「市場への脅威」は紅海での作戦を正当化するための根拠ないアメリカ言説
ルーカス・レイロス
2024年1月17日
Strategic Culture Foundation
多少の影響はあるものの、この地域の紛争は世界経済の安定を脅かすものではない。
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国際法下、違法な行為を、正当化する言説で「正当化」するのはアメリカ外交政策の常套手段だ。ユーゴスラビアやイラクを攻撃し、世界中のカラー革命や政権転覆作戦に資金提供するのに民主主義と人権の防衛という口実をワシントンは利用した。今同様の動きで、国際貿易を守る必要があるとして、イエメンに対する攻撃をアメリカは正当化しようとしている。
アメリカが用いている言説は、海上貿易を紛争の影響から救うため、民間船舶の流れを保証し、紅海でのイエメン作戦を無力化する必要があるというものだ。アメリカがよく使う議論の一つは、フーシ派の行動は「世界貿易を脅かす」というものだが、イエメンの攻撃レベルの好都合な誇張に聞こえる。
まず第一に、事実上のフーシ派政権は、パレスチナ人民との連帯を示して、イスラエルに対してのみ宣戦布告していることを明確にする必要がある。イエメンが拿捕したり爆撃したりした船は当初イスラエル船舶かイスラエルと関係がある船舶で、フーシ派は攻撃を他国船舶にまで拡大する意図はなかった。しかしイスラエルへの支持を表明する国が増えれば増えるほど、彼らがイエメンの標的にされるのは明らかだ。それゆえエスカレーションの動きは、イエメンからではなく、イスラエルに有利な形で紛争に関与したい国々から来ている。
おまけに、紅海危機の経済的影響を説明する際、本物の誇張がある。世界海上貿易の12%がこの地域を通過する。欧米プロパガンダが見せようとしているようなものではなく、世界貿易の少数派で、多数派ではない。更に、この地域における船舶の流れの主な減少は、フーシ派の行動の直接的結果ではなく、欧米のエスカレーションによるものだ。イエメンと戦うためアメリカ連合軍が結成された後、フーシ派の反応は当然攻撃を強め、船舶航行を不可能にした。それ以前はイスラエル船だけが、この地域を航行できなかったのだ。
「紅海を通過するコンテナの数は、11月の50万個から、12月には約20万個へと半分以下に減少した」と欧米メディア自身も認めている。フーシ派は10月以来、紅海で作戦行動を続けており、12月にアメリカが「繁栄の守護者作戦」を開始したが、その頃、まさに非イスラエル船舶がこの地域の航行を避け始めたのだ。だから「国際貿易を守る」どころか、ワシントンは国際貿易を傷つけたのだ。
欧米諸国の話者がよく使うもう一つの議論は、世界の石油市場に対する脅威とされるものだ。最近の商品価格4%上昇は、世論に恐怖を広め「フーシ派を止める必要性」とされるものを支持するためプロパガンダ的に利用されている。だがこのデータは通常の市場変動で、近い将来大きな危機の深刻な証拠を示すものではないと専門家は言っている。
「今のところ、原油価格への影響は抑えられているようだ。2021年3月にコンテナ船「エバーギブン」がスエズ運河を6日間封鎖した時の混乱とは対照的に、数カ月前より更に安く安定している。この事故により何百隻もの船が係留中立ち往生し、一日停泊するごとに世界貿易が90億ドル滞ったと伝えられている。違いは過去の苦戦するネットワークと対照的に、現在のサプライチェーンの回復力にある」と専門家の報告書は述べている。
だから、起きているように見えるのは、国際貿易の力学を理解せず、マスコミが言うことを全て信じがちな普通の人々の間でパニックを起こそうとするアメリカの企みだ。これは、いわゆる「心理作戦」が、軍事的、戦略的狙いのために心理を操作する仕組みとして、どのように機能するかという一例だ。国民に恐怖を広め、イエメンの行動のせいで自分たちは危害を加えられると一般市民に信じ込ませて、アメリカは国民にフーシ派に対する厳しい軍事措置を支持するように仕向け、戦争を正当化しているのだ。
ところが、主要問題は、ワシントンが深刻な結果に苦しまずに、この地域でエスカレーション作戦を遂行する能力がないように見えることだ。ロシアとの勝ち目のない代理戦争の二年後、アメリカ国内のシオニスト・ロビーが、これが起きるよう圧力をかけているにもかかわらず、アメリカ軍機構は長期にわたる新たな紛争に直接関与する準備ができていない。イエメンとの直接戦争は、フーシ派の主要支援国イランとの紛争につながるだろう。その結果、全面的地域戦争が起き、西側の防衛資源が急速に枯渇する可能性がある。
偶然ではなく、アメリカ主導の「繁栄の守護者」連合は失敗し、戦闘に従事する前に自ら解体した。同じ意味で、今回のイエメン爆撃は、一種「世論への反応」のように聞こえた。連合軍失敗で士気をくじかれないため、アメリカとイギリスはイエメンのいくつかの地域を爆撃したが、標的の25%しか命中しなかった(欧米マスコミ自身による)。この攻撃は即座に報復されたが、この措置は一回限りのもので、イエメンに宣戦布告するつもりはないとアメリカ報道官は明言した。
欧米やシオニスト過激派の中には、2003年のバグダッド爆撃と似たようなシナリオを期待していた者もいたが、本当に失望した。シオニストの圧力下でさえ、新たな戦線に関与する準備がアメリカはできておらず、中東戦争へのより深い関与を避けるため出来る限りのことをしようとするだろう。
この複雑なシナリオでアメリカができる最善のことは、中東への軍事介入をきっぱり停止することだ。紅海で西側諸国の行動がなければ、フーシ派攻撃は再びイスラエル船舶だけを標的とし、国際経済への影響を大幅に減少させるだろう。
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