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映画「レッド・ロケット」…なんじゃ?!こいつ!!


映画「レッド・ロケット」-1
原題:Red Rocket 製作年:2022年
製作国:アメリカ 所英時間:130分 R18+



公開時マイナー上映の為観落とした作品.このたびようやく2番館
へやってきた.柏キネマ旬報シアターで本年度累積117本目の観賞.
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「タンジェリン」「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」で支持を集めた
米インディペンデント界の俊英ショーン・ベイカー監督が、口先だけの
元ポルノスターの男を主人公に、社会の片隅で生きる人々を鮮やか
に描いたヒューマンドラマ.

2016年のアメリカ、テキサス.元ポルノスターでいまは落ちぶれて無一文
のマイキーは、故郷である同地に舞い戻ってくる.そこに暮らす別居中の
妻レクシーと義母リルに嫌われながらも、なんとか彼女たちの家に
転がり込んだが、長らく留守にしていた故郷に仕事はなく、昔のつてで
マリファナを売りながら生計を立てている.

そんなある日、ドーナツ店で働くひとりの少女との出会いをきっかけに、
マイキーは再起を夢みるようになるのだが…….

実際に過去にポルノ出演経験があり、その映像が流出したことで一時
表舞台から姿を消していたこともあるサイモン・レックスがマイキー役を演じ、
インディペンデント・スピリット・アワードやロサンゼルス批評家協会賞などで
主演男優賞を受賞.
共演は、主に舞台で活躍してきたブルー・エルロッドと、ベイカー監督が
映画館でスカウトした新人スザンナ・サン.2021年・第74回カンヌ国際
映画祭コンペティション部門出品.

以上は《映画.COM》から転載.
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久々のR18+作品の鑑賞(笑).元ポルノスターという肩書の男をメインに、
テキサスの工業地帯のコミュニティ内に波紋が広がっていく様を、
雲ひとつない晴天下で描いていく.

主人公マイキー:サイモン・レックスは口が達者で、彼が手を合わせて
必死にお願いすれば、たいていの人はそのポーズに根負けして、
渋々ながら承諾してしまうキャラクターの持ち主.

この主人公がげすな男であることは間違いない.確かに愛嬌はあるが、
自己愛だけが強くて決して思いやりを持つことのないエゴの塊.
しかしやたらと生存能力にだけは長けている.


映画「レッド・ロケット」-3


それでもロサンゼルスではやっていけなくなったらしく、地元に戻って
どん底の状態から裸一貫やり直すつもりであったらしい.しかし、主人公
のマイキーがやっているのは徹頭徹尾、懐柔と搾取であり、周りも
わかっているはずなのに、なかなか切り捨てることができない.

くしくも本作の舞台は2016年、作中でもトランプとヒラリーが大統領選で
火花を散らしていた頃だ.本作が撮られたテキサスは共和党指示の中心地、
この作品にでてくる奴らや大きな精油所に勤める労働者がトランプ支持の
大票田なのだ.

そんな環境も含め、自己中、エゴ、搾取…主人公はどこかトランプを連想
させて極めて私には不愉快な存在としか映らない.トランプも搾取が身上で
あり、そのくせ弱いものの味方のようにふるまって大統領にまで上り詰めた.

本作の主人公マイキーにそこまでの器はない.だからこいつのペテンは
ひと月ほどで破綻する.妻や義母、ヤクの顧客達から身ぐるみ剥がされてしまう.

マイキーのクソっぷりをわかりつつも、こいつを利用して成り上がろうと目論む
ドーナッツ屋の女子高生・ストロベリー:スザンナ・サン というキャラクターは、
或る意味別種の搾取を象徴するような非常に興味深いキャラクターだ.


映画「レッド・ロケット」-4


ポップでキッチュで、そして淫乱なのだ.とんでもない17歳なのだけど、
テキサスにはこの手合いがうようよいるような気がする(笑).

身ぐるみ剥がされたマイキーがたどり着いたストロベリーの自宅で、
待ち受けていたストロベリーの天使のような姿態には唖然、痛快な
ラストシーンだった.

主人公は他者をどれだけ巻き添いにしようとも、人生の主軸を自分自身に
持ってこないと生きられない人なのだろう.どこかトランプ大統領にも似た
お騒がせ男の人生模様に、呆れきってしまう作品…嫌いだ.


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