« 史上最悪の取り引き-核の不安のためにアメリカに金を払うオーストラリア | トップページ | ブッシュ時代のネオコンはイラク(と他の全て)について口をつぐむべし »

2023年3月22日 (水)

中国との戦争でオーストラリアは岩と国防総省の間で板挟み

2023年3月14日
ケイトリン・ジョンストン

この記事の英語音声を聞く。

 オーストラリア・メディアによる執拗中国 との 戦争プロパガンダ猛攻の一環として、政府が運営するオーストラリア放送協会はAUKUS原子力潜水艦協定に関し新たに明らかにされた詳細についてRNブレックファーストでラジオ番組を放送し、この協定の熱狂的支持者である二人のゲストを出演させ、この協定の熱狂的な支持者のもう一人が司会をした。

 ゲストの一人、元オーストラリア財務官で駐米大使ジョー・ホッケーは、いくつか興味深い発言をした。

 「これは今後数十年、我々をアメリカに固定します。この協定の弟分として将来の交戦で我々がアメリカが言う通りにしなければならないリスクはありますか?」と司会のパトリシア・カルベラスがホッケーに尋ねた。

 「我々は既に米軍と完全に統合されており、確実に100年以上前からそうだ」とホッケーは答えた。「我々は過去100年間全ての主要な戦いで彼らと共に戦った世界唯一の国だ。そして既に今日我々の海軍の多くはアメリカの戦闘システムであるイージス戦闘システムを持っている。我々のコリンズ級潜水艦はアメリカ魚雷を使用している。...。通信システムや統合など、あらゆる主要な点で、我々は既にアメリカの技術を使用しており、アメリカ・システムと統合されている。だから、その点新しいことは何もない。」

 これは本当だ。オーストラリアは米軍と不可分に絡み合っており実際あらゆる意味で米軍と諜報機関の手先に他ならず、米海軍はアジア太平洋地域のあらゆる海中活動の全面的潜水艦基地としてオーストラリアの利用を計画していると報じられている。昨年リチャード・マールズ副首相兼国防長官はオーストラリア政府が主権を外国に完全に譲ったことを信じられないほど厚かましく昨年述べて、オーストラリア国防軍は米軍との「相互運用性を超えて互換性」に移行し素早く「シームレスに迅速に運用」できるようになっていると述べた。

 

 この潜水艦計画でオーストラリア国民が数千億ドル負担することを問われたホッケーは「失敗した場合の代償は投資経費より遙かに大きい」と述べ、新しい潜水艦の抑止力がなければ攻撃を受ける可能性があるオーストラリアの港や航路に言及した。

 この主張はウソだ。オーストラリア・テレビ・シリーズ「ユートピア」でユーモラスに説明している通り、中国はオーストラリアの港や航路を攻撃するのを「阻止」されているとされる大国で、中国はオーストラリア最大の双方向貿易相手国なので、これは中国との貿易を、中国から守るため数千億ドルを効果的に注ぎ込んでいることを意味する。

 現実にはオーストラリアは中国に対して防衛するために対中国武装をしているのではない。オーストラリアはアメリカに対して防衛するために対中国武装をしているのだ。

 この動態はオーストラリア・シンクタンクCentre for Independent Studiesでのアメリカ人政治学者ジョン・ミアシャイマーによる2019年講演でグロテスクな姿の全貌が示された。いつもの不快なほど率直な態度で、中国の台頭を止め、この地域で支配的大国になるのを阻止するためアメリカはできる限りのことをするつもりで、オーストラリアはその戦いでアメリカと連携すべきで、さもないとワシントンの怒りに直面するとミアシャイマーは聴衆に語ったのだ。

 「話題の問題は中国の台頭に対しオーストラリア外交政策がどうあるべきかということだ」とミアシャイマーは言った。「私がオーストラリア人だったら何を提案するか教えて差し上げよう。」

 ミアシャイマーは中国は経済成長を続け、経済力を軍事力に転換し「アメリカが西半球を支配しているように」アジアを支配するだろうと述べ、アメリカと同盟諸国がその実現を阻止するあらゆる能力を持っていると考える理由を説明した。

 「さて問題は、これがオーストラリアにとって何を意味するのかということだ。」ミアシャイマーは言った。「まあ皆様は確かに困惑している。誰でも困惑が何か知っている。ちなみに東アジアでこの困惑に陥っているのは皆様だけではない。皆様は中国と多くの貿易をしており、その貿易は皆様の繁栄にとって非常に重要で、それに疑問の余地はない。安全保障面で皆様は本当は我々と一緒にいたい。それは理にかなっている。皆様が生き残れなければ繁栄できないのだから皆様は安全が繁栄より重要だと理解しておられる。」

 「今一部の人々は代替案があると言う。皆様は中国と一緒になれるのだと」とミアシャイマーは言った。皆様には選択肢がある。皆様はアメリカではなく中国と一緒になれる。それについて私が言うことは2つある。第一、皆様が中国と一緒になるなら皆様は我々の敵だと理解されたい。その後、皆様はアメリカの敵になると決められたのだ。繰り返すが、我々は激しい安全保障競争をしているのだ。」

 「皆様は我々側につくか、我々に敵対するかのいずれかだ」と彼は続けた。「そして、皆様が中国と広範に貿易し、中国と友好的なら、皆様はこの安全保障競争でアメリカを弱体化させていることになる。我々の視点から見れば皆様は獣に餌を与えているのだ。そして、それは我々を幸せにすることははない。そして我々が幸せでない時、我々がどれほど厄介になるか皆様過小評価されぬよう。フィデル・カストロにお聞き願いたい。」

