製作年度:2012年 製作国:日本 上映時間:95分
都心の小屋は満杯なので、チバラキのシネコンを襲撃.
父親との夕食前に観たのは本年136本目.
社会現象を巻き起こした庵野秀明監督によるオリジナルTVシリーズを
リビルド(再構築)し、新劇場版として生まれ変わった全4部作の第3弾
となるSFアクション・アニメ.
制作陣は前2作同様、総監督の庵野秀明や、鶴巻和哉、摩砂雪らの面々がそろう.
声優は緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、石田彰、立木文彦、….
前作「2.0破」でシンジが使徒から綾波レイを助け出してから14年後の世界.
覚醒したシンジを待っていたものは、サード・インパクトによって徹底的に破戒
された世界と、リモコン操作により爆破できるチョーカーを首に巻かれるという、
破滅的な状況だった.
そこで、シンジは二度とエヴァに乗機してはならぬと一方的に宣告されてしまう.
そこへエヴァ9号機に乗ったレイに救いの手をのべられたシンジの取った行動は….
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徹底的に暗いストーリー展開、鬱々とした雰囲気に充ち満ちている.
冒頭にシンジは「エヴァに乗ってはならぬ」と絶望的な宣言を受ける.
レイを救うための決死の行為が引き金となって、世界が崩壊寸前に
陥ったことへの代償だ.英雄的行為が仇となり、疎外され、贖罪を背負った
苦悩が重苦しく全編を覆う.
唯一の慰めはエヴァ13号機に同乗することとなる渚カヲルの存在.
なにやら、男同士の慰め合いは不気味な印象もぬぐえないが、
シンジはカヲルとのピアノの連弾で癒される.
が、13号機に乗ったシンジはまたも暴走し、カヲルを死に追いやってしまう….
シンジの行動に不可解な部分が多く、説明不足な気がしてならない.
それに反して、2号機のアスカや8号機のマリは明確なキャラクターを示す.
14年経っても、変わらない自己中なキャラと発言は進歩を感じさせない.
劇場版ならではの迫力ある映像表現とはいえ、背景等はCGによる
手抜き感が見えて寂しい限り.前作の「破」は細かな手仕事の感が残っていた.
最後のシーン、シンジとレイとアスカが三人で廃墟を歩くシーンで
流れる宇多田ヒカルの歌「桜流し」が妙に切ない….
全4作中の3作目、起承転結とするならば、本作は“転”の位置づけだろうか.
あまりにも大きな展開すぎる気がしてならない.次作“結”はどう収めるのだろう?
こうなったら、つきあいだ.第4作も観てみよう….
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エヴァ初号機の2m大モデルが
11/23から新宿を皮切りに巡回中らしい.
観てみたい….
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映画「巨神兵東京に現わる 劇場版」も同時上映.
製作年度:2012年 製作国:日本 上映時間10分7秒
「巨神兵東京に現わる」は、この夏、東京都現代美術館で開催された展覧会
『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』の展示映像と
して制作された特撮短編映画.
製作プロデューサーはスタジオジブリ・鈴木敏夫と庵野秀明.
監督は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズにも参加している樋口真嗣.
宮崎駿監督の漫画および長編アニメーション映画『風の谷のナウシカ』に
登場する“巨神兵”を主役に、ミニチュア特撮の魅力と面白さを短い映像の中に
凝縮し、その総決算と最新技術によるさらなる可能性を追求した作品.
本作『巨神兵東京に現わる 劇場版』は、ジブリの鈴木敏夫から
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』との同時上映が提案され、
庵野秀明が応えるかたちで実現.
「劇場版」として映像・音声ともに新たな調整を加えた、の劇場用映画.
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声優の林原めぐみのモノローグだけで終わる短編.
ある日唐突に、巨神兵がポッカリと東京上空に浮かんでくる.
それから始まる東京を遅う悲劇と惨劇が描かれる.
ミニチュア特撮の面白さが良く表現された秀作.
60年代の東宝怪獣映画の“ノリ”がある.
おっと、この「エヴァ3.0 Q」は東映配給だったけどね(笑).
東京の俯瞰ミニチュアやビルの階段からのぞき込む人形などが楽しい出来.
これらがみんな吹っ飛ばされる.
巨神兵の顔の造作などはモデリングとCGの合成であろう.
とっても、好い出来で魅力的な顔付きだ.
「エヴァ3.0 Q」の前に上映されたが、後の方が良かったんじゃないだろうか.
エヴァの後味の悪さを一掃する爽快感をもっていると思う.
ジブリの裏技というか、スピンオフ作品として貴重だ.
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