無人殺戮機

2024年5月30日 (木)

ウクライナ:「撃墜された」ドローンが標的に命中

2024年5月22日
Moon of Alabama

 

 ウクライナにおけるロシア無人機による被害報告の後には、必ず全ての無人機が撃墜されたと主張する報告が決まって続く。

 ストラナ経由(機械翻訳):

 

 ロシアがスミ地方のコノトプとショストカの発電所を攻撃

 今日の08:22

 昨夜、ロシア軍はスームィ地方のコノトプとショストカのエネルギー施設への空爆を開始した。

 

 これはスームィ州当局が報告している。「敵はシャヒド型無人航空機を使用し、ショストカ市とコノトプ市のエネルギー施設に対し空爆を開始した」と報告は述べている。

 

 現在、敵攻撃により停電した電力供給の復旧作業が進められている。

 

 また州当局は、この夜、スミ地方上空で「シャヘド」形の敵無機7機が破壊されたと報告している。

 

 「シャヒード」夜襲後、スームィと周辺地域は依然停電状態だと電力会社ウクレネルゴは報じた。

---

 ウクライナを攻撃した24機のシャヘドを空軍は全て破壊した

 

本日 09:00

 

 5月22日水曜日夜、ロシアはシャヘド-131/136形の攻撃用無人機24機でウクライナを攻撃した。ウクライナ国軍空軍が発表した。

 

 「対空戦闘の結果、ウクライナ国防軍は24機のシャヘド全ての撃墜に成功した」と報告書は述べている。

 攻撃無人機はムイコラーイウ、ドニプロペトロウシク、ザポリージャ、ドネツク、スーミ、オデッサ地域で破壊された。

 

 夜、ロシア軍がスームィ地方のコノトプとショストカのエネルギー施設に空爆を開始したことを想起願いたい。

 「シャヒード」夜襲後、スームィと周辺地域は停電したままになっている。

 

 撃墜されたドローンの破片が依然被害を引き起こす可能性があることは認める。しかし「撃墜された」ドローンの「破片」が目標に到達して、意図した損害を与えてた場合、それは本当に撃墜されたことになるだろうか?

 

 連中はこれで一体誰をからかっていると思っているのだろう?

 

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/05/ukraine-shot-down-drones-cause-intended-damage.html

----------

 

 Moon of Alabama筆者、医療上の事情で当面投稿しないとのこと。

 

 Daniel Davis/Deep Dive ストルテンベルグもゼレンスキーもDelusionalだとミアシャイマー教授

 

John Mearsheimer: Zelensky Seeks Phantom Peace in Switzerland 1:05:19

 

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

 

トランプは「Make America Great Again」としばしば言及。多くのアメリカ人は、歴史の中で今をどう評価しているか。(YouGov)昨年アメリカ人にどの10年間に最も住みたいかを尋ねたとき、最も一般的な答えは「今」。今の高い評価はTV,スポーツ。仕事と生活のバランス

2023年4月16日 (日)

今、帝国で:警官ボット、主流メディアの従順さ、そしてマコールの恥ずかしい台湾擁護

2023年4月12日
ケイトリン・ジョンストン

この記事の英語朗読を聞く(ティム・フォーリーによる朗読)。

 帝国での暮らしで起きる興味深いことが多すぎて、今日の記事一本では対応しきれないので、一本に三件まとめたい。

 台湾をめぐる戦争はマイクロチップの支配、えー、つまり民主主義と自由の支配だ とマコールは言う。

 日曜日のMSNBCインタビューで共和党議員マイケル・マコールは非常に興味深いことを認めたが、彼が言っている意味を司会者指摘した後、急いで撤回せざるを得なかった。

 猛烈な対中国タカ派マコールに、なぜアメリカ人は台湾を巡って戦争をするのをいとわないのか「基本的な説明をする」ようMSNBCのチャック・トッドが言うと、マコールはマイクロチップ製造の支配が狙いだと答えた。トッドが、それは世界の石油供給を支配するためのアメリカの戦争や軍国主義のための正当化に良く似ていると指摘すると、マコールは急いで訂正し、台湾防衛は実際は「民主主義と自由」を守ることだと言った。

 「アメリカ人が台湾で起きていることを気にするだけでなく台湾を守るため、アメリカ人の血とお金をつぎ込むのをいとわない理由の基本的な説明をしてください」とトッドは言った

 これに対し、マコールは抑止力と国際貿易保護について語り「より重要なのはTSMC(台湾半導体製造会社)が世界の先進的半導体チップ供給の90%を製造していることだと思う。中国が侵略し、占領したり破壊したりした場合、我々は世界的に傷つく。」

 「下院議員、それはアメリカが60年代、70年代、80年代に中東でなぜこれほど多くのお金や軍事資源を費やしたのかの主張のように聞こえます」とトッドは答えた。「石油は経済にとって非常に重要でした。これはその21世紀版のようなものでしょうか?」

 「民主主義と自由の問題だと私は個人的に思う。そしてウクライナでしているように、我々はそのために立ち上がる必要がある」とマコールは明らかに不快そうに言った。

 マコールの性急な訂正と同じくらい面白かったのは、中東におけるアメリカ軍国主義と石油戦争は「60年代、70年代、80年代」に限定されるというトッドの主張だった。あたかもイラクやリビアの破壊、イランに対する軍事攻勢、イエメンの飢餓、シリア油田占領は、アメリカ戦争機構が、それ以来何十年も笑い楽しむためにやってきたかのように。

 また台湾が北京支配下に置かれると、製造した製品を中国が他国に販売するのを躊躇し、世界がそれら製品を自由に購入していないかのように「傷ついた世界」になるという主張も面白い。

 ホワイトハウスが、そうしないように言った後、ペンタゴン漏洩の話題を報道を控えたマスメディア。

 

 「ペンタゴンの漏洩情報について報じるなと言うホワイトハウス」という題の記事で、Anti Warのデイブ・デキャンプは次のように書いている。


 月曜日、ホワイトハウスはインターネット上に現れた国防総省や他のアメリカ政府機関から漏洩した極秘文書に含まれる情報を公開しないようメディアに警告した。
 「文書の信憑性を確認していないので、パブリックドメインに出る幕のない情報だ」とホワイトハウス国家安全保障会議報道官ジョン・カービーは記者団に語った。
 「私が言って構わなければ、新聞の一面やテレビのページには無関係だ。それは公共報道を目的としたものでなく、そこにあるべきでもない」と彼は補足した。

 それは月曜日だった。火曜朝、フォックスニュース記者ジェニファー・グリフィンは「フォックス・ニュースは他の報道機関とともに、先週発見された漏洩した極めて機密な文書を公開しないことに同意した」と述べた

 グリフィンは、どの「他の報道機関」が同意したかは言わなかった。

 これが欧米ジャーナリズムだ、紳士淑女。

 ニューヨーク市警、兵器庫に警官ボットを追加。

 

 NBCニューヨークは、ニューヨーク市警が、以前国民の抗議に直面して使用を放棄した後、他のロボットとともに「ロボット犬」を部隊に追加したと報じている

 (先に進む前に、マスコミはこれらをジェットソンズのかわいい漫画のキャラクターのように「ロボット犬」と呼ぶのをやめる必要があると言わなければならない。彼らは「犬」ではなくロボットだ。警官ロボット。四足歩行の警官を「犬」と呼ぶのは、それから利益を得る連中とそれを使用したい連中によるマーケティング策略だ。

 NBCニューヨークは「ロボット犬」は「人質交渉やテロ対策事件その他の状況で必要に応じて」使用されると報じ、広範な国民の反対にもかかわらずロボットの使用が押し進められていると指摘している。

 「エリック・アダムズ市長は、ロボット犬は前政権時代に導入されたが、指導者たちは国民の抗議を受けて一歩後退したと述べた。しかし彼は最大の関心事は公共の安全だと述べた」と報道にある。

 「この発表は、ニューヨーク市警が一般の人々に懸念を引き起こす機会を与えずに、これらの技術を展開することで透明性と説明責任の基本的規範に違反する、もう一つの例だ」と法律扶助協会はこの動きに反対して言ったと報じられている。

 「K5自律セキュリティロボット」と呼ばれる別の技術も、NBCニューヨークが「人工知能を使用して初期対応者にリアルタイムで事件を通知する」と報じている四足歩行ロボットと一緒に展開されており「乗換駅などの屋内や屋外両方の限られた場所で自動パトロール」を実施するため使用される。だから監視だ。監視ロボットだ。

 

 そのような極端な攻撃性が強引に推進されているので、私は数ヶ月ごとに警官ボットが当たり前のこととされる新しいエスカレーションについて新記事を書かなければならない。警官ボットが必要だと決まったので、世界は警官ボットを手に入れている。

 これらエスカレーションについて新しい話が報じられるたびに人々はロボットが人間に背を向ける映画について常に冗談を言うが、それはここでの本当の危険ではない。本当の危険は、これらロボットは人間に完全に制御されるものであり、人間には他の人間を抑圧し虐待してきた長い実績があることだ。これはターミネーターやブラックミラーではなく、ありふれた警察の軍事化で何十年にもわたり続いているものと同じ軌道に沿っている。

 「危険な坂道」論という警察軍事化に対する全ての異議は、歴史により100%立証されており、彼らが警官ボットを展開し始める時にそれが変わると期待する理由はない。ラザフォード研究所でジョンとニシャ・ホワイトヘッドが昨年説明したように、警官ロボット武装のこの継続的拡大は、より一般的なアメリカにおける警察武装化の着実な強化と並行している。SWATチームは1960年代にカリフォルニアで最初に登場し、1980年までにアメリカでは年間3,000件のSWATチーム風襲撃が行われ、2014年までにその数は80,000に急増した。おそらく今はもっと多いだろう。

 「危険な坂道」論の問題は、それが正しいと証明された一貫した実績を持っている問題について、それを無視できないことだ。警察は特にアメリカで益々軍事化しており、軍事化エスカレーションが始まると、段階的に緩和することはめったにない。

 歴史の夜明け以来、支配者連中は決して彼らに背を向けず、命令に決して逆らわず、そうするよう言われた時、自国の民間人を攻撃するのを決して躊躇しない愚かで従順な兵士を持つことを夢見てきた。警官ボットは支配者より一般人の方が常に遙かに人数が多いという古来の問題の最終的な解決策だ。警官ボットはギロチン対策なのだ。

 人類は一方では私たちの意識の目覚めと、他方ではハルマゲドンとディストピアへの急落との競争状態にある。この沈没船に永久に閉じ込められる前に目を覚まして事態を好転できるよう願っている。

_________________

 私の記事は全て読者のご支援によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、FacebookTwitterSoundcloudあるいは、YouTubeをフォローするか、Ko-fiPatreonPaypalのチップ入れにいくらか投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトか、Substackでメーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。人種差別サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事でも)再配布、使用、翻訳されるのを私は無条件に許可している。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリック願いたい。全ての記事はアメリカ人の夫ティム・フォーリーとの共同執筆。

 ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

 画像はWeb Summitから (表示 2.0 一般 (CC BY 2.0)、サイズに合わせ変更)

 気に入っていただけただろうか? Patreonで、ケイトリン・ジョンストン支援のために、1秒時間をかけて頂きたい!

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2023/04/12/today-in-empire-copbots-msm-compliance-and-mccauls-embarrassing-taiwan-admission/

----------

 The Jimmy Dore Shows 演説でイギリス首相の名前を間違えるだけでなく、出会った際も無視。認知症は相当重い?

Biden Shoves Aside U.K. Prime Minister Rishi Sunak But Doesn’t Realize It! 4:48

 植草一秀の『知られざる真実』

国民を不幸にする岸田内閣

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

 引用日刊ゲンダイ 孫崎享「安倍元首相を銃殺したのは山上被告なのか…犯人が別にいるのであれば、世紀の滑稽譚に 日本外交と政治の正体」

 日刊IWJガイド

「ロシアへの制裁のはずが、裏目に!? 制裁に参加していない非欧米圏・世界の4分の3の国々は潤うばかり! 欧州日本などの米同盟国は大損!」

はじめに~ロシアへの制裁のはずが、裏目に!? 欧米諸国によるロシア産石油の販売価格上限設定は、ロシアの収入減には成功! 一方でその「恩恵」はロシア系企業にも還流!? ロシア産ガソリンの総輸出量が昨年比で増加、3分の1はアフリカ諸国が購入、欧州はロシア発インド経由のディーゼルオイルを購入、イランは鉄道で初輸入! 中国の経済回復で中国の貿易が快調、中でも中露貿易が急増、その半分はエネルギー資源! 昨年に続き減産を決定したOPECプラスはもはや「米国の軌道を離れた」と米紙が嘆く! 対露制裁のために、格安のロシア産石油が非欧米圏に出回り、制裁に参加していない世界の4分の3の国々は潤うばかり!

IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 3月のご寄付件数は132件、175万5400円でした! 月間目標額390万円の45%に相当します! 毎月、累積赤字が増え続けている状況ですが、4月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

2023年2月17日 (金)

イーロン・マスク、衛星のウクライナによる戦争利用を阻止

アンドリュー・アングリン
2023年2月9日
dailystormer

 

 イーロンは行動を起こした。

 これは議会のユダヤ人連中にNATOに対する戦争行為と見なされる高い可能性がある。

 我々がついている。

 心配するなイーロン-人々はあなたの味方だ。

RT:

 ロシアとの戦争でドローン制御のためスターリンク人工衛星インターネット・サービスを使うウクライナ軍の能力をスペースX社は低減したと同社のグウィン・ショットウェル社長が述べた。

 スペースXが「本当にウクライナ接続性を提供できるのは嬉しいが」技術は「決して兵器として利用されるよう意図していなかった」と水曜日ワシントンでの第25回年次FAA 商業宇宙輸送会議でショットウェルは述べた。

 「ウクライナは意図されておらず、どんな合意の一部でもない方法で[スターリンク]を利用した。だから我々はスターリンクに対処しなければならない」と彼女は述べた。

 ショットウェルは後に記者団に彼女が監視のためドローン制御し、攻撃作戦でスターリンクに依存するキーウ軍について話をしていることをはっきりさせた。

 「彼らがそうする能力を我々は制限できる」と彼女はロイターが引用するように、ウクライナによる無人機のためのスターリンク利用を参照して説明した。「我々がすることが可能で、そして実行したことがある」とショットウェルは実行した具体的措置は明らかにせずに付け加えた。

 スペースXはウォロディミル・ゼレンスキー政府との合意で、衛星通信サービスは戦争により影響を受ける病院や銀行や家族にインターネットを提供する純粋に人道的目的で提供したと社長は述べた。

 「我々は軍が通信のために使っているのを知っているが、それは問題ない。だが我々の意志は決して彼らがそれを攻撃目的のため使うことではない」と彼女は指摘した。

 会社が技術を提供する前にキーウによって乱用されるかねないと予想していたか尋ねられて社長は言った。「我々はそれについて考えなかったが、かなり速く気がついた。」

 中国との戦争についてイーロンがどのように考えているかは明らかではない。

 共和党の新版とつながるこれら連中の多くが中国との戦争を望んでいるので、ロシアとの戦争に反対なだけなのを今我々は知っている。

 クレアモント研究所はこれら連中の大部分に対して責任があるか、少なくとも彼らのための基盤だ。タッカー・カールソンはこの集団の一部で彼らの主な代表だ。タッカー・カールソンは私の英雄だったが、私は彼らが小さい目をしていて犬を食べるから、中国にする反対なのだと思っていたが、これまでの数カ月でタッカーが実際中国と戦争する妄想に取りつかれているのが明白になった。

 今週の気球ペテン以来、彼は全く狂ったように話している。彼は文字通りシーン・ハンニティだ。彼はゲイのミニ・マルコ・ルビオと化し、議会の全てのネオコンと化している。彼が戦争推進へと変わる中、彼の番組を見る平均的アメリカ人は言葉の変化に気付きさえしないだろうと思うと恐ろしい。

 それは私にとって本当に衝撃だった。私はこの男を支持したのに我々をすっかり裏切ったのには吐き気を催す。

 しかたがない。

 人を信頼した当然の報いだ。

 なぜ彼がフォックスニュースで許されるのか意味がわからなかった。

 だが、やれ、やっと分かった。

 少なくともその謎だけは解決した。

記事原文のurl:https://dailystormer.in/elon-musk-blocks-ukraine-from-using-satellites-for-war/

---------

 The Jimmy Dore Show NATO事務総長、ウクライナ戦争は2014年に始まったと認めた。「兵器供給こそ平和への道」と戦争挑発屋。

NATO Chief ADMITS Ukraine War Began In 2014! 8:11

 耕助のブログ Phil Butler記事の翻訳

No. 1706 アメリカ人が知らないロシア側のニュース

 デモクラシータイムス

気球騒動と台湾有事~米中対立の危険な騒ぎ【田岡俊次の徹底解説】20230215 48:57

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

客観的にいって、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズは日本のメディアより優秀。だが米国民は米国民の26%だけがニュース メディアに好意的な見解、報道機関が視聴者の最善の利益に配慮していると信じていると答えたのはわずか23%。日本は?

 日刊IWJガイド

「今や日本は『衰退途上国』!? 破滅的な『増税軍拡』をやめて、米中『代理戦争』の罠から抜けよ!! 岩上安身による田代秀敏氏インタビュー」

本日午後6時半より、岩上安身によるシグマキャピタル株式会社代表取締役・チーフエコノミストである田代秀敏氏へのインタビュー、「日銀の金融政策は破綻し、アベノミクスも終焉! 物価は上昇し、実質賃金は低下! 今や日本は『衰退途上国』!? せめて破滅的な『増税軍拡』をやめて、米中『代理戦争』の罠から抜けよ!!」(仮題)をお送りします。

 田代氏は、2023年2月14日の『エコノミスト』に、「『ガラパゴス』日銀 市場機能をマヒさせた『看守』 低金利慣れの財政に大打撃」という記事を発表され、日銀に向かって「『地獄への扉』が開こうとしている」と警鐘を鳴らしました。

2022年11月16日 (水)

武力紛争の性質を変えつつあるドローン

2022年11月13日
ウラジーミル・プラートフ
New Eastern Outlook

 ここ数年遠隔操作無人機の使用が武力紛争の形を根本的に変えている。だが技術がその段階でまだ初期段階で、結果が印象的じゃなかったけれども、戦闘における最初の無人機(UAV)使用実験は第二次世界大戦中に行われたので、この手法は新しいと表現することはできない。それでも1960年代初期、アメリカは諜報活動のためにRyan Model 147UAVを使い始め、1964年にソビエト社会主義共和国連邦はHawk Tu-123を導入した。

 ここ10年にわたりUAV技術は劇的に進展した。過去主に空中撮影や映画撮影に使われていたが、今や地上部隊の行動調整や、有人航空機や砲兵隊の射撃手の目標修正し、敵の防空体制や地上標的爆撃の識別を含め益々困難な仕事を達成している。現在UAVの主な製造業者・運用者にはアメリカ、イスラエル、トルコと中国があり、この部門はロシア、カナダ、ノルウェーとイランでもしっかり開発されている。

 2020年のナゴルノ-カラバフ紛争はうまく活用した際の戦闘UAVの有効性を鮮やかに示し、この新たな現実は即座に軍事評論家に戦術概念の再考を強い、政府に防衛戦略を修正させた。最初はナゴルノ-カラバフ紛争で、次にウクライナ・ナチ政権に対するロシア特別作戦で何百もの軍装備品がUAVにより破壊され、今日局地的に限定された紛争における成功は、主にUAV攻撃に対する十分な防衛と使える戦闘UAVの数によって決定されることを明らかに示した。戦車やパイロットが操縦する航空機や砲兵隊などの通常兵器は次第にさほど不可欠でなくなりつつある。

 キルギスタンとタジキスタン国境を巡る最近の紛争は戦闘におけるUAVの重要性が増大したこと明らかにした。武力衝突に関与する国はUAV製造業者と提携することがどれほど重要か理解し、トルコは中央アジア地域への主要供給元になった。例えばキルギスタンが2021年末に購入したトルコのバイラクタルTB2 UAVは間もなくタジキスタンとの戦闘における主要因となり、隣国がより良い武器設備が整っている事実を幾分か埋め合わせた。これらUAVはジャララバード空港で国家安全保障のためキルギスタン国家保安庁の国境警備部門により配備され、国防と安全保障を保証し、国境を守る上で重要な役割を果たしている。もう1つの最近の武器購入もキルギスタンが防衛目的を実現するのを助けた。2021年2月ロシアのS-300防空システムとロシア製Orlan-10無人機を購入した。2022年9月13日、最近の紛争が始まるわずか一日前、キルギスタンのサディル・ジャパロフ大統領は新たなUAV基地を開設した。

 一方タジキスタンもトルコからバイラクタルUAV購入を決め、今年4月21日、アンカラでタジキスタンのシェラリ・ミルゾ国防大臣とトルコ国防大臣フルシ・アカルはUAV供給枠組み合意に署名した。アンカラ訪問中、シェラリ・ミルゾはバイラクタルUAV生産工場を訪問し製造業者バイカル・マキナ幹部と会談した。タジク・メディアは9月16日に起きて、41人の死をもたらしたタジク-キルギス国境での最近の武力衝突後、バイラクタルUAVが演じる役割に焦点を当てた。タジキスタンとキルギスタン間の国境紛争でトルコUAV使用が紛争に新たな次元を加えたとトルコ人研究者ケリムが認めた。

 中央アジア国家間で再発する紛争と地域が直面する統合問題という条件のもと、この地域でトルコUAVビジネスは繁盛している。2020年12月トルクメニスタンはトルコのバイラクタルを購入する最初の中央アジア国家となり、その後間もなくウズベキスタンとカザフスタン両国もUAV購入に関しトルコと協議に入った。だが地域でのトルコのUAV事業は大いに危険かもしれないことが間もなく明確になった。地域でリスクに注目しているトルコのアナドル通信は地域でのトルコUAV使用にh広範な可能性があると見いだしている。地域専門家たちが中央アジアでのトルコUAV使用増加は、この地域でトルコの軍事的、戦略的影響力を強化する効果があるかもしれないと推測した。

 トルコの他、近年の進展で明らかになった通り、イランもUAVの主要な生産国だ。Mohajer-6やShahed-136のようなイランUAVは特定軍事行動、特にシリア、イラクやイエメンでの紛争で極めて効果的と判明している。Shahed-136は、装置一機が20,000から50,000ドルという価格で、このクラスでは市場で購入可能な最も安いUAVの一つだ。イランUAVは予想よりずっと有効なことが分かり、多くの潜在顧客がイラン防衛産業対する考え方を再考するよう強いられている。

 NATO加盟諸国は戦闘活動以外に諜報活動を含め敵国活動を監視する広範な目的でUAVを使用している。例えば、11月3日、パスリャンスカ・リヴァダ訓練拠点でのセルビア軍のManeuver 2022演習中、コソボとメトヒヤの「行政線」近くでセルビアの活動を監視するためNATOがUAVを使ったとセルビア大統領アレクサンダル・ヴチッチは主張した。彼はUAVが一回以上セルビア軍事基地上を飛行するのが見られており、数日前セルビアが、対UAV電子システムを使ってラシュカ軍事基地付近でこの装置を一機撃墜したと付け加えて、セルビアには領土防衛の準備ができていることを明らかにした。

 戦闘に従事する軍事専門家の最近の評価によれば、戦場で効果的に使用するため(敵情観察、砲撃目標や手りゅう弾発射修正)各大隊に約20-30機のUAV、作戦中損失するものを置き換えるため追加予備が必要だ。予備電池や他のUAV部品にも要求が増大している。

 上記状況から判断して、多くの異なった国々で、これら装置に対する需要が各軍隊で増加するのでUAVビジネスが成長し続けるのは明確だ。UAV自身の他に海上基地や輸送などの支援インフラに対する需要も増加している。

 欧米諸国が生産するUAVは安価からはほど遠いため、他地域の類似した一層買いやすいモデルに非常に多くの需要がある。例えば、これまで数年間にイスラエルや、トルコやイランを含め多くの中東諸国がUAV製造を強化した。欧米の主要UAV製造業者さえ価格を引き下げるため他の国々と共同製造協定に署名し製造過程の外注を検討している。例えば最近ワシントンはインドのニューデリーでUAVを生産し他地域諸国に輸出するジョイント・ベンチャー設立への関心を表明した。

 しかし、戦闘活動におけるUAVの使用増加は反対なしではすまず、近年国連の多くの専門家たちや、Stop Killer Robotsや、Article 36やヒューマンライツ・ウォッチ、アムネスティー・インターナショナルやControl Armを含め多くのNGOが現在の傾向に懸念を表明している。公共団体や宗教指導者による、それらの使用があまりに広範に広がる前に、自律型兵器使用を違法とする国際条約への要求もある。それはまだ提案以上の何ものでもないが、このような予防措置は既にこの技術がまだ使用されていない地域、主に中南米の20以上の国とアフリカの支持を得ている。

 ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/11/13/drones-are-changing-the-nature-of-armed-conflicts/

----------

 The Jimmy Dore Showの話題は幅広い。
 アンカラ爆破はアメリカ仕込み?、ヘルソン解放を祝う市民のナチ敬礼を写して追い出されたCNN、破綻したFTXへの底知れぬ政界関与。

 The Jimmy Dore Show

Did The U.S Just Attack Turkey For Cozying Up To Russia? 7:16

CNN Banned From Ukraine After Showing N@zi Salute 11:42

FTX Scam Involved Ukraine & Democrats In Money Laundering Scheme Says Internet 16:25

 今朝の孫崎享メルマガ題名

日本経済の悪化―ニューヨーク・タイムズ紙の見方「日本経済は予想外に縮小し、円安とインフレの上昇に見舞われた。消費者と企業が輸入価格の上昇に見舞われたため、経済は1.2%縮小。(NYT 2022年11月14日)」

