ウクライナ

2024年12月13日 (金)

エリート主義的暴政が暴露され、崩壊しつつある「欧米民主主義」



フィニアン・カニンガム
2024年12月6日
Strategic Culture Foundation

 欧米「民主主義」は吸血鬼のようなものだ。高潔なふりをして、何の罰も受けずに、長年にわたり多くの人々の血を吸ってきたのだ。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:[email protected]

 いわゆる指導者と連中に忠実なメディアが、エリート主義と犯罪的利益を追求しながら、国民に対して全く説明責任を負わない姿勢を示すにつれ、欧米民主主義の茶番劇は急速に崩壊つつある。

 麻薬中毒で凶悪な息子を恩赦するため、バイデンは大統領権限を行使した ― 恩赦はしないと約束していたのに。シリア紛争の激化は「内戦」で、NATOが支援する代理テロリストによるものではないと欧米メディアは主張している。ガザでの大量虐殺と、長年の汚職に対する法廷での訴追を逃れるため大量殺人をしているファシスト・イスラエル指導者を欧米は支援している。ロシアに対する代理戦争が核による絶滅に発展する恐れのある、マネーロンダリングをするキーウのネオナチ政権を欧米は支援している。選挙で親EU派集団が敗北した後、ジョージアでの反政府暴力を欧米は支援している。親欧米の韓国指導者は、汚職の訴追を避けるため戒厳令を宣言した。

 これは欧米衰退のイメージをより多く表すほんの一例に過ぎない。

 今週のドイツのアンナレーナ・ベアボック外相の中国訪問は、またしても露骨な失態だった。強迫的な反ロシア派、ベアボック外相が北京に降り立ったのは欧州連合(EU)最大の世界的パートナーとの貿易関係改善を優先するためではなく、ウクライナにおけるロシアの戦争努力を中国が支援しているという退屈な疑惑で中国を威圧するためだった。

 一体どちらがより重要か? 中国と仲良くして貿易を拡大し、何百万人ものドイツ人とヨーロッパ人の雇用を増やすのか、それともウクライナでの無分別な代理戦争に理由もなく見栄を張るか?

 当然、中国当局はベアボックの横柄な態度に不快感を覚え、彼女を軽視した。中国の王毅外相は三時間以上の協議後、慣例となっている共同記者会見を開かず、ベアボックを無視した。別声明で、ウクライナでロシアを軍事的に支援しているという主張を中国は再度否定した。

 というわけで、連立政権が崩壊し、新たな選挙に直面しているため、間もなく職を失うことになるドイツ外務大臣が、EUとの年間貿易額が7000億ドルを超える中国との関係を悪化させるため、税金で北京に飛んだのだ。

 北京での単独記者会見で、ベアボックは傲慢さを倍増させ、中国がロシアを支援しているため、欧州の平和と安全が危険にさらされていると非難した。

 アジアをウクライナとの戦争にロシアのプーチン大統領が引きずり込んでいると彼女は主張した。

 二重思考は驚くべきものだ。ドイツ、欧州連合、NATO、アメリカは、ウクライナにおけるロシアに対する無謀な代理工作のせいで、全世界を戦争に引きずり込むため、あらゆる手を尽くしてきた。この賭けの完全な失敗は、欧州とアメリカの納税者に合計2000億ドルの損害を与え、恐ろしいことに、核戦争へとエスカレートする恐れさえある。

 アジアをロシアがウクライナ戦争に引きずり込んだとベアボックは非難し、現実を逆転させた。代理戦争を中東やアジアを含む他地域に拡大しているのは、アメリカやNATOやヨーロッパの大西洋主義指導者連中だ。

 アルカイダとつながる国際的に禁止されているテロ組織ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS)の旗の下で活動するテロリスト民兵によるシリアでの暴力激化を欧米諸国のいわゆる民主主義国とNATOは支援している。ウクライナ軍関係者とトルコ(つまりNATO関係者)がドローン技術でシリア過激派を支援している確実な報告がある。

 ウクライナにおけるアメリカ主導のNATO代理戦争は、崩壊しつつあるキーウ政権に対してロシア軍が着実に前進する中、明らかに、うまくいっていない。シリアで休眠状態にあるNATO代理戦争を激化させるのは、同盟者バッシャール・アル・アサド大統領支援にロシア軍を転用させるための苦肉の策だ。

 レームダック状態のジョー・バイデン大統領は、来月ホワイトハウスを去る前に、キーウ政権を支えるため必死に数十億ドルを投じている。ウクライナでの失敗した戦争挑発にうんざりしたアメリカ人が一部で彼を退陣に投票したにもかかわらず。

 この大統領は、今週息子の有罪判決を恩赦し、数年間の懲役刑を免除した大統領と同じ人物だ。

 自分たちは法の適用を受けないと考え、一般市民の利益を代表することを軽蔑するエリート政治家に運営される寡頭政治に欧米民主主義国家が堕落したことを示すには、あと一体どれだけ証拠が必要なのだろう。

 欧州連合全体が大西洋主義エリート層に掌握され、一般市民の利益でなく、欧米諸国の覇権的権益にかなう政策を押し付けられている。これはまさに反逆罪の定義だ。

 フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのオラフ・ショルツ首相、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も、大西洋主義の専制政治を体現する買収された政治家連中だ。現在NATO事務総長を務める元オランダ首相マーク・ルッテ(閑職と賄賂は我々だ)やポーランド首相ドナルド・トゥスクもその例だ。デンマーク、フィンランド、スウェーデン、バルト諸国の弱小指導者連中もアメリカ属国クラブの一員だ。

 エリート主義のイデオロギーと根深いロシア嫌いに染まり、賄賂に誘惑され、あるいはCIAの脅迫に屈し、こうした政治的売春婦連中は、ヨーロッパ市民の利益を裏切り、大衆の生活を信じられないほど過酷にするために利用されてきた。ロシア・エネルギーは遮断され、ヨーロッパ経済は崩壊した。ドイツは、エネルギー費用上昇により、重要な自動車産業が崩壊している最も顕著な例だ。

 もう一人の馬鹿げたエリート傀儡は元エストニア首相のカヤ・カラスだ。彼女は現在、大西洋主義者のもう一人の手先、ジョセップ・ボレルの後任として欧州連合の外務大臣を務めている。今週の就任初日、カラスはキーウを訪れ、腐敗したネオナチ政権への更なる財政・軍事援助を約束した。そう、任期満了した大統領が選挙を中止し、野党政治家を投獄し、批判的な独立系メディアを検閲し、ロシアとの紛争終結を望む国民に兵役を強制しているネオナチ政権を彼女は訪問したのだ。関係修復のためにEU最大の貿易相手国である中国を訪問した方がよかったとカラスは思わないのだろうか?

 キーウ滞在中、カラス外相は北京のドイツのベアボック外相と連携し、ロシアとの戦略的提携をめぐる根拠のない中国非難を繰り返した。

 ロシアとの貿易関係を中国が維持し、ロシア・ガスを購入するなどして、ウクライナ戦争を長引かせているとカラスは非難した。

 人口150万人未満の小さなバルト諸国出身のこの政治家が、現在、総人口4億5000万人のEUの外交政策を運営している。

 大西洋主義エリート層に典型的なロシア嫌いにとりつかれたカラスは中国がロシアを支援しているという根拠のない疑惑を理由に、より高い貿易関税を中国に課すと脅している。

 ロシアを「戦略的に打倒する」アメリカ帝国主義の計画にEUは闇雲に従って、既に自ら災いを招いている。今、同じエリート政治家連中が、中国との関係を破壊して、ヨーロッパの利益に対する裏切り行為を一層悪化させようとしているのだ。

 だが破綻した民主主義の見せかけという大西洋主義イデオロギーへの卑屈な隷属は自己破壊を伴って跳ね返っている。欧米諸国政府(実際は政権)と信用を失ったエリート・ペテン師連中は嘘と矛盾に対する国民の嫌悪感の高まりにより政権から追い出されつつある。

 何十年も「民主主義」を装ってきた酷い腐敗と欺瞞を国民が目撃するにつれ、欧米諸国は根底から揺さぶられている。

 欧米「民主主義」は吸血鬼のようなものだ。高潔なふりをして、何の罰も受けずに、長年にわたり余りに多くの人々の血を吸ってきた。しかし、真実の光に照らせば、それは腐敗し、崩壊しつつある。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/06/the-elitist-tyranny-of-western-democracy-is-exposed-and-crumbling/

----------

 Judging Freedom
Larry Johnson : Putin’s Warning to the US. 28:42

2024年12月10日 (火)

アメイジング・グレース(素晴らしき神の恩寵)!バイデンの許しの奇跡



ロレンツォ・マリア・パチーニ
2024年12月5日
Strategic Culture Foundation

 父親ジョーは息子ハンターを許し、クリスマスは救われた。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:[email protected]

素晴らしき神の恩寵、なんと甘美な響き
私のような惨めな者を救ってくださった

(アメイジング・グレイス、ジョン・ニュートン、1772)

 サンタクロースが町にやって来て、目立つようにホワイトハウスの煙突の下に素敵なプレゼントを置いていった。パパのジョーは息子ハンターを許し、クリスマスは救われた。

 飛行機のタラップで

 クリスマス・カルトの一場面のようだが、実際こんなことが起きたのだ。アンゴラに初めて向かう飛行機のタラップで、脱税と武器購入の罪で有罪判決を受けた息子ハンターの全面恩赦を命じる文書に退任するジョー・バイデン大統領が署名した。ハンターの麻薬中毒の過去は伏せられていた。判決は12月12日から16日の間に言い渡されるはずだったが、キリスト教的価値観と善良な心で息子を刑務所から救うと善良なジョーは決断した。

 今年もまたクリスマスは救われ、善行が行われ、世界はより良い場所になる。結局、誰でも二度目の機会を得る権利があるのではなかろうか?

