TPP・TTIP・TiSA・FTA・ACTA

2021年3月11日 (木)

アジア回帰:何がイギリスをつき動かしているのか?

2021年3月5日
ピョートル・コノワロフ
New Eastern Outlook


 インド洋と太平洋の、インド-太平洋地域(IPR)という単一戦略地政学的地域への合流と、地域の主要当事国、中国とインド間で増大する競合が、インド-太平洋地域の問題に、イギリスを含め新しい国々の関与を促進した。2020年、EU脱退後、ロンドンは外交関係を多様化し、新市場を探し、EU外の世界中の国々と関係を再構築しようとしている。

 イギリスが、商業的、経済的、地政学的権益を、過去数十年、世界経済成長のエンジンだったアジア諸国との関係発展に向けているのは驚くべきことではない。同時に、ロンドンは、オランダやドイツと異なり、インド-太平洋戦略を、まだ策定していない。今のところ、ブレグジット後時代におけるイギリス権益を促進する基礎は、当時の首相テリーザ・メイが2016年に発表した「グローバル・ブリテン」の概念だ。この概念は、EU離脱の有用性を証明することと、世界中で、政治的、経済的な重要性を増したいというイギリスの願望に基づいている。

 インド-太平洋地域におけるイギリスの特殊な地政学的立場は、歴史的結びつきのみならず、軍事基地の存在によって可能になっている。半世紀前の「スエズ以東」領土からの撤退にもかかわらず、ロンドンの戦略は、依然、軍事施設、地中海から東南アジアとオセアニアに至る兵站中枢や、地域の防衛パートナーの数を増やすことに精力を傾けている。これらの施設には、バーレーン海軍基地、インド洋のディエゴガルシア基地(アメリカと共有)や、シンガポールとブルネイの軍駐屯地がある。

 近い将来、イギリスは、広大な排他的経済水域(約830,000km2)と南太平洋における通商路の有利な位置にある(ニュージーランドが管理し、フランス海軍が哨戒する)ピトケルン島海外領土のおかげで、イギリス軍艦の邪魔されない航海が可能なオセアニアにおける海軍駐留を強化する可能性がある。1971年の5か国防衛取極(イギリス、オーストラリア、マレーシア、ニュージーランドとシンガポール)や、ロンドンとオセアニア間の防衛・安全保障協定を、2020年の200億ドルのロンドン防衛費増加同様、念頭におくべきだ。

 近年イギリスは、インド-太平洋地域における海軍の存在を強化している。例えば、2018年。中国は南シナ海の西沙諸島を通過するイギリス揚陸艦アルビオン航海を非難し、このような反生産的行動、中華人民共和国の権益に挑戦する試みは自由貿易地帯を設立する両国の作業進展に疑問を呈しかねないとロンドンに警告した。だが、このような警告はイギリスの戦略家を思いとどまらせることはできない。2019年、当時のイギリス国防長官ガビン・ウィリアムソンは、グローバル・ブリテンという概念は、「法律を踏みにじる国々に反対して行動する」ようロンドンに要求していると述べた。2021年、イギリスは、まさにこの目的で、太平洋と、おそらく南シナ海で最新航空母艦クインーエリザベスを活動させることを計画している。

 既に述べたとおり、イギリスのEU離脱で、ロンドンはインド-太平洋地域を含め、世界中の対話機構へのアクセスを失い、イギリスは今の現実に対応する地域の当事者と新しい繋がりを作る必要がある。2019年、アジア諸国がイギリスの輸出と輸入両方の20%を占めたことを指摘すべきだ。アジアでのイギリス最大貿易相手国の地位は中国に帰属する。2019年、両国間の貿易取引高は1110億ドルだった。地域のもう一つの主柱インドとのイギリス貿易は88億ドルだ。アジアへのイギリス輸出の基盤は、車、石油と石油製品、薬、電気機械と装置、貴金属などだ。

 だが最近、イギリスと中国の関係は特に劇的に進展、(あるいは、むしろ悪化)し、他方、それは主としてアジアとの貿易結びつきを確立するというイギリスの野心の実現を決めるのは北京側なのだ。一方、消費者10億人の巨大で名声ある中国市場は、ブレグジット後時代に、ロンドンが貿易を多角化する稀な好機だ。他方、両国の否定的なイデオロギー的、政治的言説が、彼らの協力成功を妨げている。2019年-2021年、5Gネットワーク建設に対し、イギリスは中国通信企業ファーウェイの装置使用を禁止し、中国の衛星テレビ局CGTNの放送許可を無効にし、香港抗議行動参加者に対する中国の動きを積極的に批判した。これら全ての行動は、アジアにおけるイギリスの権益に否定的影響を与えかねない。

 ロンドンの目標の一つは、Covid-19流行で損害を受けた経済の再構築なので、世界で最も重要な消費者市場の一つとの関係を損なうのは、明らかに反生産的だ。だが、イギリスは、中国との関係を悪化させる路線を転換しないように思われる。だから、ブレグジット後の困難な時期に、ロンドンは輸入依存を解消するため、中華人民共和国からの供給削減を決めたが、これはこの地域でのイギリスの地理経済的立場を複雑にするだろう。

 インド-太平洋地域における権益を推進するために、イギリスは、日本とオーストラリアの調停に頼るよう強いられるだろう。2020年10月、日本は既にイギリスとの経済連携協定に署名し、他方、オーストラリアは、2020年夏から、イギリスと自由貿易協定を交渉している。2021年1月末、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定への加盟を申し込んだが、そこで日本は特に重要な役割を果たしている。

 同時に、オーストラリアとイギリスは、ファイブ・アイズ諜報連合メンバーで、それは両国間の、経済のみならず、諜報協調の基盤だ。この諜報同盟に、日本を包摂する可能性について何年も議論が行われており、インド-太平洋地域にロンドンを関与させるための東京の支援は、日本にとって無駄ではないかもしれない。

 昨年2020年、イギリスに多くの難題をもたらしたが、同時に、インド-太平洋地域におけるその役割に関する議論も強化した。だが世界で最も活力に満ちた発展中の地域の一つへのロンドン回帰は、地域の国々との生産的な経済的結びつきのみならず、中国に対抗する試みが特徴で、それは実際、この地域におけるイギリスの立場を複雑にするだけだ。

 現代の世界秩序は、アメリカを中心とする概念から離れつつあり、最近数十年にわたり発展した同盟や統合組織が永遠ではないのは明確だ。イギリス自身、EU離脱でこれを示している。だから、インド-太平洋地域で重要な当事者になろうと望むヨーロッパの国は、例外なしに、地域の全ての主要諸国と絆を築く、現実的で適切な戦略が必要だ。

ピョートル・コノワロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/05/returning-to-asia-whats-moving-britain/

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 櫻井ジャーナル 2021.3.10

東電福島第一原発のメルトダウン事故から10年を経ても先は見えない

 廃炉作業は全く進まない。チェルノブイリでも、溶け落ちた核燃料の取り出しはできていない。チェルノブイリは水冷却せずに済んでいるため石棺で覆うことができた。福島は、今後どうするのだろう。

 岩波書店の月刊誌『世界』4月号「誰が廃炉にするのか」無責任なお寒い現状を鋭く指摘している。東京新聞の昨日の朝刊特報面も。ゴール示さぬ「廃炉」作業。文中、原子力資料情報室の伴英幸共同代表はゴールは石棺だと考えておられる。地元では強く反対されているという。

 ナチスのゲッペルスが始めた聖火、出発式は無観客。

 福島原発事故に関する記事、多数翻訳している。

 右側コラムにあるカテゴリーの 地震・津波・原発・核 をクリック頂ければ、該当カテゴリー記事をお読み頂ける。

 自動的に記事の下に該当カテゴリー記事が表示されるが、重要と思えても古い記事は見事に無視してくれる。たとえば下記記事は決して表示されない。検索してみると、検索エンジンも、こうした記事のほとんどを隠蔽している。

 3/11掲載翻訳記事の末尾に、下記メモを書いた。

福島原発、冷却水用の非常電源が全て動かないという。メルト・ダウンと無縁だろうか?

前日読んだ新潮文庫、小川未明童話集の一話「赤いろうそくと人魚」を思い出している。あの主題、今の日本を連想させるのだ。最後の文のみ引用しておこう。

幾年もたたずして、そのふもとの町はほろびて、なくなってしまいました。

2021年3月 5日 (金)

最近の「クァッド」フォーラムとミュンヘン安全保障会議

2021年2月28日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 インド-太平洋地域の状態を評価するには、一日、間をおいて(2月18日と19日)行われた最近の二つ催しは特に注目すべきだ。それはオーストラリア、インド、アメリカと日本(いわゆる「クァッド」を構成する)の外務大臣間で行われたオンライン・フォーラムと、ミュンヘンセキュリティー会議だ。

 ミュンヘン会議参加者は「特別招待された」世界の一部主要国指導者と、主にNATO加盟国だった。中国は、現在、世界政治情勢に重要な、後者の国々の中になかった。近年、中華人民共和国は、ミュンヘン会議の、ある種「経済的」対応物であるダボス・フォーラムで行われた作業には参加していたのだが。

 インド-太平洋地域での政治的ゲームが、どのように展開するかという中心的問題は、アメリカ-中国関係が、アメリカ新政権下で、どのように変わるかについての展望と関係する。中国に関して、ワシントンが、どんな特定の行動もしていない時、これら催しの両方で、アメリカ代表が行った発言は特に重要だ。それは、もちろん、他の参加国が言ったことが、どんな面についても、二の次だということを意味しない。

 特にインド-太平洋地域で、アメリカ外交政策が、まだ一般的に不確実な状態で、これらの催しのいずれも、特に目立つ「明快な」要素も生み出さなかったことは述べておく価値がある。

 クァッド加盟国の外務大臣は、かなり最近(去年10月6日)東京で交渉の席に既についており、そこでマイク・ポンペオがアメリカ代表を務めた。当初、当時は、インド-太平洋地域の海上航路における「通行の自由」の原則(誰が、それを「脅かしている」かは明らかだ)を遵守して、クァッド参加国にとって「信頼のシンボル」を維持する儀式的な、共同行動以上の、特定の何もないように思われた。

 だが、一カ月後、クァッド・メンバー四カ国全員、ベンガル湾で初めて、マラバール海軍演習に参加した。一般的に、この名前の演習は、1990年代初期から開催されてきた。だが、2007年の一回限りを例外に、それらはアメリカ・インド二国形式だった。2014年から、日本は恒久参加者になった。2020年からマラバール海軍演習は四カ国構造となった。

 現在のフォーラムを、本格的な軍事的、政治的協定に転換する可能性を評価する上で、マラバール2020演習が行われた事実から、クアッドは「これは既に少なくとも、ちょっとしたもの」であると定義できる。だが、まさしくクァッド・メンバー各国と、当初、この仕組みを「造り上げる」ため使われた対象、中華人民共和国との関係という不確実な要因があるので、それ以上の何ものでもない。

 この不確実を生み出す上で、主に貢献しているのは、中国について、大統領国務長官が言っていることに目立つ矛盾があるという(前任者同様)同じ状況が、アメリカ新政権で繰り返されているように思われるのは繰り返す価値がある。

 最近2月18日に開催されたクァッド加盟国外務大臣フォーラムに関する国務省報道官ネッド・プライスの声明は、二週間前、アントニー・J・ブリンケン国務長官が、中国外交部長の楊潔篪に(特に、ミャンマーの状況について)に提出した不満の羅列だった。新機軸の中には、閣僚級会談を「少なくとも年に一度」「定期的に」次官レベルで開催するつもりだというクァッド参加者の「発言」もある。

 そのメッセージ(2月5日のアントニー・J・ブリンケンと楊潔篪との電話会話で伝えられたものと同様)どんな形にせよ、少なくともアメリカと中華人民共和国間の若干のやりとりで、あり得る分野の何も説明していない。だが、そうした機会は、これまでの公式声明や、習近平中国主席との電話会話、ミュンヘン会議での演説でも、ジョー・バイデン大統領が指摘していた。

