難民問題

2021年12月10日 (金)

彼らを溺死させろ。凍死させろ。ともかく締め出せ!

Brian Cloughley
2021年12月3日
カウンターパンチ

 世界には多くの危機があり、おそらく最も悲痛なのは自宅からの退去を強いられた絶望的に惨めな難民だ。国連難民高等弁務官事務所UNHCRは聖人のような組織で、それが対処できる人々の世話をするために最善を尽くしている。その最近の報告は、現在、紛争や、野蛮な迫害や気候変化の惨事によって家を追われた8400万人以上の人々がいることを示している。

 11月11日、国連難民高等弁務官フィリッポ・グランディは「国際社会は平和の為の努力を強化しなくてはならず、同時に自国から退去させられた人々の共同体と、彼らの受け入れ国にとって資源が入手可能なよう保証しなくてはならない」と言う豊かな国々からのより多くの支援金要請を発表した。不幸にも、最近、難民の多くを撃退したポーランド当局と同じぐらい残酷で薄情な大統領のベラルーシからポーランドに入ろうと試みる何千人もの難民に対する非人道的扱いのような心が痛む出来事への対応でも明らかなように、国際社会の大部分は、難民に全く何の関心もない。

 BBCは難民が「即座にポーランドから撃退され、ベラルーシが彼らが戻るのを許すのを拒否するため、人々はポーランドの森林で立ち往生し、凍えるような寒さの中にいると指摘した。何人かが低体温症で死んだ。」だが誰が気にかけるだろう?確実に、11月8日、夜通しで「数百人の人々の集団に繰り返される我々の国境に対する攻撃」を予想すると言ったポーランドのパヴェウ・ソロフ国家安全保障局長官のような当局者ではない。「攻撃」?品位と理解と支援だけを望んでいる、非武装の凍えた、必死の、痛ましい亡命者によって?

 凍るように冷たい荒れ模様のイギリス海峡の水域でも、よく似たひどく醜いドラマがあるが、そこではフランスからイギリスに移動しようとしているボートが転覆して17人の男性、7人の女性と3人の若者、少年2人と少女1人が亡くなり、女性の1人は妊娠していた。

 この数字は荒涼な思いを引き起こすが、(そのため当時の首相テリーザ・メイに国際開発大臣辞任を強いられた)証明済みのウソつきで、部下に対するパワハラ(「大臣規範担当首相参与アレックス・アラン卿が、パテル女史が閣僚行動の管理規約に違反したことを発見したが、ボリス・ジョンソン首相が、彼女に「全幅の信頼」を置いており、パテル女史がパワハラとは思わないと言って、彼の見解を拒絶した」)難民問題に責任があるイギリス内務大臣、不快極まるプリティ・パテルのような人物の心には通じない。

 パテルの思いやりの欠如は11月初旬の「不法入国」に関して、新生活を始めようと努める難民は、大半詐欺師だと宣言する彼女の文書で実証された。彼女は前年、小さいボートに乗っている個人の70%が独身男性で、実質的に経済移民だと主張した。彼らは本物の亡命者ではない。」もちろん、極めて象徴的に皮肉なのは、ウガンダから「1960年代に、彼女の両親がイギリスに移住した」ことだ。そして2012年10月のメディア・インタビューでパテルは「人が迫害される国から来たことは、人が一生懸命働いて、最後に到着した社会に貢献したいとを望んでいることを意味すると発言した。人は新しい国を自分の家にするから、愛国的になる、結果として、人はその価値観で生きて、活動する。」もっともだ。だが無情なパテルは、もう誰にもそうする機会を与える用意がないように思われる。

 パテルの策略の1つは、海岸に彼らを拘留して、難民を罰し、次に彼らが「震え、浸され、トラウマとなるショックを与え...スコットランド移住拘置所へのバスに詰め込まれて、ほぼ500マイル-8から9時間の旅で送られる」ようにすることだ。

 イギリス政府の難民に関する不寛容と悪意と無能力の組み合わせは恐ろしいが、決して新しいものではない。最近アフガン難民アッバス・ナザリが出版したAfter the Tampaという本は、打ちひしがれた無力な人々に対するオーストラリア政府による一層ひどい扱いについて我々に多くを語ってくれる。11月26日、オーストラリア放送協会が、こう報じた。「2001年、タリバーンが彼らの権力の絶頂だった時、アッバス・ナザリの両親は一つの選択に直面した。彼らの故国に留まって迫害に直面するか、どこかほかのところで彼らの幼い子供のための安全を求めるか。家族はアフガニスタンの山から、400人以上の他の亡命者で満員の小さな漁船でインド洋への痛ましい旅を始めた。ボートが沈み始めたとき、彼らは貨物船タンパ号に救われた。だが、オーストラリアがこれら亡命者にその戸口を閉ざして、近代史で最大の海上救出の一つは、即座に国際対立に変わった。」

 オーストラリア政府の行動は、国際法と国連憲章に違反しただけでなく、彼らはうんざりするほど超道徳的で、当時の代表ジョン・ハワードの下で、自由党が、差し迫った国政選挙に勝つ目標を持っており、卑屈で卑劣な彼の追随者連中の行為は深い軽蔑に値する。もし地獄が本当にあるなら彼らは永遠にその炎に値する。シドニー・モーニング・ヘラルドが報じたように、ノルウェー貨物船タンパ号の船長アルネ・リナン(小指に、これら政治屋連中が彼らの全身に持っているより、遙かに大きな道義的、身体的勇気を持った人物)は「彼らの多くに切迫した医療の必要性があった救助された433人の難民を乗せた船に、オーストラリア水域を避けろというキャンベラの命令を拒絶して、ジャワの下のごく小さなオーストラリア領クリスマス島に向かって進んだ。重武装したSAS部隊が、操船を掌握し、ジョン・ハワードが、状況や結果にかかわらず、彼の政府に将来タンパ号や同様に歓迎されないあらゆる船を排除する権限を与える遡及法を導入して、終わった。」

 頭のてっぺんから、つま先まで黒ずくめの武装特殊部隊による船襲撃のナザリの記述は背筋が寒くなるようだ。惨めな難民は確実に何も持っていなかったのだから、この連中が武器を所持する必要性は全くなかった。これら威張って歩く軍の武骨者はタリバンの野蛮で怯えていた子供たちに死の恐怖を与えた。ハワード首相の身勝手な再選策略によって難民の精神衛生がどの程度まで打撃を与えられたか評価する方法が我々にはないが、影響を受けていない一人は、拘留条件が恐ろしい、オーストラリアの3000マイル北東、オーストラリアが運営するナウル島の難民強制収容所には入れられずに、七歳で、彼の家族とニュージーランドに受け入れられるほど幸運だったアッバス・ナザリだった。( あるアムネスティー・インターナショナル代表は「過去15年にわたり世界の紛争地域の大半で働いて、私は苦しみや不正と絶望については十分学んだと思っていた。だが私がナウルで見て、聞いたことは私に永久につきまとうだろう。」と述べた。)

 フルブライト奨学生に選ばれたことを含め、生まれつきの知性と、全くの努力を通して達成されたナザリの個人的成功は、驚くべきで、最も喜ばしいが、「経済移民」だと断言して難民の亡命を否定する決意が固いイギリスのプリティ・パテルが注意を向けるべき業績だ。

 さらにもう一つのパテルの皮肉は、ノーベル賞や他の受賞者をイギリスに定住して、経済に貢献するよう引きつけるイギリス政府計画が、彼女の「点数を基準にする」入国管理規則が「彼らがどこから来たかではなく、彼らが持っている技能と才能に基づいて最も優秀で才能のある人々を引き付ける」よう意図されているというパテルの宣言にもかかわらず、一人の志願者も申し出ず、完全に失敗していたのが11月23日判明したことだ。

 パテルやオーストラリア、ベラルーシやポーランド(そして実に多数の他の国々の)彼女の最も優秀で才能のある同僚は、故国から追い出された何千万人もの貧窮し絶望している難民のために深い思いやりのかけらもないのだ。

 2017年5月、パテルがテリーザ首相に辞任を強いられた際、彼女は自分の行動が「大臣に期待される高い標準以下だった」ことを認めた。一度だけ彼女を信じることができたが、彼女やジョンソン首相など、世界中の他の実に多くの、冷酷で、よこしまな、権力狂のいじめっ子連中のおかげで、品位や道徳や人間性さえ欠いた連中が率いる政府の政策を次世代が受け入れる危険が高まっている.

 Brian Cloughleyは外交政策と軍事について書いている。彼はフランスのVoutenay sur Cureに住んでいる。

記事原文のurl:https://www.counterpunch.org/2021/12/03/let-them-drown-let-them-freeze-to-death-just-keep-them-out/

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 内閣官房参与が辞任の意向固める 

 「学術会議任命拒否を撤回!」というニュースだったら嬉しく祝酒を飲むところだが。このニュースは、水一杯がうまい程度?

 「全員、いい大人なんだから」? 小生、東京都民として、大阪の人々を笑う資格はないが、こういう宴会に出たいとも思わない。

 日刊ゲンダイDIGITAL

松井大阪市長が維新議員30人と大宴会! スクープ発覚前に慌てて“火消し”の呆れた言い訳

 

2021年8月16日 (月)

アフガニスタンでのアメリカ敗北はソ連の失敗より酷い。これがどのように起きたのか?

ポール・ロビンソン
2021年8月13日
Information Clearing House

 アフガニスタンで衰えつつあるアメリカ駐留部隊最後の兵士が荷物をまとめて出て行く中、30年以上前、この国からのソ連撤退を思わせるものがある。だが、実はワシントンの敗北は遥かに深刻なのだ。

 1979年12月、アフガニスタンで政権の座にある不人気なアフガニスタン人民民主党(PDPA)政権を支援するため、ソ連軍がアフガニスタンに入った。彼らは間もなく、ムジャーヒディーン・ゲリラに対する血まみれの戦争の泥沼にはまっているのに気がついた。

 9年後、ソ連は十分に流血したと判断し、1988年5月に撤退を始めた。ソビエト軍最後の分遣隊は翌年2月、橋を渡って、ソビエト社会主義共和国連邦に帰還した。

 12年後、アメリカ軍がタリバンと戦うため到着した。他のNATO諸国の軍隊がそれに続いた。彼らは共に、ソ連より長く駐留したが、今や撤退しつつある。ジョー・バイデン大統領は、アメリカ軍は、8月末までにアフガニスタンを撤退すると約束した。

 アメリカが、その最長の戦争から撤退を完了する中、敵は進撃中だ。これまでの一週間で、タリバンは、いずれも木曜日に陥落した二番目と三番目の大都市、カンダハルとヘラートを含め、アフガニスタンの34州の首都のうち12を攻略した。

 タリバン前進の勢いは注目に値する。一部の場所では、政府軍は戦いせずに逃走した。ガズニ州知事は、その地域からの自由な脱出と引き換えに、彼の都市を放棄したと言われている。アメリカに訓練された政府軍は逃げたり、一団となって脱走したり、ある場合には、タリバンに寝返った。それは総崩れだと言って良かろうが、アメリカ軍は、まだ完全に去っていない。政府は首都カブールを固持するのは可能かもしれないが、それすら、もう確実ではない。

 要するに、アフガニスタンでのアメリカとNATOの20年戦争は不名誉な失敗で終わったのだ。丸ごと絶対に。もちろんソ連も戦争に破れたが、それほど出し抜けではなかった。

 最後のソ連部隊が、アフガニスタンとウズベク・ソビエト社会主義共和国を結びつける友好橋を渡った後、ムジャーヒディーンは手っ取り早く政府軍を打倒することが可能だと確信し、大攻撃を開始した。彼らの攻勢は完全に失敗した。アフガニスタン軍は一歩も引かず、主要人口集中地区の一つも敵の手に落ちなかった。アフガニスタン人民民主党(PDPA)体制が最終的に倒れたのは、二年後、ボリス・エリツィンのソ連後のロシア政府がアフガニスタンに資金力を止めた時のことだった。

 これまでの一週間に起きたこととの対比は、これ以上明白になり得ない。ソ連が去った後でさえ、彼らが訓練し、武装させた軍隊は、激しく成功裏に戦った。現在、アメリカと同盟国が何千億ドルもの経費で訓練し、武装させた軍隊は、ごく僅かな抵抗の努力だけで四方八方に散ったのだ。

 だが公正のために言えば、問題は、軍事演習や機関銃の木箱ではない。現在のアフガニスタン軍には、両方ともたっぷりある。彼らはタリバンに数で勝り、補給はより豊富だ。問題は士気だ。簡単に言えば、彼らの多くが政府に命を捧げたいと思っていないのだ。

