福島第一原発放射能汚染水放出問題と日本の夏季オリンピック
2021年4月18日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook
日本の閣議は、緊急事態にある福島第一原子力発電所の敷地に溜めた膨大な水を放出する公式決定した。現在、福島第一原発の敷地に、浄化しても分離できない放射性トリチウム同位元素で依然汚染されている125万トン以上の水を溜めたタンクが並んでいる。トリチウムを除去した方が良いのだが、その作業は信じられないほど困難で、非常に高価だ。部分的に、日本はこの技術を実験したが、決してそれを実行しなかった。
日本当局によると、福島第一原発から水を放出する地域の年間放射能レベルは、海水で1.3マイクロシーベルト以下、大気中で0.62マイクロシーベルトで、「最大許容濃度」という概念にあてはまる。
だが福島第一原子力発電所事故による放射性物質の環境への浸透は、この水の放出なしで既に否定的結果が発見されている。2018年、カリフォルニアのアメリカ・ワインが福島原子力発電所事故の放射性粒子を含んでいることが判明した。少量のヨードとセシウム放射性同位元素が韓国や日本の沖で捕獲された魚や栽培された野菜で検出されている。
専門家によれば、緊急事態にある福島第一原子力発電所の放射能汚染水は、部分的に浄化されていとは言え、魚を食べた結果として、人体に入れば、外部被ばくより何倍も有害な追加の内部被ばくを起こす。日本当局の論理は明らかに誤っており、あらゆる原子力産業企業にとって、よくあるもので、太平洋が巨大で、薄められれば、タンクに溜められている放射性核種の濃度は下がるというのだ。だが人間にとって、環境のこのような放射性核種は、食物連鎖に入り、大きな脅威となり、究極的に、人体で内部被ばくを起こす。それは様々な病気の原因になる。日本が海中に放射能汚染水を放出した後、日本のみならず、地球での生活は更に一層危険になるのだ。そもそも、この国の国民は、既に米空軍による広島と長崎の原爆攻撃と、その後、国と環境の放射能汚染の結果苦しんだのだから、これを知っているはずだ。
海流の構造によれば、原子力発電所の地域での放射能汚染水放出後、魚を獲り、国際食料品市場にそれを供給する日本の漁師のみならず、漁業水域は確実に影響を受ける。
福島県住民、特に全国漁業協同組合連合会は、国当局の「安心させる声明」にもかかわらず、この汚染水放出に反対している。この問題に関する深い懸念を、日本の近隣諸国、特に中国、韓国、ロシアが表明した。
4月12日、具潤哲(ク・ユンチョル)国務調整室長は記者会見で特にこう述べた。
「福島第一原子力発電所汚染水を海に放出する決定は周辺諸国の安全や海の環境を危険にさらすのみならず、近隣諸国として我が国が当然認められるべき議論や承認なしの日本による一方的決定だ。我々の議会、市民社会、地方自治体と地方議会は全て汚染水放出決定に反対だ。日本国内でさえ、漁師のみならず、専門家や団体も強く反対している。」
韓国は長い間、福島近隣八県の海産物輸入を禁止しており、一般に全海産物の徹底的検査を行っていると彼は述べた。ここ数カ月で、放射性産品輸入の検証手順と追跡対策が強化され、今韓国は更に、全ての輸入海産物産地を監視、放射能レベルを検査する予定だ。具潤哲室長は韓国は、IAEAやWTOなどの国際組織と、この問題に関する調整を強化する計画だと強調した。
福島第一原発処理水を放出する日本の決定に対する中国当局の極めて否定的な反応は4月12日、中国外務省により文書で表明された。「このような行為は極端な無責任の証明で、健康への重大な被害を起こし、近隣諸国の住民の安全を脅かす。」 中国外務省が強調しているように、日本による、このような一方的行動は「太平洋水域の放射能汚染をもたらし、遺伝性疾患を招きかねない」。
日本のメディアは長い間、日本でのオリンピック大会開始前にさえ、これをする時間を得るため、福島第一原子力発電所の処理水の迅速な放出に関する決定を準備する日本当局について報じてきた。
この点、福島第一原子力発電所事故後の状況は日本政府にコントロールされていると保証した、当時の(安倍晋三)首相が日本でのオリンピック大会を開催し、2021年夏まで、延期する決断をしたことを思い出すのは適切だ。現状で、放射能汚染水を太平洋に放出しなければならないと述べるのは、少なくとも東京オリンピックのため訪日する選手の健康について論争を招くから、現在極めてまずい選択だろう。例えば、サーファーは福島の南250キロ、太平洋の釣ヶ崎海岸でメダルを目指して競争する計画で、他の一部の競技は、原子力発電所から60キロ以内で行う想定だ。
東京オリンピックは、周知の通り、コロナウイルス流行のため2020年夏から2021年に延期された。競技は2021年7月23日から8月8日まで日本で開催される計画だ。
だが、東京オリンピック開催について、最近、国民の世論調査を行った「共同」によれば、大半の日本国民が2021年の実施に反対だ。調査された日本人の39%が大会中止に賛成で、約33%がオリンピック延期に賛成だった。世界中からの何千人もの選手が2021年夏日本の首都に来る事に賛成なのは、日本国民の、わずか24.5%だ。
この状態で、日本政府は、国民の雰囲気にバランスをとり、オリンピック大会を中止する客観的な理由を見いだし、「面目を失わずに」それを報じるため、数カ月間機会を探っていた。最終的に、信頼できる筋を引用したイギリス「タイムズ」報道によると、日本政府は、2032年にオリンピックを開催する権利を獲得する狙いで、「Covid-19流行のため」東京でのオリンピック夏季大会中止を決定したいと暗黙のうちに考えている。
オリンピック大会のホストを務めるのを拒否する決定がされつつある以上、日本政府代表は福島第一原子力発電所貯蔵タンクから水を放出する決定を長時間待たなかったのだ。
だが、もう一つ問題が残っている。これら二つの決定後、日本人自身や東京オリンピック大会選手や国際社会が、現在の日本政府をどのように記憶するかだ。
ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
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自民党にも、まともな人がいる?