 このむしろ長大な演説の内容は、ジョー・バイデン選挙言説の核心にあったおなじみのスローガン「アメリカは帰ってきた」の濃い影と重なっている。加えて、不確実な上記の状態も、このスローガン固有の内容にも当てはまる。

 環球時報のこの話題に関する中国新聞の記事は(いつも通り)啓発的イラストがついていた。イラストは、政治ゲーム・テーブルに「バイデン」自身が持って来た椅子で、座った後、一体何が起きるか、不確実な状態を表している。

 A・メルケルとE・マクロンの表情にご注意願いたい。彼らはこう信号を送っているかのようだ。「基本的に誰もあなたを待っていなかった。だが、もし来る(「戻る」)なら、あなたが「アメリカを再び偉大にしていた」これまでの四年で、ゲーム・テーブルで何が起きたか考えて行儀よく振る舞いなさい。」「起きた」あらゆることの中でも、ワシントンにとっては不快な驚き、まさに去年末(何年もの困難な協議後)署名された協定、EU中国包括的投資協定は注目する価値がある。

 アメリカが、その最も親密なヨーロッパ同盟国イギリスが、今年既に、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)加盟の公式申請を提出する意思を表明したのを喜んでいる可能性はなさそうだ。2019年1月1日に活動を始めたCPTPPは、これまでのところアジアとアメリカ大陸の11カ国が参加している。この連合は参加国のための共同体自由貿易地帯を構成する目的で作られているた。ドナルド・トランプ前アメリカ大統領が、2017年1月、就任式後の最初の政令で、TPP(現CPTPPの以前のもの)からアメリカを脱退させたことは覚えておく価値がある。

 クァッド・フォーラムとミュンヘン会議は、この全く新しい文脈で行われた。これら二つの催し、二つ目の演説で、ジョー・バイデンは、特に、二年前「教授として個人的に」類似会議に出席し、最初に、出席者に「アメリカは戻ってくる」と約束したことを想起している。ヨーロッパ主要同盟国の大統領として、彼がミュンヘンに登場した事実が、約束を果たしたことの証言だ。

 だが上記で表現されているのは、ヨーロッパ人が、これをどのように感じてるかについての「本当の気分」の可能性の一つだ。

 欧米同盟国にとっての「様々な課題」と、世界秩序の「世界的変化」を背景に、NATOに対する「強い支持」(二度発言された)に加えて、彼は「世界防衛」のため「我々の防衛力を近代化する」必要を宣言した。それにもかかわらず、国防総省での1月10日演説で、彼は「外交の優先事項」と政権の活動が「全ての人々のために平和を保証する」方向に向けられていると強調した。

 アメリカ大統領は「困難」と予想される「共同での、中国との長期競争」を同盟者に呼びかけた。2月7日、CBSテレビ・インタビューの際に言ったのと全く同様に、彼は再び中華人民共和国を様々な「規則」を侵害したと非難した。特に国際商業活動で。そして今「中国企業」が、これら「規則」を遵守するよう期待されている。

 近年、中国の辺境地域や香港の状況に関して中国指導体制に向けたプロパガンダ攻撃は、アメリカ大統領のこの演説でも「制圧を独占し、常態化しようと望む人々に抵抗する」意図のメッセージで(暗黙の形で)続けられた。

 だが、この激しい非難は、ロシア内政治の最近の出来事ゆえに、ロシアも標的にしているのは確実だ。これは、それに続く主張「クレムリンは我々の民主主義を攻撃し、賄賂を武器に変換している」で確認できる。

 概して、クァッドの大臣レベルのフォーラムと、最近のミュンヘン安全管理会議両方の結果は、近未来のアメリカ外交政策や、重要なインド-太平洋地域の状況が、どう進展するかという問題の詳細を大幅に明らかにしていないことは繰り返す価値がある。

 この点、クァッドの「アジアNATO」変身の可能性という問題は、重大な形式を引き受ける。ここで論じた二つの催しは、今後数年で、インド-太平洋地域に本格的な軍事、政治組織が生まれるかどうか、自信を持って予測する根拠にはなっていない。

 ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/02/28/the-latest-forums-for-the-quad-and-the-munich-security-conference/

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 宗主国に不都合な政治家を潰すのが仕事の検察、彼をどう見ているのだろう。つまり、宗主国はどう見ているのだろう。衝撃的ニュースを報じる出版社、宗主国諜報機関と昵懇だという説、ただの都市伝説とも思えないのだが。属国首相は、実質的に、宗主国に決定されているのだろうと長年妄想している。

 日刊ゲンダイDIGITAL

菅側近はNTTともズブズブ 金満接待漬けで検察捜査に現実味

2020年11月22日 (日)

「欧米」メディアが語るのを好まない新たな巨大貿易協定

2020年11月14日
Moon of Alabama

 明日、アジア15カ国間の貿易協定が署名される。それはまもなく世界経済史上、画期的出来事と見なされるだろう。だが極少数の「欧米」メディアしか新協定が持つ大きな影響を心に留めなかった。

 この協定はアジアにおけるアメリカ覇権にたいする中国の大勝利だ。

中国と日本を含め、15のアジア太平洋諸国が今週末、世界最大の自由貿易協定署名を計画している。自由貿易協定は関税を削減し、共通の原産地規則でサプライチェーンを強化し、新しいeコマース規則を成文化するだろう。

東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が東南アジア諸国連合(ASEAN)サミットで発表されると予想され、ベトナムが事実上、主催国だ。それはASEANブロックの10の加盟国が参加する-ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイとベトナムと、彼らの貿易相手国オーストラリア、中国、日本、ニュージーランドと韓国。

新経済圏は世界の国内総生産と住民の約三分の一を占める。

それは中国、日本と韓国-アジアの一番目、二番目と四番目に大きい経済-を含む、未曾有の自由貿易協定になるだろう。

RCEPメンバーの経済は世界の他の国々より早く成長している。協定は彼らの成長を促進する可能性が高い。


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 インドは協定に招待されたが、参加しなかった唯一の国だ。ヒンズー・ファシストのモディ政権は、トランプとポンペオが押しつけるアメリカに率いられた反中国の四カ国戦略対話構想に賭けて、貿易面で失敗したのだ。

11月12日の第17回ASEAN-インド・サミットでのナレンドラ・モディ首相の発言は悲しい朗読だ。日曜日、ASEAN、プラス中国、日本と韓国を中心とするメガ自由貿易協定である東アジア地域包括的経済連携[RCEP]調印という文脈で、この発言が行われた。

ヒンズー教の祭りディーワーリーがインド人にとって、そうなのと同じぐらい、ASEANにとっては極めて嬉しい出来事なのに、ModiはRCEP言及を避けた。彼はその代わりに迂回し「インド製」「アクト・イースト 政策」「インド太平洋イニシアチブ」「ASEAN中心性」を語った。
・・・
確かにRCEPはCovid後の地域における新サプライチェーン夜明けの先触れだ。新RCEPサプライチェーンが具体化するにつれ、インドは自身を締め出しただけでなく、「大敵」中国が、アジア太平洋の成長の主要な原動力になるのを、無意識のうちに促進しているのだ。

他方、ASEANにとって、地域外との経済的結びつきは、相対的な重要性上、優先事項でなくなる。アジア太平洋地域には、部分的なアメリカ-中国「デカプリング」さえ応じる国はないだろう。RCEPは、現実には、六つのASEAN+一つのFTAを基盤として構築されるASEANに率いられた構想で、地域経済制度でのASEANの中心的立場を確保するものだ。

 オバマ政権下で立ち上げられたアメリカのアジアへの旋回も、トランプ政権による反中国「デカプリング」構想も、これで失敗した。

 このような大規模な地政学的影響を持つ巨大貿易協定なら、アメリカ・メディアにも多少反映されるだろうと思いたくなる。だがニューヨーク・タイムズ・サイトで「RCEP」を検索しても、2017年以来、一つしか記事がない。それは五人のアメリカ大使が、中国を排除するオバマの構想、環太平洋経済連携協定の崩壊を警告して送った手紙だ。

 環太平洋経済連携協定TPPと呼ばれる協定は、オバマ政権の目玉だった。それは、世界経済の約40パーセントをカバーし、アメリカと他の11の太平洋沿岸諸国国のために、貿易の新条件と標準を準備する、史上最大の貿易協定の一つになっていたはずだった。中国は含まれなかったが、参加することが可能だったはずだ。
・・・
 手紙で、大使たちは「TPPから歩き去れば、アメリカが世界のこの地域で他国に指導力を譲り、役割の衰退を受け入れると決めた瞬間として、次世代から見られるかもしれない」と警告している。

 「このような結果は「アジア人のためのアジア」と国家資本主義を好む人たちにとってうれしい知らせだろう」と補足している。

 大使たちは正しかった。だがアメリカの国内政策(そしてアジア諸国の「自由化」に対する抵抗)が、そのような協定の実現を許さなかったのだ。

2016年大統領選挙戦は反グローバリゼーション傾向で形成されていた。ドナルド・J・トランプは、大統領になったら、協定を破壊すると約束した。国務長官として、その構築を支持したのに、ヒラリー・クリントンも協定を非難した。

ケンタッキー選出で院内総務のミッチ・マコーネル共和党上院議員は11月選挙後に議会は、それを取り上げないと述べた。それはTPP協定が死んでいることを意味している。

 RCEPは、アジアで、アメリカ中心の環太平洋経済連携協定が、そうだったほど物議を、かもしていない

TPP環太平洋経済連携協定や他のアメリカ主導の貿易協定と異なり、RCEPは加盟諸国に、各国の経済を自由化し、労働基本権、環境基準と知的財産を守る処置をとるよう要求していない。ウィルバー・ロス商務長官は、この協定を、環太平洋経済連携協定の規模に欠ける「非常に低級な条約」と呼んでいる。だがRCEPの目前に迫った実施はアメリカの影響力が衰えている例証で、アメリカ企業が巨大な地域で競合するのを困難にしかねない。

 アメリカがTTP協定に忍び込ませよう狙っていた程の規制や「自由化」要求は、RCEPにはないが、それでも、莫大な効果を持つのに、十分包括的だ。

協定が日曜日に署名されると記者に述べた、マレーシアのアズミン・アリ貿易産業相は、それを「血、汗と涙で交渉した8年」の頂点と呼んだ。

2011年に最初に提案されたRCEPは、20年以内に、署名諸国間での輸入で関税の約90パーセントを無くすが、協定は来年早々発効する。この協定は、e-コマース、貿易と知的財産のに対して、共通の規則を確立するだろう。

「中国はRCEP実現で、外交クーデターをうまくやり通した」と世界的格付け機関S&Pのアジア太平洋チーフエコノミスト、ショーン・ローチがブルームバーグに述べた。「少なくともTPPと比較して、RCEPは浅薄だが、多くの経済や商品をカバーしており、保護貿易主義の時代に、これは希少だ。」

 今アジアの国々は、なるべく他のアジアの国々と貿易したがり、全ての非アジア諸国は、従属的な条件で、彼らと貿易しなければならないだろう。

 ところが、来るRCEP調印について、新たにニュース検索してもCNBCの短い言及と、ブルームバーグ解説者一人と、短いロイター記事しか見つからない。

 中国の巨大な勝利と、世界中のアメリカの立場崩壊ゆえに、アメリカ・メディアは報道するのが面白くないように見える。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2020/11/the-huge-new-trade-deal-western-media-do-not-like-to-talk-about.html#more

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 貿易協定、属国でも、宗主国の国益ではなく、自国の国益を目指すことができるのだろうか?