 アフガニスタン人民民主党(PDPA)には、収賄や、無能さや、党派的内輪もめやに対する当然の悪評や、宗教や私企業に対するマルクス主義攻撃など、アフガニスタン国民を遠ざけた、独断的、反生産的政策があった。一方、アフガニスタン人民民主党(PDPA)の敵、タリバンの先駆者ムジャーヒディーンは、先進的なスティンガー・ミサイル供給の約束を含め、アメリカの大規模支援を享受していた。

 ソ連に支援された政府の方が、現政府より良く戦った事実には、従って一つしか説明しようがない。アフガニスタン人は、社会主義PDPAに配慮したほど、現在の支配者に配慮していないのだ。それは重要なことを物語っている。

 そこで、アメリカとNATOが、なぜカーブルでそれほど長い間政権を支援して過ごしたのか、カーブル政権がなぜそれほど嫌われるようになったかの疑問が生じる。

 最初の疑問への答えは、主に威信だ。現政権を据えた欧米諸国は、彼らの評判は、その存続に結びついていると感じて、支える価値がないことが明確になった時でさえ、それを放棄することを拒否したのだ。

 二つ目の疑問への答えは、現政府のひどさの多くが、欧米諸国に追求された政策によるものだということだ。

 1992年にナジブラが打倒された後、アフガニスタンでは、麻薬密売軍閥指導者が権力を求めて戦い、アフガニスタン国民にあらゆる種類の残虐行為を行った邪悪な内戦を経験した。タリバンは、残忍ながら、買収されずに公正を実施して出現すると、多くのアフガニスタン人が安堵のため息をついて、彼ら支持した。

 周知の通り、カナダ人将軍リック・ヒラーは、タリバンは「忌まわしい殺人犯で人間のくず」だと述べている。彼が言い損ねたのは、タリバンの敵は、時々に、もっと酷いことだった。アメリカと同盟諸国が、アフガニスタンに侵攻した際、これらの敵は故郷に戻り、今回は欧米列強の支持を得て、連中の犯罪的な手口をを再開したのだ。予想通り、現地の人は、さほど感銘しなかった。

 その後、欧米列強はアフガニスタンに湯水のように金を注ぎ込んだ。適切な管理がない貧しい国に現金を注げば、結果は大規模収賄だ。アフガニスタンはそうなった。

 単にこれは政府の権威を失墜させただけでなく、支援金の多くがタリバンの手中に流れた。アフガニスタンでアメリカ出費の会計監査責任を負う米国当局者ジョン・ソプコが言う通り「アフガニスタンでのアメリカ・サプライチェーンの最後はタリバンだ」。誰がタリバンを武装させ、支払ったか知りたいと望むなら、答えはアメリカがそうしたのだ。

 ソ連はイデオロギーと人的資源で戦争の流れを変えられると考えていた。欧米は、金と資源を注ぎ込むことで、アフガニスタンで勝てると想像した。だがナポレオンが言った通り「戦争において、士気と身体能力の比は三対一だ」。今週のアフガニスタンでの出来事が、この要点を証明している。

 ポール・ロビンソンはオタワ大学のロシアとソ連史教授、軍の歴史と軍の倫理について書いており、Irrussianalityブログの著者。

記事原文のurl:http://www.informationclearinghouse.info/56715.htm

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 この記事を訳した日

  アフガニスタン反政府武装勢力 タリバン勝利宣言 大統領は出国

 昨日の記事に下記リンクを貼り損ねた。昨日昼はNHK BSで、当時フィリピンで暮らしておられた方々や、特攻隊の方々のドキュメンタリーを見ていた。

 植草一秀の『知られざる真実』 8月15日は「無条件降伏広報の日」

 今回記事のコメント欄に「この記事は極めて偏っている。ソ連軍は侵略したのではなく、ナジブラ政権に招請されたのだ。等々。」という趣旨の投稿がある。念の為コピーしておく。

This article is heavily biassed.
A few points:
the USSR was invited into Afghanistan by its leader, Mohammad
Najibullah, it was NOT an invasion;
the Afghan government was being attacked by Takfiri fanatics at the
instigation of the USA;
the CIA's Osama bin Laden played a crucial role, as did Saudi Arabia and
Pakistan, in recruiting, training, arming and financing these fanatics
that eventully morphed into al Ciada;
it was a plan to give the USSR its own 'Vietnam';
CORRUPTION was and is endemic in Afghanistan, as it is throughout the
world: like GREED it is part of human nature;
Afghanistan was part of the US anti-communist drive so that it could
become sole hegemon a-la-PNAC.
It failed.

 下記ビデオを見ていて小林多喜二殺害を思い出した。入管は成り立ちとして、特高の末裔なのだ。ウイシュマさんは多喜二を殺害した組織、特高に殺されたも同然と納得。中国のウイグル問題を批判する資格があるのだろうかとビデオを見て思う。2時間もあるが、強制収容所官僚の自己弁護説明はともあれ、議員、弁護士、ご遺族やフロアの皆様の真摯な質問と特高「いい加減な回答」部分は必見。

 IWJの記事から映像は見られる。

立憲民主党・石橋通宏参議院議員が怒る!「『因果関係わかりません、責任もわかりません。でも、改善します』って、それで改善できるわけがない!」~8.13第28回 難民問題に関する議員懇談会 総会 2021.8.13

 映像 2021.8.13 第28回 難民問題に関する議員懇談会 総会

 あらためて、IWJの入管問題関係インタビューの数を数えてみた。何と34本。

 以前拝見した岩上氏の山添拓参議院議員インタビューを、再度拝聴した。

暴力・虐待・死亡例が相次ぐ日本の入管は、現代のアウシュビッツか!? 世論の広がりで入管難民法改悪案を廃案に追いこんだ! 次は国民投票法を廃案に! 〜5.22岩上安身によるインタビュー 第1041回 ゲスト 日本共産党・山添拓参議院議員 2021.5.22

 アメと鞭?この死の収容所、外国人労働者を都合よく使い捨てにする技能実習生制度を支えている。

 下記も、お二人による、以前のもので、長い(2時間14分)が必見。怒りがこみあげてくる。

ダースレイダー x 安田浩一 日本の入管問題を考える

2020年3月22日 (日)

Covid-19がトルコを攻撃する中、難民でEUを攻撃するエルドアン大統領

2020年3月20日
ジム・ディーン
New Eastern Outlook

私を国を専制政治に捧げた人物として歴史が記録するのを望まない
   トルコ初代大統領 ムスタファ・ケマル・アタチュルク

 エルドアンのイドリブ戦争は、彼が勝てない、EUとの新しい戦争へと変形した。彼の狂気には秩序があるのだろうか? 一つの場所で事態が落ち着くとすぐ、彼は他の場所で戦いを仕掛けるから、私は問うているのだ。彼の代理テロ勢力を支援する上空掩護は抜きで、イドリブに伝統的な軍事侵略を進めながら、ジハード傭兵部隊をリビアに派兵した。

 私が見た最後の話は、これら傭兵は、トリポリの石油施設を防衛する仕事を与えられた、5000人という信じ難い人数だった。だがそれから一週間内に、ベンガジ郊外での戦闘で、彼らは、既にハフタル部隊に殺害されたという、確認済みの報道があった。

 この勢力は、ヨーロッパの他の全員の海底石油・ガスパイプラインを阻止する地中海経済水域をリビアと共有する協定を目指すエルドアンの狙いの一環だったと疑われている。

 トルコの恫喝にもかかわらず、ニコス・アナスタシアディス大統領は自身の試掘を止めるのを拒否しているので、キプロス-トルコ紛争は継続する。彼はキプロスを再併合し、あらゆる石油資源を共有したいと望んでいるが、今エルドアンは、提携・共有モードにあるように思えない。結局、これは、元々シリアだったが、第一次世界大戦後、フランスの好意で、ハタイ県とされたのと同様、イドリブが最終的にトルコに吸収されるのを望んでいる、まさに同じ人物なのだ。

「主権や「私は国際法に違反しているが、我々が対話できるよう、お返しに、お前は主権を断念しなくてはならない」というような前提条件の論争は、好意や誠意ではありません」と国際的に認められているキプロス政府のアナスタシアディス大統領は述べた。

 アナスタシアディスがキプロスの経済主権を放棄するよう望むエルドアンと、制裁緩和の議論を始める前に、北朝鮮が完全非核化するよう望むトランプは「瓜二つ」に見える。

 トランプが「完全非核化」の前提条件に言及するのを最初に聞いた際、トランプには決して金正恩と取り引きをするつもりはなく、金は決してトランプのぐらつく約束で、核抑止力を断念することはあるまいと、私はVeterans Todayで主張した。世界中の誰も、それほど愚かではあるまい。

 北朝鮮問題は、見せ掛けの交渉で、トランプが国際メディアで「取り引きの王様」だという山のような報道を生み出せると知っていて、国連演壇での「ロケット・マン」蔑称を含め、あらゆる芝居じみた言動で、トランプの言葉を借りれば、初日から「偽りの交渉」だった。トランプは確かに有能な芸人だと言えるが、それは、どちらの側も切れるので、大統領にとって、もろ刃の剣だ。

 エルドアンは芸人たろうとしているが、彼は芸人ではない。彼は舞台に登場するのが好きだが、好感を持たれないのだ。彼はクーデター未遂後、確かに感じのいい人ではなく、彼らがテロを支持していたと主張し、実際のクーデターネットワークを一斉検挙しながら、あらゆる反政府報道機関を打ちのめすことに決めた。これが、彼が議会を乗っ取り、政治的敵対勢力を叩き潰す権力を与える新法を通過させるのを可能にした。

 VTは、ある日姿を消して、三カ月報道していたトルコ人記者を失った。数年後、我々のシリア人記者が、ダマスカスから気分転換のため、トルコを訪問し、野党と話しする許し難い罪を犯した。「尋問のための」彼女の二度目の逮捕で、二日目に、テロ行為の罪状を負わされ、外国人刑務所に移された。我々は国際ネットワークに、全員総力を挙げるよう呼びかけ、このような出来事のため保持していたファイルのおかげで、24時間以内に、彼女はダマスカスに戻る飛行機に搭乗した。

 エルドアンはS- 400とパトリオットを欲しがっている

 エルドアンは緊急事態のふりをしているが、このような移送は何カ月も兵站計画が必要なのだから、愚かな、パトリオット・ミサイル要求に素早く対応しないアメリカに、トルコは、拒絶されたように感じたのだ。

 トルコ軍機が、トルコ領空から、シリアやロシア軍機にミサイルを発射しない限り、シリアやロシア空軍による空爆が本当に可能だと彼が思っているとは誰も信じなかった。

 NATOも、エルドアンの代理軍隊の一つになるのを拒否した。トランプは遅ればせながら、印ばかりに、多少の軍需品を提供した。それはエルドアンが、EUと彼の仇敵ギリシャに対し、難民を兵器として使用した時だった。

 EUが難民支援のため60億ドルを約束したが、まだ支払っていないという彼の非難、大部分の人が、全く支払われていないと解釈した信じ難い声明を我々は聞いた。それはEUが送っていた難民金が、エルドアンの政治的なお仲間連中によって、関与するあらゆる取り引きからかすめるため盗まれていたのを知ったことに関係があるかもしれない。

 トルコのシリア国境沿いの、どんな難民キャンプについても、現地のEUの人々による映像や書かれた報道を見ていないことに私はいつも驚いている。それはトルコにとって重荷だと我々全員同情できるが、それら難民の多くが、シリアで戦うテロリストや好戦的代理集団の家族だった。彼らは決して飢えてはいなかった。

 これは、ISISが盗んだシリア石油の全てを市場に出し、月面上の誰でも、趣味の望遠鏡で見られたはずのイラク砂漠を横断する石油タンクローリー大車列を通して、ISISへの資金供給を支援した、まさに同じトルコだ。エルドアンの子分連中は、アレッポの物理的略奪に参加し、この都市のあらゆる工場から、あらゆる機械部品を取り去り、長さ20キロのトラック車列で、それをトルコに持ち帰った。

 これまでの一週間、難民をエルドアンの地政学的砲弾の餌食に転換し、シリア停戦後、彼は、何千人も、ギリシャ国境に向かって送った。ビデオ映像では、私は何も見ていないが、ニュースは、多くのアフガニスタン人やアフリカ人を報じている。

 最初の数日、子供連れの女性をみかけたが、以来全く見ていない。ニュースは、ギリシャが群衆の殺到を阻止していたキャンプに戻ったが、大半の難民が、大部分、若いか、兵役年齢の男性で、余りに多くの人々が、防寒具バックパックさえ背負っていなかった。彼らは水のボトルや、私が見える食料さえ持っていなかった。

 エルドアンの連中が、プロパガンダ目的で録画する上で経験があるビデオを作成するため、予備役将校訓練団の若者や、若い新兵が難民役を演じているのではと疑問に思った。侵入できないため、難民は、それが彼らの仕事で、国境を守っているギリシャ国境警備兵に挑戦したが、ギリシャ国境警備兵はうまく対処した。

