認識されている。しかし問題は消えるどころか悪化しており、バイデンは望まない選択を迫られている。以下はgCaptain記事からの引用だ。

 

 イランが支援するフーシ派反政府勢力による攻撃が激化しているため、紅海の船舶を護衛するため欧州連合(EU)が派遣した海軍部隊は規模を二倍以上に拡大する必要があると作戦責任者が述べた。

 

 水曜日のインタビューで、二月以来、EU艦艇4隻がイエメン沖海域を巡回している。その間、164隻の船舶に「近接防御」を提供し、無人航空機を12機以上撃墜し、対艦弾道ミサイル4発を破壊したとヴァシリオス・グリパリス少将が語った。

 

 イエメンを拠点とするフーシ派は世界海運を混乱させ、1月に始まったEUの作戦とアメリカとイギリスの爆撃にもかかわらず、多くの船舶が南アフリカを何千マイルも迂回して航行するのを余儀なくされた…。

 

 「毎日40~50隻の船が海峡を行き来しているので、近接防御を行うには相当数の船が必要だ」と彼は語った。「近接防御ができない場合もあるが量に対処するよう努めている。」

 

 アメリカとイギリスの爆撃作戦は攻撃を阻止できず、むしろ両国関連の船舶が頻繁に攻撃されるようになっている。地中海の船舶を攻撃する可能性がある作戦拡大をフーシ派は警告している。

 

 「フーシ派を攻撃して問題が解決するとは我々は考えていない」と彼は語った。「数年前同様の行動をとった国もあったし今もそうしている国もあるが、それが問題解決につながっていないのは明らかだ」フーシ派を撃退するには艦隊を倍増させる必要があるとEU軍は主張、gCaptain

 


 著者が何を言っているかお考え願いたい。現在の方法は機能していないので同じ戦略を更に強化すべきだと著者は主張しているのだ。これは「狂気」の定義ではなかろうか。

 

 明らかなのは、アメリカ外交政策手段は軍事力しかないことだ。そして、その手段が効果がないことが判明すると、軍事力が更に強化される。これがアメリカ政府が紅海で無駄骨を折っている現在の紛争の結末にどんな影響を与えるのか理解する必要がある。イスラエルに圧力をかけて、ガザ封鎖を解除させたほうが良いのではなかろうか。

 

 政策立案者が自ら問うべき疑問は、かなり明白だ。「この問題に対する軍事的解決策はあるのだろうか?」

 

 答えは「ノー」だ。明確に定義された戦略目標や撤退戦略もない。これらは戦争への突入と、外交政策の官僚たちがお気に入りの作戦理論「先に撃って後で質問する」を実行する決意の中で無視された。その結果、アメリカは従来の手段では勝てない、またしても無意味な大戦に巻き込まれている。下記はBusiness Insiderからの引用だ。

 

 ここ数週間、フーシ派は商業船への攻撃を連続して成功させており、そのうち一隻を沈没させたほか、ドローン船で標的を効果的に攻撃する能力を実証し、攻撃がより巧妙になっていることを示している。

 

 いくつかの事件では、危険な新戦術も明らかになった。最も注目すべきは、6月12日、フーシ派が爆発物を積んだドローンボートで紅海の商船を攻撃したことだ。これは、フーシ派が昨年11月に商船への攻撃を開始して以来初めだ。

 

 商用ばら積み貨物船MV Tutorに対する最初のドローン・ボート攻撃により、浸水とエンジン・ルームの損傷が発生した。数時間後、フーシ派ミサイルが船に命中した。二回連続攻撃により乗組員は船を放棄せざるを得なくなり、船は最終的に沈没した...

 

 同週、フーシ派はアデン湾で対艦ミサイル2発を発射して、MV Verbena号を攻撃した。それから24時間も経たないうちに、このばら積み貨物船は別のミサイルで攻撃され、この週で2度目の二回連続攻撃攻撃となった。攻撃による損傷のため、乗組員は最終的に船を放棄した。

 

 Tutor号とVerbena号攻撃は数日前に行われた他の船舶2隻への攻撃成功に加え、フーシ派作戦の「有効性の大幅向上」を示しているとイギリス警備企業アンブリーは述べた。

 

 「攻撃のたびに、何が効果的で何が効果的でないかを、おそらくフーシ派は学んでいるのだろう」とカーターは語った。「軍事組織の運営方法を考えれば、使用している様々な攻撃方法から彼らは確実に教訓を得ている」。

 

 反政府勢力が「ローテクで低コスト」の攻撃手段を入手するのを阻止するだけでなく、攻撃を思いとどまらせるのも困難だとランド研究所で中東安全保障を担当する政策研究員アレックス・スタークがBIに語った。

 

 これら攻撃は「明白で有用な解決策がないまま進行中の問題」だと彼女は付け加えた。フーシ派は紅海での攻撃を巧妙化しており、この海域を航行する船舶は代償を払っている。Business Insider

 

 スタークは間違っている。「明らかな解決策は目の前にある」。ガザの人々への食糧や水や医療援助封鎖をイスラエルが解除するまで、全てのイスラエルへの武器供給をバイデン政権は停止する必要がある。それが紅海の危機を終わらせる唯一の政策だ。更に重要なのは、それが正しい行動だということだ。

 

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/the-houthis-hypersonic-missile-is-a-game-changer-in-red-sea/

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 Judging Freedom ラリー・ジョンソン 溺れるNATOは藁をも掴む

Larry Johnson : NATO Grasping at Straws 29:35

 

 UIチャンネル

ウクライナ情勢を徹底解説(24年7月現在)下斗米伸夫 (神奈川大学教授、法政大学名誉教授) × 鳩山友紀夫 1:20:32

 

 さすが植草氏。今回の奇怪な結果を的確に説明しておられる。大本営広報部機関、つまりテレビも新聞も、今回の大資本洗脳プロパガンダ一味なので、たとえ真実を知っていても、植草氏のように真実はいわない。

 植草一秀の『知られざる真実』

石丸氏メディア異常宣伝の黒幕

 

 日刊IWJガイド

 

「仏国民議会選挙の結果、左派連合の新人民戦線が182議席で最大勢力に! マクロン大統領の中道連合は168議席、右派国民連合は143議席!」

 

■はじめに~フランス国民議会選挙の結果、左派連合の新人民戦線が182議席で、最大勢力に! 続いてマクロン大統領の中道連合が168議席、国民連合は143議席で第3位に! しかし、3つの勢力とも過半数を確保できず、フランス政局は、少なくとも2025年夏まで不安定なままになる!?

■IWJの第14期も最後の1ヶ月です! 7月は4日までの4日間で、ご寄付・カンパが10万8000円と、目標額の3%にとどまっています! 今期第14期は、8ヶ月連続で目標金額に届かず、累積の赤字額は約1260万円になっています。他方で、「IWJしか報じていない情報」が、日々、増えてきています! そのIWJを支えるのは、皆さまからいただく会費とご寄付・カンパだけです。有料会員登録と、ご寄付・カンパで、どうか財政難のIWJが、独立メディアとして報道・言論活動を継続できるよう、皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます!