 いくら狂っていても感染者急増は放置できない。失策のごまかし、決して、英断ではない。

 LITERA記事

菅首相が「GoTo見直し」を3連休まで引っ張ったのはキャンセル料を補填しないためか! キャンセルで損する制度が感染を拡大させる

 今日の孫崎氏のメルマガ題名 大本営広報部は、対照的に、ヨイショ報道専門。

バイデン政権を支持するのは金融資本と軍産複合体。トランプの米国国内優先は安全保障政策でも。海外基地、海外軍事行動は意味ないとの考え。これに既存勢力強く反発。9月末元将軍ら489人バイデン支持 T大統領批判の異例の書簡発出。彼らはバイデン政策を縛る。

 IWJ、今日の再配信。大本営広報部、宗主国との困難な関係には本気で触れない。

<本日の再配信>本日、午後7時から2019年収録「ここが問題 日米FTA ―各党・議員に聞く― 鈴木宣弘東京大学大学院教授、山本太郎れいわ新選組 代表、川田龍平参議院議員、元農水大臣山田正彦氏ほか」を再配信します!

【タイムリー再配信 800・IWJ_Youtube Live】19:00~「ここが問題 日米FTA --各党・議員に聞く-- 鈴木宣弘東京大学大学院教授、山本太郎れいわ新選組 代表、川田龍平参議院議員、元農水大臣山田正彦氏ほか」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 ネットを検索すると、イスラエル、食事時、開閉可能なマスクを開発。日本政府、これを大量輸入し、スガノマスクとして、国民一人一枚配布、着用を義務づけるのかも知れない。

2020年11月16日 (月)

アメリカ、中国を狙って、ウイグル・テロ組織をリストから削除

2020年11月11日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 「アメリカ、中国に標的にされているを組織をテロリスト・リストから削除」という題名の記事でのAFPが報じている。

金曜日、イスラム教徒が大多数の新彊地域で厳しい取り締まりを正当化するため常に中国に非難される正体不明の党派をテロ集団リストから削除したとアメリカは述べた。

新しいアメリカ法律や告示を掲載する「連邦公報」で、マイク・ポンペオ国務長官は東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の「テロ組織」指定を無効にしたと述べた。

 AFP記事もこう報じている。

「10年以上、ETIMが存在し続けているという信頼できる証拠がないので、ETIMは、リストから削除された」と国務省報道官が述べた。

 だが、アメリカ国務省に資金供給されている情報提供者自身によると、これは全くウソだ。中国のみならず、世界に対する、この集団によって続いている脅威を認める国務省自身のボイス・オブ・アメリカの2018年記事さえあるのだ。

 2018年のVOAの「シリアのウイグル・ジハード戦士は脅威となり得る」という題名の記事は、こう認めている。

専門家は、トルコ-ロシアが仲介したシリア政権軍と種々の反政府集団間の脆弱な停戦を維持する取り組みが続いているシリアの不安定なイドリブ州に、北西シリアのジハード集団トルキスタン・イスラム党(TIP)が脅威をもたらしかねないと警告している。

 要するに、アメリカ国務省は、中国を政治的に更に攻撃し、傷つけるため、周知の依然活動中のテロ組織をリストから削除したのだが、多分、この集団や、北京に対してワシントンが拡大する紛争で、彼らと提携する連中に直接支援する可能性が高い。

 ETIMは、バス爆破、銃撃、自爆攻撃、ナイフ攻撃や他の形のテロを、20年以上にわたって広範に実行している。彼らは国連安全保障理事会によってテロ組織にリストされ、ほぼ同じ期間、今日に至るまで、指名されたままだ。

 国連安全保障理事会の公式ウェブの「東トルキスタン・イスラム運動」というの記事は、こう指摘している。

東トルキスタン・イスラム運動は、2002年9月11日、決議1390(2002)の段落1と2に従って、「資金調達、計画立案、促進、が準備をする、アルカイダの名前で、アルカイダの為、あるいはアルカイダを支援して」「行動や法動を支援する」上で、アルカイダ、オサマ・ビンラディンあるいはタリバーンと関連しているとしてリストされている。

 ワシントンにより、リビアとシリア対して行われた代理戦争でも、アメリカによる類似のパターンが見られた。リビア・イスラム闘争グループ(LIFG)のようなテロ組織も、当時まだ公然と武器を用いた暴力を実行していた集団なのにもかかわらず、アメリカのテロ・リストから削除されていた。

 自身の声明によると、アメリカ国務省は、2015年にLIFGをリストから外した。イギリスも同様に、このテロ組織をリストから外した。

 ところが最近2017年、LIFGとつながるテロリストが国際的にテロを実行し続けている。

 「主要テロ容疑者は、リビア内戦難民としてイギリスに来た」という記事で「ガーディアン」はこう報じている。

2011年介入の波紋は、間接的に、マンチェスター爆撃をもたらした。戦いがリビアで継続しているため、1994年、親がリビアから逃れた、22歳のアベディは、2011年、カダフィ打倒後、リビアに戻ったが、戦闘が続いているため、イギリスに戻った。アベディと家族は、カダフィを追い出すのを支援したイスラム主義集団「リビア・イスラム闘争グループ」とのつながりを作った。

 アメリカと同盟諸国が、これら集団の脅威が低下していると主張して、これらテロ組織をテロ・リストから削除しているが、実は、アメリカと同盟諸国が、更に、より直接に、彼らの暴力を支援し、ほう助しようと努めているためだ。

 2011年に、アメリカとイギリスが、リビア政府を打倒し、2011年以降、リビア社会で、社会分裂と不安を作り出すためにLIFGを利用したのと全く同様に、アメリカは、まさに同じ理由で、東トルキスタン・イスラム運動をリストから削除したのだ。

 ワシントンのシリアに対する代理戦争への歩兵供出から、タイのような従順でない国に対するテロ攻撃(バンコク中心部での2015年のErawan神社爆撃)実行から、中国国内での暴力、不安や、分離主義をあおることに至るまで、ETIMは多くの方法でアメリカ権益に役立っている。それがもはや脅威でないから、アメリカは、ETIMを、テロ・リストから削除したのではなく、この武器を、将来の利用で更に鋭利にするため、リストから削除したのだ。

 Brian Berleticはバンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2020/11/11/us-de-lists-uyghur-terrorist-organization-aimed-at-china/

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 【ONEPOINT日刊ゲンダイ】の正論。

古賀茂明氏がズバリ!「菅総理には知性のかけらもない」【ONEPOINT日刊ゲンダイ】「デジタル」「グリーン」政策の先行きは?

 外出時に、古賀氏の新刊『日本を壊した霞が関の弱い人たち 新・官僚の責任』を購入しよう。

 「私の闇の奥」の最新記事、原文題名を見て、大いに関心をひかれていた英文記事
America After the Election: A Few Hard Truths About the Things That Won't Chane
By John W. Whitehead | The Rutherford Instituteの翻訳。バイデン当選を言祝ぐ宗主国大本営メディアとは全く違う、説得力ある貴重な視点。

アメリカ 未完のプロジェクト ??

 属国大本営も、宗主国同様、ヨイショ言説しかないが、UIチャンネルの最新番組孫崎氏の選挙解説は違う。こういうまともな意見、デイ本営広報部では決して報じない。洗脳虚報の垂れ流しばかり。

米国大統領選挙結果を考察 時事放談(2020年11月) 鳩山友紀夫 × 孫崎享(元外務省国際情報局長、元駐イラン大使)

 番組中で孫崎氏が言っておられるが、NHKの番組でTPPに触れ、以降、出入り禁止にされたそうだ。IWJの岩上氏が、フジテレビの番組で、TPPに触れたすぐ後に、出入り禁止にされたのと相似形。大本営広報部は、組織的に、売国条約を推進していたのだ。

 日刊IWJガイドによると、うれしいことに、本日午後7時より岩上安身氏による中国通エコノミスト田代秀敏氏インタビュー!これは見逃せない。

2019年12月24日 (火)

中央アジアのラテン文字化はアメリカ地政学の手段

2019年12月4日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook

 長年、中央アジアは、アメリカのロシアに対するイデオロギー戦争と情報戦争における主要前線の一つだ。

 一年前、アメリカの地政学情報企業Stratforが、ロシアに多く注目する、中央アジアのアメリカ政策予測を発表した。「影のCIA」と名付けられたこの組織のアナリストが、予測で、アメリカが、ロシアにより多くの圧力を加える取り組みで、東ヨーロッパからコーカサス、中央アジアまで、旧ソ連周辺の国々との結びつきを強めようと期待していることを示した。ロシアに対する地政学戦争が、アメリカ軍事専門用語を使えば、政治的、経済的、エネルギーと軍事分野に影響を与える複数領域戦闘が行われているのだ。

 ワシントンは長い間、中央アジア諸共和国とアフガニスタンを「アメリカ国益地域」と見なしており、それがこの地域が、アメリカの全領域情報作戦の標的に定められている理由だ。これら軍事行動を効果的にするために、アメリカが地域にせっせと植えつけたいわゆる「独立」放送局や親欧米NGOが、過去数年間中央アジアで大規模貢献をしているだけでなく、軍の情報戦争専門家、米軍第4心理作戦運用群の軍人も採用されている。第8心理作戦運用群は、アメリカ中央軍が支援し、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスタンとタジキスタンの国民に標的を定めた特にロシアに対処するため作られたウェブサイト、キャラバンサライ情報ポータルを運営する中央アジアでの業務に責任を負っている。

 ワシントンが支援する情報作戦の大半が共有する主目的は、精神的、心理的に、地域住民をロシアから引き離すこと、中央アジアにおけるロシアの立場を傷つけることだ。これらの国の未来のリーダーが欧米の「民主的」理想で育てられ、従って、それほどロシアと組む気にならないよう期待して、キャンペーンは主に若者を標的にしている。

 CIS諸国でロシアの影響を打ち消すため、NGOと「独立」放送局による特別プログラムが開始され、実行されている。例えば、MediaCAMPと呼ばれる新たな五年計画が、去年末、カザフスタン、タジキスタンで提示され、カザフスタンとタジキスタンとウズベキスタンで、Internewsネットワーク(アメリカ、カリフォルニア州)と呼ばれるアメリカ合州国国際開発局(USAID)から大量資金を受けるアメリカ非政府組織に運営されている。この計画は予算1500万ドルだ。公式目標は「よりバランスがとれた情報環境を開発する」ことだが、実際は集中的な反ロシア宣伝に使われている。Internewsネットワークは、2007年に、ロシアでの活動が停止されたが、大半の中央アジア諸国でこれまで効率的に活動し続けている。アメリカ合州国連邦政府が資金供給する国際開発局USAIDは、禁止された2012年まで、ロシアでもこの計画を行っていた。

 中央アジアにおける、この反ロシア情報戦争へのアメリカ合州国関与の一つの明確な例が前に述べた中央アジア諸国をラテン文字に変えるよう駆り立てる国防総省のキャラバンサライ情報ポータルに一月末に公開された資料だ。同時に、ワシントンは情報戦争専門家がキリル文字アルファベットの代わりにラテン文字を使うよう人々を駆り立てている事実を隠そうとしないが、それは主にロシアと中央アジアの共和国間に文化的くさびを打ち込む手段の役割を果たすので、彼らの計画の一環であり、ロシア語を話す文化圏と情報領域を締めつけ、縮小し、ユーラシアでのロシア語の歴史的存在を消去するのだ。

 1935年に始まった、ソ連で話される言語のほぼ全てをキリル文字に書き換える大規模な過程を想起するのは重要だ、それはソ連政府が旧ソビエト社会主義共和国連邦人々を結び付けるためにとった措置の一つだった。これは、1920年代後期の改革によって中断させられた豊かな書き言葉の伝統を持った言語や、最近になってようやく書き言葉を採用した言語の翻字も含んでいた。1940年までに「国全体のキリル文字化」はほぼ完了していた。多数の言語がロシア文化圏と結び付く言語表記法を獲得し、それは本質的に、これら言語の話者の、情報を共有する一つのユーラシア空間への始めてのアクセスだった。1945年に、第二次世界大戦がソ連の勝利で終わった後、キリル文字アルファベットは、ソ連と形成されはじめていた東欧圏の主要アルファベット(例えばキリル文字アルファベットはモンゴルに導入された)として一層強固になった。