 夜に国境警備兵に対し、火炎瓶を使う若者たちのビデオを見たが、物資は、明らかにより劇的にしようと、トルコ当局が彼らに供給していた。だがギリシャは国境を保持したので、エルドアンの失敗だ。

 「難民」がギリシャ柵の穴を壊す取り組みへの支援で、エルドアンは、トルコ国境警備兵と若干の特殊部隊を配備した。トルコ側から、ギリシャ国境警備兵に催涙ガスを発射する制服を着た男性やゴム弾らしき火を吹く若干の近代的歩兵兵器のビデオを見たが、ギリシャは自制を維持した。私はヨーロッパの多くも、この全てを見たと確信している。

 芝居じみた国境での衝突が、EUにエルドアンと会う代表団を送るよう強いて、EUは、親のいない1500人の子供だけ受け入れることに同意した。

 この全てが続く中、Covid-19ウイルスは歩行者のために速度を落とさず、道路を疾走した。エルドアンの策略が、ひどいタイミングだったと言うのは控えめな表現だ。いつもは手の内をみせないメルケルが、昨日、ドイツは今後一、二年にわたり、ウイルスに感染する70%の国民のために準備する必要があると述べて、表舞台に出た。

 この世界的大流行と、それに伴って起きるだろう経済破壊が降りかかる中、EU諸国が、難民の洪水を受け入れると皆様がお考えなら、それは幻覚だと私は思う。Covid-19は今トルコに上陸し、エルドアンは他の様々な戦線に加え、国内でも対処すべき戦線を抱えることになる。彼は余りに手を広げすぎたのかもしれないと私は思う。

 ジム・W・ディーンは、ベテランズ・トゥデイ編集長、TVアトランタの文化・環境的遺産のプロデューサー/ホスト。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/03/20/erdogan-attacks-eu-with-refugees-as-covid-19-hits-turkey/

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 忖度専門家会議は19日夜「いわゆる孤発例が増加している地域がある。孤発例が増えていくということは、感染実態を必ずしもつかめていないということを意味する。こういうことが続くと、爆発的患者急増(オーバーシュート)につながりかねない」(尾身茂副座長)

 大本営広報部は、日本語で爆発的患者急増といわずに、揃って、オーバーシュート。忖度速記者集団。

 朝の国営放送、たまたま見たら、忖度専門委員会の先生がコロナウイルス対策を講じていたので、すぐ切り換えた。

 彼よりも、軍事評論家の田岡氏の話の方が、興味津々。「中国が隠蔽した説」への反論。

終わらせないぞ「森友」終わらないぞ「コロナ」

 何年か前、渡良瀬遊水池ヨシ焼きを見に行ったことがある。久しぶりに見に行きたいと思っていたが「この度の新型コロナウィルスの感染拡大を防止するため、今年のヨシ焼き見学は自粛くださるよう皆様のご協力をお願いいたします。」とあった。見物できたらなあ、と思える素晴らしい天気だった。テレビでヨシ焼きの様子が映ったが、遊水池入り口らしき場所、閉められていた。

 <新型コロナ>集団感染「3条件」のどれにも該当しないだろう。

  1. 密閉空間であり、換気が悪い。
  2. 手の届く距離に多くの人
  3. 近距離での会話や発声がある。

 一方、3条件が重なる、K-1、さいたまスーパーアリーナで開催されるという。見に行く勇気はない。

格闘技K-1の巨大イベントが、明日開催決行!! この時期に世界の常識を打ち破る愚挙!? 観客1万人がコロナのステルス・キラーになる可能性!? 2020.3.21

2019年7月27日 (土)

なぜ反移民論は全くの偽善なのか?

2019年7月12日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook

 我々は、ほぼ毎日、ヨーロッパでの移民賛成策を標的にした不満の爆発について読まされる。抗議や暴動さえある。報道によれば、ヨーロッパ人が「緩和された移住規制にうんざりした」がゆえに、右翼政権が選出されている。

 我々は、そう聞かされる。それが、我々が理解し、共鳴さえすべきものなのだ。反移民感情は、世界に対し「ブリュッセルや、そのエリートから独立を獲得する」というヨーロッパ人の願望と同義のものだと宣伝さえされている。右翼で、往々にして人種差別的で、甘やかされた利己的なプロレタリアは、多くの人々に、進歩的情熱を持った、辛抱強い、良く働く人々の集団として描かれている。

 遠くから見ると、このような主張は法外で、侮辱的でさえある。少なくとも長い歴史で既に生命を失った何十億人もの人々にとって。ヨーロッパと北アメリカの拡張主義による大量虐殺の被害者にとって。今日まで、母国が破壊され、生計が破壊され、政治意志が侵害され、結局、自由で無条件な入国が拒否された人々にとって。まさに世界のあらゆる所で、恐怖と破壊を広めながら、あらゆる国際法を破り続けている国々への入国を。

***

 このエッセイでは、できるだけ具体的にしたい。簡潔にしたい。

 最初に、全てのアフリカ人、全てのアジア人、中東の全ての人々と全てのラテンアメリカ人(とにかく、この「ラテン」と「アメリカ」という名は何と倒錯的なことか)はヨーロッパと北アメリカに自由に入国可能にすべきだと私は宣言する。更に彼や彼女は、欧米人が享受しているあらゆる良いものを無料で享受し、望むだけの期間留まるのを許されるべきだ。

 以下はこの声明を裏付けるいくつかの(全てではない)基本的な道義的、論理的主張だ。

 第一に、ヨーロッパと北アメリカは、そこに住む人々のものではない。ヨーロッパと北アメリカは、地球のあらゆる場所の人々のものだ。いわゆる欧米を築くため、近代と、近代とは呼べない時代に(友人の国連統計学者たちによれば累積で)ほぼ10億人が死ななければならなかった。劇場、学校、病院、公園、鉄道、工場や博物館など事実上全てが、文字通り、征服された民族の骨と血の上に作られたのだ。現在に至るまで、本当に何も余り変わっていない。ヨーロッパ、後に北アメリカが、地球のほぼ全てを侵略した。彼らは略奪し、殺し、奴隷にし、拷問した。彼らは世界から全てを奪い、宗教と彼らの国を略奪し続けている卑屈で鼻持ちならない一群の「エリート」以外、何もお返ししなかった。ヨーロッパと北アメリカは付けで築かれたのだが、今この付けの支払期日がきているのだ。

 第二に、西洋文化は、全く競合相手のない地球上最も強暴な文明だ。繰り返そう、全く競合相手がいないのだ。西洋文化は、何十億人を軽く越える人命の損失なしには、軍事的に打ち破ることができない。だから更なる世界的悲劇の規模を小さくする唯一の可能性は、人種や文化的な優越性という欧米原理主義文化を「薄める」ことだ。ロンドンやニューヨークのような都市で、欧米人が今少数派になっている事実が、イギリスとアメリカ合州国が、恐ろしい犯罪を行い、攻撃し、外国を略奪するの完全に止めるわけではない。だが、もしヨーロッパと北アメリカが均質のままでいれば、自由な独立国家は、世界のどこにも、ほとんど残るまい。欧米への移民は、少なくともある程度、世界を救うのに役立っている。第一世代や、最も古い世代の移民が、少なくとも、ある程度、非西洋人の声に耳を傾けるよう要求するのだ。

 更に、もちろん、これは良く知られている主張だ。イラクやリビア、ベネズエラ、イランやシリアなど、かつて豊かだった国々の人々がなぜ移住を強いられるのかという唯一の理由は、彼らの国が石器時代に戻るよう爆弾を投下されたり、加虐的な制裁によって破壊されたりしたためだ。なぜだろう? そうすれば政府が変わるだろうし、天然資源からの利益は、国民ではなく、欧米企業のためになる。もちろん「ドミノ効果」を防ぐためでもある。欧米は「ドミノ効果」の考えを憎悪している。つまり、そうした国々の国民生活を改善する決意が強い共産党員や社会主義者や革新政府の、地域的、世界的影響力を。欧米は、偉大な英雄や、聡明な思索家ではなく、従順な、おびえた奴隷を必要としているのだ! 不幸な国々のごく一例をあげれば「ドミノ効果」を止めるため、1965年のインドネシア・クーデターや、インドシナ(ベトナム、ラオスとカンボジア)で、コンゴ民主共和国で、イラクで何百万人もが死ななければならなかった。もし、あなたが、豊かで、社会的に均衡が維持された国に行って、自分と自国民の繁栄のために、そこから全てを奪い、政府を打倒し、「破綻国家」におとしめた場合、その国の一部の人々が、あなたが盗んだ資源の後について来ようと決めた場合、あなたは衝撃を受けるだろうか。つまり、あなたの国への移民になろうと決めたら。

 この一連の論理を欧米の人々が追えない理由は、彼らが徹底的に無知だからに過ぎない。何十年も何世紀も、一生懸命無知のなままでいようとしてきたのだ。無知を主張すれば行動しなくても良い。代償を払わずに略奪品を享受できるのだ。実に単純ではないか?

***

 イギリスやハンガリーやギリシャやフランスやイタリアや他のEU加盟国の右翼有権者は、本当に見えないのか、道徳的に余りに頽廃していて現実が分からないのだろうか?

 彼らは、もう一世紀か二世紀「ただ乗り」するつもりなのだろうか?

 ヨーロッパの学校では歴史を教えているのだろうか? 私は疑問に思う。もし教えているのであれば、どんな種類の歴史だろう? 国際連合で働いているスペイン人の友人たちの何人かが、スペインが中南米で行った残酷行為について全く何も知らないのを知って私はショックを受けた。あるいは今のブラジルやカーボベルデででのポルトガル。

 今、北部同盟(そう彼らが好んで言いたがる「反体制」)が、しっかり政権に入っているイタリアは、(主にフランスと他のEU諸国に破壊された)リビアや他の打ちのめされたアフリカ諸国から航海してくる「ポートピープル」がイタリア海岸に着くのを助ける人々を違法にしている。善良な「労働者たちは」、何百人も何千人もの人々が既にそうなったように、難民には地中海の真ん中で沈んで欲しいのだ。この反移住言説は実際「勇敢」で、「反体制」として称賛されている。ヨーロッパ文化は、いかに酷く、低劣であり続けるのだろう。ヨーロッパ文化は、常に極端に強暴で攻撃的だったが、今やそれは浅薄で、非論理的で、狂信的だ。それは、もはや人種差別ではない。それを遥かに超えている。それは超人種差別的で、法外に利己的だ。彼らは「原理主義者」で、ISISやヌスラ戦線のような連中の「論理」に見られるものと変わらないと私はしばしば書いている。

 アメリカ合衆国で状況は遥かに悪い。メキシコ国境の壁? 自分の歴史を勉強していただきたい! アメリカは拡張主義戦争を通して、メキシコの半分にドロボウに入った。不法に国境を越えている移民の大部分が、実際はメキシコ人(メキシコは、あらゆる社会問題を抱えてはいても、OECD国だ)ではなく、貧困に陥った中米諸国からだ。これらの国はなぜ貧困に陥っているのだろう? 彼らが国民のために機能する用意がある革新政府を民主的に選出すると、アメリカは常に、即座にファシストの独裁的「モンロー主義」を適用し、政府を打倒し、右翼暗殺団を送り込み、民営化を強制し、イナゴの大群のように国から全てを奪い去るのだ。グアテマラ、サルバドール、ホンジュラスやドミニカ共和国の人々には、アメリカへの略奪品の後について、そのすぐそばで居を構える完全な権利がないのだろうか?

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 欧米の教義は単純で、同時に全く非合理的だ。それは定義されていないが、定義されるとすれば、このようなものだろう。「我々は、どこであれ選んだ場所を攻撃し、強盗し、移住することができる。なぜなら我々は、白人で、キリスト教で、誰よりも優れた文化と、武器を持っているのだから。他には何も理由はないが、これで十分なのだ。他の連中は、はるか遠くで、近寄らないようにしていなければならない。さもないと! もし彼らが服従しなければ、彼らはイタリア人に沈められ、ギリシャ人に外海で、ゴムホースで打ちすえられるだろう。壁が作られ、もし難民が南から北アメリカへ越えようとするなら、人々は、今行われているように、不快な収容所に集結させられる。」

 おお、北アメリカ、主としてヨーロッパ人の一世だが、二世や他の世代が、先住民族をけもののように、追い詰めて捕まえた場所。ファースト・ネーション、北米先住民族の大多数が恐ろしい死を遂げた場所。アメリカ合衆国とカナダで、先住民族が、しばしば、今日に至るまで、全くの貧困で暮らすことを強いられる場所。北アメリカ、しかしオーストラリアも、同じ文化、同じパターン、同じ「論理」だ。

 そして、先住民族を虐殺した後、何が次におきただろう? 「新しい世界」を築くために、ヨーロッパ人によって奴隷として連れて来られた鎖につながれた何百万というアフリカ人。拷問にかけられ、尊厳を奪われた男性たち。毎日、女性たちは畑に縛りつけられ、白人プランテーション所有者によって、レイプされた。民主主義。自由。欧米風。

 合衆国のような「国」が、一体誰がその国境を越えるべきか、一体誰をその領土に定住させるべきか決める道義的権利を持っているのだろうか?