■<新記事・動画紹介>「情報戦」の時代をどう生き抜くか? 巨大組織メディア報道の罠を検証!【第2部】新型コロナウイルス危機とmRNAワクチン危機(第9回)~岩上安身によるインタビュー第1164回ゲスト 在野研究者・嶋崎史崇氏

■『ウィキリークス』がXで、昨年10月7日のハマスらパレスチナ抵抗勢力による奇襲攻撃直後に、イスラエル情報省が治安部門に配布した、ガザ地区住民のシナイ半島への強制永久移住に関するリーク文書を報じた、イスラエルの市民メディアの昨年10月の記事を紹介! ガザ住民永久追放のためには、偽のアッラーのメッセージを作成! 米国にはアラブ諸国への圧力をかけさせる! 他方でイスラエルが非難されないため、「人道的措置」だと主張する、詳細な手口のほとんどが実現されている!!

■<IWJ取材報告>国民の健康と生命を守るべき厚労行政の長が、この秋に迫るレプリコンワクチンの接種開始を前に懸念される「シェディング(ワクチン接種により産生されたmRNAやスパイクタンパク質が、接種者の吐息などから非接種者に拡散される現象)」のリスクを完全無視!! mRNAワクチン政策は本当に大丈夫なのか!?~7.5 武見敬三厚生労働大臣定例会見

2024年6月 9日 (日)

核戦争を避けるためには、プーチン大統領はもう少し狂気になる必要がある

マイク・ホイットニー
2024年5月31日
The Unz Review

 水曜日にプーチン大統領がウズベキスタンで行った記者会見は、彼の24年の政治経歴の中で最も異例かつ並外れた出来事だったかもしれない。ウクライナのゼレンスキー大統領が4年の任期を超えて大統領職にとどまると決めたことに関する憲法上の問題に触れた後、ロシア国内の標的に長距離兵器を発射するというNATOの計画について簡潔ながら不穏な声明をプーチン大統領は発表した。これら攻撃に応じて、兵器システムを提供した国々にロシアは責任を負わせことになるとプーチン大統領は明言した。また兵器システムの仕組みや運用には原産国の請負業者が直接関与する必要があることを非常に詳細に説明した。プーチン大統領発言で注目すべき点は、核兵器を保有する敵対国同士の直接対決に世界が近づくということではなく、ロシアは座視して連中のサンドバッグになるつもりがないことを欧米諸国の政治指導者に想起させなければならなかったことだ。プーチン大統領の発言の一部を紹介しよう。

 攻撃に関しては、率直に言って、NATO事務総長が何を言っているのか私にはよく分からない。彼がノルウェー首相だった時(私たちは良好な関係だった)彼は認知症ではなかったと確信している。もし彼がロシア領土を長距離精密兵器で攻撃する可能性について話しているなら、彼は私と同じ民間人だが、宇宙からの偵察なしに長距離精密兵器は使用できない事実を軍事政治組織トップとして認識すべきだ。これが私の第一の要点だ。

 二つ目の要点は、最終的な標的選択といわゆる発射任務は、この偵察情報、技術的偵察情報に頼る高度な能力を持つ専門家だけが実行できることだ。ストーム・シャドウなどの一部攻撃システムでは、これらの発射任務はウクライナ軍を使わずに自動的に実行できる。誰が行うのか。製造者と、これら攻撃システムをウクライナに供給しているとされる者が行う。これはウクライナ軍の関与なしに実行できるし、実際実行されている。たとえば、ATACMSなどの他のシステムの発射も宇宙偵察情報に依存しており、標的が特定され、担当者に自動的に伝えられるが、担当者は自分が何を発射しているのかさえ理解していない可能性がある。担当者、場合によってはウクライナ人担当者が対応する発射任務を実行する。ただし、任務を統括するのはNATO諸国代表で、ウクライナ軍ではない。プーチン大統領、ウズベキスタンでの記者会見、クレムリン

 まとめると次のようになる。
  1. 長距離精密兵器(ミサイル)はNATO諸国から提供される。
  2. 長距離精密兵器は、原産国の専門家または請負業者に運用される。
  3. 長距離精密兵器はアメリカまたはNATOが提供する宇宙偵察情報とリンクする必要がある。
  4. ロシアの標的は、アメリカやNATOが提供する宇宙偵察情報によっても提供される。

  5. プーチンが主張しようとしているのは、長距離ミサイルはNATOに製造され、NATOに供給され、NATO請負業者に運用および発射され、標的はNATOから提供された宇宙偵察情報を使用してNATO専門家に選択されることだ。あらゆる点で、ロシアの標的に対する長距離精密兵器の将来の発射は、NATOとアメリカの作戦だ。したがって誰が責任を負うかについて混乱すべきではない。NATOが責任を負っているということは、NATOが事実上ロシアに対し宣戦布告していることを意味する。プーチンの長文発言は、この重要な点を強調しているにすぎない。プーチン発言は他にもある。

     したがって、NATO諸国、特にヨーロッパに拠点を置く、とりわけヨーロッパ小国の関係者は何が問題か十分認識すべきだ。ロシア領土奥深くへの攻撃について話す前に、彼らは自分たちの国が小さく人口密度の高い国であることを考慮すべき要素として念頭に置くべきだ。これは深刻な問題で、我々は、これを非常に注意深く、しっかり見守っている。ウズベキスタンでのプーチン大統領記者会見、クレムリン

     当然欧米メディアは上記段落に全注目しているが、それには十分理由がある。「ロシアを攻撃すれば我々は報復する」という明白なことをプーチン大統領が述べているからだ。それが根底にあるメッセージだ。以下は金曜日の(ヒステリックな)見出しの一部だ。
  • ウラジミール・プーチン大統領、ウクライナが欧米諸国の兵器を使ってロシアを攻撃すれば「全面戦争」になると警告 ― ウォロディミル・ゼレンスキー大統領、同盟諸国に許可を求める、MSN.com
  • なぜプーチンは再び核戦争で恫喝するのか?、ザ・インタープリター
  • プーチン大統領、欧米諸国に警告「ロシアは核戦争の準備ができている」ロイター通信
  • 暴君の恫喝:ウラジミール・プーチン大統領、ウクライナが欧米諸国の兵器を使ってロシアを攻撃すれば全面戦争になると脅す、ザ・サン
  • (そして何よりも)
    プーチンの虚勢を暴く時が来た、CNN

 これら全て、プーチンが虚勢を張っているかどうか試すためのものなのだろうか?

