Moon of Alabama

2024年12月11日 (水)

シリア崩壊

2024年12月9日
Moon of Alabama

 シリアが崩壊した。

 シリア - 勝者なのか敗者なのか、それとも、その両方なのか

 この国が崩壊する可能性は今や非常に高い。国外および国内関係者は、それぞれ可能な限り遺骸の多くの部分を捕獲したり支配したりしようとするだろう。

 そこから何年にもわたる混乱と争いが続くことになるだろう。

 イスラエルはシリア領土を更に広範囲に奪取している。シリアの都市クネイトラを制圧し、クネイトラ地域のアル・カハタニヤとアル・ハミディヤの町も制圧した。またシリアのヘルモン山にも進攻し、現在シリア首都から僅か30キロ地点(上空)にいる。

 また、イスラエルは射程圏内のシリア軍備貯蔵施設を爆撃して、シリアの非武装化を更に進めている。主な標的は防空陣地と揚陸艦だ。今後何年もシリア、あるいはシリアから発展する国は、外部からの攻撃に対して完全に無防備状態になるだろう。

 今のところイスラエルは、シリアで大勝利を収めている。だが落ち着きのないジハード主義者連中が今や国境に迫っており、この状況がいつまで続くかはまだ分からない。

 シリアの中央砂漠をアメリカは爆撃している。ISISを攻撃していると主張しているが、本当の標的は、アメリカが支配するシリア東部とイスラエルが支配する南西部とのつながりを阻止する可能性がある全ての現地(アラブ)抵抗勢力だ。このつながりを更に強化して、川から海までシオニストが支配するエレツ・イスラエル国家を建設する計画のる可能性は十分にある。

 シリア攻撃において、トルコはこれまでも、そしてこれからも大きな役割を果たし続ける。トルコは「シリア国民軍」(旧自由シリア軍)に資金提供し、支配しており、主にシリア国内のクルド人分離主義者との戦いに利用している。

 トルコには300万から500万人のシリア難民がいるが、国王志望者のエルドアン大統領は国内政治的理由から彼らがシリアに帰国するのを望んでいる。だが混乱が拡大しているため、それは許されないだろう。

 トルコはアルカイダから派生したハヤト・タハリール・アル・シャムを育成し、アレッポを占領するよう圧力をかけてきた。この組織がこれほど成功するとはトルコは予想していなかった。シリア陥落は、アメリカがシリアを支配しつつある今、トルコにとって問題となっている。トルコが何をしようと、控えめに言っても、ワシントンは必ずしも両立しない国益のためにHTSを利用しようとするだろう。

 トルコにとって主目的は、トルコ国内のクルド人反乱軍と、彼らを支援するシリアのクルド人だ。クルド人はシリア民主軍として組織されており、アメリカが支援し、支配している。SDFは既にエルドアンのSNAと戦っており、シリアにトルコが更に侵入すれば、彼らは対抗することになるだろう。

 シリア東部でアメリカ占領軍の支援を受けているSDFは、シリア東部の主要石油、ガス、小麦産地を掌握している。ダマスカスで支配したいと望む者は、国家財政を支えるため、これらの資源を自由に得ちれる必要がある。

 HTS指導者アブ・モハメド・アル・ゴラニは、1,000万ドルの賞金が懸けられているにもかかわらず、現在、シリア統一と寛容の新指導者として欧米メディアに取り上げられている。だが彼のHTS自体は様々な国々の強硬派ジハード主義者の連合体だ。略奪できるものがシリアにはほとんど残っておらず、それら資源が尽きれば、すぐにHTS内で戦闘が始まるだろう。ダマスカスのシーア派やキリスト教の聖地を略奪し始めた同志の宗派的衝動を、アル・ゴラニは制御できるのだろうか。

 ここ数年、ロシアはアサド政権に見かけほど注力していなかった。アサドがほとんど役に立たないパートナーになったのをロシアは知っていた。ラタキア県フメイミムにあるロシアの地中海基地は、ロシアにとってアフリカへの足掛かりとなっている。シリア新指導者には、ロシアを追い出すようアメリカから圧力がかかるだろう。だが、シリア新指導者は、賢明なら、ロシアを留めておきたいと思うはずだ。いずれ必要になった時に代わりの選択肢を持つことは決して悪いことではない。ロシアは今後何年もラタキアに留まるかもしれない。

 シリア陥落により、イランはイスラエルに対する抵抗枢軸の主要部分を失った。レバノンのヒズボラが提供していた前線防衛は今や崩壊している。

 かつてペンタゴンでした会話について、元将軍ウェズリー・クラークは以下のように報じていた。  
「これは、イラクから始まり、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランまで、7カ国を5年で、どう排除するかを記したメモだ。」
 現在までに、あの有名なメモに記された7カ国中6カ国は混乱に陥っている。イランは、これまでのところ、その計画から唯一生き残っている。イランは緊急に国内防衛力を更に強化する必要がある。今こそ、イランが本物の核兵器を手に入れるべき時だ。

 トランプ新政権は中国を最大の敵とみなしている。退任するバイデン政権は、シリア(とウクライナ)を混乱に陥れて、確実にトランプが中東(と東ヨーロッパ)に関与し続けるようにした。

 アメリカの大規模「アジア回帰」は再び待たねばならない。これにより中国は勢力圏を築くための時間が増える。中国はおそらくこの件で勝利を収めた唯一の大国だろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-winner-and-losers-or-both.html

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 ノーベル賞受賞の演説を見ながら、大昔、オスロに出張したことを思い出した。
 グランド・ホテルに宿泊した。
 顧客にホルメンコーレン・スキー・ジャンプ場のレストランで鹿肉ステーキをご馳走になった。
 翌日、ムンク美術館に行った。「叫び」を含むムンク作品を鑑賞したが他の訪問者皆無。

 The Chris Hedges Report
Letter to Refaat Alareer
 A year ago on Dec. 6, 2023 Israel murdered Palestinian poet Refaat Alareer in Gaza. His poems, however, remain, condemning his killers and beseeching us to honor our shared humanity.

 Chris Hedges
 Dec 11, 2024

 藤永茂氏の「私の闇の奥」最新記事
シリア哀悼
 ≪櫻井ジャーナル≫
シリア全土でHTS戦闘員による虐殺が行われていると報告され始めた
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国の対中禁輸措置に対抗し、中国はガリウム、ゲルマニウム、黒鉛、アンチモンの対米禁輸を決め、第三国が輸入し米国に回すことも禁止。中国の重要鉱物禁輸措置は予想以上に厳しい。但し中国側は交渉で妥協を図る余地も残す。米国の同盟国にも厳しい状況がくるであろう(NYT)

2024年12月 9日 (月)

シリア崩壊

2024年12月8日
Moon of Alabama

 なぜこのような速さで、このようなことが起きたのか私はまだ完全には理解できていない。  
シリア政府、アサド一族の50年にわたる支配に衝撃的終焉- AP通信、2024年12月8日

 ベイルート(AP通信) — 反政府勢力の突発的攻撃が政府支配地域を駆け抜け、10日間で首都に侵入したことで、シリア政府は日曜早朝崩壊し、アサド一族による50年にわたる統治に衝撃的終止符が打たれた。

 シリア国営テレビは、バッシャール・アサド大統領が打倒され、刑務所に収監されていた全ての被拘禁者が釈放されたとする男性集団のビデオ声明を放映した。

 シリアのモハメド・ガジ・ジャラリ首相は、政府は反政府勢力に「手を差し伸べ」、暫定政府にその機能を引き渡す用意があると述べた。

 「私は家にいて、外に出ていない。これは私がこの国に属しているからだ」とジャリリはビデオ声明で述べた。午前中に事務所に戻って仕事を続けると彼は述べ、シリア国民に対し公共財産を傷つけないよう呼びかけた。

 アサド大統領が逃亡したという報道に彼は触れなかった。
 タクフィリ派テロリストとの戦いの最中、そして戦いの後、シリアは厳しい制裁を受けていた。シリア東部の主要資産はアメリカ管理下にあった。イスラエル空軍はシリア軍事インフラを意のままに爆撃していた。シリアは陥落寸前だった。

 レバノンで偽の停戦協定が締結されるとすぐ、トルコはタクフィリ派「シリア反政府勢力」をシリアに向けて放った。多くは外国人だった。彼らは非常によく武装し訓練されていた。彼らには(映像)暗視装置、ドローン、大砲、スターリンク通信や有能で専門的な指揮官がいる。

 シリア・アラブ軍は当てにならないことが判明した。部隊の中には姿を消した者もいた。圧力を受ける前に急いで撤退するよう命じられた者もいた。指揮官層にどれほどの人が潜入したり賄賂を渡されたりしたのかは疑問だ。

 過去数ヶ月、シリア同盟国のイランとロシアは反体制派とアサド政権間の妥協点を探ってきた。結局、バッシャール・アサドの頑固さを両国は克服できなかった。両国は罠にかけられていると感じ、それに引っかかるのを拒否した。

 シリアは今や崩壊しそうだ。報復として多くの血なまぐさい行為が起きるだろう。大勢の人々が避難を求めるだろう。

 「抵抗枢軸」は主要連結棒を失った。イランとレバノン間の物流は極めて困難になるだろう。

 だが、抵抗は続くだろう。

 私の目に留まったツイートをいくつか紹介する。

ドナルド・J・トランプ @realDonaldTrump - 2013年9月5日 23:17 UTC
シリアのテロリストは自らを反政府勢力と称し、罪を免れているが、それは我々の指導者たちがあまりにも愚かだからだ!

