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2024年2月23日 (金)

ウクライナ戦争の結末に備えて計画しているアメリカ

ソーニャ・ファン・デン・エンデ
2024年2月20日
Strategic Culture Foundation

 ランド研究所によれば、アメリカ合州国には、戦争の好ましからぬ「後」と、戦争のより好ましい「後」の二つのシナリオがある。

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 最近、アメリカの政策立案で著名なシンクタンクがウクライナでの戦争のいわゆる結末に関する長い報告書を発表した。

 アメリカがもう一つの代理戦争に敗北しつつあることをヨーロッパ衛星諸国と共にワシントンとNATO同盟諸国は認めざるを得ない。以前連中はアフガニスタン(20年以上後、第二のベトナム)で敗北し、最近ではシリアとイラクで、そして今ウクライナで敗北した。

 ヨーロッパのいわゆる「ロシア専門家」さえウクライナが敗北しつつあると認めている。

 「今年ウクライナが戦争に負ける可能性を私は排除しない。ロシア軍をヨーロッパは見誤っている」とベルギーの「ロシア専門家」ヨリス・ファン・ブレイドがDe Standaardに語っている。

 ロシアが再び主導権を握っており、ロシア人は戦争を止めるつもりはないと彼は考えている。「欧州をより安全にする歴史的機会を我々は逃した」

 ランドの研究によれば、二つシナリオがあり得る。いわゆる「厳しい」と「穏やかな」戦後だ。もちろん、アメリカには、旧ユーゴスラビアでしたように、操作やクーデターやロシアのバルカン化(分割)の余地がまだ残されている、穏やかな戦後という結末を望んでいる。2022年2月にロシアの特別軍事作戦が始まって以来、ランドによると、欧州における米兵駐留は約10万人に増加した。

 アメリカは攻撃航空機をドイツからリトアニアまで配備した。ドイツからスロバキア、ポーランドにはパトリオット防空システムを。イギリスからポーランドまでF-15戦術戦闘機を。更に最近オランダでそうしているように、ヨーロッパ諸国はルーマニアにF-16を送っている。これらF-16はロシア都市を攻撃する能力がある。これら配備は、ロシアがウクライナを超えて侵略を拡大し、ヨーロッパのアメリカ同盟諸国を攻撃するのを阻止するための戦時強化の一環だとワシントンは言っている。

 ヨーロッパ指導者連中は、ほとんど狂乱状態だ。モルドバ、バルト三国、ポーランドを皮切りに、ロシアはヨーロッパを次々侵略すると彼らは主張している。最近NATOに加盟したスウェーデン同様に、オランダやドイツやフランスは、ロシアからの攻撃を予期するよう国民に警告している。

 政治家連中の常軌を逸した言説に国民は怯えている。徴兵制を復活しなければならず、ドイツではパスポート授与で移民(兵役可能な男性が約150万人)を誘い込んで召集する構想さえ用意されている。

 NATOを脱退し、欧州に自力で防衛させることを示唆する発言を共和党のドナルド・トランプ候補がした後、欧州の指導者連中はアメリカの次期大統領選挙も懸念している。自分たちをアメリカが見捨てかねないと彼らは懸念しているのだ。

 最近ブリュッセルで開催されたNATO会議では、多くの戦争言説が語られた。「我々は予期せぬ事態を想定しなければならない時代に生きている」とオランダのNATO提督ロブ・バウアーが述べた。一方、デンマークとドイツの国防相は、5年以内にロシアと戦争になる可能性があると警告している。

 今後数年内に「厳しい」シナリオになる可能性が高いとアメリカと欧州の首脳は想定している。大企業が支配するマスコミ代弁者を通じて、ロシアは遥かに「リスク受容的」になりつつあると連中は主張している。したがって「厳しい」姿勢が、ロシアの侵略とされるものを抑止するNATOの能力を高める可能性があると想定されているのだ。

