バイデン政策でぼっかりあいたアメリカの深淵を瞥見
2023年5月8日
フィル・バトラー
New Eastern Outlook
ゆっくりと着実に、ほぼ体系的に、アメリカとその同盟諸国は後戻りできない地政学的深淵に突入しつつある。ほとんどの観察者の脚光はウクライナ情勢に当たっているが、欧米覇権衰退の自然な兆候は違う場所にある。
上海協力機構ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相が、上海協力機構インドのラジナート・シン国防相と会談した最新ニュースがある。ショイグによれば、数十年続く覇権(帝国)を維持するため、アメリカと他の欧米同盟諸国は、戦略的にロシアを打倒し、中国にとっての脅威になることを目指している。これは両国防相が長年の防衛関係を深めることに合意する前のことだった。欧米の対ロシア代理戦争が始まって以来、インドは武器だけでなくロシア輸出の大黒柱になっている。
ロシア武器産業はインド軍の武器と物資のほぼ半分を供給している。更にロシアに対するアメリカの経済的攻撃と代理軍事攻撃以来、インドはロシア海上輸送石油の最大輸入国になった。しかもインドはこの石油代金をドル以外の通貨で支払っている。ここでアメリカ覇権は最も底なしの流砂にぶつかっているのだ。現在BRICSは、単に銀行エリート連中の約束ではなく、金や他の商品に裏打ちされた新たな国際通貨を求めている。中国人民元はロシア市場で最も取り引きされる通貨として既にドルに取って代わっている。現在BRICS諸国は、GDPで最も裕福な国々G7諸国全体を上回っていることに注意することが重要だ。
一方国内では、アメリカ率いる西側諸国が超リベラル泥沼に飛び込み、数億人の伝統や文化や財産を確実にディストピアの悪夢に引きずり込んだ。だからアメリカのフロリダ州が作家ジョン・スタインベックの『二十日鼠と人間』のような本を禁止したのを読んだ時私は驚いた。この本や時代を超越する他の古典の禁止は1930年代にナチス・ドイツやオーストリアで儀式的に本を燃やしたドイツ学生連合(Deutsche Studentenschaft、DSt)を想起させた。学校図書館で禁止されている他の作家には、マーガレット・アトウッド、オルダス・ハクスリー、児童書作家のジュエル・パーカー・ローズなどがある。
更に深く掘り下げると、伝統的に保守的なテキサスの状況は言い表す言葉もないことがわかった。昨年セオドア・ガイゼル(ドクター・スース)、J.K.ローリング、トム・クランシー、ハーパー・リー、ウィリアム・シェイクスピア、マーク・トウェインなどの著作を含む800冊以上の本が禁止された。いわゆる「欧米」で諸事万端をつかさどっているエリート・リベラル秩序は歴史や未来のアメリカを形成する若者の心を作り変えると決意しているようだ。
ジョー・バイデン大統領はLGBTQの権利を制限する法律は「残酷」で「罪深い」と公式に言っている。小学校で性的指向や性同一性に関して教室での議論を禁止する法律をフロリダ州の議員が制定した際、彼の声明は出された。洗脳を昔に戻そうとしている同じ議員は、トランスジェンダーの若者のための第二次性徴遮断薬や、ホルモン療法、手術などの医療を阻止する法案も検討している。フロリダ州や他の州の保守派も性別適合措置を受ける可能性がある子供に対し、裁判所に緊急管轄権を与えるように動いている。いわゆる「団塊の世代」と呼ばれる我々にとって、そのような法律が必要だという事実は聖書の最悪部分からそのまま抜け出たようなものだ。しかし道徳は大きな問題の一つにすぎない。
最後に、華美で悪徳の栄える大都会(かつてのニューヨーク)では主要欧米石油、企業、民間ファンド関係者がかつてない利益を上げている。まさにこの瞬間アメリカ中産階級は財政の不正行為や悪しき地域政策で崩壊する運命にある。エクソンモービル、シェル、シェブロン、その他大手石油会社はウクライナ危機で大きな勝利を収めた。シェブロン、エクソンモービル、シェル、BP、トタルエナジーズは134,2022億ドルの超過利益を上げた。アトランタからイギリスのエジンバラまで市井の人々は貧困に陥る運命だ。2022年。一方、市井の人々はアメリカ・インフラや子供が取り返しがつかないほど自傷行為をしないようにしたりするため支出するのではなく、軍産複合体に支出するのを巨大な「罪」と見なしている。ギリシャでは、国内で最も成功した企業のいくつかが店じまいし、さらに悪いことに、有力政治家連中がライバルをスパイしているのを捕らえられた。日曜学校の先生が教えることを理解しているかのようにバイデンは「罪」について語る。見ているだけで頭が変になる。私たちが知っていることと言えば、製薬会社を非難したかどでタッカー・カールソンのような人々が首にされることだけだ。近頃、真理は罪だ。
世界最大の国を破壊することを目指す欧米の反露政策は、遙かに壊滅的大変動になることが確実なものへの触媒だ。ロシアがユーゴスラビアのように分割されると予想する専門家などほとんどいない。ローマ崩壊後に何が起きたか想像できるなら、21世紀の聖バレンタインデーの虐殺のような形で権力に飢えた数十人の現地オリガルヒが隣人を撃つと想像するのは困難ではない。二ダースの核武装した小国家の予期せぬ影響が何か誰か考えているだろうか? 現代ロシアに取って代わるものは何だろう? それは皆様のご想像に任せよう。明らかな問題はアメリカ合衆国と同盟諸国が誰も探検したことがないブラックホールへとワープスピードで飛んでいることだ。しかも我々全員一緒に乗っているのだ。