 私はそう思わない。あなたはそう思われるだろうか?

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 全く違う状態があり得る。ソ連時代のロシアをご覧願いたい。決して中央アジアの共和国を占領しなかった。彼らは自発的に参加したのであり、ウズベキスタンやキルギスタンで人々に話をすれば、大多数が、再び、楽しくロシアに加入するというだろう。ほとんど全員がソ連を郷愁的に感じている。

 ソビエト社会主義共和国連邦時代、モスクワはタジキスタンやキルギスタンの生活水準がロシアとほぼ同じになるようにしていた。ロシアは強奪するのでなく、大量の助成金と国際主義で支持した。

 それから、ソ連が、外部勢力(欧米との軍備競争と、欧米プロパガンダ)によって破壊された後、国はいくつかの独立国家に分裂した。そして移民の流れが始まったのだ。

 ロシアは決して国境を閉鎖しなかった。(ワシントンに不安定化された)中央アジアから、今や裕福なロシアまでの旅行は容易だ。旧ソビエト共和国から何百万という人々がロシア連邦中の至る所で楽しく働いている。そしてロシア国家は彼らに対する「道義的責任」はない。この全ては実際、常識、共有した歴史と価値観への敬意と普通の人間の優しさなのだ。

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 一部の人々は言うだろう、欧米がしたことは、全てずっと昔に起きたのだ。だが、違う、そうではない。それは今も、まさに今、起きているのだ。

 もちろん、もしあなたがどこかのパブかロンドンのクラブで、ぼーっとしているなら、あるいは、パリで豪華なカフェに座っているなら、あなたは決してそう思うまい。あなたが望んでいるのは、邪魔をされずに、快いヨーロッパの生活を送ることだ。何億という被害者の骨と血の上に形成された生活。

 巨大な、超金持ちのヨーロッパは、破壊された中東から流れ出る数百万人の人々さえ受け入れることができないのだろうか? 本当に? ごく小さなレバノンは、いわゆる「シリア危機」の絶頂で、200万人の難民流入から生き残ることに成功した。犯罪率は急上昇せず、国は崩壊しなかった。なぜかご存じだろうか? なぜならレバノンの人々には心と品位があるから。欧米にはその種の性格は皆無だが。

 もし強盗して、人を殺したがゆえに、あなたの家族が金持ちになったなら、あなたは強奪品を返そうと望むだろうか? あなたはご自分の親や兄弟が拷問にかけ、略奪した人たちのために、ドアを開けるだろうか? 一部の人はそうするだろう。状況を理解した後、彼らはそうするだろう。だが欧米はそうではない。欧米は奪うだけだ。欧米は決して与えない。欧米は与える人々を憎む。欧米はあらゆるまともな国を中傷し、攻撃さえする。

 恐怖は、灰と化された国で、中国やロシア、旧ソ連邦中央アジア共和国、イランやパキスタンに潜入し、損害を与える準備ができている原理主義者の訓練基地にされた、打ちのめされたアフガニスタンで、いまだにおきている。私はそこで働き、私は知っている。あるいはシリア。私はそこでも働く。あるいは地球上の私の大好きな国の一つ、ベネズエラ。そしてリストは延々と続く。

 イギリス、フランス、イタリア、北アメリカ、ギリシャの、恩恵だけを欲し、自国政権が全世界で犯している世界的大量虐殺に気付かないままでいると決めている有権者の独善的な偽善の噴出を読むのを私はもう耐えられない。

 これらの人々は、誰が彼らの福祉に対して支払うか、あるいは彼らに特典を与えて、一体何百万人が死ぬかに、全く何の関心もない。

 彼らはさらに多くを欲する。彼らは常に「彼らはなんと貧しく、搾取されているのだろ!」と不平を言う。彼らは新植民地主義を止めることを望まない。彼らは自身のため、より多くの金と生活条件改善を切望するだけだ。「我々は全て人間だ」と彼らは言う。「我々はすべて被害者だ」。それから彼らは最右翼を選出し「難民」が締め出されるよう要求する。

 彼らは血塗られた手の持ち主だ。彼らの大部分が被害者ではなく虐待者だ。彼らは国際主義者ではない。単なるミニ帝国主義者、彼らの文化、植民地政策の利己的産物だ。

 何世紀もの間打ちのめされてきた世界のために、欧米は扉を開かなければならない。

 「外の」一部の人々は、欧米が繁栄できるように文字通り乞食に変えられたのだ。

 ロンドンやニューヨークの「政治的公正」は外部世界がどれぐらい素晴らしいかと言ってウソをつく。とんでもない! そうではない。その多くが貧しく、壊疽にかかり、非常に不快だ! むかつく。なぜなら、そのように作られたからだ。なぜなら、それは打ちすえられ、侵害され、何世紀間も強奪されたから。

 これらの人々、正真正銘の被害者は、たった二つだけ要求する。そっとしておかれ、自分の利益のみを追求するNGOや欧米の支配下にある国連政府機関なしで、欧米の軍事介入なしで、彼ら自身の国を作ることが可能になるように。それが一つだ。

 二つ目は、彼らが行きたい時に、盗まれた彼らの富があるところに行くことだ!

 彼らは受け入れられ、補償され、罪の許しを請われるか、それとも彼らの権利を行使して、門を壊すかのいずれかなのだ。

A Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書いている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/07/12/why-are-anti-migrant-arguments-in-the-e-u-u-s-pure-hypocrisy/

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 岩波新書『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』を読んだ。
 88ページにこういう文章がある。

事実、フランスなどの諸国を征服したのちのドイツの占領政策は、資源や工業製品の徴発、労働力の強制動員といった点を強調したものとなる。そのおかげで、ドイツ国民の生活は、戦時下であるにもかかわらず、一九四四年に戦争が急速に敗勢に傾くまで、相対的に高水準を維持していた。彼らは初期帝国主義的な収奪政策による利益を得ていることを知りながら、それを享受した「共犯者」だったのである。

 212ページにこういう文章がある。

つまり、ヒトラーに加担し、収奪戦争や絶滅戦争による利益を享受したドイツ国民は、いよいよ戦争の惨禍に直撃される事態になっても、抗戦を放棄するわけにはいかなくなっていたのである。

 いつも不思議に思うのが、労働者の不利益になる政策を支持する労働組合の存在。反労働組合だろう。核や軍需のような、国家に保護された産業で働いていると、そこでの比較的高水準な生活を享受するために、「共犯者」になるのだろうか?そうした組織の票に依存する政党に多くを期待するのは無理だろう。

日刊IWJガイド・土曜版「選挙後、突如『生まれ変わった』と言い出した国民民主党・玉木雄一郎代表が『憲法改正の議論を進めていきますし、安倍総理にもぶつけます』と衝撃発言!『改憲の議論を進めること』は、5野党・会派と市民連合との政策協定違反!!」 2019.7.27日号~No.2508号~(2019.7.27 8時00分)

 

2018年11月14日 (水)

大量移民がローマ帝国を破壊した。大量移民がアメリカ帝国を破壊するだろうか?

John Wight
公開日時: 2018年11月1日  15:16
RT

 移民キャラバン中米から北へ、アメリカに向かっているのは、古い世界は死につつあり、新たな闘争が生まれようとしていることの更なる証拠だ。

 古代世界から我々が学べることは多い。そして、中でも最も顕著な教訓の一つは、紛争や社会崩壊、および/あるいは極端な貧困の産物である大量移民は、最も強力な帝国も破壊できるということだ。

 その軍団が、古代世界に1000年間巨像のようにそびえ立ち、その偉大で、残酷で、最も有名な名前 - カエサル、ポンペイウス、アウグストゥス、ネロ、ハドリアヌス、ウェスパシアヌス、コンスタンティヌスなどが - 千年も過ぎたにもかかわらず、いまだに畏怖と驚嘆を引き起こすローマをお考え願いたい。

 その絶頂期に、イタリア半島から、遥々西ヨーロッパを越え、北アフリカや中東にまで広がるこの帝国が、歴史のページから消し去られる可能性があると主張するのは愚の骨頂だったはずだ。

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 それでも、当時西ローマ帝国として知られていたものが、とうとう帝国国境を侵入するのに成功した、ゲルマン民族で構成される蛮族による継続的な侵略の後、屈伏し、その究極的終焉に至り、西暦476年に歴史から消えたのだ。

 ローマ権力の象徴 - 帝国の式服、王冠と紫の外套は - 当時の帝国東半分の権力の座、コンスタンチノープル(イスタンブール)に送られた。それにより、経済的、軍事的権力にかかわらず、永久に続く帝国は無いことを裏付けて、数百年の歴史に幕が下りた。

 実際は、ローマの終焉は長い時間をかけて起きたのだ。奴隷と、みつぎ物と、略奪を基盤に運営される帝国の矛盾は余りに大きく、その克服が不可能になるのは不可避だった。ローマ支配の下で、富とその誇示が余りに法外なエリート層を、何百万人もが貧困と不潔の中で暮らして維持することは、次第に継続不能になった。

 ここまでで、趣旨はご理解戴けたのではあるまいか。

 強制と支配と超搾取を基盤にして動くあらゆる経済体制は抵抗を生み出す。それを維持するために、更なる権力が用いられることになるが、それも、更なる抵抗を引き起こすことしかできず、それとともに不安定化する。この不安定化が、自国民や他国民の大量移動を生じさせる。

  その初期段階に、今の増大する移民危機が、ゆっくりと徐々に、欧米覇権の基盤を少しずつ崩していることで明らかなように、これが要するに、ローマを終わらせたものだ。2015年にヨーロッパを襲い、今も未解決のままの難民危機は、中米からメキシコを通って、アメリカ国境に向かって現在行進している上記の移民キャラバンは好例だ。

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共和党と民主党が吠え、噛み合っても、移民キャラバンは進む

 ここで、ちょっと寄り道して、意識の高まりではなく、狂気の高まりを示す、陰謀論を信じる人々の増加を考えてみよう。

 移民キャラバンが、ソロスが資金を出している芸当、および/または、アメリカ中間選挙に先駆けての民主党の策略だという考え方は、非常識でなくとも無意味だ。アメリカの軍国主義や経済的支配ゆえに中米の人々が何世代にもわたって受けた苦難は、今も途方もないものであり続けている。だから、その犠牲者たちの活動を否定することは、彼らの尊厳を否定するのに等しい。

 移民キャラバンの発生源、ホンジュラスは、2009年、民主的に選ばれたマヌエル・セラヤの左翼政権打倒に成功したクーデターの現場だった。

 クーデターはジョージア州フォート・ベニングにある(2001年に西半球安全保障協力研究所と改名された)悪名高いアメリカ陸軍米州学校卒業生のロメオ・ヴァスケス・ヴェラスケス将軍に率いられていた。中米とラテンアメリカの何千人もの軍や治安部隊要員が、第二次世界大戦以来、そこで拷問や暗殺や鎮圧の訓練を受けてきた。

 アメリカ外交政策専門家のスティーヴン・ズィネス教授によれば、ホンジュラス・クーデターは、オバマの監督下、ヒラリー・クリントン国務長官時代に起き、“とてつもない弾圧と、ウナギ上りの殺人率から、安全を求めて何万人もが難民として逃れる結果になる”時期を導いたのだ。

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 クーデターへのワシントンの直接関与は主張しないようズィネス教授は配慮しているが、その後、ホンジュラスの正統な大統領の復帰要求がはっきり拒否された事実が、何世紀にもわたり、この暗澹たる地域の様々な国々を、完全子会社と見なしてきた方針に関し、我々が知るべきあらゆることを物語っている。

 それで、移民キャラバンが北に向かって進む中、ワシントンではドナルド・トランプ大統領が、5,000人の兵士を国境に配備しながら、侵略と呼んでいる。ホワイト・ハウスのあらゆる住人は、大昔から不正に居直っていたが、トランプを見ているとローマ人哲学者セネカの言葉が奇妙にもよみがえる。「強欲にとって、あらゆる自然は少なすぎる。」

 トランプのあらゆる策略を突き動かし、決定している富や権力や地位や名声を求める飽くなき欲望は、彼がその産物である、病んだ社会と文化的価値観の象徴なのだ。こうした価値観こそが、移民キャラバンの原因であり、、こうした価値観こそが、ローマが当時占領していた、現代の世界を占領している帝国の没落を、やがて引き起こすのだ。