 日刊IWJガイド

「ヘルソン州でロシア軍の『悪魔化』が進行! ウクライナのネオナチ部隊もヘルソンに侵攻! ロシア軍に協力したヘルソン市民の粛清が懸念!」2022.11.16号

2022年4月 9日 (土)

トルコのバイラクタル・ビジネスを叩くワシントン

2022年4月2日
ウラジーミル・プラートフ
New Eastern Outlook

 アメリカで、無人機(UAV)を使用するサービスの市場は、様々な広範な用途ゆえ、大きな発展の可能性があると長い間考えられていた。

 UAV市場は2025年までに500億ドルに達すると予想されている。CAGR(累積年間成長率)によると、2020年以来13.8%だ。絶対数の点では、おおざっぱな見積もりで、金額は2020年の225億ドルが、2025年には、ほぼ500億ドルに増加する。更に、ワシントンが世界中にしかける様々な武力紛争が悪化する傾向を考慮して、アメリカは、特に軍用無人飛行機の生産と販売の大幅増加の「可能性」を見ている。

 2015年-2016年、軍用無人飛行機の開発、生産と使用で、アメリカが圧倒的な世界首位だと考えられている。2020年には、アメリカには、主に偵察用に、11,000機のドローンが使われていたが、多目的無人飛行機(攻撃機)もあった。だが現在は、米軍無人飛行機の大半は、防空システムを持っていない国々や、防空システムを鎮圧した後に使用するよう意図されている。防空システムの攻撃から守り易い超音速無人飛行機の開発は2016年に中止された。だが最高0.9マッハの速度が可能な戦闘爆撃機が開発されている。

 依然首位にあるものの、アメリカにとって、数年前には存在していた差を減らしつつある、より積極的な軍用UAV製造業参加者が国際市場にいるのを認めなければならない。これらは何より、中国、トルコ、イスラエルとロシアだ。例えば、National Interestはウクライナでの特別作戦で、ドローンをロシアの主要兵器と呼んでいる

 手に入れることが可能などんな武器の助けを借りてでも常に戦っている中東諸国に続いて、益々多くの国々が近年無人機を入手しようとしている。更に、シリア、リビア、そしてカフカスでの軍事行動における「トルコ・ドローンの圧倒的成功」をトルコが積極的に宣伝し、他の国々のUAVと比較して、非常に安い価格(無人飛行機六機のセットで約7000万ドル)、最近特に大人気を享受しているのはバイラクタルだ。バイラクタルTB2の最初の外国顧客は、2018年に無人飛行機六機セットと、二つの地上管制局と他の関連サブシステム装置を設置したカタールだった。カタールに続いて、2019年に、ウクライナが類似の「セット」を購入した。

 だが実際には、バイラクタルのシリアとリビアでの経験はそれほど成功ではなく、ドローンの損失はかなりなことが判明し、トルコはドローン使用戦術を調整するよう強いられた。それでも、明らかな低価格のため、NATO加盟諸国さえ含め、益々各国に買われ始めた。例えば2021年5月27日、ポーランドのマリウシュ・ブワシュチャク国防大臣は、トルコのバイラクタルの目前に迫ったポーランドの武器庫への到着を厳かに宣言さえした。

 この条件下で、アメリカは不要な競争相手を排除するいつもの手口で、長い間トルコUAVの威信を傷つけようと努めている。それで、旧式で、廃兵器にされたアメリカの戦闘UAV MQ-9リーパーと、トルコのバイラクタルTB2がほとんど同じである事実を考慮に入れて、アメリカはメディアで、これらドローンの積極的批判を開始した。特に米空軍司令部は、公式に、この種のUAVは、ロシア軍や中国の人民解放軍は言うまでもなく、イランや北朝鮮の軍に対してさえ、戦闘活動には、不適切で、役に立たず、並の機能の防空システムさえ構築できない劣った軍に対使用できるだけだと論じた。これは、一年前に、特に中東でアメリカ作戦を監督したケネス・マッケンジー大将と統合参謀本部議長マークミリー大将が発言していた。

 アメリカのMQ-9リーパーUAVとトルコのバイラクタルTB2は、大きさと些細な詳細が違うだけだ。MQ-9Reaperは際だって大きく重い。バイラクタルTB2の翼幅が12メートルなのに対し、アメリカの無人機は翼幅20メートルだ。バイラクタルTB2の最高離陸重量は650キログラムで、MQ-9リーパーは4.76トンだ。両方とも攻撃ドローンと偵察機あるいは観的手として使用可能だ。トルコ無人飛行機は150キログラムの弾薬あるいは機体外装置が搭載可能で、アメリカ無人飛行機は1,700キログラム搭載可能だ。MQ-9リーパーの巡航速度は313 km/hで、バイラクタルTB2の速度は130km/hだ。アメリカのMQ-9リーパーは敵レーダーによるドローン照射の機内警告システムと、ジャミング装置があり、保護装置に関しては、トルコ製品より一桁優れている。この全てにもかかわらず、米空軍司令部は、既にこのタイプの新UAV購入を拒否し、新世代無人飛行機の製造を要求している。

 アメリカのMQ-9リーパーとトルコのバイラクタルTB2両方とも、過去「無防備な獲物」に対して軍事行動で成功裏に使われた。だが、2020年春、トルコがシリア軍に対してドローンを大規模使用した際、シリア軍がかなり旧式の防空システムを使って「傘」を設定した後、バイラクタルTB2の欠陥は明白になった。それはトルコからの空の脅迫を無力にするのに十分であることが判明した。

 アメリカの軍事専門家連中は、トルコのUAVの購入者に、バイラクタルTB2のこれらの故障がトルコ軍がまだ完全な防空システムを持っておらず、トルコ地上部隊の戦車と機械化歩兵部隊の防空手段は、自動車と無限軌道車に搭載されたスティンガー対空ミサイル・システムに限定されている事実に帰せられると説明する。ようやく、トルコで、地上部隊を援護するためのHISAR A+対空ミサイル・システムが開発され始めた。加えて、もちろん、最近トルコの防空システムはロシアのS-400によって明らかに強化された。

 この市場でトルコから顧客を誘惑するのに、バイラクタルTB2を「より効率的なアメリカ・ドローン」に替えるよう提案し、トルコUAVの欠点をワシントンは積極的に使い始めた。とりわけ、ウクライナや他の「アメリカ同盟諸国」のトルコ製品の買手に基づいて、Breaking Defenseがこのような「申し出」を最近公式に掲載した。「ウクライナが、アメリカUAVを使用していたら一層効果的であり得たはずだと知っているのはいらだたしい」と出版物は言う。

 ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/04/02/washington-knocks-down-turkey-s-bayraktar-business/

-----------

 岩波書店の月刊誌『世界』5月号

 「メディア時評」を最初に拝読。

2017年9月19日 (火)

チェルシー・マニングの客員研究員招請を撤回した恥ずべきハーバードの偽善者連中

ダニエル・ ライアン
公開日時: 2017年9月17日 12:08
RT

Susana Vera / ロイター

元アメリカ陸軍兵士で内部告発者のチェルシー・マニングがハーバード大学ケネディ行政大学院に、客員研究員として加わる予定だと発表してから二日もたたずに、大学は招請を撤回した。

言論の自由と思想の自由を支持すると主張する人々なら誰でも怒りだす理由だ。

マニング招請が公表されて間もなく、元CIA副長官、元CIA長官代理のマイク・モレルが、“有罪判決を受けた重罪犯、機密情報漏洩者を称賛する”組織の一員でいるわけにはゆかないと主張して、抗議として上席研究員を辞職した。

それから間もなく、マイク・ポンペオCIA長官が大学での講演を直前にキャンセルした。彼の口実は同じだった。ツイッターに投稿した文章で、“良心と義務”からして、マニングを客員研究員として雇用する決定を“支持するように感じられて”CIA職員たちの信頼を裏切るわけには行かないとポンペオは述べた。

    CIA長官ハーバード大学ケネディ行政大学院フォーラムを辞退 pic.twitter.com/N7YKyGy9H4
    - CIA (@CIA) 2017年9月15日

翌日、ハーバード大学ケネディ行政大学院学長のダグラス・W・エルメンドルフが、突然事の真理を知って、マニングを客員研究員として招請したのは“間違い”で、自分に責任があると発表した。ハーバードはどれほど“様々な見解”を歓迎するかを三段落もだらだら言っていた後の矛盾もお構いなしにだ。

ハーバードがマニングを讃える意図は毛頭無かったことを人々に請け合うためエルメンドルフは大いに骨を折った。彼は単純に“多くの人々”が招請を“栄誉”と見なしているのに気がつかなかっただけで、将来研究員を選ぶ際には、もっと注意を払うと約束した。

更に読む
ハーバード、CIAに屈伏、反発を受け、チェルシー・マニングの客員研究員を撤回

はっきりさせようではないか。エルメンドルフが、色々な人々や、‘客員研究員’が一体何を意味し、何らかの栄誉を含意するかどうかについての彼らの意見を懸念ていることとは全く無関係だ。もし彼が、一体誰が、含意される栄誉に値するかについて合意を得ようとしているのであれば、選出の対象になる研究員などいなくなる。現在の全ての招請は即座に撤回されるべきことになる。

そうではない。起きたのは単純なことだ。 ハーバードのような組織は、本当は、彼らが主張している自由な思想と独立の灯火ではないから、CIAの圧力に屈したのだ。連中は金持ちや有力者のご機嫌を伺い、彼らを守るためなら最大限の努力を払うのだ。

この出来事はこれをまざまざと実証したのだ。ハーバード、そして率直に言って、大半のお仲間の大学は、学生に、当局や現状に異議申し立てをするのではなく、支配層に従うようにと教えるのだ。

チェルシー・マニングは戦争犯罪を暴露して、そのために何年も刑務所で過ごし、政府の手による拷問や虐待に苦しんだ。一方、モレルとポンペオは、いずれも、何十年にもわたってチェルシー・マニングの内部告発よりも、遥かに多くアメリカ人の命を危険にすることをしてきた、アメリカ合州国において、まず間違いなく最も犯罪的な組織を率いていたのだ。

これを言うのに、より丁重な方法も考えつけるが、実際丁重であるべき理由などない。モレルとポンペオは卑劣な、吐き気をもよおす最高位のウソつきだ。彼らのような連中にとって真実は脅威なのだ。マニングのように真実を語る品位がある人々を、彼らは恐れている。

ところがハーバードは、研究員にしたり、講演契約をしたりして、CIA長官を喜んで讃えている。

マニングの行為に激怒した振りをしているモレルとは一体何物だろう? モレルは、シリア戦争で、ワシントンの方針に従わないことの“代償を支払わせるため”ロシア人やシリア人を “秘密裏に”殺害することを公然と支持している人物だ。

    "私が今CIAを支配しており、私はヒラリー・クリントンを支持しており、ヒラリーにはシリアで多数のロシア人やイラン人を殺して欲しい ":https://t.co/Ka7oSby9kk
    - Christoph Germann (@Ch_Germann) 2016年8月9日

暴露するためにマニングが命をかけた、まさにその戦争犯罪をアメリカ政府がおこなっていた時に、モレルもCIAで働いていたのだ。彼が、栄誉を与えるべくハーバードに選ばれた人物だとは、一体どのような病んだ世界に我々は暮らしているのだろう?

本質的に戦争犯罪を行うのに過去に加担したり、現在加担していたりする連中の要求で、戦争犯罪を暴露した人物への招請を撤回するという皮肉は底知れない。

マニング招請が、“栄誉”という意味合いがあるがゆえに撤回された今、モレルやポンペオなどはさておき、両者とも大学からの最近の招請を撤回されていないのだから、ショーン・スパイサーやコーリー・ルワンダウスキーのような連中を、ハーバード大学は依然、喜んで称賛していると考えざるを得ない。

同じ建物内の彼を上回るウソつきは、彼のボスだったので、スパイサーは、辞任するまで、生活のために、ホワイト・ハウスの記者会見演壇でウソをつきつづけた。ルワンダウスキーは? 彼は記者への暴行で非難された、低俗で、人に性的に挑発的なことをする短気な政治工作員に過ぎない。

だが、ともあれ、ハーバードには栄誉などない。ハーバードが自由な意見交換に興味があるなどと誰も信じてなどいない。

アメリカ合州国は、自由と寛容; 報道の自由、言論の自由、思想の自由の国を自称している。ところが、国中の大学キャンパス、独立と平等の灯火を自称する組織は、益々、政治的寛容の地帯へと変わりつつあるのだ。

様々な政治見解の学生たちは、もし大学が同意できない見解の演者を招いたら、招待が撤回されるまで、抗議したり、暴動まで起こしたりすべきだと考えるようになりつつある。カリフォルニア大学バークレー校の学生はくよくよせずに生きるかわりに、右翼評論家マイロ・ヤノプルスの講演予定に抗議して、マスクを着け、火炎瓶を投げ、火をつけ、窓を割った。

言論の自由、アメリカに一体何が起きているのだろう? “私はあなたの意見には 反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る”のは一体どうなったのだろう?

