原題:LEARNING TO DRIVE
制作年:2014年 制作国:アメリカ 上映時間:90分
土曜は朝からチバラキの循環器へ行き定期検診.なにもしていないのに
数値が良くなっていた♪ こんなこともあるんだねぇ…(嬉).
その後、取手の歯科医へ行って型取り、次週に被せモノが上がって来るかな.
午後は父の介護へ.だいたい認知症になると自己チューというか、他人の事は
まるで気にしなくなるのが普通と思うが、父はまだ他人…というか息子の事を気にする、
おもんばかることが出来る.ありがたい気持ちだ.
デイサービスで床屋をしてもらい、頭がすっきりしていた.
落ちついた気持ちで、高速渋滞回避の為におおたかの森シネコンで映画を鑑賞.
本年101本目は車の運転と人生の機微を描いた作品.
“ニューヨーカー”誌に掲載されたエッセイを基に、離婚をきっかけに車の運転教習を
受けるハメになった中年女性が、偶然出会ったインド人の教官との交流を通じて
自らの人生を見つめ直していく姿を描いたハート フル・コメディ.
主演はパトリシア・クラークソンとベン・キングズレー、サリタ・チョウドリー.
監督は「死ぬまでにしたい10のこと」「エレジー」のイザベル・コイシェ.
マンハッタンに暮らす売れっ子書評家ウェンディ.順風満帆な人生を歩んでいた
彼女だったが、ある日突然、21年連れ添った夫との結婚生活が破綻してしま う.
すると、これまで夫に運転を任せきりで免許も持っていないウェンディは、離れて
暮らす娘に会いに行くこともできないことに気づく.そこで、タクシー運転手をしながら
副業で自動車教習の教官もしているインド人ダルワーンの個人レッスンを受けることに.
しかし、夫への怒りと離婚のショックでなかなか運転に集中できないウェンディ.
そんな彼女に、ダルワーンは人生にも通じる含蓄あふれる言葉で優しくアドバイスしていく.
やがて、敬虔なシーク教徒であるダルワー ンを通して、これまで知らなかった
異文化にも触れ、少しずつ自分の気持ちにも変化が生まれていくウェンディだったが….
以上は<allcinema>から転載.
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登場人物は少なく、ヒロインのウェンディ;パトリシア・クラークソンと
ダルワーン;ベン・キングズレー二人の人生の転機を描く.
ダルワーンが二つの仕事(教習所の教師とタクシー・ドライバー)を持つことと
ウェンディが突然旦那から離婚を切り出された所からいきなり始まる.
ダルワーンはインド人シーク派、髪を切らず伸ばし放題で普段はカラフルなターバンを髪に巻く.
“シーク”とは上に立つ人を意味しインドの中でも高位の地位や職業へつくことが多いらしい.
ダルワーンのインド政治亡命する詳細は描かれない.インドでは大学で教鞭をとっていたらしい.
そのシーク派の教義というかインド人の生活を端的に示すのはダルワーンの結婚.
妹が勧めるままに一度も顔を合わさぬまま結婚を決めてしまう.お見合い結婚だね.
日本にも似た所はあるので違和感無いが、ウェンディには信じられない行動….
21年間連れ添った夫に印藤を渡され、その理由が理解できないウェンディ.
もちろん若い女に走っての結末だが、なぜ自分から離れていくのか理解できない.
遠く離れた農場で働く一人娘を訪ねるために車の教習を始めるウェンディ.
タクシーで世話になったダルワーンを指名して教習を始めるが、これが含蓄のある教習.
車の運転に例えながら、人生のあるべき姿をも教習することになる.
教習を重ねるうち、ウェンディはまるでダルワーンの言葉通りに、 仕事柄言葉にのみ執着し、
夫を無視し続けてきた自分の視野の狭さと、予測の甘さを痛感する.
反省すべきはダルワーンも同じに見えた.政治亡命したアメリカで淋しく暮らす自分の行く末
を案じ、故郷の村に住む妹が選んでくれた花嫁;サリタ・チョウドリーの生活態度や無知に苛立ち、
ぎくしゃくした新婚生活を送る….
彼自身も、気が付けば自分本位で、想定外の展開に少しも対処できていないことにウェンディ
との付き合いで判ってくる…上手い脚本だと思う.
クローズされた空間の自動車教習所なんてシステムがあるのは日本くらい?
少なくてもアメリカ含めて他国でそんなシステム見たことが無い.いきなり一から路上訓練だ.
よって、誰に教わるかは大問題.教える側と教わる側の濃密な?関係がこのドラマの鍵かも.
最後にクロスしそうになる二人の関係も、落ちつくところにおちてめでたし、めでたし.
完全自由な国と言いながらも見え隠れする人種差別も描きながら、
人生の機微を描いた佳作.
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