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2021年12月25日 (土)

なぜ欧州連合はナワリヌイを支持し、アサンジを無視しているのか?

2021年12月20日16時57分
タリク・シリル・アマル
RT

 ロシアの反体制派アレクセイ・ナワリヌイは彼の活動と、そのため彼が負った個人的犠牲の名目で最高の「人権」賞とされる権威あるサハロフ賞を欧州議会から授与された。

 ナワリヌイは刑務所で刑期を勤めているので、娘のダーリャが代理で賞を受けとった。更に彼女は、インタビューで本人が説明した通り、父親としっかり打ち合わせた講演を欧州議会でするよう招かれた。その意味でナワリヌイは賞を授与されただけではない。彼はEUの有名な議会で発言する機会を与えられたのだ。議会議長は彼女の父親の「即時放免」要求を繰り返した

 ナワリヌイは、本質的に、ロシアにおける彼の反政府活動と、そのために彼が払ったとEUが言う代償を認められて賞を与えられたのだ。たとえロシア当局が常にこれを否定して、彼は法的犯罪のため判決を下されたと強く主張しても、彼は政治犯だというのが西洋の共通合意だ。更に欧米諸国政府や団体や専門家は、ロシア治安機関がナワリヌイを神経ガスで毒殺しようと試みたことに同意しており、他方、ロシア当局は、いかなる責任も否定し、証拠要請が拒否されたと言っている。

 反汚職活動家がサハロフ賞を受賞したことで重要なのは、欧米あるいはロシアのナワリヌイに対する見解に、読者が同意するかどうかではない。是非一瞬、 その問題はわきに置いて頂きたい。この特定の賞で重要なのは、欧米が彼をどのように見ているかだ。特に、民主主義、当局側が秘密にしておきたい政治権力の透明度を促進しようとしたことに対し、不当に迫害され、投獄された英雄と見ているのだ。

 だが上記の全ては、ウィキリークス創設者で傑出した調査ジャーナリスト、ジュリアン・アサンジにも明らかに同様に当てはまる。それなのに彼はサハロフ賞を受賞しなかった。実際欧州会議は、彼への支持や敬意を示していない

 だが、もしナワリヌイの娘が議会で講演するためスタンフォードから飛行機で招待されるなら、例えばロンドンから、アサンジの妻ステラ・モーリスを飛行機で招き入れるのが極端に困難なはずはない。議会議長がアサンジ釈放を要求していない事実については言うまでもない。

 アサンジは、もちろん「彼らの」でなく「我々の」囚人だ。ナワリヌイが流刑地で服役しているのに対し、アサンジはロンドンの悪名高い厳重警備拘置所に投獄されている。

 二人には違いもある。例えば、アサンジへの激しい追跡は、極めて憂慮すべきアメリカ法の治外法権の極端な権限拡張を暗示している。ナワリヌイの場合、ロシアについて同じことは、あてはまらない。アサンジは様々な形で、ナワリヌイより長く拘留されている。過去彼本人の下劣な人種差別的発言の映像記録のおかげで、ナワリヌイの評判が傷ついたが、たとえ彼の支援者が、その事実をはっきり認めるのを依然困難と思っても、それは全くの事実だ。アサンジの評判が性的暴行の嫌疑で攻撃された際、その主張は、控えめに言っても維持できてていことが判明している。

 おそらく、最も重要なことは、特定の政治志向の人々は、志向が違う他の人々を嫌う傾向があるのだ。本音を言えば、例えば、ナワリヌイの愛国心と自由主義の混合ではなく、アサンジの左翼的な立場に、私は親近感を抱く。それでも私は、彼らのうち一人だけでなく、二人とも解放されるべきだと信じている。この点、印象的なのは、同情と偏見が、公正に打ち勝つことが非常に多いことだ。二人の人物に対して、読者が彼らの釈放を要求すべきかどうかという質問への、読者の答えは、読者がどのように「感じている」かではなく、公正な等しい基準を適用しようとする努力に従うべきだ。

 だから、どうか一瞬の間、読者の同情は脇に置いて頂きたい。そこで再び、ナワリヌイとアサンジを見よう。二人とも、大きな、情報に詳しい組織を築いた。そしてナワリヌイは(アサンジと異なり)議員に立候補しようとしたが、二人の創設者の組織が、明示的に、権力者が機密にしておきたいと望むものを暴露し、透明度を追求した点は大きく重複している。

 二人とも犯罪(ナワリヌイの場合は、詐欺と過激主義、アサンジの場合は、本質的にスパイ行為)のかどで告発されている。二人とも彼らが処罰される本当の理由は、政治的なものだと主張している。二人とも彼らの主張に対し、一般に重要と認められている団体から広範囲な支持を得ている。例えば、ナワリヌイの場合は、アムネスティー・インターナショナルヒューマンライツ・ウォッチトランスパレンシー・インターナショナル。アサンジの場合は、多くの個人や団体、中でも、アムネスティー・インターナショナルとヒューマンライツ・ウォッチや、ジャーナリスト保護委員会支援している