    @ハーバード客員研究員😌としての招請を取り消された性転換女性第一号となる栄誉にあずかった  @ciaの圧力で 😎🌈💕、連中は、のけ者にされている意見を冷たくあしらった #WeGotThishttps://t.co/7ViF3GaSec
    - チェルシー・E・マニング (@xychelsea) 2017年9月15日

ハーバードは馬脚をさらけだしたのだ。CIAプロパガンダを売り歩く連中のためなら喜んで堂々擁護するが、政府の犯罪を暴露するのに大変な大胆さと勇気を見せた人物からは逃げ去る組織だ。エルメンドルフは学生に何という授業をしてくれたことか。

ハーバードの決定は卑劣で、浅ましいが、決して謝罪など期待してはならない。ハーバードは、支配層を支え、連中が完全に満足しているのを証明したばかりの現状をそのまま維持する卒業生を送り出し続けるのだ。しかし、少なくとも連中はもはや知らんぷりはしない。

マニング招請の撤回で、ハーバードが決してマニングを讃えるつもりがないことを証明するため、エルメンドルフはあらゆる苦労を惜しまなかった。だが彼女こそ栄誉に値し、ハーバードの臆病者連中は恥じるべきなのだ。

ダニエル・ライアンはアイルランド人のフリーランス・ライター、ジャーナリスト、マスコミ評論家。彼女は、アメリカ、ドイツ、ロシアやハンガリーなどに広く暮らし旅している。彼女の署名入り記事は、RT、Nation、Rethinking Russia、BRICS Post、New Eastern Outlok、Global Independent Analyticsや他の多くに掲載されている。彼女はコピーライティングや編集プロジェクトでも働いている。TwitterやFacebook、あるいはwebsite www.danielleryan.netをフォローする。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/403602-chelsea-manning-fellowship-harvard/
----------
一流大学のあきれる姿。かれらと価値観が同じ連中が完全属国を完成しつつある。

孫崎享氏のメルマガ、属国酷民の実情を指摘しておられる。

夢遊病者か。日本国民は。日本を攻撃するノドンを、日本攻撃できないように攻撃することは出来ないのです。200発―300発実戦配備。これ数発破壊できたとしても残りで反撃される。こんな単純な論理が理解できない。

大本営広報部洗脳番組を見続け、紙媒体を読んでいれば、ゆでがえるができる?

日刊IWJガイド

「今日は安保法強行採決からちょうど2年! 総がかり主催で野党各党代表・学者の会・旧SEALDs・ママの会が国会前に集結! IWJはCh4で中継/解散・総選挙を覚悟して『緊急事態条項』のヤバさをIWJは改めて訴えます!」2017.9.19日号~No.1831号~

2017年1月11日 (水)

『アイ・イン・ザ・スカイ』: リベラル対テロ戦争

Joanne Laurier
2016年3月31日

ギャヴィン・フッド監督; ガイ・ヒバート脚本

『アイ・イン・ザ・スカイ』は、イギリスとアメリカの高官連中がケニヤ、ナイロビでの無人機攻撃の結果を比較考量する政治・軍事スリラーだ。南アフリカ生まれの映画制作者ギャヴィン・フッド(『ツォツィ』、2005年、『レンディション』、2007年)が監督した、残念ながら、甚だしく、でっちあげられた、ありそうもない一連の環境に基づくテンポの速い映画だ。

映画の主人公は、いずれもソマリアの聖戦士集団アル・シャバーブの主要メンバーである過激派イギリス人女性と、その夫を追跡するイギリス軍の厳格な諜報将校キャサリン・パウエル大佐(ヘレン・ミレン)だ。南イングランドの軍事基地で、パウエルは、アメリカ無人機のカメラ映像を通して、この二人のイスラム主義の人物がナイロビに到着し、武装反政府派がパトロールしている貧しい人口の多い地域にある家に移送される途中であるのを把握する。


『アイ・イン・ザ・スカイ』のヘレン・ミレン

ケニア諜報機関が操縦するサイボーグ昆虫-小型監視装置が、自爆攻撃任務に備えるテロリストの画像を送ってくると、パウエルは、命令を“捕獲”から“殺害”に格上げしたいと思うようになる。

ミサイル攻撃を是非とも要求したいとは思うものの、ロンドンで、様々な政府閣僚や法律顧問と一緒の部屋で観察している上司のフランク・ベンソン中将(アラン・リックマン最後の映画出演)の承認を得なければならない。イギリス外務大臣(イアン・グレン)は、シンガポールで開催されている武器見本市に参加している。

一方、ネヴァダ州のアメリカ空軍基地では、攻撃による巻き添え被害を懸念する二人の若いアメリカ人の無人機パイロットが、パウエルの決断を恐る恐る待っている。北京で中国高官と卓球をしているアメリカ国務長官も、アメリカ政府法律顧問も、アメリカ国民一人とイギリス国民二人がいるにもかかわらず、(少なくとも)“標的”破壊を受け入れるのに協力的だ。

主な障害は、標的の家の近くで、パンを売っている可愛いケニアの少女アリア(アイシャ・タコウ)だ。シンガポールで、外務大臣は、自爆犯が多数の人々を殺害するのを放置されれば、イギリスにとって、広報活動上有利になるが、もし軍が、住宅を殲滅して、子供を負傷させたり、殺害したりし、特に、もし作戦映像が、ウイキリークスの類のメディアで公表されるようなことになれば-広報活動上の大惨事になると考える。

それにもかかわらず、より冷酷な発想がまさる …

『アイ・イン・ザ・スカイ』では、才能ある俳優たち(やコリン・ファースなどのプロデューサーたち)が説得力を与えており、その条件を基盤にしたそれなりに良く構成された映画だ。とはいえ、問題は、まさにこの“条件”つまり、何よりも“対テロ戦争”の正当性だ。そこで、そのような演技力も、ほとんどデマ宣伝の見かけを良くするの役立っているだけだ。


アラン・リックマン

現実の偽りの表現には、重要な筋書きの仕掛けが必要になる。映画制作者たちは、自爆犯を逮捕する可能性を早々に排除している。一体なぜだろう? 連中の人数はごくわずかで、彼らはビデオ制作や、ベストに爆発物を付けるのに時間をかけている。これがケニア警察の問題以上のものになるべき理由はないのだ。

ところが、過去15年間ほど“対テロ戦争”の提唱者が活用してきた脅し作戦シナリオに沿って、ヒステリーの雰囲気がでっちあげられる。2005年に、例えば、極右コラムニストのチャールズ・クラウトハマーが、ウイークリー・スタンダードに、拷問を正当化するため、以下の状況を設定して書いている。“あるテロリストが、ニューヨーク市に核爆弾を仕掛けた。それは一時間で、爆発する。百万人が死ぬことになる。あなたは、テロリストを逮捕する。彼は核爆弾をしかけた場所を知っている。彼は口を割ろうとしない。 … この男の親指を縛って、つり下げれば、百万人を救う情報が得られるという考えが少しでもあった場合、そうすることは許されるだろうか? … この悪漢の親指を縛ってつり下げるのは許されるだけではない。それは道徳上の義務なのだ。”

これは全て空想だ。そのような状況には決してなったことはないし、そうなることもない。これは、政敵連中を最も残虐な手段で処分するための独裁的支配と権限が欲しくてうずうずしている連中の主張だ。

『アイ・イン・ザ・スカイ』は、もちろん、そのように見なしているわけではない。とは言え、主題はほとんどイカサマに近い。このように強調された劇的状況は、思考を停止させ、パブロフの条件反射にそって、神経系を活動させる。しかも、可愛い無辜のケニア少女が時折登場して、緊張を高める。あらゆる点について、情報操作の匂いがする。(アンドリュー・ニコルの『ドローン・オブ・ウォー』のほうが、欠点はあるにせよ、無人機戦争に関しては、遙かに批判的な映画だ。)

映画制作者たちが決して切り出したり、たぶん考えたりしたこともない重要な問題がある。こうしたテロリスト連中は一体何者で、一体どこから来たのか? ケニヤや、東アフリカ全体の社会状態は一体どうなっているのか? 地域の歴史は一体どうなのだ? イギリスとアメリカの軍や諜報機関はそこで一体何をしているのか? 『アイ・イン・ザ・スカイ』には、歴史もなければ説明もない。

そもそも、これまでのあらゆる大規模テロ攻撃において、聖戦主義分子連中は、何らかの時点で、欧米列強や、その治安部隊とつながっていたり、あるいは、そうした治安部隊によって、あやつられていたり、極めて厳重に監視されていたりすることが明らかになっていることに留意すべきなのだ。

アル・シャバーブは、2006年に、ソマリアで出現し、2012年以来、アルカイダと正式に提携している。この組織の兵卒は、困窮した若者で満ちており、アメリカが支援するアラブ諸国政権とつながった工作員連中に率いられている。

しかも、ケニヤ政府は、アフリカの角支配を維持するというアメリカ政府の動因にとって、忠実なパートナーなあることは証明済みだ。この地域は、アフリカの新たな植民地化争奪戦の中心で、犯罪人連中が犯行現場に戻りつつあるのだ。しかも、東アフリカにおける19世紀末からの、かつての植民地宗主国の中で、最も残虐だったのはイギリス支配階級で、彼らによる、1950年代のマウマウ団の乱弾圧は、ベトナムやアルジェリアにおける残酷な戦争と同等の、帝国主義者による暴動鎮圧活動の最も悪名高いモデルの一つだ。

キャロライン・エルキンズの『イギリス強制収容所: ケニヤにおける帝国の残虐な終焉』によれば、イギリス植民地政府は、膨大な人数の人々を、収容所に拘留したり、鉄条網で包囲した村々に閉じ込めたりした。“1952年から、1960年の終戦までに、十万人あるいは、それ以上の拘留者が、疲労、病気、飢餓や、組織的な、肉体への残虐行為などの組み合わさった効果で亡くなった。”

南アフリカ出身の監督が一体どうして、まさに元植民地だった国における重大な政治的危機を、この最近の歴史にふれずに、本気で扱うことが可能なのだろう? 一体なぜ、フッドは、多数のイギリス高官が、ケニア国民に対して、実に繊細な、公平な態度で振る舞っているように、さりげない顔で描き出すことが可能なのだろう?


『アイ・イン・ザ・スカイ』

ほぼ必然的に、この知的屈伏度合いからして、映画制作者たちは、権力者、アメリカとイギリスの政治支配層、グローバル・テロの主要源の視点を採用する結果になっている。

映画制作者たちは、一定の反対の姿勢を示してはいる。それは偽善的な意思表示ではないかも知れないが、弱々しい。『アイ・イン・ザ・スカイ』には、アリアを殺害したり、四肢を損なったりする善悪についての長い議論場面がある。(これは、中東、中央アジアやアフリカにおいて、欧米列強が行っている破壊の程度からして、空想的なものに見える。) 更に、アメリカやイギリスの様々な政府高官も、魅力的には描かれていないが、新米無人機パイロットたちは良心があるように描かれている。(本当らかく思えるのは、意志決定者が、連中の戦争犯罪が暴露される可能性について感じることへの理解だが、フッドは、どちらかと言えば、人道主義へと転換している。) 最後の映像は、、パウエル大佐の冷酷さ同様、たぶん心をかき乱すことを狙っているのだろう。だが、これは、さほどのものではない。

あるインタビューで、監督はこう主張している。“ガイ[ガイ・ヒバート]の脚本が巧みに取り上げた疑問は事実に裏付けられており、彼は政策立案者、弁護士、軍、人権団体の中で行われている議論は追っていません。 … この映画が、謎めいた主題に見えるものを一般人に伝え、それを解明するよう願っています。”

これは全く真実ではない。問題は、映画制作者たちが、グローバル・ブルジョア連中のリベラル世論に余りに一体化しており、『アイ・イン・ザ・スカイ』を最初から最後まで、形成し、暖かく包み込む一連の悪質な想定を、彼らの出発点として受け入れていることなのだ。

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2016/03/31/eyei-m31.html
----------

小生、この映画見ていない。見る予定もない。見たいと思っているのは『この世界の片隅に』。

無人機に関連する記事をいくつか訳したことがある。下記はその一例。

こうした映画、決まって大きな構図、背景を無視する。他の映画の例はたとえば下記。

人ごとではない。千里の道も一歩から。

沖縄の基地問題をとりあげたがゆえに、官僚に騙され、ひきずりおろされた元首相の最新インタビュー。

2015年10月22日 (木)

アメリカの主要同盟国サウド王朝は野蛮さで世界首位

Eric Zuesse
Global Research
2015年10月18日

世界で最も裕福な人物は、あらゆる国家元首の計算を除外しているフォーブズのリストにある誰でもなく、何兆ドルもの純資産をもつサウジアラビアのサルマン国王だ。彼は様々な資産の中でも世界最大の石油企業アラムコを所有しているサウジアラビア政府を事実上所有している