 それが、キャラバンサライのスポンサーが、キリル文字アルファベットをラテン文字に置き換えることを単なる一種の象徴的行動だけとは見ない理由だ。中央アジア諸国とロシア間に精神的、心理的なくさびを打ち込むことも意図されている。これがまさに言語対立の目的で、ロシア憎悪のワシントンは、バルト諸国やウクライナやコーカサスの一部の国々でこれを奨励している。

 ロシア語が単にロシア人だけでなく、カザフスタンに暮らすカザフ人やウクライナ人やドイツ人や韓国人の多くにとっても母国語であるカザフスタンで、支配下にある様々なチャンネルを通して、中央アジア諸国でのラテン文字化の必要を強調して、騒ぎを起こしたのはワシントンだった。今ロシア語は、カザフスタン通貨テンゲ紙幣からさえ消された。過去十年で、約30万人の人々がカザフスタンから移住したが、彼らの大部分がスラブ人で、ある程度、それはこの政策に帰せられる。2017年11月、ポーランドの新聞ジェチュポスポリタが掲載した記事が書いている通り「キリル文字アルファベットを放棄して、ナザルバーエフはロシアとのへその緒を切っている」。

 ラテン文字化はキルギスタンとウズベキスタンにも押しつけられている。

 だが、我々が近年見ているように、ウズベキスタンとカザフスタンでは、ラテン文字への切り換えは、明らかに不幸な経験だった。だから、ウズベキスタンが独立元年に、トルコ・モデルに目を向けて、ラテン文字への変更を一種の「団結の基盤」見なしたことは想起する価値がある。ラテン文字への移行は、新ウズベク当局にとって、国の独自性と独立を象徴するものとなった。だが、その時誰も、この移行、文学の膨大な保存図書をキリル文字からラテン文字に翻字する費用の経済面を考えるため立ち止まらなかった。誰も想像できなかったもう一つの問題は、異なるアルファベットで読む世代間の葛藤だった。ウズベキスタンとトルコの関係は、非常に短い時間で冷えた、アルファベットはそのままだが、基本的読み書き能力に悪影響を及ぼし、国の教育は、かなりの損失をこうむった。

 ラテン語に変える試みは、カザフスタンで重要な問題を引き起こした。カザフスタンは、80年間でアラビア語からキリル文字に移行し、この国では辺鄙な村でさえ巨大図書館ネットワークに組み込まれていた。この国は既に100%の識字率を達成しており、新アルファベットに変える上で、全人口の思考「マトリックス」全体を変える必要があり、単に大規模な財政費用を必要とするだけでなく、世代間対立を引き起こすことも意味していた。

 中央アジアの国で、可能な限り速やかにキリル文字アルファベットをラテン文字に置き換えるという欧米による試みに、地域の人々が対処した。彼らは益々この移行には意味がないことを悟り始めた。ロシア語はともあれ中央アジア諸国では第二言語で、これらの国々は地理的、経済的、政治的、言語的に欧米から遠く、彼らは使用言語がロシア語であるユーラシア経済連合の加盟国なのだ。これら状況の条件のもと、この問題は論理的対処法と多少の常識が必要で、言語問題は政治問題化するべきではないという理解が増大しつつある。

 フリーダム・ハウスや他の似たような様々な外国NGO団体が中央アジア諸国の内政に干渉し、そこに暮らす人々の言語的、文化的遺産を破壊し、明らかに彼らの憲法秩序に対する脅威、地域外部からの脅威なのだから、近年この問題が益々激しく、否定的調子が強まって議論されているのは驚くには当たらない。

 ウラジミール・オディンツォフは政治学者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/12/04/the-latin-alphabet-in-central-asia-america-s-geopolitical-tool/

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 日本語の能力ではなく、英語で話す能力を優先するという発想、植民地傀儡の考えだろう。表記、言語は、文化的にきわめて重要だろうと思う。売国傀儡は、まさにその逆。

 某ブログ・ランキング・サイトなるものがある。そこで、当ブログ、昔、80位程度になったこともあった。最近170位付近に下がっていた。昨日みると、突然圏外。引用するリンクの数で順位を決めるように見えた。順位を気にして覗いていたのではなく、どなたが引用されるか知りたくて覗いていた。某サイト、最低・圏外とランク付けするしかない。

 彼女を批判する面々の本、読んだことがない。彼らの記事が掲載された雑誌は決して買わない。表紙はながめるが。

日刊IWJガイド「伊藤詩織氏を『セカンドレイプ』しておきながら、民事裁判で伊藤氏が勝訴した途端に逃亡する面々!! 開き直る面々!!」2019.12.24日号~No.2658号

2019年12月 5日 (木)

「貧しいと、人は死ぬんですね」アメリカ合州国の医療費を知ったイギリス人が息をのむのをご覧あれ

大半のイギリス人は、アメリカ医療費を文字通り想像できない。

スタッフ・ライター Eoin Higgins
2019年12月3日
Common Dream

 火曜日に公開されたビデオで、アメリカ合州国の高価な医療費に、イギリス人は信じられない思いと衝撃を表し、こうした法外な価格から国民を救っている、公的に資金供給され運営されているイギリス国民健康保険制度に感謝した。

 アメリカの営利医療制度では、ぜんそく吸入器が250ドルから300ドルすると聞いた後、若い女性がJoe Politicsインタビュアーに言う。「貧しいと、人は死ぬんですね」

 救急車搬送に対して、アメリカ人は2,500ドル請求されかねないと言われ、二人の男性は衝撃を受けたように見える。

 「本当?」と一人が尋ねる。「なぜ?」ともう一人が尋ねる。

 ビデオを見よう。

救急車出動依頼 2,500ドル。 出産 30,000ドル。

我々の健康保険は売り物ではない @realDonaldTrump pic.twitter.com/q9z4r6Ni6g
- PoliticsJOE (@PoliticsJOE_UK) 2019年12月3日

 「私は前にも言ったが、また言おう」と歴史家デイビッド・ウォルシュがTwitterで言った。「大半のイギリス人は、アメリカの医療費を文字通り想像できない。」

 12月12日の国政選挙で、左翼労働党と対立する与党保守党が、欧州連合離脱後、イギリス医療制度を、よりアメリカ方式に開放する計画だという11月下旬の報道後の、この四分ビデオの街頭インタビューだ。

 国民健康保険制度をアメリカに引き渡す可能性に関する報道を保守党党首ボリス・ジョンソンが否認しているのは、漏洩された無編集の451ページの貿易文書証拠に基づけば「ズタズタだ」と労働党党首ジェレミー・コービンは主張する。

 「ボリス・ジョンソンの下、国民健康保険制度は検討対象で、売りに出される証拠を我々は得た」とコービンが言った。「彼はそれを秘密に隠そうとしてきたが、今日それが暴露された。」

 「イギリス人はアメリカ医療制度の残酷さを理解できない」と進歩的ラジオ司会者ベンジャミン・ディクソンがTwitterで言った。「だが彼らが労働党に投票しなければ、国民健康保険制度がアメリカの医療ハゲタカに売り払われた後、思い知らされるだろう。」

イギリス人はアメリカ医療制度の残酷さを理解できない。だが彼らが労働党に投票しなければ、国民健康保険制度がアメリカ医療ハゲタカに売り払われた後、思い知らされるだろう。

映像は、@PoliticsJOE_UK pic.twitter.com/X9CYVTAd1M
- ベンジャミン・ディクソン(@BenjaminPDixon) 2019年12月3日

 このビデオは大西洋両側の人々に教訓を与えるように思える。だが筆者イーロン・グリーンはビデオがアメリカ、特に右派の人々に実際的影響を与えるか疑問に思っている

 「アメリカの保守主義者は恥じ入らないのが問題です」とグリーンは言った。「彼らは医療に大金がかかり、貧しい人々が死ぬのが素晴らしいことだと思っているのです。」

 ニュー・リパブリック紙のアメリカで暮らすイギリス人記者リビー・ワトソンが、労働党に賛成投票するのがイギリスにとって唯一理非をわきまえた振る舞いだとTwitterで述べた

 「ボリス・ジョンソンがアメリカ医療企業に国民健康保険制度を売り払いたがっているのを我々は知っていますが、それ以上に彼はいまいましい保守党員で、保守党員は国民健康保険制度が生き残るのを望んでいません。これまで十年をやってきたように、彼らは国民健康保険制度を締め殺したがっているのです」とワトソンは言った。

 国民健康保険制度は「文字通り、喜びが続く贈り物」だとインタビューされた一人の女性は言った。

 「私はどれほど気軽に無料医療を享受しているか気がつきませんでした」と救急車費用にあぜんとした若者が言った。

 「国民健康保険制度、皆さんの全ての大変な仕事にありがとう」と彼は言い足した。

 ニュー・リパブリック紙のワトソン記者は、イギリスで、人々にアメリカ医療制度を説明しようとする際、Joe Politicsのビデオは彼女に役立つと言った。

 ワトソンは言った「イギリスの人々に、私の保険がアメリカでどう機能するか説明する時は「ちょっと待って。保険料を支払って...次に実際に医者に行く時に、また支払うわけ」という具合です。」

記事原文のurl:https://www.commondreams.org/news/2019/12/03/so-if-youre-poor-youre-dead-watch-these-brits-gasp-when-they-find-out-cost

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 手元に『経済学入門』という古書がある。昭和37年、西暦1962年初版。227ページに「アメリカの医療制度は日本に劣る」という小見出しがある。宗主国では、社会主義さえアカとされ排撃される。

 229-230ページを引用させていただこう。

 なぜアメリカほどの国で健康保険制度がしけないのかといえば、資本主義が進んだアメリカでは、資本主義が進みすぎて、利益があがる部面にはどこでも資本が進出して、医療保険もその対象になってしまったためである。だから、新しく社会保障として、国家や労働組合が健康保険制度をしくとなると、この保険会社の現存の利益に抵触する。アメリカは、資本主義をたてまえとし、世界における、そのチャンピオンであり、擁護者である。だから資本の利益をそこなうことはできない。そこなうような制度はアカであり、危険思想だということになっているから。

 『経済学入門』の著者は『アベノミクス批判 四本の矢を折る』も書いておられる。

 宗主国既得権益団体に奉仕する属国傀儡連中の努力のおかげで、日本の医療制度も間もなく宗主国並になるのは確実。

 アメリカ医療の素晴らしさを称賛するアメリカ在住の知人がいたが、幸いなことに現在は音信皆無。

 2003年11月 米軍ヘリが用水路建設作業現場を銃撃したことがある。
 2004年5月27日には イラクで、ジャーナリストの橋田信介氏が甥の小川功太郎氏とともに殺害された。
 2008年8月26日、ペシャワール会の伊藤和也氏が、テロ集団に誘拐され、銃撃されて亡くなった。
 2019年12月4日、アフガニスタンで、医師の中村哲氏が銃撃され亡くなった。

 橋田信介氏はアメリカのイラク侵略や自衛隊イラク派兵に批判的だった。
 中村哲氏は医療活動だけでなく、用水路建設事業もしておられ、2018年にはアフガン政府から勲章を授与された。アフガニスタンのタリバンは中村哲氏銃撃を否定している。Cui bono。誰の利益になるのか。

 植草一秀の『知られざる真実』大本営広報部がふれない話題にふれておられる。

今国会最大焦点日米FTA承認を黙認した野党

2019年1月28日 (月)

我々の文明に、少なくとも多少は生き残る可能性はあるのだろうか?

2019年1月19日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook

 最近私は何度かこう質問をされた。「我々人類は本当に生き残ることができるだろうか?」 「私は楽天主義者か悲観論者か?」

 この最も緊急で最も重要な質問に対し、たった一つの答えがあり得るとは思わないので、私の返答はさまざまだ。

 答えは、時には場所に影響される。その瞬間私がどこにいるか、あるいは私が最近行ったことのある場所に。タリバーンに支配されたアフガニスタンの村、沖縄売春宿の屋根の上で破壊的な米空軍基地を撮影している時、あるいはおそらくはママと一緒にオペラ公演を見た後、シュツットガルトあるいはパリの優雅なカフェで。

 私が戦場かスラムで怪我をしていたか、あるいは講演するよう求められた何かの催しで(ほとんどいつも偽善的に)拍手喝采されているか? 私は何か「禁じられた」正気でない、危険な何かをしているか、日本かバンコクで私の映像や文書を加工しているか?

