主要テロ源としてのアメリカ
2022年1月1日
ビクトル・ミーヒン
Strategic Culture Foundation
党派を超えた戦いの熱気の中、衝撃的ニュースを追って、ニューヨーク・タイムズは米軍がイラクやシリアやアフガニスタンで行った無謀な空爆で殺された無辜の一般人に関する何百もの国防総省秘密記録の公表を強いられた。世界で最も「民主的」ながら、最も攻撃的な国の諜報機関について語る際、不完全で正常に機能しないアメリカ諜報機関というのが、世界の国々が今慣れつつある概念だ。
新聞が入手した、これまで決して見られたことのない文書は、(酷く欠陥がある諜報機以外)、攻撃中に、西アジアでの、軍用機あるいは無人機による慌ただしい、しばしば不正確な標的設定が、いかにして何千人もの無辜の一般人、その多くが子供たちを殺害したかを示している。1,300以上の秘密報告(全部で5,400ページ以上)が新聞社の手中にあり、その時間枠は、2014年9月から2018年1月までに渡る。
新聞は自身、独自調査を行い、結果は国防総省文書の基本的情報の多くと、かなり一致するが、それは、場所や、攻撃後、殺されたり、傷つけられたりした人々の数を含め、国防総省による重要な相違と見落としを発見した。間違った諜報情報、まずい標的設定、多くの民間人の死、必要最小限の書類の明らかにされたデータは、狂った国防総省報告と合わず、この場合、アメリカ軍人が国際法管轄にあたる犯罪を行っていたことを証明する。
バラク・オバマ大統領は、アメリカ航空戦の開拓者として広く知られている。イラクの悲惨な侵略に続く、2011年から2003年までのアメリカ軍死傷者数は(約4,500人の兵士が死亡し、約900人の請負業者が死亡し[精神的傷害を含まず]負傷兵士は32,000人)だ。兵士を帰国させろという要求が日ごとに強くなり、イラク戦争の死傷者に反対する国民の反発は大きかった。2016年、前アメリカ大統領は「我々の並外れた技術で...我々は史上最も正確な空爆作戦を行っている。」と言った。だがオバマ大統領がアメリカ人と国際社会にウソを言っていたことが、今ますます明白になっている。「並外れた技術」は史上最も不正確な空爆作戦を行っている。2014年から2019年の間の5万回以上のアメリカ空爆で、何千人も、ひょっとすると何万人もの一般人を殺害したオバマの構想は、アメリカを、それら一般人の裁判官兼、陪審兼、死刑執行人にしたことを意味した。この調査によって文書化された何百もの例の一つで、2016年、アメリカ特殊作戦部隊が、北シリア河岸村落周辺で、三カ所のダーイシュ(ロシアで違法とされるテロ組織)「集結地」と信じたものを爆撃した。当局は当時、85人のテロリストが殺害されと報告した。現実は、国防総省秘密文書と続く調査の結果、120人以上の無辜の村人が殺害されたことを示している。テロリストは皆無で、農民だけ、家族と他の地元の人々が、爆撃や銃撃からの夜間避難所を探した前線から遠くで、村人と家に爆弾が落ちたのだ。問題は、オバマは、彼が始めた「平和的」構想に対する説明責任を問うため、もはや呼び出すことができないのだ。国防総省の他のアメリカ当局者も、民間人死者を意図的に過少計算し、過小報告したかどで同じ責任を共有している。
これは氷山の一角に過ぎないと考えられている。これまで数カ月間にわたり、アメリカ空襲の性質についての意外な事実がゆっくり表面化し、報道は更に多くのことが明らかにされることを示唆している。それはアメリカ国務省が、そうなくるのを阻止しようと努めて昼も夜も働いていることを意味する。9月、ニューヨーク・タイムズが、アメリカ当局が爆弾満載の車を破壊したと主張したアフガニスタン、カブールでの無人機攻撃は、そうではなく、家族10人を殺したと報じた。先月、タイムズはアメリカ軍が公衆の目から意図的に隠していた2019年のシリアでの爆撃で多数の一般人が死んだと報じた。今タイムズ調査で、これらは一度限りのことでなく、むしろまずい諜報情報や、意図的におかしく変化した秘密戦争のよくある犠牲者だったことが分かった。
将官の制服を着た国際犯罪者と国務省外交官を使うホワイトハウスの政策は実に卑劣だ。公正な調査を行い、無辜の一般人の殺害に責任がある犯人を罰するどころか「勇敢な戦士」はメダルを授与され、称賛され、昇進させられ、多少の甘い金銭的ボーナスを受け取る。一方、それら戦士は、どのように一般人を根絶したかを自慢して自叙伝を書く。野蛮人!他に、どんな言葉も思いつけない。
10人のアフガン文民を殺したアメリカ空爆後、アムネスティ・インターナショナルが言った。「アメリカは今この事件の全面的な透明な公正な調査を約束しなければならない。刑事責任の容疑をかけられた人々は公正な裁判で起訴されるべきだ。生存者と被害者の家族は調査の進展について知らされるようにし、全面的補償を与えられるべきだ」。
だが何の裁判も行われなかった。そして、それは決して行われるまいと筆者は付け加えたい。「偉大な民主主義」の国民を一体どうして迫害できようか?彼らは常に責任を避けている。アメリカ海岸に上陸した彼らの先祖は、この国が正当に所属していた何億人もの先住民、アメリカ先住民を残酷に殺害した。そして建国の父の誰かが、これに対して罰を受けただろうか?お考え願いたい。先住民が根絶される場合、それは通常、大量虐殺と呼ばれる。だが彼らの先祖同様、軍や政治支配体制の代表連中は、他民族の大量虐殺が癖になっているのだ。彼らの「偉大な民主主義」哲学は、他の人々の土地を爆撃し、征服し、彼らの富を専有することだ。これは普通の人の心理ではない。それは犯罪の、食うか食われるかの心理だ。