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Mark Sleboda @MarkSleboda1 - 2024年12月8日 4:27 UTC
シリアよ、安らかに。なんと早いのか。欧米/トルコ情報機関は、シリア軍と行政のほぼ全員を買収/買収/脅迫し、ひたすら撤退させ、シリアの石油と小麦に対する制裁と占領によって経済はひどく荒廃し、国家は抵抗できなかった。

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asad abukhalil أسعد أبو خليل @asadabukhalil - 16:17 UTC · Dec 7, 2024
数日前、バシャル・アル・アサド大統領に対し、枢軸が崩壊しつつあるとロシアが警告し、モスクワが承認したシリア反体制派との和解を促したとアル・アフバール紙のイブラヒム・アミンは書いた。アサド大統領は拒否した。エルドアンはアサド大統領と和解しようとしたが、アサド大統領は拒否した。彼が何を期待していたのか分からない。

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ダン・コーエン @dancohen3000 - · 2024年12月8日 2:51 UTC
シリア革命など存在しない。CIAが主導する反革命があるだけだ。両者は同じように聞こえるが全く正反対だ。

 宗教的少数派に対する憎悪で団結しトルコとイスラエルの支援を受けたジハード主義傭兵の競合する集団に、シリアは主権を奪われた。人類にとって暗い日だ。

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アロン・ミズラヒ @alon_mizrahi - 2024年12月8日 5:06 UTC
我慢して聞いてほしい。もし欧米諸国が、ロシアとイランがこれを広範囲にわたる長期にわたる流血の争いに変えて、疲れ果て、イランを弱らせて致命的打撃を与える計画に備えることに賭けているのなら、プーチン大統領がその餌に食いつかないのは理にかなっているだろう。そしてシリアを、自分の頭痛の種ではなく、欧米の頭痛の種にするのはどうだろう。シリアにおける利害と敵対関係の迷路をアメリカに進ませよう。

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asad abukhalil أسعد أبو خليل @asadabukhalil 16:17 UTC · Dec 7, 2024
私はシリア政権について良いことを言ったことは一度もない(そしてハフィド・アル=アサドの時代以来、政権を賞賛する言葉を書いたり言ったりしたこともない)が、シリアについて語りながら、シリア、レバノン、イラク、リビアの国家と社会を破壊するイスラエルとアメリカの計画について語らずにいられるだろうか? 政権がいかに醜悪なものであれ、アメリカとイスラエルは、それをもっと悪いものに置き換えられる。リビアとイラクを見ればわかる。アフガニスタンで、余にも嫌悪すべき政権をアメリカが樹立したため、人々はタリバンの方を好むようになった。

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マイケル・トレーシー @mtracey -· 2024年12月8日  5:59 UTC
現在シリアで権力を掌握しているハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)は、2018年5月17日にアメリカ国務省により特別指定国際テロ組織に指定された。この指定がいつまで続くのか、その「上限と下限」はどれくらいだろう?
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/12/syria-falls.html#more

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 Judging Freedom
AMB Craig Murray: Syrian Rebels & the CIA-Israel Connection 1:53
 Alex Christoforou Youtube
Damascus falls. Erdogan rules over Syria. Notre Dame globalist gathering. Trump-Elensky handshake 34:54
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国教授「アサドの崩壊をどう考えるか」、アサド政権倒したのはHTS大シリア解放機構。イスラム国の分派。アサド政権を支援してきた露、イラン、レバノンのヒズボラはいずれも困難に直面しシリア支援の余力なし。HTSはシリア内戦に注力。対米攻撃には参画していない。」トルコ資金提供

2024年12月 2日 (月)

対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国

2024年11月30日
Moon of Alabama

 どうやら、以前のシリア情勢に関する先の私のこの件の評価は間違っていたようだ。  
レバノン紛争が沈静化する中、シリア戦争をイスラエルとアメリカが再燃させた。この事態が起きそうな兆候は、しばらく前からあった。昨日、CIA資金で再建され支援されているアルカイダ系HTS(ハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(旧ヌスラ戦線))戦闘員が、アレッポ西部のシリア政府軍攻撃を再開した。シリアとロシア空軍の攻撃により、彼らの進撃は今のところ止まっている。ヒズボラのルドワン軍はまだ介入していないが、アレッポ防衛のためう配備されている。

シリア情勢がこれ以上悪化するとは私は予想していない。
 現時点で、状況は悪化し続けている。この件でのトルコの役割を私は過小評価していた。

 エルドアン大統領はHTSを掌握しており、彼の狙いの実現に利用しているようだ。彼の狙いには、シリア領土に対するトルコ支配拡大や、シリアのクルド人住民の間で広がる反トルコ抵抗運動に更なる打撃を与えることや、イランの影響力との戦いで、信頼できる同盟者になれると次期大統領ドナルド・トランプに印象づけることなどが含まれる。

 トルコ支配下にある聖戦主義者らがアレッポ市西部のシリア政府軍拠点を攻撃し、陽動部隊が市内に潜入した模様だ。この作戦の大部分は、それに伴う(偽)ニュース攻撃によるものだ。この地域からの現在の情報はあまりに混乱しており、正確に一体何が誰の支配下にあるのか、ある程度正確に述べることはできない。

 シリアでは複数勢力が戦っている。イスラエル、トルコ、アメリカの支援を受けるトルコの「反政府勢力」側には二つの異なる集団がある。アブ・ムハンマド・アル・ジョラニ率いるハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(HTS)の元アルカイダ聖戦主義連中はカタールの代理勢力を通じてCIAから資金提供と武器提供を得ていたし、おそらく今もそうだろう。HTSには、中央アジア出身のトルクメン人やウイグル人聖戦主義者が多数いる。二つ目の集団はトルコが資金提供し管理するスンニ派シリア人傭兵集団、いわゆるシリア国民軍だ。

 これら「反逆者連中」は、下劣な行動で早々頭角を現した。
Hala Jaber @HalaJaber - 2024年11月29日 17:40 UTC

🔴重要🔴
エルドアン大統領が支援する「自由の戦士」と呼ばれる連中が、捕らえたシリア兵の首を切る非常に陰惨な映像を今見た。欧米諸国の軍事用語で言えば捕虜だ。ISISの悪行時代は終わったと思っていたが、歴史は再び繰り返され、またしても連中は善良な「解放者」だと言われている。
映像には、シリア兵が「反政府勢力」に囲まれている様子が映っている。
彼は彼らに懇願し、イスラム信仰を訴える。
彼らは彼の手を首から引き離し、巨大なギザギザのナイフを持った男が彼の喉を切り裂く。ナイフが引っかかると、彼は首にナイフを数回突き刺し「アッラーは偉大なり」と叫びながら虐殺を続ける。NATOとイスラエルが支援するこれら過激派を欧米諸国で支援している人は本当に考え直すべきだ。.
紛争のもう一方の側にはシリア・アラブ軍(紛争前の段階で学ばなければならなかった教訓を全て忘れてしまったようだ)がいる。シリアのシーア派戦闘員の集団をいくつか訓練し、資金援助しているイラン革命防衛隊がシリア軍を支援している。これはシリアにルドワン特殊部隊の一部を配置しているレバノンのヒズボラとの緊密な連携のもとで行われている。シリアでロシアはシリア政府を支援しており、現在、空軍力を使って「反政府」側からの更なる攻撃を阻止している。

クルド人民防衛隊(YPG)は反トルコ運動だ。この組織はシリア民主軍(SDF)の主要部分を構成しており、東シリアで、ペンタゴンから断続的に支援を受けている。現在はシリア政府側で戦っているが、クルド人人口の多い地域の安全確保にも関心を持っている。

シリアでの紛争が間もなく再燃することは知られていたが、この緊急さは驚きだったようだ。
Sharmine Narwani @snarwani - ・ 2024年11月30日 9:10 UTC

