- MICHAEL KENNA A45 Year Odyssey 1973-2018 -
会社のCSR推進部門からもらったタダ券で土曜に鑑賞.
会期終了間際に飛び込んだ.
恵比寿の「東京都写真美術館」にて.
---------------以下は同館HPから転載--------------
世界屈指の風景写真家として知られるマイケル・ケンナの日本初の回顧展を
開催いたします.
マイケル・ケンナは、これまでに開催された個展が約450回、出版された
ハイクオリティな写真集は約70タイトルにものぼる全世界で圧倒的な人気を
誇るカリスマ的存在です.
崇高な美意識と独特のコンポジットの中で、移ろう自然の神秘と多様な文化
への憧憬を、時には長時間露光を駆使して一葉の写真に焼きつけていく芸術性
が、世界中で高く評価され、多くの写真ファンのみならずプロの写真家たちを
も魅了し続けています.
また、静謐で叙情を湛えたケンナのプリント作品は、ロンドンのビクトリア&
アルバート美術館やサンフランシスコ近代美術館をはじめ、世界各国の
著名美術館に収蔵され、その絶対的な価値を確立しているのです.
本展では、45年に渡るケンナのキャリアの中から代表作を選りすぐって展示.
長年にわたり毎年のように訪れた彼の愛する日本の写真も数多く含む
展覧会となります.
また、ケンナは、美しい風景描写のみならず、原発や廃れゆく工場地帯など
の数々の社会的なテーマにも取り組んでおり、1988年からは約12年の歳月を
かけてナチスドイツの強制収容所28ケ所の撮影を敢行、300点のプリントと
ネガをフランス政府に寄贈し芸術文化シュヴァリエ章を受章しています.
今回、特別展示として、この連作「Impossible to Forget」を日本で初めて
展覧するとともに、被写体に「人物」を選んだまったく新たな試みとして
この10年にわたり日本の古い家屋で撮影された未発表のヌード作品も、
本年11月のパリでの世界初公開に続き日本初公開.
すべて作家自身が暗室でプリントした約165点のオリジナルプリントにより
構成される本展は、孤高の写真家マイケル・ケンナの芸術性と社会的側面を
紹介する作家活動45年の集大成に相応しい画期的レトロスペクティブと
なります.
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最近は、写真撮影可能な展覧会が増えてきて実に嬉しい.
熱心に、スマホで全作品を撮っている女性も….
2部屋だけ撮影禁止があり、1つは強制収容所を扱った「Impossible to Forget」と
日本でのヌード撮影のもの.
全部モノクロ.アナログ写真.自ら現像・焼き付けするそう.
初期は35mmなれど、途中から大判に切り替わる.
ハッセルブラッドが主なのかな.
長時間露光の作品は、圧倒的な迫力.
露光の時間が長い分だけ、その時間が凝縮されている感がある.
モノクロの力、アナログの強みを思い知らされた.
これは素晴らしい….
《Plane and Sugar Loaf Moubtain》Rio de Janeiro,Brazil.2006
《Mont St.Michel》Normandy,France.1991
撮影禁止だった2つのコーナーについて.
強制収容所を扱った「Impossible to Forget」は欧州各地に残されたナチの強制収容所の
撮り溜めたショットの展示.アウシュビッツはもちろんのこと、ドイツ、フランス、オランダ
に保存されている施設の最近(1988〜2000年)のありさまが描いてある.
その使用を止められてから50年以上経った時点での撮影なのだけど、
その悲惨さ、惨さがひたひたと観るものに迫ってくる.
人も写らず、もう遺跡化してしまっているのだけど、そこに在った非人道の確実な記録.
大事な記録だと思う.
もう一つの、日本を舞台にした女性のヌード・ショットたち.
顔はほとんど写されず、ただその肉体の美を突き詰めて、追い込んだショットばかり.
血の通った肉体というよりも、彫像の写真の印象がある.
題名はモデルの名のローマ字表記だけ.実に数多くのモデルを使ったのがよくわかる.
中には、見事な半身の刺青姿のモデルも….これは印象的だったなぁ.
最後に、長時間露光の為モデルに静止の努力を求めた謝辞が記載されていた.
作者の人柄がかいま見えた.
まだ現役、こんな写真家の存在が驚異的.
こんなに興奮した展覧会は久しぶりっ!
大収穫だった.
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