福島第1原発の処理水は長期保管を
山本拓・自民党総合エネルギー戦略調査会・会長代理
昨日の東京新聞朝刊「本音のコラム」斎藤美奈子氏 台湾有事前夜 傀儡首相の愚劣外交を批判しておられる。
反対する官僚は「異動してもらう」と言うのが持論の政治家は、宗主国支配層に、『反対する首相は「異動してもらう」と言われないよう、無茶な要求を丸飲み。
大本営広報部は悲惨な訪米結果のヨタ記事しか書かないが、訪米目的は下記インタビューでわかる。狂気。
このインタビュー内容は今日の日刊IWJガイドの記事と、ぴったり重なる。一部引用させていただこう。
ナチスの聖火リレーをやめない自民党と公明党の菅政権は、その裏で、あろうことかナチスドイツのヒトラーの独裁体制を樹立した授権法(全権委任法)に匹敵する緊急事態条項を含んだ、改憲案を容易に成立させられるようにする国民投票法の改悪を可決しようとしています! しかもコロナ禍で国民が苦しんでいるただ中においてです。
6年前を思い起こしてください。2015年のことです。
米国が戦争を起こすと、戦争放棄の平和憲法9条があろうと、それを飛び越えて、日本が自動参戦しなくてはならなくなる集団的自衛権行使容認を、安倍政権は、解釈改憲で認めてしまいました。その戦争をスムーズに遂行する関連法制である安保法制を、国民と野党の反対があったのに、強行裁決したのは、2015年です。
こんな無理強いが行われたのは、すべては台頭する中国に対して米国がこれまで通りの覇権を維持していくためであり、集団的自衛権行使容認も安保法制も、日本を「対中戦線」動員するための仕掛けにほかなりません。
米国は中国との正面衝突は避けて、自国の本土に中国のミサイルが飛来して米国人犠牲者が出る事態を回避するために、日本を筆頭とした同盟諸国を動員して、東アジアで、局地的な代理戦争を行い、日本を中国への「打撃力」として使うのが、その当時からの思惑でした。こうした米国の思惑に沿って、のちのち、日本から敵基地攻撃論まででてくるようになりました。自分から喜んで「鉄砲玉」になろうとするのですから、もはや骨がらみの「自発的隷従」であるといっていいだろうと思われます。
福島第一原発事故についての、待望の(朝日新聞出版)『いないことにされる私たち』を読み終えた。講談社現代新書『地図から消される街 3.11後の言ってはいけない真実』の著者青木美希氏によるもの。第一章は「消される避難者」。第二章は「少年は死を選んだ」
チェルノブイリ原発事故以降のソ連政府の対応とは対極の日本の対応。組織的、体系的に原発事故をなかったことにする「政官業学メディア」の五角形が作る原子村が今も原発を推進中。力作を書いていただけるのは有り難いが、折角の本が売れなければ効果はない。
原発といえば、公費での自己PRに余念がない都知事批判をした芸人、瞬間感心したが、今度はトリチウム放出反対論を批判しているのにあきれる。掲載されているのは朝日新聞のAERAdot.。原発事故対策の問題点を的確に指摘する本を出版したり、原発推進記事を載せたり。忙しいことだ。「政官業学メディア」は「政官業学タレント・メディア」六角形に進化している?
ところで、4月19日のThe Saker記事「重要な声明」がある。
アメリカ財務省新声明が、ロシア諜報機関に支配されるニセ情報メディアを標的にすると明言し、その中で、下記メディアが該当すると書いている。
- SouthFront
- NewsFront
- The Strategic Culture Foundation
- InfoRos
The Saker氏は、個人的に、こうしたサイトには全く問題ないと考えているが、外国人居住者としては、この声明に従うしかないという苦渋の決断をお詫びするという。今後上記サイト記事は掲載しないという。当ブログの多くの翻訳記事が、検索エンジンによって、しっかり隠蔽されているのは、こうした公式指示によるものだろう。
IT media NEWSに、これにあたる記事がある。各社のロゴ画像もある。
逆に、アメリカ財務省が「ロシア諜報機関に支配されるニセ情報メディア」と指定していないものは「アメリカ諜報機関に支配される情報メディア」だと想像したくなる。欧米メディアの人々がアメリカの走狗だと、ドイツ人ジャーナリストの故ウルフコッテ氏が著書で書いている。残念ながら、ドイツ語版のみ、英語版は手に入らない。
2014年10月24日に下記翻訳記事を掲載した。もちろん『検索エンジン』には表示されない。
残念ながら、彼は2017年に亡くなっている。
ヨーロッパの勇敢なジャーナリスト逝く 2017年1月17日
“ドイツ政治家はアメリカ傀儡”ドイツ人ジャーナリストはアメリカ支持記事を書くよう強いられている 2014年11月10日
The Saker氏と違って、「れっきとした属国民」として、アメリカ入国予定皆無なので入国拒否されてかまわない。属国ゆえに、Strategic Culture Foundation記事翻訳さえ、間もなく禁止されても不思議はない。ご興味ある記事をお読みいただける期間、もはや、いくばくもないかも知れない。今のうちに、お読みいただいたほうが良いかも。
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