国際教育総合文化研究所「近況報告会」11月=「CHINA STUDY勉強会」第2章「タンパク質神話」の真実 報告者:山上
総合文化(2024/12/23)
コリン・キャンベル(T. Colin Campbell、コーネル大学栄養学教授、名著CHINA STUDYの著者)
森下敬一(2008)『人生が変わる食べ方』、
若杉友子(2024)『今日も明日も身軽な暮らし』、」若杉友子(2014)『一汁一菜子育て法』
本間真二郎(2021)『ワクチンより大切なこと』
橋本敬三(1978)『からだの設計にミスはない』
今村光一『いまの食生活では早死にする 改訂新版』(1994)
前回は新川さん(仮名)が書いてくださって、しかも「まえがき」までにも筆を伸ばしていただき、『CHINA STUDY』の全体像にもおよびましたから、視野が一気に広がりました。
さて以下は山上(仮名)さんの担当、第2章「タンパク質神話の真実」についての報告です。
研究所に咲いた秋海棠の花
ここからは、私(山上)の担当箇所である、第2章「タンパク質神話の真実」について報告する。印象に残ったところを2箇所挙げてそこを選んだ理由を述べる。
これまでの我が家の食事の方針は「すべてのものをバランスよく食べる。一日30品目をめざす」であったが、肉に関しては獣肉ではなく、なるべく魚貝を摂ることになっていた。その理由は、前者は人間よりも体温が高いので、その血液は人体に入ると流れにくくなって健康によくないという考えから来ている。
本書の考え方は、その魚肉さえも摂るのは少なくしたほうがよいことを示唆している。以下は、その点に着目して手元にある本を調べてみた結果である。
森下敬一(2008)『人生が変わる食べ方』
食物の氣能値(波動測定器で生命力を示す値)
かに、エビ、貝類、鮮魚、干物・・・高氣能食品
刺身・・・・・・・・・・・・・・・中氣能食品
鶏肉、豚肉、牛肉・・・・・・・・・低氣能食品 (p.31)
「魚は生魚よりも塩焼きなどの加熱したものや、太陽の光のエネルギーを吸収した干物のほうが、氣能値が高い。」(p.94)
若杉友子(2024)『今日も明日も身軽な暮らし』
ばあちゃんが思う「和食」は、現代の刺身、握りずし、天ぷらといった美食とされるものではなく、昔の日本の食文化。(p.138)
近海の魚・川の魚ならたまにならいいよ。「食べものの陰陽表」より (p.170)
若杉友子(2014)『一汁一菜子育て法』
日本人にとって動物性の食べ物は弊害が大きすぎる。そのたんぱくや脂肪は体内で固まりやすく、毒素や老廃物をため込んでしまう。とくに子どもは陽性だから、極陽性の肉や卵、魚類を食べさせるとバランスを欠く。
ただ、大人がどうしても食べなきゃいけないときは、食べ合わせを工夫して毒消しをするとよい。肉の毒消しには、ねぎや玉ねぎ、しいたけ、にんにく。卵の毒消しには、にら。魚には、大根、柚子。その他のお勧めは、梅干し。 (pp.103-106、抜粋、要約)
本間真二郎(2021)『ワクチンより大切なこと』
食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱している一汁三菜「まごはやさしい」の食材が健康に役立つとされている。
ま=まめ…大豆(味噌、醤油、豆腐、納豆)、小豆、えんどう豆、インゲン豆
ご=ごま…ごま、木の実(松の実、ピーナッツ、くるみ、ぎんなん)
わ=わかめ…海藻類(わかめ、こんぶ、ひじき、のり、あおのり、あおさ)
や=やさい…根菜、葉菜(キャベツ、青菜)、果菜(なす、トマト)
さ=さかな=小魚(しらす、あじ、いわし、さんま)、貝類、桜えび
し=しいたけ…きのこ類(しいたけ、しめじ、えのき、きくらげ)
い=いも…さつまいも、里いも、じゃがいも、山いも (pp.207-208、抜粋、要約)