 だが、ここに悲しい事実がある。「新冷戦」であろうと、あるまいと、東でも西でも、余りに多くの人々が、私の側から見て正しいか否かの枠組みで考えるのをやめることができないのだ。欧州会議での講演の際、ナワリヌイの娘と、彼女を通して父親は、ジュリアン・アサンジに言及しないことで、団結を示す素晴らしい機会を逸したのだ。

 ウィキリークス創設者の件に、少なくとも等しい注意を払わないため、この団体は人権と民主主義について語る信頼性を失った。本質的に、これらの価値観を守るため立ち上がったかどで、欧米の二本の大黒柱、アメリカとイギリスによって、ヨーロッパの刑務所で、拷問にかけられて、ゆっくりと殺されている男。

 自分をごまかしてはいけない。今「そっちこそどうなんだ論」を叫ぶのは実に都合が良いだろう?誰かが、あえて同じ基準をロシアと我々に適用するだろうか?ここにニュースがある。比較できないものを比較する際「そっちこそどうなんだ論」に過ぎなくなる。それでも、それがアサンジとナワリヌイについての問題なのだ。

 二人の違いにもかかわらず、これは面と向かって、比較可能な問題だ。もし誰かが奇抜な原稿や、ネットフリックスの調子で書いたなら、類似は、おそらくあまりにもありそうにないと拒絶されるはずだ。

 ソ連の水素爆弾を作るのを助けた不可知論者について、これを言うのは直感とは相容れないかもしれないが、物理学者、人権擁護運動家、反体制派のアンドレイ・サハロフは前世紀の誰と比べても同じぐらい非宗教的な聖人だ。賞が彼の名にちなんで名付けられるには良い理由がある。サハロフは彼の信念を見いだした途端、それらに対して頑固で、水晶のように公平だった。真実は、おそらく彼にとって、唯一の最高価値だった。

 1975年、妻のエレーナ・ボンネルが代理でオスロに旅行し、ノーベル平和賞を受ける際、彼が言わなければならなかったのはこうだ。「平和と人権という原則の最終勝利の希望を表明して、私の講演を終わらせたい。このような希望が実現できる最も良い兆候は、世界中、あらゆるところでの、全ての政治犯解放、全般的政治恩赦です。全般的政治恩赦ための取り組みは人類の将来のための戦いです。

 「世界中、あらゆるところでの、全ての政治犯解放。」

 世界の中の彼の国、当時のソ連政権下で、彼自身や友人たちが苦しんでいる不正な処遇だけを見ているだけで良いはずの人物がそう言ったのだ。だがけサハロフは、全員のために等しく嘆願する道徳感と正直さの持ち主だった。

 これを十分理解して、彼の期待に応えるよう努めよう。特に、もしあなたが彼の名で賞を授与する委員会の一員なら。

 EUや、他のどこであれ、一方だけ、つまり反対側のものだけ追い求め、一方の囚人のみ、すなわち反対側にいる人々と団結を示して、武器として利用し、サハロフの名をおとしめる人々は恥ずかしさでうなだれるべきだ。彼は、そういう連中を哀れに思うはずだ。私の感じ方は嫌悪感により近いのを認めざるを得ない。

 タリク・シリル・アマルは、ドイツ出身で、イスタンブールのコチ大学で、ロシア、ウクライナと東ヨーロッパ、第二次世界大戦史、文化的冷戦と記憶の政治を研究している歴史学者。彼は@tarikcyrilamarでTwitterに投稿している。

 本欄で表明される声明、見解や意見は単に著者のものであり、必ずしもRTのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/russia/543752-navalny-assange-eu-human-rights/

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 アベノマスク保管に6億円
 アベノマスク廃棄費用「6千万円」
 これに製造・配布費用がある。

 哲学入門チャンネル番組を見て、民営化、百害あって一利なしと再確認。公務員削減を目的した結果が、大阪のコロナ死亡率日本一。

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 貧しくなったのに幸福度は上がる不思議〜『大下流国家』著者の三浦展先生とライブ〜

 デモクラシータイムス

製造業より医療介護~雇用と富を生み出す産業【兪炳匡のどん底ニッポンを立て直す!】② 20211023

 日刊IWJガイド

「皆さまへ緊急のお願いです!! 今期スタートの8月から12月末までの不足金額は約673万円! どうか、もう一段のご支援をお願いします!!」2021.12.25号~No.3390号

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 IWJの窮状をうかがうたびに、下記のマクチェズニー氏の話を思い出す。

ロバート・マクチェズニー『資本主義がインターネットを民主主義の敵にする』について語る

この国は途方もない人数の有能な人があふれています。この国は有能な人に満ちています。ここで不足しているのは、彼らを支える資金です。素晴らしいメディアの仕事をしている沢山の人々がいる事実は嬉しいことですが、彼らがきちんと食べられるようになって欲しいと思います。家族を持てるようになって欲しいものです。彼らの頭上には屋根があって欲しいですし、昼間の別の仕事や家事の残り時間で、ジャナーリズム活動をするというようなことを無くしたいものです。子供達を寝かせ着けた後、家を掃除し、会社での仕事に行くべく目覚めるよう床につく前、夜11:00に作業する人々が、報道や文化を担っていては、自由な社会は築けません。資金の保障がなければいけません。我々に必要な良いもの、文化、ジャーナリズムを生み出すことが出来る人々が、まともな報酬を得られるようにすべきです。

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