 状況により、私は否定的にも、慎重な楽天的にも聞こえる可能性がある。

 だが真実は、率直な真実は、私は恐れているのだ。

 私自身の命や、健康や、幸福のために恐れているのではない。私の仕事や苦闘。誰も私にそれを強制したわけではない。私がする全て私自身の選択だ。私はそれをすることを望み、そのために私はそうしている。私がそれをする間、安全ではないことが多いので、私の命は時期尚早で終わるかもしれず、あるいは非常に不快な他の何かが起き得ることを理解しなければならない。私は理解しなければならず、理解している。良くないことは起きるものだ! 不幸なことに頻繁に起きる。だが私はそれを恐れているわけではない。

 本当に私が恐れているのは他の何か、もっと本質的な何かだ。この美しい「プロジェクト」、人類と呼ばれるこの信じ難い壮大な実験が、まもなく廃墟と化し、雲散霧消しかねないのだ。

 私がもっと恐れているのは、おそらく、私は心からそうではないことを願っているが、それが既に終わっているということだ。

 私は宗教を信じておらず、ある種の来世があるかどうか全くわからない。来世、神。私に絶対的に確かなのは、これら、いわゆる大問題へのどんな答えも、この惑星で誰も本当にと知らず、答えを知っていると主張する連中は私より少ししか知らないということだ。

 この世界と、我々人類が、私が知っている全てであり、私にあって、気にかけている全てだ。その全ての野蛮さと愚かさ、無謀さと先見の明のなさにもかかわらず、愛する以外に、他に選択肢がないので私はそれが好きだ。けれども我々全ての人間の感覚にとって、それほど素晴らしく、美しく楽しかった、この惑星は、今屈辱を受け、略奪され、おびえている。地球は我々自身の目の前で野蛮にレイプされている。我々はただ見守り、牛のように反すうし、排便し、ますます愚かな方法で楽しんでいる。

 「支配者」ろくでなし連中によれば、それこそまさに我々が実際すべきことだ。

 我々人類は、自然な目標や、目的や、夢から脱線させられている。どこに暮らす人々も、平等主義や社会正義や美しさや調和のような目標を、誰もが口にしていた。ごく最近まで、わずか一世紀前までは。

 最も賢明な人々は、勇敢に、決然と、あらゆる形の不均等や搾取や人種差別や植民地政策を終わらせようと活動していた。欧米帝国主義がしでかした人類に対する犯罪や、人種差別や、奴隷制度や資本主義が暴露され、明確にされ、非難され、対決されていた。

 我々が文明開化の頂点に達しようとしていて、人間として我々が今そうであるよりも、調和と平和共存にずっと近かったのは、不幸にも、一世紀前のことだった。

 地球上どこでも、この世界で、理性と論理がまもなく打ち勝つことが可能で、実に不当に世界を支配している連中は「事の真理を知って」自発的に退場するか、決定的に打ち破られるだろうことに、我々の曾祖父母たちは全く疑いを持っていなかった。

 素晴らしい革命が全ての大陸で勃発した。人の命は利益より遥かに重要上だと宣言された。資本主義は終わったように思われた。帝国主義と資本主義は信用を失い、つばを吐かれ、何百万もの足で踏みつけられた。全ての人種のあらゆる人々が団結して、貪欲な堕落した実業家や、不誠実な宗教扇動家や、変質的な君主や彼らの農奴の独裁がなくなるのは、明らかにわずか数年先のことだった。

 当時、人間は、楽観主義、画期的な発想、発明、感情的であると同様、知的な勇気と芸術的な創造力に満ちていた。

 新しい時代が始まっていた。農奴制と資本主義の時代は終わっていた。

 ところが、圧制的で貪欲で暗い報復主義勢力が体勢を立て直した。彼らには金があり、最優秀の心理学者や宣伝屋や大量殺人犯や学者や芸術家を買収している。

*

 百年後の我々の立ち位置を見よう! 今の我々を見よう。

 慶賀すべきものは皆無で、むかつくことばかり。

 これまで何世紀も支配していたギャングやら道徳的に堕落した連中が、依然地球を完全支配している。昔と同様、虐げられた人々が多数派だ。彼らはアフリカ、中東、ラテンアメリカ、亜大陸と東南アジアに暮らしている。

 実際、事態は昔よりずっと進んでしまった。地球の大多数の人々は論理的に考える能力を失った。彼らはプロパガンダ・マスコミに、大量に作り出される映画やポップ音楽に、ファッションの奇異な「流行」に、攻撃的な消費者運動に、洗脳されてしまった。

 教育も放送局も全て独立を失い、政権の権益に従属的になっている。

 欧米「民主主義」(そもそも、たいしたプロジェクトではない)は静かに個別に死に絶え、民主主義提唱者は再び大企業、億万長者や多国籍企業から直接命令を受け始めた。体制は超資本主義から、超盗賊政治へと進化した。

 私は世界中、全ての大陸で働いてきたが、私が恐ろしいと思うのは、支配体制が、非常に「完全に」、いわば「無敵」になってしまっていることだ。

 高度なコンピュータ化により、支配体制は基本的に世界のありとあらゆる場所を監視し、分析する能力を持っているので、欧米帝国主義と新植民地主義の前進と攻撃から逃れることができる場所が地球上にあるようには思えない。

 想像願いたい。どこかの国が抵抗して、自国民の幸福のために働くことに決めるとすぐさま、欧米プロパガンダ、NGO、学界、マスコミ、傭兵や軍隊が、反抗的な政府を中傷し、国全体の破壊さえ、組織的に着手する。これはアルゼンチンを、次にブラジルを崩壊させた手口だ。これはシリアがまず不安定化され、後でほぼ抹殺された手口だ。

 世界的独裁には、何も耐えることができないように思われる。

 世界的独裁には慈悲はない。世界的独裁は全ての論理的根拠を失っている。

 貪欲と利益の最大化には限界がない。今、人の命を犠牲にすることが当たり前のように行われている。何千人あるいは数百万人の命も重要とは思われない。コンゴ民主共和国でも西パプアでもコルタンやウランや金や石油が流出し続ける限り誰も気にかけない。

 国全体が地球温暖化現象のために住めなくなり「沈む」のを私は目撃している。キリバス、ツバル、マーシャル諸島。私は(インドネシアでカリマンタンとして知られている)ボルネオのような途方もなく大きい島が、変更できないほど徹底的に破壊されたのを見ている。誰も気にしていない。(欧米や、自国の卑屈な政府によって)堕落させられたインドネシアのような国の科学者は、ヤシ油プランテーションや地球温暖化や山林伐採は、実際に、世界とその生き残りを脅かしていないなどといまだに主張している。

 約50年前は、こうした話題に関して書かれた強力な本があったはずだ。素晴らしい芸術映画が制作され、勇敢な詩人が歌い、虐げられた世界でも欧米世界でも、大衆が革命小説を何百万部も買った。大衆は自分たちの暮らしや戦いや苦しみを描いた映画を見ようと並んだものだ。

 今は? 破壊された大衆は自分たちの悪夢を忘れ、代わりに愚かなホラー映画、スターウォーズ「叙事詩」のどれか、あるいは金持ち有名人の甘い苦しみを描く「ロマンチック・コメディー」を見るよう飼い馴らされている。荒廃した世界の貧困家庭は何カ月間も貯蓄をしてから、子供を無理やりディズニー・ワールドに連れて行く。プラスチックの工場、無表情な夢、おとぎ話のバーガーキングスに!

 携帯電話が本や新聞や雑誌に置き換わった。何世紀にもわたり、紙の本は知識の象徴だった。どんなコンピュータや電話の画面も印刷された単語に置きわることはできない。学者や男や女性作家は、常に本やノートや文書に囲まれてきたのだ。

 この全て偶然に起きたものではない。電子情報は、制御したり、そらしたり、窒息させたりするのが紙に印刷された資料よりずっと容易だ。世界の脱知性化は、明らかに意図的に、一歩一歩計画的に行われている。21世紀に「ルネッサンスの男性と女性」が出現するなど忘れて頂きたい。教養を身につけている欧米の反資本主義思索家さえ今は「専門的だ」。 彼らは「小説は読まない」。彼らは「事実」を集め、ドキュメンタリー映画やビデオやノンフィクションのエッセイや本を書くが、全ての成功した革命が常に、感情、創造性と芸術に基づいていたという重要な点を完全に無視している。大衆を鼓舞し、人々を笑わせ、泣かせ、夢を見させ、希望を抱かせるのだ。

 世界は数値「データ」で一杯だ。「事実」は広く利用可能だが、それは誰も鼓舞したり、動かしたりはしない。それは人々に行動を呼び掛けることはない。バリケードに招くことはない。全てが標準化されている。欧米の宣伝が「完ぺきな」女性や男性は、どのように見え、振る舞うべきかを決め、人間の欲望を規制するのに成功した。あるいは「民主主義」の「正しい」認識がどうあるべきか、あるいは何がトレンディで、何が退屈で、旧式と思われるべきか。

 被害者と虐待者双方の生活は「非政治化されている」ように思われる。だがそうではない! 欧米プロパガンダと体制への協力を受け入れるのは、実際極めて政治的な行為だ!

*

 倒錯した体制が、受け入れるよう命じているものを、非常に多くの人々が受け入れているように思われるがゆえに、私は恐ろしいのだ。

 彼らは監視や、流行や非人間化された「願望」や「差別用語を不使用」やグローバル帝国主義ファシズム、ポップで奇怪な資本主義や灰色の画一性を受け入れている。

 最も奇怪な極点に至ったこの怪物のような欧米独裁に、いまだに抵抗している全ての国と全ての政府に対するプロパガンダの吠え声と反共産主義スローガンを、彼らはオウムのように繰り返している。

 私は恐れていると同時に、益々激怒してもいる。もしこれが人類の未来であるなら、本当に、人間として、種として、我々に生き残る権利があるのだろうか? 我々は実に従順で、実に創造力に欠けているがゆえに、パン屑を懇願し、でっちあげの優位勢力に祈り、邪悪で貪欲な君主や道徳的に不正な個人や体制にひれ伏すことになるのだろうか?

 幸い全員物事が見えていないわけではなく、全員がひざまずいているわけでもない。我々全員が、わずか一世紀前には、それほど可能に見えていた世界のために、抵抗して、夢を見て、戦う能力を失ったわけではない。

 まだ生きていて、自立している人々は完全に知っている。革命は可能で、道徳的に正当だ。資本主義と帝国主義はまったく冷酷だ。社会主義か共産主義制度が唯一進むべき道だ。何か「古風な」独断的な形ではなく「国際主義」で賢明で寛大な形で。(私の最新本「Revolutionary Optimism, Western Nihilism」で明らかにしたように。 )

 2019年の年頭だ。いくつか基本を要約しよう。

 世界を丸ごとの破壊や冷酷な利己的利益で天然資源を略奪するのは間違っている。

 同様に、諸国の洗脳、革新政府の打倒、彼らの自然な発達を脱線させることは酷く間違っている。

 惑星中の全員を、ばか者とゾンビに変えること、彼らに暴力的で愚かな映画を鑑賞させ、ゴミのような音楽を聴かせ、ジャンクフードを食べさせ、ショーウィンドウ内の人形や、その人間版とセックスするのを夢見させるのは悪だ。

 洗脳のために、マスコミや教育や娯楽を使うのは野蛮だ。

 地球丸ごとを一種の消費市場に変えるのも野蛮だ。

 このような体制と戦うのは名誉なことだ。それは本質的に「トレンディで」面白い。

 帝国の用語を使えばこうだ。協力と画一性は決して「クール」になり得ない。同じごみを聞き、見ることは「おしゃれ」にはなり得ない。同じ携帯電話画面を叩くのは、到底「先進的で」、寛大だとは定義され得ない。

 銀行や破壊的や企業を所有する嫌な連中のブーツをなめるのは、近代的な優雅な洗練された生活様式からは、ほど遠い。

 新帝国主義と超資本主義のおかげで我々最愛の惑星が炎に包まれる様子を、それを止めるために何もせずに見ているのは、愚か以外何ものでもない。

*

 「一年の生活」という1000ページの小説の最初の章を書いて、私は2019年を始めた。この小説は2019年に始まり、今年の終わりに終わるだろう。まさしく今年の終わりに。ノンフィクション限定など、もう沢山だ!