ロシア新聞イズベスチヤ:アレッポへの大規模テロ攻撃は、イスラエルの支援とアメリカの承認を得て、トルコ、ウクライナ、フランスの諜報機関に調整された。計画は2か月前に行われ、攻撃は来年3月に予定されていたが、レバノンでの出来事が緊急性を高めた。
 上で述べた通り、どちら側が実際にアレッポのどの部分や周辺地域を支配しているか公平に評価できる情報はまだない。私の印象では、ジハード主義者があちこちを支配しているという主張の多くは軍事的な意味のないメディア活動に過ぎない。

 だが、これまでのところで言えるのは、シリア政府が戦場で防衛線を確保できず、紛争再開に備え軍を準備できなかったのは明らかだ。シリア・アラブ軍は、大きな戦闘をすることなく多くの陣地を放棄したようだ。

 あの地域を再支配するには(再び!)多大な流血と資金が必要になるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/us-allies-reignite-war-on-syria-.html

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 イスラエル、シリア、ウクライナについてAlastair Crookeが語る一時間。20年前ヒズボラ青年幹部と会った経験談。素晴らしい考え方の若者は今や立派な幹部になっているはずだと語る。指導者を暗殺すれば彼らを弱体化できるという発想は機能しないと。アメリカと共謀してシリア攻撃を始めたトルコの狙いも解説している。
Alastair Crooke, Alexander Mercouris, Glenn Diesen – Desperate Escalations in Middle East & Ukraine  1:17:08
 Dialogue Works 平和を主張して戦争に邁進するトランプ政権の実態をLarry Wilkerson & Scott Ritter二人がかたる。
How Donald Trump Could Destroy EVERYTHING | Col. Larry Wilkerson & Scott Ritter  52:23
 東京新聞 インタビュー・ページ あの人に迫る ほとんど読まない欄を読んだ。
山岸美喜 徳川慶喜家5代目当主

2024年11月29日 (金)

ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか

2024年11月27日
Moon of Alabama

 ある兵器を、戦場で形勢を一変させるものだと評すると、常に嘲笑の対象になる。ウクライナに配備された兵器の多くが形勢を一変させると言われたが、戦争の結果に何ら変化をもたらすことはなかった。

 では、なぜロシアの新型オレシュニク・ミサイルを「形勢を一変させるもの」と私が言うのか?

 理由はいくつかある。

 まず、36個の運動エネルギー弾頭を搭載したこのミサイルは、アメリカによる中距離核戦力 (INF) 条約の廃止に対する予想外の対応だ。欧州に核ミサイルを配備してロシアに対して優位に立てるとアメリカは期待していた。オレシュニクは、核戦力に頼ることなく、その優位性を否定している。

 譲歩するか核兵器を使用するかの選択をロシアに迫るアメリカの試みはことごとく失敗に終わった。

 これはウクライナで最も顕著だ。2年以上に及ぶ戦争で、アメリカはロシアに対し「カエルを煮る」戦略をとってきた。ウクライナに提供する兵器の射程範囲と殺傷力を徐々に拡大して、アメリカは緊張を高めてきた。こうした各段階で、戦車や、HIMARSや、ATAMACを引き渡し、ウクライナがこれらをロシア領内で使用できるようにするのは、架空のロシアの超えてはならない一線を超える動きだとアメリカは主張した。こうした各段階には、ロシアが核による対応を検討していると主張するプロパガンダが伴っていた。

 狙いは、ロシアにウクライナ問題で譲歩するか、核兵器を使用するか選択を迫ることだった。ロシアが核兵器を使用すれば、国際社会から疎外されることになるので、ロシアは核兵器を使わないとアメリカは確信していた。核兵器を使用すれば、中国や他の同盟諸国の支持を失うことになるのだ。また全面核戦争のリスクもある。

 この戦略は、ロシアが非対称的な反撃手段を見つけなければ、おそらく成功していたはずだ。現在、ロシアは非核兵器(オレシュニクだけではない)を保有しており、核兵器を実際に使用した場合の有害な副作用なしに、核攻撃と同等の攻撃ができる。

 今後のオレシュニク配備は、これまで核兵器のみ保有していた戦略軍の指揮下に入るとロシアは発表した。これは、これら新兵器が同様の戦略的効果を持つとみなされていることを明確に示している。

 オレシュニク・ペイロードの運動学的概念は新しいものではない。質量と速度を掛け合わせたものが、これらがもたらす破壊エネルギーの量だ。 [私のずさんな文に対する指摘による訂正: 力は質量の半分に速度の二乗を掛け合わせたものに等しい。 F = 1/2 m * v^2 ] 極超音速でマッハ10の速度で標的に当たるため、爆発物のない小型貫通体でも非常に強力な爆発のような効果が得られる。

 1980年代初頭、レーガン大統領の戦略防衛構想には運動エネルギー兵器を導入するいくつかの試みが含まれていた。「神のロッド」(後に「ブリリアント・ペブルズ」) は、ソ連のICBMミサイルを攻撃するため衛星から発射される運動エネルギー・ダーツとして構想された。  
2003年のアメリカ空軍報告書に記載されている「超高速ロッドバンドル」と呼ばれるシステムは長さ20フィート (6.1メートル)、直径1フィート (0.30メートル) のタングステンロッドで構成されており、衛星制御で衝突速度マッハ10のグローバル攻撃能力を備えている。

 爆弾は軌道上では毎秒約8キロ(26,000フィート/秒、マッハ24)、衝突時には毎秒3キロ(9,800フィート/秒、マッハ8.8)の軌道速度で飛行するため、当然大きな運動エネルギーを持つことになる。この棒が大気圏に再突入すると、速度のほとんどが失われるが、残ったエネルギーにより、かなりの被害が発生する。一部システムは小型戦術核爆弾と同等の威力を持つとされている。これらの設計はバンカーバスターとして想定されている。
 何も実現しかった。想定された貫通体は宇宙に配備するには大きすぎ、重すぎた。貫通体が「電柱」ほどの大きさである必要があったのは、大気圏を超音速で飛行中に燃え尽きてしまうためだ。

 オレシュニクが使用している貫通弾は遙かに小さい。

 ロシアは、極超音速で飛行する物体に関する一般的な物理的問題のいくつかを解決したようだ。2018年3月、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、アメリカのミサイル防衛網を突破するために設計されたいくつかの新兵器の導入を発表した。その一つが、現在アバンガルドとして知られる極超音速滑空体だ。  
新しい複合材料の使用により、滑空巡航ブロックはプラズマ形成状態で長距離誘導飛行が可能になった。それはまるで隕石のように、火の玉のように目標に向かって飛ぶ。表面温度は1,600~2,000℃に達するが、巡航ブロックは確実に誘導される。

 他の多くの国が新しい物理的特性を持つ先進兵器を開発していることを我々は良く知っている。少なくとも最も重要な分野で、我々はその点で一歩先を進んでいると信じるに足る十分な理由がある。
 それ以来、ロシアの科学者がプラズマ・エンベロープ内での誘導極超音速飛行の問題を解決するため、どのような「新しい物理的特性」または原理を発見したかを私は調査してきた。今のところ何も出てきていない。しかし、オレシュニクが極超音速で比較的小さな誘導弾を使用している事実は、ロシア人が発見した新しい物理的特性または原理がこの兵器にも適用されている可能性が高いことを示している。

 こうした基本的な科学的発見が欧米諸国で知られるようになるまで、オレシュニクやアヴァンガードの特性に匹敵する兵器を製造する可能性はないだろう。

 今のところ、オレシュニクは射程距離が限定された(5,000キロ)非核兵器だ。しかし、ロシアが同様の非核能力を備えたICBMミサイルを装備するのを妨げるものは原理的に何もない。これにより、ロシアによるアメリカ領土、あるいはおそらくアメリカの海外基地や航空母艦への非核攻撃が可能になる。

 だが、これら事実とその結果は、まだ西側諸国の意思決定者の心に浸透していない。

 オレシュニク攻撃が起きた後も、ウクライナにロシア国内の標的にATAMACミサイルを発射するようアメリカは指示し、ロシアを攻撃し続けた。昨日、ロシア国防省は、異例なことに、そのような攻撃が2回あったと発表した。  
11月23日、敵はロタレフカ(クルスクの北西37キロ)付近のS-400対空大隊の陣地に向けて、アメリカ製のATACMS作戦戦術ミサイル5発を発射した。
...
 地対空戦闘中、大隊を護衛していたパンツィリAAMG担当者がATACMSミサイル3発を撃墜し、うち2発が標的に命中した。... 11月25日、キーウ政権はクルスク・ボストチヌイ飛行場(ハリノ近郊)にATACMS作戦戦術ミサイル8発による追加攻撃を実施した。7発のミサイルはS-400 SAMとパンツィリAAMGに撃墜され、1発のミサイルが狙った標的に命中した。
 軍事的に、これら攻撃は無意味だ。しかし、アメリカは、カエルが船から逃げ出した後も、依然「カエルを煮る」のを試みていることを示している。プーチン大統領によれば、ロシアはオレシュニクや類似兵器を数発、発射する準備ができているという。

