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2023年12月25日 (月)

いつも通り、紅海の涙の関門で負担させられるヨーロッパのアメリカ属国諸国

フィニアン・カニンガム
2023年12月19日
Strategic Culture Foundation

 ガザでのイスラエル大量虐殺停戦を呼びかける声を、とうとう主要ヨーロッパ諸国が上げている。一体何でそんなに時間がかかったのか?

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 ガザでのイスラエル大量虐殺停戦を呼びかける声を、とうとう主要ヨーロッパ諸国が上げている。一体何でそんなに時間がかかったのか?

 70日以上の容赦ない爆撃で20,000人が殺害された野放図なパレスチナ人殺戮を止めるには依然哀れなほど不十分で、全力でイスラエルに要求することからは程遠い。

 しかし今やイギリスやフランスやドイツが停戦を呼びかけているのだ。まあ多少は。イギリスとドイツの外務大臣デービッド・キャメロンとアンナレーナ・ベアボックはイギリスのサンデー・タイムズに二人で記事を書き、そこで「持続可能な停戦」が必要だと述べたが、奇妙なことに「今すぐではない」と付け加えた。

 フランス外務大臣カトリーヌ・コロナはもう少し単刀直入だった。日曜にテルアビブを訪問した際、即時停戦を呼びかける勇気を彼女は奮い起こした。

 数日前ガザで外交官が一人殺害されたことでフランスのやや強い立場は予想されていた。

 それでも殺害に対する憤慨にもかかわらずフランス大臣の言葉は穏やかで、イスラエルのいわゆる自衛権への迎合に満ちていた。恐らく亡くなった外交官がフランスのため働くパレスチナ人ではなくフランス国民だったら、パリはもっと批判的対応をしたはずだ。

 国際法に従って民間人虐殺をやめるようイスラエルに要求する欧州の反応は哀れなものだが、それでもアメリカの立場との乖離は注目に値する。イスラエルの大量虐殺をめぐる国際社会の抗議に、ワシントンは、またもや口先の「自制」要請で圧力の片鱗を見せている。だが、ジョー・バイデン大統領政権は、停戦の呼びかけをことごとく拒絶し続け、イスラエル殺戮機構を無条件に武装させ続けている。

 欧州の計算は一体どうなっているのだろう? 結局、先週時点では、ヨーロッパは停戦を呼びかけていなかった。国連総会での停戦要求投票をイギリスとドイツは棄権した。アメリカはイスラエルとともに反対票を投じたが、153カ国が賛成票を投じた。

 欧州諸国の突然の転換は経済的苦痛に対する懸念で拍車がかかった可能性が高い。

 パレスチナ人と連帯してイエメンが紅海航路を閉鎖したことで、深刻な経済的負担が世界貿易にかかり始めている。イスラエル所有、あるいはイスラエルが運航していると特定された船舶は、いかなる航行も阻止するとイエメンは警告している。だが、このリスクは全ての航行を思いとどまらせている。

 イエメンは紅海南端にあり、事実上ヨーロッパとアジアを結んでい幅32キロメートルの海峡バブ・エル・マンデブに位置している。アジアからヨーロッパへ向かう全ての船がエジプトのスエズ運河に向かい、そこから地中海やヨーロッパ本土へ向かう途中この航路を利用する。

 その名にふさわしいバブ・エル・マンデブ(「涙の門」)は典型的な要衝だ。そこは世界海運業の推定12%を支配している。そしてイエメンがこの要衝を閉鎖したのだ。

 イスラエル船舶数隻を標的にしたイエメン軍攻撃を受けた結果、先週、4つの主要グローバル貨物企業がその船舶の紅海航行を中止した

 4つの船会社は全てヨーロッパを拠点としている。その中には、スイスで登録されている世界最大の地中海海運企業、デンマークのマースク、ドイツのハパグ・ロイド、フランスのCMA CGMが含まれる。

 船舶の紅海利用を止めた5番目の世界大手は台湾に拠点を置くエバーグリーンだ。

 月曜、タンカーに同じ航路を通らないよう命じたとイギリスの石油・ガス大手BPも発表した

 どの企業も、治安状況悪化を理由に海運運航停止を決定している。

 バブ・エル・マンデブが閉鎖されたため、貨物船は遙か南の喜望峰経由でアフリカ大陸を一周しなければならない。この代替航路で、航路は距離が6,000km増すため、燃料消費量増、寄港、補給物流など輸送コストは大幅に増加する。追加経費は消費者インフレ率の上昇につながり、既に脆弱な欧州経済に一層ストレスが加わるはずだ。

 紅海閉鎖の影響を最も受けるのはアジア・ヨーロッパ貿易だ。中国は欧州連合(EU)の最大の貿易相手国だ。アメリカも輸入を中国に大きく依存しているが、欧州経済と異なり、アメリカは太平洋を横断する海運でアジア貿易をしている。

 イスラエル政権が大量虐殺を終わらせるまで「パレスチナの兄弟」を支援する行動を続けるとイエメンは宣言した。

 イエメンはアラブ諸国の中で最貧国かもしれないが切り札を活用している。紅海の関門を閉めて、イスラエルと欧州経済に深刻な打撃を与えているのだ。

 これは、ヨーロッパ主要諸国が、なぜ突然ガザでの停戦を呼びかける発言をしたのかを説明するだろう。イエメンが紅海を封鎖した結果、海運が途絶え、自国経済が深刻なリスクにさらされていることにヨーロッパ諸国は気づいている。イギリスは、もはやEUの一部ではないかもしれないが、依然アジアとヨーロッパの貿易に大きく依存している。

 またしても、ヨーロッパは、アメリカ合州国の属国で、いかなる独立した外交政策も持てない重い代償を払っていることに気づいている。

 アメリカが率いるウクライナでの対ロシア代理戦争は、アメリカよりヨーロッパに遥かに大きな損害を与えている。ヨーロッパ諸国は様々な経済制裁を実施し、重要なエネルギー貿易を遮断し、ワシントンの対ロシア制裁に奴隷的に従っている。特に産業の燃料、ロシアの天然ガスを失ったことでドイツ経済は壊滅的打撃を受けている。

 同様に、ヨーロッパはイスラエルに迎合し、ガザでの大量虐殺で、テルアビブに政治的、外交的隠れ蓑を与え、アメリカ政策に従順に従っている。ウクライナ-ロシア戦争での大失敗と同様、イエメンによる輸送コスト上昇という痛みを負うため、ヨーロッパは今やより深刻な経済的影響を被る立場にある。

 高齢戦犯ヘンリー・キッシンジャーが皮肉ったと言われる通り、アメリカの敵になるのは危険だが、同盟国になるのは致命的だ。

 記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2023/12/19/red-sea-gateway-of-tears-as-usual-uncle-sam-euro-vassals-pay-price/

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 デモクラシータイムス

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