 小説家、劇作家として私は人間的な感情で信じている。むき出しの事実とデータが決して人々をバリケードに導かないのを悟るのに十分なだけの蜂起や革命を私は目撃した。

 詩歌や画や文学や映画や演劇や音楽を取り戻すため、古いノボリの埃を払うべき時期だ。こうしたものは我々にとって最良の同伴者だ。

 美しさが創造的で、鼓舞するのを、欧米は知り尽くしているので、感情を沈黙させ、本を「焚書し」、醜悪で無意味な騒音と映像で我々全員を攻撃している。美しさと創造力は同様に「危険」であり、実際に政権の陰鬱な気がめいる狙いにとって致命的なのだ。

 私は恐れているかもしれないが、同様に慎重な望みも持っている。我々はまだ勝てる。実際、勝利は我々の義務だ。この惑星は生き残らなければならない。もし我々が勝てば、生き残るだろう。もし我々が負ければ、この惑星は滅茶苦茶になるだろう。

 我々を待ち構えている戦いは極めて厳しい。事実とデータの名のもとでは誰も戦うまい。人々は美しい未来の名のもとでのみ戦うのだ。我々が勝利するために、全ての偉大な智の女神が、勇敢な決然とした革命家と並んで行進するよう期待しよう!

 Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、Revolutionary Optimism, Western Nihilism含めて多くの本を書ている作家。オンライン誌 「New Eastern Outlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/01/19/does-our-civilization-has-at-least-some-chance-to-survive/

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 個人的に小説はほとんど読まない。読書は、ほとんどノンフィクション限定。もう沢山とは思わない。恥ずかしながら、つい最近、雑誌で、笙野頼子という作家・小説を知った。TPP小説があるとは知らなかった。マスコミは大資本のための情報しか流さない洗脳組織であることを指摘しているのに驚いた。オーウェルの『1984年』のTPP版。世界最大の通販サイトを見ると、星一つの書評がある。それが何ともお粗末な読むに耐えないゴミ。書いた人物の知性のひどさを反映している。巨大通販サイトは、大資本のための情報しか流さない洗脳組織。巨大情報サイトで「ひょうすべ」を検索すると、九州の妖怪という記事はあるが、「ひょうすべの国」という記事はない。 頻繁にターミナル駅で大書店を覗いているが、以下の三冊、平積みになっているのを見た記憶がない。TPP反対のプラカードがわりにして欲しいと著者が言われるとおり、かなり目立つレイアウトの表紙、置いてあれば目についたはずなのだ。書店員、反TPP本を目立った場所に配置すると懲罰されるのかもしれない。

 『ひょうすべの国 植民人喰条約』2016年10月刊 腰巻きに下記檄文がある。

TPP流せ、憲法戻せ!
病人殺すな赤ちゃん消すな!田畑無くすな奴隷になるな
TPP反対!!
さて地獄が始まった。
TPP通れば人喰い通る!
こども、いのち、くすり、ことば、すべて人喰いのえじき!
腑抜け報道と隠蔽放送の罠を抜けて伝われ!

 『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』2017年7月刊。腰巻きに下記檄文がある。

愛猫よ君のために戦争を止めたい。
しかし私には文学しかない。
さあ、だから文学で戦争を止めるよ。
本書は新聞テレビなどより良く報道しております

 『ウラミズモ 奴隷選挙』2018年10月刊。腰巻きに下記檄文がある。

国を売るな、国益渡すな、民よ死ぬな、奴隷になるな
TPP反対、離脱(脱退)しかない
一億総奴隷、世界企業の牧場
水道破壊、医療崩壊、年金喪失、貯金強奪、賃金最低
TPP強盗、TPP犯罪、TPP暴力
移民もだまされ奴隷化
井戸を埋められ、食を奪われ、病気にされて、薬は倍額
ちかんごうかん、男尊にっほん
痴漢とヘイトだけ守るにっほん

 笙野頼子資料室blogで書評がまとめられている。

 今朝の日刊IWJガイドも興味深いが、そもそも代表の岩上氏、レギュラーで出演していたテレビ番組で、TPPにふれた直後番組を降板させられた方だ。マスコミ、笙野頼子さんが書いておられる通り、報道機関ではなく、言論統制・洗脳機関であることは、それだけでわかる。

 日刊IWJガイド「参院野党第一会派をめぐる立憲民主党と国民民主党の駆け引きの赤裸々な裏事情を国民民主と統一会派を組む自由党の山本太郎共同代表がトークイベントで暴露!」 2019.1.28日号~No.2328号~ (2019.1.28 8時00分)

2017年5月 8日 (月)

一帯一路という鶏小屋の番人に、かなりのキツネを雇った北京

2017年4月30日
F. William Engdahl
New Eastern Outlook

中国政府の新聞、環球時報が、香港に本拠を置くフロンティア・サービシズ・グループ(FSG)社が、中国北西部の新疆ウイグル自治区と、中国南西部の雲南省の二カ所に事業基地を構築すると公表した。新疆と雲南省は、中国の壮大な一帯一路の高速鉄道、港と、エネルギー・パイプライン・インフラ開発事業の核心、地理的要だ。北京がこの警備会社FSGと関係する上で、注目に値するのは同社の会長だ。

フロンティア・サービシズ・グループの会長で主要執行役員は、世界で最も悪名高い傭兵、今や存在していないブラックウオーター・セキュリティー創設者エリック・プリンスだ。ロンドン フィナンシャル・タイムズのインタビューで、プリンスは、最近中国との彼の事業について、こう述べた。“我々は中国の外交政策目標のために働くのではなく、貿易拡大を支援している。”彼は更にこう語った。“隣国諸国との中国貿易とインフラ構築は恩恵だけをもたらす。我々は中国の外交政策目標の為に働いているのではなく、我々は貿易増大を支援する。”プリンスは、更にこう主張した。“これは中国版ブラックウオーターではない。FSG は物流会社だ。我々は警備会社ではない。我が社の誰も武装しておらず、武装する予定もない。だが警備業務は、確かに物流過程の一部だ。”

警備業務は護衛の婉曲表現だ。プリンスの社員は、決して火器を必要としないジェイソン・ステイサムのような武道の技を習得しているのかも知れない。あるいは、彼はうそつきなのかも知れない。いずれにせよ、中国が、元ネービー・シールで、CIA協力者で、悪名高いブラックウオーターの共同創設者エリック・プリンスを、戦略的な新経済シルク・ロードの守護者にしたというのは大きな出来事だ。

CITIC

中国との関係は、決して最小限でも情報不足でもなさそうだ。FSGの最大投資家は、中華人民共和国が所有し支配する投資ファンドCITICだ。CITICは、フロンティア・サービシズ・グループの20%を所有している。CITICは、2013年、プリンスが彼のアフリカ警備会社の投資家を探しに香港にやってきた際、初めてエリック・プリンスに会ったとされている。取締役会長のプリンスの他に、FSGの取締役には華東一、CITICの子会社とつながりのある、Acting CEO。華東一の北京の事務所として、CITICタワーがあげられている。高振順は、フロンティア・サービシズ・グループ副会長だ。二人は北京を本拠とする中国人だ。

中国は、ナイジェリアなどのアフリカの紛争地域や、中国が大規模投資をしている南スーダンで、アルカイダとつながるボコ・ハラムに対して、石油とガス・パイプライン企業を守る彼の警備業務ゆえに、プリンスに最初に注目したもののようだ。3月21日の中国国営の環球時報紙インタビューで、プリンスは、FSGが、同社が“事業基地”と呼ぶものを二つ建設するべく雇われたと発表した。“2016年末、FSGは地理的な対象を、アフリカだけから、一帯一路構想の北西と南西回廊をも含むよう拡大した”と彼は述べた。エリック・プリンスが、中国の一帯一路プロジェクトの中核、崩壊しつつあるNATOの大西洋世界の代替となるのが確実なプロジェクトを警備する責任を負うのだ。

プリンスは、環球時報のインタビューで、“北西回廊には、カザフスタン、ウズベキスタン、パキスタン、アフガニスタンなどの国々があり、南西回廊には、ミャンマー、タイ、ラオスとカンボジアなどの国々がある”と述べ、“中国の雲南省で計画されている新施設のおかげで、FSGは、南西回廊の企業にもより良いサービス提供が可能になるだろう。続いて、FSGは、北西回廊内の企業のため、新疆に訓練施設を開設予定だ。

中国北西の新疆ウイグル自治区のFSG基地は、CIAがけしかけているウイグル・テロ活動の中心部に置かれる予定だ。新疆は、新疆ウイグル人イスラム教徒の中で活動的な、CIAがfostered アルカイダの東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の本拠地だ。新疆自体、カザフスタン、ロシアや他から、更には中国内の油田から、中国への大半の石油とガスの主要国際パイプラインの十字路だ。二つ目の“事業基地”は南西中国雲南省に置かれる予定で、ミャンマーの石油とガス・パイプラインや、インド洋への深水港、巨大な一路、建設中の高速鉄道インフラシンガポールと、全東南アジアに至る一路全体の十字路となる昆明は戦略的ハブだ。

金のための参入か?

エリック・プリンスは“中国版ブラックウオーター”を構築するつもりはなく、単に、中国の壮大な貿易プロジェクトに、企業警備や他のサービスを提供すべく、中国と事業をしているのだと主張している。FSG警備担当者は全員非武装だと彼は主張している。

中国国営の環球時報は、エリック・プリンスの民間警備会社を雇うことを擁護している中国人専門家、復旦大学アメリカ研究センター所長呉心伯にインタビューしており、彼は環球時報に“一帯一路構想をうまく実施するには、中国海外企業の警備業務は強化されるべきだ。中国はアメリカ民間企業から経験を得ることが望ましい” 中華人民共和国公安部の実働部隊、中安保実業集団有限公司の国際事務部総監の黎江向はこう述べている。

“中国企業は海外での警備サービスが是非とも必要だ。中国の警備サービス会社には、高度な経営理論が欠けている。”

民間傭兵による殺人における高度な“経営理論”は、確かにエリック・プリンスのおはこだ 。イラク戦争中、ブラックウオーター・セキュリティーはCIAに雇われ、契約金額は、6億ドルを越えていた。ブラックウオーター共同創設者は、ブラックウオーター・アメリカ副社長、ブラックウオーター・セキュリティー社社長になった元CIA職員のジェイミー・スミスだ。2006年から2009年まで、ブラックウオーター副会長だったコファー・ブラックは、元CIA対テロセンター所長だった。要するに、プリンスの事業は、秘密工作に対する制限を受けるアメリカ政府の制限がない民間CIAなのだ。

2007年9月、ブラックウオーター社員が、バグダッドの混雑する広場で発砲し、子供を含む17人のイラク一般市民を殺害し、更に20人に重傷を負わせたニスール広場虐殺で、ブラックウオーターは悪名をとどろかせた。アメリカの裁判所で三人の警備員が、14人の過失致死で、もう一人が殺人で有罪判決を受けた。その後、2010年に彼は会社を売り、アカデミという名前で再編成した。2010年、プリンスの会社は、CIAの仕事で、更に1億ドル受け取った。2009年、彼がテロリスト殺害を委託されたCIAタスク・フォースの一員であることが明らかにされた。彼はバージニア州ラングレーのCIA本部を警備するよう雇われてさえいた。