 このようなミサイルの潜在的標的は明らかだ。   
モスクワ、11月21日。/TASS/。ポーランドの米ミサイル防衛基地は長い間、ロシア軍による潜在的な無力化の優先目標とみなされてきたとマリア・ザハロワ外務省報道官が記者会見で述べた。

 「こうした欧米諸国の軍事施設がもたらす脅威のレベルを考えれば、ポーランドのミサイル防衛基地は長年、潜在的な無力化の優先目標に含まれている。必要とあらば、これは広汎な先進兵器を使って達成できる」とこの外交官は語った。
 11月30日まで、カプースチン・ヤールミサイル発射場上空をロシアは閉鎖した。カプースチン・ヤールはオレシュニクが発射された試験場だ。

 オレシュニク型兵器に対する防御は不可能なので、アメリカが管理するポーランドのレジクフ基地への攻撃を、ロシアは攻撃が行われる数日前または数時間前に発表する可能性がある。攻撃は発表されるが、通常型で、死傷者はほとんど出ないと考えられるため、NATOが第5条を適用して武力で反撃する可能性は低いと思われる。

 そうなれば再びカエルが茹で上がる瞬間が訪れるが、今度はアメリカが鍋の中のカエルになる。ロシアは、従来の手段でヨーロッパの米軍基地を攻撃して、日々温度を上げていくだろう。

 アメリカは、この件で核兵器を使用する勇気があるのだろうか、それともロシアを倒す計画から撤退するのだろうか?

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/how-the-new-russian-missiles-are-changing-the-game.html

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 Alex Christoforou YouTube
PUTIN, decision-making centers are targets. US wants Ukraine to lower military age. Ruble weakens 42:21
 冒頭ミサイル攻撃に触れて、プーチン大統領はロシア・ジョークを言った。ソ連時代、天気予報に関する冗談があった。「今日の日中の天気は、あらゆる可能性があります。」

«Знаете, в советское время была такая шутка по поводу прогнозов погоды. Вот прогноз такой: сегодня в течение дня все возможно», — сказал Путин.

 騒ぎの元になった最初のnote魚拓も見ず記者会見する代理人。横田一氏が的確に指摘している。

 植草一秀の『知られざる真実』
知事代理人記事改変把握せず会見

2024年11月27日 (水)

バイデン、ウクライナに対人地雷を供与

2024年11月20日
Moon of Alabama

 老齢のためジョー・バイデン大統領は再選に立候補できないことが判明した。だからといって権力者連中が彼に第三次世界大戦を起こさせるのが阻止されたわけではない。

 ロシアの標的にアメリカが管理する弾道ミサイルをウクライナが発射するのをバイデン政権が「許可」した後、ほぼ禁止されている対人地雷も追加しようとしている。<  
自らの政策を撤回し、バイデン、ウクライナへの対人地雷配備承認、-ワシントンポスト
 ウクライナを含む160カ国以上が対人地雷の使用を禁止する条約に署名している。選挙運動中、バイデンはこうした兵器の使用に反対を唱えていた。

 それにもかかわらず、今やウクライナへの対人地雷提供を彼は承認した。理由はプロパガンダから生じた。  
「自軍の死傷者にもかかわらず、ロシアは東のウクライナ軍陣地を波状攻撃している」と当局者の一人が語った。「ウクライナ軍は明らかに損害を被っており、更に多くの町や都市が陥落の危険にさらされている。これら地雷はまさにこれと戦うため作られた」
 ロシア軍がウクライナ陣地を攻撃する「軍隊の波」は存在せず、過去にも存在しなかった。そのような「波」の映像を見つけ私に突きつけてくださるよう読者にお願いする。

 その代わり、砲撃で破壊した後で、ウクライナ軍陣地に侵入する小部隊の映像はある。ワシントンポスト記事はそれを認めている。

 ウクライナ軍は容赦ないドローン攻撃と小規模な攻撃部隊に直面して、強固な防衛線構築に苦戦している。

 たとえ爆発しないようにされたものでも、戦争終結から何十年経っても対人地雷は住民に対して危険であり続ける。既に終結しつつある戦争で、これらを使用するのは犯罪だ。  
対人地雷禁止条約の署名国であるウクライナに対人地雷を供給するアメリカの決定は、ワシントンに対する汚点だと人権活動家たちは述べている。

 「これは衝撃的で壊滅的な展開だ」と人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの危機・紛争・武器部門副部長メアリー・ウェアハムが語り、非持続性地雷であっても民間人に危険を及ぼし、複雑な除去作業が必要で、必ずしも確実に不活性化されるとは限らないと述べた。
 バイデンの決定による最も重大な影響は、当然ながら全面禁止の方向へ向かっていた種類の兵器の拡散になるだろう。  
ウクライナ紛争は、対人地雷反対の姿勢を再考させるきっかけを他の国々に与えた。今年初め、バルト三国のリトアニア、ラトビア、エストニアはロシア侵略に対する防衛力を強化するためオタワ条約脱退を検討したが、最終的に民間人への危険性が低い対戦車地雷や他兵器の備蓄を強化すると決定した。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/biden-to-send-antipersonnel-mines-to-ukraine.html

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 長距離ミサイル攻撃と退陣地雷。バイデンの最後っ屁置き土産。

 Sabby Sabs
Scott Ritter: We've PUSHED Russia Into A Corner! (Interview) 19:31
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
劇場型トランプ政治「二ューヨークタイムズ:トランプ大統領、貿易を麻痺させる可能性のあるメキシコ、カナダ、中国への追加関税を計画。米国が輸出入する商品とサービスの3分の1以上を占め、数千万の米国の雇用を支えている。トランプ選挙中中国に、「現行の関税を10%上回る追加関税」
 デモクラシータイムス 兵庫県知事選を巡る横田氏報告
【横田一の現場直撃 No.295】20241125  1:15:35
 日刊IWJガイド  
「ウクライナ支援金を横領していたのはウクライナの官僚だけではない! 米国民主党が支配する『闇のシステム』が50%も横領!」2024.11.27号

■はじめに~ウクライナの隣国で関係の深いポーランドの元労働副大臣が見るに見かねて告発! ウクライナ支援金を横領していたのは、ウクライナの官僚だけでない! 米国民主党が支配する「闇のシステム」が50%も横領!「すべての欧州や米国の納税者への侮辱でもあります。このシステムは初めから終わりまで犯罪的です」!

■本日午後7時より、「自公政権による『公共の種子をなくす仕組み』が完成!? 種子法廃止は、『私達を飢えに陥れかねない、天賦の権利を侵害するもの』! 岩上安身による『日本の種子を守る会』元農林水産大臣・弁護士 山田正彦氏インタビュー」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします!

2024年11月24日 (日)

ロシアの新型ミサイルが、なぜ本当に形勢を一変させるのか

2024年11月22日
Moon of Alabama

 ウクライナからの対ロシア弾道ミサイル攻撃を計画するアメリカの決定に応えて、偉大な奇術師で、ロシア連邦大統領でもあるウラジミール・プーチンはシルク・ハットからウサギを取り出した。

 昨日、新型中距離弾道ミサイルの6つの独立した弾頭がウクライナのドニプロにあるユジュマシュミサイル工場を攻撃した。

 これまで、この新型ミサイルとその機能は知られていなかった。これは特に欧州でロシアに対し優位に立とうとする10年にわたるアメリカの取り組みに対する明らかな対抗策だ。

 ミサイルは、射程距離で分類できる。  
    1. 短距離弾道ミサイル (SRBM) は、約1,000キロの範囲内の敵軍を標的とするよう設計されている。通常は戦術的シナリオで使用され、地域の脅威に迅速に対応できる。
    2.  
    3. 中距離弾道ミサイル (MRBM) は、運用範囲を約3,500キロに拡大する。このシステムは、大陸間ミサイルに頼ることなく、より遠くの標的を攻撃できるようにして、国家の抑止力を強化する。
    4.  
    5. 大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、射程距離が5,500キロを超える最長距離の種類に属する。これらミサイルは、大陸を越えて弾頭を運び、世界の安全保障の動向に大きな影響を与える戦略的抑止力として機能する。
     アメリカ、ロシア、中国はこれら三種類の兵器全てを開発している。1980年代後半、ソ連大統領ミハイル・ゴルバチョフの主導により、アメリカとソ連は中距離核戦力全廃条約(INF条約)に署名した。  
    INF条約は、両国の核および通常弾頭搭載の地上発射弾道ミサイル、巡航ミサイル、射程距離500~1,000キロ (310~620マイル) (短中距離) および1,000~5,500キロ (620~3,420マイル) (中距離) のミサイル発射装置を全て禁止した。この条約は空中発射ミサイルや海上発射ミサイルには適用されなかった。1991年5月までに、両国は2,692発のミサイルを廃棄し、その後10年間にわたり現地検証査察を行った。
     一定の射程距離のミサイル配備は禁止されていたが、ミサイル開発は続けられた。2008年頃、ロシア連邦はRS-24(ヤルス)大陸間ミサイルの基本設計を利用し、爆薬搭載用の、より軽量で柔軟性が高いモデルを開発した。その結果、扱いやすいRS-26ミサイルが生まれた。このミサイルは大陸間ミサイルとして分類されるのに必要な射程距離を実現できたが、爆薬搭載量が小さすぎて実際は効果的ではなかった。