 オーストラリア・シンクタンクの聴衆の神経質な笑い声がミアシャイマーの扇動的発言を中断した。CIAは何度もカストロを暗殺しようと試みたことが知られている。

 だから、オーストラリアが自国の安全保障と経済的利益と直接矛盾して主要貿易相手国に対し勝てない戦争をする準備をしていることに皆様が混乱しているのは、それが理由だ。オーストラリアが究極的には中国よりもアメリカを恐れているためだ。

 ジョー・ホッケーの主張と逆に、「失敗の代償は投資経費より遙かに大きい」ためアメリカ戦争機械に更に組み込まれるためにオーストラリアが数千億ドル支払っているのではない。実際これら数千億ドルはマフィアへのみかじめ料のようなものだ。我々はボスに分け前を支払い、我々の仕事の邪魔をし我々を散々痛めつけないようにしているのだ。

 アメリカ外交政策を研究している人なら誰でもそれが真実だと知っているにもかかわらず、誰もこれについて話さない。オーストラリアのプロパガンダ屋連中は皆、我々が北京に対するワシントンの瀬戸際政策に同調しなければ中国が我々に何をするかという話をでっち上げるが、我々が同調しなければ、アメリカが我々に何をするかは決して話さない。我々が世界で最強力な政府に計り知れない恐怖の戦争で戦う準備を強要されているという事実を、我々に余り深刻に考えさせたくないためだ。

 オーストラリアは岩と国防総省の板挟みだが、それはアメリカのせいだ。アメリカは一極覇権を確保する必死の試みで、中国と欧米勢力同盟との間のこれらあらゆる敵意を画策している原因で、アメリカは他の国々が命令に従わない場合、どのような運命が彼らに降りかかるかを思い知らせる恐怖を作り出している原因だ。アメリカは(A)我々の経済を破壊し、核のハルマゲドンの危険を冒しながら、想像を絶する恐ろしい戦争の歯車に息子や娘を投げ込むか、(B)中国より遙かに暴力的で破壊的な政府の報復や仕返しに直面するかの選択を強いられる状況を作り出す原因なのだ。

 この全く耐え難い状況が、現在中国に関する戦争プロパガンダでオーストラリア人が激しく攻撃されている理由だ。我々が本当の情報を理解し、普通の考えをすることが許されたら健全な人がこれに同意するはずなどない。

 しかし、それが我々がいる場所で、それが起きていることだと人々が理解するまで事態が良くなることはない。我々はこのことについて話し、我々が今いる状況の現実を皆が理解できるよう助けなければならない。結局人類はアメリカ帝国の束縛から解放されるまで、健全になる可能性を得られるまい。

___________________

 私の記事は全て読者のご支援によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、FacebookTwitterSoundcloudあるいは、YouTubeをフォローするか、Ko-fiPatreonPaypalのチップ入れにいくらか投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトか、Substackでメーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。人種差別サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事でも)再配布、使用、翻訳されるのを私は無条件に許可している。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリック願いたい。全ての記事はアメリカ人の夫ティム・フォーリーとの共同執筆。

 ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

 気に入っていただけただろうか? Patreonで、ケイトリン・ジョンストン支援のために、1秒時間をかけて頂きたい!

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2023/03/14/on-war-with-china-australia-is-caught-between-a-rock-and-a-pentagon/

----------

 元首相キーティング氏のオーストラリア政府批判は鋭い。こういう主張を放送する国営放送ABCは立派。NHKとは天と地の差。

IN FULL: Former PM Paul Keating criticises AUKUS pact and discusses relations with China | ABC News 58:58

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

ロシア、対アフリカに外交攻勢。ロシアは黒海穀物協定の延長に同意するための条件(国営農業銀行のSWIFT金融メッセージングシステム利用、露農業会社保有外国資産と口座のブロック解除)提示。プーチン合意なければアフリカに穀物の無料提供を発表

 電撃訪問で『同病相憐れむ』傀儡督戦怪談 和平を進めるプーチン・習会談と大違い。
 戦争奨励に理解を示す立憲民主は実態、壊憲非民主。自民と同じ穴の狢。キーティング氏の爪の垢を煎じて飲め!

 植草一秀の『知られざる真実』

キエフ行き競う無意味さ

 日刊IWJガイド

「総務省『行政文書』の高市元総務大臣に関する記述について、文書作成に関わった3人の官僚が総務省の調査に『捏造との認識はない』と証言!!」

岸田総理がウクライナを訪問! ゼレンスキー大統領との首脳会談で「ウクライナへの連帯と揺るぎない支援」を表明!! 腐敗認識指数世界116位という、世界有数の腐敗国家ウクライナで、日本人の善意と血税の人道支援が、マフィアに支配されるブラックマーケットに横流しされないか大きな不安が!! きちんとウクライナ国民に届くように、日本政府は流通にも責任を持つべき!

« 史上最悪の取り引き-核の不安のためにアメリカに金を払うオーストラリア | トップページ | ブッシュ時代のネオコンはイラク(と他の全て)について口をつぐむべし »

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

中国」カテゴリの記事

Caitlin Johnstone」カテゴリの記事

オセアニア・クアッド」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 史上最悪の取り引き-核の不安のためにアメリカに金を払うオーストラリア | トップページ | ブッシュ時代のネオコンはイラク(と他の全て)について口をつぐむべし »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