トランプとのつながり

エリック・プリンスのドナルド・トランプ政権とのつながりも注目に値する。プリンスは、トランプと個人的な知り合いで、トランプの選挙に100,000ドル以上寄付した。彼の姉、AmWay一家の億万長者ベッツィ・デヴォスはトランプ政権の教育長官だ。さらに重要なことに、プリンスは、トランプ政権のホワイト・ハウス首席戦略官スティーブン・バノンの親友でもある。ある元アメリカ高官によれば、プリンスは、1月20日以前に、トランプ移行チームに、“国防長官と国務長官候補者評価を含む”諜報と国防に関する問題で助言までしていた。バノンに加え、エリック・プリンスは、上院での50-50票で、プリンスの姉、ベッツィ・デヴォスが教育長官になるのを可能にした決定票を投じたマイク・ペンス副大統領の親しい友人だ。プリンスは、トランプの選挙と、イギリスBrexitの主要投資家である、投資運用会社ルネッサンス・テクノロジーズのヘッジ・ファンド業億万長者ロバート・マーサーとも親しい。

中国の一帯一路という極めて重要な動脈を警備するのにエリック・プリンスを雇うのに、北京当局が二つの利点を考えている可能性があり、その可能性は高い。一つは、エリック・プリンスが、テロを受けやすい地域における企業警備の世界的専門家の一人だという確実な事実だ。彼は中国の警備会社がおそらく良く知らないテクニックを知っている。二つ目の理由は、強烈な反中国の話題で選挙運動を展開したトランプ政権とのエリック・プリンスの緊密なつながりから、トランプ人脈と直接のつながりがあるプリンスを北京が“友人”にすれば、ワシントンとのより良い関係を仲介してもらえようと期待したのかも知れない。

もしそうであれば、中国当局は、こうした無理からぬ狙いを追求する中、一帯一路と言う名の鶏小屋警備に、狡猾で非常に危険なキツネを認めたのを見直ことになるかも知れない。“元”CIA工作員で、世界でも一流の傭兵、エリック・プリンスが、今やワシントンに、中国の新経済シルク・ロードの進展に関する最も詳細な諜報情報を提供できる立場にあるのだ。倫理に反したいと彼が思いさえすれば、CIAテロリスト・ハンドラーに、将来の破壊工作や、新シルク・ロード・プロジェクト崩壊の為、ISISやアルカイダなどの集団の的確な標的を彼は容易に提供できるのだ。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、本記事は、オンライン誌“New Eastern Outlook”独占。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/04/30/beijing-hires-princely-fox-to-guard-their-obor-henhouse/
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英語原文では、Princely Fox。本名のPrinceとの語呂合わせだろう。
大本営広報部がこぞって「中道派」とよぶ、ネオリベラ・ネオコン、フランスで、当選。
この記事題名の都市を入れ換えればそのまま?

2017年3月30日 (木)

D. ロックフェラーの陰惨な遺産

2017年3月26日
F. William Engdahl

アメリカ支配体制の事実上の族長、デイヴィッド・ロックフェラーが101歳で亡くなったのを受けて、支配体制マスコミは、彼の慈善活動とされるものを称賛している。私はこの人物の、より正直な姿を描いて貢献したいと思う。

ロックフェラーのアメリカの世紀

1939年、彼の四人の兄弟、ネルソン、ジョン D. III、ローレンスと、ウィンスロップ-デイヴィッド・ロックフェラーと、連中のロックフェラー財団が、ニューヨークで最も有力な民間のアメリカ外交政策シンクタンクであり、ロックフェラーに支配されている外交問題評議会における極秘の戦争と平和研究に資金を提供した。後に、タイム-ライフのインサイダー、ヘンリー・ルースが、アメリカの世紀と呼んだ、戦後の世界帝国を計画すべく、第二次世界大戦勃発前に、一群のアメリカ人学者が集まった。彼らは破綻したイギリスから世界帝国を引き継ぐための青写真を作成したが、それを帝国とは呼ばぬよう配慮した。彼らはそれを“民主主義と自由とアメリカ風私企業の拡散”と呼んだ。

連中のプロジェクトは世界の地政学的地図を見て、アメリカが、事実上の支配的帝国として、いかにしてイギリス帝国に置き換わるかを計画した。国連創設は、その重要な一部だ。ロックフェラー兄弟は、マンハッタンにある所有地を国連本部に寄贈した(その過程で彼らが所有する隣接する不動産の価格を何十億ドルも押し上げた)。これがロックフェラー式“慈善活動”だ。あらゆる寄付は一家の富と権力を増大するよう計算されている。

戦後、デイヴィッド・ロックフェラーは、アメリカ外交政策とアフリカ、中南米、アジアにおける無数の戦争を支配した。ロックフェラー一派が、対ソ連冷戦と、回復する西ヨーロッパをアメリカ属国状態にとどめるためのNATOを作り出した。連中が、それを一体どのように実行したかについては、私の著書、The Gods of Money(翻訳書名『ロックフェラーの完全支配 マネートラスト(金融・詐欺)編』で詳細に記述してある。本記事では、人類に対するデイヴィッド・ロックフェラーによる犯罪のいくつかの例を検討する。

ロックフェラーの生物学研究:‘人を支配する’

慈善活動は、同胞の人間に対する愛情が動機であるべきだというのであれば、ロックフェラー財団の贈与はそうではない。医学研究を見てみよう。1939年と戦争までの時期、ロックフェラー財団は、ベルリン、カイザー・ウィルヘルム研究所の生物学研究に資金提供した。それは、優れた人種を、いかにして育成し、彼らが“劣っている”と見なした人種を、いかにして全滅、あるいは断種するかというナチス優生学だった。ロックフェラーは、ナチス優生学に資金提供していたのだ。ロックフェラーのスタンダード・オイルも、戦時中、秘密裏にナチス空軍に貴重な燃料を供給して、アメリカの法律に違反していた。戦後、ロックフェラー兄弟は、残虐な人体実験に関与した主要ナチス科学者を、優生学研究を継続させるため、別人物にしたてあげ、アメリカとカナダにつれ出す手配をした。彼らの多くは、CIA極秘のMK-ウルトラ・プロジェクトで働いた。

1950年代、ロックフェラー兄弟は 優生学を推進するため人口協議会を設立したが、産児制限に関する人口調査を装っていた。ロックフェラー兄弟は、ロックフェラーの国家安全保障顧問キッシンジャーが率いた、“世界的人口増加の、アメリカの安全保障と海外権益に対する潜在的影響”と題する1970年代のアメリカ政府による極秘プロジェクトNSSM-200の責任を負っている。石油や鉱物などの戦略的原料を産出する開発途上国における大幅な人口増加は、より多くの国民が、それらの資源を国内で使用しての(原文通り!)国の経済成長を要求するので、アメリカ“国家安全保障の脅威”だと主張している。NSSM-200は、発展途上国世界の人口削減計画を、アメリカによる支援の前提条件にした。1970年代、デイヴィッド・ロックフェラーのロックフェラー財団は、WHOとともに、 女性の妊娠状態を維持できなくし、人口を抑制する、文字通り人の生殖プロセスそのものを目指す特殊な破傷風ワクチン開発にも資金提供していた。

ロックフェラー財団が、モンサント社の所有権と、“遺伝子砲(パーティクル・ガン)”や、所定植物の遺伝子発現を人為的に変える他の技術を産み出すため大学の生物学研究に資金提供をして、遺伝子操作分野まるごとを作り出したのだ。GMOの狙いは、ロックフェラーが、悲惨なフィリピンの黄金米プロジェクトを後援して以来、GMOを、人間と動物の食物連鎖で使用することなのだ。現在、アメリカで栽培されているあらゆる大豆の90%以上と、あらゆるトウモロコシと綿の80%以上がGMOだ。ところが表示はされていない。

‘石油支配’

ロックフェラーの富は、エクソン・モービルやシェブロン他の石油に基づいている。1954年以来のデイヴィッド・ロックフェラーの政治顧問ヘンリー・キッシンジャーは、ロックフェラーあらゆる主要プロジェクトに関与していた。1973年、アラブOPECの石油禁輸を引き起こすために、キッシンジャーは密かに中東外交をあやつった。

1973年-74年のオイル・ショックは、1950年代にデイヴィッド・ロックフェラーが創設した、ビルダーバーグ会議として知られている秘密組織が画策したものだ。1973年5月、デイヴィッド・ロックフェラーとアメリカとイギリスの主要石油メジャーのトップが、オイル・ショックを仕組むため、スウェーデンのサルトシェバーデンでの年次ビルダーバーグ会議に集まった。“強欲なアラブの石油シャイフ(族長)”に罪をなすり付けたのだ。これは下落する米ドルを救い、デイヴィッド・ロックフェラーのチェース・マンハッタン銀行を含むウオール街銀行を世界最大の銀行に押し上げた。価格上昇戦略がアラブ-イスラエル戦争の六カ月前に記述されているこの会議の“秘密”協定を、小生は所有している。証拠文書については、私の著書、A Century of War『ロックフェラーの完全支配 ジオポリティックス(石油・戦争)編』をご覧願いたい。1970年代、キッシンジャーは、デイヴィッド・ロックフェラーの世界戦略をこう要約した。“石油を支配すれば、国家を支配できる。食料を支配すれば、人々を支配できる。金を支配すれば全世界を支配できる。”

‘金を支配すれば…’

デイヴィッド・ロックフェラーは、一家の銀行、チェース・マンハッタン銀行の会長だった。再びヴォルカー金利ショックを起こすため、オイル・ショック同様、世界経済を犠牲にして、下落する米ドルと、チェース・マンハッタン銀行を含むウオール街の銀行の利益を救ったチェース副頭取ポール・ヴォルカーを、カーター大統領の連邦準備金制度理事会議長にした責任は彼にある。

ロックフェラーが支援した1979年10月のヴォルカー金利‘ショック療法’は、1980年代の“第三世界債務危機”を産み出した。ロックフェラーとウオール街はこの債務危機を、アルゼンチン、ブラジル、メキシコなどの国々に国営事業の民営化と劇的な通貨の平価切り下げを強いるのに利用した。そこでロックフェラーとジョージ・ソロスなどの友人が、アルゼンチン、ブラジル、メキシコの最も重要な資産を二束三文の価格で奪い取った。

モデルは、オスマン帝国で1881年以降、オスマン債務管理局(OPDA)を通し、全ての税収を支配して、サルタンの財政を事実上支配するのに利用されたイギリスの銀行と良く似ていた。ロックフェラー権益集団は、1980年債務危機を、IMFを連中の警官として使って、中南米やアフリカの多くの債務国を略奪するのに利用したのだ。デイヴィッド・ロックフェラーは、二人とも当時の国務長官ヘンリー・キッシンジャーが中南米で画策したCIAクーデターのおかげで地位を得た、アルゼンチンのホルヘ・ビデラやチリのピノチェトを含む、中南米のより残虐な軍事独裁者の何人かと個人的な友人だった。

三極委員会のような組織を通して、ロックフェラーは、国家経済破壊と、いわゆるグローバリゼーション、三極委員会に招かれたとまさに同じ連中、主にウオール街とロンドンのシティーの超巨大銀行と一部の多国籍企業が恩恵を受ける政策を推進する主要立案者なのだな。1974年、ロックフェラーは三極委員会を作り、親しい友人ズビグニュー・ブレジンスキーに、北アメリカ、日本とヨーロッパのメンバーを選ぶ仕事を与えた。

一部の人々が陰の政府と呼ぶ目に見えない強力なネットワークについて語る場合、デイヴィッド・ロックフェラーは自身、その陰の政府の族長だと考えていたと言えよう。彼の本当の行動は、実態通り正直に、慈善的ではなく、厭世的と見なすのがふさわしい。

F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師で、プリンストン大学の学位を持っており、石油と地政学に関するベストセラー本の著書で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”への独占寄稿。

記事原文のurl:http://journal-neo.org/2017/03/26/d-rockefeller-s-gruesome-legacy/
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「東芝の臨時株主総会で怒号」という見出しのネット記事を読んだ。

Gerald Celenteというトレンド予測の専門家がいる。press(マスコミ)と prostitute(娼婦・男娼)を合成したpresstituteという単語を造語した人物だ。残念ながら、彼の著作訳は『文明の未来 政治経済からビジネスまで』しかないようだ。
それも1998年10月刊。

