今や中東の人々に関するナチス・プロパガンダをモロ印刷するだけの欧米マスコミ
イスラム教徒を悪魔化し非人間化するマスコミ報道全てが、欧米帝国がイスラム教徒でいっぱいの国々に爆弾の雨を降らせているのと全く同時期に起きているのは確かに興味深い偶然だ。
ケイトリン・ジョンストン
2024年2月7日
ガーディアン紙、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などのマスメディアは、ここ数日、驚くほど人種差別的記事の掲載を許している。全てが中東の人々や中東系の人々に向けられており、欧米帝国が、中東の益々多くの国々に益々多くの爆弾を投下しているのと同じだ。
月曜日、ガーディアン紙は、1930年代のナチス・プロパガンダと見分けがつかない政治風刺画を掲載したが、それはたまたまユダヤ人ではなくイスラム教徒を描いている。この漫画は、イラン指導者アリ・ハメネイが、フーシ派、ヒズボラ、ハマスなどの中東のいわゆるイラン代理集団に傀儡の糸を操っているのを描いており、ユダヤ人を世界情勢を操作する悪質な操り人形傀儡師としてナチスが描いたのと全く同じ手口だ。
これを比較願いたい。
ホロコーストに至るまでの期間に、ユダヤ人が世界の指導者たちを操っていたというナチスのプロパガンダに対して:
今日に至るまで、ユダヤ教を信仰する人物を、いかなる文脈においても、いかなる類の操り人形師として描くのも容認できないと主流メディアは考えている。フォックス・ニュースや、オランダの新聞「デ・フォルクスクラント」や、インドのバラティヤ・ジャナタ党や、右翼政治漫画家ベン・ギャリソンは、ユダヤ人をそのように描いたことで近年非難を浴びており、イスラエル指導者を主人公にしたイスラエルの影響力に関する同様の風刺画をガーディアン紙が掲載したら、国際的非難の対象となる大規模スキャンダルになっていたはずだと言っても言い過ぎではない。
実際、イスラエル批判に関して、とんでもない人種差別主義者の比喩と見なされるものについて、ハードルはかなり低い。ガーディアン紙、ニューヨーク・タイムズ紙、サンデー・タイムズ紙などの主流メディアは、邪悪な操り人形傀儡師を描いた漫画よりも遙かに明らかに反ユダヤ主義的でないイスラエルに批判的な風刺画を削除するよう圧力をかけられている。2014年、反ユダヤ主義のレッテルを貼られた漫画で「ユダヤ人が遠隔操作装置を使ってガザの家や人々を爆破するという奇怪なステレオタイプ」を取り上げたため、シドニー・モーニング・ヘラルド紙は削除と謝罪するよう圧力をかけられた。
2024年にイスラエル指導者たちに関し、ガーディアン紙編集者がこのような風刺画を出版する考えを一瞬たりとも抱いた可能性はゼロだが、どうやらイラン指導者に関するナチス・プロパガンダ焼き直しと全く同じ類の記事を出版するのは全く問題ないようだ。
The NY Times is comparing victims of US-Israeli genocide and colonialism to insects.
— Ben Norton (@BenjaminNorton) February 4, 2024
This is the contemporary equivalent of Nazi rhetoric that dehumanized their victims as cockroaches. Except now fascist ideology is so mainstream in the US, NYT columnist Thomas Friedman uses it. https://t.co/6pBTkoesrw
中東の戦争に遭遇したことはないのに中東の人々を昆虫や寄生虫になぞらえた「動物界を通して中東を理解する」と題する記事を掲載するのをニューヨーク・タイムズ・コラムニストのトム・フリードマンは、どういうわけか許された。
もちろん、フリードマン記事に意味ある分析はない。彼は自分が好きな国をクールな動物に、嫌いな国を厄介な虫に文字通り例えているだけだ。ハマスは蜘蛛だ。イランは「寄生バチ」で、レバノン、イエメン、シリア、イラクは卵を産む毛虫だ。ネタニヤフはキツネザルで、その時々の政治的要求に基づいて左右に飛び跳ねている。君たち、これを理解しろ。アメリカ合州国はライオンだ。ガオー!
