新しい中東の「産みの苦しみ」はアメリカが望むものではないかも知れない
2024年10月5日
Moon of Alabama
FTのエドワード・ルース記事
私はそう思わない。ホワイトハウスからペンタゴンに一本電話すれば、アメリカからイスラエルへの補給飛行は中止される。補給が絶えず行われなければ、イスラエル空軍は数時間以内、いや数日以内にガザ、ヨルダン川西岸、レバノン、シリア、イエメンへの爆撃作戦を中止せざるを得なくなる。
ところが、国防総省に電話する代わりに、バイデンやアントニー・ブリンケンやブレット・マクガークやアモス・ホッホシュタインを中心とする中東チーム全員が、イスラエルに作戦拡大を促している。
2006年のブッシュ政権時代のネオコンのように、現地の戦略的状況を永久に変えるだろう「新たな中東の産みの苦しみ」を連中は望んでいる。
戦略的状況は変化するかもしれない。だが、それはバイデンとネタニヤフが期待しているような形にはならないだろう。
二日前、イスラエルに向けてイランが発射した200発のミサイルのほとんどがイスラエル防空網を突破し、高精度で標的に命中した。高価な航空機が数機損傷したが、負傷者は出なかった。イスラエルのエネルギー施設に対する同様の攻撃は、今後数ヶ月から数年にわたりイスラエルの機能を麻痺させる恐れがある。イスラエル国防軍兵舎やイスラエルの人口密集地に対する攻撃は大量の死傷者を出す恐れがある。
攻撃直後、カタールのドーハで、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領はサウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン・アル・サウド外相と会談した。
これは、もはや湾岸諸国がイランに敵対しておらず、スンニ派とシーア派の宗教的分裂がほぼその力を失った新たな中東だ。
すると、かつてのアメリカ同盟諸国のうち残っているのは一体誰だろう? アメリカがイラン攻撃を計画している時に、この地域で一体誰に支援を要請できるのか?
アメリカとイスラエルの作戦全体は「レバノンと、この地域におけるイランの影響力を低下させる」のに本当に役立ったのだろうか? これを継続すれば、そうなるのか?
イスラエルに対抗する戦線を強化し、中東内外でイランの立場を強化したというのが私個人としての印象だ。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/10/the-birth-pangs-of-the-new-middle-east-may-not-be-the-ones-the-us-has-wished-for.html
Moon of Alabama
FTのエドワード・ルース記事
ネタニヤフはバイデンをいかに「凌いでいるか」(アーカイブ)これはしばらくの間、メディア・キャンペーンの一般的主題だった。「ナタニヤフはバイデンを圧倒しており、哀れなバイデンは何もできない。」
中東から抜け出したいとアメリカ大統領は望んでいた。だが、この地域の混乱は選挙に影響を与え、彼の実績を定義しかねない。
「ワシントンでのゲームのやり方を、大半のアメリカ政治家よりもネタニヤフは良く知っている」と元イスラエル外交官で現在ハアレツ紙コラムニストのアロン・ピンカスは言う。「そして、バイデンを圧倒している」。
...
過去一年、数え切れないほど多くの機会に、ワシントンと一つのことに同意しているように見えながら、実際ネタニヤフは逆のことを行ってきた。ガザ停戦と人質解放の条件をめぐる論争であれ、ヒズボラとの21日間停戦の最近の試みであれ、そのたびにバイデンは無力に見える。「『ちょっとした秋の湿気に我々は苦しんでいる』とバイデン政権は言っているようだ」とピンカスは言う。「ちがう、これは季節の湿気ではなく、あなたの全身にネタニヤフが小便をひっかけているのだ。」
私はそう思わない。ホワイトハウスからペンタゴンに一本電話すれば、アメリカからイスラエルへの補給飛行は中止される。補給が絶えず行われなければ、イスラエル空軍は数時間以内、いや数日以内にガザ、ヨルダン川西岸、レバノン、シリア、イエメンへの爆撃作戦を中止せざるを得なくなる。
ところが、国防総省に電話する代わりに、バイデンやアントニー・ブリンケンやブレット・マクガークやアモス・ホッホシュタインを中心とする中東チーム全員が、イスラエルに作戦拡大を促している。
2006年のブッシュ政権時代のネオコンのように、現地の戦略的状況を永久に変えるだろう「新たな中東の産みの苦しみ」を連中は望んでいる。
舞台裏では、イスラエルのレバノン作戦は、歴史を決定づける瞬間、つまり今後何年にもわたり中東をより良い方向に変える瞬間だとホッホシュタインやマクガークや他のアメリカ国家安全保障担当高官らは言っている。このことから得られる結論は、ネタニヤフはバイデン政権が望んでいることをほぼ正確に実行しているということだ。
連中の考え方はこうだ。レバノンにおけるヒズボラの最高指揮系統をイスラエルが壊滅させ、同組織の能力を著しく弱体化させ、ヒズボラを代理勢力および連中の権力の投影者として利用していたイランを弱体化させた。
ここ数日で国内政治の対立はいくらか解消されたようで、月曜日にはジョー・バイデン大統領とアメリカ高官がホワイトハウスに集まり、現地状況について協議した。この紛争は、脆弱ではあるが、レバノンや、この地域におけるイランの影響力を低下させる機会になる可能性があることに大半の関係者が同意した。
戦略的状況は変化するかもしれない。だが、それはバイデンとネタニヤフが期待しているような形にはならないだろう。
二日前、イスラエルに向けてイランが発射した200発のミサイルのほとんどがイスラエル防空網を突破し、高精度で標的に命中した。高価な航空機が数機損傷したが、負傷者は出なかった。イスラエルのエネルギー施設に対する同様の攻撃は、今後数ヶ月から数年にわたりイスラエルの機能を麻痺させる恐れがある。イスラエル国防軍兵舎やイスラエルの人口密集地に対する攻撃は大量の死傷者を出す恐れがある。
攻撃直後、カタールのドーハで、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領はサウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハン・アル・サウド外相と会談した。
新華社通信によると、サウジアラビア外相はイランとの関係を発展させる決意を表明した。昨日、テヘランでイラン最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師が金曜礼拝を行った。欧米メディアはほとんど取り上げなかったが、彼の説教は主にアラビア語で行われ、礼拝全体がアルジャジーラを通じてアラビア語テレビ生中継で放映された。
「我々は両国間の相違を永遠に終わらせ、友好的兄弟国として問題解決と関係拡大に努めたい」とサウジアラビア外相は述べた。
ガザ地区とレバノン地区へのイスラエル「攻撃」と、同地域での紛争拡大の試みにより、西アジアは「非常に微妙で危機的な」状況にあると彼は強調した。状況を管理し、地域の平穏と平和の回復に貢献するイランの知恵と判断力をサウジアラビアは信頼していると彼は述べた。
これは、もはや湾岸諸国がイランに敵対しておらず、スンニ派とシーア派の宗教的分裂がほぼその力を失った新たな中東だ。
すると、かつてのアメリカ同盟諸国のうち残っているのは一体誰だろう? アメリカがイラン攻撃を計画している時に、この地域で一体誰に支援を要請できるのか?
アメリカとイスラエルの作戦全体は「レバノンと、この地域におけるイランの影響力を低下させる」のに本当に役立ったのだろうか? これを継続すれば、そうなるのか?
イスラエルに対抗する戦線を強化し、中東内外でイランの立場を強化したというのが私個人としての印象だ。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/10/the-birth-pangs-of-the-new-middle-east-may-not-be-the-ones-the-us-has-wished-for.html
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