     2018年初頭、RS-26の更なる開発は全て中止し、より有望な極超音速滑空機アバンガルドに資金投資するとロシア連邦は決定した。

     RS-24開発を中止する決定をロシアが下した数か月後、アメリカはINF条約から撤退した。ロシアの特定巡航ミサイル開発は条約違反だとアメリカは主張したが、撤退の本当の理由は別のところにあった。

     中国が条約に署名していなかったため、南シナ海を含む太平洋における中国の軍備増強に対抗する必要があったことも、条約からアメリカが撤退するもう一つの理由だった。バラク・オバマ大統領時代まで遡り、アメリカ当局者は、このことを指摘してきた。

     だが、INFからのアメリカ離脱は、ミサイル防衛を限定していた弾道ミサイル防衛条約からの2002年のアメリカ離脱と一致していた。その後まもなく、東ヨーロッパに「ミサイル防衛施設」を建設するとアメリカは発表した。これら施設は、ロシアに向けて攻撃的な巡航ミサイルを発射するように簡単に転用できる。

     2024年7月、2026年から核兵器搭載可能な中距離ミサイルをドイツにアメリカが配備するとNATOは発表した。

     これはINF条約発効前にヨーロッパが経験した危険な状況を再現することになる。アメリカ本土の関与なしに、ヨーロッパ内で核戦争が起こる可能性が再び高まるのだ。

     この脅威にロシアはついに対応せざるを得なかった。NATOの発表から数週間後、ウラジミール・プーチン大統領はこれら計画に対応した。  
    アメリカ政府とドイツ政府は、2026年にドイツにアメリカの長距離精密ミサイルを配備する計画に関し注目すべき声明を発表した。

     このミサイルはロシアの主要国家施設、軍事施設、行政・産業センター、防衛インフラの範囲に到達する可能性がある。将来核弾頭を搭載する可能性があるこのようなミサイルが我が国の領内の標的に到達するまでの飛行時間は約10分だ。

     既にアメリカは自国領からデンマークとフィリピンまでタイフォン・ミサイル配備を訓練している。この状況は、冷戦時代にアメリカの中距離パーシング・ミサイルがヨーロッパに配備された時の出来事を彷彿とさせる。

     アメリカがこれら計画を実行すれば、海軍の沿岸部隊の能力増強を含め、これまで想定されていた中距離および短距離攻撃兵器の配備に関する一方的モラトリアムから解放されることになるだろう。

     現在、ロシアにおけるこうしたシステムの開発は完成に近づいている。我々は、アメリカや欧州衛星諸国や世界の他地域における行動を考慮し、同様の措置を講じ、これらシステムを配備する予定だ。
     昨日のドネプロペトロフスクのユジュマシュ複合施設攻撃(映像)は、ロシアの新たな能力の最初の実証となった。

     オレシュニク(Орешникハシバミ)と名付けられたこの新型ミサイルは、RS-26の派生型で、射程距離が短く、(以前の4基でなく)6基の多重独立標的再突入体(MIRV)を搭載している。各再突入体は6個の子弾頭を搭載できる。搭載物は不活性で、その運動エネルギーのせん断力や高爆薬や核兵器で標的を破壊できる。

     このミサイルは固体燃料を使用し、道路を移動可能で、偽装で隠された位置からすぐ発射できる。

     ロシアから発射されるこのミサイルは、ヨーロッパのあらゆる目標に20分以内に到達できる。大気圏に再突入すると、ミサイル弾頭は毎秒3~4キロの極超音速に達する。これを阻止できる防空システムは世界中に存在しない。

     このような巨大な能力の驚くべきかつ成功した実証は、ヨーロッパの戦略家連中にとって警鐘になる。

     欧米諸国の優位性とロシアの無能さをめぐるネオコンの主張にだまされて、欧州諸国はロシアに対する代理戦争と自らの運命を結びつけるのに躍起になっていた。ドンバス地方の資源を巡る戦いに敗れた欧州諸国は、対ロシア兵器の到達範囲を拡大しようと躍起になっている。

     今や結果は出ている。わずか数分の予告でヨーロッパのあらゆる政治・産業中心地を壊滅的威力で攻撃できるロシアの新兵器に対し、ヨーロッパは無防備だ。

     幸いなことに、進路を変える時間はまだある。

     新たな能力を発表する一方、配備を限定する提案もロシア大統領はしている(映像)。  
    我々が中距離・短距離ミサイルを開発しているのは、欧州やアジア太平洋地域に中距離・短距離ミサイルを生産・配備するアメリカの計画に対応しているためだ。アメリカは2019年に突飛な口実でINF条約を一方的に破棄したが、これは間違いだったと我々は考えている。現在、アメリカはこうした兵器を生産しているだけでなく、我々が知る通り、先進的ミサイルを、部隊の訓練演習中に欧州を含む世界各地に配備する方法をアメリカは編み出している。しかも、こうした演習の過程で、それらを使用する訓練も行っている。

     念のため言っておくと、アメリカのこの種兵器が世界のどこかの地域に出現するまで、中距離と短距離ミサイルを配備しないとロシアは自発的かつ一方的に約束している。

     繰り返すが、我々はロシアに対するNATOの攻撃的行動に対抗するために、オレシュニク・ミサイルシステムの実戦テストを行っている。中距離および短距離ミサイルの更なる配備に関する我々の決定は、アメリカと衛星諸国の行動次第だ。
     ロシアに対して、アメリカとヨーロッパの手先が更なる攻撃を仕掛ける場合、野外条件下で、おそらくウクライナ以外の標的を狙う、より厳しいオレシュニク「実験」が実施されるだろう。  
    ロシア連邦の安全に対する脅威に基づき、先進ミサイルの更なる試験の際に、我々は標的を決定する。我々の施設に兵器使用を認める国々の軍事施設に対し、我々の兵器を使用する権利があると我々は考える。攻撃行動がエスカレートした場合、我々は断固、鏡のように対応する。ロシアに対して自国軍隊を使用する計画を立てている国々の支配者は、これを真剣に検討するよう私は推奨する。
     彼らがそうしてくれると期待しよう。

    記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/why-these-new-russian-missiles-are-real-game-changers.html#more

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     Alex Christoforou YouTube 冒頭リンジー・グラムの恫喝。新型長距離ミサイルにも触れている。
    ICC, Graham warns Justin. Germany, NO arrest Bibi. Putin; more surprises, Oreshnik mass production  26:46
     Dialogue Worksでは、MIT教授が、このミサイルについて解説している。Foxニュースでご託を並べる元軍幹部何もわかっていない阿呆とMIT教授は切り捨てる。
    Prof. Ted Postol Assessing Russian Attack on Ukraine by Hypersonic Missile 43:37
     ≪櫻井ジャーナル≫も、新型ミサイルに触れている。
    ウクライナを使った米英の対露攻撃への報復として露はマッハ10の弾道ミサイル

    2024年11月20日 (水)

    戦争を長引かせるためロシアに対するATACMS使用をウクライナに許したアメリカ

    2024年11月18日
    Moon of Alabama

     ジョー・バイデン大統領、あるいは彼のため考えている連中は、ウクライナの和平が実現しにくくなるように全力を尽くしている。  
    長距離兵器使用に対する制限を緩和し、アメリカが供与したミサイルを使って、ウクライナがロシア内奥深く攻撃するのをジョー・バイデン大統領は承認した。

     ロシア領土攻撃のためのウクライナによる兵器使用をNATO加盟国が許可した場合、モスクワは欧米諸国を攻撃するために、長距離兵器を他国に提供する可能性があるとプーチン大統領は警告していた。

     この進展に詳しい関係者の一人によれば、プーチン大統領のウクライナ侵攻を支持する北朝鮮の決定への対抗手段として長距離ミサイルが使用される可能性が高い。
     これまで主にクリミア半島に対して、ウクライナによる発射を許可されているATACMSミサイルは、射程距離約160キロのクラスター弾を搭載していた。

     ロシア国内の標的に対するATACMS砲弾の新たな使用許可が、クラスター弾ミサイル形にのみ適用されるのか、それとも射程距離300キロの高爆発性ATACMSミサイルにも適用されるのかはまだ不明だ。

