製作年度:2014年 製作国:日本 上映時間:103分
“邦画を1100円で楽しむ友の会”で火曜の夜に観たのは久々のジブリもの.
本年88本目の鑑賞.
「借りぐらしのアリエッティ」で長編デビューを飾った米林宏昌監督が、
英国の名作児童文学を舞台を北海道に置き換えて映画化したファンタジー.
心を閉ざした多感な12歳の少女が、謎めいた同い年の少女と過ごす
ひと夏の不思議な思い出と心の成長を瑞々しく詩情あふれる筆致で綴る.
また、これまでスタジオジブリを牽引してきた二枚看板、高畑勲、宮崎駿両監督が
関わらない初めてのジブリ長編映画としても話題に.
声の出演はWヒロインに高月彩良と有村架純、さらに松嶋菜々子、黒木瞳ら.
北海道の札幌に暮らす中学1年生の杏奈.辛い生い立ちから心を閉ざし、
誰とも打ち解けることなく孤独な日々を送っていた.そんな中、持病の喘息が悪化し、
転地療養のために海辺の村でひと夏を過ごすことに.
そこで杏奈は、入江に建つ誰も住んでいない古い屋敷を目にする.
地元の人が湿っ地(しめっち)屋敷と呼ぶその建物に、
なぜか懐かしさを覚え惹かれていく杏奈.
その屋敷は杏奈の夢の中にも現われるようになり、必ずそこには金髪の少女の姿があった.
ところがある晩、湿っ地屋敷へとやって来た杏奈の前に、夢で見た金髪の少女が現われる.
少女はマーニーと名乗り、“わたしたちのことは2人だけの秘密よ”と語る.
そんなマーニーにだけは心を開き、いつしかかけがえのない友情を
育んでいく杏奈だったが….
以上は<allcinema>から転載.
--------------------------------------
ジブリ作品は一応全部おさえている. ファンと言われてもしょうがないかも.
さて、高畑勲、宮崎駿両監督臭を一切廃した作品.鈴木敏夫は総製作で名は
連ねていたが、プロデューサーは西村義明と若者だ.
さすがジブリの優等生米林宏昌監督らしい、“ジブリ風”をきちんと表現している.
画調の細やかさなどは、やはり監督の差が出るものでややあっさり気味.
クレジットで見る画像スタッフの少なさも驚異的.普通外注先に出しまくりなのに.
予告では金髪の女の子が出てくる、ジブリの新しい作品としかとらえてなかった.
原作を読んでいるわけもない.最初は主人公杏奈、12歳の苦悩が描かれる.
居心地が悪く、その精神状態の不健全さはあの世代に良くありがちで、
覚えがある…共感も少し芽生えたりも、する.
夢の中?かと思えるようなマーニーの登場で様相が変わる.
マーニーとの出会いの、楽しさと喜びが美しく輝いてみえるのだが、
その一方でこの不思議な環境に、また不安になったりもする.
マーニーのふわふわな髪の毛、楽しそうな声、杏奈の長い手足の
ひとつひとつの動きが印象的.これは予告でも見られたシーン.
これは友情なのか、夢なのか、と少しずつひっかかるエピソードが、
ラストに向けて紐解かれていく…、そして意外なドラマの結末….
最初のジメジメした感情が、途中快楽と不安の両天秤になり、
軽い破綻へ向かうかと思ったら、最後に…救われた.
上手い脚本だと感じた.
大人になる途中過程の多感な気持ちの表現、その成長譚として
好く出来たアニメ作品.やはり大人向け…だろうか?
.