 もしそうだとしたら、それは非常にリスクの高い戦略だ。しかし彼らの言うことには一理ある。結局、ロシアへのいかなる攻撃も即座に猛烈な報復攻撃を引き起こすとプーチンは警告しているのだ。そして彼は「人口密度の高い小規模なNATO諸国」の指導者たちに、将来のロシアによる核攻撃の可能性にどんな影響を与えるか考えるよう助言しているのだ。プーチンが虚勢を張っているかどうか知るために、彼らは本当に自分たちの文明全体を危険にさらすのだろうか? プーチンはこう言っている。

 欧米の同僚が何を報道しているかご覧願いたい。誰もベルゴロド(ロシア)や他の隣接地域を砲撃することについて語っていない。彼らが語っているのは、ロシアが新たな戦線を開いてハリコフを攻撃することだけだ。一言も言っていない。なぜだろう? 彼らはそれを自らの手で行ったのだ。彼らにその創意工夫の成果を刈り取らせよう。あなたが尋ねた長距離精密兵器が使われた場合にも同じことが起きる可能性がある。

 もっと広い意味で、この終わりのないエスカレーションは深刻な結果を招く可能性がある。ヨーロッパがそのような深刻な結果に直面した場合、戦略兵器の均衡を考慮してアメリカはどうするだろう? それは分からない。ウズベキスタンでのプーチン大統領記者会見、クレムリン

 欧米諸国の行動に、プーチンは本当に困惑しているようだ。アメリカとNATOの指導者たちは、ロシアを長距離ミサイルで攻撃してもロシアが反応しないと本当に思っているのだろうか? 彼らの馬鹿げたプロパガンダが、核兵器を保有する2つの超大国間衝突の結果に影響を与えると本当に思っているのだろうか? 彼らは一体何を考えているのか、あるいは、そもそも考えているのだろうか? 我々には分からない。我々は「未知の愚かさ」に陥ってしまったようだ。絶望と無知が融合して、全く狂気の外交政策を生み出しているのだ。これはタス通信記事からの引用だ。

 ロシア領土への武器攻撃を承認したNATO諸国は、ウクライナだけでなくロシア領土を攻撃したあらゆる地点で自国装備と専門家が破壊されると認識すべきだとロシア安全保障会議副議長ドミトリー・メドベージェフは彼のテレグラム・チャンネルで述べ、NATO専門家の関与は開戦理由と見なされる可能性があると指摘した。

 「もしそこからロシア領土に対して攻撃が行われれば、旧ウクライナ領土と他国領両方で、我々と戦う彼らの軍事装備と専門家は全て破壊される」とメドベージェフは警告した。

 モスクワはウクライナに供給された全ての長距離兵器が既に「NATO諸国の軍人に直接運用されている」事実に基づいて行動したと彼は更に付け加えた。これはロシアに対する戦争への参加に等しく、戦闘作戦を開始する理由となる。ロシアが攻撃を受けた可能性がある国々の全てのNATO兵器が攻撃される - メドベージェフ、タス通信

 そこには白黒はっきりした事実がある。プーチン大統領が外交的手法を選んだのに対し、メドベージェフ大統領は強烈な打撃を選んだ。「ロシアを攻撃したら爆撃して石器時代に逆戻りさせる」。そこには逃げ道はほとんどない。しかし行動の潜在的結果を理解していない人々に必要なのは、おそらく明確さだろう。いずれにせよ、ワシントンやブリュッセルの誰も、警告を受けていなかったとは言えない。

 戦争の過程で東ヨーロッパの都市が焼け野原になる可能性があるにもかかわらず、ワシントンが実際に戦争を拡大したがっている可能性を排除することはできない。より広範な紛争が連中の地政学的野望を達成する唯一の方法だとワシントンのタカ派は考えているのかもしれない。ワシントンに核兵器の使用を支持するかなりの支持層があるのを知っているのと同様に、これが現実の可能性であることをプーチンは知っている。彼がそれほど慎重に行動している理由は、アメリカ権力層の中に、戦術的優位性のため「使用可能な」核兵器に関する彼らの持論を実行できるように、古いライバルであるロシアとの衝突を心待ちにしている狂人がいると知っているからかもしれない。プーチンはこう語っている。

 アメリカは「予防攻撃」という理論を持っている。現在、彼らは「武装解除攻撃」のシステムを開発している。それは何を意味するのでだろうか? それは、敵の反撃能力を破壊するため、現代のハイテク兵器で指揮統制中枢を攻撃することを意味する。

 プーチン大統領はアメリカ核政策研究にかなりの時間を費やしており、そのことに深い懸念を抱いている。結局のところ、先週「ロシアの核の傘の重要な要素」に対して未曾有の攻撃をバイデン政権は開始したばかりではないだろうか?  まさに。連中件攻撃した。

 そして、アメリカは(核態勢見直しを通じて)核兵器の攻撃的使用を正当な防衛行為として再定義したのではないだろうか?  そうだ。

 そして、この改正は、アメリカの強硬派に、法的訴追を恐れずに核攻撃を仕掛けるために必要な制度的枠組みを与えるのではないだろうか?

 そうだ。

 そして、これらのタカ派は、ワシントンの地政学的ライバルに対する先制核攻撃の基盤を築くため、「先制攻撃」「先制攻撃」「武装解除攻撃」に関するそれぞれの理論を展開してきたのではないだろうか?

 そうだ。

 そしてアメリカの核ドクトリンでは核兵器は「アメリカまたは同盟諸国やパートナーの重大な利益を守るため極限状況で」使用できると規定されているのではないだろうか。

 そうだ。

 そして、その定義には中国のような経済的ライバルも含まれるのだろうか?

 そうだ。

 そして、それは「先制攻撃」核兵器攻撃に対する防御なのだろうか?

 そうだ。

 そして、それはアメリカがもはや核兵器を純粋に防衛的なものとしてではなく「ルールに基づく秩序」を維持するための不可欠な手段とみなしていることを意味するのだろうか?

 ああ、そうだ。

 そして、核兵器のタブーが解除され、核兵器がより多くの状況でより頻繁に使用されるようになることを望んでいる政治体制やディープステート(闇の政府)の有力者がいるのをプーチンは知っているのだろうか?

 彼は知っている。

 そして、ワシントンがロシアと中国をアメリカの世界覇権と「ルールに基づく秩序」に対する最大の脅威とみなしているのを彼は知っているのだろうか?

 知っている。

 そして、アメリカが先制攻撃策を実施すれば、ロシアには報復する時間がないかもしれないことを彼は理解しているのだろうか?

 彼は理解している。

 そして、欧米が望んでいるモスクワの戦略的敗北をもたらす先制攻撃に直面した際、彼は引き金を引いたり、迅速に対応したりしないかもしれない抑制された合理的人物だと外交政策専門家連中が見なしているのにプーチン大統領は気づいているのだろうか?

 いや、そうではない。彼は依然、大量核兵器を保有することでアメリカの侵略を抑止できると考えている。しかし、相手は核兵器を使用しないとアメリカが確信している場合、大量核兵器も抑止力にはならない。

 時には、理性的なことが敵を撃退する最善の方法でないこともある。時には少し狂気になる必要もあるのだ。

 それはプーチンが早急に学ぶべき教訓だ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/to-avoid-nuclear-war-putin-needs-to-be-a-little-crazier/

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 Judging Freedom この番組、ロシアのみならず西欧諸国でも好評とのこと。

INTEL Roundtable : Johnson & McGovern - Weekly Wrap Up 22:41

 デモクラシータイムス

主権侵犯、マヒした国家 vs 警鐘鳴らす市民 宮城秋乃さん+布施祐仁さん 【シン・池田香代子の世界を変える100人の働き人】 1:15:17

2024年3月 9日 (土)

ウクライナでの大失敗における役割ゆえにヌーランドは首にされたのか?