橋本敬三(1978)『からだの設計にミスはない』
肉食は確かに体力はつくであろう。しかし体力と健康とは同一のものではない。
近藤正二(しょうじ)博士も、日本内地で海岸で魚肉を多食する処は心臓病にかかる者が多く、ハワイ二世は一世よりは肉食が多く、心臓病でたおれる者が多いとの観察も傾聴すべき。 (pp.128-132、抜粋、要約)
小崎順子(1981)『ひとりで操体法』
小児喘息(八歳の男子)への処方―ゼラチンを使ったゼリーを黒糖やハチミツを加えて食べましょう。木の実や小魚なども摂らせる。卵や肉が好きだからといって、毎日食べてはだめです。3分の1に減らします。
動物蛋白が過剰になると、肝臓や腎臓が分解しかねて過労になり、毒素が体力を弱めるので、海草、野菜を多くとり、バランスのとれた食事にしてください。 (pp.206-207、抜粋、要約)
今村光一『いまの食生活では早死にする 改訂新版』(1994) からの引用
近藤正二博士の長寿村と短命村の比較
輪島の海女は体が大きいが40代で引退し始め、50代の現役はほとんどいない。一方で80代の現役海女さえ多い国崎の海女は体はずっと小さい。輪島(短命村)では魚も肉も沢山食べ、米は白米よりも白い一寸二分米を食べ、野菜もあまりとらない。
一方で、国崎(長寿村)では、贅沢な高級魚は村外へ売ってしまって一物全体食の小魚と大豆をよく食べる。野菜は種類も量もたっぷり食べ、海草も常食としている。 (pp.208-214、抜粋、要約)
松井病院食養内科(東京・池上)の健康メニュー
主任医師の日野厚博士の言葉「私は何もしてないよ。食事を改善してやっただけさ。 そうすると患者は自分で治っていくのさ」
朝:トースト(ライ麦、玄米、ごまバター)、ジュース(人参、小松菜)
昼:飯(玄米、ごま)、塩焼(白身魚、塩、大根おろし、大葉)、卯花炒り(おから、人参、ネギ、油揚げ/干椎茸、油/醤油、煮浸(小松菜、人参、板麩、醤油)
夕:飯(玄米/ひえ)、味噌汁(しじみ、味噌)、チャンプル(押豆腐、Gシート*、キャベツ、玉ねぎ、もやし、塩、ごま油、削り節)、納豆和え(納豆、わかめ、大根、葱/醤油)、お浸し(小松菜、のり、醤油)
*小麦のグルテンを材料にした食品
一週間の献立全体を見ると、茸類、梅、鶏肉、こんにゃく、豆乳も登場する。 (pp.214-216、抜粋、要約)
以上の引用から導き出される当面の結論は以下のとおり。今後の献立の指針としたい。
・海に囲まれた海洋国家日本では魚肉の摂取は「身土不二」の観点から是認される。
・ただ大量の摂取は肝臓、腎臓の負担が過重になるので避けた方がよい。
・また「一物全体」という観点からは全体が食べられる小魚が望ましい。
・調理法としては、「陰陽調整」という観点から、太陽エネルギーを浴びた干物、塩焼き、味噌漬け、梅煮が考えられる。また付け合わせには、大根おろし、柚子の絞り汁などを利用する。
ふたつめの引用箇所は以下の一節である。
上記の一節に続いて、キャンベル博士は観察結果を受けとめるか、背を向けるかの選択を迫られている自分に向き合い、一緒に暮らしていた伯母や義母がガンで亡くなった辛い体験を回想する。そして「どこであろうと、我々の研究が導くところへ進んでいこう」と決断する。
こういった著者の赤裸々な心情の吐露が語られていることが本書の魅力のひとつだろう。
「私」を語ることが読者の共感を呼び、「公」の重要性をより認識しやすくなるのだ。これは寺島先生がつねづね語っておられることでもある。(2024/10/27、改訂版)
コリン・キャンベル(T. Colin Campbell、コーネル大学栄養学教授、名著CHINA STUDYの著者)
森下敬一(2008)『人生が変わる食べ方』、
若杉友子(2024)『今日も明日も身軽な暮らし』、」若杉友子(2014)『一汁一菜子育て法』
本間真二郎(2021)『ワクチンより大切なこと』
