トランプ官邸最後の月は彼の最も危険な時期になりかねない 更新版
2020年12月22日
Sakerブログへのアラム・ミルザイ寄稿
ドナルド・トランプ大統領の任期は残りわずか一カ月。1月20日にはバイデン政権がホワイトハウスを引き継ぐのは避けられないように思われる。トランプ政権は、これまで四年間、イスラム共和国に対して非常に攻撃的だったが、それにもかかわらず完全な戦争を始めるのは思いとどまった。彼が官邸を去ろうとする中、これも全て変化しかねない。
11月選挙の数日後、トランプが「先週、補佐官たちに、イラン核施設攻撃のために、彼が持っている選択肢について質問した」という報道が現れた。
だが「様々な上級補佐官が大統領に軍事攻撃を思いとどまらせた」とニューヨーク・タイムズが報じた。報道によれば、マイク・ペンス副大統領、マイク・ポンペオ国務長官や他の人々が、退任する大統領に、このような動きは、手に負えない状況に陥りかねないと言ったとされている。
NYTは悪名高いウソつきだが、私には、この報道は本当と思える。私は長い間トランプは、戦争タカ派とシオニスト過激論者に囲まれた低能だと主張してきた。それにもかかわらず、それら過激論者やタカ派は、まだイランへの直接攻撃の結果を理解できている。他方、トランプはそうではない。シオニストの首領ベンヤミン・ネタニヤフは、トランプが低能なのを知っていて、それにつけこむため出来る限りのことをした。主敵イランに多くの害を与えられるので、ネタニヤフは長年、アメリカ-イラン戦争を夢見てきたが、それで、イスラエルの犠牲はゼロでも、シオニスト至上主義体制を救うために、アメリカ兵が犠牲になるのだ。トランプ政権の戦闘的な「最大圧力」政策と比較して、ジョー・バイデンが、イランに対する取り組みで遥かに控えめなのを知った上で、ネタニヤフが、アメリカ選挙の、わずか数週間後、イラン人科学者モフセン・ファフリザデ博士暗殺を決めたのは偶然の一致ではない。
イランが殉教者ソレイマーニー殺人に対応した際と同様、ネタニヤフとシオニストは、イランが、再び何らかの方法で報復して、イランを戦争に引きずり込むシオニストの罠にはまるのを期待していたのだ。
過去四年間、帝国への忠誠を証明するため、トランプは、イスラエルに多くの「贈り物」をした。トランプが義理の息子ジャレッド・クシュナーを含め、最も極端なシオニストを近くに置いて自身を囲むと決めて以来、ネタニヤフや彼の友人たちに、彼の政権が非常に気前が良かったのは偶然の一致ではない。エルサレムへのアメリカ大使館移転、占領されているゴラン高原の「イスラエル領域」承認、特定のアラブ諸国とイスラエル間の最近の「平和協定」などの全てが、帝国にとって非常に重要な動きだった。大統領最後の月、イラン攻撃というかたちで、トランプがイスラエルに最後の贈り物をする、あらゆるシナリオの可能性に、テヘランは慎重に備えている。
イランに対するアメリカのいかなる攻撃でも、戦争になるだろう。彼らが、ヒズボラや、アル・ハシード・アル・シャアビや、フーシ派や、他の多くの人々が、同盟指導国が攻撃されるのを座視していると予想しない限り、戦争は、あっという間に、地域戦争になるだろう。地域戦争を始める危険にもかかわらず、バイデンが戦争を「引き継ぐ」イスラエルへの究極の贈り物を与えるため、トランプは、このような動きをしかねない。