マイク・ホイットニー
2024年3月6日
The Unz Review

 ビクトリア・ヌーランドの退任は、ワシントンの主要外交政策プロジェクト失敗の自認だ。ヌーランドほどウクライナでの失態に関与していた政府高官はいない。2014年クーデターの際、現地活動で、彼女は業務のあらゆる手順を監督し、意志決定の一切を部下に任せないマイクロマネジメントをし、戦争が始まって以来、国務省の卑しむべき関与を監督してきた。何十万人ものウクライナ兵の不必要な死と、国の大部分の破壊をもたらしたNATOが支援する不運な惨事と、彼女の経歴は密接に結びついている。それゆえ、我々が自問する必要があるのは、ロシアとの勝ち目のない戦争にNATOを引きずり込もうとするヌーランドの執拗な策謀が、彼女が「お払い箱になる」つまり引退を発表した理由なのかどうかだ。以下は国務省公式報道声明の抜粋だ。

 しかし外交官や外交政策の学生が今後何年にもわたって研究するのはウクライナに関するトーリア(ヌーランド)の指導力だ。プーチンのウクライナへの全面侵攻に立ち向かい、彼の戦略的失敗を確実にするため世界的連合を結集し、ウクライナが民主的、経済的、軍事的に強く立ち上がれる日に向けて取り組むのを助けるために彼女の努力は不可欠だった。ビクトリア・ヌーランド政治担当国務次官の退任について、アメリカ国務省

 これは、ウクライナでの大失敗の責任を、もろヌーランドに負わせる、とんでもない段落だ。そう、彼女は、ロシアに対する代理戦争を遂行するための「グローバル連合をまとめる」上で重要な役割を演じたのと同様、プーチンと対決する動きを主導する上で「不可欠」だった。そして、この声明が我々に教えてくれるのは、ヌーランドは現在進行中の紛争の主要立案者の一人で、NATO指導者間の溝の拡大、戦場で増大する殺戮、そして主要地政学的ライバル、ロシアに対するアメリカの戦略的敗北に、彼女に大きな責任があることを意味する。要するに、ビクトリア・ヌーランドほどウクライナの泥沼に責任がある政府高官はいないのだ。

 (ヌーランドは)在職期間中、6人の大統領と10人の国務長官の下での、35年の目覚ましい公務を勤めた。中国の広州に領事として初めて赴任して以来、ほとんど国務省でトリアは仕事をしてきた。政治担当官や経済担当官。報道官や首席補佐官。副次官補、次官補。特使や大使。

 これら経験により、幅広い問題や地域に関する百科事典的知識と米国外交のあらゆる手段を駆使して、我々の利益と価値観を前進させる比類ない能力をトリアは身につけた。(米国国務省)

 言い換えれば、ビクトリア・ヌーランドは、国務省全体で、最も知識豊富で、経験豊かな外交官の一人だが、それでも極端な危機の時期に、35年の経歴中、最大かつ最も重要な任務に彼女が失敗したため、連中は彼女を犠牲にしたのだ。連中はそう言っているのではあるまいか?

 そうなのだ。ヌーランドのような好戦的ストリートファイターは、はっきり辞めろと命じられない限り決してタオルを投げることはないと100%確信できる。戦争に進展の兆しがあれば、彼女は仕事にしがみついていたかもしれないが進展の兆しはない。我々がこれまでに見たことのない絶望的で悲惨な状況だ。我々が話している間にも、ウクライナ前線は崩壊し、死者数は増え続けている。ウクライナは、火力で負け、要員数で負け、主導権を握られている。これは全くのミスマッチで、一年以上前にプーチンが予備役を招集して以来ずっと続いている。現在、若者が大挙して虐殺され、火薬と死の臭いがする泥だらけの塹壕で腐敗させられている。これら全ては終わりが近いことを示唆している。終わりが近づいたら誰かが責められなければなるまい。背中に標的を付けたヌーランドの登場だ。

 ヌーランドは彼女に与えられるもの全てに値する。筋金入りのタカ派として、彼女は常に事実を拙速に扱い、半ば真実と、あからさまな捏造で戦争の正当性を立証し、再び必然的に屈辱的敗北に終わるだろう無意味な流血に国を突入させるつもりだった。彼女は願いを叶え、そして今、彼女は当然の報いを受けている。下記はヌーランドの偽引退に関し同様に好奇心を抱いているカレン・クフィアトコウスキーによる記事の一部だ。

 彼女の辞任は、進行中のウクライナの国民国家としての崩壊や、次のクーデターでのゼレンスキーに差し迫る崩壊に関係しているのだろうか、それとも、もっと悪いことだろうか? 恐らくは出血を止めるため、近いうちに誰かがキエフで次のクーデターを計画しているが、今回は年老いたヴィックは招待されなかったのか。もしかしたら、CIAはついにウクライナで損切りをすると決定したのかもしれない。彼女の後任は、数年前の夏、アフガニスタンから最も素晴らしく良く計画された撤退を監督したジョン・バス元大使だ。沈没する船からネズミが逃げただけかも知れない。トーリは血まみれで腐敗したウクライナ-バイデン関係の主要人物だった。彼女の突然の離脱が、深海に飛び込む一匹の大きな厄介な殺人ネズミより、もっと重要な意味を持よう願っている。ネオコンの悪戯の他部分への道を彼女が切り開きますように。さよなら、ビクトリア! カレン・クフィアトコウスキー、ルー・ロックウェル

 ヌーランドと彼女の元同僚ジョン・ブレナンとヒラリー・クリントンは、ロシア憎悪を国教にまで高め、あらゆる場面でアメリカの評判を泥沼に引きずり込み、わが国の政治に有害な影響を与えた。タイム誌インタビューで、ヌーランドは大胆にこう発言した。

 ウクライナが必要とする限り、我々はウクライナを支援する。ウクライナは国境内の全ての土地を取り戻すために戦っている。彼らの領土を取り戻すための次の厳しい攻勢準備を含め、我々は彼らを支援している...クリミアは、少なくとも非武装化されなければならない。 タイム誌

 たわごと。このほら話をまだ信じている人がいるのだろうか?

 「必要とするだけ」とは、おそらく更に10ヶ月から12ヶ月という意味だろう。それまでに、ワシントンは支援を撤回し、台湾に関心を移しているだろう。請け合う。

 いずれにせよ、ヌーランド引退は決して自発的なものではないと我々は考える。彼女の怒鳴り散らすような言説や、プーチンを打ち負かすという空虚な約束をもはや信じない外交政策エリートに彼女は切られたと我々は考える。ヌーランドを排除することで、代理戦争は失敗し、別の戦略が必要だと連中は認めているのだ。そして政策変更でどうなるかはまだわからないが、ヌーランドがその実施に関与しないことはわかっている。

 最後に一言。2024年2月22日、権威ある戦略国際問題研究所(CSIS)でのインタビューで、ヌーランドは下記質問を受けた。

 「...(ウクライナへの追加資金を提供するため)議会が行動を起こさなない場合...プランBはあるのですか? どうやってウクライナ支援資金を得るか政権は考えていますか。議会が実際資金を配分することなしに、ウクライナ援助資金を得る方法はあるのですか?