 今年もまた、ドイツ、バイエルン州で開催されるタカ派ミュンヘン安全保障会議の時期がやってきた。これは、2007年にプーチン大統領が有名な演説を行い、一極世界が終わり、近い将来に多極世界が出現することを明確にしたフォーラムだ。プーチンの予想は、欧米諸国指導者簾中を大いに悔しがらせた。

 今年ミュンヘンでの主題は、トランプのNATO弱体化案とされるものにより活発化している。アメリカによる防衛という主張は、一部欧州政治家の中で緊急性を増している。ウクライナは武器と弾薬が不足していると彼らは公然と語っている。戦場でロシアは5倍も優位だ。しかも約600億ドル相当のアメリカ支援案が先週上院で承認されたが、共和党が多数を占める下院が拒否する可能性もあり、今のところそうなりそうだ。

 一方、ヨーロッパはこのギャップを埋められず、それゆえ、アメリカと西欧のための代理戦争でウクライナが負けることになる。

 ウクライナのウラジーミル・ゼレンスキー大統領の出席に加えて、ヨーロッパ指導者やロビイストは、ミュンヘンの機会を利用して、共和党上院議員や下院議員にウクライナを(金で)支援するよう働きかけるだろう。アメリカ以外で、今年のミュンヘン安全保障会議ほど多くのアメリカ政治家が一堂に会する場所はない。

 以前からゼレンスキーの会議参加は予想されていたが正式確認はされていなかった。

 昨年西側諸国政治家と安全保障政策専門家による最も重要な会議を彼はビデオで開催した。約二年前ロシア特別軍事作戦が始まって以来、今回初めて彼が直接参加している。彼は自分の立場に不安なのだ。アメリカとEU/NATOのための代理戦争に彼は負けつつあるのだ。

 俳優でウクライナ大統領のゼレンスキーは将来のヨーロッパ支援を必死に確保したがっている。

 ミュンヘン会議には、ジョー・バイデンの代わりにカマラ・ハリス米副大統領が出席する。バイデンの認知症が更に悪化し、来られなくなったという噂が西側メディアで流れている。11月の大統領選挙でバイデンが勝利した場合、二期目の必然的引退は避けられず、ハリスが次期大統領になるのだろうか。それが、おそらく狙いだろう。

 プーチン大統領が言った通り、トランプよりもバイデンを彼は勝たせたいのだ。外交的にバイデンは「伝統的な」政治家で、もちろん気まぐれで予測不可能なトランプよりも、バイデン/ハリス民主党政権の方が理解しやすく評価しやすいことを意味する。

 欧米諸国の覇権とされていたものが粉々に崩壊しつつあるというのが事実だ。「欧米諸国」は、この戦争に敗北しつつあるのだ。特別軍事作戦の前でさえ、彼らの立場と経済は下降スパイラルに陥っていた。

 彼らを支持する政治家やエリート、世界経済フォーラム(WEF)や他の準国際機関(通常、欧米志向)は、この敗北を穴埋めすべく、表向き、気候変動阻止のためだが、実際は豊富な石油とガス資源に基づく経済を破壊して、ロシアを弱体化させ孤立させようとしている。

 ヨーロッパのいわゆる指導者連中は、実際はアメリカの「臣下」で、熱い戦争に変わりかねない新冷戦を作り出す狙いに奴隷のように従っている。グローバル・サウスに思惑を押し付ける(欧米の)国連アジェンダ2030に反し、西側諸国は外交に期待するのではなく、戦争の道を選んだのだ。全ての人の平和と繁栄のために努力しなければならないともアジェンダ2030は述べている。だから、これは、欧米先進国というより、むしろ今や自らのウソにどっぷり浸かっているウソの帝国による、もう一つのウソだ。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/02/20/us-planning-for-aftermath-of-ukraine-war/

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 東京新聞朝刊 特報面

ウクライナ侵攻二年

問われる日本の支援

早くも復興ビジネス全面

独自の平和外交どこへ

原則を転換 米へ迎撃ミサイル
広島サミット「核抑止論」を肯定

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