アラムコだけでも“1.25兆[7]から、7兆ドルの間[8]の価値があり、世界で最も時価総額の高い企業だ。”同社のウェブサイトにはこうある。“1980年、サウジアラビア政府は、その大半を既に所有していたアラムコの参加型持ち分の100パーセントを取得する”。1933年以来、サウジ王家のパートナーは、アラムコを設立したシェブロン社、スタンダード・オイル・オブ・カリフォルニアだ。

当時それはロックフェラーの会社だった。しかし現在誰が同社を支配しているかは誰にもわからない。2013年の時点で (56ページを参照のこと)、シェブロンの、0.002、つまり02%以上、それぞれ約6%を保有している投資家は二社だけだ。ブラックロックと、ステート・ストリート社の両社が基本的に共同で、両者が合意するあらゆることに関して会社を支配していた。しかし2013年のブラックロックの支配株主は、20.8%を保有するPNCファイナンシャル・サービシズだ。PNCは、それぞれ5%以上を保有する、ウエリントン・マネージメント、ブラックロックとヴァンガード・グループによって共同で支配されている。主要株主のウエリントンは、ブラックロック、ディメンショナル・ファンド・アドヴァイザーズ、ロイス&アソシエーツ、T. ロウプ・ライスと、ウエリントン・マネージメント自身によって、共同で支配されている。ウエリントン・マネージメント等、一部の企業は、その所有者を隠している。こうしたもの全てが‘民主主義’と呼ばれる。(あるいは、少なくとも、ファシスト的“資本主義”だ。)

ところが、私的領地として、政府を支配し、彼の政府はアラムコや他の資産を所有しているのだから、サルマン王がサウジアラビア政府を所有していることは比較的明らかだ。ビル・ゲーツ、カルロス・スリム、ウォーレン・バフェットやアマンシオ・オルテガ等の個人は、それぞれ彼の豊かさの、わずか1/20から、1/50しかない。

公式に示されているサルマン王の個人的な資産は180億ドルだが、フォーブズは、彼をひたすら排除してしまっている。(ブルームバーグの億万長者リストも同じことをしている。) 彼らは世界で最も裕福な人々を怒らせたくないのだ。国を丸ごと強奪することで、とんでもなく裕福になった国家首長は強奪の本当の規模を隠しておきたがるものだ。(更に、富の集中は、人の権力ではなく、主として人の能力を反映するという、基本的な資本主義神話が本当であるふりをするため、連中は犯罪や相続でかき集めた富を低めにする必要があるのだ。しかも国家首長の富はこの両方の産物であることが多い。)

10月14日、イギリスのガーディアン紙、“サウジアラビア: 磔刑の判決を受けたサウジアラビア人男性の母親、オバマに仲裁するよう嘆願”という大見出しで、こう書いた。

“斬首と磔刑による死刑判決を受けたサウジアラビア人抗議行動参加者の母親が、バラク・オバマに、息子の命を救うよう仲裁を嘆願した。外国メディアとの、最初のインタビューで、アリ・モハメド・アル・ニムルの母親ヌスラ・アル-アフメドの主張は世界中で大見出しになったが、予定されている懲罰は残忍で‘極端に後進的だ’と述べた。… 息子は、東沿岸の都市カティフで、スンナ派が多数派の国で、平等な宗教的権利を要求するシーア派抗議行動に参加後しばらくして拘留されたと彼女は述べた。… 逮捕後の面会で、彼女は息子が拷問を受けていたと主張した。‘息子に始めて面会した際は、彼とわかりませんでした。これが本当に息子のアリかどうか私はわかりませんでした。額の傷がはっきり見えました。鼻にも傷がありました。連中が傷をつけたのです。 …彼と話を始めると[彼は私に言いました]尋問中に[彼は]蹴られ、叩かれ、もちろん彼の歯は抜けました … 一カ月間、血尿でした。全身に痛みを感じると息子は言いました。体がすっかり駄目になりました。’”

これが息子が平和的な抗議行動に参加したことに対する罰だ。

アリ・モハメド・アル・ニムルの父親“モハメド・アル・ニムルは、息子は極刑に直面している8人の若者の一人だが、彼は犯したとされることには全く無罪だと主張している”とのべた。父親は同様に、イギリス指導者のデービッド・キャメロンに、息子の命を救うべく公的に圧力をかけるよう嘆願している。ガーディアンは、10月8日、父親がこうのべたと報じた。“息子は全く無罪です。彼は彼に対するあらゆる告訴を否定し、法廷でもそう発言しました。息子は穏やかな人間です。連中は、彼が決しておかしていない犯罪の自供に署名するよう彼に強いたのです。”

これはスンナ派とシーア派政治指導者との間の世界戦争の一環なのだ。アメリカとその傀儡諸国(デービッド・キャメロンのイギリスを含め)は、スンナ派が支配する国々と同盟しており、ロシアと協力している諸国は、シーア派が支配する国々と同盟している。

サウジ王家は世界最大のスンナ派勢力であり、シャー後(1979年後)のイランや、シリア等や、強硬派のスンナ派サウジアラビアに、アメリカ兵器を使って絶え間なく爆撃されている隣国イエメンのシーア派フーシ派等、他の全てのシーア派が支配する国々に対して、彼らは長らくアメリカ合州国と同盟してきた。スンナ派集団アルカイダの元簿記係で、この集団に対する全ての資金援助を集めていた人物によれば、アルカイダへの資金援助のほとんど全てが、主としてサウジ王家だけでなく、他のスンナ派アラブの王家からも送られる数百万ドル規模の寄付だった。そして彼らを信奉するテロリストは、彼らに雇われた傭兵で、原理主義スンナ派の熱狂的信者ではあるが、古代カリフ制のグローバル版、スンナ派帝国をもたらす聖戦の‘義勇’兵をつとめるべく、王家の後援者たちから、たっぷり賃金を貰っている。そのようなテロは、聖戦士にとって、大いに実入りが良いものであり得るし、より大きな見返りの到来が来世に約束されているのだからなおさらだ。

サウジアラビアの公式宗教は、ワッハーブ派、つまりスンナ派のサラフィー主義原理主義イスラム教宗派だ。それは古代のカリフ制国家、つまりスンナ派帝国の復興を、今度は世界レベルで(少なくとも、アフガニスタンやパキスタンのようにアラビアから遥か離れた所まで)目指すイスラム教宗派で、そしてもちろん、サウジ王家は(あらゆる古代の征服により)あらゆるイスラム教徒(スンナ派であれ、それ以外の派であれ)が(コーランの“雌牛”、“アル・バカラ”スーラ(章)、142-143の標準的理解により)毎日のお祈りの際、その方向に向かって頭を下げるよう要求されているメッカを所有している。だからサルマン国王は、アラムコが所有する推計2,500億バレルの石油のみならず、全てのイスラム教徒のためのメッカをも支配しているのだ。そして、もちろん彼は、何十年間にもわたるアメリカ合州国政府による軍事支援にも依存している。

もしオバマ大統領かキャメロン首相が、サルマン国王に、アリ・モハメド・アル・ニムルを斬首しないよう公式に要請したとしたら、今年サルマンが(雇った死刑執行人によって)行う予定の恐らく何百もの他の斬首はどうなるだろう? (2015年、これまで既に百人以上が処刑された。この最新ドキュメンタリーに取り込まれている携帯電話で秘密裏に撮影されたビデオでそうした処刑のいくつかを見ることができるが、ビデオではその罪がサウジアラビア国内のシーア派に対する組織的差別を終わらせようとしたことである青年/男性アリ・モハメド・アル・ニムルも紹介されている。女性の情況や奴隷の窮状についても論じている。) オバマにとって、そのような依頼を公的にすると、彼の(そして特にサウジアラビアの) 反シーア派“アサドは辞任せよ”キャンペーンの妨げになる。結局、2015年9月、アメリカ下院は下記の内容を書いた報告書を発表した。

2011年以来、100か国以上の国々から人々が、シリアとイラクの紛争地域に移動して、現在、史上最大のe聖戦士の世界的集中を我々は目にしている。当初は何人かが、シリアの独裁者バッシャール・アル・アサドを打ち倒すべく、反政府集団に参加するため、この地域に飛行機でやってきたが、“カリフ制”集団の一員となり、圧制的な社会を拡大するよう触発されて、今や大半がイラクとシリアのイスラム国(ISIS)に加わっている。少なくとも4,500人の欧米人を含む25,000人以上の外国人戦士が戦場まで旅をし、イスラム・テロリスト集団に入隊した。アメリカ合州国からの250人以上の連中も、過激派と共に紛争地域で戦うことに参加し、あるいは参加しようとした。

シリアにいる5,000人の外人スンナ派聖戦士はチュニジア出身だ。 これがチュニジアがちょっとした民主主義を自国で確立できるだけの十分な人数をまんまと追い出せた方法だ。二番目に大きな外人部隊である2,275人は、19人の9/11テロリストのうち、15人を出した国、サウジアラビア自身からのものだ。しかし、2,275人の聖戦士がサウジアラビアから集団脱出しても、サウジ王家のワッハブ派信仰は聖戦支持に依拠しているので、サウジアラビアで、民主主義が出現するのには十分ではない。サウジアラビア国民の大半は、ワッハブ主義を世界中に広めることに賛成ではないが、サウド王家はそうなのだ。好都合なことに、アラーの威力を広めるための彼らの戦いは、サウジアラビアの力を広める戦争でもある。(王家は、自分たち以外のサウジアラビア国民には権力を広めていない。) サウド王室は、アラーは王家に味方していると思い込んでいる。結局: 神(とサウド王家が国を征服するのを可能にした略奪)が、連中に2600億バレルの石油を与えたもうたのだ!

これらの戦士連中全員が、中東で最も非宗教的(あるいは非宗派的) 指導者(たとえばアメリカ同盟国のイスラエルより遥かに非宗教的な)バッシャール・アル・アサドを打倒するための戦いをしているのだ。彼のバース党の下で、シリア憲法は常に非イスラム的で、聖戦主義でないばかりではない。宗教と政治は厳格に分けられている。対照的に、サウジアラビアでは、“コーランは、イスラム法(シャリア)に基づいて支配されるサウジアラビアの憲法だと宣言されている。”しかも“いかなる政党も国政選挙も認められておらず[2]エコノミストの2010年度民主主義指数によれば、サウジアラビア政府は、評価された167か国中で七番目に権威主義的な政権だ。” (婉曲的な‘権威主義的’に留意されたい。第二次世界大戦で、我々が自称ファシストと戦った際には、我々は、彼らに対し、代わりに正直な用語“独裁制”を用いた。サウド王家は独裁者だ。)エコノミスト誌は、シリアを五番目に“権威主義的”と評価したが、エコノミストはサウジ王家とも同盟しており、アサドが打倒されるのを願っている。そして、7番目に酷いサウジアラビアは、実際は、雑誌がリストに他のあらゆるあげた同盟国よりも遥かに酷い順位だ。(エコノミストは到底信頼できる情報源ではなく、むしろ支配階級の代弁者だ。)

オバマ大統領は2011年以来一貫して主張してきた。“シリアの未来は、国民によって決定されるべきだが、バッシャール・アル・アサド大統領が邪魔をしている。自国民を投獄し、拷問し、虐殺しながらの、彼の対話と改革の呼びかけは空々しく聞こえる。我々は一貫して、アサド大統領は民主的移行を率いるか、退くべきかだと言ってきた。彼は率いていない。シリア国民のために、アサド大統領が辞職すべき時が来たのだ。”我が大統領が、それ程“シリア国民”のことを気にかけ、サウジアラビアのような政権で置き換えようとして、シリア政権を爆撃しているのを知るのは何とも素晴らしいことだ。星条旗は世界中で実に誇らしげにはためいている。(実際はそうではない - 確実に今はそうではない。)

2015年10月2日、オバマはこう述べた。“国民は、政権が子供や村に無差別に、進んで樽爆弾を投下してきたの見ているので圧倒的大多数のシリア国民が拒否している政権に、彼らはてこ入れをしている。”と、彼は厚かましくウソをついた。

欧米の世論調査会社によって、サウジアラビア人や他の戦士による侵略や、アサド軍へのアメリカ爆撃時に行われた、シリアでの世論調査は、一貫して、少なくとも55%のシリア国民が、アサドがシリア指導者であり続けるのを支持していることを示している。サウジアラビアでは、そのような政治世論調査は発表されない。サウジの王家は、そういうものを許さないのだ。しかし、もしそのような世論調査がサウジアラビアで行われれば、サウジアラビアの独裁制の継続を脅かしそうだと見なされた人々は誰でも、いずれすぐさま即座に斬首ことになろう。