 ヌーランド:マックス、プランAで行きます。プランAです。率直に言って、上院はこの法案を70票で可決したばかりです。つまり、ウクライナの利益のためだけでなく、我々自身の利益のためにも、ウクライナを支援し続けるのをアメリカ国民は強く支持しています。ですから下院議員が選挙区に行く際、有権者が議員にどんなメッセージを送るかという問題だと思います。そして議員が世界の様子をどう理解し、この資金を支持しない場合、彼らがどのように答えなければならないかです。ですから、私はこの点、楽観的です。そこにたどり着くと思います。しかし、アメリカ国民は同胞に強く語りかける必要があると思います。ビクトリア・ヌーランド国務次官:ロシアによるウクライナ全面侵攻から二年、CSIS戦略国際問題研究所(CSIS)

 彼女の発言を聞かれただろうか? プランBはない。アメリカがロシアとの代理戦争で勝利するか、それとも何なのか? 混乱。ロシアによるウクライナ全土占拠? NATO解体? それとも?。

 これは(インタビューに出席した)有力な外交政策エリートが聞きたがっている答えではない。彼等はウクライナが戦争に勝てないのを分かっている。全てが不確実な中、更なる資金、更なる兵力、更なる火力を得ない限り、ウクライナが成功する可能性が極めて低い事を知っている。彼らは国務省が、ロシアとの裏ルート交渉を招集していないことも知っているので、想像外の解決という可能性もない。そして今、彼女も同僚も戦争が予想通りにならない場合の予備計画を策定していないとヌーランドは語っている。プランBはないのだ。

 これは信じられない。ヌーランドは、この上なく傲慢か、犯罪的に怠慢かのどちらかだ。いずれにせよ、なぜエリート権力者連中が、いらいらしたヌーランド女史を辞めさせる時が来たと判断したかも理解できる。

 残念ながら「担当者を変える」ことは、必ずしも政策の根本的見直しを意味するわけではない。それでも、正しい方向への一歩ではある。アメリカの「無敵という雰囲気」が侵食され続け、道徳的権威が崩壊するにつれ(ガザ)、ワシントンは譲歩して、近隣諸国と「仲良くする」ことを余儀なくされるだろう。その日は急速に近づいている。

 最後に、皆様がどうお考えであれヌーランドをお払い箱にするのは前向きな動きだ。この瞬間を満喫願いたい。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/was-nuland-fired-for-her-role-in-the-ukraine-debacle/

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 運慶快慶には失礼と思うのだが、彼女の写真で東大寺南大門の金剛力士立像、阿吽を思い出す。寺院内に仏敵が入り込むことを防ぐ守護神だという。それとは対極で、世界に災厄を振りまく悪の権化。

 ドミトリー・オルロフのヌーランド解説に納得。

The End of Nuland's Era - Disastrous Policies in Ukraine | Dmitry Orlov 27:52

 Alex Christoforou YouTube 認知症男性の狂書演説にあきれるが女性も負けない。たわごとに拍手喝采する光景で連想するのは、日本でのゼレンスキー演説。日本の国会議員全員?、スタンディング・オベーション。選良ではなく選悪阿呆集団。

Biden will not bow down to Putin. Macron, no red lines with Russia. Ursula, right/left extremists 36:41

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

①日経:人類存続の危機もたらす恐れがAIにある・自律的に人を殺すロボット兵器が登場、汎用人工知能による人類滅亡のリスク。②ウィキペディア:AI人類上回った場合、人類がAI制御困難、ゴリラの運命人間の善意左右される様に人類の運命も超知能に左右される。

 日刊IWJガイド

「ウクライナ紛争を停戦に導く気は一切なし! バイデンの一般教書演説は、トランプとの徹底対立! 富裕層課税で、中間層以下の歓心を買う!」

はじめに~ウクライナ紛争を停戦に導く気は一切なし! バイデン大統領の一般教書演説は、米国内の内戦である南北戦争に例えて、トランプ氏との徹底対立を強調! 世界を、プーチンをヒトラーに例えて第2次世界大戦時になぞらえる!「自由と民主主義が国内外で、まさに同時に攻撃を受けている」とまで言い切り、さらに富裕層に25%課税すると、中間層以下の人々の歓心を買う! 都合よく歴史を忘却し、捏造する「バイデン史観」は健在だが、82歳という高齢による認知機能の低下は明らかに!

YouTubeの「検閲」により、3月7日に撮りおろし初配信した「岩上安身による在野研究者・嶋崎史崇氏連続インタビュー 第1部・第1回」のアーカイブをYouTubeから一方的に削除される! ロシアのウクライナへの侵攻の前に、ウクライナのネオナチによるロシア系住民への迫害が行われていた等の事実説明を「ヘイトスピーチ」と判断する誤認!! IWJの再審査請求に、動画はすぐに復元されたものの、IWJとしては、YouTubeの「言論検閲」制度を信頼できず、8日の撮りおろし初配信第2回は急遽中止、VimeoにアップしてIWJサイトで公開しました!

2024年1月12日 (金)

アメリカ政府は騙されてイスラエルの戦争に引き込まれるのだろうか?

マイク・ホイットニー
2024年1月5日
The Unz Review

 今週のベイルート南部でのハマス幹部サレハ・アル・アロウリに対する無人機攻撃は、イスラエルが国境を越えて紛争を拡大したがっているのを示す有力な証拠だ。ここ数週間で、イスラエルは、ダマスカス空港でハマス副政治指導者(アル・アルーリ)、イラン革命防衛隊上級顧問(サイード・ラジ・ムサビ)、そして「12人近くのイラン軍高官」(フォックス・ニュース)を暗殺した。同時に、レバノンとシリアに対して、イスラエルはいわれのない空爆を複数回開始した。これら全ての挑発は地域全体を戦争に突入させるため、ガザを越えて敵対行為を拡大する方法をイスラエルが模索していることを示唆している。

 中東全域でのイスラエルの挑発は、地域全体の紛争にアメリカ合州国を深く引き込もうとする試みだ。敵(主にヒズボラとイラン)がひどく弱体化しない限り、イスラエルは支配的地域大国になれないのをイスラエル指導者連中は知っている。だがアメリカの支援なしには敵が弱体化しないこともイスラエルは理解している。それゆえ中東における最も緊密な同盟国を救うために、イランとヒズボラと軍事的に交戦せざるを得ないと感じる状況にアメリカを置かなければならないのだ。イスラエルが現在やろうとしているように敵と二正面戦争、三正面戦争を始めれば、アメリカはイスラエルのため介入せざるを得なくなり、イスラエルが地域覇権国として浮上する可能性が高まるだろう。それが現在の作戦の根本目標だ。

 もちろん、このどれも、イスラエルがガザを殲滅し、住民をエジプト国境に押しやるのに使った口実「ハマスを打ち負かす」ことと何の関係もない。本当の狙いは、イスラエルの利益に最も適したやり方で、中東における基本的な力関係を変えることだ。下記は、水曜日のBBC記事抜粋だ。

 イラン国営メディア報道では、イランのカセム・ソレイマニ司令官がアメリカに暗殺されてから4周年を迎えた今、イランのカセム・ソレイマニ司令官の墓地付近で二度爆発があり、少なくとも103人が死亡した。国営放送イリブは、南部の都市ケルマーンにあるサヘブ・アル・ザマン・モスク近くの行列に爆弾が命中し更に数十人負傷したと伝えた。映像には、道路に遺体が転がり、救急車が現場に急行する様子が映っていた。

 水曜日の事件は、イランが支援するパレスチナ組織ハマス副指揮官が、レバノンでのイスラエル無人機攻撃で殺害された後、地域の緊張が高まる中で起きた。イランのカセム・ソレイマニ司令官の墓地付近での爆発で少なくとも103人死亡 - 国営テレビ、BBC

 イランでのテロ攻撃の責任はイスラエルにあるのだろうか?