 選挙の100日前にジョー・バイデンは党から辞任を強いられ、選挙に出馬している副党首カマラ・ハリスにその座を譲った。無視するような態度に失望した彼は、思慮深く父親としての愛情を十分に示して埋め合わせをした。発令された恩赦は、法廷で罪を認める司法取り引きに応じた息子に対する全ての刑事責任を完全かつ無条件に取り消すもので、バイデンを「偽善者」と呼ぶドナルド・トランプの憤慨を招いた。トランプが抱えている34件の有罪判決は言うまでもないが、選挙に勝ったため無期限に延期されている。告発された偽善は、2020年1月6日の国会議事堂襲撃と関連付けられており、この襲撃に関わった「アメリカ人愛国者」の一部は今も刑務所に収監されており、ジョーから恩赦を受けてはいないが、選挙公約に従ってドナルドから恩赦を受けるかもしれない。土壇場での恩赦はアメリカで定番だ。2020年、前日パリの新大使に提案されたジャレッド・クシュナーの父チャールズをトランプ大統領は恩赦した。当時、チャールズは売春婦を雇って夫を誘惑させ、その後セックステープを送りつけて証人を脅迫した罪で投獄されていたが、証人はチャールズの妹だった。チャールズはこれからフランスに飛ぶ。ジャレッドがイヴァンカ・トランプの娘の夫で、特使として中東に派遣され、サウジアラビアの金庫から約20億ドルを受け取って投資会社を設立したことはほとんど問題ではない。だがアメリカ歴史書は、フォードがニクソンを恩赦したことや、クリントンが兄ロジャーの履歴書をきれいにしたことなど、他の例が満載だ。

 つまり、アメリカ人は心の底では善良なのだ。

 民主主義の漫画

 この事件は陳腐ではあるが、私たちに考えさせるものだ。この事件について「これは民主主義の漫画だ」とうまくマリア・ザハロワは表現した。再び危機に瀕しているのは、法の支配(あるいはわずかに残された法の支配)で、それは、少しの感傷と個人的利益の保護のために売り渡され、法律と国家を構成する権力の均衡そのものに違反している。

 法の支配(Rule of Law)は、アメリカ法などのコモン・ローシステムと大陸法システム両方の基本原則だ。一般的に、それは全ての人(個人、政府、公的機関、私的機関)が法の対象となり、法により平等に保護されることを意味する。アメリカの文脈で、法の支配は特定の特徴を帯びている。まず第一に、憲法は最高法で、全てそれを尊重しなければならない。最高裁判所は憲法解釈者の役割を果たし、法律や行為が憲法に定められた基本的権利を侵害しないことを保証する。法の支配は、立法権は議会、行政権は大統領と連邦政府機関、司法権は連邦および州の裁判所という古典的な三権分立によって保証されている。これら三つの権力のバランスをとることで権力の集中と乱用が防止されるのだ。

 確かに、ハンター・バイデンを巻き込んだ一連の出来事や決断や噂話の破壊的寓話は、そうする「権限」があるうちに拭い去らなければならない汚点であり、後では決して拭い去れない。実際、ハンターがウクライナや中国企業の役員会に参加したこと、アメリカ外交と対立したこと、父親の大統領職を乱用したことなど、他の「犯罪」(引用符が必要)や利益相反には何も言及されていない。

 アメリカ政治のわずかな構造的確実性を破壊する過程は、今始まったわけではない。バイデンに関する、この事実は、数ある事実の一つで、最もスキャンダラスな事実でもない。全員大笑いして彼の任期は終わるだろう。結局、そこには共和党と民主党のどちらにも当てはまる非常にアメリカ的なものがあるからだ。ビジネスはビジネスで、正義があっても、自力で成功した男は、常に自らの名誉を回復できなければならない。そのような場合、全ての政党が目をつぶる。

 行政国家の解体は、FBI長官に任命されたカシュ・パテルが実行することになる。パテルは、法機関が政府の延長である「帝国」大統領制の熱心な支持者だ。彼の計画には、大統領の権威主義的権力への復讐と強化の装置としての法制度の全面的再構築がある。司法の独立性(もし以前あったとすれば)は、これで終わりだ。

 赦しも、また関心事なのは周知の事実だ。ジョーは飛行機に乗るため、ほんの数歩歩いただけで息子を赦免した。これは、2021年に、関与した何千人もの学生と家族の5万ドルの学生ローン債務を「そうする権限がなかった」という理由で免除しないと宣言した時とは違う。ホワイトハウスは、この声明を直ちに否定し、現行法の下での彼の権限を強調した。おそらく、売春婦とのパーティーや、乱交パーティーでのハンターの素敵な写真は、大統領である父親の今や低下した認知機能にとって、より刺激的なのだ。

 重要なのは、クリスマスにふさわしい行為をしたかどうかだ。それが、困っている人々に対して行われたのか、それとも何度も罪を犯した放蕩者の家族の一員に対して行われたのかは問題ではない。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/05/amazing-grace-miracle-biden-forgiveness/

----------

 Daniel Davis /Deep Dive サウジアラビア駐在を経験したアメリカ人元外交官「パンドラの箱を開けた」と表現。
The NEW Middle East Begins, Now that Assad is Gone w/fmr Amb Chas Freeman 44:00
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
シリア;アサド政権の急速な崩壊は外部の人間はほとんど予想できず。であれば今後の展開も予想しうる能力はない。中東情勢に多大な影響を持つシリア情勢で、今度の政変には米、英、仏、露、中のいずれもが関与せず。米国は大シリア解放機構(HTS)をテロ集団とし首謀者の首に報奨金をかけてきた。

2024年12月 8日 (日)

アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由

Salman Rafi Sheikh
2024年12月5日
New Eastern Outlook

 ロシアへのミサイル発射をウクライナに許可したワシントン(とロンドン)の決定は明らかに緊張を高めるが、決定の背後にある謎のほとんどはタイミングで説明できる。

 アメリカ製ミサイルをウクライナがロシアに発射するのをバイデンが許可した理由

 バイデンが無謀だというだけではない。単なる狂気でもない。これは世界的地政学の要素を帯びた政治なのだ。

 大統領選挙と議会選挙の両方で共和党に敗れたバイデン政権は焦土作戦をとっているようだ。2025年に、トランプが就任して、交渉によるロシア・ウクライナ(NATO)軍事紛争解決に向かう前に、退任する政権は、問題を現在より遙かに複雑、致命的にするつもりのようだ。この計算されたエスカレーションの中心にあるのは、トランプの成功と、彼がNATOをウクライナから撤退させ、アメリカ覇権を覆す可能性に不満を抱く、アメリカの「ディープステート」だ。トランプは選挙運動中、戦争を終わらせると主張していた。

 アメリカの「ディープステート」は少なくとも彼に簡単にそうさせたくないのだ。

 NATOの失敗は欧州諸国が独自外交政策の方向性を決める新たな機会を生み出すだろう

 タイミング

 アメリカ製ミサイルをウクライナがロシア領内に発射するのを許可することにバイデン政権は長い間抵抗してきた。今回の発射は、モスクワにとって進行中の紛争の「新たな局面」を意味する。モスクワには、おそらくこれ以外には、物事を見る方法がない。民主党支持派の反応は、この決定は、今後の交渉の可能性を受けて、ロシアに対するウクライナの立場を強化したいというバイデン政権の願望が動機となっているというものだ。だが、これが本当に主な意図なら、なぜバイデン政権は大統領職の絶頂期、つまり例えば1年前に同じ結論に達しなかったのだろう? バイデン政権は、ロシアが交渉の席に着くことを期待して、同じエスカレーションができたはずだ。ただし、バイデン政権がそのような決定を下さなかったのには、一つ、主な理由がある。

 モスクワの対応が、より致命的なものとなり、ワシントンとNATOが対処できる範囲を超えて戦争が激化すると彼らは理解していたのだ。バイデン政権は、致命的な激化は選挙での敗北につながると主張した。彼らは既に選挙に負けており、今更どうすることもできないため、トランプ政権を潰すために意図的に戦争を激化させているのだ。戦争が激化すれば、トランプ政権がロシアと交渉するのが難しくなる。また、トランプ政権がヨーロッパの同盟諸国と交渉するのも難しくなる。問題が複雑になるほど、解決策を見つけるのに時間がかかる。全体として、これで紛争を迅速に終わらせることができなかった責任をトランプ政権に転嫁する政治的機会を民主党に与えることになる。民主党にとって、これは中間選挙で提起できる重要な論点の一つになる可能性がある。

 この決定の背後にある政治を、バイデン政権の主要関係者は間接的に認めた。国務省のマシュー・ミラー報道官は、この決定を擁護し「アメリカ国民はジョー・バイデンを3年10カ月ではなく4年の任期で選んだ。任期中は、毎日アメリカ国民の利益になると信じる外交政策の利益を追求する」と記者会見で述べた。ただし、ここで問題となるのは民主党の利益だけだという点に注意が必要だ。

 反応

 この政治をトランプ政権は理解している。Xへの投稿で、この変更は「父が平和をもたらし、人命を救う機会を得る前に、第三次世界大戦を始める」ことが狙いだとドナルド・トランプ・ジュニアは述べた。これは「エスカレーションの階段をもう一歩上ったもので、これがどこに向かうのか誰にも分からない」とトランプ大統領が国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名したマイク・ウォルツ下院議員がフォックス・ニュースで語った。「移行期間中にウクライナでの戦争をエスカレートさせる」動きをバイデンが見せていると元トランプ政権の閣僚リチャード・グレネルも非難した。「まるで彼は全く新しい戦争を始めようとしているかのようだ。全て変わった。これまでの計算は全て無効だ」と彼は付け加えた。

 この反応は当然だ。なぜなら、ウクライナはATACMSシステムを数十基しか受け取っていないからだ。ウクライナの立場をバイデン政権が本当に強化したいかなら、まず必要なのはこの装置の十分な供給確保だったはずだ。ウクライナが備蓄の全てを余りに早く発射し、意味ある影響を及ぼさない可能性が高いとすれば、このエスカレーションが意味するものは、交渉による紛争終結を遙かに複雑にするだけだ。1月にトランプが政権を握る前に更にエスカレーションが起きれば、そしてエスカレーションは十分あり得るが、今後数ヶ月間、紛争が激化することになる。

 大詰め

 トランプ政権が紛争を終わらせると、ほとんどの人が理解している。第一に、トランプにはアメリカの外交政策上の利益を推進するために軍事紛争を利用するつもりはない。第二に、トランプ政治の中心は「アメリカ第一主義」政策だ。軍事紛争がトランプ陣営にいかに不適合かを理解しているのは、民主党員だけでなく、ウクライナ大統領自身も含まれる。二週間前、トランプが勝利した今、紛争は「より早く」終わるだろうと彼は公言している。

 アメリカ「ディープステート」内の反ロシア陣営にとって、この予想は非常に不安だ。これ以上NATOがヨーロッパに拡大できなくなることを意味するのだ。NATOが失敗すれば、ヨーロッパ諸国がロシアとの関係を含め、独自外交政策の方向性を決める新たな機会を生み出すだろう。実際、これは既に起きている。最近ドイツ首相がロシア大統領と会談したのは、単に紛争終結の可能性について話すためだけでなく、紛争後の二国間関係を把握するためでもあった。更に重要なのは、ドイツが電話会談を開始したことだ。従って、ドイツはロシアからのガス供給を再開する可能性がある。実際、両首脳はエネルギー貿易における「協力」の可能性について話し合った。

 この電話がきっかけで他のヨーロッパ指導者たちが電話をかけてウラジミール・プーチン大統領と話すようになるのではないかとワシントンは恐れている。それはワシントンが状況を制御できなくなることを意味する。そんなことが起きるのをワシントンの連中は望んでいない。従って、紛争を激化させる主な地政学的理由は、既にかなり近づいている終戦を阻止することだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交・内政専門家。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/12/05/why-biden-allowed-ukraine-to-fire-us-missiles-into-russia/

---------

 India & Global Left 長年の中東過激派、名こそ頻繁に変わるが宗教無関係。実態はNATO、アメリカ、イギリス、トルコ、イスラエルが連中の狙いのために仕組む暴力組織とMohammad Marandi教授は切り捨てる。
Mohammad Marandi: Syrian Civil War, Erdogan, Netanyahu, Turkey, Israel, Russia, US, Iran, Palestine.  1:00:28
 デモクラシータイムス
この1年を振り返る WeN20241207

2024年12月 4日 (水)

ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由



マイク・ホイットニー
2024年11月27日
The Unz Review  
地球上のどの軍隊より米軍が優れていると広く信じられていることに私はいつも驚かされる。この信仰は一体どんな根拠に基づいているのだろう? 朝鮮戦争以来、アメリカは本物の戦争に参戦していない。高強度紛争を経験した人は米軍には一人もいない。軍事評論家、ウィル・シュライバー
 