     だが、ATACMSのいかなる使用でも、標的データ取得やミサイル任務の計画およびプログラミングのため NATO (アメリカ/イギリス) 要員の関与が必要だとロシアのウラジミール・プーチン大統領は正しく指摘している。

     したがって、ロシア本土へのATACMS使用は、NATOによるロシア連邦に対する戦争行為だ。これに対するロシアの反撃は妥当だが、ウクライナから遠く離れた戦場で表面化する可能性が高い。

     ロシアに対するATACMS攻撃の軍事的効果は疑問視されている。  
    ATACMSミサイルの供給は全体的に不足しており、これまで、ウクライナに十分な量を提供できるかどうかアメリカ当局は疑問視してきた。
     ATACMS使用を許可する表向きの理由は、ロシアのクルスク州に侵攻したウクライナ軍の防衛だ。

     この侵攻中、ウクライナ軍は、通常の20キロの砲撃範囲を超えてロシア奥深くまで進攻した。更に支援するために、射程距離70キロのGMLRSミサイルを搭載したHIMARSミサイル発射装置が前線に引き出された。ロシア国境付近で生き延びたのは、そのうちの僅か数基だけだった。2024年8月から9月にかけて、ロシア軍はそのうち6基か7基撃破した。(今日、更に一台が破壊されたと報じられた。)

     ATACMSは決して画期的な兵器ではない。ロシア国防省報告書によると、ATACMSミサイル迎撃成功件数は235件となっている。

     ATACMSを使ってクルスクのウクライナ橋頭保を支援すれば、ロシアが侵攻を排除するのは多少困難になるだろう。ロシア領からウクライナ軍が撤退するまで、交渉はしないとロシアは言っている。橋頭保の存在を長引かせれば、ドナルド・トランプ次期大統領が考えているかもしれない迅速な和平合意を阻止することになる。

     ロシアに対するATACMS配備を更に強調するために、北朝鮮という悪役をバイデン政権は指摘している。  
    今年ウクライナが占領したクルスク国境地域の領土奪還を目指すロシアを支援するため、北朝鮮は数千人の兵士をロシアに派遣した。

     アメリカ、韓国、ウクライナの評価によれば、最大1万2000人の北朝鮮軍兵士がロシアに派遣されている。
     この「評価」は、専門家による裏付けのない推定だ。

     ロシアに北朝鮮兵士がいることを示すような証拠は何も示されていない。師団規模の北朝鮮部隊がクルスク地域で戦闘準備を進めているという主張は、これをより大規模なプロパガンダ活動の一環として利用するようアメリカのシンクタンクが提案した後で、ウクライナが宣伝しているものだ。

     自国領にいるウクライナ軍を排除する十分な兵力をロシアは有している。ロシアのいかなる作戦にも北朝鮮部隊を含めることにロシア軍司令部が同意するかどうか極めて疑わしい。従って「北朝鮮兵士」というプロパガンダ主張は、それだけのものに過ぎない。

     できるだけ早くウクライナ戦争を終わらせたいと次期大統領ドナルド・トランプは公言している。バイデン政権は、この戦争の開始を支援しただけでなく、できるだけ戦争を長引かせようとしている。

     ロシア標的に対するATACMS使用は、軍事的に、ウクライナ軍に大きな利点をもたらすことはないだろう。この戦争で彼らが生き残る、あるいは勝利する道は残されていない。彼らの敗北は避けられない。

     だがロシアに対するATACMS使用を認めれば、戦争は新たな局面へとエスカレートする。和平協定への道も長引かせることになる。これは、もっぱら、この戦争に政治的、経済的に投資している連中の利益になるのだ。

    記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/us-to-allow-atacms-use-on-russia-to-prolong-war-in-ukraine.html#more

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     BBC NEWS Japan
    ロシア、ウクライナが米製長距離ミサイルでロシア国内攻撃と 米政府も確認

    2024年11月19日 (火)

    選挙には結果がある ― それが、どういう結果かは我々には分からない

    2024年11月12日
    Moon of Alabama

     数人のタカ派人物を次期アメリカ大統領ドナルド・トランプは閣僚に選;んだ。

     現在、これら任命された連中が何をするのか多くの注目の的となっている。  
    • 次期国務長官候補のマルコ・ルビオは、ベネズエラで新たなクーデターを起こしたいと考えているかもしれない。
    • 次期国家安全保障顧問のマイケル・ウォルツは反ロシア、反中国の立場だ。
    • シオニストのエリーズ・ステファニックが、イスラエル2人目の国連大使に就任する。
     制限がなければ、これ誰も新たな戦争を始めるだろう。

     トランプが右翼狂信者を選ぶのは意外ではない。物事を推進するには彼らの支援が必要なのだ。

     だが、これら人物をトランプが選んだからといって、彼らの言うことに彼が耳を傾けたり彼らの助言に従ったりするわけではない。トランプ最初の任期では選んだ人物が長続きしないことがしばしば示された。従って、あれこれ愚かな人選に絶望する理由はない。

     トランプや支持者たちが追求したい政策は不可能かもしれない客観的理由もある。財政赤字が過去最高で金利が高い中での減税は現実的に不可能だ。ウクライナを勝利に向かわせても現地の事実から見て失敗するだろう。イランを攻撃したい衝動は、軍事的敗北の大きなリスクを伴う。

     今後の動向を予測するには、政権の実際の政策決定を待たなければならない。トランプが自ら選んだタカ派が反対する政策の実施に成功すれば良い兆候になるだろう。

     それについて私はあまり楽観的ではない。私の以前の予測は今でも当てはまる。  
    以前自分の政策に反対し妨害する人々を[トランプは]選んだ。彼には彼らを抑制する権限も意志もなかった。彼がそこから学んだとは思えない。
     だが、彼はそこから学んだかもしれない。私は客観的立場を保ち、彼に機会を与えるよう努めるつもりだ。

    記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/elections-have-consequences.html

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     たまたま(というよりネットによる恣意的誘導?)Roland S. MartinのYouTubeを見た。聖書の言及が鋭い。

    Just as in 1 Samuel 8, Americans wanted a king, so they elected Donald "Saul" Trump 16:11
      「まさにサムエル前書第8章と同様、アメリカ国民は王様が欲しかったのだ。それで彼らはドナルド・サウル・トランプを選んだのだ。」とあるが、この言葉だけでは意味が良く分からないが、素人は神戸選挙も連想する。

     岩波文庫「文語訳旧約聖書」も手許にあるが、ネットにあるサムエル前書第8章の一部を複写しよう。  
    サムエルは王を立てることを求める民に主の言葉をことごとく告げて言った、「あなたがたを治める王のならわしは次のとおりである。彼はあなたがたのむすこを取って、戦車隊に入れ、騎兵とし、自分の戦車の前に走らせるであろう。
     彼はまたそれを千人の長、五十人の長に任じ、またその地を耕させ、その作物を刈らせ、またその武器と戦車の装備を造らせるであろう。
     また、あなたがたの娘を取って、香をつくる者とし、料理をする者とし、パンを焼く者とするであろう。
     また、あなたがたの畑とぶどう畑とオリブ畑の最も良い物を取って、その家来に与え、 あなたがたの穀物と、ぶどう畑の、十分の一を取って、その役人と家来に与え、
     また、あなたがたの男女の奴隷および、あなたがたの最も良い牛とろばを取って、自分のために働かせ、
     また、あなたがたの羊の十分の一を取り、あなたがたは、その奴隷となるであろう。
     そしてその日あなたがたは自分のために選んだ王のゆえに呼ばわるであろう。しかし主はその日にあなたがたに答えられないであろう」。

     ところが民はサムエルの声に聞き従うことを拒んで言った、「いいえ、われわれを治める王がなければならない。
     われわれも他の国々のようになり、王がわれわれをさばき、われわれを率いて、われわれの戦いにたたかうのである」。
     サムエルは民の言葉をことごとく聞いて、それを主の耳に告げた。
     主はサムエルに言われた、「彼らの声に聞き従い、彼らのために王を立てよ」。サムエルはイスラエルの人々に言った、「あなたがたは、めいめいその町に帰りなさい」。
     谷川俊太郎の詩は、恥ずかしながら昔福音館が刊行していた下記二冊しか読んでいない。瀬川康男の画が印象的だった。現行の岩波版では、あの素晴らしい画はどうなっているのだろう?

     ことばあそびうた ことばあそびうたたまた

    トランプとウクライナ

    2024年11月7日
    Moon of Alabama

     次期大統領ドナルド・トランプはウクライナ戦争をどう扱うのだろう?