 証拠は決定的なものではないが、近隣諸国における最近の暗殺や無人機攻撃のパターンと確実に一致している。爆破事件はイラン国民を激怒させ、彼らは報復を求め大挙して街頭にあふれた。繰り返しになるが、大衆の反応は、イランをイスラエルとの直接対決に引き込む感情的過剰反応を引き起こすイスラエルの狙いと完全に合致している。バイデン政権は、この地域に二つ空母群を配備しており、即座にイスラエルを支援する準備ができていることに留意願いたい。だからイランが(ミサイル攻撃や空爆で)応戦すれば、アメリカは争いに参戦するのに絶好の場所にいる。これは、なぜネタニヤフが罪に問われずに隣人を爆撃し続けているかを説明するかもしれない。アメリカ政府が「守ってくれる」のを彼は知っている。

 速報 |バグダッドで、イラク内務省人民動員隊PMU本部に対する米軍空爆後、複数死傷者が報告された。

 アルジャジーラのその他の記事は以下の通り。

 中東で敵対する民兵や軍隊に対する進行中の作戦の一環として、イスラエルはシリアとレバノンの陣地攻撃を開始した。

 「(イスラエル軍は)シリア軍の軍事インフラを攻撃した」と、火曜日、ソーシャル・メディア・プラットフォームXへの投稿でイスラエル軍は述べた。

 「(イスラエル軍)戦闘機もレバノンのヒズボラ・テロリスト・インフラを攻撃した」と記事は補足し「イスラエル主権に対するいかなる脅威に対しても作戦を継続する」と誓った。

 月曜から火曜にかけて行われた最新の攻撃は、イスラエルと、敵イランとつながりがあるとイスラエルが主張する隣国間の緊張の急上昇を示している。イスラエル軍、シリアとレバノンの標的に攻撃開始 アルジャジーラ

 なぜイスラエルはこのようなことをしているのだろう? ガザのパレスチナ人に対し大規模作戦を行っているのに、なぜ彼らは隣国を挑発するのだろう? これら全ての扇動は、イスラエルが戦争を拡大したがっていることを示唆するのではなかろうか? アルジャジーラの更なる記事は下記。

 火曜日、ヒズボラの拠点ベイルート南部郊外のダヒヤで無人機攻撃が行われ、ハマス高官サレハ・アル・アロウリが殺害された。レバノン国営通信社の報道では無人機はハマス事務所に着弾し、6人が死亡した。

 ハマスはアル・アローリの死を認め、イスラエルによる「卑怯な暗殺」と呼び、パレスチナ人に対する攻撃は「パレスチナの内外で、わが人民の意志や不動心を打ち砕いたり、彼らの勇敢な抵抗継続を損なったりすることに成功できない」と付け加えた。ベイルートで殺害されたハマス指導者サレハ・アル・アロウリは何者だったのか?、アルジャジーラ

 アル・アローリ暗殺は、シリアやレバノンやガザへの攻撃と同様「自然な復讐行為」ではなかった。これら全て、イスラエルの敵を挑発し、ワシントンを戦争に引き込み、中東の地図を描き直す壮大な計画の一部だ。一言で言えばそれが基本戦略だ。政治評論家アルノー・ベルトランはツイッターで以下のようにまとめている。

 左右のレバノンとイランを爆撃して地域戦争を引き起こすためイスラエルは最善を尽くしており、おそらく、最後の賭けとして得点を狙うため投げるロングパスとして、アメリカを戦闘にもっと関与させようとしているのだろうが、レバノンもイランもアメリカも、その餌には引っかかっていない。アルノー・ベルトラン @RnaudBertrand

 ベルトランは正しい。自らが作り出した戦争にイスラエルはアメリカを引きずり込もうとしているのだ。イランとヒズボラは(これまでのところ)大きな自制を示し、報復の誘惑に抵抗しているという彼の発言も正しい。しかし、それは一体いつまで続くのだろう? 結局、彼らはイスラエルに同種手段で応酬せずに、自分達を永遠に叩くのを許すわけにはゆかない。そして、彼らは単に寝返りを打って死んだふりをすることもできない。そして、それは彼らがしていることではない。彼らがしているのは、より広範なイスラエル戦略をより良く理解するために展開する出来事を追うことだ。イスラエルが軍隊をガザから北部戦線に移動させ、そこで今後二週間内にヒズボラ過激派と衝突する可能性が高いが、彼らは時間を稼いでいる。それが起きていることのようだ。

 一方、「地域戦争」は今や不可避かも知れないという主張を欧米マスコミは繰り返し、中東での新たな紛争に国民を備えさせようとしている。これら最近の見出しをチェックして、繰り返し発生する話題が見つかるかどうかご確認願いたい。

 おわかりだろうか? マスコミは中東でのより広範な地域戦争に国民を準備させているのだ。紛争は避けられず抵抗は無意味だと大衆を説得するため、このような記事が利用されているのだ。

 だが、こうした記事は一体誰の利益のために書かれるのだろう? 誰の地政学的狙いが推進されているのだろう? 誤った情報に基づいて、何百万人もの人々が死に、何も得られない狂ったもう一つの大火にアメリカ国民が羊のように歩いてゆくことで利益を得る国は一体どこだろう?

 もちろんイスラエルだ。

 色々な事から判断すると、アメリカ人の命やアメリカ国家安全保障に、いかなる脅威ももたらさないヒズボラやイランに対しアメリカ軍を戦わせる狂気の作戦のため軍事力を提供するようアメリカ政府は要求されるだろう。この見当違いの戦争の狙いは、イスラエルの敵を排除し、イスラエルが「領土を確保」できるようにして、地域の覇権国、議論の余地のない中東支配者となれるようにすることだろう。

 それは夢物語だ。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/is-uncle-sam-being-duped-into-fighting-israels-war/

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 Judging Freedom ミアシャイマー教授対談

Prof. John Mearsheimer: Not a war crime, but GENOCIDE. 35:30

 東京新聞 朝刊 一面

PFASを追う

相模原の河川汚染 本誌・京大調査

魚から平均濃度の340倍

週8グラム接種 健康リスク

 東京新聞 朝刊 特報面

防災予算の割合 低下傾向

防衛費は過去最高記録

予備費拡大 「ずさん運用」「便乗」恐れも

2024年1月 3日 (水)

バイデンはイエメンへの軍派遣を余儀なくされるのだろうか?