こうした類の秩序ある国家を、アメリカ合州国は守ることができるのだ。アメリカ合州国は、2014年2月、ウクライナでの暴力的クーデタすえつけた政権も支持し、クーデターとアメリカが据えつけた政権を受け入れるのを拒否している地域の住民を焼夷弾攻撃することが可能なのだ。(焼夷弾は樽爆弾よりひどい。) 何らかの理由で、こうした物事は、‘わが国の’‘出版・報道の自由’をもってしても、アメリカの政治家や‘報道’機関が語る話題ではない。だから、アメリカ国民にとっては、‘彼らが’‘選んだ’‘民主主義’に関するそのような現実を知らない方が楽なのだ。去る者日々に疎しだ。知らぬが仏だ。このような情況では、国民にとって無知であるほうがより気楽で、アメリカ支配階級は、少なくとも、連中が資金援助する候補者に国民が投票するのに十分な程度に国民が気楽であってほしいと願っている。ジョージ・W・ブッシュが、拷問作業海外でやりたがっていたように、バラク・オバマも、建前上‘民主主義’の恩恵をもたらすため、シリアやリビアやロシア等は“政権転覆”しなければならないと要求しながら、このような政権を権力の座に置いたままにし、斬首等で、アメリカでなくサウジアラビア等、他の国々が名声を汚すことを望んでいる。

アメリカ合州国が最近ホンジュラスやエルサルバドルやグアテマラの国民にもたらした‘民主主義’の恩恵とは一体何だろう? 結果は、リビアやシリアでのアメリカ爆撃作戦による膨大な難民同様、各国からの膨大な難民だ。アメリカと同盟国やその‘報道’機関はアメリカが破壊した国々の難民を非難する。これもこうした‘民主主義’の中で、国民の間で「知らぬが仏」あるいはさらに酷く「欺まんが仏」を推進するのに役だつ。難民問題では、アメリカが引き起こした難民のせいにしている(アメリカとヨーロッパの両方で)。

国際情勢におけるアメリカの堕落は、まん延している。例えば、サウジアラビアに刺激された過激派連中の一部を殺害するというオバマのドローン戦争計画を考えてみよう。これもウソだらけだ。異議を唱えている誠実な主要アメリカ人ジャーナリストの一人の稀な例として、ジェレミー・スケイヒルが10月15日に、ハフィントン・ポストでこう報じた

“ホワイト・ハウスとペンタゴンは、標的殺害計画は正確で、民間人死者は最小限だと誇っている。ところが北東アフガニスタンでの特殊作戦、オペレーション・ヘイメーカーの詳細を記した文書は、2012年1月から2013年2月の間に、アメリカ特殊作戦空爆は、200人以上を殺害したことを示している。もちろん、そのうち狙った標的はわずか35人だった。ある5ヶ月間の作戦期間中、文書によれば、空爆で殺害された人々の約90パーセントが狙った標的ではなかった。” (ところが、こうしたことを知りながらも、オバマは無人機計画を継続している。)

オバマは主に、サウジアラビアが立ち上げたタリバン(彼らは“ムジャヒディン”と呼ばれ、兵器をアメリカに供給されて始まった)のために現地で支援をしている。 自分たちの家族を殺している敵に対する(つまりアメリカに対する)戦いを支持するように追いやるこうしたアメリカ無人機攻撃で、タリバンは無辜の家族を失った村人たちから支持を得ている。タリバンは実際、時に王家の人間が、彼らに手控えるよう説得するのを助けるべく招かれたりしている、サウド王家の同盟者だ。(そして、他の例は、ここにある)。実際、

“1990年代中期の始め、ソ連後のアフガニスタン指導部に対する代理部隊として機能するよう、リヤドはタリバンの勃興促進を支援した。しかしサウジアラビアは、イランに対抗すべく、過激派イスラム教戦士も支援していた。”

だから、アメリカ政府は、アメリカ軍が、主としてイスラム教聖戦士の脅威に対して(ロシアに対してではなく)注力していると、国民を欺こうとしていると同時に、アメリカの政策は、実際は(イスラム教聖戦士を支援する)サウジアラビアの敵に対して向けられている。つまり主導的シーア派勢力であるイランに対して。そして特に、石油とガス市場で、サウジアラビアの主要な競合相手で、アメリカ支配階級による乗っ取りに、依然抵抗している主要国ロシアに対して。

アメリカによる支持の継続が無ければ、サウド王室は、サウジアラビア国民によって、ムアマル・カダフィや、サダム・フセインや、ニコライ2世やペニート・ムッソリーニが扱われたより遥かにひどい仕打ちを受けているだろう。彼ら自身が、サウジアラビアで、何十年も続いている独裁政治に抗議するあらゆる人々を扱っているのと同じよう仕打ちをうけるだろう。サウド王家が共同で統治してきた、狂信的原理主義者の僧連中は、ましな扱いを受けられるだろうか? 穏健派イスラム教の立場からでさえ、帝国サウジ王家独裁のための世界の警察官アメリカが生み出したものよりも、サウジアラビア打倒の結果のほうが、ましな可能性がある。だが、それはサウジアラビアが核兵器を入手する前に実施される必要がある。

最初に変えられるべきはアメリカ政府、サウジアラビアと強固に結び付いている支配階級による支配だ。アメリカの支配階級(特に全員がサウジアラビアとの同盟で恩恵を受けている三つの最も強力な集団、オイルマネーのウオール街、石油とガスの億万長者と、軍産複合体億万長者)を打倒しなければならない。アメリカ人は、(少なくとも、この三つの集団の)アメリカ支配階級のアメリカ政府に対する力をはぎ取る必要がある。報道機関がアメリカ人に現実を伝え始めない限り、これは実現不可能だ。(例えば、共和党や民主党大統領候補討論会のいずれでも、この途方もない問題や、それに関する候補者の立場も、ほとんど触れられない。これが民主的国家、本当の民主主義を反映しているはずがない。)

不正行為の継続は、破滅的状況しかもたらさない。もし誠実さが今始まらなければ、そのような大惨事が避けられなくなるまで、誠実さは始まるまい。誠実さは今始める必要がある。それはここから始まる。さもなくば永久に始まるまい。

調査ジャーナリスト、歴史研究者のEric Zuesseは新刊「彼らは全然違う: 民主党対 共和党の経済実績、1910-2010」および「キリストの腹話術師:キリスト教を生み出したイベント」と「封建主義、ファシズム、リバタリアニズムと経済学」の著者。

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/the-saudi-dynasty-key-u-s-ally-tops-the-world-in-barbarism/5482614

---------

外国に遊びに行き、税金をばらまき偉そうなふりをする方が、臨時国会でTPP売国行為を攻められるよりはるかに楽しいのは誰でもわかる。幼稚園児の言い訳。報道ステーションとNews23は、臨時国会を逃げる買弁政府の行動に触れた。強制的に視聴料を徴集する国営放送ニュース番組は見ていないため、この件で一体何を放送したか知らない。期待する方が無理。金をとってウソを言うなら、オレオレ詐欺犯罪と本質的に変わらないのではあるまいか。そういう連中が、野球賭博やマンション基礎工事詐欺を批判しても、本気では聞けない。

大本営広報部、もっぱら野球賭博と、マンション基礎工事。国家に対する犯罪行為として、戦争法案や、TPPほど卑劣な政策推進はないだろうに。いわゆる、マスコミの価値観は、一体何なのだろう。価値観どころではなく、単なるタイコモチ連中としか思われない。ギャンブルにからんでいるヤクザや暴力団が悪いことを、暗に言及しているが、普通に考えれば、与党こそ、ヤクザや暴力団を遥かに越える悪辣集団だろう、とNEWS WEBを聞きながら思う。

筆者Eric Zuesse氏のご意見、全く正論。ただし、

アメリカ人は、(少なくとも、この三つの集団の)アメリカ支配階級のアメリカ政府に対する力をはぎ取る必要がある。報道機関がアメリカ人に現実を伝え始めない限り、これは実現不可能だ。

太字部分が正しければ、先はないと電気洗脳箱や紙媒体を見て思う。TPPなり、シリア問題なり、もう本当に大本営広報部(自称マスコミ)そのもの。

サウジアラビアという国については関心がないわけではないが、基本的にほとんど何も知らない。ネット記事はいくつか訳している。

サウジアラビア―変わりゆく石油王国』という本を昔購入したが読まないうちに行方不明。

全くあたりばったりで読んだサウジアラビアにまつわるミステリーが面白くて、文字通り寝るのも忘れてしまったことがある。なぜ翻訳がでないのか、いまも不思議に思う。サウジアラビアの秘密警察や監獄やひどい拷問描写に辟易したが迫力ある本だった。感想文をかくのは難しいと思っていたので、書評を翻訳した。

その本の中身は、サウジアラビアについて翻訳した古い記事とも、つながっていた。

最近、安冨歩著『満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦』 (角川新書)で、今の日本は満州だという説を拝読して、昔からそう思っていたのは素人の妄想でなかったと安心。安冨歩教授は満州の専門書も書いておられる。日本は満州だというのは、例えば下記翻訳記事末尾にも書いた。

強制的に視聴料をとり洗脳する組織の虚報より、独自情報発信の方が意味があるだろう。

2015年3月24日 (火)

ロシアのクリミアの一年後: ロシア“介入” 対 アメリカ-NATO“介入”

Tony Cartalucci
2015年3月22日
New Eastern Outlook

NATOは、クリミアが“侵略され”“占領された”と称している。NATOは侵略と占領が本当はどのようなものか、世界にしっかり教えてくれたが、クリミアはそうではない。2001年、NATOは中央アジアの国アフガニスタンを侵略し、占領を開始した。侵略と占領で、何万人も殺害し、遥かに多数の人々を強制退去させ、混乱と暴力が現在まで続く結果となっている。紛争の間、侵略するNATO軍兵士や、そのアフガニスタン人協力者達が犯した虐待が終始発覚し、大量虐殺や組織的拷問を含む他の残虐行為が暴露された。

戦争の結果、武装無人飛行機が使用され、アフガニスタン-パキスタン国境で、定期的に男性や女性や子供達を無差別に殺害しており - 紛争が続いている間、この大量虐殺作戦も継続している。

2003年、NATO加盟諸国が、アメリカ合州国のイラク侵略と占領に参加した。何千人もの欧米軍兵士を含む推計100万人が命を失った。十年近く、アメリカ合州国はイラクを占領し、好ましい傀儡政権をてこ入れする取り組みで、国に被害を与えた。アメリカ軍は、イラク国民支配を目指し、あらゆる都市に見境のない攻撃をした。ファルージャは、二度もほぼ徹底的に破壊された。

アメリカは、イラク全土で捕虜収容所も運営していた。中には巨大で広大なものもあれば、悪名高いアブグレイブ監獄を含め、暗い秘密のものもあり、残虐行為がその中で行われた。欧米の国軍に加え、かなりの人数の、金で集めた傭兵が、占領にも、占領中に行った民間人の大量殺害を含む残虐行為にも加わり、刑事事件まで引き起こし、いまだに欧米の法体系に影響し、欧米の信頼性を世界中で損なっている。

これこそが本物の侵略と占領の姿だ。武装して、ある国に入りこみ、最大限の武力によって、その国民全員を完全服従させるのだ - アメリカは、それを“衝撃と畏怖”と呼んでいるが - そういうものを望まず、そうしたものを追い出す為に、進んで戦おうとする人々の街路に、戦車や軍隊を配備して脅しての占領だ。

2014年3月に、クリミアがロシアに復帰した際、NATOはこの動きを“侵略”と“占領”と呼び、世界はそれなりに懸念した。“侵略”と“占領”という言葉を、NATOの何十年もの海外侵略に伴う大量虐殺のレベルと同一視し、今回はロシア人の手により、そうした暴力が、今クリミアでも振るわれていると思い込んだ為に懸念した人々がいるのだ。NATOがクリミアででっちあげようとしている出来事の見え透いた嘘を懸念している人々もいる。

NATOとロシアの介入の違い

NATOのイラクとアフガニスタン介入は、強烈な抵抗に会ったが、ロシアのクリミア介入は、いくつかの重要な差異ゆえに、そういうことはなかった。そもそも、NATOは文字通り、海を越えて各国に侵略した。彼らの軍事侵略の標的諸国は、欧米と何ら共通の歴史も有しておらず、文化的、宗教的、あるいは言語的類似性もなく、また確実に、お互い、現代の共通利害もない。イラクでも、アフガニスタンでも、欧米自体が仕立てた、形ばかりの傀儡を除き、重要な党派が、欧米に介入を要請したわけではなかった。クリミアは、これと対照的に、かつてロシアの一部だったのだ。クリミア住民の多くは、自らをロシア人か、ロシア系だと考えている。彼らはロシア語を話し、ロシアの慣習を守っている。クリミア住民の多くが、自らの足元の土地は、第二次世界大戦中の対ナチス戦を含め、長い歴史の間、侵略から守る為に流されたロシア人の血に濡れていると考えている。

あからさまにアメリカが支援したキエフのクーデターでウクライナ政府が暴力的に打倒され、過去1940年にアドルフ・ヒトラーの支援を得て権力を獲得した、おなじみの多くのシンボルや運動が、再び西ウクライナでよみがえり始めたので、人々が保護を求めて、ロシアに頼るのは自然のことだ。クリミア住民は、ロシア介入を望んだのみならず、住民投票が行われ、彼らの要求を圧倒的に数値で示した。