 極めて大規模な国家的プロパガンダが、いくら全く逆の報道をしようとも、貧しい虐げられたアメリカ国民は、アメリカ支配階級と共有しているかも知れないものより、移民キャラバンに参加している人々と、遥かに多くを共有していることは否定できない。アメリカ大陸でも世界全体でも、彼らが置かれ続けている危うい状態が、解放に至らないよう、彼らが決して、この事実を理解しないよう仕組まれているのだ。

John Wightは、Independent、Morning Star、Huffington Post、Counterpunch、London Progressive Journalや、Foreign Policy Journalなど様々な新聞やウェブサイトに寄稿している。

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 本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/442864-american-empire-migrant-caravan/

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 コストである年金や健康保険負担は国民にかぶせ、恩恵だけかすめとる大企業短期的利益のため、移民門戸開放に暴走する、国民には支持されておらず、宗主国支配層に維持されている亡国政権。必然的に、中期的には、ヨーロッパやアメリカの状態に、長期的には、ローマの状態に至るだろう。宗主国とともに。

2018年7月 1日 (日)

ブロック存続のための努力で、イタリアや他の反移民政権に譲歩したEU支配層

公開日時: 2018年6月29日  14:24
編集日時: 2018年6月29日  16:27
Finian Cunningham
RT

 欧州連合メルトダウンという悲観的予測にもかかわらず、今週の指導者サミットは、厄介な移民問題対処で、妥協による合意をまとめるのに成功したように見える。

 とは言え“全員勝者”の微笑みの背後で、結局は、EUに、難民問題で、より強硬な政策をとるよう要求していたイタリアや他の政府が勝利したのは明らかだ。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相は“ヨーロッパの解決策”を称賛した。ブリュッセルでの二日間にわたるサミット議長をつとめた欧州理事会のドナルド・トゥスク議長も、明らかな合意が得られたことを歓迎した。

 マクロンとメルケルとトゥスクにとって、本当の懸念は、サミットで、加盟国間の本格的対立を生じることだったと憶測する向きもある。会談前、メルケルは、解決を見出すことが、EU存続の“運命を左右する”と警告した。EU懐疑派政府が対話に加わるかどうかさえ明らかではなく、28カ国が加盟するブロックが混乱状態になる恐れがあった。

 移民を巡る何らかの機能する仕組みをEUが考え出せなければ、メルケルは国内政治危機にも直面していたのだ。彼女の連立相手、バイエルンを本拠とするキリスト教社会同盟が、メルケルが他のEU加盟諸国に、共通の方法をまとめ上げさせられなければベルリン政権を離脱すると脅していたのだ。

 そこで結局、徹夜の“敵意に満ちた議論”後、EU指導者が“妥協”と“ヨーロッパの協力”を大いに称賛しているのは、実際は、ブロックが団結しているのに成功した安堵感なのだ。当面は。

 サミット合意の文章は曖昧だ。この目標がいかに、あるいは実際に、実施されるのかは、まだ分からない。その場合、EU加盟諸国間でくすぶっている緊張と亀裂が再度沸き上がるだろう。

 EUが、イタリアやオーストリアや他のポーランド、ハンガリー、チェコ共和国とスロバキアという、ヴィシェグラード4か国の反移民政権の要求の受け入れに動いたというのが目立った結果だ。これは、EU指導者が喧伝しているような“妥協”ではない。むしろ、EU懐疑派をなだめるための、ブリュッセル支配層とEU支持派政府による譲歩だったのだ。

 新人のイタリア・ジュゼッペ・コンテ首相は、イタリアの要求に対処しないいかなる共同声明にも、イタリアは拒否権を発動すると事前に警告した。彼の恫喝は、特に、フランスとドイツに妥協を強いる上で、機能したように見える。

 EUは、ヨーロッパ領に到着する前に、亡命希望者の手続きをするための“入国手続き施設”を北アフリカなどの地域の第三国に設置することに同意した。これは、イタリアとオーストリアが強く主張していたものだ。

 オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は、EUがこのアイデアを支持したことについて、こう述べた。“こうした、ヨーロッパ外の保護地域、安全地帯、入国センターなど、呼び方は様々なものを我々は長年要求してきたが、こうした考えがようやく勝利を得た。”

 EU諸国内に、難民のための“手続きセンター”を設置するブリュッセルが財政負担する新たな概念もある。難民受け入れの上で最前線に立つ国として、国家経済に重い財政負担を負っていると、イタリアは苦情を言っていた。

 合意後、コンテ首相は幸せそうに語った。“長い交渉だったが、今日からイタリアは、もう孤立していない。”

 原則として、今後、イタリア領や、スペインやギリシャ領に入国する難民は、EU領に入国したものと見なし、亡命申請が認められた場合には、集団的責任で、受け入れ手続きをすることになる。

 オーストリアやヴィシェグラード・グループに対する主要な譲歩は、今週のEU合意が、割り当てを基にした難民は受け入れないという彼らの主張を受け入れたことだ。調印された声明は、難民人数の分かち合いは“自主的に”行われるべきことを認めている。各国が移民受け入れを拒否することが認められることを意味している。ようやく先週、フランスのマクロンが、そうした国々に対する懲罰として、EU財政支援削減を課すよう主張した。

 サミットの結論は、EUが加盟国に、移民を巡り国境警備を強化する権限を認め、イタリアや他の最前線に立っている国々が表明している、自分たちは不当な負担をさせられているという不平を、中央で、一層認識し、資金提供することだ。

 とは言え、いわゆる最新の解決策が実際機能するかどうかは、これから試すことになる。提案されている北アフリカでの手続きセンター設置は、移民希望者に対する抑止力として機能する“人身売買業者のビジネスモデルを破壊するもの”としてもてはやされている。亡命に関わる国際法に違反するように見えるこの概念は、EUの法的、道徳的問題を引き起こしかねない。“強制収容所”に似ているという不愉快なイメージ問題もある。

 EU内の難民自主的再定住は、実際にはどのように機能するのだろう? 負担分担が、イタリア、ギリシャやスペインによって、公正ではないと見なされた場合、フランスや、ドイツや他の内陸国家との緊張が盛り返しかねない。メルケルの気難しい連立政党CSUは、どう反応するがろう? 不可能な事をやろうとしているのだ。

 とは言え、当面、EU懐疑派政府が、移民問題を巡る議論で勝利したように見える。ドイツのメルケルがかつて主張していた“門戸開放”政策は時代遅れのようだ。

 EU指導者たちの明白な安堵感は、妥協案が見つかったことより、むしろブロックの致命的メルトダウンが避けられたことに起因する。これは、致命的な緊張のただの先送りにすぎないことが明らかになるかも知れない。

 一様でない移民問題は、ブロック内で、分裂と緊張を引き起こしている問題の一つに過ぎない。これはEU国民間の他の不満に対する避雷針のようにも見える。公式数値で、ヨーロッパにやってくる難民の人数は、2015年の頂点と比較すると、過去二年間、実際急落した。この問題は、EU政権の現状に対する反対派を奮い立たせる手段として、EU懐疑派政党に利用されているという感覚もある。

 ドイツ-フランスが支配するブリュッセルにより国家主権が損なわれているという感覚が、イギリスBrexitの大きな推進力だった。主権を巡る同様な不平は他のEU諸国や地域にも見られる。

 EUの新自由主義経済政策を巡る憤りもある。各国の財政的自由に対する厳格な制限は、 ドイツに決定されていると受け取られているが、広範な大衆に過酷な緊縮政策を押しつけるものと見なされている。公共支出制限と国家債務支払いの一時停止への固執が、イタリア国民が“代替”EU懐疑派政党である五つ星運動と同盟に投票した主な理由の一つだ。

 他の大きな不満の要因に、アメリカ率いるNATO軍事同盟、ヨーロッパの企業や雇用に打撃を与えている自滅的経済制裁というロシアに対する敵意へのEUの追従がある。EU加盟国内の一部の政党は、ワシントンの戦争商売をEUが理不尽に擁護することに対する大衆の不満を活用している。イタリアや他の国々は、モスクワ経済制裁を止め、ヨーロッパとロシアとの関係の適切な正常化に向かうよう要求している。

 言い換えれば、今週の移民を巡る、EU指導者間の、最後の努力による見せ掛けの協定は、ブロックの決裂を脅かす亀裂を閉じようという必死の努力だ。EU懐疑派の不満をなだめるために、EU既存支配層が屈したのだ。しかしこの“解決”は、ブロックを脅かしているひびや割れ目を取り繕っているものに過ぎないことが明らかになる可能性もある。

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 本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

 Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまでは、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務。彼は音楽家で、作詞家でもある。彼は約20年間、The Mirror、Irish TimesやIndependentを含む主要マスコミで、編集者、筆者として働いた。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/431276-eu-summit-migrants-establishment/
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どの局の呆導番組か忘れたが、韓国財閥幹部の面々の罪状を延々報じていた。外国企業幹部の不祥事なら自由に扱える。自国政治幹部の不祥事を隠蔽するために。
自分の頭のハエは追わないのがお仕事。
戦時中の呆導機関方針そのまま。完全属国として吸い取る血がなくなるまで続く。
多くは、何度でも、だまされる。

あの発言、正確には『電気洗脳箱を見るだけで「新聞を読まない人は全部自民党だ」』と言いたかったのではなかろうか?

日刊IWJガイド・日曜版「<お知らせ>7月29日【IWJファンドレイジング in Hot Summer 2018】開催を決定!参加ゲストも5名決定!参加予約受付フォームをオープンしました!開催まで残り28日!皆様のご参加をお待ちしています!定員は60名と非常に限られておりますので、ご予約はぜひとも、お早めにどうぞ!/第8期も7月末の期末まで残り1ヶ月。先月末以降、ご寄付・カンパもやや低調気味で、まだまだIWJの財政はピンチです!赤字に転落してしまうかどうかのボーダーラインまで、まだあと550万円必要です!なにとぞ期末のご支援をよろしくお願いいたします!
/〈今日の岩上さんのインタビュー〉今日午後2時より『スクープ! 日銀が発表した英語論文の謎 アベノミクス・黒田バズーカによる副作用の責任を逃れようと裏で金融緩和の出口を模索!?~岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏インタビュー第2弾』を配信します!/本日午後6時より、6月28日に神奈川県秦野市でおこなわれた『秦野から未来を創る会』主催の前川喜平氏講演会を録画配信します!」2018.7.1日号~No.2117号~

2018年6月29日 (金)

移民: 欧米による戦争と帝国主義的搾取による何百万人もの追い出し

James Petras
2018年6月26日

 “移民”は、ヨーロッパとアメリカを分裂させる主要争点になっているが、何百万人も移民に駆り立てている最も重要なことは見過ごされている。戦争だ。

 本論文では、いくつかの問題、つまり(1)帝国主義戦争(2)多国籍企業の拡大(3)アメリカや西ヨーロッパにおける反戦運動の衰退(4)労働組合と連帯運動の弱さ、に焦点を当て、移民拡大の背景にある原因を検討する。

 まず大量移民をもたらしたアメリカとEUの戦争によって影響を受けた主要な国々を明らかにし、更に、難民に利益の流れに‘従うよう’強いている欧米列強を検討する。

 帝国主義戦争と大量移民

 アフガニスタンとイラクでのアメリカ侵略と戦争が、彼らの命、家族、生活、住宅やコミュニティーを破壊し、安全を損なって、数百万人の人々を追い立てた。

 結果的に、大半の犠牲者は抵抗するか逃れるかの選択に直面した。NATO諸国は、アメリカやヨーロッパの自分たちの住まいを爆撃しようとはしないので、何百万人もの人々が欧米に逃れることを選んだ。

 中東や中南米の近隣諸国に逃れた人々は迫害されるか、貧しすぎて、彼らに雇用や生計をたてる機会を与えることができない国々で暮らしている。

 アフガニスタン人の一部は、パキスタンや中東に逃れたが、これらの地域も、欧米による武力攻撃にさらされることに気がついた。

 欧米による経済制裁や侵略や占領で、荒廃させられたイラク人は、ヨーロッパや、より少数の人々が、アメリカや湾岸諸国やイランに逃れた。

 アメリカ-EU侵略以前のリビアは、市民権と、それなりの暮らしを提供して、何百万人ものアフリカ人を受け入れ、雇用していた‘受け入れ’国だった。アメリカ-EUによる空爆と海上攻撃と、テロリスト暴力団に武器を供与し、資金を提供した後、何十万人ものサハラ以南からの移民は、ヨーロッパに逃れることを強いられた。大半が地中海を渡って、イタリア、スペイン経由で、リビアでの彼らの生活を激しく攻撃した豊かなヨーロッパ諸国へと向かった。

 アメリカ-EUが資金を提供し、武器を与えた傀儡テロリスト軍団が、シリア政府を攻撃し、何百万人ものシリア人に、国境を越え、レバノンやトルコや、更にはヨーロッパへと逃れることを強いて、いわゆる‘移民危機’と右翼反移民政党の勃興を引き起こした。労働者階級部分が、反移民に転じて、既存社会民主党と保守党内部の分裂を引き起こした。