これはもちろん憶測に過ぎないが、在バグダッド・アメリカ大使館に対する突然の「攻撃」が、クッズ軍司令官ガーセム・ソレイマーニー少将暗殺一周忌のイラン攻撃であれば、アメリカは「反撃する準備ができている」とフランク・マッケンジー大将が述べており、マイク・ポンペオのイランに対して増大する妄想も懸念の種だ。
トランプのイスラエルに対する絶対服従政策は、ネタニヤフのようなシオニスト・タカ派を一層大胆無謀にしただけだ。ビビはバイデン政権にも同じ水準の卑屈を要求するだろうから、ホワイトハウスから去った後、何年もこの痕跡は残るだろう。バイデン就任前に、一体誰が采配を振っているか、ネタニヤフは元副大統領に目に物見せたのだ。
バイデンへの明白なメッセージで、ネタニヤフは「元の核合意に戻ることはできない。我々はイランが決して核兵器を開発しないようにする妥協しない政策に固執しなくてはならない。」と言ったのだ。
バイデンが、どのように「アメリカをJCPOAに戻す」つもりかについて、明らかにしようとしないままでいた事実から、彼が何らかの形でトランプ政権政策を継続することに同意したと私は信じるのだ。
「私は、テヘランに、外交に戻る信用できる道を申し出るつもりだ。もしイランが核合意の厳格な遵守に戻れば、アメリカは、今後の交渉の出発点として協定に復帰する。我々の同盟国と共に、我々は他の懸念事項にも対処しながら、核合意の条項を強化し、拡するために動くつもりだ」とCNNウェブサイト記事に彼は書いた。
合意の条項を「強化する」ことと、「他の懸念事項にも対処する」ことは、合意を何らかのかたちで大きく変えたいとを望んでいるように聞こえる。これはトランプが「最大の圧力」作戦で達成しようと望んだものだった。ドイツのハイコ・マース外務大臣が、突然「核合意プラス」を呼びかけたの偶然の一致ではない。シオニスト帝国とその家臣にとって、突然懸念になり始めたので、イラン・ミサイル計画を合意に盛り込もうと望んでいるのだ。だから、現時点で、元のJCPOAに戻るのは不可能に思えるのは理解できる。
最近イランで、JCPOAがどのように見られるているかという問題がある。多くのイラン人は、JCPOAに、大きな希望を持っていた。彼らは何十年もの制裁とブラックリストの後、最終的に、景気回復の利益を享受が可能になるのを望んでいた。彼らの大部分が、今JCPOAは、アメリカとの外交の失敗の証拠と考えている。彼らにとっては、長い交渉と譲歩にもかかわらず、イランは、いまだに制裁で苦しんでいて、経済的に、JCPOA以前より良い立場にない。これがイランの「保守層」が今年早々、議会選挙で勝利した理由で、彼らが来年大統領も勝ち取るだろうと私が信じる理由だ。
「保守派」が政権を握っている状態で、イランは、JCPOAの規定に復帰することを、さほど容易に望むまい。去年イランは、ワシントンの離脱と、ヨーロッパが、アメリカに立ち向かう能力のなさに応じて、JCPOA合意遵守を縮小し始めた。イランはそれ以来、ワシントンが再度課した制裁のおかげで、何十億ドルにも相当する貿易収入を失っているのに、その経済に与えられた損害補償なしで、一体どうして、イランがJCPOAに復帰したいと望むだろう?