ロシアに対する核による「斬首」攻撃をアメリカが仕掛けて、プーチン大統領と将軍たちが死亡した場合、ロシアには自動的に報復するバックアップ システムがある。死の手システムは、ロシア全土に散在するセンサーから、核攻撃を裏付ける放射線や熱や地震活動に関する情報を収集するよう設計されている。一定時間内に、このシステムがモスクワ司令部から指示を受けない場合、システムは自動的に4,000発の戦術、戦略大陸間弾道ミサイルをアメリカに向けて発射し、アメリカを完全に破壊し、数億人のアメリカ人が焼き尽くされることになる。モスクワの言い分は単純だ。「先制攻撃で指導者が死亡したとしても、我々の『死の手』があなた方全員を殺す」Dead Head 死の手、プラネット・レポート
 ロシアとの通常戦争で、アメリカが勝利するとアメリカ人の多くが信じ続けている。だが、それは全く事実ではない。第一に、ロシアの最先端ミサイル技術とミサイル防衛システムは欧米諸国兵器メーカーが製造するものより遙かに優れている。第二に、ロシアは、激しい戦闘を経験し、将来直面するどんな敵とも交戦する覚悟ができている、百戦錬磨の戦闘部隊を100万人以上配置できるのだ。第三に、もはやアメリカは、優れたロシアの殺傷兵器や砲弾や弾薬や最先端の弾道ミサイル生産に匹敵する工業力を持っていない。要するに、ロシアの軍事力は、本当に重要な分野、つまりハイテク兵器や軍事工業力や熟練した人的資源において、アメリカを遙かに上回っているのだ。この全体的論点をはっきりさせるため私は三人の軍事評論家の著作から抜粋した。これら問題を彼らはより詳細に説明し、現代アメリカ軍の重大な欠点と、技術的により進歩した手強い敵に直面した時に遭遇する可能性がある問題を強調している。最初の抜粋は、アレックス・ヴァーシニンの「産業戦争の復活」と題する記事からの抜粋だ。  
ウクライナ戦争は、依然、現在は産業戦争時代だと証明した。装備や車両や弾薬の大量消費には、補給のための大規模産業基盤が必要なのだ。量には依然質が伴う…。ウクライナにおける弾薬と装備の消費速度は、大規模産業基盤によってのみ維持できる。  この現実は、軍事産業の能力を縮小し、効率性のため規模と有効性を犠牲にしてきた欧米諸国に対する具体的な警告になるはずだ。この戦略は戦争の未来に関する誤った想定に依存しており、欧米諸国政府の官僚主義文化と低強度紛争の遺産両方に影響されてきた。現在欧米諸国は、大規模戦争を戦うための産業能力を持っていないのかもしれない。

 欧米諸国の産業基盤能力

 ほぼ同等の二勢力間の長期にわたる戦争で勝敗を決するのは、依然どちら側の産業基盤が強いかによる。国は、大量弾薬を製造する製造能力を保有するか、弾薬生産に迅速に転換できる他の製造業を保有する必要があるのだ。残念ながら、欧米諸国は、どちらも持っていないようだ…。 最近行われたアメリカ、イギリス、フランス軍による軍事演習で、イギリス軍は8日後に国家備蓄の重要弾薬を使い果たした…。

 誤った仮定

 戦闘の未来に関する一番重要な前提は、精密誘導兵器は標的を破壊するのに弾丸一発しか必要としないので、全体的な弾薬消費量を減らすというものだ。ウクライナ戦争はこの前提に疑問を投げかけている……。二番目に重要な前提は、産業は意のままに稼働したり停止したりできるということだ……。残念ながら、これは軍需用品購入には当てはまらない。砲弾の顧客はアメリカには一つしかない。軍だ。注文が落ち込めば、事業継続のため、メーカーはコストを削減すべく、生産ライン閉鎖しなければならない。中小企業なら完全閉鎖するかもしれない。新たな生産能力を生み出すのは非常に困難で、特に熟練労働者を引き寄せる製造能力がほとんど残っていないために……。部品が下請け業者に生産される可能性もあるため、その下請け業者は、廃業して注文を失うか、他顧客のために設備を一新するか、海外、おそらく敵国の部品に頼ることになるので、サプライ・チェーンの問題になる。
 結論

 同等またはほぼ同等の敵対国間の戦争には、技術的に進歩した、大規模な、産業時代の生産能力の存在が必要なことを、ウクライナ戦争は示している。ウクライナ防衛において民主主義の兵器庫としてアメリカが機能するには、産業基盤を組織する方法と規模についてアメリカは本格的な見直しをする必要がある。独裁国家と民主主義国家間の競争が本当に軍事段階に入ったのであれば、民主主義の兵器庫はまず戦時における物資生産体制を根本的に改善する必要がある。Return of Industria Warfare (産業戦争の復活)、アレックス・ヴェルシニン、Rusi

 結論:ほぼ同等な二勢力間の長期にわたる戦争に勝つための産業基盤や必要な備蓄を、もはやアメリカは保有していない。簡単に言えば、アメリカはロシアとの長期にわたる通常戦争には勝てないだろう。

 最近のツイッター投稿で専門家アナリー・スラッシャーは次のようにまとめている。  
……精密誘導兵器、暗視装置、世界的攻撃など、多くの決定的な能力を、アメリカは事実上独占していた。アメリカと他国の間に、高強度紛争がなかったことが、こうした非対称性に大きく関係していたと私は考えている。アメリカの高度な能力、あるいはその脅威さえ、政治目的を実現するのに十分なら、アメリカが大規模攻撃を行う必要はなかったのだ……。高度な戦闘能力を持つ国々のリストは増え続けている。同時に、欧米諸国の軍隊と防衛産業基盤は衰退し続けている。欧米諸国は、かつて決定的だったが今では益々一般的になっている小規模なアメリカの能力への依存と大規模な常備軍を交換。これにより、欧米諸国は技術的優位性を失い、かつての軍事力も失ったのだ。アメリカの軍事的優位性を依然信じている人々は、こうした変化に気付いていないのだ。更に悪いことに、彼らのほとんどは、ロシア軍事力に関して、漫画のように過小評価された考えを抱いている。彼らは、ロシアが技術的優位性と軍事力の両方を有していることに気付いていない。米軍が持っていた評判は、一時は当然のものだったが全てが変わる。Lee Slusher @LeeBTConsulting
 結論: アメリカの敵国、ロシア、中国、イランは、高度なミサイル技術や無人航空機 (UAV)や電子戦や最先端ミサイル防衛システムなどで、アメリカに追いつくか追い越しており、これにより、アメリカ軍事優位の時代は終わりを迎えつつあり、国家間の均衡は徐々に高まっている。アメリカの世紀は急速に終わりに近づいているのだ。



 次に軍事評論家の二人目、ウィル・シャイバーの話に移ろう。彼はヴェルシニンと似た結論を導き出しているが、少し異なる角度から導き出している。下記をご覧願いたい。  
これまで以上に、アメリカはロシアに対して制空権を確立できないと私は確信している。一週間では無理だ。一年では無理だ。永遠に無理だ。それは単に不可能なのだ。アメリカ軍の現在の能力を遙かに超える兵站上の戦力投射の課題となるはずだ。

 ロシアが配備した極めて強力で豊富な資源を備えた防空軍に比べて、アメリカの航空戦力は大幅に劣っていると判明するはずだ。

 HIMARS発射のGMLRSロケット、HARMSミサイル、ATACMSミサイル、イギリスのストームシャドウ・ミサイルの大部分が現在ウクライナで撃墜されている通り、アメリカの長距離精密誘導ミサイルの大部分も撃墜され、ロシアの反撃能力を圧倒しようとする無駄な試みで、これら弾薬の限られた在庫をアメリカは急速に使い果たすことになるはずだ。

 敵防空網に対するアメリカの抑止能力は極めて不足で、多層構造で機動性の高い防空レーダーやミサイルを打ち破るには不十分だと判明するはずだ。

 ウクライナ戦争は、欧米諸国のあらゆる防空システムが、ウクライナが当初配備した数十年前のソ連のS-300やBukシステムより劣っていることを完全に明らかにした。そして、欧米諸国のシステムがたとえ強力だったにせよ、広範囲かつ徹底した防衛を提供するのに必要な数に近づけるほどの数はない。

 事態をさらに複雑にしているのは、アメリカ軍需品の在庫が乏しく、生産上の制約も克服できないため、ロシアや中国に対してアメリカが空中戦を遂行できるのが、せいぜい数週間という点だ。

 更に、東ヨーロッパ、中国海、ペルシャ湾のいずれかで激しい戦闘が繰り広げられれば、米軍機の整備需要が近隣の供給を圧倒することになる。任務遂行可能率は、平時の悪名高い最低水準よりも更に低下するはずだ。

 アメリカは、文字通りわずか数日後に、F-22とF-35の任務遂行可能率が10%を下回り、保有する他のほぼ全てのプラットフォームの任務遂行可能率が25%を下回ることになる。国防総省にとって大きな恥辱となるだろうが、それほど驚くことではないだろう。
 簡単に言えば、アメリカ航空戦力は、一つ以上の同等の敵国と地域的、世界的な非寛容な戦場状況下では、戦域全体にわたる取り組みとして持続できない。

 東ヨーロッパでは、NATO基地と補給路をロシアが破壊し、バルト海と黒海は事実上、NATO船舶が航行できないロシアの湖になるだろう。

 多くの人々は、これらは根拠のない感情的主張だと確信している。私の見解では、状況の単純な軍事的、数学的、地理的な現実がこれら結論を決定づけており、それに抵抗する人々は、典型的に、アメリカ例外主義の神話と、それに伴う弊害で目が見えなくなっており、物事の本当の姿が見えない。

 もしロシアか中国かイランのいずれかに対して直接戦争をするとアメリカが決めた場合、同時にこの三か国に対する戦争になると私は益々確信しつつある。

 そして驚くべきことに、これは、#EmpireAtAllCostsカルトと、その妄想的計画に同調する人々が、決して勝てない戦争の深淵に向かってよろめきながら進み続ける中、もっと真剣に考えるべき多くの厳しい真実の一つにすぎない。Staggering Towards the Abyss, (深淵に向かってよろめく)ウィル・シュライバー、Substack

 ここで考えるべきことは多々あるが、要するにロシアの優れた防空能力と、アメリカの「乏しい弾薬在庫と克服できない生産限界」をシュライバーは比較検討しており、その組み合わせは、アメリカ軍の攻撃が敵に深刻な損害を与える前に弱まる可能性が高いことを示唆している。またしても、ロシアとの直接対決でアメリカが勝つことはないだろうとアメリカの軍事専門家は推測しているのだ。