橋本敬三(1978)『からだの設計にミスはない』
今村光一『いまの食生活では早死にする 改訂新版』(1994)
前回は新川さん(仮名)が書いてくださって、しかも「まえがき」までにも筆を伸ばしていただき、『CHINA STUDY』の全体像にもおよびましたから、視野が一気に広がりました。
さて以下は山上(仮名)さんの担当、第2章「タンパク質神話の真実」についての報告です。
研究所に咲いた秋海棠の花
ここからは、私(山上)の担当箇所である、第2章「タンパク質神話の真実」について報告する。印象に残ったところを2箇所挙げてそこを選んだ理由を述べる。
栄養学会において起こっていることの一端をお話ししよう。それは、ゆっくりだが着実にタンパク質を合成できる「低質の植物性タンパク」こそ最もヘルシーなタンパク質である、という革新的な考え方だ。そのことを証明する研究が山ほどある。「ゆっくりだが、着実である」 このほうが最終的には優るのである。(p.109)
これまでの我が家の食事の方針は「すべてのものをバランスよく食べる。一日30品目をめざす」であったが、肉に関しては獣肉ではなく、なるべく魚貝を摂ることになっていた。その理由は、前者は人間よりも体温が高いので、その血液は人体に入ると流れにくくなって健康によくないという考えから来ている。
本書の考え方は、その魚肉さえも摂るのは少なくしたほうがよいことを示唆している。以下は、その点に着目して手元にある本を調べてみた結果である。
森下敬一(2008)『人生が変わる食べ方』
食物の氣能値(波動測定器で生命力を示す値)
かに、エビ、貝類、鮮魚、干物・・・高氣能食品
刺身・・・・・・・・・・・・・・・中氣能食品
鶏肉、豚肉、牛肉・・・・・・・・・低氣能食品 (p.31)
「魚は生魚よりも塩焼きなどの加熱したものや、太陽の光のエネルギーを吸収した干物のほうが、氣能値が高い。」(p.94)
若杉友子(2024)『今日も明日も身軽な暮らし』
ばあちゃんが思う「和食」は、現代の刺身、握りずし、天ぷらといった美食とされるものではなく、昔の日本の食文化。(p.138)
近海の魚・川の魚ならたまにならいいよ。「食べものの陰陽表」より (p.170)
若杉友子(2014)『一汁一菜子育て法』
日本人にとって動物性の食べ物は弊害が大きすぎる。そのたんぱくや脂肪は体内で固まりやすく、毒素や老廃物をため込んでしまう。とくに子どもは陽性だから、極陽性の肉や卵、魚類を食べさせるとバランスを欠く。
ただ、大人がどうしても食べなきゃいけないときは、食べ合わせを工夫して毒消しをするとよい。肉の毒消しには、ねぎや玉ねぎ、しいたけ、にんにく。卵の毒消しには、にら。魚には、大根、柚子。その他のお勧めは、梅干し。 (pp.103-106、抜粋、要約)
本間真二郎(2021)『ワクチンより大切なこと』
食品研究家で医学博士の吉村裕之先生が提唱している一汁三菜「まごはやさしい」の食材が健康に役立つとされている。
ま=まめ…大豆(味噌、醤油、豆腐、納豆)、小豆、えんどう豆、インゲン豆
ご=ごま…ごま、木の実(松の実、ピーナッツ、くるみ、ぎんなん)
わ=わかめ…海藻類(わかめ、こんぶ、ひじき、のり、あおのり、あおさ)
や=やさい…根菜、葉菜(キャベツ、青菜)、果菜(なす、トマト)
さ=さかな=小魚(しらす、あじ、いわし、さんま)、貝類、桜えび
し=しいたけ…きのこ類(しいたけ、しめじ、えのき、きくらげ)
い=いも…さつまいも、里いも、じゃがいも、山いも (pp.207-208、抜粋、要約)
橋本敬三(1978)『からだの設計にミスはない』
肉食は確かに体力はつくであろう。しかし体力と健康とは同一のものではない。