     彼が約束したように24時間以内に戦争を終わらせることができるとは思えない。むしろ戦争をエスカレートさせるだろうと私は思う。二週間前に私はこう述べた
     
    新大統領はウクライナにおける対ロシア計画に更に力を入れると予想している...
    トランプ大統領の公約に関するウォール・ストリート・ジャーナル最新記事を見ても、そうではないと考える理由は皆無だ。  
    トランプはウクライナ戦争を終わらせると約束した。今度はどのように終わらせるかを決めなければならない。(アーカイブ
     次期大統領に近い外交政策顧問らは前線を事実上凍結させる様々な計画案を提示した。
     トランプ政権の最初の任期と同様、共和党の外交政策に影響を与えようとして、様々な派閥が競い合うことになる。国防総省長官のトップ候補、マイク・ポンペオ元国務長官など、より伝統的な考え方を持つ同盟者は、モスクワに大きな勝利をもたらさないような和解を推進する可能性が高い。他の顧問、特に国務省長官候補、あるいは国家安全保障問題担当大統領補佐官の最有力候補リチャード・グレネルは、たとえキーウに大幅な譲歩を強いることになっても、できるだけ早く戦争を終わらせたいというトランプの希望を優先する可能性がある。
     だが、それを実現する方法は一体何だろう?  
    トランプ次期大統領に近い三人が詳細を明かし、これまで報道されていなかったトランプ政権移行室で提案された案の一つは、キーウが少なくとも20年はNATOに加盟しないと約束するというものだ。その見返りとして、アメリカは将来のロシア攻撃を阻止するため、ウクライナに大量の兵器を供給し続けることになる。<br/>
     この計画では、前線は実質的に固定され、双方は800マイルの非武装地帯の設定に合意することになる。この地域の警備を誰が行うかは不明だが、ある顧問は、平和維持軍に米軍は関与せず、国連などアメリカが資金提供する国際機関も参加しないと述べた。

     「訓練やその他の支援はできるが、主役はヨーロッパ人だ」とトランプ陣営のメンバーは語った。「ウクライナの平和維持にアメリカ人を派遣するわけではない。費用も払わない。ポーランド、ドイツ、イギリス、フランスにやらせれば良い
     この考えはいくつかの理由で滑稽だ。ロシアの立場が考慮されていない。停戦を維持しながらウクライナに武器供給を続けるのは、明らかに時間稼ぎ戦術で、紛争解決にはつながらない。ロシアは戦争を永久に終わらせるものにしか同意しないだろう。ウクライナ現地にいる欧州NATO軍をロシアが容認するという想定も妄想だ。

     他の考えは上記の変種にすぎない。  
    今年初め、キーウがロシアとの和平交渉に同意するまでウクライナへの武器供与を差し控える青写真を、トランプ大統領の最初のホワイトハウスで務めたキース・ケロッグとフレッド・フレイツがトランプ大統領に提出した。ウクライナは依然失地回復を試みることができるが、外交交渉を通じて行う必要があるだろう。
     戦争を止める唯一の現実的方法は、アメリカがウクライナ支援を全面的に中止することだ。欧州諸国はこれについて口論するだろうが、予算上の理由からだけでも、おそらくそれを実行するだろう。そうなると、全ての支援を失ったウクライナはモスクワと和平することになる。

     トランプは、防衛・外交政策の責任者として(ネオコンの)タカ派を選ぶ可能性が高い。彼らは、トランプが宣言した意志に反してでも、戦争を継続するため、あらゆる手段を講じるだろう。彼らにとって、最後のウクライナ人、そして最後のヨーロッパ人までもが犠牲になる。たとえアメリカが決して諦めないことを示すためであろうとも。

     これを隠蔽するために、トランプと支持者たちは即時停戦を提案するかもしれない。しかし、それはうまく行くまい。

     カーネギー・モスクワ・センター元所長ドミトリー・トレーニンはコメルサント紙に次のように書いている(機械翻訳)。  
    既存の戦線に沿った敵対行為の停止について話しているのなら、この姿勢はモスクワで真剣に受け止められる可能性は低い。そのような「戦争停止」は単なる一時停止に過ぎず、その後、紛争は新たな勢いで、おそらくより激しく再燃するだろう。将来のウクライナ政権の性質や、軍事的および軍事経済的潜在力や、ウクライナの軍事的政治的地位は、ロシアにとって極めて重要だ。更に、新たな領土的現実を考慮する必要がある。
     これら全ての項目はアメリカによる重大な譲歩を必要とするが、トランプ政権はそれに応じようとはするまい。  
    トランプ政権がこれら問題に関する実質的対話に同意するとは期待しがたいし、ましてロシアの核心的利益を考慮するとは考えにくい。トランプがその用意を示せば対話は始まるだろうが、その場合でも合意が保証されるにはほど遠い。
     信頼という大きな問題もある。  
    両者がまったく信頼し合っていない状況で、満足のいく保証とみなせるものは一体何か、という別の問題もある。二つの「ミンスク」合意(2014年と2015年の合意)は破られ、三度目の試み(2022年に署名された「イスタンブール」)は阻止されたため、四度目が実現する可能性は低い。ロシアが頼りにできる唯一の保証はロシア自身による保証だ。
     ロシアにとって唯一の保証は、ウクライナ軍に対する恒久的(通常兵器による)優位性だ。ウクライナへのいかなる新たな兵器供給も、それを損なうことになる。しかし、ロシアの優位性を認めるのは、まさにアメリカが認めたくない敗北だ。

     『Events in Ukraine ウクライナの出来事』の著者も同様結論に達している。  
    個人的には、もしトランプが大統領に就任すれば(この時点で「もし」が必要なら)これが起きると予想している。トランプがウクライナでの「妥協案」をプーチンに提案する。プーチンは戦場で勝っているため、これを拒否する(私の軍事ニュースレターを参照願いたい)。トランプは面目を失ったことに激怒し、(今年7月に「ウクライナへの5000億ドルのレンドリース」を主張した)ポンペオなどのウクライナ強硬派顧問に勇気づけられて、一体次に何をするだろう? 緊張緩和? 信じがたい。
     確かに、信じ難い。

     戦争は続くだろう。ゴードン・ハーンが予測している通りに、ロシアはドニエプル川を渡り、オデッサを奪還し、キーウを脅かさなければならないだろう。ゼレンスキーが政治的にそのような状況を切り抜けられる可能性は低い。他勢力が前面に出てくるだろう。  
    そうなると意思決定の軸はキーウに移り、ゼレンスキーまたは他のウクライナ指導者が、国内の政治危機を引き起こすことなく、モスクワとの和解の一環として領土喪失を前提とする和平交渉を開始できるかどうかという問題に移る。結果として生じるクーデターのポーカーゲームには、諜報機関および治安部隊、HRUおよび/またはSBUが率いるキーウを拠点とするクーデターが含まれる可能性があり、またはウクライナ義勇軍 (DUK)、アゾフなどの超国家主義者やネオファシストがウクライナ軍の一部として十分武装し、銃を向けてキーウに進軍し、権力を掌握するため前線で周辺から出現する可能性がある。
    ...
     アメリカが支援するクーデターは、そのような事態の展開を先取りするか、先行するか、促進する可能性がある。過激派の権力掌握を緩和、あるいは容認することがウクライナ国民の残党を結集し、モスクワに「戦略的敗北」を与える取り組みを実現しNATOの更なる拡大を保証する唯一の方法だとワシントンとブリュッセルは賭けに出るかもしれない。
     しかし、アメリカ支援の有無にかかわらず、ファシスト・クーデターは現地の状況を変えることはできないだろう。ロシアは依然優位に立って戦争に勝つだろう。

     この軌道を変えることができるのは、NATOによる直接介入だけだ。しかし、そうなると戦争は世界規模の戦いへと拡大するが、トランプ強硬派ですらそれは望むまい。

    記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/trump-and-ukraine.html

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     植草一秀の『知られざる真実』
    新時代情報戦争と兵庫知事選
     東京新聞 朝刊 第二総合面
    日本の英語力 過去最低の92位に転落 日本はアジア23カ国・地域でも16位に沈んだ。
     韓国は50位、中国は91位

     東京新聞 朝刊 三面
    米、緊張激化恐れ避けてきたが 長射程兵器

    切り札容認、ついに
     長距離ミサイルでロシアの奥深くを狙う場合、アメリカ軍事衛星データを利用することになる。  ミサイル発射前には飛行用データ利用設定するにはアメリカ要員による操作が不可欠。
     そうしたミサイル発射は、アメリカ直接参戦を意味し、  それに応じて対応するとプーチン大統領は明言している。

     今朝の孫崎享氏メルマガ題名
    世界各国の首脳、政府はトランプ政権に備え調整。韓国大統領はゴルフ再開、台湾は大規模な武器輸入検討。トランプ大統領は、保護主義の拡大、米国の海外支出と介入の減少、国家間の条約上の同盟よりも指導者間のイデオロギー上の同盟の方が重要になり得る新序列の到来を予感させる。

    2024年11月18日 (月)

    なぜワシントン・ポストは存在しないトランプ・プーチン電話会話を報道するのか?

