制作年:2017年 制作国:アメリカ/ベルギー/イギリス/中国 上映時間:106分
火曜の夜、柏のキネマ旬報シネマで気になる作品を本年累積173本目に鑑賞.
ジョー・ケリーとケン・ニイムラによる感動グラフィック・ノベルをクリス・コロンバスの
プロデュースで実写映画化したファンタジー・ドラマ.
風変わりな思春期の少女を主人公に、人知れず巨人と戦い続ける彼女の心の痛み
と再生をイマジネーション溢れるビジュアルとともに描き出す.
主演は「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」「死霊館 エンフィールド事件」の
マディソン・ウルフ、共演にゾーイ・サルダナ、イモージェン・プーツ、シドニー・ウェイド.
監督は「ヘリウム」で第86回アカデミー賞短実写編賞を受賞し、本作が長編デビューと
なるデンマーク出身のアンダース・ウォルター.
いつも頭にウサギの耳を付けている風変わりな少女バーバラ.彼女は誰にも見えない
巨人から町を守るために孤独な戦いを続けていた.しかし、そんなバーバラの必死の
奮闘は、周囲には単なる奇行にしか見えず、姉のカレンにさえ理解してもらえない.
次第に孤立を深めるバーバラだったが、新しく赴任してきたスクールカウンセラーの
モル先生にも決して心を開こうとしない.そんな中、巨人の話を真剣に聞いてくれた
転校生の少女ソフィアとは少しずつ距離が縮まっていくバーバラだったが….
以上は<allcinema>から転載.
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制作国に中国の名が入るのは資本が流入されているから.
こんな作品にまで中華資本に侵されて?いるんだね.
とどのつまりは女性4人が主となる物語.主人公バーバラにマディソン・ウルフ.
姉カレン:イモージェン・プーツ、心理療法教師モル:ゾーイ・サルダナ.そして
唯一無二の友人にソフィア:シドニー・ウェイド.
心強い味方がいるわけでも、無敵のパワーを持っているわけでもない.
なのになぜか、バーバラは彼女にしか見えない“すべてを破壊する”巨人に立ち向かう.
周囲の誰もが自分の話に耳を傾けてくれない状況で、一人ぼっちになってもくじけず、
みんなを人知れず助けようとするバーバラのいたいけなでひたむきな姿は感動的でもある.
自分にしか見えない巨人の襲来を防ぐために日々奮闘するバーバラを、同級生は
変人扱いする.みんなのために努力しているのに、イジメの対象にまでなってしまう.
バーバラが直面する苦しい“試練”が、同情を誘う.
仕事とバーバラ、その弟の面倒をみる為に疲弊している姉、なんとかバーバラの心の中を
覗きこもうとする心療教師のモル先生、そしてイギリスから転校してきたばかりでバーバラを
理解しようとする友人ソフィア.それぞれに悩みながらも光を求めて模索する有様は
苦悶の旅でもある.
映像が美しくも有り、恐怖でもある.広大な空や海、そしてうっそうとした森の
イマジネーションあふれる壮大で美しい映像は素敵だ.
一方で、森の陰から現われる巨人の造詣の不気味さは心をおのかさせる.
バーバラが肌身離さないハート型のポシェットやデコラティブなノート、ファンタジックな
秘密基地、アンティークな望遠鏡などのアイテムはキッチュで可愛らしい.
次々と襲い掛かる苦難に深く傷つき、ボロボロになりながらも、巨人に立ち向かおうと
するバーバラ.彼女には、どうしても巨人との戦いを止められない理由があった.
巨人をめぐるドラマティックな“謎”が明かされるラストで物語は本当の姿をさらし出す.
劇中にちりばめられた謎の数々が明かされ、ピュアで勇敢な等身大の少女に共感
してしまう.そして最後に迎える哀しい出来事.
一風変わった題材だけど、ある面の少女の心情を良く表した佳作.
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