 最後に、軍事評論家というより調査ジャーナリストの、キット・クラレンバーグの長文から抜粋する。Collapsing Empire: China and Russia Checkmate US Military(「崩壊する帝国:中国とロシアが米軍に王手」)と題する記事で「帝国の肥大化し腐敗しつつある世界的戦争機構のあらゆる側面に対する容赦なく暗い分析」と彼が呼ぶものをクラレンバーグは詳しく述べている。著者の言うことの半分でも真実なら、ロシアに対するアメリカのエスカレーションは、1945年5月のベルリン陥落以来、世界が経験したことのない軍事的大惨事への近道だと合理的に確信できる。お読み願いたい。  
7月29日、国防総省の2022年国家防衛戦略(NDS)の現状と現在の米軍の準備状況に関する画期的な評価をランド研究所が発表した。調査結果は、厳しく、帝国の肥大化し腐敗した世界戦争機構のあらゆる側面に対する容赦なく暗い分析だった。簡単に言えば、アメリカは主要敵国との真剣な「競争」に意味のある形で「備え」ておらず、あらゆる戦争領域で、脆弱か、大幅に劣勢ですらある。この帝国の世界的支配は、良く言っても、ひどく不十分、最悪の場合は、完全に妄想的だと評価されている。

 ランド報告書から:

 「アメリカが直面している脅威の大きさは過小評価されており、遙かに深刻だと我々は考えている…多くの点で中国はアメリカを上回っている…防衛生産、軍事力の拡大、そして益々の軍事力拡大において、今後もその傾向が続くのはほぼ確実だ…[北京は]20年間の集中的軍事投資を通じて、西太平洋におけるアメリカの軍事的優位性を大幅に打ち消した。アメリカが大変化を起こさない限り、勢力の均衡は中国に有利に傾き続けるだろう。」

 「少なくとも、ロシアや中国やイランや北朝鮮が関与する直接紛争にアメリカが参戦した場合、その国が他の国々から経済的、軍事的援助の恩恵を受けると想定すべきだ…アメリカの権益に反対する国々のこの新たな連携は、どこであれ紛争が多戦域戦争または世界戦争になる可能性はないにせよ、現実的リスクを生み出す。アメリカの敵国諸国が以前より緊密に協力しているため、アメリカと同盟諸国は複数敵対国枢軸に対峙する準備を整えなければならない。」Commission on the National Defense, Rand

 委員会の報告書が詳細に述べている通り、そのようなシナリオで、ワシントンはほぼ完全に無防備となり、ほぼ即座に敗北する可能性が高い。帝国軍隊が「戦闘で抑止力を発揮し勝利できると確信するために必要な能力と能力の両方を欠いている」というのは、グランド・チェス盤全体に薄く広がっているだけではないのだ。

 ワシントンの「防衛産業基盤」は、同盟諸国は言うまでもなく、アメリカの「装備や技術や軍需品のニーズを完全に満たせない」とランド委員会は結論付けた。「特に複数戦域での長期にわたる紛争には、武器と軍需品の生産、維持、補充に、現在より遙かに大きな能力が必要となるだろう」。

 数十年にわたり、米軍は「最先端技術を駆使して決定的優位を築いてきた」。この帝国側の「無敵の技術的優位性という想定」は、ワシントンが「長い取得サイクルや、失敗やリスクに対する低い許容度で、精巧な能力を構築する余裕」があったことを意味した。だが中国とロシアが「加速度的に新技術を取り入れている」ため、そんな時代はとうに過ぎ去った。今アメリカの「防衛産業基盤」は無数の有害な問題に悩まされて崩壊しつつある。

 これらの問題に対処するために、何年にもわたる外注やオフショアリングや無視の後、アメリカを再工業化することを委員会は求めている。期限は示されていないが、おそらく数十年かかるだろう。

 我々は、ソ連のグラスノスチに匹敵する奇妙な後期帝国時代に入ったのだ。アメリカ帝国のブレーントラストの一部は、ワシントンの覇権的世界プロジェクト全体が急速に、不可逆的に絶滅に向かっているのを目もくらむような明瞭さで見ている。Collapsing Empire: China and Russia Checkmate US Military(崩壊する帝国:中国とロシアが米軍に王手)、キット・クラレンバーグ、サブスタック
 またもや、同じ批判が何度も繰り返されるのを目にしている。不十分な工業能力、減少する備蓄、「克服できない生産限界」、そして低下する技術的優位性。これらに加えて、戦闘を経験したことのない経験の浅い志願兵による臨時軍隊で、東ヨーロッパで戦争遂行するという無数の兵站上の問題を考えれば、ロシアとの長期紛争でアメリカは勝利できないし、勝利しないだろうとしか結論できない。それでもワシントンはロシアに向け、ATACMSミサイルを発射し続けている(過去二日間で更に13発発射した)。どうやら、この挑発に対する反撃はないと考えているようだ。それでもNATO司令部は、NATOとロシアの直接衝突の可能性を歓迎し、ロシア領土への先制的「精密攻撃」を追求し、勝利の幻想を抱き続けている。そして、フランスとイギリス両国は、戦争の避けられない軌道を何とか逆転できると考えて、ウクライナに戦闘部隊を派遣すると脅している。狂気だ。

 五世紀にわたる覇権は、傲慢さに酔いしれた欧米エリートの一団を生み出し、他の誰にとっても痛いほど明らかな事実、つまり欧米による搾取という帝国モデル (「ルールに基づく秩序」) は崩壊しつつあり、新たな権力の中心が急速に出現している事実が見えないほどだ。現在、これらエリート連中は権力掌握を維持し、他国が獲得した独立や繁栄を実現するのを阻止するため、世界を破滅的な第三次世界大戦に引きずり込む準備ができているようだ。幸いなことに、ワシントンは、1945年まで遡る他の全ての介入で失敗してきたように、今回の試みでも失敗するだろう。なぜなら、アメリカは、もはやロシアとの戦争に勝つために必要な技術や人材や産業能力を持っていないためだ。

 それは全く新しいゲームなのだ。



 記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/why-the-united-states-will-lose-a-war-with-russia/

----------

 アメリカ人専門家によるオレシニク・ミサイル評価の一つ。
How Dangerous is Russia's Oreshnik Missile? Pentagon Expert Explains 34:33
 耕助のブログ 2024年12月1日記事はPepe Escobarによるオレシニク記事翻訳。
No. 2348 オレシュニク – 秒速3キロの転換点
 偶然昨日深夜、デモクラシータイムスの中継番組を見ていた。今回の件で彼の命脈は尽きたはずだ。
★現地国会前から緊急生配信★【徐台教の韓国通信】尹錫悦大統領 非常戒厳令を発令  41:03
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ。「BRICSの国々には、新しいBRICS通貨を創設せず、また強力な米ドルに代わる他の通貨を支持しないという約束を求める。そうでなければ100%の関税に直面する」 現時点、まだBRICS通貨創設の時期ではない。脅して、あたかもBRICS屈したような印象を与える。トランプの手口

2024年12月 2日 (月)

対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国

2024年11月30日
Moon of Alabama

 どうやら、以前のシリア情勢に関する先の私のこの件の評価は間違っていたようだ。  
レバノン紛争が沈静化する中、シリア戦争をイスラエルとアメリカが再燃させた。この事態が起きそうな兆候は、しばらく前からあった。昨日、CIA資金で再建され支援されているアルカイダ系HTS(ハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(旧ヌスラ戦線))戦闘員が、アレッポ西部のシリア政府軍攻撃を再開した。シリアとロシア空軍の攻撃により、彼らの進撃は今のところ止まっている。ヒズボラのルドワン軍はまだ介入していないが、アレッポ防衛のためう配備されている。

シリア情勢がこれ以上悪化するとは私は予想していない。
 現時点で、状況は悪化し続けている。この件でのトルコの役割を私は過小評価していた。

 エルドアン大統領はHTSを掌握しており、彼の狙いの実現に利用しているようだ。彼の狙いには、シリア領土に対するトルコ支配拡大や、シリアのクルド人住民の間で広がる反トルコ抵抗運動に更なる打撃を与えることや、イランの影響力との戦いで、信頼できる同盟者になれると次期大統領ドナルド・トランプに印象づけることなどが含まれる。

 トルコ支配下にある聖戦主義者らがアレッポ市西部のシリア政府軍拠点を攻撃し、陽動部隊が市内に潜入した模様だ。この作戦の大部分は、それに伴う(偽)ニュース攻撃によるものだ。この地域からの現在の情報はあまりに混乱しており、正確に一体何が誰の支配下にあるのか、ある程度正確に述べることはできない。

 シリアでは複数勢力が戦っている。イスラエル、トルコ、アメリカの支援を受けるトルコの「反政府勢力」側には二つの異なる集団がある。アブ・ムハンマド・アル・ジョラニ率いるハヤト・タハリール・アル=シャーム機構(HTS)の元アルカイダ聖戦主義連中はカタールの代理勢力を通じてCIAから資金提供と武器提供を得ていたし、おそらく今もそうだろう。HTSには、中央アジア出身のトルクメン人やウイグル人聖戦主義者が多数いる。二つ目の集団はトルコが資金提供し管理するスンニ派シリア人傭兵集団、いわゆるシリア国民軍だ。

 これら「反逆者連中」は、下劣な行動で早々頭角を現した。
Hala Jaber @HalaJaber - 2024年11月29日 17:40 UTC

🔴重要🔴
エルドアン大統領が支援する「自由の戦士」と呼ばれる連中が、捕らえたシリア兵の首を切る非常に陰惨な映像を今見た。欧米諸国の軍事用語で言えば捕虜だ。ISISの悪行時代は終わったと思っていたが、歴史は再び繰り返され、またしても連中は善良な「解放者」だと言われている。
映像には、シリア兵が「反政府勢力」に囲まれている様子が映っている。
彼は彼らに懇願し、イスラム信仰を訴える。
彼らは彼の手を首から引き離し、巨大なギザギザのナイフを持った男が彼の喉を切り裂く。ナイフが引っかかると、彼は首にナイフを数回突き刺し「アッラーは偉大なり」と叫びながら虐殺を続ける。NATOとイスラエルが支援するこれら過激派を欧米諸国で支援している人は本当に考え直すべきだ。.
紛争のもう一方の側にはシリア・アラブ軍(紛争前の段階で学ばなければならなかった教訓を全て忘れてしまったようだ)がいる。シリアのシーア派戦闘員の集団をいくつか訓練し、資金援助しているイラン革命防衛隊がシリア軍を支援している。これはシリアにルドワン特殊部隊の一部を配置しているレバノンのヒズボラとの緊密な連携のもとで行われている。シリアでロシアはシリア政府を支援しており、現在、空軍力を使って「反政府」側からの更なる攻撃を阻止している。

クルド人民防衛隊(YPG)は反トルコ運動だ。この組織はシリア民主軍(SDF)の主要部分を構成しており、東シリアで、ペンタゴンから断続的に支援を受けている。現在はシリア政府側で戦っているが、クルド人人口の多い地域の安全確保にも関心を持っている。

シリアでの紛争が間もなく再燃することは知られていたが、この緊急さは驚きだったようだ。
Sharmine Narwani @snarwani - ・ 2024年11月30日 9:10 UTC

ロシア新聞イズベスチヤ:アレッポへの大規模テロ攻撃は、イスラエルの支援とアメリカの承認を得て、トルコ、ウクライナ、フランスの諜報機関に調整された。計画は2か月前に行われ、攻撃は来年3月に予定されていたが、レバノンでの出来事が緊急性を高めた。
 上で述べた通り、どちら側が実際にアレッポのどの部分や周辺地域を支配しているか公平に評価できる情報はまだない。私の印象では、ジハード主義者があちこちを支配しているという主張の多くは軍事的な意味のないメディア活動に過ぎない。