いくつかの軍事基地急襲や、ウクライナ軍兵士との対立における何度かの緊張する瞬間を除けば、ロシア軍がクリミアに移動をはじめた際、紛争はなかった。

一年後、全て良し…

ロシア化したクリミアでの生活は、現在ごく当たり前の状態だ。戦争が隣国ウクライナで続くなか、クリミア住民は平和や、安定や、一体感や、未来への希望を享受している。彼らがウクライナ国内で恐怖を生み出し、更にそれを、国境の反対側、ロシアで再現しようとするNATOの取り組みによってもたらされた経済的後退にもかかわらず、人々は依然として、紛争が始まる前にやっていたのとほぼ同様に事業をすることができている。経済制裁にもかかわらず、経済は実際、改善されたという人々もいる。

もちろん、武力紛争が国境の向こうで展開している以上、移行が継ぎ目なく進むわけはない。ユーロニューズは、記事“ロシアによる併合から一年後のクリミア経済”で下記の様に、クリミアでの複雑な心境を報じている。

    多くの住民にとって、最大の懸念は、急騰する食品価格だ。キエフがその国境を認めることを拒否しているので、合法的にクリミアに直接輸出できないのだ。

    大半の必需品は、ロシアから、フェリーで搬入されるが、悪天候で何日も入荷がおくれることがある。多くの製品は入手ができない。地方政府のデータでは、3月から 12月の間に、インフレが38パーセントも進み、食品価格はほぼ50%上がった。ロシアのスーパーマーケット・チェーンは一つもクリミアで開店してはいない。

    だが、1月末のウクライナの市場調査機関による調査結果では、質問した800人の半数以上が、ロシア復帰以来、経済的に暮らしやすくなったと考えている。

こうしたことにもかかわらず、わずか一年後、様々な状況を考えれば、特に隣国ウクライナと比較すれば、クリミアは順調だ。物流ネットワークは必ずや再構築され、市場は確実に対応するだろう。欧米は、ロシアへの復帰から一年後のクリミアの状況を出来るだけ悲惨に描こうと必死で、連中が書けることと言えば“マクドナルド”や“アップル”の店舗が無くなるという、クリミアが“苦しんでいる”“証明”しかないのは、クリミア住民にとって好ましいことだ。

NATOは、これを“侵略”と“占領”と呼んでいるが、皮肉なことに、NATO自身が本当の侵略や占領がどのようなものかを、しっかり世界に教えたので、クリミアにおけるロシアに対する最近の連中の主張は実に空々しく聞こえる。もう一つ、皮肉なのは、ウクライナで、NATOが支援するキエフ政権が、普通は本当の侵略と占領にある様な条件や恐怖を自国民に押しつけているという事実だ。ウクライナでの紛争を、NATOが世界中で行っているいくつかの“代理戦争”の一つと呼ぶ向きもあるが、これも何ら驚くべきことではない。

トニー・カータルッチは、バンコクを本拠とする地政学研究者、作家で、とりわけオンライン誌“New Eastern Outlook”への著者である。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2015/03/22/russian-crimea-one-year-later/
----------
友愛ブックレット『ウクライナ危機の実相と日露関係』東アジア共同体研究所編 花伝社発行 共栄書房発売 1000円+税 3月25日初版第1刷発行とある。
鳩山友紀夫/下斗米伸夫/コンスタンチン・サルキソフ/木村三浩/アナトリー・コーシキン/高野孟
を購入。
週刊誌に鳩山氏らの行動を批判する記事が掲載されていると聞いたが、予算不足。

大本営広報の報道しか読まずに、鳩山氏らの行動を批判するのは無意味。

彼らの考え方、そしてウクライで起きたことの基本を、大本営広報でない情報源から得た上でなければ、まともな判断はできないだろう。

批判している方々、例えば相手側の情報源、Russia Today、Press TVや、欧米の視点とは違うEastern Outlook等の記事を読んだ上で、批判しておられるとは思えない。こうした報道がでたらめと思われるなら、そういう記事を読んでいる人々が、納得させられる反論を拝読したいもの。

知人に、ウクライナ事情に関する個人的判断を説明したところ、「洗脳されているな」「アメリカの報道・番組をみなさい」と言われたことは先に書いた。

自分ではRussia Todayや、Press TVや、Eastern Outlook等の報道を読もうとせず、相手には「アメリカの報道・番組をみろ」「見た感想を報告せよ」と一方的要求をするのにあきれた。

友愛ブックレットには下記もある。
辺野古に基地はいらない! オール沖縄・覚悟の選択
東アジア共同体研究所 編
鳩山 友紀夫、大田 昌秀、呉屋 守將、山城 博治、孫崎 享、高野 孟

IWJ、岩上安身氏も、タイミング良く、鳩山由紀夫元総理インタビューをされている。

「3月23日(月)「岩上安身による鳩山由紀夫元総理インタビュー」の模様を実況します:岩上安身氏」

https://twitter.com/iwakamiyasumi

岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

2015年2月21日 (土)

戦争ポルノ 第二次世界大戦から、アメリカン・スナイパーまで ハリウッドと戦争

Peter Van Buren
2015年2月19日
"Tom Dispatch"

全員志願兵の軍隊と、果てしなく続く交戦地帯での敗北と引き分けという時代に、本国での永久戦争への熱意を維持するのは困難だ。空港出国ゲートの野蛮人イメージ記憶をよみがえらせてくれ9/11が、毎年起きるわけではないのだ。一方アメリカ国民は、シリアやイラクでのややこしい戦争や、アフガニスタンでの連射や、様々な急襲、無人機攻撃や、至る所での小規模紛争で、感情的に混乱させられたままでいるのが困難になってしまう。

幸いに、我々には、ほぼ一世紀近く、何度も繰り返し、パンチで穴を開けられた切符がある。(ペンタゴンが常に進んで援助の手を差し伸べたがっている)ハリウッド戦争映画だ。“アメリカ史上最も恐ろしい狙撃兵”なる祝賀のキャッチフレーズで始まり、今や“空前絶後の成功をした戦争映画”なるキャッチフレーズに変わった『アメリカン・スナイパー』は、連中の戦争ゲームに、アメリカ国民をつきあわせ続けてきた一連の映画の最新作だ。こうした作品を、我々を年中興奮したままでいられるようにしてくれる戦争ポルノだと考えてみよう。さて、ポップコーンを持って、椅子に深々と身を沈めて映画を楽しもうではないか。

戦争映画は一種類しかない。

最近、YouTubeをぶらついていて、いくつか、古き良き官給品プロパガンダに出くわした。それは、アメリカ人の感情をかきたて、生き方が、最も基本的なアメリカ的価値観と真っ向からぶつかる、固く決意した、冷酷で野蛮な敵に対する長い戦いを我々に覚悟させるのを明らかに意図したビデオだった。私が学んだのは、このようなことだ。我々の敵は、欧米に対する聖戦を行っている。世界政府を樹立して、我々全員に連中に頭をさげさせたがっている。狂信的に戦い、囚人を斬首し、非人間的な自爆攻撃で、信奉者の命を犠牲にすることも辞さないのだ。連中の兵器は現代的だが、思考と信念は、2,000年もの古びたもので、我々にとっては不可解なものだ。

もちろん、ここにはトリックがあることがお分かりだろう? この短編のアメリカ政府が制作した映画は「イスラム国」戦士に関するものではない。

1943年にアメリカ海軍が制作したもので、対象は“我が敵日本”だった。“天皇崇拝”を“過激イスラム教”に置き換えれば、この映画は今も、多少プロパガンダ上の意味をなしている。基本はほとんど同じながら(我々対彼ら、善対悪)、現代は、古いニュース映画ビデオよりは、もっと洗練されたものが要求される。インターネット時代には、注意力は短くなっており、安直なスリルへの強い期待が、より上級の戦争ポルノを要求しているが、1943年代の映画同様、新たに制作されたものが、相変わらず、実にかつてのものとそっくりなことは注目に値する。

プロパガンダ映画やポルノ映画と同様、戦争するアメリカに関するハリウッド映画は、年月を経ても、ほとんど何も変わっていない。第二次世界大戦時代の『硫黄島の砂』のジョン・ウエインから、今日の『アメリカン・スナイパー』に到るまでの基本公式は、このようなものだ。

*アメリカ兵士は善で、敵は悪だ。ほとんど全ての戦争映画には、典型的には、“奇襲攻撃”や自爆攻撃の後で、アメリカ人が、敵に、“蛮人”“野蛮”、あるいは“残虐な狂信者”とレッテルを貼る場面がある。わが国の狙いは解放だ。敵の狙いは征服だ。そのような枠組みが、そうでなければ到底認められないような物事を、我々が受け入れてしまう下地を作るのだ。人種差別が当然優勢だ。かつては“ジャップ”(日本人ではなく)だったが、今や“ハジ”や“ターバン野郎”(イスラム教徒やイラク人ではなく)だ。目的が、軍事的重要性がほとんどない様な二都市への原子爆弾による抹殺から、極めて残酷な拷問に到るまで、我々が用いるであろうほとんどあらゆる手段を正当化することは言うまでもない。この様にして、戦争映画はずっと昔に、登場するアメリカ人役にとって、道徳的制約から解き放たれた射撃区域と化している。

*アメリカ兵士は、神と国、“何か自分達よりも大きなもの”、何か“その為に、死ぬに値する”ものを信じているが、やみくもに信じこむこんでいるわけではない。一方、敵は、宗教、政治的信念や、独裁者に、やみくもにのめりこんでおり、(公言されているのだが)その神は、天皇であれ、共産主義であれ、アラーであれ 、彼らの神が悪であることは言うまでもない。2007年に、ある批評家が、少しばかり誇張をして言った通り、“ハリウッドが制作するあらゆる映画では、アラブ人が、アラーという言葉を発する度毎に… 何かが爆発する。”

*戦争映画は、一体なぜ、こうした野蛮人達が、それほど熱心に我々を追いかけるのかについては、ほとんど時間をさかない。ところが、アメリカによる殺害の目的は、ほとんど常に、明瞭に規定されている。“現地にいるアメリカ人の命を救う”為だ。そのような命を救うことが、アメリカの戦争の説明だ。例えば、キャスリン・ビグローの『ハート・ロッカー』では、イラクを、他のアメリカ兵にとってより安全にする為、道路脇に設置された爆弾の雷管を外すのが主人公の仕事だ。最近の第二次世界大戦をテーマにした『フューリー』では、同様にブラッド・ピットは、仲間を救うため、ドイツ軍兵士をなぎ倒す。『ゼロ・ダーク・サーティ』の様に、悪夢の様なたくらみから、我々の命を救う為にということで、拷問すらも正当化される。『アメリカン・スナイパー』では、狙撃手クリス・カイルは、イラク人を銃撃することで、彼が救った、多くのアメリカ人の命に集中する。彼のPTSDは、実際、もっと多くの人々を救い“そこねた”ことに起因する。戦争で、アメリカ人が殺人をする場合には、バラバラにされた子供や、それを悲しむ母親ではなく、殺人をした人物こそが一番苦しむ人物になるのだ。私は悪夢を見るようになったぞ! 今でも連中の顔が見える!

*アメリカ人兵士は、感性に訴える過去を持った人間で、国では可愛い彼女が待ち、彼らの前途には輝ける生活があったのだが、地獄の門からの敵によって、悲劇的にも断たれてしまう。悪役には、そういう過去はない。彼らは、言及に値する過去も、想像に値する未来もない無名の狂信者だ。彼らは通常、無愛想な連中だ。例えば『アメリカン・スナイパー』の中で、カイルの強敵は黒ずくめだ。おかげで、更なる情報などなくとも、彼は瞬間的に悪役だとわかる。背景状況の欠如について言えば、彼はありそうもないことに、映画の中では、スンナ派の都市ファルージャにも、バグダッドのシーア派居住区サドル・シティーにも現れるが、アメリカ人を殺したいという願望が余りに強いので、イラクの狂った派閥抗争すらも克服してしまうもののようだ。

*ある種、敵には欠けている深みがあるアメリカ軍兵士達が、人を殺す前(あるいは後で)若干の悔恨、幾分かの内省の意を表すのが流行だ。『アメリカン・スナイパー』、休暇で、アメリカに帰国中、主人公は、彼が自分の“仕事”と呼ぶものへの疑念を呈する。(映画が基にした自伝には、そのような思考は皆無だ。) もちろん彼は、更に160人の“公認殺人”記録を樹立する為、三カ月、そして更にあと二時間、イラクに戻る。

*そのような映画の、もう一つの不可欠な要素は、訓練場面だ。新兵は耐えられるだろうか? でぶが体重をぎりぎりまで削減したり、痩せぎすの青年が筋肉をつけたり、あるいは、おとなしい青年が残忍になったりすることが多い。(ポルノ映画でも良く見る筋だ。美女たちにあざ笑われたオタク風の男が、ベッドの中で、スーパースターに変貌する。) 性的能力と、男らしさと、戦争との間のつながりは、直接的なものであれ、言外のものであれ、決して欠かせない要素だ。例えば、彼が編み出す奇妙なPTSD治療計画の一環として、カイルは、車椅子に乗った下半身不随の退役軍人に狙撃を教えることを申し出る。最初のまずまずの射撃が命中すると男は叫ぶ。“タマが戻ってきたような気分だ!”