この場合、タイムズは、カブールで「現在、アフガニスタンを世界中が精査しているため、アメリカ軍は、この攻撃の失敗を認めるよう強いられただけだったと報じた。シリア、イラクとソマリアで多くの同様な攻撃が、公の目に見えない場所で起きており、打ちのめされた家族が静かに苦しむ中、アメリカは責任を否定し続けている。アメリカは、不法な攻撃を終わらせ、攻撃で傷つけられた一般人の全ての主張を終始、徹底的に調査し、調査結果を公式に発表すると保証しなければならない。」
アメリカ政権は去来するが、彼ら全員、終始他の国々が「テロの国家スポンサー」だと言う。だが実情は、アメリカ自身こそテロ支援国なのだ。ワシントンによる国家テロ行為について、アメリカ・メディアで見られる豊富な証拠がある。それはアメリカで、それは良く知られている事実で、それはテロリズムの発祥地だったのだ。中南米の多くの国々や、アフリカやアジアとヨーロッパでの彼らの野蛮な行動を見さえすればよい。ちなみに、ロシアで活動禁止されているテロ組織、アルカイダやダーイシュを作ったのは誰か?それは、あの「民主的な」アメリカ合州国ではなかったか?
アフガニスタン、イラク、シリアでのアメリカ爆撃は死と破壊だけをもたらしたが、公式に述べた「平和と安全」を推進するという目標は実現しなかった。ワシントン界隈では、アメリカ軍が民間人犠牲者の実数を「過小報告している」という考えが広まっている。だが、最近の暴露は、全く異なった物語を示している。ワシントンは自身の調査を隠蔽しようとしているという物語で、今世界は、その理由を知っている。タイムスの記者が三カ国の100以上の犠牲現場(!?)を訪れ、被害者家族にインタビューし、評論家たちが言っていることは、現実のごく一部に過ぎないことを示した。
だが、最新報告書が言うように、アメリカ軍人は、ビデオゲームと同様に、巨大な液晶ディスプレー画面の前に座り、爆弾投下するためボタンを押しているので、アメリカは、この野蛮な政策を続けている。だがビデオゲームと異なり、彼らの標的は実物で、彼らの致命的攻撃は、シリアやアフガニスタンやイラクや他の国々で既に多数の人々を死なせている。国防総省が依然そのテロ活動を軽視し続けようとする中、ワシントンは、これらの犯罪を罰せられずに、やり通している。これまで、2014年末にさかのぼる、これら評価の20以下しか公表されていない。これらテロリストに法の裁きを受けさせ、諸国をこれのテロ活動から保護し、世界中で秩序を復活させる頃合いだ。
ビクトル・ミーヒンは、ロシア自然科学アカデミー客員。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/01/01/the-united-states-as-the-primary-source-of-terrorism/
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この集団も宗主国の傀儡。
日刊ゲンダイDIGITAL
昨日、IWJインタビュー再配信、拝聴した。本当にタイムリーな教訓的内容。そのまま現在と直結する。西でウクライナを煽り、東で日本を煽る戦術は現在益々露骨になっている。彼の著作、翻訳本は興味深く拝読しているが(今は古書しか入手できない)読んでいなくとも、よく分かる見事な解説。拝聴しながら、カザフスタンでのイギリス諜報機関の暗躍とされるものを思い出した。
<本日のタイムリー再配信>2014年、ウクライナ東部で軍事衝突が勃発するなか、岩上安身がドイツを訪れ、米ロの対立について識者に行ったインタビューを3夜連続配信します! 本日はその第1弾! 夜8時より、「ウクライナ危機は『米国によるユーラシア不安定化のステップ』 イングドール氏が警告、東に舵を切れ! 「ワシントンの奴隷国である限り破壊と低迷があるだけ」~岩上安身によるインタビュー 第480回 ゲスト F・ウィリアム・イングドール氏 2014.9.12をお送りします!
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured
数日前に日本記者クラブでの下斗米教授の講演youtubeを拝見した。宗教的な観点からロシア史を見直す講演。上記インタビュー同様、ウクライナ紛争理解の為には必見と思う。ただし、エリツィンを巡る最新刊を含め、下斗米教授の著書を拝読していないと、聞き慣れない人名の羅列は、筒井康隆の『バブリング創世記』のように聞こえるかも知れない。
IWJアーカイブを見て、下記インタビューがあったの気がついた。当時、拝見していたはずなのだがすっかり忘れていた。こちらは、直接ウクライナ問題を話題に解説されている。
「国家として、メルトダウンしかかっている」混乱が続くウクライナ、プーチン大統領の次なる戦略とは~岩上安身によるインタビュー 第536回 ゲスト 法政大学教授・下斗米伸夫氏 2015.5.7
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