 アメリカが何百万人もの人々を追い出し、EUが欧米の戦争から逃れてくる移民の経費を負担するために何十億ユーロも費やし、ヨーロッパは軍国化したアメリカ帝国主義と同盟した報いをうけている。

 移民に対する大半の生活保護支給は、彼らの母国にもたらした損失より遥かに少ない。EUやアメリカの彼らの雇用や住宅や学校や市民団体は、彼ら本来のコミュニティーにあったものほど役立ったり、寛容だったりしない。

 経済帝国主義と移民: 中南米

 アメリカの戦争や軍事介入や経済的搾取が、何百万人もの中南米人に、アメリカへの移民を強いた。ニカラグアやエルサルバドルやグアテマラやホンジュラスでは、1960年-2000年の時期、社会-経済的公正と政治的民主主義を求める民衆運動があった。土地持ち少数独裁集団に対し今にも勝利しようという所で、多国籍企業とワシントンが何十億ドルも費やし、軍隊や民兵部隊に武器供与し、訓練し、助言し、民衆の武装反抗勢力を阻止した。土地改革は頓挫した。労働組合活動家は亡命を強いられ、何千人もの農民が獰猛なテロ作戦から逃れた。

 アメリカが支援する少数独裁者政権が、住むところを失い、追い立てられ、失業し土地を持たない何百万人もの労働者に、アメリカに逃れることを強いたのだ。

 アメリカが支持したクーデターと独裁者は、ニカラグアで、50,000人、エルサルバドルで、80,000人、グアテマラで、200,000人の犠牲者を出した。オバマ大統領とヒラリー・クリントンは、リベラルなセラヤ大統領を打倒したホンジュラス軍事クーデターを支持したが、それは、何千人もの農民活動家や人権活動家の殺害と負傷と、暗殺部隊の復活をもたらし、アメリカへの新たな移民の波を引き起こした。

 アメリカが推進した自由貿易協定(NAFTA)は、何十万人ものメキシコ農民を破産に追いやり、低賃金マキラドーラ労働者にした。麻薬カルテルにスカウトされた人々もいる。だが、最大の集団はリオ・グランデ川を越えての移民を強いられた。

 クリントン大統領が開始した、アメリカの‘プラン・コロンビア’で、コロンビアに、7つのアメリカ軍事基地を建設し、2001年-2010年の間に軍事援助で10億ドル供与した。プラン・コロンビアで、軍の規模は倍増した。

 アメリカが支援したアルヴァロ・ウリベ大統領は、ウリベが指揮する麻薬-暗殺部隊による、200,000人以上の農民、労働組合活動家や人権活動家の暗殺をもたらした。200万人以上の農民が地方から逃れ、都市や国境外に移民した。

 アメリカ企業は、ほぼ全員が医療保険や福利は無しで、税は払う、何十万人もの中南米の低賃金の農業や工業労働者を確保した。

 移民は利益を倍増させ、団体交渉を弱体化し、アメリカの賃金を押し下げた。あこぎなアメリカ‘起業家連中’が移民を麻薬、売春、兵器取り引きや資金洗浄に引き込んでいる。

政治家は政治的利益のために、移民問題を利用し、労働者階級の生活水準の低下を移民のせいにし本当の根源から注意を逸らしている。戦争、侵略、暗殺部隊や経済的略奪だ。

 結論

 海外の労働者の生活を破壊し、リビア指導者カダフィやホンジュラスのセラヤ大統領のような進歩的指導者を打倒して、何百万人も移民になるよう強いたのだ。

 イラク、アフガニスタン、シリア、コロンビアやメキシコは、何百万人もの移民の避難に見舞われている - 全員がアメリカとEUの戦争犠牲者だ。ワシントンとブリュッセルは、犠牲者たちを非難し、移民を、違法性や犯罪行為で責めている。

 欧米は人類に対する犯罪と国際法違反に対する賠償どころか追放や逮捕や投獄を議論している。

 移民を抑制するための最初の措置は、帝国主義戦争を終わらせ、軍隊を撤退させ、民兵組織や傀儡テロリストへの資金提供を止めることだ。

 次に、欧米は、連中が爆撃した経済や市場やインフラ再建と復旧のため、長期の数十億ドルの基金を設立すべきだ。

 平和運動の崩壊が、アメリカとEUが一連の戦争を開始し、引き延ばすことを可能にし、大量移民 - いわゆる難民危機と、ヨーロッパへの逃避をもたらした。リベラルな社会民主党から戦争政党への転換と、EUへの移民の強制避難との間には直接的なつながりがある。

 労働組合の衰退と、更に悪いのは、組合が戦闘性を失ったことが、帝国主義戦争のさなかで暮らしている人々との団結の喪失を招いた。帝国主義諸国の多くの労働者たちは、その怒りを、戦争を指揮し、移民問題を生み出した帝国主義者に対してでなく、自分達より‘下’の人々、移民に向けた。

 移民や戦争や、平和運動や労働運動や左翼政党の崩壊が、軍国主義者と新自由主義者を勃興させ、彼らが欧米中で権力を握った。ところが彼らの反移民政治は、EUとアメリカ政権内部、企業エリート間と大衆運動の中での新たな矛盾を引き起こしている。エリート支配層と、民衆との闘争は少なくとも二つの方向に向かい得る - ファシズム、あるいは徹底的な社会民主主義だ。

記事原文のurl:https://petras.lahaine.org/immigration-western-wars-and-imperial-exploitation/

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小生、サッカーについて知識皆無。ボルゴグラードには、ママエフの丘があることしか知らない。シューマン、子供の情景のトロイメライ(夢)が流れるママエフの丘(ママエフ・クルガン=ママイの墳丘墓)慰霊堂だ。

大本営広報部がサッカー放送にうつつを抜かす中、働かせ方改悪法案が成立する。

日刊IWJガイド「<お知らせ>7月29日【IWJファンドレイジング in Hot Summer 2018】開催を決定!参加ゲストも5名決定!まもなく参加予約受付フォームをオープンします!/第8期も7月末の期末まで残り1ヶ月と2日。まだまだIWJの財政はピンチです!赤字に転落してしまうかどうかのボーダーラインまで、まだあと566万円必要です!なにとぞ期末のご支援をよろしくお願いいたします!
/<昨日の岩上さんのインタビュー報告>幕末に水戸学が生み出したマジカルワード『国体』! 日本史の中の天皇制 時の権力は天皇をどのように利用してきたのか!? 岩上安身による書籍編集者・前高文研代表梅田正己氏 インタビュー(第二弾)/IWJがスクープ!?本日午後4時から録画配信する『北東アジアにおけるプルトニウム ~米・日・韓の専門家による討論会』で原子力委員会の新政策の問題点が明るみに!/他」2018.6.29日号~No.2115号~

2018年6月25日 (月)

ホンジュラスにおけるアメリカの政策が、現在の大量移民のお膳立てをした

2016年11月1日
Joseph NEVINS
The Conversation

 中米移民 - 特に同伴者がいない子ども - が、またもや大人数がアメリカ-メキシコ国境を越えている。

 2014年、オバマ政権の下で、同伴者がいない68,000人以上の中米の子どもが、アメリカ-メキシコ国境で捕らえられた。2016年は、60,000人以上だった。

 主流の言説は、移民の原因を、移民の母国でおきている要因に帰着することが多い。実際は、移民は、移民を送り出す国々と、目的の国々との間の、大いに不均衡で、搾取的な関係の表われであることが多い。これを理解することは、移民政策を、より効果的かつ、倫理的なものにするのに必要不可欠だ。

 私は移民と国境警備を研究し、こうした動態について多くを学んだ。その一つの例が、ホンジュラスとアメリカ合州国との関係だ。

 ホンジュラス移民のアメリカの原因

 1987年、ホンジュラスを調査のために初めて訪れた。コマヤグア市内を歩いていると、多くの人々が、20代初期の髪の短い白人男性である私をアメリカ兵と思ったのだ。これは当時、何百人ものアメリカ兵が近くのバルメロラ空軍基地に駐留していたためだ。私が到着するちょっと前まで、彼らの多くが、コマヤグア、特に売春婦がいる“危険区域”に良く出入りしていた。

 ホンジュラスのアスコナ大統領とレーガン大統領  1986年5月27日

 アメリカ軍ホンジュラス駐留とアメリカ合州国へのホンジュラス移民の根源は密接に結びついている。それは、1890年代末、アメリカを本拠とするバナナ会社が最初に、現地で積極的に活動するようになり始まった。歴史学者のウォルター・ラフィーバーが『必然的な革命: 中米におけるアメリカ合州国』で書いている。アメリカ企業が“鉄道を敷設し、金融制度を確立し、目の回るような速さで政府高官を買収した。”その結果、カリブ海沿岸は“組織的にホンジュラス丸ごと単一作物経済に転換され その富がニューオーリンズ、ニューヨーク、そして後にボストンへと持ち去られる外国に支配される居留地と化した。”

 1914年までに、アメリカ・バナナ業者が、ほぼ100万エーカーものホンジュラス最高の土地を所有していた。こうした企業は、1920年代に大いに拡大し、ラフィーバーが、ホンジュラス農民には“自国の良い土壌を使う希望は皆無だった”と主張するほどだった。数十年で、アメリカ資本は、ホンジュラスの金融と鉱業部門も支配するに至ったが、ホンジュラス国内産業部門の脆弱な状態が、この過程を促進した。これにあいまって、1907年と1911年、アメリカ権益を守るためのアメリカによる直接の政治・軍事介入があった。

 こうした展開から、ホンジュラス支配階級が、ワシントンの支援に依存するようになった。この支配階級の中核的要素は、昔も今もホンジュラス軍だ。1960年代中期までに、それは、ラフィーバーの表現では、その形成の上で、ワシントンが重要な役割を演じた、ホンジュラスで“最も発達した政治組織”となった。

 レーガン時代

 これは特に、1980年代のロナルド・レーガン大統領時代にあてはまる。当時、アメリカの政治・軍事政策は非常に影響力が強く、多くの人々が、この中米の国を“米艦船ホンジュラス”やらペンタゴン共和国と呼んだ。

 隣国ニカラグアのサンディニスタ政権打倒の取り組みと、地域左翼運動“押し返し”の一環として、レーガン政権は“一時的に”数百人のアメリカ兵をホンジュラスに駐留させた。しかも、ニカラグアの“コントラ”反政府派をホンジュラス領内で訓練し、支援し、ホンジュラスに対する軍需援助と、武器輸出を大幅に増大した。

 レーガン時代には、無数のホンジュラス-アメリカ共同軍事基地や施設も建設された。そうした動きが、ホンジュラス社会の軍事化を大いに強化した。そこで、政治的弾圧が強化された。政治暗殺や“失踪”や違法拘留の数が劇的に増加した

 レーガン政権は、ホンジュラス経済再編の上でも大きな役割を演じた。工業製品輸出に注力して、国内経済改革を強く推進することで、そうしたのだ。レーガン政権は、、ホンジュラスが大いに依存していた世界コーヒー貿易の規制緩和や不安定化も進めた。こうした変化で、ホンジュラスは、グローバル資本の権益に一層従順になった。グローバル資本は伝統的な形の農業を破壊し、既に脆弱だった社会保障をむしばんだ。

 この何十年かにわたるアメリカのホンジュラスへの関与が、1990年代に大幅に増え始めた、アメリカ合州国へのホンジュラス人移民のお膳立てをしたのだ。

 レーガン後の時代、ホンジュラスは、高圧的な軍や、重大な人権侵害や、まん延する貧困で傷ついた国であり続けた。それでも、一連の政権の自由化傾向や、草の根の圧力が、民主的勢力にとって好機を与えたのだ。

 そうしたことが、例えば、2006年、リべラル改革主義者のマヌエル・セラヤ大統領当選に寄与した。彼はled on最低賃金引き上げなどの進歩的施策。彼は軍事政権時代に制定されたホンジュラス憲法を置き換えるための憲法制定会議を可能にする国民投票を実現しようともした。ところが、こうした努力が、巨大な政治力を持ったひと握りのホンジュラス集団の憤激を招き、2009年6月、軍による彼の排除を引き起こしたのだ。

 クーデター後のホンジュラス

 過去数年間、アメリカの南部国境におけるホンジュラス人移民の増加は、他のどの変化よりも、2009年クーデターで説明できる。オバマ政権はこうした進展で重要な役割を演じた。セラヤ排除を公式には非難したものの、ホンジュラスに対する大半の支援をアメリカが止めることが必要になるクーデターにあたるかどうかについては言葉を濁した

 特に、当時の国務長官ヒラリー・クリントンは、相反する発言をして、セラヤが権力の座に決して復帰できないようにした。これはカリブ海諸国を含むアメリカ35カ国が加盟する半球の主要な政治議論の場、米州機構の願望に反していた。クーデターから数カ月後、クリントンは、クーデター後政権を正当化することを狙った極めていかがわしい選挙を支持した。

