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2024年4月 2日 (火)

ウクライナ「カリフ領」:モスクワでのテロ攻撃をISISのせいにする際、欧米が気づきたがらないこと

2024年3月27日
RT

 キーウとテロ集団やイスラム主義者とのつながりは欧米でさえ認められている。ウクライナはクロッカス・シティ・ホールでの虐殺の背後にいるのだろうか?


© RT / RT

 3月22日、ロシアは近年最悪のテロ攻撃に見舞われ、137人が死亡し、182人が負傷した。襲撃を実行した四人のテロリストが選んだのは、モスクワ郊外のクラスノゴルスク市にある国内最大級の展示・コンサート会場、クロッカス・シティ・ホールで、毎日催しが開催されている。

 捜査はまだ続いているが、欧米諸国は既にイスラム国(IS)が悲劇の犯人だと主張している。これは、ロイターやCNNなどの一部メディアが最初に報じ、後に欧米当局に取り上げられた。例えば、月曜日、ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官は、このように述べた。

 しかし、今回のテロ攻撃を他のIS攻撃と比較すると、類似点よりも相違点の方が多いことに気づく。

 ISの殺害方法

 運命の金曜日の夜、サンクトペテルブルクのロックバンド、ピクニックのコンサートがクロッカス・シティ・ホールで行われることになっていた。この事実は、2015年11月にフランスで起きた恐ろしいテロ攻撃との比較を生んだ。当時、アメリカのバンド、イーグルス・オブ・デスメタルのコンサートが行われていたパリのバタクラン劇場にテロリストが押し入った。89人が死亡し、ISは犯行声明を出した。

 当時、ISは世界中で活発化していたが、これは実はIS衰退の表れだった。全盛期には、ISは支持者にテロ攻撃実行を促すのではなく「ヒジュラの実行」つまりISが支配する地域への移動を呼びかけた。10年以上前、シリア・トルコ国境の一部はジハード主義者に支配されており、人々は自由に国境を越え、彼らの隊列に加われたので、これは非常に簡単だった。

 しかし、テロリストが多くの領土を失うと彼らの言説は変化した。ISは、情報資源を通じて、彼らが住んでいる場所でテロを行うよう信者に促した。これにより、ヨーロッパで暴力が急増し、フランス、ベルギー、ドイツ、イギリスなどにテロの波が押し寄せた。ロシアでは、北コーカサスが緊張の焦点となった。

 戦略は単純で、ジハード主義者を支持する者は、どこに住んでいようと「カリフ」への忠誠を誓うビデオを録画し、自動フィードバック・ボットを介して送信し、テロ行為を行えるというものだった。多くの場合、死んだのは加害者だけだったが、ISにとって、これは問題ではなく、テロに関係したと主張することだけ狙っていたため、この組織は時折、自分たちとは関係のない犯罪を実行したと言うことがあった。

 だが、クラスノゴルスクでのテロ攻撃は、ISが通常採用する単純な戦略と一致しない。実際、テロ攻撃の現場としてロックコンサートを選んだことは、この攻撃と、テロリストが犯した他のテロ行為との間の、ほとんど唯一の共通点だ。

 クロッカス・シティ・ホール事件に先行しておきたこと

 それまで面識のなかった四人が、テロ攻撃実行のために採用された。そのうちの一人、シャムシディン・ファリドゥニは2月にトルコに滞在し、そこから3月4日にロシアに飛んだ。彼は少なくとも10日間トルコに滞在しており、現在、捜査当局は彼がトルコで誰と連絡を取ったかを特定している。

 非公式情報によると、彼はイスタンブールで、ある「イスラム教説教者」と会った。しかし、テロリストが「説教者の助手」と文通していたことも知られている。ファリドゥニによると、この匿名の人物がテロ攻撃を後援し、組織したという。


ロシア、モスクワ、バスマンニー地区裁判所で、裁判前拘留での聴聞中、被告檻内のクロッカス・シティ・ホールコンサート会場テロ攻撃容疑者シャムシディン・ファリドゥニ©スプートニク/Kirill Zykov

 ロシア到着後、3月7日にファリドゥニはクロッカス・シティ・ホールを訪れ、犯行現場を視察した。このことから、攻撃は彼がトルコから到着して間もなく行われたと結論づけられる。同日、在ロシア米国大使館は、過激派による攻撃の可能性があるため、「今後48時間」大規模な集会を避けるよう市民に警告した。