フィル・バトラーは政策研究者、評論家、政治学者で東ヨーロッパ専門家で「Putin’s Praetorians(プーチンの近衛兵)」という最近のベストセラーや他の本の著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2023/05/08/a-peek-into-the-gaping-black-hole-of-u-s-policy-under-biden/
----------
大統領時代に攻撃艇的質問ばかりするので閉め出したCNNジャーナリストが司会するCNN番組に、あえて出演したトランプ。見事な対応。「私が大統領なら24時間で戦争をとめる。」下記youtube冒頭。
Trump vs CNN. Zaluzhny skips NATO meeting. Poland renames Kaliningrad. Klitschko shows Kinzhal. 44:33
スコット・リッター 今回はエカテリンブルクから 大いにロシア滞在を楽しんでいる。ロシアでも有名で、すぐ人がよってくるのも身辺保護をしてくれている理由。
原爆を二発落とした国にまるめこまれて戦争を始めてはいけないとGALLOWAYは忠告する。15:30から
GEORGE GALLOWAY ON UKRAINE, EUROPE'S DEMISE, AND RUSSIA AND CHINA'S RISE!
せっかくの助言も傀儡の耳に聞こえない。まるで死に神。
Sputnik日本版
デモクラシータイムス
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
読み人知らず「先の統一地方選挙から分かった事、それは地方地域住民の「改革」への要求の切実さ。前面は「身を切る改革」。府と市、議員定員、俸給削減、市職員の定員と俸給の削減等々、基本が「公営」の「民営」化、国から民間への転換、「新自由主義改革」そのもの
スコット・リッター氏は、Twitterアカウントを止められているため、偽善者マスクと怒っている。
日刊IWJガイド
「FOXを降板させられたタッカー・カールソン氏がツイッターで復活!?『ツイッターは言論の自由を認める最後のプラットフォーム』と表明!」
はじめに~『FOXニュース』から排除されたタッカー・カールソン氏が、ツイッターで復活!? カールソン氏「今現在、言論の自由を認めるプラットフォームは、あまり残っていません。世界で最後に残っている大きなもの、唯一のものは、私たちが今いるツイッターです」と表明! イーロン・マスク氏はカールソン氏とは一切契約関係はないとツイート! ウクライナ紛争に対する批判的な言説も、恐れず伝えてきたカールソン氏、「スターリンク」をウクライナ軍に提供する一方、停戦を求めるマスク氏、米大統領選挙に出馬表明したケネディ氏、米国内でウクライナ紛争とメディアコントロールへの疑問の声が湧き上がりはじめた!
« 世界報道自由デーにアメリカの対アサンジ偽善で問い詰められた複数のアメリカ当局者 | トップページ | バフムートの戦いの終わり? »
「アメリカ」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 「テロ組織」は、アメリカがそう呼びたいもののこと(2024.12.16)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- イスラエルはシリア問題に介入するつもりはないというネタニヤフ首相の滑稽な主張(2024.12.17)
- 13年間にわたるアメリカによる国家テロ後のシリア…一体何が期待できよう?(2024.12.14)
「シェール・ガス・石油」カテゴリの記事
- ウクライナ紛争や国内政治崩壊の損失によりドイツは崩壊しつつある(2024.11.23)
- ドイツはロシア燃料を使用していたがゆえにヨーロッパの原動力だった(2024.10.24)
- ドイツがアメリカのポチでいることの破滅的代償を示す選挙混乱とフォルクスワーゲンの苦境(2024.09.10)
- 二つのパイプライン物語…ヨーロッパが失い、中国が得たロシアの戦略的ガス(2024.08.27)
- ノルドストリーム2爆破とゼレンスキーの「三人の男と一隻の船」話(2024.08.21)
「バイデン政権」カテゴリの記事
- シリア:全てが、金、金、金の問題(2024.12.18)
- アメイジング・グレース(素晴らしき神の恩寵)!バイデンの許しの奇跡(2024.12.10)
- バイデンの哀れなATACMS挑発をプーチン大統領が無視すべき理由(2024.11.21)
- バイデンは停戦に「失敗した」のではなく、停戦を試みなかったのだ(2024.09.25)
« 世界報道自由デーにアメリカの対アサンジ偽善で問い詰められた複数のアメリカ当局者 | トップページ | バフムートの戦いの終わり? »
コメント