 アメリカとホンジュラスの強い軍事的つながりは続いている。麻薬戦争人道的救援活動の名目で数百人のアメリカ兵士がソトカノ空軍基地 (旧パルメロラ)に駐留している。

 歴史家のダナ・フランクは書いている。クーデター以来“一連の腐敗政権が、政府トップから下に至るまで、ホンジュラスの露骨な犯罪的支配を解き放った。”

 組織犯罪、麻薬密売業者とホンジュラス警官は大いに重複している。ホンジュラスでは、何のおとがめもうけないことがまかり通り、政治的動機の殺人が頻繁になった。国際非政府組織グローバル・ウィットネスによれば、ホンジュラスは、環境保護活動家にとって、世界で最も危険な国だ。

 かつて途方もなく高かった殺人率は減少したものの、多くの若者の脱出が続いていることが、依然、暴力団が都市近郊を苦しめているのを実証している。

 その間、クーデター後政権は、多くの人々の暮らしを不可能にする規制緩和、“自由市場”型資本主義を益々強化した。ホンジュラスでは、例えば医療と教育への政府支出が減少した。一方、ホンジュラスの貧困率は大幅に増えた。こうしたことが、多くの人々を移民に追いやる圧力の増大に寄与し、現在、アメリカ政策がそれを生み出すのに貢献した荒廃から逃れている人々に対するアメリカ合州国の責任に関する倫理的問題を提起しているのだ。

記事原文のurl:https://theconversation.com/how-us-policy-in-honduras-set-the-stage-for-todays-mass-migration-65935?utm_source=facebook&utm_medium=facebookbutton
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ホンジュラスのセラヤ大統領拉致追放軍事クーデターについては記事を訳してある。いずれも、ホンジュラス・クーデターのジャンルで、お読みいただける。多いので、主要なものを列記しておこう。

当時、大本営広報部による、ホンジュラス・クーデターに関する本格的記事、あったのだろうか?

米軍基地を民間空港に転用することも考えていたセラヤ追放を見ていて
米軍基地は最低でも県外と主張する首相に加えられる圧力・工作を想像していた。

6.6オールジャパン総決起集会「愛・夢・希望の市民政権樹立へ!」でも、鳩山元首相は、外務省の極秘偽造文書を提示し、外務省官僚にだまされたことを説明した。

この事実は当時も、報道されていた。たとえば、
鳩山政権、県外断念の根拠 65カイリ基準存在せず

日刊IWJガイド「本日午後0時55分より参院予算委集中審議。国民民主党は独断で政権をアシストしたのか!? 本日午後4時から『国民民主党 玉木雄一郎共同代表定例記者会見』を生配信!さらに明日は岩上さんによる辰巳孝太郎議員インタビュー!/参考人のがん患者に『いいかげんにしろ』とやじを飛ばした自民党穴見陽一衆院議員のカルト宗教遍歴!?/橋下徹氏と中村時広愛媛県知事が次の国政リーダー!? 橋下氏は新党を立ち上げ国政進出!?/<新記事紹介>英科学誌がHPVワクチンの副反応を解明した論文の掲載を撤回!横田俊平医師らHPVワクチン副反応「HANS」に取り組む医師らが英科学誌の姿勢を批判!/
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2018年6月22日 (金)

欧米世界丸ごと、認知的不協和の中で生きている

2018年6月21日
Paul Craig Roberts

 今回のコラムでは、欧米の心のいたるところにある現実との断絶を浮き彫りにするため、現在のトップ・ニュースの三つを取りあげたいと思う。

 家族引き離し問題から始めよう。子供を移民/難民/亡命両親からの引き離しが、一般市民の激しい抗議を引き起したので、トランプ大統領が政策を譲歩し、家族引き離しを止める大統領命令に署名した。

 両親が違法入国で、起訴されている間のアメリカ納税者のお金で儲ける私企業が運用する倉庫に閉じ込められた子供たちの恐怖が“例外的で、必要欠くべからざる”独りよがりのアメリカ人さえ、麻痺状態から目覚めさせた。トランプ政権が、家族引き離しで、アメリカの国境警備政策の信頼性を傷つけようとしたのは一体なぜなのだろう。おそらく、もしアメリカに来たら、子供は取り上げられるぞという、メッセージを送って、違法移民を思い止まらせるのが政策の狙いだったのだ。

 こういう疑問がある。無慈悲な国境管理政策を理解し、否定できるのに、21世紀に、7ないし8つの国を、丸ごとあるいは一部、ワシントンが破壊した避けられない結果起きている家庭の破壊という残酷さを、アメリカ人が理解できないのは一体なぜだろう?

 ワシントンが引き起こす死によって、何百万人もの人々が家族と引き離されているのに、ほぼ20年間、抗議行動はないも同然だ。ジョージ・W・ブッシュ、オバマや、トランプの、アフガニスタン、イラク、リビア、パキスタン、シリア、イエメンやソマリアの国民に対する、アメリカ自身が戦争犯罪として確立し、国際法で規定されている明白で議論の余地のない違法行為を、いかなる大衆抗議も止めてはいない。これに、8つめの例を追加することができる。アメリカが武器を与え、支援しているウクライナ・ネオナチ傀儡国家による、分離したロシア諸州に対する軍事攻撃だ。

 大量の死、町や都市やインフラの破壊、四肢の重傷や肉体的、精神的混乱が、ワシントンの戦争から逃れる何百万人もの難民を、中東や北アフリカにおけるワシントンの巨大な戦争犯罪を支持する愚かな傀儡集団で政府が成り立っているヨーロッパに殺到させているのに、トランプの移民政策に対するのと同等の激しい抗議は起きていない。

 アメリカ人が、移民取り締まりでの家族引き離しという残酷な行為は理解できるのに、8つの国々の人々に対して行われている壮大な戦争犯罪が理解できないのは一体なぜだろう? 我々は認知的不協和という集団的精神病を体験しているのだろうか?

 次に二つ目の例を考えよう。ワシントンの国連人権理事会離脱だ。

 1917年11月2日、国家社会主義ドイツによるホロコーストの20年前、イギリスのアーサー・ジェイムズ・バルフォア外務大臣が、ロスチャイルド男爵に、イギリスは、パレスチナが、ユダヤ人の祖国にあるのを支持すると書いた。言い換えれば、腐敗したバルフォアは、パレスチナに、二千年間、あるいはそれ以上住んでいた何百万人ものパレスチナ人の権利と暮らしを無視したのだ。ロスチャイルドの資産と比べれば、この人々は一体何だろう?イギリス外務大臣にとって、彼らは何の価値もなかったのだ。

 正当な権利を持ったパレスチナ住民に対するバルフォアの態度は、イギリスの威力が支配するあらゆる植民地や領土の人々に対するイギリスの態度と同じだ。ワシントンは、この慣習を学び、常時それを繰り返してきた。

 つい先日、イスラエルの狂った正気でないポチ、ニッキー・ヘイリー国連大使が、国連人権理事会は、イスラエルに対する“政治的偏見の巣窟”なので、ワシントンは離脱すると発表した。

 国連人権理事会は、イスラエルの代理人、ニッキー・ヘイリーによるこの非難を正当化するようなことを何かかたのだろうか? 人権理事会は、パレスチナ人医療関係者や、幼い子供、母親、老婆、老人、父親、十代を虐殺するイスラエルの政策を非難したのだ。

 どれほど酷く明白であろうとも、イスラエルの犯罪だと言って、イスラエルを批判すると、反ユダヤ主義者で、“ホロコースト否定者”にされる。ニッキー・ヘイリーとイスラエルは、国連人権理事会を、ヒトラーを敬うナチス集団扱いしているのだ。

 このばかばかしさは明白だが、それに気づく人は、いるにしても、ごく僅かだ。そう、イスラエルを除く世界中が、ワシントンの敵やパレスチナ人のみならず、ワシントンの傀儡や属国さえもが、ワシントンの決定を非難したのだ。

 現実からの断絶を理解するには、ワシントン非難の言葉づかいに注目する必要がある。

 欧州連合の広報担当者は、ワシントンの国連人権理事会離脱は“世界の舞台における民主主義のチャンピォンで支持者としてのアメリカの役割を傷つける危険がある”と述べた。これ以上愚かな発言を想像できる人がいるだろうか? ワシントンは、ワシントンの意思を固執する独裁制を支持することで知られている。ワシントンは、ニューヨークの銀行や、アメリカ事業権益や、アメリカ外交政策ではなく、その国の国民を代表する大統領を選んだ、あらゆる中南米民主主義の破壊者として知られている。

 ワシントンが民主主義の支持者だった場所を一カ所でも挙げて欲しい。近年だけでも、オバマ政権は民主的に選ばれたホンジュラス政権を打倒し、傀儡を押しつけた。オバマ政権は民主的に選ばれたウクライナ政権を打倒し、ネオナチ政権を押しつけた。ワシントンは、アルゼンチンとブラジルの政権を打倒し、ベネズエラ政府を打倒しようとしており、ボリビアとロシアとイランに照準を当てている。

 スウェーデンのマルゴット・ヴァルストローム外務大臣はこう言った。“アメリカが、国連人権理事会を離脱すると決定したのを悲しく思う。その逆ではなく、更なる人権と、より強力な国連を、世界が必要としている時のこの決定をです。”人権破壊者として知られているワシントンの人権理事会での存在が(ワシントンの戦争犯罪から逃れ、ヨーロッパやスウェーデンに殺到している何百万人もの難民に聞いて見ると良いが)理事会を傷つけるのではなく、強化すると、一体なぜ考えるのだろう? ヴァルストロームの現実との断絶はすさまじい。あまりに極端で、信じられないくらいだ。

 オーストラリアのジュリー・ビショップ外務大臣は、国連人権理事会の“反イスラエル偏見”を懸念していると言って、あらゆるワシントン属国諸国の中で最も卑屈な発言をした。これは、いかなる現実にもつながることができない完全に洗脳された人物だ。

 三つ目の例は、トランプが中国に対して始めた“貿易戦争”だ。トランプ政権の主張は、アメリカとの約4000億ドル貿易黒字は、中国の不公正な慣習のおかげだというものだ。この膨大な金額は中国側の“不公正な慣習”によるものだとされている。実際、中国との貿易赤字は、アップル、ナイキ、リーバイや、アメリカ人に販売する製品を中国で製造している非常に多くのアメリカ企業のおかげなのだ。アメリカ企業が海外生産した製品がアメリカに入る際は、輸入として計算される。

 アメリカ議会中国委員会で証言して以来、私はこれを長年指摘してきた。無数の記事を、あらゆるところで書いてきた。こうしたことを、2013年の著書、The Failure of Laissez Faire Capitalismの中で要約してある。https://www.amazon.com/Failure-Laissez-Faire-Capitalism/dp/0986036250/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1529582838&sr=1-1&keywords=Paul+Craig+Roberts+books&dpID=51HWdHsbtFL&preST=_SY291_BO1,204,203,200_QL40_&dpSrc=srch

 売女金融マスコミや大企業ロビイストや、知性がほぼ皆無な、多数の“著名”経済学者や、あわれなアメリカ政治家を含め、膨大なアメリカの貿易赤字が雇用の海外移転の結果であることが理解できないのだ。これがアメリカを支配している徹底的愚かさの水準だ。

 The Failure of Laissez Faire Capitalismの中で、海外移転されるアメリカ雇用の一件毎に、二件のアメリカ雇用が生み出されると無能に主張した、ジョージ・W・ブッシュ大統領の経済諮問委員会メンバー、マシュー・J・スローターのとんでもない間違いを暴露した。アメリカ労働人口は、アメリカ労働者の高生産性、高付加価値雇用を海外移転することで、恩恵を受けているというとんでもない主張をしているハーバード大学教授マイケル・ポーターによる、海外移転推進ロビー集団の、いわゆる競争力諮問委員会向けの捏造“研究”も暴露した。

 まぬけなアメリカ経済学者、まぬけなアメリカ金融マスコミ、まぬけなアメリカ為政者は、雇用の海外移転が、アメリカの経済見通しを破壊し、中国を、ワシントンの予想の45年先に押し進めたことを、いまだに理解していない。

 要約すれば、欧米の頭、大西洋統合主義者ロシア人や親米中国人青年の頭は、プロパガンダのたわごとで一杯で、現実とのつながりが皆無なのだ。

 現実の世界と、現実の世界を覆い、既得権益に奉仕する、でっち上げのプロパガンダ世界とが存在しているのだ。私の任務は、人々をでっち上げの世界から脱出させ、現実世界に移すことだ。私の取り組みをご支援願いたい。

 Paul Craig Robertsは元経済政策担当財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリップス・ハワード・ニューズ・サービスとクリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Orderが購入可能。