*苦悩に満ちた人物であるアメリカ軍兵士は、戦争の中に投げ込まれた後は、何をしようと責任は全く問われないのだ。幼児殺人者連中は、ベトナム戦争後の、罪悪感を抱かずに済む呪文、“戦争を憎んで、戦士を愛せよ”を唱える必要は皆無だ。例えば、映画『ランボー』では、ジョン・ランボーはベトナム戦争を経験した退役軍人で、故郷に失意の人物として帰る。彼は戦争仲間がエージェント・オレンジで引き起こされた癌で亡くなっていたり、彼らの自由を為にこそ戦ったのだと考えているアメリカ人から迫害されたりしていることに気がつく。ベトナムで、彼はひどい目に遭ったので、映画では、ワシントン州の町で二時間の残忍な大暴れを含め、彼は殺人やり放題だ。観客は『ランボー』を高貴で、親身な人物と見なすことを期待される。映画の後半で、彼は、東南アジアに置き去りにされた、アメリカ人戦争捕虜を救出する為に、個人的な贖罪の為に戻る。

*戦争映画では、曖昧さは禁句だ。世界中で、敗北が山積していた時代に、負けた場合でさえ、アメリカ人は常に勝利する。ばかげたグレナダ侵略をもとに制作された映画『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』の様に、たとえ本質的には一方的ないじめであっても、勝利は勝利だ。そして『ブラックホーク・ダウン』では、敗北は依然、勝利なのだ(ソマリアでの惨事のさなか、正しいことをした、疲れ果てた戦士達の場面で終わる。『アルゴ』-- 名誉の戦争ポルノとみなせるものでは -- イランに対する長年のアメリカ介入大失敗を、人質救出でのハイタッチにするまでにおちぶれた。今どき、敗北を勝利に変えるのに必要なのは、敗北を無視できるほど、ぐっとズームするだけで十分なのだ。『アメリカン・スナイパー』では、カイルの狙撃照準で、もっと多くのイラク人を殺せるために、悲惨なイラク占領は舞台裏に押しやられる。『ローン・サバイバー』では、ネイビー・シールズ隊員の命を救うため、一人のアフガニスタン人が、無人機攻撃で一服するおかげで、何とかアフガニスタンで見つけだされた、さやかなアメリカの“勝利”だ。

結論。気骨ある、勇敢で無私無欲の男性達、国で待つ毅然とした女性達、高貴な負傷した戦士、正しい大義、アメリカ人の命を救う必要性。そういう陣容において、野蛮な敵は、死んで当然な格好の標的だ。後は、音楽、ナレーションと特殊効果だ。戦争ポルノは、性欲過剰のポルノと同様、皆同じ映画なのだ。

現実を変えることが可能な幻想

しかし、たかが映画にすぎないではないか? お気にいりの流血場面が多い映画は、ドキュメンタリーだとは言っていないのだ。性病にかからずに、50人の相手と床入りはできないのと同様に、一人のアメリカ人兵士が、悪党50人を銃撃し、無傷で立ち去れるないことは誰でも知っている。娯楽映画に過ぎないではないか。それがどうした?

こうした映画館に入る、典型的な18歳の兵役を考えている人が、実際に、戦争について一体何を知っているとお考えだろう? そのような映画が、戦争とはいったいどのような物か、どのような人々が戦っているのかという広汎な概念を生み出す上で果たす役割を過小評価してはならない。更新され、何十年間も繰り返し再利用されている身の毛もよだつような画面上の画像は、特に我々が見せられているものは、我々の多くが信じたがっていることを反映しているので、“戦地で”一体何が起きているかに関する自己強化的な共通の理解を作り出すのに役立っている。

もちろん、現実を描くポルノなどあり得ないが、だからといって、そうしたものが、独特の現実を作り出せないということにはならない。こうした映画がいかに恐ろしく、居心地が悪く見えようとも、戦争映画には、戦争をしているアメリカの感情的に壮大な幻想をもたらす力があるのだ。戦争ポルノは、20歳になる前に、進んで死のうとする若者を生み出せるのだ。私の言うことを信じて頂きたい。私はイラク勤務の外交官として、こうした映画の影響の犠牲となった軍服を着た多数の若者と会った。こういう映画は、2001年9月以来、アメリカのほぼ完全な地政学的敗北の実績にもかかわらず、息子や娘が体を損なって、あるいは死んで帰国し続ける中でも、次から次の戦争を支持するよう、政治家が甘言で国民をだますのも容易にしてくれるのだ。ワシントンが、不人気な紛争と皆が考えているであろうイラクでの戦争に再度とりかかろうとしている今、『アメリカン・スナイパー』をアカデミー映画賞にノミネートしたというのは皮肉なことだ。

例外から学ぶ

多数の戦争ポルノを見ておいて、水泳に行ったつもりで、爪先を水につけただけでは済まない。だが、そこしか本当の怪物と対面できる場所はない以上、“例外”という水深の深い場所に進まねばならない。

戦争ポルノにも例外はあるが、自分をごまかさないで頂きたい。規模は重要だ。一体何人が『アメリカン・スナイパー』、『ハート・ロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』を見ただろう? 対照的に、若干脚色されているものの、道路脇爆弾の爆発への報復として、無辜の男性、女性や子供のアメリカによる虐殺に関する、実に居心地の悪いドラマ、イラク戦争の反戦映画『ハディサの戦い』を一体何人が見ただろう?

ごく少数の例外的ヒット作については、タイミングも肝心だ。ジョン・ウエインのベトナム戦争支持映画『グリーン・ベレー』は、戦争が残酷の頂点に近づきつつあり、アメリカ国内での反対の声が高まっていた1968年に公開された。 (『グリーン・ベレー』では、白髪交じりのウエインが、戦争に対する否定的な見方を変えるよう、左翼ジャーナリストを説得する。) 戦争の無駄と不合理性を描く『プラトーン』まで、終戦から十年以上過ぎた1986年まで待たざるをえなかった。

プロパガンダの文脈で、これは言説を支配するためのものなのだと理解しよう。一つの出来事のある説明か、他の全ての説明を支配し、他の人々が異議を唱えるのに苦労する現実を生み出してしまうのだ。ところが例外的作品は、通常目にしないアメリカ戦争の本当の性格について多くを暴露してくれる。そういう内容を見るのは、我々にとっても、新兵募集係や、自分の子を戦争に送る両親や、次の聖戦へ国民の支持を求める政治家にとっても気まずいものだ。

戦争は、2時間12分の勃起ではない。戦争は、規律が崩壊し、恐怖が理性に置き換わり、どれほど恐ろしいことも驚くべきものでなくなった時に起きるのだ。実際に戦争を体験した人々にとって、戦争の本当の秘密は、人々が卑劣で最低になり得るだけでなく、自分自身も卑劣で最低になりうるという理屈抜きの知識だ。ところが大画面では、それはほとんど見えない。

古くからの詐欺

もちろん、ここには“新しきもの無し”という要素もある。確実に、ローマ人にも彼らなりの戦争ポルノ物語があり、ガリア人を人間以下のものとして嘲けていた。ところがワシントンが宣戦布告なしで戦争し、外国人部隊を志願兵に依存している、21世紀アメリカでは、国民に関心を抱かせ続け、敵に対する恐怖でいっぱいにさせておく必要性は、恐らく、かつてなかったほど深刻だ。

そこで疑問だ。もしアメリカ政府が、第二次世界大戦に推進したプロパガンダ・メッセージの中核が、現在「イスラム国」に対して推進しているものとほとんど同一で、もしハリウッド戦争映画そのものが特別に高級な様式のプロパガンダだとすれば、偽りのアメリカ人の同じイメージを、1941年から今日まで、推進してきたことで、我々は何がわかるだろう? ほぼ4分の3世紀にわたる戦争における、アメリカの様々な敵は、常に信じ難いほどそっくりなのだろうか、それとも、悪役を必要とする際には、アメリカは常に同じ脚本を使うということなのだろうか?

ピーター・ヴァン・ビューレンは、イラク再建中の、国務省の浪費と不適切な管理を、最初の著書『We Meant Well: How I Helped Lose the Battle for the Hearts and Minds of the Iraqi People』で内部告発した。彼はTom Dispatchの常連寄稿者で、自分のブログWe Meant Wellで、時事問題について書いている。彼の最新刊は『Ghosts of Tom Joad: A Story of the #99Percent』。

TomDispatchのトゥィッターをフォローし、フェースブックに参加する。Dispatch Bookの新刊、レベッカ・ソルニットのMen Explain Things to Meと、トム・エンゲルハートの新刊、Shadow Government: Surveillance, Secret Wars, and a Global Security State in a Single-Superpower Worldをチェックする。

著作権 2015 Peter Van Buren

記事原文のurl:http://www.tomdispatch.com/blog/175958/

----------

戦争映画を総合的に鳥瞰する良い記事と思うのだが、いやなものは見ない主義なので、見ていないものばかり書かれた記事の翻訳は無理。特に「ローン・サバイバー」意味がさっぱりわからないで訳している。ご存じの方に、訂正をご教示いただければ幸い。

昔読んだ本を思い出した。すっかり内容を忘れてしまった。

    • イエロー・フェイス―ハリウッド映画にみるアジア人の肖像 朝日選書 村上由見子
  • ハリウッド100年のアラブ―魔法のランプからテロリストまで 朝日選書 村上由見子著

タリバンやISを怖いと思ったこと皆無。だが宗主国軍隊や諜報組織や、日本政府、自民党、ものごごろついて以来、恐ろしいと思ってきた。残念ながら、妄想ではないだろう。

やましいことはもちろん皆無。

2/20は、小林多喜二の命日。やましいこと皆無なので、82年前、特高に虐殺された。「マッサン」でも、特高の理不尽さが描かれていた。まるで命日にあわせたかのような日程の放送だった。愚劣な野次を飛ばすあほうな政治家のお友達の、とんでもない会長がのさばっても、まともな局員がおられる、ということだろうか。もうすぐ再来しますよと、警告を送って下さっているのだろうか。

コメントで、辺野古基地問題についても、状況を多少掲載した本土の新聞もあるというご指摘をいただいた。

「周辺」という言葉も削除。国連決議も不要。軍隊を、徹底的にアメリカ指揮下にご提供。

「さすがテロ政党」とは自分のことを自賛したのに違いない。

「日教組!」という無関係な野次をとばす人物、脳に深刻な欠陥があるのだろうとずっと推測している。こういう連中に「道徳」なるしろものを押しつけられてはたまらない。

与那国島で自衛隊配備の住民投票。

沖縄は日本軍基地があったがゆえに、悲惨なことになった。

どういう結果になるのだろ。目が離せない。

 

その他のカテゴリー

エチオピア 911事件関連 Andre Vltchek Caitlin Johnstone CODEPINK Eric Zuesse Finian Cunningham GMO・遺伝子組み換え生物 ISISなるもの James Petras John Pilger Mahdi Darius Nazemroaya Mike Whitney Moon of Alabama NATO NGO Pepe Escobar Peter Koenig Prof Michel Chossudovsky Saker SCO Scott Ritter Stephen Lendman Thierry Meyssan Tony Cartalucci/Brian Berletic TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA Unz Review Wayne Madsen WikiLeaks William Engdahl wsws アフガニスタン・パキスタン アメリカ アメリカ軍・軍事産業 アルメニア・アゼルバイジャン イギリス イスラエル・パレスチナ イラク イラン インターネット インド イーロン・マスク ウォール街占拠運動 ウクライナ オセアニア・クアッド オバマ大統領 オーウェル カジノ カナダ カラー革命・アラブの春 ギリシャ クリス・ヘッジズ グレート・リセット サウジアラビア・湾岸諸国 シェール・ガス・石油 シリア ジーン・シャープ ソマリア ソロス タイ チベット チュニジア・エジプト・リビア・アルジェリア テロと報道されているものごと トヨタ問題 トランプ大統領 トルコ ドイツ ナゴルノ・カラバフ ノーベル平和賞 バイデン政権 バングラデシュ パソコン関係 ヒラリー・クリントン ビル・ゲイツ フランス ベネズエラ ベラルーシ ホンジュラス・クーデター ボリビア ポール・クレイグ・ロバーツ マスコミ ミャンマー ユダヤ・イスラム・キリスト教 レバノン ロシア 中南米 中国 中央アジア 二大政党という虚構・選挙制度 伝染病という便利な話題 北朝鮮・韓国 地球温暖化詐欺 地震・津波・原発・核 宗教 憲法・安保・地位協定 授権法・国防権限法・緊急事態条項 文化・芸術 新冷戦 新自由主義 日本版NSC・秘密保護法・集団的自衛権・戦争法案・共謀罪 旧ユーゴスラビア 映画 東ヨーロッパ・バルト諸国 東南アジア 民営化 無人殺戮機 田中正造 英語教育 読書 赤狩り 通貨 選挙投票用装置 難民問題 麻薬 麻薬とされるマリファナについて

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