近藤正二(しょうじ)博士も、日本内地で海岸で魚肉を多食する処は心臓病にかかる者が多く、ハワイ二世は一世よりは肉食が多く、心臓病でたおれる者が多いとの観察も傾聴すべき。 (pp.128-132、抜粋、要約)
小崎順子(1981)『ひとりで操体法』
小児喘息(八歳の男子)への処方―ゼラチンを使ったゼリーを黒糖やハチミツを加えて食べましょう。木の実や小魚なども摂らせる。卵や肉が好きだからといって、毎日食べてはだめです。3分の1に減らします。
動物蛋白が過剰になると、肝臓や腎臓が分解しかねて過労になり、毒素が体力を弱めるので、海草、野菜を多くとり、バランスのとれた食事にしてください。 (pp.206-207、抜粋、要約)
今村光一『いまの食生活では早死にする 改訂新版』(1994) からの引用
近藤正二博士の長寿村と短命村の比較
輪島の海女は体が大きいが40代で引退し始め、50代の現役はほとんどいない。一方で80代の現役海女さえ多い国崎の海女は体はずっと小さい。輪島(短命村)では魚も肉も沢山食べ、米は白米よりも白い一寸二分米を食べ、野菜もあまりとらない。
一方で、国崎(長寿村)では、贅沢な高級魚は村外へ売ってしまって一物全体食の小魚と大豆をよく食べる。野菜は種類も量もたっぷり食べ、海草も常食としている。 (pp.208-214、抜粋、要約)
松井病院食養内科(東京・池上)の健康メニュー
主任医師の日野厚博士の言葉「私は何もしてないよ。食事を改善してやっただけさ。 そうすると患者は自分で治っていくのさ」
朝:トースト(ライ麦、玄米、ごまバター)、ジュース(人参、小松菜)
昼:飯(玄米、ごま)、塩焼(白身魚、塩、大根おろし、大葉)、卯花炒り(おから、人参、ネギ、油揚げ/干椎茸、油/醤油、煮浸(小松菜、人参、板麩、醤油)
夕:飯(玄米/ひえ)、味噌汁(しじみ、味噌)、チャンプル(押豆腐、Gシート*、キャベツ、玉ねぎ、もやし、塩、ごま油、削り節)、納豆和え(納豆、わかめ、大根、葱/醤油)、お浸し(小松菜、のり、醤油)
*小麦のグルテンを材料にした食品
一週間の献立全体を見ると、茸類、梅、鶏肉、こんにゃく、豆乳も登場する。 (pp.214-216、抜粋、要約)
以上の引用から導き出される当面の結論は以下のとおり。今後の献立の指針としたい。
・海に囲まれた海洋国家日本では魚肉の摂取は「身土不二」の観点から是認される。
・ただ大量の摂取は肝臓、腎臓の負担が過重になるので避けた方がよい。
・また「一物全体」という観点からは全体が食べられる小魚が望ましい。
・調理法としては、「陰陽調整」という観点から、太陽エネルギーを浴びた干物、塩焼き、味噌漬け、梅煮が考えられる。また付け合わせには、大根おろし、柚子の絞り汁などを利用する。
ふたつめの引用箇所は以下の一節である。
私はフィリピンでの体験とインドからの論文のことを教授(同僚のニューバーン氏)に話した。しかし教授は「檻の中のラットの数を取り違えたんだろう。高タンパクの食事がガンの発生を増大させるなんて絶対にない」といって、即座にその論文を一蹴した。
私は同僚の不信感や怒りを買うような、「挑発的な考え」を口にしていることに気づいた。それは「究極の選択」を意味していた。 (pp.120-121)
上記の一節に続いて、キャンベル博士は観察結果を受けとめるか、背を向けるかの選択を迫られている自分に向き合い、一緒に暮らしていた伯母や義母がガンで亡くなった辛い体験を回想する。そして「どこであろうと、我々の研究が導くところへ進んでいこう」と決断する。
こういった著者の赤裸々な心情の吐露が語られていることが本書の魅力のひとつだろう。
「私」を語ることが読者の共感を呼び、「公」の重要性をより認識しやすくなるのだ。これは寺島先生がつねづね語っておられることでもある。(2024/10/27、改訂版)
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