ご寄付はここで。https://www.paulcraigroberts.org/pages/donate/

記事原文のurl:https://www.paulcraigroberts.org/2018/06/21/entire-western-world-lives-cognitive-dissonance/
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弟殺害一辺倒の大本営広報部、ああいう仕事、何が楽しいのだろう。目くらまし業。

IWJに対するスラップ訴訟の深刻さを知りながら無視し続け、現実の世界を覆い、既得権益に奉仕する、でっち上げのプロパガンダ洗脳集団。

属国丸ごと、認知的不協和の中で生きている。

日刊IWJガイド「IWJの財政がピンチです! 6月に入ってから3分の2となる21日までのご寄付・カンパは今月の目標額の64%! 第8期も7月末の期末まで残り1ヶ月と9日。IWJが赤字に転落してしまうかどうかのボーダーラインまで、まだあと800万円必要です!なにとぞ緊急のご支援をよろしくお願いいたします!/新たなスラップの予告!? 原告の橋下徹氏から『スラップ訴訟と主張すること自体が新たな名誉毀損』という驚くべき反論が!/
<インタビュー配信/新記事紹介>本日午後8時より、『国際競争力世界一・スイスの「直接民主制」とは ~東アジアにダイレクトデモクラシー旋風!? 岩上安身によるワールド・デモクラシー・レポーター ブルーノ・カウフマン氏インタビュー』を録画配信!/他」2018.6.22日号~No.2108号~

2018年3月23日 (金)

シリア難民が帰国しつつあるのに、攻撃態勢にある欧米

Andre Vltchek
2018年3月16日
New Eastern Outlook

三カ月後にダマスカスに帰国するつもりですと、彼がにこにこしながら言った後、“ベイルートには何年暮らしているの?”と、私は理髪師エヤドに聞いた。

一年前には、そのような会話を始めるのは容易ではなかった。しかし今は、あらゆることが急激に、またそう信じたいのだが、不可逆的に変化しつつある。

本当に不可逆的なものなど何もないとは言え、欧米、特にアメリカ合州国が威嚇的になればなるほど、シリア国内の状況は良くなる。今欧米は、またしても、ロシアや他の国々を壊滅的対決に引きずりこみかねない、シリア軍攻撃の用意ができていると、ダマスカスを威嚇している。戦争だ! 欧米がシリア内での永久戦争に取り憑かれているのは明らかだが、大半のシリア国民は、永続する平和を取り戻すことに情熱的だ。

“6年です”と理髪師は、カミソリを準備しながら答えた。彼の声に悲しみと憤りを私は感じ取った。“6年は長過ぎます!”

“帰国してから、どうするの? ダマスカスで理髪店を開店するつもり?”私は知りたかった。私がこれまで経験した中で最高の理髪師だ。素早く、自信がある、正確な名匠だ。

“いいえ”彼は微笑んだ。“言いませんでしたが、私は機械技師なんです… 理髪師は、祖父から学んだんです。今アラブ世界では、何百万人もの人々が本職でないことをしています… それでも帰国して、祖国再建を支援したいのです。”

エヤドの政治傾向については何も知らない。そういうことを聞くのは失礼だと思っていたのだ。今なら聞けるだろうと感じていたが、聞かなかった。彼は祖国を助けたくて、帰国しようとしている。大切なのはそこだ。

“ダマスカスに会いに来てください。” 別れ際に彼は微笑んだ。“シリアは小さな国ですが、すごい国です!”

*

2017年2月24日、ニューヨーク・タイムズが、膨大な人数のシリア難民を受け入れている国 - レバノンに対して、いつもの辛辣な皮肉を放った。

    “約150万人のシリア人がレバノンに避難しており、当局や救援団体によれば、人口の約四分の一にのぼっており、難民はレバノン経済と社会構造にとって重荷だとレバノンでは広く考えられている。

    難民支援者を自称する社交的な人物、タハン氏は、難民がレバノン経済を損ない、社会福祉の負担になっているという考えを切って捨てた。政府が、国連から、もっと金をせしめようとして、この見方を広めているのだと彼は言った。

    難民は、彼らに電気を供給する発電機運営者から、難民が国連食料引換券を使う店舗経営者、低賃金労働者の恩恵を得る地主まで、レバノンのためになっている。国連が言う、2016年だけでも19億ドルの国際援助は言うまでもなく、国際組織が与える経済刺激で、難民を受け入れる負担はほとんど相殺される言う、国際組織から良く聞かれる主張だ。

    レバノン内戦での経験に基づいて、シリア人は何年にもわたって滞在すると予想しているとタハン氏は言った。”

ニューヨーク・タイムズが、欧州連合での‘難民危機’を報じる際には、そうした調子にでくわすことはまずない。そこでは、何人かの超富豪や、レバノンよりも遙かに人口の多い国々が、この中東のちっぽけな国が受け入れているのとほぼ同じだけの人数を受け入れることはできない振りをしつづけている。

‘難民危機の頂点’と見なされている2015年、150万人よりずっと少ない人々が、庇護を求めて、欧州連合に入った。この150万人の一部は実際はウクライナ、コソボとアルバニアからの‘難民’だ。

レバノン、ヨルダン、トルコでも、難民危機を、またギリシャ(コス島)やフランス (カレー)のいわゆる‘危機’も私は報じた。その時までに、世界の半分、そしてほぼ中東全体を既に不安定化していた欧米は、極端な身勝手さ、残酷な冷淡さ、人種差別や、悔い改め、理解することの断固拒否を実証している。

ニューヨーク・タイムズのタハン氏が誰であれ、彼の真意が何であれ、間違っている。この記事が発行される時点で、ダマスカス政府が、ロシア、イラン、中国、キューバや ヒズボラに支援されて、欧米と、その同盟諸国によって武器を与えられ、支援されているテロ集団に対する戦争に勝利しつつあり、レバノンに暮らすシリア難民の人数は、終始減り続けている。

“シリア国内の状況は依然極めて危険だ”と主張し、シリア人に帰国しないよう“警告している”のは、実際、欧米 - そのNGOや政府機関 -なのだ 。

しかし、そのような警告は、シリアに戻る難民の流れを到底阻止できない。CBS News は、2018年2月2日にこう報じている。

    “… 36歳の人物がアレッポに戻った。彼は昨夏帰国した - 意気消沈し、郷愁を感じて、次の冬を恐れて、彼はドイツの都市ズールでの生活に耐えられなかったのだ。

    彼に言わせれば、ドイツは“退屈で、退屈で、退屈で。”

レバノン領のシリア移民人数は既に100万人以下で、国連難民高等弁務官事務所によれば、2014年以来初めてのことだ。

人々は帰国しつつある。毎週何千人もの人々が帰国しつつある。

彼らはレバノン、ヨルダン、トルコから、どういうわけかそうはならず、地球上で最も古く、最も偉大な歴史と文化を持った国の一つから来た多くの人々を感心させそこねた、かつては想像上の天国だった - ドイツなどのヨーロッパ諸国 - からも帰国しつつある。

*

レバノンのULFで産業扶助を学んでいるムハンマド・カナーンは、こう説明する。

    “シリアにいた頃、機械設計・開発を三年学んでいました… 危機と戦争のため、私は出国を余儀なくされました。その後、更に三年間、勉強を止めざるを得ませんでした。そこで、ユネスコ事業のおかげで、レバノンで学ぶよう受け入れられたのです… 対シリア戦争の後、今勉強している分野を続ける意欲が高まっています。具体的には、インフラ修復が必要ですし、工場も間もなく稼働するでしょうから。シリアは知識のある人を大勢必要としているのです…”

欧米は、シリア難民の、そのような決意を予想していなかった。欧米は、無数の破壊され、不安定化された国々からやって来る移民に慣れっこになっていたのだ。欧米滞在を許される限り、何でも行い、何でも言う人々に。

欧米はシリア人をまさにそうした移民に変えようとしたのだが、失敗したのだ。2014年12月、私はイラクのクルド人自治区からこう報じた。

    “油田からほど遠くない所に、大規模な難民キャンプがある。これはシリア人亡命者用だ。

    中に入る交渉をした後、キャンプの所長 - ハウル・アレフ氏に質問することができた - 「ここでは、何人の難民が保護されていますか? 」「14,000人です」と彼は答えた。「そして、15,000人になったら、この場所は手に負えなくなります。」

    人々にインタビューをする気になれなかったが、シリアの都市シャムから来たアリと彼の家族を含め、ともかく何人かの難民と話すことができた。

    新たにやってきた人々全員が尋問されるのかどうか私は知りたかったのだ。答えは「イエス」だった。バッシャール・アル・アサド大統領支持か、反対かについて、質問されるのですか? “ええ、聞かれます。全員がこうした質問や他の質問をされます…” And if a person - 本当に絶望的で、困窮して、空腹の人が - 彼はバッシャール・アル・アサド政権を支持していて、シリアが欧米によって破壊されつつあるので、ここに来たと答えたら、どうなりますか?」 答えはこうだった。「彼とその家族は、イラク・クルディスタンに留まることを決して認められないでしょう。」

中東至る所で、また様々なヨーロッパ諸国でもシリア難民に出会った。愛する祖国から離れているのを、彼らのほとんど全員が郷愁を感じ、絶望的でさえあった。彼らの大半が帰りたがっていた。帰る機会を待ちきれない人々もいた。

カナダのような国でさえ、ビザをポケットに持っているシリア人を知っていたが、彼らは最後の瞬間、祖国を離れないと決断していた。

シリアは本当に独特な国だ。

欧米は思いもよらなかったのだ。欧米は、生活が破壊された人々の、そうした決意を見たことがなかったのだ。

“私たちは西に向かっています。行かなければなりません”ギリシャ・コス島の市庁舎前で待っていた、子供が二人しがみついているシリア人女性に言われた。“子供たちのためにそうしています。でも聞いてください。私たちの大半は間もなく帰国するつもりです。”

今、彼らは帰国しつつある。しかし欧米はそれが気に入らない。憎悪しているのだ。

欧米は‘あの困窮した集団’にひどく利用されているとぐちをこぼしたがるが、特にシリアのような教育の進んだ国からの移民無しに、欧米は実際やって行けないのだ。

*

欧米が作り出し、訓練し、資金提供し、支援したテロリストの残虐な侵略を打ち破って、シリア国民は勇敢に戦っているだけではない。今や難民は、ヨーロッパやカナダや他の場所における異郷生活の、偽りのそして往々にして屈辱的な快適さに背を向けつつある。

そのような態度は‘罰されなければならない’。そうした勇気のかどで、シリアの諸都市や勝利しているシリア軍は、アメリカ軍や、可能性としては、ヨーロッパの軍隊によっても、間もなく、直接爆撃され、攻撃されるかも知れない。

ベイルートで、この文章を書き終えようとしている所に、一人はアレッポから、そして、もう一人はダマスカスから、友人の二人のシリア人教育者が短時間訪れた。

“またひどくなりつつありますね”と私は言った。

“ええ”彼らは同意した。“私がこの旅行にでる直前、ダマスカスの私の近隣で、テロリストが発砲した銃弾で、子供が二人亡くなりました。”

“アメリカはシリアを直接攻撃するかも知れないと言っています”と私は言った。

“連中はいつも脅しています。”彼らは言った。“我々は恐れていません。我々は我が国を守ると固く決心しています。”

新たな危険にもかかわらず、意気盛んなシリア国民は続々と祖国に戻りつつある。帝国は、彼らをその勇気、愛国心と決意のかどで罰しようとするかも知れない。だが彼らは恐れてはおらず、しかも、彼らは孤立してはいない。ロシアや他の同盟者たちが‘現地で’シリア防衛を支援する用意ができている。中東全てが注目している。

アンドレ・ヴルチェクは、哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼はVltchek’s World in Word and Imagesの作者で、革命小説Auroraや、他の書籍数冊の筆者。“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2018/03/16/syrian-refugees-are-going-home-the-west-ready-to-attack-2/
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とうとう、ジョン・ボルトン補佐官(国家安全保障問題担当が実現。

最近 この記事の原文があるNew Eastern Outlookウェブ、非常につながりにくい。タイムアウト、ページ読み込みエラーになる。そこで、今回記事は、筆者には申し訳ないが、原文通りのリンクや整形をしないままだ。

東京都迷惑防止条例改悪、平然と進められる恐ろしさ。大本営広報部の側面支援も大きいはずだ。

日刊IWJガイド・番組表「自民党・和田政宗議員が野党に向けて放った牽制球が巨大ブーメランとなって自民党に突き刺さる! 国有地の格安払い下げの日本航空学園で、自民党・赤池誠章議員が校長を務めていた!/国会前のデモも、市民団体による政府監視活動も規制されかねない!? 東京都迷惑防止条例改悪について、岩上安身が立憲民主党・川田龍平参議院議員に訊く!」2018.3.22日号~No.2016号~

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