 クロッカス・シティ・ホールでの次のコンサートは、愛国心で知られる歌手のシャーマンによって行われた。しかし、3月9日(土)のコンサートは無事に終了。その後、会場では他の公演もあったが、どうやらテロリストは計画の調整を余儀なくされたようだ。

 その結果、3月22日に予定されているバンドPicnicのコンサートを彼らは選んだ。このバンドはシャーマンほど人気はないが、愛国的姿勢と、ウクライナ仁おけるロシア軍の必要性のために資金を寄付することでも知られている。

 その後どうなったか

 テロリストの誰一人、IS信奉者にありがちな「天国でフーリー(天女)と交わる」ことを計画していなかった。クロッカス・シティ・ホールで人々を射殺し、建物に火を放った後、彼らは現場に到着した特殊部隊を攻撃せず、代わりに車に乗ってモスクワから逃走した。犯罪実行後死を覚悟したIS信者の特徴である「自殺ベルト」も着けていなかった。

 ISらしくないもう一つの詳細は、テロリストに約束された金銭的報酬だ。支払いは、攻撃の前と後の2回に分けて行われることになっていた。テロリストは、既に250,000ルーブル(2,700ドル)にのぼる最初の支払いを受け取っていた。

 最も重要な情報はテロリストが拘束された場所だ。交通監視カメラにより、彼らがどこに向かっているか諜報機関は監視できた。最終的に、彼らはロシアとウクライナを結んでいたが、2014年の両国関係悪化、特に2022年のロシアの軍事作戦開始後、国際的重要性の多くを失った路線である連邦道路M-3ウクライナで拘束された。

 ベラルーシに通じるルートA240への曲がり角を通り過ぎた後、テロリストは拘束された。その瞬間、彼らが向かう先は、ウクライナしかないことが明らかになった。

 テロリストは武装していたにもかかわらず、抵抗したのはそのうちの1人、ムハンマドソビル・ファイゾフだけだった。他のテロリストは全員生きたまま拘束されたが、これは作戦に関与した治安部隊に下された命令による可能性が高い。しかし前述した通り、テロリスト自身死にたがらなかったのだ。


© Social media

 更に助かるにはどこへ行けば良いのか、ウクライナ国境だと連中は知っていた。後に、ウクライナ側で、連中が通過するための「窓」が開かれていたと、国民に向けた演説でロシアのウラジーミル・プーチン大統領が述べた。

 テロ実行者、特に部外者は常に「使い捨て」と見なされるので、これもISらしくない。たとえ生きて帰れたとしても誰も助けてくれない。更に、初期のISは、犯人が生きていた場合、捜査中に危害を加えられる可能性があるため、攻撃の責任を主張しないのが普通だった。だが、その後、組織が陥った嘆かわしい状態のため、もはや気にしなくなった。

 これら全て過去数年間にISが実行した他の攻撃と比べて、準備レベルや詳細な計画や金銭的報酬の点で著しく異なっている事実に帰着する。

 ウクライナはそれと、どう関係があるのだろう?

 既に何度かウクライナに言及したが、ウクライナとテロリストとのつながりに我々は注意しなければならない。2015年以降、ロシア領内で破壊工作やテロ攻撃などを行う目的で、イスラム過激派をウクライナ保安庁が採用しようとしたことが知られている。シリアのテロリストの間でも、ウクライナ諜報機関は活発に活動していた。この協力関係は、ウクライナ国防省情報総局が管理する国際軍団に所属していたチェチェン人テロリスト、ルスタム・アジエフのウクライナ入国によって特に明らかだ。

 アジエフはロシア軍に対する第二次チェチェン作戦に参加し、最終的にトルコに逃亡した。2011年、シリアに移住し、テロリスト集団アジュナド・アル・カフカズを率いた。彼の指揮下で過激派が、対シリア軍敵対行為に参加し、民間人に対するテロ攻撃で注目された。アジエフは、アメリカだけでなく世界中でテロ組織として認識されている集団と肩を並べて活動していた。アジュナド・アル・カフカスの主な同盟者は、シリアのジャブハト・アル・ヌスラ戦線だった。