 だが、これまでのところで言えるのは、シリア政府が戦場で防衛線を確保できず、紛争再開に備え軍を準備できなかったのは明らかだ。シリア・アラブ軍は、大きな戦闘をすることなく多くの陣地を放棄したようだ。

 あの地域を再支配するには(再び!)多大な流血と資金が必要になるだろう。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/us-allies-reignite-war-on-syria-.html

----------

 イスラエル、シリア、ウクライナについてAlastair Crookeが語る一時間。20年前ヒズボラ青年幹部と会った経験談。素晴らしい考え方の若者は今や立派な幹部になっているはずだと語る。指導者を暗殺すれば彼らを弱体化できるという発想は機能しないと。アメリカと共謀してシリア攻撃を始めたトルコの狙いも解説している。
Alastair Crooke, Alexander Mercouris, Glenn Diesen – Desperate Escalations in Middle East & Ukraine  1:17:08
 Dialogue Works 平和を主張して戦争に邁進するトランプ政権の実態をLarry Wilkerson & Scott Ritter二人がかたる。
How Donald Trump Could Destroy EVERYTHING | Col. Larry Wilkerson & Scott Ritter  52:23
 東京新聞 インタビュー・ページ あの人に迫る ほとんど読まない欄を読んだ。
山岸美喜 徳川慶喜家5代目当主

2024年12月 1日 (日)

ドイツを消滅させたいと願うEU精神病院院長

フィル・バトラー
2024年11月25日
Strategic Culture Foundation

 欧米主要メディアでさえ目の前の危機に気付いた今、EUの裏ボス連中は、ドイツのベルリンにも標的の印を着けさせようとしている。NATOが支援するキーウ政権に長距離用タウルス・システムを供給するようEU議会議長のロベルタ・メツォラがドイツに要請しているというニュースだ。ヨーロッパの精神病院は扉を大きく開け放ち、第二次世界大戦以来最悪の狂人連中を外に放ったのだ。

 ウクライナに長距離タウルス・ミサイルを移譲するようロベルタ・メツォラがドイツに要請した。

 ニューヨークタイムズ見出し「ウクライナがアメリカ・ミサイルを発射し、プーチン大統領が恐ろしいメッセージ」は少なくともジョー・バイデン・レームダック政権が世界を陥れた状況の深刻さを認めている。AP通信見出し「プーチン大統領ロシア新型ミサイルを宣伝しNATOに恫喝的警告」は事態が急速に悪化していることを欧米諸国に知らせる事実に基づいてはいるが誤解を招く記事だ。ロイター記事「プーチン大統領の欧米諸国へのミサイル・メッセージ「手を引け」が状況を悪化させる」。主流メディアがロシアのメッセージに適切に注意を払った見出しを最後に掲載したのがいつだったか私は思い出せない。

 傀儡ゼレンスキーにこの許可が与えられた今、残されたエスカレーションは核戦争だけだ。

 止めることができないエスカレーションなのか?

 EU大統領がドイツに要求した狂気の沙汰について言えば、タウラスKEPD 350は航空機発射型ステルス巡航ミサイルで、主にバンカーバスター弾として使用される。射程は500km (300マイル) 強で、この兵器は二段式弾頭をロシア奥深くにある強化された指揮施設に送れる。これら長距離ミサイルの使用許可は前例やエスカレーションが示すほど不安なものではない。ウクライナへのNATO拡大は、2014年のユーロマイダン・クーデターを欧米諸国が支援した主な理由の一つだった。傀儡ゼレンスキーがこの許可を得た今、残されたエスカレーションは核兵器だけだ。ウクライナをロシアに対抗する正真正銘のNATO衛星国に変えるには一体何が残されているのだろう。

 最近ロシア国内の標的に対するアメリカとイギリスの長距離ミサイル使用についてロシアのプーチン大統領が発言したことを考えると、EUが用意したどんな種類の地下壕にも入る計画をメツォラが持っているのは明らかだ。ドニプロペトロフスク地方にあるミサイル・宇宙ロケット企業Pivdenmashピヴデンマシ(ロシア人にはユジュマッシュとして知られている)に対し、ロシアは極超音速のオレシュニクで攻撃をした。

 ポリティコによれば、ポーランドのレジコフ村にあるアメリカのイージス・ミサイル防衛基地は「可能性として無力化すべき優先目標」だと外務省報道官マリア・ザハロワが記者団に語った。同様のイージ・スシステムはルーマニアにも設置されており、数年前にプーチン大統領はNATOに警告していた。当時この防衛ミサイル・システムを攻撃用に改造できるとロシアは考えていた。当時バラク・オバマ大統領率いるアメリカは気に留めなかった。

 間違えの余地はない

 新型オレシュニクの射程距離は5,000km(3,100マイル)で、ヨーロッパの大半とアメリカ西海岸をロシアは攻撃できる。この兵器は通常兵器または核兵器を搭載できる6~8個の再突入弾頭を様々な標的に投下する。

 ドニェプロ爆撃の映像には、6個の再突入弾頭が広範囲の標的に小型弾頭の雨を降らせる様子がはっきり映っていた。ロシア兵器庫のオレシュニクや他の極超音速兵器に対する防御策はない。今や時代遅れとなったイージス・システムも、最も遠いヨーロッパの標的に15分以内に弾頭が命中するのを防げない。最近の演説で、これら兵器の無敵性についてプーチン大統領は言及した。発射前に民間人に標的地域から十分な避難の機会を与えると約束し、欧米諸国が、このミサイルを阻止できないことを彼は更に証明した。

 国民へのプーチン大統領の警告の約束が、冷戦中に建設されたアントワープの核シェルターに適用されるかどうかは明らかではない。これら核シェルターはブリュッセルから少なくとも一時間離れているため、これはあまり関係ない。従って、メツォラと同僚連中は、おそらく彼らの仕事の成果から逃れるため空を飛ぶ必要があるだろう。別の選択肢は、ケンメルベルク司令部シェルターに避難することだが、この冷戦時代の遺物は車で約二時間、ヘリコプターで30分の距離にある。

 吹き荒れる核の風に、数十億人の命が揺さぶられなければ、この大混乱は大いに愉快なものになるはずだ。この命がけのゲームをEUが更に推進している事実は、自制心を失えば、自由主義世界秩序は我々を誰一人生き残らせるつもりがないことを一層証明している。覇権国はウクライナに大きく賭け、今や犯罪指導者連中は第三次世界大戦に全力を注いでいる。我々はそれが起きるだろうとは予想していたが、それが起き得ると信じたい者はほとんどいなかった。アメリカやフランスやドイツ/スウェーデンの長距離ミサイルでゼレンスキーがロシア国内の別の場所を攻撃すると期待し、プーチンの事前警告がポーランドやルーマニアにおけるものでないよう祈ろう。

 フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者、東ヨーロッパ専門家で「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」という最近のベストセラーや他の本の著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.su/2024/11/25/the-eu-lunatic-asylums-president-wants-germany-wiped-out-too/

----------

 The New Atlas
US Proxy War with Russia in Ukraine Extends to Syria 48:25
 デモクラシータイムス
デマゴーグに騙されるな! 齋藤県政、石破政権の行方 WeN20241130  1:55:30

2024年11月30日 (土)

欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている



フィニアン・カニンガム
2024年11月25日
Strategic Culture Foundation

 今や欧米メディアは信頼性も権威も失っている。欧米諸国の汚水溜めは完全に詰まっている。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:[email protected]

 ウクライナで繰り広げられている、アメリカ主導の帝国主義諸国とロシアとの戦争は、単なる代理戦争ではない。それは、好意的に「欧米」と呼ばれているアメリカ覇権体制の存亡をかけた対決だ。

 この紛争の危険性の高さが、この紛争が第三次世界大戦の核戦争にエスカレートするのではないかという明白な懸念があるほど極度の地政学的緊張を招いている理由を説明している。

 この悲惨な危険に我々が陥ったのは、欧米帝国主義諸国の責任を隠すため、主に欧米が支配しているメディアが、紛争を歪曲し、嘘をついてきたためだ。

 これまで通り、偽りの主張や歪曲された歴史を広め、欧米諸国政権が表面上美徳を装って犯罪行為を行えるようにするためのプロパガンダ装置として欧米メディアは機能してきた。

 ロシアによる「いわれのない侵略」からウクライナの主権と民主主義を守っているとアメリカとNATO同盟諸国の帝国主義仲間は主張している。この主張を、欧米メディアは絶え間なく繰り返し、他の視点を徹底的に排除してきた。

 欧米メディア情報だけに頼っていては紛争原因を理解するのは不可能だ。なぜなら、その「情報」は、本質的に、ロシア国境での挑発的軍事攻勢の許可をアメリカとNATO同盟諸国に与えることを目的とするプロパガンダ言説だからだ。アメリカ元大統領連中が反対を表明しているにもかかわらず、冷戦終結以来、NATOが容赦なく拡大していることに対するロシアの根深い懸念を欧米メディアは軽視している。

 2014年にCIAがキーウでクーデターを起こし、選挙で選ばれた大統領を打倒してネオナチ政権を樹立したことについて欧米メディアは読者に報じようとしていない。欧米メディアはそれを民主化運動と呼んだのだ。その後10年にわたりNATO諸国がキーウ政権を武器化し、ウクライナのロシア語圏の人々に対し低強度侵略戦争を仕掛け、2022年2月にロシアの軍事介入に至ったことについて、欧米メディアは読者に伝えようとはしない。

 ロシアや旧ソ連を不安定化させるための手段として、常にウクライナがアメリカとNATO同盟諸国の陰謀の対象となってきたことを欧米メディアは読者に伝えようとしない。

 ロシアや他の国々の不安定化は、歴史を通じて、特に1945年以降、欧米帝国主義勢力が行ってきたが、そのような外国への干渉は国連憲章や国際法違反だ。第二次世界大戦終結以来、選挙操作や非正規戦による妨害や、代理武力紛争の煽動などを通じて、アメリカが他国を侵略または干渉した事例は少なくとも100件あると故ウィリアム・ブルムなど一部の独立系歴史家は推定している。

 1945年6月に国家の主権を守るための国連憲章が制定されるやいなや、スラブ民族の絶滅でナチスドイツに協力したウクライナ・ファシストをアメリカやイギリスや他の欧米帝国主義諸国は徴募し始めた。第二次世界大戦中、ナチス帝国主義により、ソ連が2,700万人から3,000万人失ったことを想起願いたい。戦時中にソ連とアメリカ、イギリス間で結ばれた一時的同盟は、ワシントンとロンドンにより、すぐさま否定され、冷戦に取って代わられた。ソ連に対する欧米帝国主義者によるナチス残党再配置は驚くべき裏切り行為だった。

 冷戦の数十年間、欧米帝国主義の犯罪行為を隠蔽し、当たり前化するために欧米メディアは重要な役割を果たした。冷戦紛争を「高貴な欧米」対「邪悪な共産主義」の紛争として彼らは描写した。