    2024年11月11日
    Moon of Alabama

     これは興味深い。

     アメリカの次期大統領ドナルド・トランプとロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領との電話会談についてワシントン・ポストが報じている。  
    トランプ大統領はプーチン大統領と会談し、ロシア大統領にウクライナ情勢をエスカレートさせないよう伝えた-ワシントンポスト、2024年11月10日
     ドナルド・トランプ次期大統領は木曜日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談し、ウクライナ戦争について話し合ったと電話会談に詳しい関係者が明らかにした。

     木曜日、ドナルド・トランプ次期大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談した。事情に詳しい複数の関係者によると、トランプが大統領選に勝利して以来、両者にとって初の電話会談となった。

     フロリダの別荘からトランプがした電話の中で、二人はロシア大統領に、ウクライナでの戦争をエスカレートさせないよう助言し、アメリカが欧州にかなりの規模、軍事駐留をしていることを改めて指摘した電話に詳しい人物が語った。記事のためインタビューを受けた他の人物同様、この人物は微妙な問題について話すため匿名を条件に語った
     この電話についてワシントンポストに知らせたと、ウクライナ政府は言っている。

     そのような電話や会談が行われたことをクレムリンは否定している。

     プーチン大統領とトランプ大統領の電話会談をクレムリンは否定- AFP/MSN、2024年11月11日
     
    会話の報道を「完全に誤った情報」だとクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は否定した。

     月曜、ロシアのプーチン大統領とアメリカ次期大統領ドナルド・トランプがウクライナ紛争について電話でやり取りしたというアメリカ・メディア報道をクレムリンは否定した。

     この報道は「単なる虚偽情報」で、いかなる電話会談もなかったとクレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は記者団に語った。

     トランプの広報担当スティーブン・チュンはこのやり取りを認めず、「トランプ大統領と他の世界指導者との私的電話会談についてはコメントしない」とAFPに書面で述べた。
     私はペスコフのオリジナル発言を見つけることができなかったが、RIAノーボスチ通信(ロシア語)経由のペスコフ全発言(機械翻訳)がAFPの発言が正しいことを裏付けている。  
    「これは、現在、かなり評判の良い出版物でさえ時々掲載される情報の質の最も明白な例だ。これは全くの虚偽だ。これは全くの虚構だ。これは単なる偽情報だ」と彼は記者団に答えて語った。
     ウクライナも、同様に、この電話に関し、一切知らないとしている。  
    キーウ(ロイター) - 日曜、ウクライナ外務省は、ドナルド・トランプ次期米大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の電話会談についてキーウが事前に知らされていたとの報道は誤りだと述べた。

     事情に詳しい関係者の話として、トランプ大統領とプーチン大統領が木曜日に電話で会談し、ウクライナ戦争について協議したとワシントン・ポストは報じた。キーウは電話会談について知らされており、会談に反対しなかったと報じた。

     「ウクライナ側が電話会談について事前に知らされていたという報道は誤りだ。したがって、ウクライナは電話会談を承認も反対もできなかったはずだ」と外務省のヘオルヒー・ティヒ報道官はロイター通信に語った。
     ワシントン・ポストによると、この電話は11月7日木曜日に行われたという。ちょうどその日、プーチンはヴァルダイ・クラブで講演していた。討論中、プーチンはドナルド・トランプとはまだ話をしていないと主張した。  
    プーチン大統領は、当選後まだトランプと話し合っていないことを認めたが、米次期大統領から電話があれば電話に出るつもりだと示唆した。

     プーチン大統領は、自身トランプ大統領に電話をしていないのは「欧米諸国の首脳らが一時期ほぼ毎週私に電話をしてきたのに、突然電話を切ってしまった」ためだと説明し、「もし彼らのうち誰かが連絡を再開したいのなら、私は常に言ってきたし、もう一度言いたい。我々はそれに反対することはない」と付け加えた。

     就任前であってもトランプ大統領と協議する用意があるかとの質問に対し、プーチン大統領は「政権は準備万端だ」と答えた。
     トランプ陣営がプーチン大統領の演説をライブで聞いていて、その日のうちに電話をかけたとは思えない。したがって、私はクレムリン報道官を信じており、つまり電話はかかっていない。ワシントンポストの報道は作り話だと私は考えている。

     ワシントン・ポストの情報源「電話に詳しい人物」は極めて曖昧だ。記事の著者はエレン・ナカシマ、ジョン・ハドソン、ジョシュ・ドーシーの3人だ。

     エレン・ナカシマは「ロシア疑惑」に関するあれこれのたわ言を「報道」することで知られており、彼女や他の記者はピューリッツァー賞を受賞している。2016年の選挙におけるロシア介入疑惑は、その後徹底的に暴かれ、でっちあげだったことが今日では分かっている。

     すると、次のような疑問が残る。  
    • トランプ大統領とプーチン大統領の電話会談があったことを、ナカシマに伝えたのは一体誰だろう?
    •  
    • そのような主張をする目的は何だったのだろう?
     現時点では、これら質問に対する満足のいく答えを導き出すことはできない。

     しかし、その動機はポスト報道のこの部分に関係していると私は信じている。  
    [トランプ]「ヨーロッパにおけるワシントンの大規模軍事駐留を想起させた
     残念だが、現在ヨーロッパに駐留する米軍は約5万人で、そのうち最大5,000人から7,500人が本格的な前線部隊で、クレムリンを震え上がらせるようなものではない。

     そこで、  
    • ウクライナに関する議論に欧州における米軍駐留を持ち込みたいと思う人がいるだろうか?
    •  
    • 一体何が目的だろう?
     これらの質問に対する皆様の答えを私にご教示願いたい。

    記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/why-is-wapo-reporting-a-trump-putin-call-that-did-not-take-place.html#more

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     SNS恐るべし。

     Daniel Davis / Deep Dive バイデン、ウクライナに長距離ミサイル使用承認。
    BREAKING: Biden allows Ukraine to use U.S. arms to strike inside Russia  30:11
     日刊IWJガイド
    「M.S.ファルマによる原口一博議員への提訴は『スラップ訴訟なのではないか』!? 福岡資麿厚労大臣会見でのIWJの質問が大きな反響!」2024.11.18号

    ■はじめに~新型コロナウイルスのレプリコンワクチンを製造販売するMeiji Seikaファルマによる、原口一博議員への名誉棄損での提訴について、11月1日の福岡資麿(たかまろ)厚生労働大臣会見での「スラップ訴訟なのではないか」とのIWJ記者の質問が、SNSで大きな反響!「忖度のオールドメディアではできない質問を、ネット報道機関がズバリ切り込んでいるのは素晴らしい!!」「コレが本来のジャーナリストだね。ネットの世界にしか今や居ない」!!

    ■【本日のニュースの連撃! 3連弾!】

    ■【第1弾!「ルッテNATO事務総長にウクライナの『フィンランド化(中立化)』を提案したドイツのショルツ首相」が、「トランプ次期米大統領と電話会談し、欧州の平和構築を議論」と、ロシアメディアが報じるが…!?】「ルッテ・ショルツ会談」で「ウクライナのフィンランド化」の議論は、「公式記録」では見当たらず…。他方、ドイツ国内の世論では、ウクライナ支援に懐疑的な政党への支持が高まり、「中国、インド、ブラジルなどの諸国」による連絡グループを仲介役として、平和的解決を求める動きも!(『スプートニク日本』、2024年11月11日)

    ■【第2弾! アフリカとロシアの急接近(その2)ロシア南部のソチで、ロシア・アフリカ・パートナーシップ・フォーラムの第1回閣僚会議が開催され、アフリカ全土から40人以上の閣僚と、約1500人の参加者が集まる!】プーチン大統領は、「ロシアは、持続可能な開発の確保、テロリズムや過激主義との闘い、伝染病対策、食糧問題の緩和、自然災害への取り組みなど、さまざまな分野で、アフリカの友人達に可能な限りの支援を、断固として提供し続ける」と表明! ロシア外務省のミフノ局長代行は「ロシアはウクライナによる国際テロへの支援を容認できない」と指摘!(『RT』、2024年11月10日)

    ■【第3弾! フランス検察が国民連合のマリーヌ・ルペン前党首に5年間の被選挙権停止を求刑! 認められればルペン氏は2027年仏大統領選に出馬不可能に!】ルペン氏は前回、前々回と2回連続で大統領選の決選投票に駒を進め、直近の国民議会選挙でも国民連合は勢いに乗っている! マクロン政権による国策捜査では!? マクロン政権の方こそ、ファシストではないのか!?(『ル・モンド』、2024年11月13日)

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