繰り返しになるが、コラムニストがイスラエル人を昆虫や寄生虫になぞらえるのを許す欧米の主流メディアは存在しないし、当然、それはまさにナチスがホロコーストへの道を開くために使った非人間的な言葉の類だ。だがイスラム教徒の人々を、そういうものになぞらえても、欧米マスコミの目からは問題ないのだ。
「ジャングル全体に火を放たずに、安全かつ効率的にスズメバチを殺す対抗戦略はない」とフリードマンは書いている。あたかもこれが欧米世界で最も影響力ある新聞に印刷されるのが全く正気であたりまえのことであるかのように。
「時折CNNを見ながら中東について考える。他の時間は『アニマル・プラネット』のほうが好きだ」とフリードマンは締めくくったが、どちらかを観て中東を考えるのは、きまりが悪いことだと言われたことは一度もなかったようだ。
そういうことだ。これが、この種赤ん坊の脳みそ並みのお決まりギャグでピューリッツァー賞を三度も受賞したトーマス・L・フリードマン氏による分析の全貌なのだ。そして、これが欧米ジャーナリズムの現状に対する告発でなければ、告発などあり得ない。
It’s 2024 and the @WSJ still pushes out this type of garbage.
— Abdullah H. Hammoud (@AHammoudMI) February 3, 2024
Reckless. Bigoted. Islamophobic.
Dearborn is one of the greatest American cities in our nation.
- fastest growing city in MI
- home to the #1 travel destination in MI (Greenfield Village / Henry Ford Museum)
-… pic.twitter.com/81iQGGKWPx
それに負けじとウォール・ストリート・ジャーナルはスティーブン・スターリンスキーの「アメリカ・ジハードの首都ディアボーンへようこそ」と題する記事を掲載し、アメリカ合州国で一人当たりイスラム教人口が最も多いミシガン州の都市について報じた。
ここ数十年、ディアボーンは、パレスチナやシリア、イラク、イエメンなどアメリカが現在爆撃しているイスラム教徒が多数派の国々からの移民の波を経験しており、どうやらスターリンスキーは、それらの人々が、この時期にガザにおけるイスラエルの行動に反対しているのは言語道断で、けしからんと感じているようだ。パレスチナ系アメリカ人のイスラム教聖職者がバイデン大統領を「もうろく独裁者」と呼んだことに彼は憤慨しているが、滑稽だと誰もが同意すると思う。
文字通りイスラエルの元諜報員に設立された中東メディア研究所(MEMRI)と呼ばれるシンクタンクをスターリンスキーは運営している。親パレスチナ活動家で学者のノーマン・フィンケルスタインは、MEMRIが「ナチスと同じ類のプロパガンダ手法」を使っていると非難し、MEMRIは「基本的にプロパガンダ作戦なのに、研究所を装っている」と厚かましく無節操な帝国プロパガンダ活動家のブライアン・ウィテカーでさえ書いている。
ここ数日、シカゴ市議会がガザでの停戦を支持する投票をした後「シカゴ、ハマスに投票」やら、10月7日の攻撃にUNRWA職員の何人か参加したことが知られているという、とっくに信用をなくしている言説に関する「国連の対イスラエル戦争」という痴呆的な見出しの論説記事をウォール・ストリート・ジャーナルが掲載した。
そしてイスラム教徒の人々を悪魔化し非人間化しているマスメディア全てが欧米帝国がイスラム教徒で一杯の国々に爆弾の雨を降らせているのと全く同時期に起きているのは確かに興味深い偶然だと言わざるを得ない。まるで欧米マスコミが欧米政府の軍事侵略への同意をでっち上げようとしているかのようだ。いつもそうなのと同様に。
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画像はアドビ・ストックより。
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