今読んでも、驚く記述がある。

例えば、90ページの一部をコピーさせて頂こう。見開きの91ページは、日本でも年中読まされた原発広告。酪農家のルイーズ・イーレンフェルトさんが登場している。

 きれいな空気!安全な原発! 環境汚染がない! 環境を保護する! 天然資源と将来の世代を守る! 新鮮で冷たいミルク!
 原子力の専門家と酪農家のルイーズ・イーレンフェルトさんが、「原発で困ったことはない」と保証するのである。何の心配もいらない。
 地震がやってくるまで、サンタモニカのフリーウェーも、神戸のホテルも、何の問題もなかった。しかし、ロサンゼルスと神戸の大地震によって、耐震設計だったはずの建物はがれきの山と化した。これらの建物を設計した技術者たちの評判は地に落ちた。耐震設計のホテルやオフィスビル、高速道路を大地震が襲うとどうなるかは、今ではよくわかる。では、「安全な」原子力発電所がマグニチュード七・五の地震にあうと、何が起こるだろうか。連邦エネルギー認識協会や、ルイーズさんに聞いてみていただきたい。

190ページには「二大政党の一党化」という見出しがある。

340ページには「二〇〇〇年の十字軍」という見出しがある。

343ページには「テロリズムの精霊がボトルから出てくる」という見出しがある。

そして、382ページには、キートレンドとして、こうある。

化石燃料や原子力エネルギー産業に依存していた産業、製品、サービス(たとえば、鉱業、ドリル、精製、加工、搬送、貯蔵、装置など)は衰退する一方だろう。

原発推進で、日本最大の赤字を出した企業のニュースを見ながら、本書を思い出した。大本営広報部の幇間連中による洗脳番組の何百倍もためになると思うが、F. William Engdahl氏の翻訳書同様、巨大ネット書店でしか入手できないようだ。もちろん彼の説を100%支持するつもりは皆無だ。例ば、彼が常温核融合を推奨するのには疑念がある。

2017年3月28日 (火)

“わたしは、ダニエル・ブレイク”保守党緊縮政策下のイギリスの悲痛な描写

2016年10月27日、木曜日
アダム・ブース   

    “私はお客さまや顧客やサービス利用者ではない。怠け者でも、たかりやでも、乞食でも、泥棒でもない。私は国民健康保険番号ではない…わたしはダニエル・ブレイクだ。私は人間だ、犬ではない。そういうものとして、私は権利を要求する。敬意を払って、私に対応してもらいたい。わたしは、ダニエル・ブレイク、国民で - それ以上でも、それ以下でもない。”

左翼監督ケン・ローチの現在上映中の新作映画の主人公によるこうした力強い言葉が、ここ数週間、ソーシャル・メディアの書き込み、巨大広告掲示板や、イギリス国会議事堂の威圧的な壁にまで、出現している。言葉は現代の保守党下イギリスで、過酷な窮状や労苦に直面して、生存と尊厳を維持するための戦いにある映画題名の元になった主人公の絶望を描写している。しかし、映画の人気ハッシュタグ#WeAreAllDanielBlakeが示唆している通り、ダニエルの物語は、フィクションとは言え、決して非現実的でも、例外的でもない。実際、ダニエルの物語で最も悲劇的な部分は、今の緊縮政策時代、このような話がどれほどありふれたものかということにある。.

薄情な世界の暖かい心

映画冒頭の対話が、それ以降の映画の場面を設定する。孤独で無力な一人の男が、彼があきらめて視野から消えるまで、あらゆる自尊心の感覚をくじき破壊するように作られてそびえている体制とむなしく戦う。ユーモアのあるダニエルは、冷淡な官僚を前にして、就職斡旋・失業手当て“意思決定者”に、仕事をしたくないわけではないが、心臓病の結果、医者の指示のためできないと説明しようと無駄な努力を試みる。

しかし残酷ながら、素晴らしい映画の皮肉は、ダニエルが、この薄情な世界で、人情のあるわずかな人々の一人。壊れているのは彼の心ではなく、彼や、彼と同様な状態にある人々を取り巻き、包み込んでいる体制だ。

次々の場面で、タイン川流域出身者のダニエルが、何のためらいもなく、隣人、友人、さらには見知らぬ人に対してまで行う優しさと連帯の様々な行動の心を動かす天真らんまんさを見せられる。しかも“怠け者、たかりや、乞食、泥棒”とは決して見られたくない彼は、何も見返りを求めず、誇りと頑固さから、申し出されるお礼を断る。

資本主義に流される

働いて給料を得る機会を、健康状態が理由で拒否したダニエルは、請求書に支払いするため、いかなる慈善も受けずに、あらゆる世俗的財産を売ることを余儀なくされる。しかし、ローチが示す通り、ダニエルには技能や才能がないわけではない。彼は練達の大工で、便利屋で豊富な経験とingenuity。彼は働いて、彼の技術を活用したいのだ。しかし、資本主義の変化という踏み車についてゆけず、コンピューターとスマート・フォンの海の中で迷い、他の多くの人々同様、彼は現代社会の中を流されていることに気がつく。

職業紹介所と、その上の雇用年金局の迷路とカフカ風機構の中を通り抜けるため、次から次と障害に突き当たる中、カメラは、主人公の戦いの各段階で、明らかな失敗ごとに嘆息するのを - 虐げられた人のため息を追い続ける。彼が是が非でも必要とし、それに値している生活費支給に対する厳格な門番として働く、上から目線の支給窓口職員のおかげで、自分が力量不足で、無能であるような気にさせられる。しかしダニエルの周囲にいる身近な人々は、無能がとは思っていない。というより、ダニエルが言うとおり、まともな仕事を全員に提供することができない制度によって、社会のごみ捨て場にあてがわれた極めて有能な人物だと見なしているのだ。

同じように失意の“サービス利用者”に対する連帯感を示すことで、ダニエルは、シングル・マザーのケイティーと二人の子供と友情を築く。彼女と子供たちに、他の誰も与えないもの、注目と配慮と敬意を与えて、二人の進路に置かれた無数の困難を切り抜けようとしながら、ダニエルとケイティーはお互いに助け合う。二人とも逆境に会いながらも毅然とした態度を維持しようとするが、ある時点で、圧力が二人を圧倒し、特にケイティーは窃盗と売春という行為で、自らを傷つけることを強いられる。

そこでまた、ケイティーが、子供たちに食べさせるため、何日間も自分を飢餓状態にした後、初めて困窮者に食料を配給する食料銀行に行く際、ローチ監督は、何百万人ではないにせよ、何千人もの生活の現実を、悲痛な形で描きだす。飢えと疲れのために自分を抑えられなくなって、ケイティーは、ほんのわずかな間、ダニエルが必死に、そうなるのを避けていた動物に変身し、深刻な飢えを和らげるため、公民館の真ん中で、豆の缶詰をこじ開けて、それを生のまま食べてしまう。

支配階級の軽蔑

社会主義者ローチの新作映画は、“チャンネル4放送の番組「Benefits Street」で失業給付を請求する人々と大違いの二人の主人公という“福祉給付請求者の信じられないほど架空の姿”、“中流の上の都市エリートが想像する給付申請者”を描いているという右翼マスコミの上から目線評論家による厳しい批判を受けている。だが、そのような陳腐な言辞は、支配階級や連中の代理人たちが、労働者階級に対して持っている軽蔑の正確な反映だであり - まさにこの既存支配体制の軽蔑こそが、『わたしは、ダニエル・ブレイク』が官僚と国家の無用な煩雑な手続きとの映画題名の人物の戦いを通して、浮き彫りにしているものなのだ。

だが既に述べた通り、本当の悲劇は、ローチの映画が“不正確”で“誇張”どころか、イギリスで、何千何百万人もの最も貧しく、虐げられた、弱い人々が直面している本当の状況の実に生々しい痛烈な描写であることだ。実際、今週の学術的研究による数値が、ダニエル・ブレイクが脅かされているような支給制裁や、ケイティーや何十万人もの他の人々が頼ることを強いられている食料銀行の利用の間の明白なつながりを示している。

今年のカンヌ映画祭で、パームドールを受賞したローチの映画は、福祉支給申請者が耐えなければならない侮辱的対応に光をあてる仕事に対する称賛に値する。しかし、だからといって、映画と監督に非の打ちどころがないということにはならない。

指導部についての疑問点

ローチの映画の中心には、二つの根本的な欠陥がある。まず、映画が批判する対象は、この体制を作り出した政治家たちというより、大半がダニエルとケイティーが直面する官僚体制におかれているように見えるが、より重要なのは、政治家たちが守っている権益だ。映画では終始、主な悪役はダニエルや他の受給者を、単なる画面上の番号として冷淡に扱う労働厚生省職員だ。公務員たち自身も、現実には、保守党の緊縮政策と民営化の犠牲者だ。実際、保守党に触れるのは、就職斡旋所の外でのダニエルの反抗的行動に喝采し、一方、政府、特に元労働年金相で、福祉国家に対する最近の攻撃の主要計画者イアン・ダンカン・スミスをなじる、唯一の理性の声、一人の大酒のみだけだ。

映画を、あからさまに“政治的”にはしないのがローチの狙いだった可能性もある。おそらく彼は、まさに保守党による攻撃に直面している人々は政治活動に関わる時間も能力も一番不足している人々であることを浮き彫りにしているのだ。ばらばらにされ、尊厳を剥奪され、ダニエルとケイティーは、なんとか生活をやりくりするのに必死で、政治について考える時間がないのだ。

とはいえ、そうした視点を選んで、意図的であれ、うっかりであれ、ローチは、ほとんど全く虚無的な絶望と悲観の姿を描いている。賞賛されている監督のこれまでの映画には、常に前途に光明が見える感じがあった。主人公は、革命的情熱、正義感と楽観主義に満ちていた。ところが『わたしは、ダニエル・ブレイク』では、ときの声も動員の呼びかけもない。実際、ダニエル地域の職業紹介センターの壁に抗議の声明をスプレーで描いて抵抗しようとした際、彼を支援したのは、女性だけの集団、一人の酔っぱらいと、自取り写真をとりたがっている二人の若者だけだった。

人々に、組織化して、保守党や連中の緊縮政策プログラムに反撃する自信を与えるどころか、ケン・ローチは観客を絶望の穴に突き落とすだけだ。“我々全員、ダニエル・ブレイク”だというのは真実だが、削減と、保守党による攻撃の犠牲者に対する団結が十分ではない。ローチ自身、これまでの作品で正しく強調してきた通り、究極的には、指導部の問題だ。

終生の社会主義者で活動家のローチは、労働党のコービン指導部をはっきり支持してきた。今必要なのは、コービン運動のそうした指導者たちが、前進する道を示し、労働党内での革命を完成させることだ。労働党と、その周辺の運動を、保守党に反対し、緊縮政策に反対し、資本主義に反対し、大胆な社会主義的代案を進める、戦う大規模運動へと転換することだ。ダニエルや、彼と同様な立場にある何百万人もの人々にふさわしい権利と尊厳を我々が実現するには、それしかない。

記事原文のurl:https://www.socialist.net/i-daniel-blake-a-heart-wrenching-portrayal-of-tory-austerity-britain.htm
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国営放送、昨日夕方の解説者をみながら、電波幇間とはこういう人を言うのだろうと思った。
大本営広報部の話題は、甲子園、雪崩事故、小学生殺人事件、旅行会社の倒産。
アッキード事件から目を逸らせるための洗脳呆導に熱心だ。
解明するなとは言わない。しかし、国民全員の今後の運命への影響度では、土地問題、日本懐疑とは、比較にならない話題だろう。

この映画、まだ見ていない。見にゆく前の事前知識として読んだものゆえ、見た後、制度の固有名詞がわかり次第改めたい。

彼の映画については、下記記事を訳してある。

『天使の分け前』失業中のスコットランド人の若者に関する、余り厳しくないお話

ケン・ローチの『ルート・アイリッシュ』: イラク戦争帰還す

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