 朝鮮やベトナムや東南アジア全域、更には中南米やアフリカで欧米帝国主義者連中が大量虐殺戦争を繰り広げていた時でさえ、欧米メディアは何度も同じ役割を果たした。乱暴に言えば、トイレの組織的水洗装置として連中は機能していたのだ。欧米政権の腐敗した汚物と犯罪を連中は忠実に一掃し、欧米国民や他の国々が嘘や、とんでもない虚偽をあまり詳しく調べることができないようにした。

 秘密裏および公然の侵略を通じて、大量虐殺戦争や国連憲章の複数違反で罰を免れられた点で、特にアメリカ帝国主義政権は目覚ましい成果を上げてきた。だが、その限りない騒乱と悪意の全てを経たのに、自国が並外れて高潔で、「自由世界」の指導者で、「不可欠な国家」で、「ルールに基づく世界秩序」の守護者だなどという驚くべきたわ言をアメリカ政治指導者やメディアは、堂々と宣言している。

 どうして連中は、このような嘘や偽りを吐き出せるのだろう? 欧米メディアは、嘘の汚れた汚れと悪臭を一掃する清掃夫なのだ。ガザでの恐ろしい大量虐殺で、ある程度連中の効果は薄れながら、今もこれが起きているのを我々は見ている。イスラエル政権による民間人大量虐殺を欧米諸国が毎日支援し続け、国連安全保障理事会で停戦に5回もアメリカが拒否権を発動し続けることが、どうして可能なのか? ある程度、大量虐殺をあたりまえ化し、イスラエル政権を支援していることに対する非難から欧米諸国政府を守るために欧米メディアは行動してきた。ガザでの大量虐殺は、欧米メディアと欧米帝国主義政権の犯罪行為が致命的に暴露された理由の一つだ。もう一つの重大な暴露は、ウクライナでロシアに対して行われている非常に危険な戦争だ。

 確かに、外交や戦争における自国政府の犯罪や不正行為を欧米諸国メディアが報じることもある。ベトナム戦争における帝国主義的犯罪行為を暴露した1970年代初頭のペンタゴン・ペーパーズ報道を挙げることができる。だが、このような画期的行為も、嘘と偽情報の一枚岩の体制に入った小さなヒビのようなものだ。

 ほとんどの場合、欧米メディアの基本的役割は、自国政府の犯罪をごまかし、謝罪し、隠蔽することだ。そのため、ベトナム人虐殺ではなくベトナムでの「共産主義との戦い」や、中東での欧米による略奪ではなく、イラクでの「大量破壊兵器の根絶」など正当な口実を装って、国民を犯罪に誘導し、帝国主義の犯罪に欧米メディアは加担している。

 ベトナム戦争やイラク戦争のような帝国主義犯罪を可能にした嘘を報道したことで、アメリカやイギリスのメディアが検察から責任を問われたことがあるだろうか?

 数十年にわたり、欧米帝国主義のプロパガンダ機関として欧米メディアは効果的に機能してきた。もちろん国民の中には、嘘や歪曲を見抜く健全な懐疑論者や批判者もいた。だが一般的に「欧米ニュースメディア」として知られるプロパガンダ組織は国民に受け入れられ、信頼を得られる傾向があった。多くの曲を奏でて、それに合わせて人々を歌い踊らせる欧米メディアを、「強力なウーリッツァー・オルガン」とCIAは呼んだ。

 代替ニュースメディアとグローバル情報の時代に、欧米主流メディアは情報操作の独占権を失い、致命的不名誉に陥った。「フェイクニュース」というドナルド・トランプの嘲笑的な言葉は、彼の支持者だけでなく世界中で広く反響を呼んだ。連中が流布する嘘と戦争を煽る正当化のせいで、欧米メディアは軽蔑と嘲笑の対象となった。

 イラク戦争を巡る嘘は大きな暴露となった。より最近では、トランプを巡るロシアゲートのたわ言や、ガザでの虐殺や、ウクライナにおける狂気の対ロシア代理戦争も、欧米帝国主義の戦争と嘘の機構を致命的に弱体化させた。アメリカにおけるトランプ選出は、体制メディアと投票方法に関する連中の指図を拒否したものと見ることができる。

 ウクライナ代理戦争において、アメリカと共犯の帝国主義勢力は歴史的行き詰まりに陥った。彼らは自分の嘘に巻き込まれたのだ。

 あらゆる大陸における戦争犯罪や人道に対する罪を巡り、欧米諸国政権は常に嘘と汚物の溜まり場だった。

 覇権を維持しようと必死の欧米帝国主義諸国は、ロシアとの紛争を核戦争を煽るところまで押し進めている。ロシアは引き下がらない。ロシアには反抗できる軍事力があり、ロシアの政治家は歴史に精通しており、欧米政権には騙されない。欧米政権の嘘はもはや維持できず、彼らの犯罪的侵略はもはや認められない。

 かつて共謀するメディアにより、嘘が忠実に洗浄され、隠蔽されていたため、酷い大虐殺を行っても欧米諸国の政権は罰せられなかった。だが今や、欧米諸国のメディアはもはや信頼性も権威もない。欧米諸国の汚水溜めは詰まっている。

 著者を触発してくれたポール・マッカータンの素晴らしいアイデアに感謝。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/11/25/western-imperialism-has-always-been-a-cesspool-of-lies-but-now-its-media-flush-is-busted/

----------

 文中の「ウィリアム・ブルム」の著書翻訳『アメリカの国家犯罪全書』なぜか手許にある。

 ウクライナでの敗北の恨みをシリアで返すアメリカ? Rachel Blevins
Russia, Syria Target The West's 'Syrian Rebels' and Their Islamist Offensive Near Aleppo, Idlib 15:09
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
トランプ次期大統領のウクライナ新顧問ケロッグ退役中将、ロシアへの領土割譲、ウクライナのNATO加盟を長期間延期を提案すべきだを示唆(.axios.)。米国支援でも、兵力差でロシアを国境線まで追い戻すことはあり得ない。和平しかない。次期トランプ政権がその方向に動くことを示唆

2024年11月29日 (金)

ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか

2024年11月27日
Moon of Alabama

 ある兵器を、戦場で形勢を一変させるものだと評すると、常に嘲笑の対象になる。ウクライナに配備された兵器の多くが形勢を一変させると言われたが、戦争の結果に何ら変化をもたらすことはなかった。

 では、なぜロシアの新型オレシュニク・ミサイルを「形勢を一変させるもの」と私が言うのか?

 理由はいくつかある。

 まず、36個の運動エネルギー弾頭を搭載したこのミサイルは、アメリカによる中距離核戦力 (INF) 条約の廃止に対する予想外の対応だ。欧州に核ミサイルを配備してロシアに対して優位に立てるとアメリカは期待していた。オレシュニクは、核戦力に頼ることなく、その優位性を否定している。

 譲歩するか核兵器を使用するかの選択をロシアに迫るアメリカの試みはことごとく失敗に終わった。

 これはウクライナで最も顕著だ。2年以上に及ぶ戦争で、アメリカはロシアに対し「カエルを煮る」戦略をとってきた。ウクライナに提供する兵器の射程範囲と殺傷力を徐々に拡大して、アメリカは緊張を高めてきた。こうした各段階で、戦車や、HIMARSや、ATAMACを引き渡し、ウクライナがこれらをロシア領内で使用できるようにするのは、架空のロシアの超えてはならない一線を超える動きだとアメリカは主張した。こうした各段階には、ロシアが核による対応を検討していると主張するプロパガンダが伴っていた。

 狙いは、ロシアにウクライナ問題で譲歩するか、核兵器を使用するか選択を迫ることだった。ロシアが核兵器を使用すれば、国際社会から疎外されることになるので、ロシアは核兵器を使わないとアメリカは確信していた。核兵器を使用すれば、中国や他の同盟諸国の支持を失うことになるのだ。また全面核戦争のリスクもある。

 この戦略は、ロシアが非対称的な反撃手段を見つけなければ、おそらく成功していたはずだ。現在、ロシアは非核兵器(オレシュニクだけではない)を保有しており、核兵器を実際に使用した場合の有害な副作用なしに、核攻撃と同等の攻撃ができる。

 今後のオレシュニク配備は、これまで核兵器のみ保有していた戦略軍の指揮下に入るとロシアは発表した。これは、これら新兵器が同様の戦略的効果を持つとみなされていることを明確に示している。

 オレシュニク・ペイロードの運動学的概念は新しいものではない。質量と速度を掛け合わせたものが、これらがもたらす破壊エネルギーの量だ。 [私のずさんな文に対する指摘による訂正: 力は質量の半分に速度の二乗を掛け合わせたものに等しい。 F = 1/2 m * v^2 ] 極超音速でマッハ10の速度で標的に当たるため、爆発物のない小型貫通体でも非常に強力な爆発のような効果が得られる。

 1980年代初頭、レーガン大統領の戦略防衛構想には運動エネルギー兵器を導入するいくつかの試みが含まれていた。「神のロッド」(後に「ブリリアント・ペブルズ」) は、ソ連のICBMミサイルを攻撃するため衛星から発射される運動エネルギー・ダーツとして構想された。  
2003年のアメリカ空軍報告書に記載されている「超高速ロッドバンドル」と呼ばれるシステムは長さ20フィート (6.1メートル)、直径1フィート (0.30メートル) のタングステンロッドで構成されており、衛星制御で衝突速度マッハ10のグローバル攻撃能力を備えている。

 爆弾は軌道上では毎秒約8キロ(26,000フィート/秒、マッハ24)、衝突時には毎秒3キロ(9,800フィート/秒、マッハ8.8)の軌道速度で飛行するため、当然大きな運動エネルギーを持つことになる。この棒が大気圏に再突入すると、速度のほとんどが失われるが、残ったエネルギーにより、かなりの被害が発生する。一部システムは小型戦術核爆弾と同等の威力を持つとされている。これらの設計はバンカーバスターとして想定されている。
 何も実現しかった。想定された貫通体は宇宙に配備するには大きすぎ、重すぎた。貫通体が「電柱」ほどの大きさである必要があったのは、大気圏を超音速で飛行中に燃え尽きてしまうためだ。

 オレシュニクが使用している貫通弾は遙かに小さい。

 ロシアは、極超音速で飛行する物体に関する一般的な物理的問題のいくつかを解決したようだ。2018年3月、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、アメリカのミサイル防衛網を突破するために設計されたいくつかの新兵器の導入を発表した。その一つが、現在アバンガルドとして知られる極超音速滑空体だ。  
新しい複合材料の使用により、滑空巡航ブロックはプラズマ形成状態で長距離誘導飛行が可能になった。それはまるで隕石のように、火の玉のように目標に向かって飛ぶ。表面温度は1,600~2,000℃に達するが、巡航ブロックは確実に誘導される。

 他の多くの国が新しい物理的特性を持つ先進兵器を開発していることを我々は良く知っている。少なくとも最も重要な分野で、我々はその点で一歩先を進んでいると信じるに足る十分な理由がある。
 それ以来、ロシアの科学者がプラズマ・エンベロープ内での誘導極超音速飛行の問題を解決するため、どのような「新しい物理的特性」または原理を発見したかを私は調査してきた。今のところ何も出てきていない。しかし、オレシュニクが極超音速で比較的小さな誘導弾を使用している事実は、ロシア人が発見した新しい物理的特性または原理がこの兵器にも適用されている可能性が高いことを示している。