マイク・ホイットニー
2023年12月26日
The Unz Review

 イエメンの要求は、人道支援物資のガザへの搬入と停戦を認めろという極めて単純なものなに、なぜ戦争に踏み切るのだろう、彼ら自身援助を必要としているにもかかわらず、彼らはそれを要求さえしていない。イエメンに神のご加護がありますように @EsirEid https://twitter.com/EsirEid/status/1736935425426481330

 インド洋の商業タンカーに対する無人機攻撃に関して、バイデン政権はイランを非難している。この主張は、フーシ派に紅海封鎖を断念させ、海上交通を正常に戻すよう圧力をかけるためのイランへの梃子として利用されている。しかし、フーシ派は、イランや他の誰からの圧力にも屈するつもりはない。イスラエル行きの交通に対する攻撃を、どんなに時間がかかっても、どんな犠牲を払っても続ける決意を彼らは固めている。

 日曜日、インド洋で日本所有のケミカルタンカー「ケム・プルート号」にイランが無人機攻撃を仕掛けたと西側メディアの多数の記事が報じた。これら記事の多くは、正体不明のペンタゴン情報源や機密解除された諜報機関の主張に基づいて報じられている。火曜日時点で、これらの主張のどれも独自に検証されたり、真実だと証明されたりしていない。過去の経験から分かっているのは、不人気な軍事作戦に対する国民の支持を集めたり、外国に何の責任もない事で外国を悪魔化したりするため、安全保障国家分子が、しばしば架空の物語をメディアに仕込んでいることだ。そして、それはこれにも当てはまるようだ。紅海での商船に対する最近の攻撃に、イスラエルもアメリカも、イランを巻き込みたがっているのは確実だ。しかし、これまでのところ、これら主張を検証する証拠はない。イラン指導者たちは、イスラエルがガザで行っている虐殺に強く反対しているが、戦争に参加したくないことも示している。何百万人ものイラン人の死をもたらすアメリカ合州国との対立の引き金となりかねない、より広範な地域戦争に引きずり込まれるのをイランは望んでいない。これら全てが、最近の反イラン報道の嵐は、世論を反イランに仕向けるよう仕組まれた思惑主導の偽情報であることを示唆している。下記はBBC記事の引用だ。

 土曜、インド洋のケミカル・タンカーがイランから発射された無人機に攻撃されたと米軍は言う。

 イランは発言していない。 イスラエルとの戦争でイランの支援を受けるイエメン・フーシ派反政府勢力はハマスを支援しているが、最近紅海の船舶を標的にして無人機やロケット弾を使用した。

 この船はサウジアラビアからインドに向かっており、イスラエルと関係があると同社は述べている。ガザでの紛争を巡り、イスラエルと関係ある船舶を標的にしているとフーシ派は主張している。

 ケム・プルート号は「イランから発射された攻撃ドローン」に攻撃されたとアメリカは述べた。船舶をイランが直接標的にしたと公式にアメリカが非難したのはこれが初めてと考えられている。

 以前も紅海での商船に対する作戦計画にイランが「深く関与している」とアメリカは非難していたが、テヘランはこれを否定している。タンカーはイランからの無人機によってインド沿岸沖で攻撃されたとアメリカは言う BBC

 驚くべきことではないが、BBC記事はいくつかの点で事実を誤認している。第一に、イランはこの事件に関し発言しており、実際いかなる関与も断固否定している。下記はアルジャジーラのものだ。

 海上輸送への脅威を巡り世界的に緊張が高まる中、インド洋でテヘランがケミカルタンカーを攻撃したというアメリカの非難をイラン外務省は退けた。

 月曜の記者会見で、同省報道官は、この告発をあっさり退けた。イランが発射した無人機がインド付近を航行中の日本所有のタンカーを攻撃したというアメリカの主張は誤りだと彼は主張した。

 アメリカによる非難について問われて「これら主張を完全に否定し、無価値だと我々は宣言する」とナセル・カナーニは述べた。

 「そのような主張は[イスラエル]シオニスト政権のガザへの犯罪に対するアメリカ政府の全面支援を投影し、注意をそらし、隠蔽することを目的としている」と彼は補足した。
 インド沖タンカー攻撃に関するアメリカの非難をイランは却下、アルジャジーラ

 イランを一層悪魔化する不純な動機にBBC編集者が突き動かされていない限り、この関与の明確な否定を一体なぜ盛り込まなかったのか我々には理解できない。

 第二に「無人機がイランから発射された」証拠は皆無だ。我々が読んだ多くの似たり寄ったり記事のどれも検証可能な証拠にはいささかも似ていない。

 第三に、紅海での商船に対する作戦計画にイランは「深く関与」していない。紅海でイスラエル行きの商船を攻撃する考えは、フーシ派指導者が考え出したものだ。フーシ派もイランも同じことを認めている。BBCの更なる記事はこちら。

 ペンタゴン声明によると「リベリア船籍で、日本が所有し、オランダが運航するケミカルタンカー」であるケム・プルート号が、土曜日現地時間10:00に攻撃された。BBCはこの事件を独自に検証できなかった」と述べた。BBC

 BBCが「事件を独自に検証できなかった」なら、一体なぜ神の名に懸けて、イランの責任をほのめかすような報道をしたのか? それは職業上の不正行為ではあるまいか?

 同じ記事から更に抜粋する。

 攻撃のリスクが高まっているため、多くの世界的海運企業が紅海での運行を停止している。このルートの安全性を確保するとイギリス政府は誓っている。

 船舶への攻撃を撃退するとイギリスは誓っており、紅海が「立ち入り禁止区域」になるのを許さないとグラント・シャップス国防長官がサンデー・タイムズ紙に語った。

 イギリスの海上警備会社Neptune P2P Groupのクリス・ファレルは、この地域の緊張感を説明し、コンテナ船はより大型の船より航路を変更する可能性が高いことがわかっていると述べた。「誰も現場の状況を知らない」とBBCワールドサービスの週末番組で彼は語った。

 「安定性に欠けるため、その地域に資産を投入する顧客や海運会社に不確実性が生じている。」 BBC

 この抜粋には多少説明が必要だ。紅海が「立ち入り禁止区域」になるのを許さないとイギリス国防長官は言いながら、既に「立ち入り禁止区域」になっているのを暗黙のうちに認めている。言い換えれば、彼自身認めている通り「多くの世界的海運グループが紅海での運行を停止し」この通過回廊はもはや安全ではなく、「コンテナ船」は既に経路を変更している。考えうるあらゆる指標から見て、フーシ派の戦略は、皆が想像していた以上に、うまく機能している。彼はそう言っているのだ。筆者たちはそのことに気づいていないのだろうか? フーシ派の非対称攻撃が、史上最も成功したハイブリッド攻撃かもしれないことを彼らは認めたばかりだということに。「ルールに基づく秩序」の経済的震源地で、彼らが事実上、核爆弾を爆発させたのが見えていないのだろうか? この巧妙な攻勢が、西側世界中の政治指導者やエリートに与えている影響は、いくら強調してもし過ぎることはない。ヒステリー感は明きらかだ。小規模で素朴な民兵が帝国のアキレス腱に壊滅的打撃を与えたのだ。世界貿易の極めて重要な通過回廊は、今や事実上ワシントンの不倶戴天の敵フーシ派支配下にあるのだ。それは、アメリカとイスラエルによるパレスチナ人の残忍な虐殺に反対している世界中大多数の普通の人々にとっての勝利ではないだろうか?