 時が経つにつれ、テロリストからロシア軍とシリア軍が領土を解放し、連中の補給基地を大幅に縮小した。その結果、アジエフと仲間は、契約殺人や、ゆすりや、拷問や恐喝に関与するようになった。2019年、間違った人物を誘拐した仲間の行動に対して、アジエフは公に謝罪しなければならなかった。

 2022年、仲介者の現場司令官アフメド・ザカエフを通じてウクライナ諜報機関が接触した際、アジエフと仲間は数年間「失業」していた。アジエフと仲間はロシア軍に対する戦闘作戦に参加し、報酬としてアジエフはウクライナ・パスポートを与えられた


© Telegram / directorate4

 2024年、アジエフ率いるテロリストは国境付近のベルゴロド州集落攻撃に参加した。ビデオの中で、作戦目的は、大統領選挙前と選挙中、ロシアの状況を不安定化させることだったとアジエフは公に認めた。これは選挙直後攻撃が停止した事実により確認された。

 クロッカス・シティ・ホールでのテロ攻撃後、オーストリアの新聞ホイテは、ウクライナとイスラム過激派とのもう一つのつながりを発見した。諜報機関の情報を引用した同誌によると、テロ容疑者の多くがウクライナからEUに入国していた。例えば、2023年12月に、タジキスタン国民と妻と共犯者がウィーンで拘束された。彼らはシュテファン大聖堂への攻撃を準備していた。夫妻は2022年2月にウクライナからEUに来ていた。

***

 ウクライナは、多くのテロリストだけでなく、IS管理者やテロリストに同調する人々の住み処でもある。これら連中の一部は、シリアとイラクで投獄されているIS戦闘員のための資金集めに積極的に関与している。資金の一部は食料や医薬品の購入に充てられる。しかし多くの場合、刑務所内で攻撃を実行するための武器購入や、看守への賄賂に費やされる。テロリストの何人かは、ウクライナ国防省に公式に「雇用」されており、他のテロリストはウクライナ保安庁で働いているので、当局に正式に相談することなく、テロ攻撃を組織するよう雇用主に圧力をかけたり、自らテロ攻撃を組織したりできる。現在「説教者の助手」を装ってウクライナ諜報機関職員が潜んでいた可能性があるという説もある。

 しかも、キーウは、ロシア内で、ダリア・ドゥギナの場合のように、直接、またウラドレン・タタルスキーの場合のように、仲介者を通じて、テロを実行した経験がある。したがって、IS信奉者などのイスラム過激派を利用するテロ攻撃実行は、ロシアと国民に最大の損害を与えるのを目的とするウクライナ戦略と完全に合致する。

 イスラム過激主義と原理主義を研究する分析・監視センター、第4総局チームによる

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記事原文のurl:https://www.rt.com/russia/595002-isis-ukraine-terrorist-attack-moscow-crocus/

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 国営放送のロシア専門怪説員、テロ調査でロシアは真犯人(幇助者?)国と協力するよう言ったのに驚愕。正気か? ロシアは耳を傾けない。

 The New Atlas Brian Berletic、今回のテロの背景や過去のアメリカ・テロ実績を語っている。

Terror Attack on Moscow & Why the US Stands as the Prime Suspect 35:54

 Duranの対談も同様。

Russian investigation moving quickly. West fears Russian offensive 48:48

 今回のテロを巡るラブロフ外相インタビュー

Интервью С.Лаврова МИЦ «Известия», Москва, 28 марта 2024 года 1:24:42

 日刊IWJガイド

「本日午後6時から、3月21日収録『岩上安身による東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員インタビュー第1回』(後半)を配信します!」

ロシアの治安当局がクロッカス・シティ・ホールのテロ事件へを防げなかったのは、米国当局が必要以上に情報を共有しなかったから!? ロシアのラブロフ外相は「ウクライナの関与を排除できない」と表明! ウクライナの関与を認めたくない西側諸国とロシアは、毎日のように舌戦! 米ホワイトハウスの国家安全保障会議カービー戦略広報調整官は、ウクライナの関与を「馬鹿げている」と一蹴し「厩肥のトップ営業マンはサンプルを口にくわえる」と批判! この下品な皮肉たっぷりの発言に、ロシア外務省のザハロワ報道官は「厩肥を口にくわえているのは我々ではなく、海の向こう(大西洋を越えた米国)の人たち」と応酬!

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