ルノアールのカレンダー(2023年06月)
Pierre-Auguste Renoir《Still Life with Flowers snd Prickly Pears》
1885 Metropolitan Museum NY
ルノワールのカレンダー6月は《花と梨との静物》1885年.
邦題には“梨”とあるが、これは間違い.
Prickly Pearsはウチワサボテンの実のことである.
画を見ても特徴的なトゲトゲが描かれている.
地中海沿岸やスペイン、イタリアで採れる果実.
パパイヤみたいな味がするそう.
この実がフランスに出回るのは8〜11月.
画に描かれている花種も秋の花っぽいと思う.
カレンダーは正方形に切り取られている.
原画はこんな調子.
特徴的な象の頭のハンドルが付いた花瓶と
木製のテーブルまたはドレッサーが描かれている.
この年、ルノワールは44歳.パトロンもついて、
金銭的にも余裕があり、円熟の頃と思う.
この数年前にイタリアを含む長期旅行にも
出かけ、途中南仏レタックに住んでいた
セザンヌを訪ね逗留していたそう.
この時期は印象派で名を成した後で、
古典派への傾倒が続いていた時期.
本作品も、一見印象派のようだが、
細かい部分では古典派らしき表現も
見られる.
だいたいが、秋の花束とウチワサボテン
なんてセザンヌ風のモチーフと思うのだが….
この年の3月、暮らしていたアリーヌ・シャリゴ
との間に長男ピエールが誕生している.
その6月には、妻子を連れたセザンヌが
ルノワール宅を訪ねて来ている.
当時、セザンヌは裕福な実家のメイド
との関係に悩んでいた…このあたりは
映画「セザンヌと過ごした時間」(2016)
で学びました(笑).
セザンヌは裕福な父の仕送りを絶やさぬ為、
妻子の存在を隠したり、しょうもないインチキ
野郎なのだけど、ルノワールは転がり込んだ
セザンヌを優しくもてなしたそう.
そんな時期に描かれた本作、セザンヌの影響
が見て摂れる??
.
コメント