 それは勝利だ。それは悪に対する善の勝利だ。しかし、それはうやむやのままでは済まない。以下はCNNの記事からの更なる抜粋だ。

 金曜、イランが「紅海での商船に対する作戦計画に深く関与している」ことを示唆する機密解除された情報をアメリカは新たに公開したと国家安全保障会議のエイドリアン・ワトソン報道官がCNNに語った。

 以前CNNが報じたところでは、イランが支援するフーシ派反政府勢力は、紅海を航行する約12隻の商船や商船に過去4週間に100回以上攻撃した。新たに機密解除された諜報情報は「ガザ危機全体を通じてのイラン支援により、フーシ派はイスラエルと海上目標に対する攻撃を開始できたが、イランはしばしば作戦上の意思決定権限をフーシ派に委ねてきた」とワトソンは述べた。

 火曜、イランがフーシ派が標的を選ぶのを助けているかどうか問われて、イランは紅海で活動しているとアメリカ軍高官は述べた。しかし、その高官は、フーシ派の攻撃は広範囲に無差別に行われていると述べた。

 「支援がなければ紅海やアデン湾を航行する商船を効果的に追跡し、攻撃するのにフーシ派が苦労するはずの支援を提供するか控えるかの選択をイランは迫られている。」と前出のワトソン局長は述べた。イランが紅海での攻撃計画に関与していることをアメリカ諜報機関は示唆している。CNN

 機密解除された諜報情報とは一体何か? 米軍高官とは? 誰がこの情報を提供したのか、そしてCNNは彼らの主張を証明するためどのような文書を作成できるのか? これら質問に対する答えを知る必要がある。

 繰り返しになるが、証拠も、目撃者も、文書も、電子通信も、証拠もない。我々に残されているのは、真実か否かわからない狡猾な反イラン言説を支持する「ウソのつづれ織り」だけだ。検証可能な事実はなく、膨大な伝聞の中で憶測を述べているだけなのだから。確実にわかっているのは、イランが中東のあらゆる問題の根源だと著者たちが我々を信じ込ませたがっているということだけだ。だが、この考えは、この地域の歴史や最近の出来事に関する理解を否定するものだ。過去30年間、様々な政府を転覆し、何百万人もの人々を殺害し、中東全域の国々を抹殺してきたのはイランではない。ワシントンの仕業だ。ガザの民間人に対する残忍な絶滅戦争を仕掛け、200万人の飢えた人々をエジプト国境に押し込めながら、地域の大部分をくすぶる瓦礫に変えたのはイランではない。イスラエルの仕業だ。イランは誰に対しても戦争を仕掛けていない。それどころか、彼らは自国資源に対する支配権を主張する大胆さを持っているため、50年以上アメリカの執拗な敵意の標的となっている。それがイランの本当の罪なのだ。アメリカ政府に膝を屈し、ワシントンの卑屈な傀儡としての役割を臆病に受け入れる気がないのだ。それは本当なのだろうか、それとも本当ではないのだろうか?

 本当だ。下記はABCニュースからだ:

 イラク北部での無人機攻撃で米軍兵士3人が負傷した後、ジョー・バイデン米大統領がイランが支援する民兵集団に対する報復空爆を実施するよう米軍に命じた。

 火曜日早朝、民兵組織を標的にした米軍攻撃で、戦闘員1人が死亡し、18人が負傷したとイラク当局が述べた。これは、イスラエルとハマスの戦争の地域的な波及の恐れが高まっていた時期に起きた。

 紅海の重要な海運の要衝を経由する商船や軍艦をイエメンのフーシ派過激派が攻撃したことに、ハマス集団に資金提供し訓練してきたイランもアメリカは非難している。イラクでの無人機攻撃で米軍兵士3人が負傷した後、バイデンは、イランと同盟関係にある集団への攻撃を命じた、ABCニュース

 これらは本当にイラン陣地に対する「報復攻撃」なのだろうか、それともバイデンはフーシ派に圧力をかけるようイランに強要しようとしているのだろうか?

 私見では、この攻撃は明らかに同盟国のイラン経由でしか対処できないフーシ派を狙ったものだ。アメリカ政権はフーシ派と直接話し合う努力をしていないし、フーシ派もそうするつもりはない。アメリカ指導者は自分より劣っていると見なす人々とは交渉しないので、イランを説得して、自分たちの主張を彼らに言わせなければならない。だが、その努力に対しイランは一体何を得られるだろう?

 ネタニヤフは狙っているが、(アメリカを含め)他の誰も本当は望んでいない、より広範な地域戦争を彼らは避けている。バイデン・チームがイランに圧力をかけているのは、次のエスカレーション策が、フーシ派の陣地、指揮統制、武器庫、通信などの直接攻撃だからだ。一度そうなれば事態はあっという間に動く。フーシ派は、紅海の海上交通を封鎖し、地域のアメリカ基地や施設を攻撃し、サウジアラビアの重要な石油インフラを破壊するだろう。瓶から精霊が飛び出し、地域全体に大混乱が広がる。原油価格が高騰し、市場が急落し、世界経済は崖から落ちる。だからこそ、バイデンはイランに圧力をかける道を進んでいるのだ。これは中東の大惨事を避けるための最後の取り組みだ。

 悲しいことに、イスラエルはガザで民族浄化を続け、その後、西岸地区攻撃をすると決意しているので、それはうまくゆくまい。だから商船攻撃は続き、ワシントンには戦争以外の選択肢はなくなるだろう。

 イエメンは、アメリカ覇権にとって、独特ながら、深刻な脅威だ。アメリカの基準からすれば、イエメン軍は小規模だが、峻険な土地での闘いに長けており、この戦場を隅から隅まで知っている。何年も続くゲリラ戦争に彼らは十分用意が出来ている。当然バイデンと顧問連中は、そのような紛争を避けるはずだが、結局、「ルールに基づく秩序」なるものは、経済・政治・軍事力に依拠しているのだから、それは避けられないかもしれない。だから、世界で最も重要な航路で、小国が商船の邪魔をして、アメリカに無礼を働けば、アメリカ政府は、そのような反乱を鎮圧する力を持っていることを証明しなければ、将来同じような脅威にさらされることになる。これが帝国の政策を導く論理だ。決して弱みを見せるな。さもなくばジャッカルに襲われ、切り刻まれて殺される死。ワシントンは、この根本原理に従って生きているのだ。

 もはや辺境地にパックス・アメリカーナを押し付ける能力がワシントンにはないことをフーシ派は世界に示しているのだ。アメリカの同盟諸国はワシントンの判断を信頼していなかったり、道徳的権威を信じなかったりするため、アメリカは広範な海洋連合を結成できない。欧米諸国の経済を支える水路や輸送回廊を守るのに十分な大きさや機敏さの艦隊をアメリカ海軍は持っていない。これは些細な問題ではない。正統性の危機だ。アメリカが世界の安全保障の保証人として行動できるかどうかの問題だ。それが可能だと我々は思わないが、紅海での反乱を鎮圧し、世界一の軍事大国というアメリカのイメージを回復するため「銃を連射しながら」イエメンに突撃し、精いっぱい努力しようとアメリカ政権と彼らを支持する欧米エリートは考えている。

 結論。「三流国」とみなしている国に公の場で痛めつけられるのをアメリカ政府は許すつもりはない。重砲を配備し、地上部隊を送り込むつもりだ。神よ我々を助け給え。

記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/will-biden-will-be-forced-to-send-ground-troops-to-yemen/

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 元米国防副次官スティーブン・ブライエン氏が「ワシントンは、唯一の解決策として、ウクライナでクーデターを起こし、ゼレンスキーの代わりにロシア側と交渉する意思のある政治指導者か軍事指導者を選ぶしかない、と判断するかもしれない」と大胆予測!「第2のユーロマイダン・クーデター」が近い将来起きる!?

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