 こうした基本的な科学的発見が欧米諸国で知られるようになるまで、オレシュニクやアヴァンガードの特性に匹敵する兵器を製造する可能性はないだろう。

 今のところ、オレシュニクは射程距離が限定された(5,000キロ)非核兵器だ。しかし、ロシアが同様の非核能力を備えたICBMミサイルを装備するのを妨げるものは原理的に何もない。これにより、ロシアによるアメリカ領土、あるいはおそらくアメリカの海外基地や航空母艦への非核攻撃が可能になる。

 だが、これら事実とその結果は、まだ西側諸国の意思決定者の心に浸透していない。

 オレシュニク攻撃が起きた後も、ウクライナにロシア国内の標的にATAMACミサイルを発射するようアメリカは指示し、ロシアを攻撃し続けた。昨日、ロシア国防省は、異例なことに、そのような攻撃が2回あったと発表した。  
11月23日、敵はロタレフカ(クルスクの北西37キロ)付近のS-400対空大隊の陣地に向けて、アメリカ製のATACMS作戦戦術ミサイル5発を発射した。
...
 地対空戦闘中、大隊を護衛していたパンツィリAAMG担当者がATACMSミサイル3発を撃墜し、うち2発が標的に命中した。... 11月25日、キーウ政権はクルスク・ボストチヌイ飛行場(ハリノ近郊)にATACMS作戦戦術ミサイル8発による追加攻撃を実施した。7発のミサイルはS-400 SAMとパンツィリAAMGに撃墜され、1発のミサイルが狙った標的に命中した。
 軍事的に、これら攻撃は無意味だ。しかし、アメリカは、カエルが船から逃げ出した後も、依然「カエルを煮る」のを試みていることを示している。プーチン大統領によれば、ロシアはオレシュニクや類似兵器を数発、発射する準備ができているという。

 このようなミサイルの潜在的標的は明らかだ。   
モスクワ、11月21日。/TASS/。ポーランドの米ミサイル防衛基地は長い間、ロシア軍による潜在的な無力化の優先目標とみなされてきたとマリア・ザハロワ外務省報道官が記者会見で述べた。

 「こうした欧米諸国の軍事施設がもたらす脅威のレベルを考えれば、ポーランドのミサイル防衛基地は長年、潜在的な無力化の優先目標に含まれている。必要とあらば、これは広汎な先進兵器を使って達成できる」とこの外交官は語った。
 11月30日まで、カプースチン・ヤールミサイル発射場上空をロシアは閉鎖した。カプースチン・ヤールはオレシュニクが発射された試験場だ。

 オレシュニク型兵器に対する防御は不可能なので、アメリカが管理するポーランドのレジクフ基地への攻撃を、ロシアは攻撃が行われる数日前または数時間前に発表する可能性がある。攻撃は発表されるが、通常型で、死傷者はほとんど出ないと考えられるため、NATOが第5条を適用して武力で反撃する可能性は低いと思われる。

 そうなれば再びカエルが茹で上がる瞬間が訪れるが、今度はアメリカが鍋の中のカエルになる。ロシアは、従来の手段でヨーロッパの米軍基地を攻撃して、日々温度を上げていくだろう。

 アメリカは、この件で核兵器を使用する勇気があるのだろうか、それともロシアを倒す計画から撤退するのだろうか?

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/how-the-new-russian-missiles-are-changing-the-game.html

----------

 Alex Christoforou YouTube
PUTIN, decision-making centers are targets. US wants Ukraine to lower military age. Ruble weakens 42:21
 冒頭ミサイル攻撃に触れて、プーチン大統領はロシア・ジョークを言った。ソ連時代、天気予報に関する冗談があった。「今日の日中の天気は、あらゆる可能性があります。」

«Знаете, в советское время была такая шутка по поводу прогнозов погоды. Вот прогноз такой: сегодня в течение дня все возможно», — сказал Путин.

 騒ぎの元になった最初のnote魚拓も見ず記者会見する代理人。横田一氏が的確に指摘している。

 植草一秀の『知られざる真実』
知事代理人記事改変把握せず会見

2024年11月28日 (木)

トランプの「嵐」に対抗する反乱鎮圧作戦「開始」



アラステア・クルック
2024年11月22日
Strategic Culture Foundation

 ATACM攻撃とストームシャドウ攻撃は、ロシアを狙った危険な挑発行為というだけでなく、外交政策を根本から覆そうとする試みでもある。

❗️Telegram Twitter , と VK でご参加願いたい。

お問い合わせ:[email protected]

 「ディープステートがトランプにこう囁いた。『君は嵐に耐えられない』。トランプはこう囁き返した。『私が嵐だ』。戦争は始まった。トランプの『嵐』を無力化するためディープステートは混乱戦争を開始した。今週のATACM攻撃は、複数機関による反乱鎮圧作戦の一部に過ぎなかった。トランプ陣営によるものとされる複数機関による虚偽言説も全てそうだ。そして、イランに向けられたエスカレートする挑発もそうだ。

 ファイブアイズが対反乱作戦に全面的に参加しているのは確実だ。アメリカの発表に先立ち、パリでATACMS攻撃を推進するためにマクロンとスターマーは公然と共謀した。政府機関幹部たちは明らかに非常に恐れている。彼らは(2016年のトランプはロシアの「手先」だったという)「ロシア偽情報」をトランプが暴露して、自分たちを危険にさらすのではないかと心配しているに違いない。

 だがトランプは、起きているこを理解している。  
「我々は遅滞なく平和を必要としている … 外交政策体制は世界を紛争に引きずり込もうとしている。今日、欧米文明にとって最大の脅威はロシアではない。おそらく何よりも我々自身だ… 我々を果てしない戦争に引きずり込み、海外で自由と民主主義のために戦っているふりをしながら、国内では第三世界の国、第三世界の独裁国家に変えているグローバリスト・ネオコン体制全体を解体することに全力で取り組まなければならない。国務省、国防官僚機構、諜報機関、その他全てを完全に見直し再構築する必要がある。ディープステートを解体し、アメリカを第一にするためには、我々がアメリカを第一にしなければならない」。
 「2014年以前のロシア領奥地」への長距離ATACM発射は、戦況を一変させるものではなく、戦争の行方を変えるものでもない(ATACMSはロシア防空軍により頻繁に90%撃墜されている)。しかし、この行為の重要性は戦略的なものではなく、むしろNATOによるロシアへの直接攻撃の領域に踏み込んだことにある。

 二つの情報源から「ロシアの核ロケット部隊は完全警戒態勢にある。これまでで最高レベルの準備態勢にある。これはロシアがこの一線越えを非常に深刻に受け止めていることを示唆している」と伝えられているとダグラス・マクレガー大佐が報じている

 確かに、これは挑発行為で、プーチン大統領は適切に対応するだろう。そうしなければならないが、必ずしも核戦争の激化を通じた対応ではない。なぜか? ウクライナ戦争は急速に彼の方向に進んでおり、ロシア軍はドニエプル川東岸に迫っているからだ。事実上、現地の状況が結果の決定要因となり、外部の仲介にはほとんど意味がない。

 しかし、ATACMとストーム・シャドウ攻撃は、ロシアを狙った危険な挑発行為であるだけでなく、文字通り外交政策を転覆する試みだ。アメリカ覇権を脅かす台頭する外国敵国に直接向けられた政策ではなく、アメリカ国内戦争に狙いを定めた弾丸に変貌しつつある。これは特にトランプを狙ったもので、彼を「縛り付け」、望まない戦争に彼の注意をそらすためだ。

 論理的に考えれば、トランプはネタニヤフのイランとの戦争計画には関わりたくないはずだ。だが、ジェフリー・サックス教授が主張している通り「イスラエル第一主義者」とロビー団体は、大統領以上に議会と米軍を長い間効果的に支配してきた。サックス教授は次のように説明している。  
「シオニスト・ロビーが非常に強力なため、ネタニヤフは基本的にペンタゴンを支配し、イスラエル過激派に代わって戦争を戦ってきた。2003年のイラク戦争はネタニヤフ戦争だった。シリアでのバッシャール・アル・アサド打倒の試みや、ムアマル・カダフィ打倒など全て『ネタニヤフ戦争』だった」
 重要な点は、ネタニヤフが「自分がしていること」をできるのは、常にこのように計画されていたからで、その計画は50年実行されてきた。「イスラエル第一」戦略は、スクープ・ジャクソン (大統領候補に二度なった) に全面的に支持された。そして、その政策が覆されないように、スクープは国務省にシオニストを配属し、ネオコンとシオニストがNSCの主導権を握ることを主張した。この同じパターンは今日まで続いている。

 根底には、アメリカ二大政党の政治家連中が富を得て、残りの議員の選挙費用を賄うという究極の無駄遣いがある。「イスラエル・ロビーやシオニスト・ロビーが選挙運動に一億ドル投じて、数兆ドル得るのは実に素晴らしい商売だ。数十億ではなく、数兆ドルだ。数兆ドルだ。数兆ドルだ。だから、ネタニヤフが話す際に、私には奇妙に思えるが、トランプが[彼のチームの一部「イスラエル第一主義者」連中を]任命したり指名したりしているのではなく、ネタニヤフが指名しているのだ」とサックスは言う。

 トランプによる「イスラエル第一」連中の指名を「夢のアメリカ・チーム」とネタニヤフ首相が表現する際、理由は容易に理解できる。一方、トランプはアメリカで「革命」を遂行しようとしており、指名が承認されることを望んでいる。他方、自分のために、アメリカに戦って欲しい更なる戦争をネタニヤフ首相は抱えているのだ。  
「『ビッグ・アグリー』は常に、ほとんどの人が理解できない戦いの描写だった」と別の評論家は指摘している。
 「事実上、上院はMAGAとトランプ大統領に対する共和党反対勢力の中核だ。目に見える戦いは … 最も注目を集める。だが最も困難なのは、根深いイデオロギーを持った共和党との目に見えない戦いだ」。
 「上院共和党が容易に権力を手放すことはあるまい。(トランプの)反乱に対抗するための武器を彼らは多数持っている。最近の報告書が説明している通り、今トランプによるマット・ゲーツ司法長官指名に反対する共和党上院議員の連携にこれが現れている。」
 「基本概要は、渋々ながらマット・ゲーツの最高裁判事指名を上院指導部が支持するというものだ。ここでの『支持』は直接反対しないという意味で、その代わりにFBIのマイク・ロジャース長官(『ネバー・トランプ』集団の共同創設者)を指名し、FBI機関間の権益を守るのだ」

 最大限の打撃を与えるために、共和党上院院内総務に就任するジョン・スーンは慎重に戦略を練るだろう。彼は、ネタニヤフ首相のこの地域における虐殺とトランプを結び付けることで影響力を行使しようとしている。

 イスラエルへの大量武器供給を発表する際、スーンは次のように述べた。  
「我々の同盟国イスラエルと、世界中のユダヤ人の皆さんへ、私のメッセージはこうです。増援部隊が向かっています。6週間以内に共和党が上院の多数派を奪還し、アメリカ議会がイスラエルの側に立つことを明確にします。」
 トランプも慎重に賭けをする必要がある。なぜなら、トランプの目的にとって絶対的優先事項は国内の二つの戦争だからだ。一つ目は「グローバリストのネオコン体制全体の解体」、二つ目は無駄遣いを膨らませ、アメリカの実体経済を、かつての姿とかけ離れたものにしてしまったディープステートの制御不能な政府支出を終わらせることだ。

