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2024年11月13日 (水)

アメリカによるヨーロッパ植民地化の影響



エドゥアルド・バスコ
2024年11月7日
Strategic Culture Foundation

 欧州連合諸国の一般国民だけでなく、欧州の政治・経済エリート層有力者の間でも不満が高まっている。

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 最近、経済発展の主要課題に関し、欧州がいかにアメリカ、更にアジアに後れをとっているかを示す包括的報告書を欧州中央銀行元総裁マリオ・ドラギが欧州連合(EU)に提出した。

 1990年には、アメリカの一人当たりGDPはユーロ圏より16%高かったが、2023年までにその差は既に30%以上に拡大した。これはアメリカ人がヨーロッパ人より益々裕福になっていることを意味する。

 だが、アメリカと欧州の富豪間の格差も広がっている。時価総額ランキング上位30位と上位500位にランクインしたハイテク起業家のうち欧州出身者は僅か10%だ。対照的に、上位30位と上位500位の73%、上位500位の56%がアメリカ人だ。

 これら新たな数字は、ヨーロッパの経済的荒廃を改めて明らかにしている。そして、原因はアメリカの権力と直接結びついている。

 第一次世界大戦終結時にヨーロッパの競争相手に対して獲得した優位性を、1930年代までに、アメリカは全て失った。ヨーロッパは荒廃し、ワシントンは世界の偉大な経済大国として台頭した。しかし、1929年の危機により、この強さは終わりを迎えた。大恐慌により、アメリカン・ドリームは終焉を迎えたかに見えた。

 第一次世界大戦が、世界市場を巡る帝国主義諸国間の争いだったのと同様、その後の第二次世界大戦は、1930年代の危機をきっかけに、ドイツと日本に部分的に奪われた支配権をアメリカが奪還するために、勃発させる必要があった。フランクリン・D・ルーズベルトは、アメリカ経済再編を主導し、少数独占企業の手に経済力を独裁的に集中させ、連邦政府支出を大幅に拡大し、大規模公共投資を行った。

 その結果、ほとんど戦争に注力する工業生産は、想像を絶するほど増加した。真珠湾攻撃は非常にありがたかった。それは政権が、参戦に反対する勢力を排除するのに必要な口実だった。1941年から1944年の間に、アメリカの軍需生産は三倍以上に増加し、1944年までに、アメリカの工場はドイツ、イタリア、日本の二倍の生産量を誇っていた。

 アメリカの工業生産は、ヨーロッパの破壊と、アメリカのイメージに似せたヨーロッパ再建という、二つの絡み合った戦略目標に奉仕した。イギリスがドイツに対抗するために必要な武器を、アメリカが供給し、両国はヨーロッパ産業の原動力であるドイツ経済を破壊する明確な意図を持って、激しい爆撃作戦を実行した。約270万トンの爆弾がドイツや他国のナチス占領地域、特に (ヨーロッパの産業中心地を構成する) フランスとベルギーに投下された。アメリカとイギリスの空爆により、ドイツ人、305,000人が死亡し、約800,000人が負傷し、550万戸の家屋が完全または部分的に破壊され、2,000万人が基本的な公共サービスを受けられなくなった。

 それはジェノサイド、大量虐殺だった。日本では広島と長崎の原爆により33万人の民間人が瞬間的に虐殺されたことに加え、アメリカ爆撃により63万5000人の命が奪われた。

 アメリカによるヨーロッパの破壊は、戦後の新しい世界秩序における完全な覇権を確保する上で、アメリカにとって決定的に有利な一大事件だった。1946年から47年にかけての諸外国の赤字は190億ドル以上だった。無傷だったアメリカは、緩やかな植民地化として、ヨーロッパ復興を開始するために融資し、同時にそれらの国々を厳しく罰した。疑うことを知らない体制側の歴史家アーサー・S・リンクの言葉によれば「復興の苦難の時代でさえ、かつての敵に対し、アメリカ政府は実にひどい復讐をした」。ドイツ国民とドイツ国家体制は「アメリカのイメージに」作り替えられた。

 トルーマン・ドクトリンと、主にマーシャル・プランが、第二次世界大戦後のアメリカによるヨーロッパ植民地化政策の主柱だった。前者は、NATOを通じて西ヨーロッパ全体と、その南東部の一部を、これら国々の政治を取り締まる巨大なアメリカ軍基地に変えた。後者は、飢えたヨーロッパ人に施し物 (110億ドル) を与え、後に利子を付けて返還させる親恩顧政策として始まり、ヨーロッパへの経済的、政治的、社会的依存過程が始まった。1948年から1951年の間に、これに関して、更に120億ドル費やされた。

 ソ連の偽りの脅威との戦いは、ヨーロッパを掌握するために、アメリカ政府が考え出した口実だった。「地球上最も偉大な国は、その指導力を正当化するか、放棄するかしなければならない」と共和党のアーサー・ヴァンデンバーグは上院で宣言した。こうしてアメリカは過剰生産の危機を克服し、商品や兵器を売りさばけたが、同時にヨーロッパ諸国を累積債務の人質にした。アメリカ製品はヨーロッパを侵略し、NATOは各国軍隊を支配し始めた。

 一方で、第二次世界大戦後のヨーロッパ征服により、住民は比較的幸福になり、社会は安定した。だが1980年代と1990年代のネオリベラル政策施行による産業空洞化という、アメリカ二度目の本格的植民地化戦略後、この福祉国家は解体され、ヨーロッパ人は完全にアメリカの人質となった。

 世界中のどの国でも、科学研究や開発の責任主体は軍隊だ。だがヨーロッパの軍隊はNATOを通じてアメリカ臣下になり、大陸における米軍能力増強のために、各国軍の能力は縮小された。EUがドラギに依頼した報告書は、この従属がヨーロッパに及ぼす有害な影響を強調している。

 報告書によると、欧州人が研究開発に費やすGDP比はアメリカの半分で、欧州事業家の多くは、こうした活動を展開するため、アメリカ移住を好む。欧州連合のGDP比研究開発費も中国、イギリス、台湾、韓国より低い。主要科学誌に掲載される論文数では既に中国に追い抜かれており、日本とインドが追随しているが、アメリカは依然先行している。欧州の経済革新力もアメリカや日本より低いままで、デジタル技術開発で既に後れをとっている。

 ポリティコによると、アメリカと欧州間の拡大する格差と戦うため、一連の「抜本的対策」をドラギ総裁は提案している。しかしEUの政策は依然アメリカ政策に完全に従属しており(つまり依存しており)ここ数十年、異なる方向性を示す重要な対策は最近実施されていないため、これら対策が効果を発揮する可能性は低い。

 このため、EU加盟諸国の一般市民だけでなく、欧州の政治・経済エリート層有力者の間でも不満が高まっている。ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、オーストリアにおける極右勢力の台頭や、ハンガリーやスロバキア政府による主権拡大の追求は、この傾向を明確に反映している。

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/11/07/repercussions-of-colonization-europe-by-united-states/

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