バイデンが権力の座につくと、イスラム共和国は、誕生以来、八番目の大統領に直面することになる。バイデンが、イランや世界の他の国々に対するアメリカ政策を変えると誰も期待していない。イランで、トランプは本当に憎まれており、テロリストと見なされているほどだ。イランのハッサン・ロウハニ大統領は最近こう述べた。「我々は、[ジョー]バイデンが権力の座につくことに決してわくわくしないが、テロリストで、イランの[Covid-19]ワクチン入手を阻止したトランプが去るのを喜んでいる。彼が、基本道徳と人間的原理を忠実に守り損ねたのを我々は嬉しくおもう」
トランプに対する憎悪を私は個人的に理解するし、自制心のない、このような低能者を嫌うのは当然だ。だが怒ると、より大きな構図を見失いがちだ。トランプは色々な意味で望ましい敵だった。アサドは、低能者がどのように公然とシリア石油を盗むのを自慢したか指摘し、何回かそう言った。トランプは、不器用で理不尽な敵で、ヨーロッパ人や多くのリベラル派も、これを理解し、彼と彼の支配を大いに憎んでいた。彼の最大圧力政策は、ワシントンを、どちらかと言うと、自暴自棄で痛ましくしたのに対し、JCPOAが最初に発表された際、彼の前任者はワシントンを真剣な交渉者として描き出すのに成功した。
不幸にも、彼の不合理さには、別の面もある。トランプの非合理的な行動は彼が不正選挙だと見なすものの後、もし、彼が友人のビビ・ネタニヤフに、最後の贈り物を与えると決めれば、多くの人々が命を失いかねない。
この最後の月、中東にとって悲惨なことになりかねないので、この地域の全員、トランプが官邸を去るまで、息をこらしているだろう。彼が何をすると決めるにせよ、イスラム共和国と、その同盟国は総力戦の準備ができた状態でいなくてはならない。
更新:ワシントンは、イランを「阻止する」動きで、原子力潜水艦をペルシャ湾に送った。これと、マイク・ポンペオ、バグダッド・アメリカ大使館に対する「攻撃」とされるものを「イランが支援する勢力」のせいにしているのと、あいまって、我々は非常に危険な状況にある。
記事原文のurl:https://thesaker.is/trumps-final-month-in-office-could-be-his-most-dangerous-one/
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IWJの岩上安身氏による早稲田大学大学院法務研究科教授 岡田正則氏インタビューを拝見して、下記記事を思いだした。
なお、今日の日刊IWJガイドに、午後5時より、上昌広医師インタビュー配信とある。彼のような正論を頑として受け付けない御用分科会や厚生破壊省や政府幹部、愚劣なのではなく、極めて愚劣なふりをして、老人や持病がある方々を一機に粛清する計画だとしか思えない。医療負担を減らし、医療を崩壊させ、宗主国医療保険会社による占領を狙っているのではあるまいか。と、個人的被害妄想はとまらない。
本日午後5時より「岩上安身による医療ガバナンス研究所理事長上昌広医師インタビュー」を冒頭のみオープンで、その後は会員限定で生配信
検索エンジンという名の隠蔽エンジンが、完全に隠しているため、下記の記事、驚くほど、わずかしか、お読み頂けていない。翻訳は四流だが、内容は最高。この通りの政策が着々と推進されている。
かなり昔翻訳したナオミ・ウルフの記事「簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)」残念ながら時宜を得た内容だ。目次は下記の通り。恐ろしいほど、あてはまっている。計画通りなのだ。日本学術会議任命拒否、明らかに、ファシスト日本づくりの一環。日本学術会議任命拒否は、7だろう。桜を見る会やら前夜祭は10だろう。ともかく、ほとんど全部完成しつつある。
- 国内と国外に、恐ろしい敵を作り上げる
- 政治犯収容所を作る
- 暴漢カーストを育成する
- 国内監視制度を作り上げる
- 市民団体に嫌がらせをする
- 専断的な拘留と釈放を行う
- 主要人物を攻撃する
- マスコミを支配する
- 反対は反逆に等しい
- 法の支配を停止する
いわゆる御用マスコミに反対するメディアが、まともな翻訳者によるこの記事を公表しないのか、いまだ理解できない。ともあれ、HTMLなり、PDFなりで、お読み頂きたい。PDFでも、容量301K、大きくないのでご心配なく。
HTML
- 簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)」2016年2月14日、冒頭末尾以外再再掲記事
- 簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)」2013年8月5日、末尾以外再掲記事
- 簡単な10のステップで実現できるファシスト・アメリカ(日本?)」2007年8月26日、最初の掲載時
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