 たとえ上院で他の指名候補の承認を得るために、一人か二人を犠牲にしなければならないとしても、こうした急進的改革候補者の承認を、トランプ大統領は必要としている。言うまでもなく、イスラエル・ファースト派候補者は問題なく承認されるだろう。

 トランプの改革計画に「絡む」二つの脅威のうち、ロシアの激化はより小さい。ウクライナ戦争は何らかの結末に向かって着実に進んでいる。ロシアにとって有利な結末だ。プーチンは主導権を握っており、NATOとの大規模戦争は必要ない。またプーチンはトランプの「交渉術」も必要としない。何らかの解決策が彼なしでも生まれるだろう。

 しかし、トランプ大統領の役割は、大西洋主義者の安全保障上の権益と(中国とイランを含む)アジアの中心地の安全保障上の権益との間の新たな境界線を定義する上で、今後重要になるだろう。

 もう一つの想定上の戦争、イランはトランプにとって一層より危険だ。ユダヤ人の政治的影響力とロビーは、これまでアメリカを何度も悲惨な戦争に巻き込んできた。そして今、ネタニヤフ首相は必死に戦争を必要としており、それは彼だけではない。イスラエルの多くの人々が、直面している「すべての戦線」を終わらせる戦争を叫んでいる。この見通しは、ネタニヤフ首相とイスラエルが切実に必要としている解決策であり「偉大な勝利」であるという深い確信がある。

 イランの核計画は「驚くほど脆弱」だというプロパガンダ(実際はそうではない)と、ヒズボラとハマスが既に弱体化している今、イランを攻撃するのはまたとない好機だというミームを繰り返すメディアの猛攻撃によリ、根拠は掘り返されている。イランとの戦争は、完全に誤っているのに、「たやすい戦争」として売り込まれている。

 そうに違いないという揺るぎない確信がある。「我々は強く、イランは弱い」。

 イスラエル第一主義者連中を一体誰が阻止するのか? 彼らには勢いと熱意がある。イランとの戦争はイスラエルとアメリカにとって不利な結果になるだろう。その広範な影響は、まさに深刻な金融危機と市場危機を引き起こし、トランプの「嵐」を阻止する恐れがある。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/11/22/the-counter-insurgency-is-on-against-trump-storm/

----------

 Daniel Davis / Deep Dive  Patrick Henningsenがロシア新型ミサイルについて解説している。
Russia's Oreshnik Missile: It's Worse than You think for NATO w/Patrick Henningsen 47:58
 耕助のブログ
No. 2345 ネタニヤフに逮捕状! [速報]:ジェフリー・サックス教授
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
春名幹男『日本人の原爆の舞台にした米国』(月刊日本12月)戦争後、米戦略爆撃調査団が即広島、長崎を訪れ、レポートまとめ。彼らの調査の結果、通常の高性能爆弾や焼夷弾を使って広島程の死者を出すにはB29を210機必要が判明。この調査が戦後の米国核戦略に大きい影響を与えた。
 日刊IWJガイド
「11月は残り3日ですが、今月のご寄付・カンパの金額は現状でまだ49万3000円! ぜひ、緊急のご支援をお願いいたします!」2024.11.28号

■<岩上安身による最新インタビュー報告!>ケネディJr.氏と同じく、貪欲に利権を拡大するグローバル企業と戦う! 種子法を廃止し、「農民の権利」を守る種苗法を改悪する自公政権は「食料安全保障」を自ら壊していると批判! 岩上安身によるインタビュー第1171回のゲストは「日本の種子を守る会」元農林水産大臣で弁護士の山田正彦氏!(第1回) 次期米保健福祉長官に指名されたケネディJr.氏とは旧知の仲! 山田氏が学生時代に父親のR・F・ケネディ元司法長官を日本に招いて大学で講演してもらった経緯も!

■女性議員がニュージーランドの国会で先住民マオリ族の権利を危うくする法案を破り棄て。先住民の民族舞踏「ハカ」を踊る姿がSNSで拡散! 世界で7億回以上、再生されたこの映像を、『フジテレビ』は「トンデモ行為」と侮辱的なタイトルをつけ、放送! ネットにもアップ! テレビしか見ないと、世界で何が起きているかの認識が狂ってくる! 長年、英仏など、G7を構成する帝国主義列強の植民地支配を受け、独立後も植民地主義的な支配を受けてきたグローバルサウスの怒りが噴出し始めている! ニュージーランド、ニューカレドニア、オーストラリアで!

2024年11月27日 (水)

バイデン、ウクライナに対人地雷を供与

2024年11月20日
Moon of Alabama

 老齢のためジョー・バイデン大統領は再選に立候補できないことが判明した。だからといって権力者連中が彼に第三次世界大戦を起こさせるのが阻止されたわけではない。

 ロシアの標的にアメリカが管理する弾道ミサイルをウクライナが発射するのをバイデン政権が「許可」した後、ほぼ禁止されている対人地雷も追加しようとしている。<  
自らの政策を撤回し、バイデン、ウクライナへの対人地雷配備承認、-ワシントンポスト
 ウクライナを含む160カ国以上が対人地雷の使用を禁止する条約に署名している。選挙運動中、バイデンはこうした兵器の使用に反対を唱えていた。

 それにもかかわらず、今やウクライナへの対人地雷提供を彼は承認した。理由はプロパガンダから生じた。  
「自軍の死傷者にもかかわらず、ロシアは東のウクライナ軍陣地を波状攻撃している」と当局者の一人が語った。「ウクライナ軍は明らかに損害を被っており、更に多くの町や都市が陥落の危険にさらされている。これら地雷はまさにこれと戦うため作られた」
 ロシア軍がウクライナ陣地を攻撃する「軍隊の波」は存在せず、過去にも存在しなかった。そのような「波」の映像を見つけ私に突きつけてくださるよう読者にお願いする。

 その代わり、砲撃で破壊した後で、ウクライナ軍陣地に侵入する小部隊の映像はある。ワシントンポスト記事はそれを認めている。

 ウクライナ軍は容赦ないドローン攻撃と小規模な攻撃部隊に直面して、強固な防衛線構築に苦戦している。

 たとえ爆発しないようにされたものでも、戦争終結から何十年経っても対人地雷は住民に対して危険であり続ける。既に終結しつつある戦争で、これらを使用するのは犯罪だ。  
対人地雷禁止条約の署名国であるウクライナに対人地雷を供給するアメリカの決定は、ワシントンに対する汚点だと人権活動家たちは述べている。

 「これは衝撃的で壊滅的な展開だ」と人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの危機・紛争・武器部門副部長メアリー・ウェアハムが語り、非持続性地雷であっても民間人に危険を及ぼし、複雑な除去作業が必要で、必ずしも確実に不活性化されるとは限らないと述べた。
 バイデンの決定による最も重大な影響は、当然ながら全面禁止の方向へ向かっていた種類の兵器の拡散になるだろう。  
ウクライナ紛争は、対人地雷反対の姿勢を再考させるきっかけを他の国々に与えた。今年初め、バルト三国のリトアニア、ラトビア、エストニアはロシア侵略に対する防衛力を強化するためオタワ条約脱退を検討したが、最終的に民間人への危険性が低い対戦車地雷や他兵器の備蓄を強化すると決定した。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/11/biden-to-send-antipersonnel-mines-to-ukraine.html

----------

 長距離ミサイル攻撃と退陣地雷。バイデンの最後っ屁置き土産。

 Sabby Sabs
Scott Ritter: We've PUSHED Russia Into A Corner! (Interview) 19:31
 今朝の孫崎享氏メルマガ題名
劇場型トランプ政治「二ューヨークタイムズ:トランプ大統領、貿易を麻痺させる可能性のあるメキシコ、カナダ、中国への追加関税を計画。米国が輸出入する商品とサービスの3分の1以上を占め、数千万の米国の雇用を支えている。トランプ選挙中中国に、「現行の関税を10%上回る追加関税」
 デモクラシータイムス 兵庫県知事選を巡る横田氏報告
【横田一の現場直撃 No.295】20241125  1:15:35
 日刊IWJガイド  
「ウクライナ支援金を横領していたのはウクライナの官僚だけではない! 米国民主党が支配する『闇のシステム』が50%も横領!」2024.11.27号

■はじめに~ウクライナの隣国で関係の深いポーランドの元労働副大臣が見るに見かねて告発! ウクライナ支援金を横領していたのは、ウクライナの官僚だけでない! 米国民主党が支配する「闇のシステム」が50%も横領!「すべての欧州や米国の納税者への侮辱でもあります。このシステムは初めから終わりまで犯罪的です」!

■本日午後7時より、「自公政権による『公共の種子をなくす仕組み』が完成!? 種子法廃止は、『私達を飢えに陥れかねない、天賦の権利を侵害するもの』! 岩上安身による『日本の種子を守る会』元農林水産大臣・弁護士 山田正彦氏インタビュー」を撮りおろし初配信します! 配信終了後、会員向けIWJサイトのアーカイブにアップします!

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

エチオピア 911事件関連 Andre Vltchek Caitlin Johnstone CODEPINK Eric Zuesse Finian Cunningham GMO・遺伝子組み換え生物 ISISなるもの James Petras John Pilger Mahdi Darius Nazemroaya Mike Whitney Moon of Alabama NATO NGO Pepe Escobar Peter Koenig Prof Michel Chossudovsky Saker SCO Scott Ritter Stephen Lendman Thierry Meyssan Tony Cartalucci/Brian Berletic TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA Unz Review Wayne Madsen WikiLeaks William Engdahl wsws アフガニスタン・パキスタン アメリカ アメリカ軍・軍事産業 アルメニア・アゼルバイジャン イギリス イスラエル・パレスチナ イラク イラン インターネット インド イーロン・マスク ウォール街占拠運動 ウクライナ オセアニア・クアッド オバマ大統領 オーウェル カジノ カナダ カラー革命・アラブの春 ギリシャ クリス・ヘッジズ グレート・リセット サウジアラビア・湾岸諸国 シェール・ガス・石油 シリア ジーン・シャープ ソマリア ソロス タイ チベット チュニジア・エジプト・リビア・アルジェリア テロと報道されているものごと トヨタ問題 トランプ大統領 トルコ ドイツ ナゴルノ・カラバフ ノーベル平和賞 バイデン政権 バングラデシュ パソコン関係 ヒラリー・クリントン ビル・ゲイツ フランス ベネズエラ ベラルーシ ホンジュラス・クーデター ボリビア ポール・クレイグ・ロバーツ マスコミ ミャンマー ユダヤ・イスラム・キリスト教 レバノン ロシア 中南米 中国 中央アジア 二大政党という虚構・選挙制度 伝染病という便利な話題 北朝鮮・韓国 地球温暖化詐欺 地震・津波・原発・核 宗教 憲法・安保・地位協定 授権法・国防権限法・緊急事態条項 文化・芸術 新冷戦 新自由主義 日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪 旧ユーゴスラビア 映画 東ヨーロッパ・バルト諸国 東南アジア 民営化 無人殺戮機 田中正造 英語教育 読書 赤狩り 通貨 選挙投票用装置 難民問題 麻薬 麻薬とされるマリファナについて

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